ロックンゲームボーイ

登録日:2019/11/28 (木曜日) 21:29:00
更新日:2024/09/05 Thu 01:28:53
所要時間:約13分で読めます





まだまだ…
うちのめされればされるほど
おれの闘志はもえあがるんだ
それがロックンロール魂ってもんだ!

おれはロックンG.B.(ゲームボーイ)だ!




ロックンゲームボーイは池原しげとによるゲーム漫画である。
コミックボンボンにて1989年から1991年まで連載されていた。


主人公・南波一が、兄・南波翔の失踪に謎の組織BUGが関わっていることを知り、BUGとの戦いに身を投じる――
という、コロコロやボンボンのホビー漫画にはよくある構図である。
プレイヤー達の能力は人間として総じて高いが、ゲームセンターあらしのような現実にできない技をやるタイプではない。

タイトルの通りゲームボーイゲームで戦う漫画なのだが、
連載終盤にはスーパーファミコンのゲームでの戦いもあった。

単行本を5巻で終わらせるために、終盤の展開が一部未収録となっている。



登場人物


南波一(なんば はじめ)

主人公。次男だが名前は一。本人いわく「英語で読むとナンバーワンだ!」
兄の失踪の謎を探るうちに悪の組織BUGの存在を知り、兄の奪還とBUGの壊滅のために戦いに身を投じる。
ロックンスピリッツとかロックン連打とかロックンフォースジャンプとか、ロックン○○という言葉をゲーム中によく使う。
ゲーマーとして高い適正を持ち、鋭い反射神経と不屈のロックンスピリッツを武器にあらゆるゲームを攻略する。
瞬時の判断が問われるアクションゲームや落ちものパズルが得意な一方で、
じっくり考えるタイプのパズルゲームなどは相手の遅れをとってしまうことも多い。
熱くなりやすい性格だが友情に篤い一面もあり、自分に非があると認めれば他人のアドバイスは素直に聞き入れる。
兄を慕っており、兄が敵に回ったときは情で判断が鈍ることもあった。


南波翔(なんば しょう)

一の兄。有名なゲーマー。e-sportsもない時代にゲームが上手いというだけで有名になるほどの腕前。
一にとって最大のライバルであり目標である。
ゲームにあたってはしっかりと知識を備えたうえで攻略するタイプ。純粋な腕前も一と互角かそれ以上。
パソコン通信を嗜む場面もあり、ゲーム以外にも幅広い趣味を持っているのかもしれない。
落ち着いた性格で、「嘘をつくのはよくないけど、やるときは徹底しなきゃならない」と述べるなど一に比べると大人の対応ができる。
あるときBUGの存在を知り、それを調査しているうちにBUGに捕まり洗脳されてしまった。
初めは敵として一らの前に立ちはだかるが、洗脳が解けた後は一と共にBUGと戦うことになる。


源旛(げんば)

翔の友人。元々はBUGに捕まっていたが、翔の頼みで一を戦いに巻き込まないために警告しに来た。
テトリスで一に敗れたことで彼の仲間となった。
BUGの調査などでは大いに役に立っているが、『Sa・Ga』ではゲーム内で死亡後戦線離脱させられるなど、
ゲームをする場面ではあまりいい役目をもらえていない。
ハメルン塾でピンチに陥った一を助けに
窓をぶち破って登場する場面は非常にかっこいいのだが。


チビ豆

一の友達。本名は不明。
勉強が得意そうな見た目をしており、パズルゲームでは一を上回る。
しかしシューティングゲームなどでは周りのキャラから一枚落ちる実力。
ゲームの攻略法で一と喧嘩したり敵にさらわれたりと、まさしく主人公の友達ポジションのキャラ。


一樹(かずき)

ゲーム塾「芸夢の里」のリーダー。翔の手がかりを求めてやってきた一に協力する。
BUG特製のソフトを解析してBUGのことを調べるなど、コンピューターにも詳しい。
ゲームの腕は南波兄弟に次ぐものを持っているだが、
一と真剣な腕比べをする場面がないため詳細は判断できない。
彼の最大の弱点は髪型が翔とかぶっていることだろう。


樹里亜(じゅりあ)

一樹の妹。大人しそうに見えて好奇心旺盛。
作中唯一の女の子キャラで、出番自体は多いが、必ず一樹とセットで登場するのと、彼女一人にスポットが当たることは少ないためあまり目立たない。
目立ったのは『Sa・Ga』にエスパーギャルとして登場してスタイルを披露したときと『聖剣伝説』のヒロイン役をしたときくらいだろうか。


又木(またぎ)

「芸夢の里」のゲーマー。一のゲームの腕前を認めて彼に協力する。
当初は一樹や樹里亜と同程度の出番があったが、翔の洗脳が解けて味方になってからは出番が減り、最終決戦にも姿がなかった。


ママ

一と翔の母。ゲームに反対しており、2人の息子には厳しい。
翔がふらっといなくなってしまうのは実は「よくあること」らしく、そんな息子を持ったら仕方ない気もするが。


おばあちゃん

一と翔の祖母。厳しいママを嗜めているが、大体は押し負ける。
テトリスの面白さにはまっていた。



BUG

ゲーマーを誘拐しては訓練させている謎の組織。この作品を通しての悪役。
翔などBUGに洗脳された人物は顔に独特の模様がある。
その正体は武器商人であり、自作の兵器のパイロットとしてゲーマーを育成している。
ホビー漫画にありがちな世界征服を目論む悪の組織だが、
BUGの場合はそのホビーを使ったよくわからん方法ではなく、本物の兵器を使う。
作中に登場した兵器は戦車から人型兵器まで様々。
それらはゲーマー向けにカスタマイズされており、一が勘だけで思い通りに操縦できるほどの利便性を持つ。
後述のゲームゾーンやBALなど、純粋な技術力も現実を遥かに越えたレベルのものである。
ネットワークによって全国のプレイヤーと通信対戦、などと時代を先取りしたこともやっていた。


第1話の怪人

黒いゲームボーイ*1を手に一の前に現れ、戦い敗れた男。
彼が敗れたことで一が入手した黒いゲームボーイが、兄の行方を追うための最初の手がかりとなる。
この黒いゲームボーイは基地の扉を開ける認証キーなども兼ねており、結果的には彼の敗北がBUGに危機をもたらしている。
自分が負けたことを棚に上げて失敗続きの翔を廃ビルの地下に陥れたが、その後の出番は全くない。


黒人の男

翔の部屋を漁っていたところで見つかるが、一度はゲームゾーンを利用して逃げ延びる。
破州のスカウトのために現れたが、そこで脅しに屈するような形で一に情報を渡してしまう。
その後の出番は全くない。


破州和人(はす かずと)

正確にはメンバーではないがここに記載。
一に勝てばBUGのメンバーになれるとして黒人の男と公的なゲーム大会に現れ、『ネメシス』で対決。
最終ステージのギミックが苦手で、特に罠があるわけでもないのに敗れてしまった。


BUGの基地の男

一と翔がBUGの基地に乗り込んだときに『ダブルドラゴン』と『V.S.バトラー』で戦った男。
アクションゲームを得意としており、ダブルドラゴンの劇中に出てきても違和感のない格好をしている。
顔には洗脳されていることを示す模様がついている。
この役目を第1話の男がやってもよかったのでは……


BAL

BUGの機能を司るコンピューター。
基地にやってきた一らを本来は捕獲または処分すべき立場だが、
一との対決で彼の未知のポテンシャルを信じて彼に味方するようになる。
ハメルン塾の件や最終決戦など、BALの協力なしでは一の勝利はありえなかった。
しかし、その裏切りを総統に知られたことで自爆プログラムを起動されてしまう。
最後の鍵は『ボンブリス』であることを託して事切れた。


ハメルン塾

「ゲームが上手くなって成績も上がる」という謳い文句で子供たちを対象とした学習塾。
実際に活戸もチビ豆もテストで高得点をあげている。
しかしその正体はBUGの組織の一員であり、塾の生徒たちの大量失踪事件を起こした。
名前の元ネタはもちろんハーメルンの笛吹きであろう。
塾長はとても怪しい外見をしており、その外見だけで一が警戒したほど。
しかもガチの催眠術と読心術を使い、一を苦しめた。


活戸勝(かつと まさる)

ハメルン塾の塾生。一に『コントラ』で勝つほどの実力者。
『レーダーミッション』では塾長のサポートがなくなった途端、逆転負けをくらう。
『F1 RACE』では洗脳されたチビ豆に直接対決を譲ったためにあまり出番がなく
『R-TYPE』での一との対決に敗れた。
純粋にゲームを楽しむ一を見て自分の過ちを悟り攫われた子供たちを奪還するため協力するが、
最後は塾長を道連れに死を選んだ。


ビットベンダーズ

BUGの四天王。無駄に特徴のあるキャラデザの4人組。
彼らに勝てばBUGの幹部になれるということで、ポケモンのしてんのうと同じような役割。
そこに辿り着ける者も滅多にいないようで、シムシティで遊んでいた。


トム

ゲームエデンの住人。一の行方を求めてやってきたチビ豆と対決する。
このくだりは単行本では全カットされているためこのキャラも存在しない。


バクスター

ゲームエデンのエリート。彼を含め、ゲームエデンの住人は洗脳されていることを示す顔の模様はない。
単行本では一と翔との腕比べのために呼ばれたが、雑誌掲載の時点では
「一と翔の腕比べをさせる所に割り込んできたものであり、呼ばれてすらいない」というもの。
もっとページ数を削る必要に迫られていたら、上手いこと編集して出番全カットもあったかもしれない。


総統

BUGのトップ。ヒトラーっぽい外見をしている。
新型兵器のテストのために洗脳された一を呼び寄せたが、実はBALの協力で一は正気のままで潜入しており、
一によって基地は壊滅させられ自身の命を含めた全てを失うことになる。
その死の間際に世界中の基地から世界を壊滅させるための総攻撃を命じた。



作中に登場したゲーム


この漫画の特徴としてゲームゾーンがある。
UFO型の機械(ゲームコンバーター)を掲げると周囲の人間をゲームゾーンに引き込む。
ここでの勝負で敗れると電気ショックを受けるなどの制裁が課せられるが、それで死ぬことはない。
逆に言えば普通なら死にそうな状況でも絶対に死なないようにできるということであり
『V.S.バトラー』や『F1-RACE』のように便利アイテムとして使われることもあった。

第1話では対戦モード、第2話ではBタイプの腕の比べあい。
第2話ではビルの明かりがテトリスになるという誰もが一度は考えそうなシチュエーションでの対決となった。

  • パズルボーイ
普通に遊んでいたところで不法侵入した黒人の男と揉みあいになり、彼が機械を起動したことで
パズルボーイの世界に入ることに。黒人の男が圧倒的に早くクリアしたため、彼を取り逃がすことになってしまった。
「お前らは永遠にこのゲームゾーンをさまよってろ(意訳)」と一らを嘲笑ったが、次のゲームでその意趣返しを食らうことに。

  • ネメシス
グラティウスのゲームボーイ版。破州と先にクリアした方が勝ちとして勝負する。
破州が最終ステージを突破できないのを見て一が「おれがクリアしないと永遠にゲームゾーンから出られないぞ(意訳)」
と脅すことで黒人の男から情報を引き出した。

  • SD戦国伝 国盗り物語
武者ガンダムを題材としたゲーム。
1度目はチビ豆と普通に遊んだ。
2度目は又木に実力を認めてもらうために対戦。
3度目はネットワーク対戦のゲームセンター(知らずに入ったが、実はBUGの傘下)に現れた一らに対して翔が敵として対戦。
敵ユニットはBUGのプレイヤーが操っており、特に殺駆頭(ザクト)のプレイヤーは一以外のキャラを全員倒すほどの凄腕。
最後は武者頑駄無の一と敵の総大将の翔の一騎討ちとなったが、
「総大将はHPが回復しないが自分で動けるユニットは何度でも回復可能」という仕様を突いた一のこすい作戦で勝利した。
作中で初めて兄弟対決したゲームである。対戦型ゲームで直接対決という形では、これが唯一。

翔の手がかりを求めてやってきた山中に仕掛けられた罠。これをクリアしなければゲームから出られない。
第1層大陸世界は詳しめに、第5層海洋世界はダイジェストで、後は全カット。
ストーリー重視のRPGなので致し方なし……と思いきや、ラスボスであることをネタバレしている。

  • クォース
キャッチコピーは「前代未聞のシューティングパズル」
翔が一を呼び出してアンドロイドと対戦させた。
自分の腕前に慢心し何も考えずにブロックを消す一と効率を重視するチビ豆で喧嘩したが、
チビ豆の研究と自分の連打力を融合させた戦術で勝利した。

魔界村スピンオフ作品。
BUGの手がかりを求めて一らがやってきた廃ビルにポツンと置かれていた。
BUGの罠により15時間以内にクリアしないとビルごと爆破されてしまうという状況に。
しかし、このような脱出への鍵を用意したこと自体が、翔に人間の心が残っていた証でもあった。
洗脳から目覚めた翔の協力もあって辛くもクリアできた。

  • ダブルドラゴン
基地に乗り込んだ南波兄弟の前に立ちはだかった男が挑んだ格闘アクションゲーム。
ゲームゾーンによりキャラクターが受けたダメージがプレイヤーに反映されるという仕様になっていた。

  • V.S.バトラー
ロボット兵器を操り迷路の中で敵を探して戦うというアクションゲーム。
BUGの基地の中で戦車に追われて戦うことになるが、ゲームゾーンに入ることでリアルの戦車戦をゲームの戦いに持ち込んだ。

  • ドクターマリオ
BALが一の腕を見るために仕掛けたゲーム。HIの20レベルをクリアした一の腕前を認める。
このとき一を「連射速度0.06秒」と解析していたが、高橋名人を意識したのだろうか?
続けて対戦モードで一に挑む。BALは人間の弱点である疲れとケガを利用して一に勝ったが、この勝ち方はかなり突っ込みどころがある。

  • ツインビーだ!!
ホバークラフトに乗って基地から脱出する際、同じ乗り物に追われた一らが使ったゲーム。
V.S.バトラーと同様に、リアルの戦いをゲームに持ち込むことで安全に戦った。

  • コントラ
活戸が一に挑んだゲーム。スコアアタックでの勝負。
武器の選択を誤った一が大幅な不利を強いられ、そのまま負けとなった。
この後活戸はギャラリーをハメルン塾に勧誘した。要するに一を利用した宣伝活動である。

  • レーダーミッション
一の得意分野を全く活かせない読み合いを主とするゲーム。
ハメルン塾がBUGの傘下であると知った一が塾に乗り込むも、既に洗脳されていたチビ豆から挑まれた。
一は完敗を喫したが、実は塾長の読心術によるインチキだった。
源旛が現れて真実を暴いてくれなければ一は勝てなかった。

  • F-ZERO
本作で初めて登場したゲームボーイ以外のゲーム。
(当時としては)圧倒的なグラフィックとスピード感に一は夢中になっていた。

  • F1 RACE
ハメルン塾が洗脳された子供たちを使って自動車を暴走させて社会を混乱に陥れていた際、
(BUGの存在は表沙汰になっていないため、社会的にはBUG絡みの最大の事件である)
それに対抗する手段としてBALが提供したゲーム。
BUGの兵器と同様にゲーム感覚で運転できる自動車で戦ったが、
それでは大惨事は避けられないためゲームゾーンに持ち込むことで安全に戦った。
敗者を制裁する電気ショックでゲームに参戦した子供たちの洗脳がとけた。

活戸が一と決着をつけるべく挑んだゲーム。
勝たなければという焦りから活戸がミスを犯して敗れたが、勝利後も純粋にゲームを楽しむ一の姿を見て活戸は改心した。

  • パロディウスだ!
連れ去られた子供たちの洗脳を解く鍵として4人で挑みクリアする必要があったゲーム。
一(ビックバイパー)、翔(ツインビー)、チビ豆(オクトパス)、一樹(ペン太郎)の4人で戦った。
全ステージのボスの姿を描いているが、ラスボスだけはシルエットで済ませている。
そのシルエットがごまかしようのない特徴としているのだが。

BUGと繋がりのあるゲームショップにおいてあったゲーム。当時はまだ未発売だった。
強制的にゲームゾーンに入り、一以外の人物はNPCとして登場した。
本誌掲載時はガイアの洞窟に入るところまで攻略したが、単行本ではその前のトロッコに乗るところまでとなっている。

ロックマンのゲームボーイ版。ビットベンダーズとの戦いで使用。
最初はクリアまでの時間を競っていたが、一の腕を見たビットベンダーズが敵キャラを操作するという直接対決に形が変わった。
途中で翔の洗脳マイクロチップを復活させられ、エンカーとして登場した翔に敗れた。
池原しげとは後にロックマンシリーズのコミカライズを手がけることになるが、大体本作のノリで進んでいる。

スーパーファミコンのゲームである。
戦いに敗れ連れ去られた一と翔の行方を求めてチビ豆が戦ったゲーム。
単行本では全カットされている。

  • ジェリーボーイ
一と翔とバクスターの腕比べのために使われたゲーム。スーパーファミコンのゲームである。
スコアアタックでの勝負となった。単行本では大部分がカットされており、
BALが「これが南波一の強さの秘密か」と言ったもののよくわからないものになっている。

新型兵器のテストのために使われたアクションゲーム。スーパーファミコンのゲームである。
ゲームゾーンに入り、一がアーサーを操作することを通して新型兵器の性能テストをしている事になるらしい。
一の腕前にBUGの想定以上のパワーが出て、新型兵器は拘束を解かれ一の意のままに操れるように。
これがなければガチの武装組織であるBUGを壊滅させることはできなかっただろう。

  • テトリス2+ボンブリス
総統が死の間際に出した破壊命令を停止させるための鍵。ファミリーコンピュータのゲームである。
総統の怨念が一に語りかけたが、ロックンスピリッツでクリアして世界を救った。





見ろ! これがロックン追記・修正だ!

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最終更新:2024年09月05日 01:28

*1 カラーバリエーションを増やしたゲームボーイBrosという商品があるが、当時は未発売である