ウーラー(ウルトラ怪獣)

登録日:2019/12/28 Sat 00:11:06
更新日:2025/05/24 Sat 22:05:33
所要時間:約 5 分で読めます




※推奨BGM:「トレギアーアグレッシブ(M15)」


トレギアが呼び寄せた伝説の怪獣!
どうやら地球にかつてない危機が訪れようとしているみたいだ!

そして破滅が近づく中、様子がおかしいピリカ。
彼女に課せられた使命とは一体……?


次回 ウルトラマンタイガ

第24話

私はピリカ

行こうヒロユキ! だって俺達は…!


















おはよう。腹ペコ怪獣君。

そいつは軽い朝食だ……


とは、円谷プロダクション制作の特撮テレビドラマ『ウルトラマンタイガ』に登場するウルトラ怪獣である。


データ

別名:宇宙爆蝕怪獣(うちゅうばくしょくかいじゅう)
身長:68m
体重:50万t


概要

第24話「私はピリカ」、第25話「バディステディゴー!」に登場。
『タイガ』における実質的なラスボスである。……が、厳密にはラスボスではないかもしれない。詳しくは後ほど。

とある文明の発達した惑星が出し続けた廃棄物(=ゴミ)が化学反応を起こした結果、偶発的に誕生した疑似生命体で、ウルトラマンタイガ曰く「伝説の怪獣」

全体的な体格は直立二足歩行すると信じられていた頃のティラノサウルスの復元図に似ており、強靭な顎とたくましい足を持つ一方で両手は非常に小さく、実際に使う事はできないと思われる。
しかし、その細部をよくよく観察してみると、大きさ、形、色、質感の違う物体が大量に重なり、そのままつぎはぎになったかのような歪かつグロテスクな見た目をしており、
まるで他の怪獣達のような「自然の摂理の下に生まれた命ある生物」でも、はたまたロボットのような「特定の意図や目的の為に必然的に生み出された道具」でもないという、独自の存在感を如実に表しているようにも見える。
また、身長68mに対して体重が50万tとバカみたいに重い事からもその存在のイレギュラーさがうかがえる。


戦闘能力

前述のようにラスボスと記したが、火や光線を放つといった特殊な能力は持っておらず、戦闘では専らその巨体を生かした体当たりや噛み付き攻撃のみを行う。
こう聞くとさしたる脅威には感じられないかも知れない。しかし……


生態

ウーラー最大の特徴、それは食欲

怪獣がその巨体故に当然一度に摂取される量は他の生物とは比べ物にならないのは周知の事実だが、このウーラーの場合は食べた物を高濃度で圧縮して体内に小型のブラックホールを形成しており、食べた食糧は全てそれに飲み込まれて消滅してしまう為、そのままにしておいた場合満腹になる事は決してない
食欲に身を任せて有機物無機物はおろか、物体、エネルギーなどの非物体を問わず、宇宙に存在するありとあらゆる物を半永久的に食べ続けていく。

惑星に降り立つと、まずその星の地殻を食い、さらにそこから地中を掘り進んでその星のコアエネルギーを食い尽くす事でその星を跡形もなく消滅させてしまう。
地球に来る以前にもこの手順で数多くの惑星を消し去っているため、その名はトライスクワッドはもちろん、宇宙全土に広く知れ渡っている。
なお、最初に犠牲になったのは他でもないウーラーを生み出した惑星である。

戦闘手段は噛み付きによる物理攻撃のみとは書いたが、実際のところはこの何でも食べる習性を応用して噛み付いた部分から相手のエネルギーを吸収する他、口からも光線を吸収する為、総合的な戦闘能力は非常に高い。

このような危険性を見かねて対策に乗り出す惑星も存在しており、エオマック星ではウーラーとリンクする事でその生態活動を止めるデバイスを開発。
さらにはそれを搭載したアンドロイドを量産し、宇宙にばらまいた。
そしてそのアンドロイドの内の一体こそ、ヒロインの旭川ピリカこと「ピリカ03」だった。

その単一の存在そのものが惑星の存続を脅かすというラスボスは『ウルトラマンX』以降定番と言えるようになっているが、これまでの
とも異なる「生命体になりきれなかった存在が唯一持って生まれ、永遠に満たされる事のない生理的欲求を満たそうとしている」という、どこか哀しさも感じられるものとなっている。

実際、「食欲が止まらない」という事は言い換えれば「空腹に苦しみ続ける」事も意味しており、その有様は六道輪廻における餓鬼道の「餓鬼」が如し。
その誕生経緯も合わさって、この怪獣もまた生物のエゴの被害者とも言える。
しかし、空腹に耐えかね生存に必要もない食事と虐殺を繰り返す姿は、明確な加害者でもある。
自力ではその欲望を止められず、暴れ続ける事で宇宙に大きな被害をもたらし続ける事も意味し、「この宇宙に存在してはいけない存在」である事もまた事実であり、この負の連鎖を止めるにはやはり存在を消さなければならないようである。


活動歴

第19話「雷撃を跳ね返せ!」、第21話「地球の友人」

ピリカの脳内を垣間見た霧崎にその存在を悟られると、第21話にてゴース星人から奪取した地底ミサイルで活性化した地球のエーテルに釣られ、地球へと向かった。


第24話「私はピリカ」


ハハハハ。この星の最後に相応しい見事なオーロラだねぇ……


遂に地球に到達。
しばらくは地底で休眠状態になっていたが、霧崎が指輪から召喚したギャラクトロンMK2とタイガとの戦いの最中に覚醒し、ギャラクトロンMK2を地中に引きずり込んで捕食
同時に地上に現れた。

既にある程度時間がたっていたとはいえ、その身体能力でトライストリウムすらも翻弄し、あろうことかその悪食ぶりで「トライストリウムバースト」すらも口から飲み込んで無力化、そのまま時間制限に追い込んで勝利してしまう。

その後も食欲に任せて周囲一帯を食い荒らし、その最中にヴィラン・ギルドの所有する脳波コントロール装置を強引に使用したピリカと融合した。


第25話「バディ ステディ ゴー!」

その後も満身創痍を押して再び変身したタイガをまたもや一蹴してなおも暴れ回るが、周囲はピリカが一体化したにもかかわらず、ウーラーが死なない事を不思議に思っていた。
すると、ピリカはE.G.I.S.と通信し、その真意を語った。
ウーラーは空腹に任せてあらゆるものを食べているうちに、いつからかそれらが持つ負の感情すらも取り込んでしまい、ずっとそれらに振り回されていたのだという。

「ただウーラーを殺すのではなく、長きに渡って満たされない空腹に苦しみ続けたウーラーの心を救いたい」というピリカの思いを叶えるべく、E.G.I.S.はギルドのマグマ星人とマーキンド星人と手を組み、最終作戦「バディステディゴー」を発動。
最初に宗谷ホマレがマグマ星人の宇宙船で宇宙から「マグマウェーブ」を照射。
それに釣られて地中のウーラーが姿を現すと、今度は擬似ホワイトホールを短時間のみ作り出すミサイル「ヴァイスストライク」を打ち込み、ホワイトホールで体内のブラックホールを中和し、無力化する事に成功。

あとはタイガの必殺光線で腹を満たせば作戦完了……だったが、よりにもよってウルトラマントレギアが乱入し、例の如く妨害。
ホワイトホールの時間制限が迫り、焦る周囲をよそにトレギアは陰湿にトライスクワッドを弄ぶ。
両陣営の決死の攻防戦を展開する中、なんとウーラーはトレギアに噛み付いて攻撃してきた。

思いもよらぬ「怪獣との絆」にも見える姿*1にトレギアは動揺するも、容易くウーラーを振りほどくとタイガに向かって光線を放つが、タイガはそれをバリア]で受け止め、自身の光線と重ねて、遂にウーラーに食べさせた。

最後は生まれて初めて満たされた食欲に歓喜しながら、その肉体を光の粒子に変えながら消滅していった。


余談

  • 名前の由来は中国語でお腹がすいたという意味の「我饿了(ウォーラー)」。また、別名の「爆蝕」は「爆食」と「蝕む」のダブルミーニングであると思われる。

  • 着ぐるみは『帰ってきたアイゼンボーグ』にて使用された恐竜帝王ウルルの改造
    デザイナーの後藤正行氏曰く「最初からウルルからの改造を前提でデザインした」とのこと。

  • 先述の通りおぞましい外見のウーラーだが、標的を見つけると一心不乱に巨体を引きずりながらドタドタと走る姿から無邪気さを見出した視聴者もいたらしく、意外にも「可愛い」という意見もちらほら見受けられた。

  • 近年のウルトラシリーズにおいて、ラスボスの存在は物語序盤でその伏線が張られている事が多い*2が、このウーラーの場合はその伏線の登場が第19話とぶっちぎりで遅く、伏線として描写された回数もかなり少ない。
    しかし、そもそもウルトラシリーズの最初期はゼットンのようにこれ以上のポッと出のラスボスも多く、そういう意味では1話完結の面白さを追求したとされる『タイガ』の原点回帰要素ともいえるかもしれない。
    ただし、ウーラーはあくまでトレギアに呼び出されていいように利用されていたに過ぎないため、厳密には「ラスボス」というよりは「真のラスボスに利用された悲しい大ボス」といった方が正確なところか。

  • ニュージェネレーションヒーローズの新規怪獣としては珍しく、2025年2月時点で未だにソフビ・フィギュア化されていない*3最終回に登場した怪獣としては何気にギガバーサーク以来である。
    商品化されない理由は公式からは発表されていないが、恐らく「複雑かつカラフルな造形をソフビで再現するのが困難だったのでは」という見方が有力。
    • そもそも商品化どころかメディア展開自体もあまり恵まれておらず、怪獣リングも無ければ、『ウルトラマン フュージョンファイト!』にも未参戦。
      くじガシャポンの『ウルトラマン アバレンボウル』の「超レアメダル04」にてメダルがラインナップされたのが現状唯一のグッズ化という状態である。
    • なお、『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』に登場したメツオーガ(ウーラーの着ぐるみを改造した怪獣)は2021年11月6日にソフビが発売されているため、派生怪獣はソフビ化されているのに元となった怪獣がソフビ化されていないという極めて珍しい事態となっている。
      コアなウーラーファンはメツオーガのソフビをリペイント or リデコして擬似的にウーラーのソフビを再現したりもしている。
      リデコされた怪獣のソフビをリデコして元となった怪獣を再現するというだいぶ奇妙な事態となっているが、ともあれ約2年越しに発売されたウーラー造形のソフビということもあって、『タイガ』ファンからも好評な様子。


ハハハハ。このWikiの最後に相応しい見事な追記・修正だねぇ……


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2025年05月24日 22:05

*1 なお、この前にトレギアがウーラーに攻撃していた事、そして位置取りを考えれば、単に手近な敵に攻撃をしかけただけのようにも見える。真相は定かではないが、トレギアには絆に思えたようである。

*2 ニュージェネレーションヒーローズだけで見ても、ウルトラマンベリアルやダークルギエルは言わずもがな、グリーザはダークサンダーエナジー、マガタノオロチは魔王獣の存在、ルーゴサイトは妖奇星。

*3 ウーラー以外では『劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ!願い!!』のグクルシーサーなどが該当