禁止カード(統率者戦)

登録日:2020/01/11 Sat 01:59:19
更新日:2025/04/29 Tue 07:53:54NEW!
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ここでは、Magic the Gatheringのカジュアル変種ルール・統率者戦における禁止カードについて述べる。


統率者戦と禁止カードについて

カジュアルルールの一つだったのが何かと人気だったため公式のルールとして整備され、サイドイベント等にも採用されるまでになった統率者戦。
詳しくはフォーマットのページに譲るが、端的に言えば「お気に入りのカード1枚(統率者)を選び、残りはハイランダー*1で構築したデッキ」を用いて行う多人数バトルロイヤルである。

そんな統率者戦だが、使えるカードはヴィンテージ準拠。レガシーやモダンでは禁止になっているようなカードも使用できるため、煮詰まりきるとほぼヴィンテージどころか、
その環境の特殊性ゆえにヴィンテージですら見ないようなキテレツな動きを、MTGの歩く百科事典のような人でも忘れているようなオタクカードで行う、まさしく「キテレツ大百科」な戦いになることもある。
そのフォーマットの特異性から、ヴィンテージにおける禁止カード(理由は「カードゲームの趣旨に著しく反するから*2」)に加えて、追加の禁止カードが存在する。

以前のルールでは『統率者に指定することのみ禁止』という枠があったが、2014年9月12日のルール改訂で通常の禁止と枠を統合されている。許されたのも黒瘴のみ。
ちなみに他のフォーマットと違って絶対守らなければならない訳ではなく、あくまで「禁止推奨*3であるため、これらのカードが全部使える大会が開催される事もあったり、逆にこれに加えて更に追加で禁止カードが指定された大会もある*4
そもそも統率者戦創始者の理念がそういう「カジュアル環境を覚えてもらう」ためのものなのだが、「EDHはガチかカジュアルか、そもそもカジュアルとは何か」という論争が何かにつけて起きがちでもある。
前述のようにローカルルールで禁止追加・解禁が普通にあるフォーマットのため、きちんと参加者間で(もしくは主催者に)使えるカードは確認しておこう。*5

2024年現在、統率者戦はMTGの売り上げにおいて非常に大きなウェイトを占めており、当然商品価値やショップ価格にも多大な影響を及ぼしている。
たとえば「プロフェシー」は統率者需要の大きい《リスティックの研究》によってその価値を上げた。
逆に統率者専用セットである「統率者マスターズ」はその中身があまり魅力的ではなかったことから売れ行きが芳しくなかった。
統率者戦の禁止カードはWotCの開発部とは別の外部集団「統率者戦ルール委員会/Commander Rules Committee」が行っているものであり、特に2024年9月に禁止指定されたカードは「他の環境では(事実上)使うことができない高額カード」が3枚含まれていたことから、
「そもそも公式がレベル帯に応じて禁止カードを分けるべきだ」という意見も出ていたり、統率者戦(エルダー・ドラゴン・ハイランダー)の生みの親でその理念について非常に強い影響力を持っていたSheldon Menery氏が他界して時間が経ったことを受けて今後スタンスが変わってくるかもしれないなど、ちょっときな臭い問題に踏み込みつつある。

ともあれ単に勝てばいいだけの競技環境と違って「理念」「価格」「レベル帯」など論点が色々あるせいで、他の環境の禁止カードに比べ非常にナイーヴな問題に踏み込みやすい

実際のところカジュアル寄りなフォーマットであるため
禁止に指定されてるけど、俺たちはこれ解禁して遊ぼうぜ!
と開き直ることもある意味では正しい。というより、創始者のSheldon Menery氏の理念がまさにこれである。だから「推奨」止まりなのだ。
たとえばヴィンテージで禁止されている《Chaos Orb》を解禁したり、通常の構築では使い道のない《高層都市パリアノ》をアレンジして使ったり、そういう遊び方を受け入れてくれるのもまた統率者戦。
たびたび問題になる《タッサの神託者》などをはじめとした「ガチカード」が禁止にならないのも、「どうせカジュアル勢なら禁止にしてるんだから、我々が禁止と明言する必要はない」ということを公式が明言している
しかしローカルルールでは禁止する側には合理的でも、禁止しない側にはあまりに理不尽にうつり、禁止改訂があるたびに国境を越えてお気持ち表明が行われ、不毛な論争に発展したりもする。
「決まりが理不尽なんだから我々で変えるべきだ*6」VS「決まりの中で最善を尽くすことこそゲームだ*7」という、そもそも前提が違うのだから答えなんて出るはずのない平行線のレスバトルが洋の東西を問わずにしょっちゅう行われていたのだ。


裏を返せば、本項目で紹介する禁止(推奨)指定されたカードというのは「絶対的な調停者による禁止」であり、こういう不毛極まりない揉め事を潰すためのものでもある。
要は統率者戦においては自由なコミュニティでも普通に使うだけで絶対に揉めるようなカードというのが禁止にされやすいというわけである。《森林の始源体》や《企業秘密》はその非常に顕著な例である。
上述したナイーヴな問題を和らげるのもまた、これらの禁止カードなのである。


しかしこのスタンスの差は長い時を経て、きわめて大きなひずみへと発展していた。
さらに野試合では「僕はカジュアルなので」といいながらオラクルコンボで勝つだけのデッキを使ってカジュアル勢を蹂躙する、などの事件がたびたび相次いでいた*8
そして2024年に出した4枚の禁止カードを引き金にプレイヤーがついに抗議の声を上げ、色々あって(アニヲタwikiの編集方針に反するため各自でお調べください)、統率者戦はついに非公式の「統率者委員会」の手から離れ、
公式のカジュアル系フォーマットを制定しているGavin Verhey氏*9を中心にして、ファンコミュから知名度のある人を集めた専用の委員会による「ブラケット」方式へと変化していくことになる。
要はこのゲームだけ、禁止カードに加えてかつてのポケモンカードの「殿堂入りポイント」式などに近い遊び方を推奨するようになったのだ。



禁止カード

パワー9のうちの8枚はやっぱりここでも許されなかった。
ちなみに許されてる1枚は《Timetwister》。おかげで高騰しやすいプレイヤー泣かせでもある
《Timetwister》はかつて「パワー9の面汚し」「他8枚より格が落ちる」といった枠だったが、統率者戦の大流行によって現在は下手なMoxよりも上になってきており、
さらに「対戦相手だけを縛るカード」が当然になってきたため、ドローを縛るカードと組み合わせて「自分だけ7枚ドロー」を行いやすくなったことから本家ヴィンテージでも評価が高まった。
既に格落ちという評価は昔のものになっている。

2マナで手札破壊&リセットはそりゃ強いって。しかも被害を受ける相手は最低でも3人いる。
試しに使ってみると分かるが、「盤面を展開・成長させていく」というカードゲームの理念をカード1枚、たった2マナでぶっ壊せるので絶対喧嘩になる

  • 《生命の律動/Biorhythm》
全員のライフをコントロールするクリーチャーの数と同じにする8マナソーサリー。
破壊耐性持ちのクリーチャーを召喚してラスゴ→これを唱える→相手は死ぬ。
そのような一芸でなくともクリーチャー展開に長けた緑で自分だけ大量にクリーチャーを並べてから撃てば一気に有利になる。
重いがマナアーティファクトがほとんど使えるので案外早く出せる。統率者でマナ加速できればなお早い。
これを内蔵している《失われた業の巫師》もなかなかの強さ。

  • 《チャネル/Channel》
ライフを1:1で好きなだけ無色マナに変換できるソーサリー。
初期ライフ2倍の環境でこんなのが許される訳が無い。初期ライフ20でも壊れなのに…
当初は下記のエムラクールの早期着地を防ぐために禁止された。エムラクール禁止後もこのカード自体が壊れてるのでそのまま。
色は異なるものの、かなり調整された《背信のオーガ》(払うライフ3倍、またクリーチャーなのでまだ対処のしようはある)でさえ結構強いのだから、このカードの強さは推して知るべし。
統率者セットのメガ・サイクルであった「かつて公式環境で禁止カードに指定されたソーサリーの能力を内蔵する大魔術師」は緑だけ登場が遅れたのだが、
これは緑で禁止カードに指定された事のある当呪文の調整がうまくいかずに諦められたからではないか、という噂もあるほど。本当にそれくらいぶっ壊れている。


  • 《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》
対戦相手のアーティファクトとエンチャントの数だけ宝物を生成するゴブリン。
統率者戦ではマナ・アーティファクトが多用されるうえに対戦相手も3人おり、10マナ以上の加速も珍しくはなかった。
2マナと軽い上に、何らかの手段で出し入れすればとんでもない量の宝物トークンを出せる。
統率者戦で赤を選択する最大の理由とまで称されたが、にしたって2マナのゴブリンがやっていい能力ではなかったため禁止。
ぶっちゃけこのカードを1枚入れるだけでレベル帯を移行しろという話が出てくるほどのやり手であり、いるのといないのとではタマネギ入りのカレーとなしのカレーくらい味が変わってくる。
主に「レベル帯」に関する論争にたびたび引き合いに出されてはお気持ち表明に使われたりと、結構きな臭い話題にも事欠かなかった。
なお同時に禁止にされた《宝石の睡蓮》《魔力の墓所》がかなり物議を醸したのに対し、コイツとナドゥは「禁止で妥当」といった反応が多数であった。

統率者に指定すれば安定して3〜4ターンほどで降臨できてしまう上に打消し不可なので妨害できない。多人数戦では鬼のように強い追加ターンまでついてくる。
それを抜きにしても15/15飛行に攻撃するたび相手にパーマネント6枚生贄強要は強すぎる。さらに着地させた時点で「エムラクール VS 他3人」という図式を作ってしまい、統率者戦の理念に著しく反してしまう。
これらの理由から、上記チャネルを禁止にさせた後に自分も禁止された。

  • 《上位の空民、エラヨウ/Erayo, Soratami Ascendant》
1ターン中に呪文を合計4回唱える事で反転してエンチャントになり、その後対戦相手が各ターンに最初に唱えた呪文を打ち消すようになる伝説のクリーチャー。元統率者指定禁止カード。
たった2マナの伝説のクリーチャーなので1ターン目から出せる上に、統率者戦なら2人対戦に比べて反転する手間は半分、効果は倍。序盤の選択肢を大幅に狭めてしまうので禁止。

  • 《Fastbond》
たった1点のライフで土地置き放題とかどう考えてもおかしい。
大量に土地を並べてからTimetwisterなんか打ち込んだら…
ヴィンテージでは最近になって許されるようになったことで、これまでにはなかった様々なデッキが登場してヴィンテージ環境に多様性をもたらした。
しかし初期ライフ倍なこともあって、統率者戦では相変わらずダメ。

  • 《閃光/Flash》
クリーチャー1体をインスタントのタイミングで戦場に出せる様にするインスタント。
説明不要のハルクフラッシュのキーパーツ。
最初は相方の《変幻の大男》が規制されており、採用率が大したことなかったので解禁されたが、《歩行バリスタ》からの無限ダメージという殺し筋を得て普通に活躍する。
その後《タッサの神託者》が登場したことでより確実性の高い1キルルートを得てしまいやっぱりハルクフラッシュは駄目だったよねってことで今度はこっちが投獄された。

  • 《不屈の巡礼者、ゴロス/Golos, Tireless Pilgrim》
戦場に出た時に好きな土地をサーチして戦場に出せ、5色のマナを含む計7マナでライブラリーからランダムに呪文を踏み倒せる伝説のクリーチャー。
土地サーチによって事故のリスクと統率者税を軽減し、生き残れば能力を起動し続けることで莫大なアドバンテージを稼げる……といった感じで大した工夫をしなくても扱いが簡単で、動きが単調になるという問題を抱えていた。統率者の中でトップクラスの強さを持つわけではないが、よりにもよって固有色が5色であることもあってカジュアルな統率者戦においてほとんどの統率者より強力で、面白さを損なっていたために禁止された。

  • 《船殻破り/Hullbreacher》
統率者レジェンズで登場した、相手の通常のドロー以外のドローを自分の宝物トークンに変えてしまうクリーチャー。瞬速を持つため、相手のドロー呪文へのカウンターとして使うのが主な用途。
……というのも間違ってはいないのだが、《Timetwister》や《Wheel of Fortune》などの全員を巻き込む手札交換と組み合われば、自分は7枚ドローしつつ7×対戦相手分の宝物を入手して相手の手札は空という、ゲームの趨勢を決めかねないほどの効力を発揮する。出したプレイヤーだけが極端に有利になっていたために禁止となった。
統率者戦向けセットで出てきたのに統率者戦のために禁止になった可愛そうな奴だったりもする。*10

ドローロック自体は《概念泥棒》や《覆いを割く者、ナーセット》でも可能ではあるが、それぞれ多色ゆえに入るデッキが比較的限られる、プレインズウォーカーであるためにつけ入る隙があり、尚かつ封じたドローの分だけ自分がアドバンテージを得るという理不尽な効果はないという理由で現状は許されている。

  • 《エメリアの盾、イオナ/Iona, Shield of Emeria》
出たときに色を一つ選び選んだ色のカードを一切唱えられなくなるという効果を持つ伝説のクリーチャー。とりあえず青と言っておけば大体のデッキが悶絶する。サーチやコンボパーツに長ける黒も割とダメージが大きいかも。
《絵描きの召使い》で全ての呪文の色に特定の一色が加わったとき、あちらで加えた色を宣言すれば相手は呪文を一切唱えられなくなる。元から出た瞬間単色デッキは即詰みになる上に、この二枚コンボまで許すのは流石にまずいためか、召使いが解禁されると同時に禁止となった。
しかし、統率者では弱い色とよく言われる白においては貴重なメタカードであり、単体では非常に重い点、また絵描きの召使いが数多の無限コンボパーツの要因である点から不満の声が多々上がった禁止カードでもある。
このカードが印刷された「ゼンディカー」の頃はまだ対消滅ルールだったこともあって、このカードを2枚盤面に定着させる方法はかなり限られていた。
ただ、現在は「レジェンド・ルール」が「自分の場に1枚残すカードを選べる」というものになり、さらに伝説のクリーチャーのコピーを定着させる手段も増えたため、このカードの禁止解除は非常に難しいだろう。

  • 《宝石の睡蓮/Jeweled Lotus》
統率者専用の《Black Lotus》。3マナ生み出せるが統率者を唱えることにしか使えないため、一般対戦ではほとんどバニラ同然。残念ながら《万物の座、オムナス》や《彼方の神、クルフィックス》で生み出されたマナを違う色に変換しても、『統率者を唱えるためにのみ使用できる』というマナの性質は消えない。
4-5マナの統率者は手札1枚を使った以上のリソース回復能力や序盤の少ないマナでは対処しづらい除去耐性を持っていることが多く、また相性のいい統率者であれば即時キャストから勝利することも可能であり、環境の低速化を狙い《魔力の墓所/Mana Crypt》《波止場の恐喝者/Dockside Extortionist》と同日に禁止。
統率者戦専用のカードが統率者戦で禁止になり、高額カードでありながら実質使用可能なフォーマットが存在しない*11紙切れになってしまったことで、プレイヤー間で大論争を引き起こした。

+ 宝石の睡蓮の無理やりな使い道について
レガシーにおいては《神秘の炉》と軽量のマナファクトを用いてストームを稼いでマナ加速をしていくタイプのデッキでは3~4枚入ることがあり、デッキリストが掲載されている。
使い道が一切ないとはいえ、0マナでマナ・プールに任意の色マナを3点加えられることから《倍化の立方体》で参照して任意の色マナを伸ばすことができるパーツとして採用されるのだ。
使い道が自由だが1マナしか伸ばせない《水蓮の花びら》とはちょっとした相互互換の関係となる。ネタデッキではなく結構真面目な茶単である。

Q.それで?そのデッキは強いんですか?
A.やめようかこの話!

そもそもこのデッキの強弱以前に、デッキを組まないんだったら何の慰めにもならないのも確かである。
というわけでもし睡蓮禁止にお怒りならばこの記事のコメントにでも不満を吐いて、不毛なレスバトルをする前にストレスを発散していただきたい。
他には《マナの座、オムナス》《グリッサ・サンシーカー》など、マナ・プールに存在するマナの量自体を見るカードと組み合わせても使えるのだが、レガシーやヴィンテージってそういう環境じゃないんで……。
他にもあったらじゃんじゃん追記してしまおう。このカードを追悼するには、それが一番平和だと思う。

  • 《カラカス/Karakas》
タップで伝説のクリーチャーをバウンス出来る伝説の土地。
相手の統率者をバウンスして除去に使ったり、面倒な呪文から自分の統率者をバウンスして守ったりが容易に出来ちゃうのはやりすぎということで禁止。

  • 《トレストの使者、レオヴォルド/Leovold, Emissary of Trest》
対戦相手の複数枚ドローを禁止し、自分は自分自身かクリーチャーが相手のカードの能力の対象になるたびドロー出来る。
3マナの伝説のクリーチャーなので統率者に指定すれば1ターン目着地も見える上に多人数戦で早々とこんなのが出てしまったら明らかにそのプレイヤーだけ有利になり、序盤のゲームが歪んでしまうので禁止。

ちょっとした条件こそあるが毎ターンタップだけでカード引けるのは強すぎる。
さらに極めて高額なカードであり、「アンタップインで無色マナを生み出せる」という最低限の仕事ができることから様々なデッキに入ってしまう。
カジュアルってなんだよ。となる……というのも禁止の理由。

  • 《限りある資源/Limited Resources》
戦場に出た時に5枚以上の土地をコントロールするプレイヤーの土地の総数を5枚にし、これが出ている限り戦場全体に10枚以上の土地を置けなくなるエンチャント。
2人対戦だからバランスが取れているカードにおいて、統率者戦で全体で10枚以上の土地を並べることを制限したら自分以外殆ど動けなくなる。
このカードが場にある状態で《ハルマゲドン》なんて打った日にはもうゲームにならないというか……土地ロックを仕掛けられるだけならまだしも、
全員が2~3枚の土地で停滞した状態で身動きが全く取れなくなるということもありうる。ガチ対戦でもそうだが、カジュアル戦ではさらに別の問題を引き起こすという大問題児。

  • 《呪文追い、ルーツリー/Lutri, the Spellchaser》
デッキ構築に制限をかける代わりにゲーム外から唱えられるメカニズム「相棒」を持つクリーチャー。
ルーツリーの相棒の条件は「土地でない各カードがそれぞれ異なる名前を持っていること」、つまりハイランダーデッキであり、もともとハイランダーである統率者戦では色さえ合えば必ず入る101枚目のカードになってしまう。
そのため情報公開と同時に、統率者戦では禁止されることが発表された。
ちなみによく「発売前禁止」としてネタになるが、あくまでも公式ではなく外部団体が決めている禁止である点には留意すること*12

  • 《魔力の墓所/Mana Crypt》
0マナで出て毎ターン2マナ加速する黎明期のマナ・アーティファクト。ターン開始時にコイン投げを行い、失敗すると3点ダメージを受けるデメリットを持つが、初期ライフ40点の統率者戦ではデメリットとして機能し始めるまでが遅いためほとんど問題にならない。
長い間《太陽の指輪/Sol Ring》と並んで統率者戦ならではのパワーカードにして顔役カードとして扱われていたが、初手での2マナ加速は各種印鑑やタリスマンといった他プレイヤーとの更なるマナ格差に繋げうること、またデメリットも6-8ターンで決着するゲームでは問題視されないことから禁止となった。
一応ヴィンテージで使うことはできるが、ヴィンテージというのはカードが非常に高額なため参加難易度が高く、それでいてテーブルトップの大会の頻度が非常に低い。
上述の《宝石の睡蓮》とほとんど同じ理由でたいへんな論争を引き起こした。

モダンにてナドゥの夏を引き起こしたモダンホライゾン3屈指の壊れカード。
統率者戦での使用を想定して能力が調整された結果プレイテストを行わずぶっ壊れ要素が見逃されたにもかかわらず、当の統率者戦でもナドゥ・コンボは許されざる性能だった
単純に強いという点もあるが、「管理の煩雑さ」がモダン以上に問題になっていたという点も大きい。
2人対戦のモダンですら「悪夢のような管理上の煩雑さ」と公式が言うほどのものを4人対戦で複数人が使おうものならどうなるかはお察しであろう。
元々「統率者で煩雑な性能だから」という理由で性能変えられたはずでは……?

こちらは統率者戦で禁止指定されたことより、モダホラ3の開発姿勢に対する不満や懸念という形で大いに話題になった。
《Sylvan Paradise》《Sea Kings' Blessing》など、それまでほとんど紙切れ同然だったカードがこのカード専用のパーツとして大高騰したのだが……彼らが返り咲く日は来るだろうか。
ちなみにモダンでの相方《手甲》は、ナドゥの登場前よりも価格が下がったそうである。


  • 《パラドックス装置/Paradox Engine》
呪文を唱えるたびに全てのパーマネントがアンタップする伝説のアーティファクト。
…………うん、効果見た時点で悪用のしがいの多さが分かると思う。
伝説のパーマネントをサーチする《艦長シッセイ》に対応していたこと、それを抜きにしてもサーチしやすいアーティファクトだったことから、これをサーチできる統率者は能力を2回程度起動すればゲームエンドできるヤバい存在になってしまった。こんなのどう考えても許されるわけが無い。
ただし禁止になったのは登場してからかなり時間が経ってから。それまで「さっさと禁止にするべきだ!」という意見が結構噴出していた。

召喚時と攻撃時にアドバンテージをもたらすタイタンサイクルの1枚。こいつはデッキから土地を2枚タップ状態で持ってこれる。
いくらタップイン固定とはいえサーチの限られる統率者戦で召喚するだけで2枚、攻撃するだけでさらに2枚も引っ張って来れるのは強すぎ。
禁止理由は使用率が高すぎたかららしい。実際緑である程度マナを伸ばすデッキならたやすく入ってくるカードなので、残念だが当然といったところか。

  • 《クルフィックスの預言者/Prophet of Kruphix》
5マナ緑青のクリーチャーで、毎ターン土地をアンタップする能力とクリーチャー全てをインスタントタイミングでも唱えられるようにする能力を持つ。
統率者は4人いるので通常の倍、つまり普通の4倍のマナ加速になる。
先輩の《種子生まれの詩神》も同じ能力を持っているが、統率者をインスタントタイミングで出せるために、選択肢が広がりすぎ、プレイ時間がいたずらに伸びるという理由で、こちらだけ禁止。占い独楽はいいんですかね……

  • 《繰り返す悪夢/Recurring Nightmare》
ナイトメア・サバイバルのキーカードであるが、統率者戦では《適者生存》の代わりにこちらが禁止。
恐らく致命的対策カードである《真髄の針》が1枚しか積めない等、対策が難しいからであろう。

  • 《ラノワールの使者ロフェロス/Rofellos, Llanowar Emissary》
森の数だけマナを出せるクリーチャー。元統率者指定禁止カード。
伝説のクリーチャーなので統率者に指定すれば2ターン目から複数マナが出せるクリーチャーが出せてしまう。
一時期禁止解除されていたが、エルドラージ覚醒でエムラとかの超巨大クリーチャーが出たためこの超マナ加速は危険と判断されあえなく禁止に逆戻り。

2人対戦ですら問題だらけのサブゲームを最低でも4人いる統率者戦でおっ始めようものなら地獄絵図が広がることは容易に想像が付く。
実は初期環境では特例で使用が認められていたが、案の定友情ブレイクを多発させてしまい後にその特例は撤廃。そりゃそうだ。
詳しくはリンク先の項目で。問題点があらかた網羅されている。

  • 《隔離するタイタン/Sundering Titan》
召喚時と場を離れた時に基本土地タイプの数だけ土地を破壊するクリーチャー。
否が応でも複数の基本土地タイプが並ぶ統率者戦では当たり前のように3枚以上の土地を破壊できる。
しかも召喚時と場を離れた時の2回誘発するので最大10枚破壊可能。
流石に荒らしすぎなので禁止。

  • 《森林の始源体/Sylvan Primordial》
場に出た時対戦相手の数だけアドバンテージをもたらす始源体サイクルの一つ。変換がめんどくさい
こいつは各対戦相手につき、その人がコントロールしているクリーチャー以外のパーマネント(つまり土地含め)を1枚ずつ破壊し、その数だけ森をタップインで出す。自分が。土地の保護が進んだ現在(2024年)マジックの観点だとちょっと異常。
多人数戦の仕様上、出るたびにほぼ3アドバンテージ差確定&3枚土地増加で更に3アドバンテージ、そして6/8到達が残るというアドバンテージエンジンになる。
対抗策が「コピーを出す」なのも問題で、出し損ねた・コピーし損ねた人はあっという間にボロボロに。
いくらリカバリーしても次々とこいつのコピーで壊されて、気がつけば事実上の二人対戦。残りの2人は始源体の餌のために生かされ続け、見てるだけという状態になる。
さらにこれが、統率者戦における「投了の非推奨(事実上の禁止)」と組み合わさって人間関係までボロボロにする例まで出てくる。
こんなのでは多人数戦の意味が無いし、青緑系以外の人権がなくなっていたので禁止に。
そもそもこのサイクルは多人数戦を意識して作られたのに、最もメジャーな多人数戦である統率者で禁止されてしまった。

ちなみに当時のスタンダードでは、リアニメイト【Frites】でたまに使われていた。十分なサイズにアドを稼げるETBという点に注目した形である。
その一方、他4枚の始源体は肝心の多人数戦でもさほど評価は高くなく、特に白の始源体はかなり評価が低かった。スタンダードでは言うに及ばず。

論外
統率者次第ではヴィンテージよりも早くお手軽無限ターンが完成してしまうTime Vault、どのデッキでもマナアーティファクトをばら撒くので1タップで平気で10マナくらい捻出するアカデミー、そうしたマナアーティファクトなどをコストにどんなアーティファクトでもライブラリーから直接引っ張り出す修繕。こいつらが使えちゃったらどうゲームが壊れるかなんて想像に難くない。

  • 《企業秘密/Trade Secrets》
対戦相手誰か一人に2枚ドローさせ、自分は4枚ドローするソーサリー。相手が望めばこれを望む回数だけ繰り返せる。
2人対戦では「対戦相手に選択権のあるカード」でありさほど強くはないのだが、多人数戦では誰か一人と共謀すれば自分と共謀相手だけ大量の手札を得られる。
その相手も立候補式や入札式ならまだしも、唱えた人が指定できるので完全に共謀前提。都合のいい2人だけが優勢になってしまうのは多人数戦の理念自体に反するので禁止。
実際このカードが使えた頃は、ほとんど「通ればどっちかが勝つ」状態だったという。

  • 《激動/Upheaval》
上でもちょっと述べたが、マナアーティファクトがほとんど使える環境でそれらを自分だけ再利用しつつオールリセットは強すぎる。
上述の星の揺らぎと違い通ったら即ゲームエンドというわけではないが、こちらは手札がリセットされないので手札にフィニッシャーが有れば似たようなもの。
対戦相手の抵抗力を完全にそいだ挙句「ストームの稼ぎ直し」など様々なことができてしまうので禁止である。ぶっちゃけ通ったらほぼ勝利という意味ではあんまり変わらない。

  • 《ヨーグモスの取り引き/Yawgmoth's Bargain》《グリセルブランド/Griselbrand》
出たら容易に手札を稼げてしまう上に初期ライフも多いのので禁止。
グリセルブランドも同時に禁止なのはこいつが伝説のクリーチャーなので統率者に指定することで下手したら取り引きよりも早く出せてしまう上に再利用も容易なため。
ちなみに意外にもネクロは禁止ではない。多人数戦の仕様上実際に多くのカードが使えるのは2ターン後(参加人数が増えればより後)であり、その間に対戦相手に共闘されて倒される可能性があるからであろう。他では大したデメリットではない墓地封印も痛いし。



禁止解除されたもの


  • 《丸砥石/Grindstone》
3マナとタップで2枚ライブラリーからカードを墓地に落とし別の色の組み合わせが出るまでこれを続けるアーティファクト。『ペインター・グラインドストーン』の片割れ。
最初は禁止だったが、相方の《絵描きの召使い》が規制されたためこっちは解禁された。その後相方も帰ってきたがノータッチのまま。

  • 《忍耐の試練/Test of Endurance》
ライフ50点以上で自分のアップキープを迎えると特殊勝利できるエンチャント。
ライフ40点スタートの統率者戦だと通常よりも手間がかからないので禁止されていたが、妨害手段が多い為許された模様。

  • 《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》
墓地の土地を使えるようになるルール破壊カード。
とはいえ、《Fastbond》が許されていない以上悪用も難しいためにこちらは解禁されている。

  • 《裂け目掃き/Riftsweeper》
追放領域のカード1枚をライブラリーに送れるクリーチャー。
統率者戦に統率領域がなく、代わりに追放領域で代替していた時はお手軽統率者対策になってしまうため禁止されていたが、ルール変更で統率領域が用いられるようになってからは規制する理由がなくなったため解禁された。

  • 《世界喰らいのドラゴン/Worldgorger Dragon》
『ワールドゴージャー』のキーパーツ。
決まれば即死ではあるが妨害手段も多いため許された様子。

  • 《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》
死ぬと対戦相手全員が5点ライフロスし、自分は対戦相手が失ったライフの合計を得られる伝説のドラゴン。
統率者に指定すれば統率領域から出して適当な手段で生贄に捧げて再召喚を繰り返すだけでゲームエンドなので禁止指定だったが、普通に使う分には驚異的な強さはないのでメインデッキに積むだけならと解禁された。
その後『統率者に指定できないカード』という枠が撤廃されて改めて解禁となった。

  • 《威圧の杖/Staff of Domination》
色々な能力を寄せ集めたアーティファクト。下記の《金属細工師》と組めば無限マナと無限ドローが得られるが、当の金属細工師が規制されている以上悪用されることは少ないためか解禁された。
まあ金属細工師も帰ってくるのだが。

  • 《金属細工師/Metalworker》
1タップで当然のように大量の無色マナを出すチートマナクリ。
だが、アーティファクトかつクリーチャーで壊れやすいことが幸いして解禁された。
統率者戦では出して効果を使うまでに時間がかかるというのもある。

  • 《変幻の大男/Protean Hulk》
ハルクフラッシュのキーパーツ。
統率者戦では閃光の代わりにこっちが禁止だったが、採用率が大したことないこともあってか解禁。
その後やっぱりハルクフラッシュは駄目だと言うことで規制された際には相方が監獄行きになった。
まあこっちは死ななきゃ効果発動しないしね。

  • 《絵描きの召使い/Painter's Servant》
戦場に出ていないすべてのカード(土地も含めて)に選んだ一つの色をつけるというアーティファクト・クリーチャー。
《丸砥石/Grindstone》と組み合わせると一瞬でライブラリーが空になったり、《赤霊破》が1マナの汎用カウンター兼除去になったりと悪用法が多すぎるため禁止だったが、相手が一切の呪文を唱えられなくなる《エメリアの盾、イオナ》との二枚コンボを潰せれば良いと判断されたのかイオナと入れ替わりで解禁となった。アーティファクトかつクリーチャーと脆すぎるのも影響したか。

  • 《世界火/Worldfire》
全員の手札と墓地とパーマネントを追放し、ライフを1点にする。当然通ったらゲームエンドなので禁止。
……だったが、重量級の派手なカードを使用する余地をもたらすことを目的として解除された。《合同勝利》や《生命の律動》に比べ、マナこそ残るがリソースを追放するため、活用に十分な工夫が必要という点が解除の決め手となった。
例えば白青赤統率者で「《赤の防御円》+《硫黄破》+《急かし》+《世界火》」(《世界火》をインスタント化する手段と全体火力部分、全体火力から自分を守る方法は変更可能)など。


  • 《合同勝利/Coalition Victory》
5色になるようにクリーチャーを場に揃え、5つの基本土地タイプを揃えて唱えると即座に勝利する8マナソーサリー。
5色統率者にすれば5つの基本土地タイプを満たすように土地を揃えて統率者を出してこれを唱えれば勝ち。
そんなことされたら統率者戦というフォーマットの意味がない。たまに重さから解除待望論が出ているが、後述の《世界火》が解禁されたときに改めて「通ったその瞬間ろくな対抗もできずにゲームが終わるのがダメ」という理由で禁止となっていることが表明されている。
しかし統率者の禁止制定を行う部署が変更されたこと、「ブラケット」という後述のシステムが登場したことにより2025年4月22日に禁止が解除された。
いくら通ったら終わりって言っても8マナという重さに加えて、統率者を除去して条件を崩壊させるという対策も可能。そもそも5色デッキは通した瞬間ゲームセットの呪文が多く、これだけ特別視する事も無いだろうとのこと。
またカジュアルで遊ぶ範疇でも、「ブラケットを守れるなら《合同勝利》の勝利確定コンボが揃うまでのタイミングはそれほど問題にならないのでは?」と判断された。

  • 《一望の鏡/Panoptic Mirror》
5マナアーティファクトで、Xマナとタップで点数で見たマナコストがXであるインスタントかソーサリー1枚を刻印し、毎ターンアップキープ開始時に刻印したカードをコストを踏み倒して唱える。
《時間のねじれ》を刻印してやれば開始は遅いがお手軽無限ターン。それ以外にも悪用法が多すぎる上に統率者戦では初期コストの5マナ+αくらい余裕で捻出出来るため大体通ればゲーム終了なので禁止されていた。
しかし統率者の禁止制定を行う部署が変更されたこと、「ブラケット」という後述のシステムが登場したことにより2025年4月22日に禁止が解除された。
このカードは刻印先ありきで、その刻印先がブラケットでは規制される側の行為や呪文のため、現状本領を発揮できるのはcEDH環境のみとなっている。また実用的なアーティファクト対策も禁止制定時に比べて山のように増えていることもあり問題無しと判断された。「僕(Gavin)が個人的に好き派手だし楽しいだろうから解除する。」とのこと。

  • 《星の揺らぎ/Sway of the Stars》
10マナで追放領域以外のカードをすべてライブラリーに戻してお互い7枚引き、その上でライフ総量も7にしてしまうと言うとトンデモカード。
後述する《激動》と唯一使えるパワー9である《Timetwister》を足して追加でライフ総量を7点にする効果を加えたようなカードであるが、とにかく激動そのものが統率者戦では非常に強い。
ライフ総量を7点にする効果も初期ライフが40点の統率者戦では強く、パワー7の統率者を指定していればこれでリセットした後にその統率者を出せばほぼ確実に1人倒せる。
しかも統率者戦では10マナの捻出は容易。そして大体通るとゲームエンド。
上述の《合同勝利》といい《一望の鏡》といい、これ1枚が通ったらゲームエンドというカードはこのフォーマットでは許されなかった……のだが、これも統率者の禁止制定を行う部署が変更されたこと、「ブラケット」という後述のシステムが登場したことにより2025年4月22日に禁止が解除された。
《世界火》が解禁された後も全然騒ぎにならなかったことから応用が難しいリセットカードが過大評価されている節があり、もっと8マナ以上でこれよりも直接的に「通ったから勝ち」のカードは多くあり、これを規制し続ける必要は無いだろうというのが理由。
ガヴィンも「派手なカードだし禁止を解除した方が選択肢も増える。どうせそんなに使われないだろう」と推測していた。

  • 《けちな贈り物/Gifts Ungiven》
変速的なサーチカード。ライブラリーから4枚探せるが、手札に来るのは相手の選ばなかった2枚だけ。
とまあ、対戦相手に選択権があるカードなのだが弱いかと言うとそんな事はなく、そもそも選択肢がないも同然の組み合わせ*13にしちゃえばいいし、適当にクリーチャー4枚選ぶだけでも実質4マナで任意の2枚サーチ+2枚墓地肥やしというとんでもないコスパのカードになる。
しかもハイランダー故にサーチも相対的に強くなり、オマケにその特性から談合にも使える。カードパワーでも強さ以外の要素でも許されるものではなかった。
しかしついに禁止解除。ブラケット導入により「禁止理由にされていたみたいな使い方ならガチ環境でやればいいし、バランスの取れた《けち》はカジュアルでも大いに楽しめる」と棲み分けが出来るようになったため。「もし気に入らないなら、それはもう話し合って決めてくれ。禁止するほどじゃないよ」という理屈。
これからは他環境と同じく、理不尽コンボの片棒を担ぐことになるだろう。ちなみにガチ勢側のコミュだと「禁止解除しても問題ないカード」としてしょっちゅう名前が挙がっていた。

  • 《陰謀団の先手ブレイズ/Braids, Cabal Minion》
場にいるだけで毎ターンクリーチャーか土地の生贄を強要する伝説のクリーチャー。元統率者指定禁止カード。
統率者に指定すればすぐ出せてしまう上に序盤に出されたらロックされてしまうので禁止されていた。
しかし2025年4月22日、ついに釈放されるに至った。
あくまで序盤に出されると理不尽なだけで、中盤~終盤ならまともであること、最近はカードパワーもデッキの洗練化も進みカジュアルでも確定除去多くなりが対処ができるようになった事が理由。
また一番脅威となるのが統率者に据えた時だがそうすると事前にブレイズを使う事がバレバレなので、相手したくないならそもそもプレイヤーが避けることでも対策可能な点も考慮された。
「オッサンには懐かしく、新参者にも「団結のドミナリア」のストーリーで記憶に新しい愛されキャラだし」というのも釈放の一因となった。
20年以上の禁固刑を食らった彼女が釈放された時には、すでにMTGは別ゲーレベルでのインフレ化が進行した。彼女の高ブラケット帯やcEDHでの活躍なるだろうか?


ゲームチェンジャー・カード

2025年2月12日に発表された新しいカード規制概念。ゲームレベル帯により使えるかどうか変わってくる。
現在はベータ版リストで、ブラケット1・2では使用禁止、3では合計3枚、4・5で完全解禁といった形を取っている。2月時点ではブラケット3(アップグレード)でのみ影響を及ぼすリスト。
簡単に言えば「ガチ環境ならいいけど、カジュアルだと強すぎる」カードのリストであり、たびたび議論を呼んでいたローカル禁止に対して公式が明確な指標を出したものである。

なお、ゲームチェンジャーの説明文(公式記事の『「統率者戦ブラケット」のベータテスト、始まる』)でも言われているが
「このシステムも従来のシステムと同様、自分本位であったり、悪意を持っているプレイヤーを除外したりすることは不可能です。」
ということ。ただこれによって、たとえば「オラクルコンボで勝つだけのデッキをカジュアルと言い張って無双しにくるプレイヤー」とぶつかる可能性は著しく減ることになる他、
レスバトルの定番だったレベル帯議論でも棲み分けができるようになった。早い話、思想が合わないプレイヤーとぶつかって不快な思いをせずに済むようにするための配慮である。


  • 《ドラニスの判事/Drannith Magistrate》
手札以外からカードを唱えられなくなる小型クリーチャー。
いるだけで統率領域から統率者を出すことを止めてしまう、統率者戦の遊び方の理念を否定するようにも見える1枚。
その性質のせいでブロール禁止カードでもあり、以前から禁止カード議論に挙げられていた1枚。「ゲームチェンジャー」の概念によってやっとメスが入った形である。

  • 《息詰まる徴税/Smothering Tithe》
ドローのたびにマナを払わせるか宝物を得られる置物。
相手の動きを遅らせながらマナ加速までこなす。それまで統率者戦ではぱっとしない色だった白を使う理由にもなるカードで、「白いリス研」とも言うべきカード。
素朴な卓では「何か問題があるのか?」と言われることもあれば、ガチ卓で「これを入れる相手には容赦をしない」と言われることもあるなど、卓によって評価が乱高下するカードだった。

  • 《召し上げ/Expropriate》
投票次第で追加ターンか相手パーマネントの強奪を選べるカード。
重い上に対戦相手依存のカードではあるが、突然政治ゲーが始まったりするのはカジュアル環境ではよろしくない様子。
対戦相手に選択権があるので「政治ゲー」と思われがちだが、ぶっちゃけ《召し上げ》を1回コピーするだけでほぼ勝ち確である。
そもそも多人数戦において無造作に使うだけでも、1枚で2ターン以上の追加ターンを得られる可能性がある時点でかなりデンジャーであり、昔からガチカードとして知名度が非常に高いカードだった。
逆に言えば《知識の搾取》《法務官の掌握》などで奪うことが対策にもなったわけだが、いずれにせよまったく健全なカードではない。
ちなみにイラストは、上述の禁止リストに名を連ねるレオヴォルドが富を片手に満面の笑みを浮かべているもの。イラストすらまったく健全なカードではない。

  • 《サイクロンの裂け目/Cyclonic Rift》
統率者戦の青の最終兵器。通常は1枚バウンスだが、超過コストで打つことで土地以外の全カードをバウンスできるようになる。
土地が残る分禁止カードの《激動》よりマシだがやってることは似たようなもの。

  • 《意志の力/Force of Will》
みんな大好きWill。MTGは「マナ」という動きを定義する概念があるので、この概念を無視できるカード(ピッチスペル)はそれだけで評価が非常に高くなる。その中でも最高峰であり、他のTCGにも影響を与えた1枚。
レガシーとヴィンテージにおける青最大の武器であり、これらの環境で【ベルチャー】や【ティボルトの計略】のような「壁とやってろ」系のデッキを抑止する役割を担う。
しかし統率者戦では抑止力というより、「手札から打てる0マナのカウンター」という急襲的な対策として用いられる。
自分の動きを通すためのカウンターにピッチコスト要求とはいえ0マナで打てちゃうのがカジュアル環境では良くないということのようだが、抑止力がいなくなるのはどうなのという話もある。
また、Aさんの強いカードを通すまいとWillを切れば、Aさんは-1枚、自分は-2枚で、BさんとCさんが損失0枚で漁夫の利を得てしまう(つまり無干渉が一番得をする)という多人数戦特有のアドバンテージの駆け引きなどもあり、2人対戦ほど強いわけではない。
「ゲームチェンジャー」において議論が紛糾したカードなのだが、この辺はMTGに限らず永遠のテーマなので……。

  • 《激情の後見/Fierce Guardianship》
統率者がいると0マナで打てるカウンター。条件を満たせば無料でカウンターが打てる。「統率者マスターズ」のトップレア。
手札1枚を切るアド損のWillでさえ強かったのだ、その強さは推して知るべし。

  • 《タッサの神託者/Thassa's Oracle》
【オラクルコンボ】の基幹。
とりあえず《Demonic Consultation》を適当に打ってライブラリー全部吹き飛ばして出せば即勝てる。それ以外にもライブラリーを全部飛ばす方法は数多く存在し、どうやっても高速特殊勝利デッキにしかならない。
以前から禁止カード議論に挙げられていた1枚であり、ガチ卓でさえ「これを使うならカジュアルを名乗ってはいけない」「対話するゲームで対話を拒否している」と酷評する人がいたという大問題児。現在使える環境でも似たような評価になりやすい。
ちなみにその性質上、どの環境でもオラクルを殺すためだけの専用対策がいくつか存在しているが、統率者戦は100枚ハイランダーなので都合よく引けるかどうかはお察しください。

  • 《リスティックの研究/Rhystic Study》
プロフェシーのトップレア(コモン)*14。誰かが動くたびに1マナ払わせるかドローができる。
統率者戦のおかげで強さが発覚したというより、統率者戦という遊び方に合っていたことで高い需要を得た「統率者戦用カード(EDH向け)」の代表格。2人対戦ではコモンなのも納得、まったく強いカードではない。
しかし統率者戦では必ず「出遅れたプレイヤー」というのが出てくる。そういうプレイヤーを出汁にしてアドバンテージを荒稼ぎするため、強弱というより均衡性を害するカードとしてよく「ガチかカジュアルか」が議論されていた。

  • 《最高工匠卿、ウルザ/Urza, Lord High Artificer》
アーティファクトが絡めばだいたい何でもできるようになる伝説の男。
すべてのアーティファクトを擬似的に《Mox Sapphire》にしてマナ加速し、稼いだマナはコンボや自身の能力でのランダム踏み倒しに使う。アーティファクトの数だけ大きくなるトークンも出るので殴りもこなす。流石に色々手を出しすぎであった。

  • 《核の占い師、ジン=ギタクシアス/Jin-Gitaxias, Core Augur》
青の法務官。自分は毎ターン7ドローし、対戦相手は実質手札1枚かつ自分以外のターンには手札0枚。
元々《グリセルブランド》が出る前のリアニメイト先の定番であり、相手の終了ステップにリアニメイトすることで手札を0枚にするテクで用いられていた。
10マナと重く耐性がないのは弱点だが、カジュアル環境で相手の拘束をすると見做されてゲームチェンジャー入り。
拘束というより、上述のインスタントタイミングでのリアニメイトは「気に入らない対戦相手1人をいじめる」ことにもつながるため、カジュアル環境では「なんで俺だけなんだよ!」と喧嘩になることもある。「ギタクシアスを出したプレイヤー VS 他3人」というレイドバトル状態にもなりやすい。

  • 《むかつき/Ad Nauseam》
ライフペイで好きなだけライブラリートップのカードを手札に加える。最近では2人対戦の場ではすっかり見なくなったが、以前はモダンやレガシーで一大勢力を築いた超重鎮。
たまに止め時を間違えて自滅するプレイヤーもいるが、このターン死ななくなる《天使の嗜み》と組み合わせればリスクは皆無に。そもそも初期ライフが40点なので保険をかけなくても案外死なない。
そしてその1ターンでハンド・アドバンテージを稼ぎ切って3人殺せば問題ないという強力ドローソース。相手を殺さなくとも《研究室の偏執狂》とか《タッサの神託者》などの特殊勝利に繋げるのも容易。
つまりほぼ「撃てば勝ち」なので、以前から禁止カード議論に挙げられていた1枚。

  • 《ボーラスの城塞/Bolas's Citadel》
ライブラリートップのカードをマナの代わりにライフでプレイできるアーティファクト。
上述の《むかつき》と似た様な働きをし、土地で詰まるまであらゆる呪文を踏み倒しできる。任意のタイミングで止められるため自滅もしない。
《むかつき》がゲームチェンジャーなら当然こいつもゲームチェンジャー扱いである。

  • 《敵対工作員/Opposition Agent》
サーチを「奪う」カード。正確には「このカードが戦場に出ている間、サーチの処理は代わりに《敵対工作員》のコントローラーが行い、さらにそれを追放領域に送り、色マナを無視して唱えられる」というもの。
ありとあらゆるサーチを否定してくるため、フェッチランドすらまともに使えなくなる。ガチ環境ではそれでもいいのだが、カジュアル環境ではこのカードの存在そのものが抑止力となってサーチという行為自体が過剰に控えられるなどの問題を起こしてしまう。
つまり使う側も全然引っかかってくれなくて楽しくないし、使われる側はもっと楽しくない。
一方強いカードを選択制にする「ゲームチェンジャー」のリストに入れておけば、忘れた頃に工作員を踏んで大悶絶という面白さが生じる……かもしれない。

  • 《恐怖の神、ターグリッド/Tergrid, God of Fright》
対戦相手が生贄に捧げたパーマネントや捨てたカードを奪う伝説のクリーチャー。
出てきたら最後布告やハンデスで他のプレイヤーのリソースを強奪し続けるため不快度が半端ない。共謀してターグリッドを倒すレイドバトルか、それを裏切って纏めて全員沈めるかのゲームが始まってしまうのは不健全すぎる。
日本だと当初はさほど問題視されていないのだが、海外だと登場時からガチ統率者の一角としてたびたび話題になっていたカードである。今回このリストに載ったことで経緯を知った人も多いだろう。

  • 《悟りの教示者/Enlightened Tutor》《神秘の教示者/Mystical Tutor》《悪魔の教示者/Demonic Tutor》《吸血の教示者/Vampiric Tutor》《伝国の玉璽/Imperial Seal》
軽量サーチが出来る教示者達。強力カードの水増しに繋がるためカジュアルレベルではやり過ぎ。
というか悟り以外はレガシーでも禁止。つまりそういうことである。

  • 《ジェスカの意志/Jeska's Will》
対戦相手の手札の数分マナ加速か衝動的ドローを行えるカード。統率者がいるならどちらの能力も使える。
相手依存だが、3マナ元手に7マナ以上を産み出せちゃうのはマナ加速として強すぎる。これを赤お得意のコピー呪文で増やしたらもっとひどいことに。

  • 《死の国からの脱出/Underworld Breach》
ヨーグモスの意志》の上位互換と言われることもある強烈な墓地利用カード。
下準備は必要だが墓地のカードを半無限に再利用できるのは、往々にしてクソゲー化を引き起こすのでダメである。

  • 《適者生存/Survival of the Fittest》
1マナと手札コストでクリーチャーを何でもサーチできるしクリーチャーを何でも墓地に置ける。【ナイトメア・サバイバル】での《繰り返す悪夢》の相方。
クリーチャー限定とはいえ、「1ターンに何度もサーチが利く」「任意のクリーチャーをたやすく墓地に送れる」のは相方が禁止でもパワーが高すぎる。
というか【ナイトメア・サバイバル】なんて化石みたいなコンボを使わなくても《壊死のウーズ》と《適者生存》が揃ってしまえば無限ダメージも無限コンボも思いのまま。
他にも悪用手段なんて本当に腐るほどある。
存在するだけで取れる戦略が幅広くなりすぎる(そしてサバイバルに完全に依存している)カード、
同じ能力を持つがタップ能力なのでターンに2度使うのは難しいしクリーチャーなので何かと死んでしまう《獣相のシャーマン》ですら一線級なのに、
それがエンチャントでしかもマナさえあればターンに何度でも使えるという異次元のスペックを持つ当カードのゲームチェンジャー入りが妥当だろう。


  • 《飢餓の声、ヴォリンクレックス/Vorinclex, Voice of Hunger》
緑の法務官。自分はマナが倍出て、相手はマナを出した土地が次のターンに起きなくなる。統率者戦では後半でもマナ加速は重要なので、このマナ加速部分だけでも結構なやり手。
2人対戦ではそのスタッツと除去耐性のなさから《甲鱗のワーム》呼ばわりされていた時期すらあったほどのしょうもないカードであり、一方でモミール・ベーシックでは出たターンに対処できないと次のターンからエムラクールチャレンジが始まる大当たり枠。
今回統率者戦に不案内なプレイヤーが驚いたカードのひとつがこれ。相手の動きを縛るのはダメで、特に緑特有のマナ加速から速やかにこれを出すと、それこそ2人対戦の時よりも大きな拘束力を発揮する。
ちなみに大規模土地否定カード(下記参照)ではあるがゲームチェンジャー枠にいるおかげで他より若干規制が緩いという珍しいカードだったりする。逆風の中でも土地をロックしたいというひねたあなたにオススメ。

  • 《眷者の神童、キナン/Kinnan, Bonder Prodigy》
マナアーティファクトやマナクリーチャーから出るマナを増やし、ライブラリーからクリーチャーを踏み倒す伝説のクリーチャー。いるだけで色々なカードと組んで悪さができるのは統率者としてパワーが高すぎる。

  • 《虎の影、百合子/Yuriko, the Tiger's Shadow》
統率者領域から使える忍術「上忍術」で常時統率者税を踏み倒してくる伝説の忍者。
ガチ統率者の一角であり、レガシーなどでもかなりの採用実績を誇るカード。2マナで何度も出てきて手札を稼ぎながら全体ライフルーズまでこなすアドの塊。

  • 《軍団のまとめ役、ウィノータ/Winota, Joiner of Forces》
人間以外の味方が攻撃するたびにライブラリーから人間・クリーチャーを踏み倒す伝説のクリーチャー。
単純な展開速度もそうだが、デッキ内に無理なくメタクリーチャーを積めるため、着地したら最後凄まじいスピードでメタクリーチャーが並び、上振れると無限戦闘と二段攻撃で抵抗すら許さず全員殴り倒してしまうのはどう考えても強すぎる。
以前から禁止カード議論に挙げられていた1枚で、ブロール禁止カード、スタンダードでも踏み倒し先が禁止になったカードでもある。
赤白統率者の中だと文字通り抜きん出た強さであり、この色の統率者の選択肢を奪っているカードでもあった。他がへっぽこ脳筋すぎるだけ?おっしゃる通りで……

  • 《アウグスティン四世大判事/Grand Arbiter Augustin IV》
自分の白・青の呪文を1マナ軽くし、相手の呪文は1マナ増やす伝説のクリーチャー。
出すだけで単純な計算で呪文1つにつき1マナ分の得をする。上のターグリッドの説明を借りれば「共謀してアウグスティンを倒すレイドバトル」になりやすく、それを青白特有のアド取りで否定していくという結構嫌なカード。
最近は伝説性を無視したコピーで複数体並ぶのでなおのこと。

  • 《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamond》
調整版Black Lotus。元禁止カード。
手札全捨ては統率者戦では割と大きめのデメリットだが、《死の国からの脱出》と組むとそのデメリットが踏み倒せてしまい、カジュアル環境ではやはりダメということになった。
話題になると再録禁止や値段の方向に話題がそれていくので控えられるようになったが、以前の禁止カードやガチ・カジュアル論争のド定番と言えばまさにこのカードだった。

  • 《金属モックス/Chrome Mox》《厳かなモノリス/Grim Monolith》《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》《魔力の櫃/Mana Vault》
各種軽量マナアーティファクト。これらから入ってマナ加速からのブン回りは強力デッキあるある。
これらのカードはたびたび「ブン回りがあるから禁止」とされるのだが、軽量からのマナジャンプが危険なことに加え、これらのカードは値段が非常に高いこともあって別の論点を呼んでしまうという意味でも問題児。
なお、《太陽の指輪》に関しては統率者戦の象徴ということで規制されていない、しかも再販しすぎたお陰で1枚500円以下。平たく言えば「全員持ってたら平等」みたいなところもあるため。
また、ハイランダーなのに似たようなブン回りカードが何枚も入ってるのもね、という側面もある模様。要するに一種一枚ぐらいなら環境に残ってて良いし、残すなら《太陽の指輪》になるって話らしい。
また、《玄武岩のモノリス》《スランの発電機》《金粉の睡蓮》《金属細工師》なども規制されていないため、この辺を使って遊んでみるといいだろう。

  • 《一つの指輪/The One Ring》
「指輪物語」のキーアイテム。どの色でも使える万能ドローソースであり、唱えたときにはプロテクション(すべて)を得られる。アップキープに維持コストを払う必要はあるがあまりデメリットになってない。
他の環境と異なり指輪複数枚採用して上書きのようなことはできないが、そもそもドローソースとしては強すぎるし、「バウンスして出し直す」「コピーを作る」など抜け道はいくらでもある。

  • 《セラの聖域/Serra's Sanctum》《ガイアの揺籃の地/Gaea's Cradle》
《トレイリアのアカデミー》と同期の土地。《セラの聖域》はエンチャント、《ガイアの揺籃の地》はクリーチャーの数に対応してマナを出す。
1タップでバカみたいなマナを出しちゃう土地はカジュアル環境でなくてもダメだとアカデミーが実証している。ましてカジュアルに遊ぶ環境で何をいわんや。
《セラの聖域》は若干とばっちり感があるが、《ガイアの揺籃の地》に関しては《ラノワールの使者ロフェロス》みたいなカードが禁止なんだから時間の問題だろうとも言われていた。

  • 《古えの墳墓/Ancient Tomb》
いわゆる「2マナランド」の1枚。これはタップするたびに2点ライフを払う。上述の3枚に比べれば控えめだが、これを起点にした加速はやはりカジュアル環境では良くないとのこと。
同じくストンピィでの「2マナランド」の二枚看板の一枚、《裏切り者の都》はセーフ。これはデメリットを踏み倒すのが2人対戦よりも難しいため。
さらに霊気走破では条件付きの2マナランド《ムラガンダ・サーキット》が登場したので、早期にさっさと決めるデッキでなければ代用品には困らないかもしれない。

  • 《Glacial Chasm》
出たときに土地を1枚犠牲にする上に維持コストも必要だが場にある限りダメージをほぼ受けなくなる土地。
生きてさえいればアドバンテージになるようなカードを使用するデッキがこれを使うと手を出す手段が少なくなりその隙に対処不能になる。さらに統率者ダメージも受けなくなるのでデッキによっては使われた瞬間に勝ち筋そのものが消える。アップキープごとに《一つの指輪》の倍の維持コストがかかるが、初期ライフは倍だし対戦相手は最低3人いるので維持コストに対する効果も2人対戦より効率が良い。土地を安定供給できるなら《世界のるつぼ》と組んで上書きし続けることもできてしまう。それは流石に理不尽だった。

  • 《The Tabernacle at Pendrell Vale》
通称名前の長い土地。1枚30万円以上。クリーチャーに1マナの維持コストを付加する。
単純に動きを縛るだけでも強いが、土地をクリーチャー化するカードと組み合わせて強烈なロックをかけることも可能。
レガシーやヴィンテージなら許されてもいいだろうが、生憎ゲームチェンジャーが関係する環境は非常にカジュアルなので……。
似たような動きをするカードには《ペンドレルの霧》《幕屋の大魔術師》などがいるため、そちらで我慢しよう。
ちなみに《ハルマゲドン》と組み合わせると事実上の《神の怒り》にできる。まあそもそもゲドンは土地全体拒否なのでどっちみちプラケット4以上でしかできないが。

  • 土地の全体拒否カード
《ハルマゲドン》《冬の宝珠》《基本に帰れ》《破滅》《血染めの月》等々で、ブラケット1~3では使用非推奨(=事実上禁止)。
理由はまぁ……分かるだろう。「やりたいならブラケット4以上のガチ環境でやってね」という姿勢を打ち出している。
これについては明確なリストアップがされていない。なんか《Equinox》みたいになってない?

  • 追加ターンを連続して得る行為
禁止カードではないが、ブラケット1~3で非推奨とされている行為。
現在統率者戦のバランス調整を担っているガヴィン・ヴァーヘイ曰く「1回だけでもエキサイティングだし、コンボにするとリソース差ができて他の人があまり面白くないから」。

ゲームチェンジャー解除枠


  • 《つるむ面倒/Trouble in Pairs》
こちらも「白いリス研」とも言うべきカードで、相手の動きを参照してドローできるようになる。
拘束力はさほどでもないが、相手の動きを縛っちゃうのはカジュアルではやはりダメということか。
リストの当落線上、リスト入りのギリギリ下という認識なので様子見を兼ねてゲームチェンジャー・リストから除外された。

  • 《三なる宝球/Trinisphere》
全ての呪文に最低3マナを要求する妨害アーティファクト。
ヴィンテージでSoloMoxenを否定する(のと、【茶単ストンピィ】系の弱体化)という理由で制限送りになったほか、レガシーではかつての【ドラゴンストンピィ】とその他色派生デッキでの定番カードであり、その完成形【赤単プリズン】がTier1デッキとして君臨する大きな原動力となっている。
「《太陽の指輪》が前提の環境にこれがいるのはやはり不健全ということか。」と解説されているが、一度これが出ている状態で統率者戦をプレイしてみると分かる。だいたいその時の感情がすべてである。
ぶっちゃけ指輪云々とはまったく関係なく、エラヨウや《限りある資源》なんかが禁止になっている理由に近いことが分かるはず……だったのだが、単に死ぬほどグダるだけなことや、3マナ以上のカードを頻繁に使うフォーマットということもあってリストの当落線上、リスト入りのギリギリ下という認識なので様子見を兼ねてゲームチェンジャー・リストから除外された。



銀枠編

公式カードとして使えない銀枠カードだが、統率者戦では期間限定で解禁されていた。
当然全部使って混沌を繰り広げたいところだが、使うと色々問題のあるカードは禁止カードに指定されている。

現在では「銀枠プロジェクト/Silver Border Project」という、銀枠*15アリの場合のルール制定に向けた動きが存在している。
いつの日かこの禁止リストも更新される日が来るかもしれない。たとえば《Avatar of Me》(目の色のアレ)あたりはちょっと危ういかも。

  • 《Double Cross》などの、『次のゲームにまで影響を及ぼす』カード
次のゲームっていつだよってなるに決まっている。

  • 《Ashnod's Coupon》
人の財布を破壊してはいけません。

  • 《Enter the Dungeon》
サブゲームの処理もそうだが、特に机の下に潜るという条件がキツい。
片付けも面倒だし、腰の悪い人相手だと理不尽の極みに。
というか、海馬社長でなくともカードが汚れることを嫌う人は割と多いのだ。だからスリーブなんて文化が定着したわけで、そのスリーブに傷がつくことを厭う文化さえあるほど。
詳しくは上記のShahrazadの項目へどうぞ。

  • 《Once More with Feeling》
コスト半分以下の《星の揺らぎ》とかダメに決まっている。カード自体に制限カードにするというルールが明記されているのだが、それでも許されなかった……まぁハイランダーだししょうがないね。
ちなみに《星の揺らぎ》の元ネタであり、これを黒枠にしようという着想から始まり、熱心なテストプレイヤーが《星の揺らぎ》を実用性に乏しいマナ域にまでしてしまった……という公式記事があり、
当時のプレイヤー間では完全に牙を抜かれてしまったレアカードを「熱心なテストプレイヤー」のせいにするというジョーク的な文化が存在した。
2010年頃にはすでに廃れていた文化であり、たぶんこれを読んでいる人もあまりピンとこないだろう。長寿ゲームというのはその中身の文化も流動するものなのだ。

数あるルール破壊カードの中でも根本の部分を弄るためマジックしてるのかわからない状態になってしまう。

  • 《Mox Lotus》
タップ1つで無限マナ。どう考えてもおかしい。

  • 《Richard Garfield, Ph.D.》
一人だけメンタルマジックは理不尽すぎる。

  • 《Nerf War》
いくら安全なNerf弾だからといってマジックの最中に銃を撃ってはいけません。ライブラリーを吹っ飛ばす(物理)から卓も滅茶苦茶になるし。




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最終更新:2025年04月29日 07:53

*1 基本土地を除いて1枚しか同名カードを入れられない

*2 MTGを少しでも知っている人だと「投げるカード」だとか「アンティ・ルール」の話を聞いたことがあるかもしれないが、ああいう手合いである。

*3 とはいえ日本のコミュニティでは事実上の禁止リストとして扱われる

*4 統率者戦というのは、そのグループが拠点にしている店やSNS・ブログなどで様々なローカルルールがあったりする。

*5 ランダム性が強すぎて勝敗を無視していなければまず入らない《運命の気まぐれ》や、リモートEDHにおいて処理が極めて面倒くさくなる《豪華の王、ゴンティ》などが禁止される例がある。

*6 これ自体は対戦ゲームのバランスが悪かった頃のコミュニティではよく行われていた。ジョジョの奇妙な冒険の「ペットショップ使用禁止」や、第四世代のポケモンの「複数催眠禁止」や「ソーナンス禁止」などがつとに有名。Sheldon Menery氏もこういう遊び方をするのが当然という時代の人であり、「問題があるなら各々が対処するべきだ」というスタンスを最期まで崩すことはなかった。

*7 対戦ゲームのバランスがとれるようになったことで、こういうローカルルール文化が下火になった。すでにバランスがとれるようになってから10年以上が経過しており、こういう文化に縁がないプレイヤーが増えてきた。後述する問題は、プレイスタンスの差以外にも世代間の対立という構図もはらんでいる。

*8 こういうことは15年くらい前のカードショップでは日常茶飯事だったが、最近はこういうことに耐性のないプレイヤーが大変傷ついてお気持ち表明をする事例も多い。

*9 2013年頃に「ラヴニカへの回帰」時代にカジュアルのキテレツデッキを紹介してそれに手を加えるコラムを執筆したり、カジュアル系のセットの開発を担当していた人。最近ではpauperの禁止改訂などにも携わっており、その軽妙だが誠実さの溢れるコラムや、フランクな口調での翻訳などから人気を博している開発者。

*10 統率者戦に向けて印刷されたのに禁止になったカードの先駆者には、すでに《森林の始源体》が存在した。「ギルド門侵犯」は多人数戦向けのカードが何枚か含まれている。

*11 一応レガシー、ヴィンテージでは使えるが能力が能力なのでどうしても無理矢理感が否めない

*12 あくまで下衆の勘繰りだが、この「公式とは別の集団が禁止カードを決めている」という点がたまに論争を起こすことがある。つまりぶっ壊れたカードが出た際、公式のフォーマットの場合は指定に対して慎重であり、オーコやナドゥの場合は「ごめんなさい、ちょっとはっちゃけすぎたんです……」という反省文を書かれるくらいには反省するが、統率者戦の場合は「だって禁止は統率者戦ルール委員会がやることだし……」「ぶっ壊れたカード出されたらこうせざるを得ないじゃん……」と、その責任の所在のせいで判断が軽薄になるのではないか、というものだ。といってもあくまで証拠が無い想像の領域に過ぎないため、そういう意見もあるんだなー程度に眉につばでもつけて聞いておいていただきたい。

*13 目当てのカード1枚+その亜種1枚+墓地回収できるカード2枚など。

*14 プロフェシーに収録された時はコモンだったが、後の再収録ではレアに昇格、更に「おとぎ話」での再収録時は神話レアまで昇格している。

*15 銀枠じゃなくてどんぐりだろ、という反論があるだろうが、原文で「Silver Border(銀枠)」なので……