登録日:2025/04/08 Tue 08:33:55
更新日:2025/05/17 Sat 01:49:02
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《
伝説のフィッシャーマン》とは、
高橋和希原作の
漫画『
遊☆戯☆王』に登場するカード、及びそれを元にした
遊戯王OCGに存在するカードの1つ。
この項目では関連カードも紹介する。
【性能】
効果モンスター
星5/
水属性/
戦士族攻1850/守1600
(1):フィールドに「
海」が存在する限り、フィールドのこのカードは魔法カードの効果を受けない。
(2):フィールドに「海」が存在する限り、このカードは攻撃対象にされない(この効果が適用されたモンスターしか自分フィールドに存在しない状態での相手の攻撃は自分への直接攻撃になる)。
【原作・アニメにて】
海の男
梶木漁太が使用するモンスター。
バトルシティ編の
城之内戦で初登場し、海の中から敵モンスターを狙い撃ちする「シーステルスII」の中核をなすキーパーソンであり、召喚されたのはいいが名前もステータスもわからずに城之内を苦戦させる。
だが海から飛び出したところを《マジックアーム・シールド》で捕まり《
要塞クジラ》の攻撃の盾にされてしまった。
とここまでなら梶木の使うモンスターの一体で終わるのだが、蘇生カード《死者の生還》で復活させられる。
だが墓地にはよりステータスの高い《要塞クジラ》もいたのだが……。
「やっぱり、俺にはこのカードを墓地には置けんぜよ……。」
《伝説のフィッシャーマン》。それは梶木が父親(CV:
岩崎征実)を重ねている「魂のカード」であった。
彼の父親は嵐の日に漁に出かけて以降行方不明となっていたのだ。
アニメでは父親を名乗る手紙と共に送られてきたカードと若干設定が変わっているが、どちらにせよ漁太と父親をつなぎ合わせる唯一の存在。
しかし梶木も決して勝負を諦めたわけではなく、復活した《伝説のフィッシャーマン》は海の恐怖を体現するかのように城之内に立ちふさがる。
だが、城之内の《
ハリケーン》で海を剥がされてしまい、丸裸になったところを《
漆黒の豹戦士パンサーウォリアー》に戦闘破壊されてしまった。
奇しくも船を失ったときと同じく「嵐」に敗れてしまった梶木であったが、海に立ち向かった城之内に敬意を示し潔く敗北を受け入れ、アンティとは別に《伝説のフィッシャーマン》を城之内に譲る。
大事なカードではあるが、ずっとそれに縋っていたら前に進めないことは梶木本人も薄々感じていたのだろう。
アニメでは少し展開が違い、《伝説のフィッシャーマン》が《要塞クジラ》との同士討ちで破壊された際にサレンダーも考えてしまうが、城之内の叱咤により立ち直り《死者の生還》で蘇らせる。
戦いの結果は変わらないが「自立のための離別」とはっきり口にしており、決意を汲んだ城之内に譲られた。
原作ではレベル4、攻撃力1850と下級モンスターにしてはかなりの性能を誇った為、城之内の新たな主戦力となった。
だが、《
破壊輪》に破壊されたり《
聖獣セルケト》に美味しくいただかれたりとヤラレ役が多かった。
アニメではレベル5になって、貴重な出番も《
アックス・レイダー》等に取られたりもしたが、
遊戯王Rに至るまで、城之内の貧弱なモンスター戦線を支えてきた。
一方で「特別レアカードというわけではない」と言う設定もあり、アニメオリジナルの「乃亜編」では
BIG1がしれっと召喚したりもしている。
だが
孔雀舞曰く「デュエルモンスター界に於ける最上級モンスター」とのことで、海を絡めたコンボはあの世界では突破困難なものとして有名らしい。
魂のカードを譲った梶木のその後は不明であるが、アニメ最終回では新たな船を手に入れて、港にて待っていた
エスパー絽場兄弟に迎えられている。
残酷な言い方をすると父親に依存していた節もあった梶木だが、その死を乗り越えて、デュエリストとしても、そして漁師としても一皮むけたのだろう。
しかし父親と再会出来たかどうかは語られていない。
【OCGでは】
2000年に発売した「
Thousand Eyes Bible -千眼の魔術書-」にて登場。
非常にドラマチックな背景を持つカードであるが、OCGにおいてはレベルが引き上げられており一気に使いにくくなっている。
一応《
伝説の都アトランティス》発動可では手札にてレベルが4になるため、リリース無しでも召喚できる。
だが、(1)の魔法カードの効果を受けないせいでアトランティスのステータス上昇効果を受けなくなってしまう。
またレベルも5に戻るが、上手く使えばリリース無しで召喚できるレベル5となるため、特にレベルが重要なデッキでは使い出があるかもしれない。
もう1つ(2)の効果も鬱陶しい。相手に攻撃されない為に場持ちはいいのである。
とはいえこの効果が適応された《伝説のフィッシャーマン》しかいないとダイレクトアタックになってしまうので少し融通が利かない。
また《
切り込み隊長》らとテキストが少し違うため、《海》発動中の《伝説のフィッシャーマン》が何体いようとそれ以外のモンスターがいないとダイレクトアタックされてしまう。ややこしいがそういう事なのだ。
とはいえ、魔法や敵の攻撃を受けないというのは原作再現率が高く、レベルに関してもむしろこの攻撃力と効果では強すぎると判断されての結果だろう。
そして2000年当時の遊戯王は高いステータスのモンスターと強力魔法カードを注ぎ込んだグッドスタッフデッキが主流だった時代。
そんな中登場した《伝説のフィッシャーマン》などの《海》関係のカードは、最初期に登場した「デザイナーデッキ」とも言える。
色々粗が目立つが、カードゲーム黎明期においてカテゴリをどこまで強くするかを模索していた時期のカードであり、我々が思っている以上に価値のあるカードなのかもしれない。
初期ゲーム版では
バニラモンスターとなっており、
フレーバーテキストが用意されている。それも2つ。
内容は「海での狩りを得意とする伝説の戦士、1時間も潜ることが出来る」「海の戦いではだれもかなわない、心やさしい海の男」という、伝説の男であると同時に父親らしさも感じられるテキストとなっている。
ちなみに、バトルシティ編を元にしたゲーム作品での梶木はDM3からの登場になっているのだが、
そもそもDM3では彼自身が登場していなかったり、DM4ではバトルシティ編で梶木が使用したモンスター共々収録されているものの梶木自身は使用しない、DM5では『アヌビスの呪い』以前のOCGのカードプールに準じた内容のため未登場…と非常にムラのある扱いだった。
DM6以降はちゃんと梶木のエースモンスターとして使用していて、原作漫画の様な戦術を駆使する様になった。
【関連カード】
《伝説のフィッシャーマン三世》
特殊召喚・効果モンスター
星7/水属性/戦士族/攻2500/守2000
このカードは通常召喚できない。
自分フィールドの「伝説のフィッシャーマン」1体をリリースした場合のみ特殊召喚できる。
(1):このカードが特殊召喚に成功した時に発動できる。
相手フィールドのモンスターを全て除外する。
このターン、このカードは攻撃できない。
(2):フィールドのこのカードは戦闘・効果では破壊されず、魔法・罠カードの効果を受けない。
(3):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
除外されている相手のカードを全て墓地に戻し、このターン、相手が受ける戦闘・効果ダメージは1度だけ倍になる。
第9期に突如登場した《伝説のフィッシャーマン》の孫。
《伝説のフィッシャーマン》をリリースする必要があるが、そうやって登場した彼は豪快な効果を持っている。
まずは相手モンスターの全除外。対象を取らない除外なのも大きく、出すだけで勝負が決まりかねない。
(2)も《伝説のフィッシャーマン》の効果をブラッシュアップしたかのような高い耐性。相変わらず自分の魔法や罠も通じないが、《
サンダー・ボルト》や《
禁じられた一滴》、《
無限泡影》、《
蟲惑の落とし穴》と言った厄介な魔法罠を無効に出来るのは非常に大きい。
そして(3)の効果もまた豪快。相手の除外しているカードを全部墓地に移す必要はあるが、相手の受けるダメージが1回だけ2倍になるのである。
《伝説のフィッシャーマン三世》本人でダイレクトアタックしても5000のダメージを与えられるが、良く見たら他のモンスターや効果でダメージを与えても倍に出来るので、上手く攻撃力4000のモンスターを用意すれば一瞬でフィニッシュ可能なのである。
と全ての効果がかなり強力なのだが、やはりネックなのがその召喚方法。
梶木には悪いが《伝説のフィッシャーマン》は少し出しにくく事故札になりかねないため、《伝説のフィッシャーマン三世》は即効性がなさ過ぎるのである。
とはいえ上手くフィールドに出せれば相手を蹂躙できるのは間違いないので、この辺りはデュエリストの知恵で乗り切りたい。
また、耐性の強さから「破壊以外の除去手段を持ったモンスターカード」を使わなければ盤面から排除できないが、このカードが登場した当初からその要件を満たす《
鳥銃士カステル》が汎用カードとして存在してたのは中々痛いところ。
インフレが進んだ現在ではよりこの要件を満たすカードはより一層増えているため、見た目ほど強力な耐性ではなくなりつつある。《無限泡影》のような汎用なモンスター効果無効カードを使用するなどして、耐性の穴をフォローできるようにはしておきたい。
上記で少し触れた「ARC-V」で出てきた《伝説のフィッシャーマン》だが、実はすぐにリリースされている。
こうして出てきたのがこの《伝説のフィッシャーマン三世》なのである。
二世を飛ばして三世?と思ってしまうが、前述した経緯から「梶木という二世がもう居るので」ということなのだろうと解釈できる。
(同時期に発売された原作ファンブック「千年の書」でも同様の解釈をしているテキストがある)
口上は「生まれ変われ、語り継がれし伝承と共に!《伝説のフィッシャーマン三世》!」
豪快な効果で相手モンスターを除外するが、(3)の効果で除外モンスターを墓地に移したことで負け筋を作ってしまうという「墓地は第二の手札」「フィールドを一掃しても墓地からの効果で盛り返される」というやられ方をすることとなった。
《伝説のフィッシャーマン二世》
効果モンスター
星5/水属性/戦士族/攻2200/守1800
(1):このカードのカード名は、フィールド・墓地に存在する限り「伝説のフィッシャーマン」として扱う。
(2):フィールドに「海」が存在する限り、フィールドのこのカードは他のモンスターの効果を受けない。
(3):表側表示のこのカードが相手の効果でフィールドから離れた場合、または戦闘で破壊された場合に発動できる。
デッキから水属性・レベル7モンスター1体を手札に加える。
とか言ってたら2年後に二世もカードとして出た。イラストは梶木そっくりであり、前述の解釈自体は正しいことがわかる。
しかしフィールドに出たら名前が《伝説のフィッシャーマン》、即ち父親と同じになるというエモい効果も持っている。
スペックもそこそこ高く、またモンスター効果を受けないという強固な耐性も持つが、本質は《伝説のフィッシャーマン三世》につなげることだろうか。
《
海竜-ダイダロス》や《
氷水帝エジル・ラーン》、《
瀑征竜-タイダル》なんかをサーチするのも面白い。
だが《伝説のフィッシャーマン三世》をサーチしたその頃には《伝説のフィッシャーマン二世》はフィールドにいないのでやっぱり出すのに苦労するという点は変わらないが、ロマンはあるカードと言えよう。
【余談】
「子供向け玩具での武器の描写が制限されている」海外版では、武器の銛が練習槍(たんぽ槍)になっている。威厳がない……。
さすがに酷過ぎたためか普通に銛を持ったイラストのカードも登場した他、「二世」や「三世」は修正が入らなかった。
編集の追記・修正ではだれもかなわない、心やさしい海のアニヲタ。
- 梶木の父親は遊戯王には珍しい真っ当な父親だった。ところで、梶木は決闘後に要塞クジラとフィッシャーマンを渡してたけど、元のアンティだったリヴァイアサンは渡したのか気になるところ -- 名無しさん (2025-04-08 08:53:15)
- 「槍を持たせる父親」「槍を向ける父親」といった作者公認の碌でもない連中の中で燦然と輝く「『銛』を手に戦った父親」。諸々の理由で出番自体が没になった遊戯の父を除くと、初代遊戯王でマトモな父親は唯一ではあるまいか -- 名無しさん (2025-04-08 09:47:29)
- バトルシティ開始前に「ワシの要塞クジラデッキで~」とデッキの主力をバラすようなことをしてたのは、このカードの存在を隠すためだったりしたのかね -- 名無しさん (2025-04-08 11:05:40)
- 梶木のカードなら水族が良かったんじゃないかと思う一方、城之内デッキ的には戦士族の方が嬉しいというジレンマ -- 名無しさん (2025-04-08 12:13:59)
- 実はフィールドパワーソースを自分のせいで一切受けられない変なカード -- 名無しさん (2025-04-08 12:14:14)
- 三世は今でも立ちさえすればそのままゲームエンドに持っていけたり、膠着状況をひっくり返せるポテンシャルを秘めてる 出し辛いけど出せたら脳汁モノよ -- 名無しさん (2025-04-08 12:30:09)
- 追記、修正して、どうぞ -- 名無しさん (2025-04-08 12:58:25)
- 「銛」を持った父親はなるほどな~実際にどういう人物かは詳しく描かれてないけど、梶木にとっては憧れの父親だもんな -- 名無しさん (2025-04-08 18:24:27)
- 乗ってる魚はサメなのか? -- 名無しさん (2025-05-17 01:49:02)
最終更新:2025年05月17日 01:49