ロックマンX3 たおせドップラー軍団!

登録日:2019/09/24 (火曜日) 23:52:00
更新日:2025/05/31 Sat 00:25:55
所要時間:約 7 分で読めます





ロックマンX3 たおせドップラー軍団!



●まんが


池原しげと


●がいよう


講談社まんが百科㉞ロックマンX超百科*1(定価880円)に掲載されたまんがである。
タイトルの通り、『ロックマンX3』のコミカライズながら、岩本佳浩氏がコミックボンボンで連載していたロックマンXとはまた趣が異なる。
わずか33ページのまんがだが、とても内容の濃い神まんがである。
流石ともいうべきか背景の書き込みが素晴らしい。


●とうじょうじんぶつ



「だがぼくはまけるもんか!!信ずるはハイパーバスター!!」
「強い者が世界をぎゅうじるのは ほんとうの平和じゃない…」

主人公。イレギュラーハンター第17部隊に所属している。
池原先生版ということで無印のロックマンほどではないが、過激な性格をしている。
Dr.ライトのカプセルを発見した際には「あっライトのカプセルだ!!」と生みの親を呼び捨て。
口の悪さもロックマン譲りである。

また彼に限った事ではないが、このまんがでは説明的なセリフが多い。
例を挙げると、

イレギュラーハンター本部が燃えている光景を見て
「ああ!!本部が燃えている ここまでできる敵とは?」
マックにつかまった際
「うわーっ すいよせられて体が動けなくなった!!」
などなど。
他には、ページの少なさ故か、ナイトメアポリスに対する弱点を一瞬で見極めるという神業を発揮している。
VAVAに「ハイパー化している」と言われていたが、本作でのアーマーは終始白いままである。




「うらぎり者はようしゃしない!!」

ロックマンXの相棒的存在。
まんが内では常に「ZERO(ゼロ)」と表記されておりとてもくどい。
そしてゲームの出番を忠実に再現したのか、とても影が薄い。
最初にマックからロックマンXを助けて、それっきり出番終了。その活躍わずか2ページと1コマ
ドッペルタウンへ先に行ったというのに、ロックマンXと合流することはない。
ナイトメアポリスかVAVAにどうりょくろをやられてしまったのだろうか…?

ちなみに池原先生版のZEROは一人称が「ぼく」である。
ZEROが「ぼく」という媒体は池原先生の手掛けた本作と『イレギュラーハンター ロックマンX』*2、それと半黒歴史コロコロ版『ロックマンゼロ』のみ。



  • マック

「やったぜ!!ロックマンXをとらえたぞ!!」

元イレギュラーハンターで、ドップラー博士の部下。
ロックマンXの「マックこれはどうなっているんだ?」というセリフからわかる通り、このまんがでは行方不明にはなっていないようである。
ゲームと同じく、ロックマンXを捕らえた後、ZEROの一撃によりやっつけられた。
超百科部分では「オレは、うらぎり者!」との煽り文句がある。


  • マオー・ザ・ジャイアント

ゲームではOPステージのボスとして出たやつ。
おそらくイレギュラーハンター本部を燃やした犯人であろう。
ロックマンXに頭部が弱点だと一瞬で看破され、たった3コマで倒された。
超百科部分での説明によると「顔と腕以外の部分は、無敵の超金属で覆われている」らしい。




「それにしてもこの季節はずれの雪はなんなんだ?」

Σや他のレプリロイドを作った人間の科学者。
岩本版ではドップラーと旧知の仲という設定にされていたが、このまんが内では特に言及無し。
パワーアップパーツのカプセルは彼が隠したらしいが、このまんがではアーマーは彼が作ったのだろうか?
マオー・ザ・ジャイアントを撃破したロックマンXを見送る際に季節外れの雪を説明して、露骨にバッファリオステージの説明を行った。




「ドップラー様の世界征服をじゃまする者はゆるさん!!」

ロックマンXが最初に戦ったボスである。書き込みが素晴らしい。セリフはたった2つ。
だが8ボスの中では一番出番が多く、最も優遇されているといえる。
ロックマンXの「いかりのバスター → 連射バスター」のコンボで攻撃する間もなく倒された。



  • 他の8ボス

セリフなし。
しっかりとアーマーパーツのある「スクリュー・マサイダー」「シャイニング・タイガード」「エレキテル・ナマズロス」の3人を先に見開きページで倒した。
残りの4人も見開きページで倒された。
何気にボディパーツ入手のために必須なビートブード撃破より前にフルアーマーになっているが気にしてはいけない*3
前作の時もアリゲイツ撃破前にフットパーツ取ってたからね!




「またパワーアップの時がきたようだな……」

ご存知ロックマンXの生みの親。
カプセルを発見した際のロックマンXの反応からして、先述のケイン博士が隠したパワーアップパーツのカプセルとは別物らしい。
原作でも『ロックマンX5』以降ではリアルタイムの状況を把握していたり会話もできるが、このまんが内でも録画メッセージではなく人工知能として存在している様子。
チップを授けてくれるのだが、どれか特定のパーツ一つを強化する原作のチップとは違い、一枚だけで各パーツが強化されるハイパーチップ寄りの性能になっている。




「まてーっ ここから先へはすすませぬ!!」

ナイトメアポリスの一人。
世界中のレプリロイドの長所をもとに作られた高速型の警備レプリロイド。
名前すら名乗らずトライアードサンダーを喰らい倒された。
※FFの由来がわかる人がいたら誰か教えてほしい。

超百科での説明では「高速の剣技がまう!」と書いてあるのだが、まんが内でも公式イラストでも盾しか構えておらず、剣は描かれていない。
もっとも戦闘中のドット絵では鋭いブレード状のものを構えて突進しているようにも見えるし、岩本版や『ロックマンX Dive』では明確にビームサーベルとして描かれているのだが…
また「レイスプラッシャーでの攻撃に弱い」とあるが、これはマンダレーラの弱点で、表記が逆になっている。




「みっともない…おまえはどいてろ オレ様がぶっとばしてやる!!」

ナイトメアポリスの一人。
剛力型の警備レプリロイド。ショルダーアタックと言って突進しているのだが、ロックマンXに当たっているのはどう見ても背中のリングである。
彼も弱点武器であるトルネードファングを喰らい倒された。
※BBの由来がわかる人がいたら教えてくれ。

また説明欄では「フロストシールドでの攻撃に弱い」とあるが、これはヴァジュリーラの弱点で、これまた表記が逆になっている。
二体とも、何気にまんが内で使わなかった方の弱点武器を掲載するという芸の細かさである。…表記が入れ替わってなければ。



  • ゴッドカルマシーン・O・イナリー

「マンダレーラBB…かくなるうえは合体攻撃だ!!」
「ロックマンXごときに これをつかわなければならないとは……」
「ゴッドカルマシーン・O・イナリー」

ナイトメアポリスの二人が合体した姿。
とても強そうだがロックマンXが信じたハイパーバスターで撃破シーンすらなく倒された。
なお、先のナイトメアポリスは二人とも弱点武器で倒されているが、ゲームでそうした場合O・イナリーは登場しない。




「げっ こいつハイパー化している!!」

ご存知元祖裏切り者。ドップラー博士のことを同志と呼んでおり、ゲームより仲はいいようである。
1コマだけザクのような目が出ている。
原作だとドップラーステージで戦う時は専用ライドアーマーのブラウンベアに搭乗しているが、このまんがでは8ステージクリア前の乗機であるDRA-00で登場。
カンガルーと同型機という設定を拾い、プレイヤー操作時だけ使えるスピニングクローまでわざわざ披露している。
パラスティックボムでライドアーマーが破壊された後も戦闘を続行し、ショルダーキャノンから火炎放射を見舞ってロックマンXを焼き尽くそうとするが、チャージショットで倒された。

余談ながらDRA-00、ならびにVAVA本人の弱点武器は2戦ともスピニングブレードまたはレイスプラッシャーなのだが、ブラウンベアに限ってはパラスティックボム*4が弱点武器だったりする。
ビームサーベル目当てにVAVAを工場ステージで倒してしまっているとブラウンベアと交戦する機会もないため、慣れたプレイヤーほど気づきにくいポイント。
なまじDRA-00に変更されているのでややこしいが、"ドップラーステージでVAVAのライドアーマー相手に撃った"という場面的には正しい武器選択だったりする。
これも池原先生がテストプレイを欠かさなかった証左と言えるかも知れない。*5




「おまえたちのいう平和はたわごとだ!!パワーこそベストだ!!」

この事件を起こした張本人。ロックマンXを味方につけようとしていたらしい。
理想だと?戯言だ!みたいな台詞を吐いたかと思えば、ロックマンXを消すべくオーラアタックを叩き込んだことで、イレギュラーと認定された。
その後、ハイパークロスチャージショット*6を喰らい倒された。





「やはりおまえは わたしがじきじきに しまつするしか ないようだな……」

ロックマンXの宿敵。ドップラー博士がやられた後に後ろからシルエット姿で現れた。
超百科の部分にしっかりとカイザーシグマとシグマウイルスが載っていることと、第3作での姿と書いてあるのは秘密である。



●よだん


Amazonでもそれほど高くない値段で販売されており、古本屋などでもたまに見かけると思うのでロックマンXシリーズのファンなら買っておいて損はないだろう。
おそらく池原しげと先生の書いた最後のロックマン関連の漫画で、ストーリーのテンポの凄まじさ、絵のうまさ、セリフ回し、岩本版のロックマンXに引けを取らない出来であると思われる。
ちなみに超百科部分にはロックマンX1~3までの全特殊武器がXのイラスト付きで描いており、貴重な資料である。
また、近年復刻されたカードダスにも(2ページだけだが)この漫画について触れられている。




シグマ「それで勝ったと思うなよ ロックマンX」

ロックマンX「おまえは!!」

シグマ「やはりおまえは わたしがじきじきに 追記修正するしか ないようだな……」

ロックマンX「おまえが真犯人だったのか!!」

〔おわり〕

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最終更新:2025年05月31日 00:25

*1 刊行は1996年4月20日。ロックマンX3発売から4ヶ月後とあってシグマの全形態ネタバレまで載っている。その一方続編であるロックマンX4の発売はまだ1年以上先の話で、巻末のシリーズ一覧にも発売日どころかメインビジュアルすら無く「制作快調!!」とだけしか記されていない

*2 PSP版ソフト『イレギュラーハンターX』とは微妙にタイトルが異なる

*3 一応、フットパーツ+アームパーツで多段ジャンプという高度なテクが近年発見された。当時の池原先生が知っていたかは定かではない

*4 もしくはトルネードファング

*5 池原先生がコミックボンボンでロックマンの漫画を連載当時、アシスタントを務めていた有賀ヒトシ氏がロックマンにかけては一家言持っており、池原先生の前で都度解説しながらテストプレイしてみせていたとの事。ただし、このまんが執筆当時においても同様だったかは定かではない

*6 元ネタはアームチップを装備すると使えるハイパーチャージ→その状態で放つクロスチャージショットと思われる