セブン上司

登録日:2020/03/30 Tue 22:41:59
更新日:2025/09/03 Wed 18:15:28
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M78星雲に帰る時が来たのだ!



セブン上司とは、『ウルトラセブン』に登場するM78星雲人。


【プロフィール】

身長:40メートル
体重:3万トン
出身:M78星雲・光の国

CV:和田文夫



【概要】

ウルトラセブン』の最終回エピソードとなる第48~49話「史上最大の侵略(前・後編)」に登場。

外観はウルトラセブンとほぼ同じ姿をしており、正直違う点が見当たらない。
それもそのはずで、メタ的に言うとセブンのスーツをそのまま流用して使っているため。
放送当時、『ウルトラセブン』は前作『ウルトラマン』との設定的な繋がりはなかったので、
『セブン』本編(とその設定のままの『平成ウルトラセブン』)でのM78星雲人は、全員統一された見た目なのかもしれない。

セブンを「340号」と呼んでおり、恒点観測員*1時代のセブンの上司だったと思われる。
ゴース星人の侵略が進む中、これまでの戦いで身体に限界が来ているセブン=モロボシ・ダンの夢枕に現れ、M78星雲に帰るよう繰り返し忠告した。
最初は自室で寝ているダンの枕元に現れてM78星雲への帰還を促し、警告としてウルトラアイをフクロウ型時計の顔部分というオチャメな箇所に引っかけた。
その後、49話でダンが身体の不調をおしてセブンに変身しようとした際にも姿を見せ、「今度こそ死んでしまうぞ!」と脅すような形で制止したが、
既に地球の為に戦うことを決意していたダンを止めることは出来なかった。

「上司」と言われているが、セブンとの具体的な上下関係はよく分かっていない。ダン=セブンも敬語使ってないし
プロフィールでは巨大な姿のものが記されているが、本編では地球人と同じ大きさの姿でしか現れていない。
戦闘なども行っていないためその実力に関しても不明だが、最低でもセブンと同レベルのカタログスペックはあると見られる。

『帰ってきたウルトラマン』以降のM78ワールドのウルトラシリーズには登場していない。
ただし、映画『大決戦!超ウルトラ8兄弟』において回想という形でセブン上司が登場する映像が流用されて使われている。


【公式の扱い】

『セブン』の最終回とその前の回に登場して以降、ウルトラシリーズに登場していないというところから察せられる通り、
当時はハッキリ言ってぽっと出のキャラくらいの扱いだったと思われるが、現在ではかなり複雑な存在(状況)となっている。

当時の脚本では「セブン上司」という仮称すら無く単に「M78星雲人」と記載されていただけであり、
円谷プロダクションも、このセブンと同じ姿で、彼の上司かのようにM78星雲への帰還を促したM78星雲人の存在を長年忘れていた

彼が登場した『ウルトラセブン』最終回より10年近く経った『ウルトラマンレオ』終了後の第三次怪獣ブームの際に存在が思い出され、
公式もそれによって彼の存在を思い出し、「セブン上司」という仮称を与えたという経緯である。
つまり、「セブン上司」という呼び名は放送終了後の後付けだったのである。
なお、一部では「ビッグセブン」と呼称されたこともあった(これは多分関係ない)が、こちらはあまり定着しなかった。

1993年に出版された青柳宇井郎・赤星政尚による著書『ウルトラ怪獣99の謎 懐かしのヒーロー』では、
「セブンそっくりのM78星雲人の存在に疑問を抱いた金田益美氏が円谷プロに問い合わせたところ、円谷プロもその存在を思い出して急遽『セブン上司』と命名した」
という逸話が掲載されていたが、後に2006年の『ウルトラマンメビウス』放送時に同書がコンビニ本で復刊された折に著者がこの噂がデマであることを認め、訂正されている*2

後の光の国関係の設定の整備などを経て、現在の公式設定では「宇宙警備隊の上層部のウルトラ戦士」とされている。恒点観測員じゃないのか……?
ただし、歴代ウルトラ戦士としてカウントされたことは現在まで一度もない。

考えてみると前作でウルトラマンの上司?*3だったゾフィー的なポジションなのだが、かなり対照的な扱いをされているキャラクターと言える。
やはり「外見に全く主役ウルトラマンとの違いがなかったこと」「そもそも固有名を持たないこと」*4が大きな障害となったと見られる。
少しでも外見上にセブンと分かりやすい違いがあれば、セブン上司がウルトラ兄弟にいた可能性もゼロではないかもしれない。
ただし、見た目や名前を抜きにしても「恒点観測員からウルトラ兄弟になったセブン」という世界観の変化もネックになっている可能性も否定できない。
出番が一瞬なのでしょうがないと言えばしょうがないのだが、ある意味不遇なキャラクターである。

仮に再起用される機会があった場合は、セブンとの差別化の為に外観が変化するのでは、とも予想されている。
セブンには外見が同じ「怪獣」までいる事だし……


【漫画版】

一峰大二氏による漫画版『ウルトラセブン』でも連載最終話に登場。
こちらでのデザインは頭部のアイスラッガーの形状がノコギリ風でモヒカンのような外観へとアレンジが行われている。
M78星雲から脳内に呼びかける形でセブンに帰還命令を指示するが、本編と同様に失敗に終わる。
しかし、本編とは異なって宇宙からエネルギーを送ってパンドン戦におけるセブンの勝利に貢献し、決戦後はセブンを宇宙へと連れ帰った。

2007年に同作者が『フィギュア王 No.118』に書き下ろした原作未発表エピソードのコミカライズ化作品『宇宙人15+怪獣35』においても同じデザインで登場している。

なお、『空想法律読本2』で最終回におけるセブンの過労死に関して考察された際には、挿絵でこちらの形状のモヒカンが採用された。

また推測となるが、かたおか徹治氏の漫画『ウルトラ兄弟物語』のエピソードの一つ「ウルトラセブン物語」に登場した「(ビッグ)セブン」は上記のビッグセブンのことではないかという説もある。


【セブン上司の正体に関する「自問自答」説】

上述のように、『ウルトラセブン』に登場して以降、全く映像作品にはセブン上司が登場しないことから、
「セブン上司は実在せず、本編でのセブン上司とダンのやり取りはセブン(=モロボシ・ダン)の自問自答なのではないか」との見方が存在する。

つまり、これまでの戦いによる疲労蓄積などで、ついにダンの姿でも体調不良を起こすまでになったセブン=ダンの、
「本来ただの観測員に過ぎない自分がここまでして地球の為に戦う必要はあるのか?」
「しかし、ここで戦わなければ地球やウルトラ警備隊を見捨てることになる。それでいいのか?」
などといった、「戦うか、戦わないか」という内心の葛藤を「セブンとダンの対話」という表現で表すため、
セブンと全く同じ姿の「セブン上司」を登場させたのではないかという考察である。
「セブンは擬態型のM78星雲人である」「詳細のわからない存在で、セブン上司という呼称も後付け」なども、この自問自答説が考えられやすい理由だろうか。

反論としては、「ウルトラアイをフクロウ型時計に引っかける」という自問自答説では説明にしにくい演出が指摘される。
メタ的な話ではあるが、台本上でも幻覚や妄想を匂わせるような文章がなかったことも否定の理由に挙がりやすい。
声を担当したのがセブンの声を担当したダン役の森次氏でないことも、「自問自答なら和田文夫氏を起用しないだろう」として否定材料にされることもあるが、
これは仮にセブン上司がダンのイマジナリーフレンドのような存在で「架空の仲間と会話する形で自問自答している」のだとすれば、声が違っていても不自然ではないとする声もある。

台本ではダンの枕元に立ったM78星雲人(セブン上司)のことを「それはダンのテレパシーが呼んだイメージである」と書いているので、
これを素直に解釈するなら「テレパシーでM78星雲にいる仲間と会話している」ということになるのだろうか。

ぶっちゃけそこまで重要な存在でもないので、自問自答であろうがなかろうがどうでもいいと言われやすいのがこの議論の悲しいところだが……


【余談】

  • 食玩「ウルトラ怪獣名鑑 ウルトラセブン編」では、ダンの枕元に立ち、警告をするセブン上司の姿が立体化されている。

  • セブン上司はセブンに最初「340号」と呼び掛けた後で、彼の地球での呼び名である「ウルトラセブン」へと言い改めているが、
    映画『シン・ウルトラマン』でも、主人公のウルトラマン(リピアー)の素性を知るとある存在が、
    彼に「リピアー」と呼びかけた直後、地球での呼称を考慮して「ウルトラマン」と言い直す場面が存在する。


【パロディ】

  • 2017年開催の企画『ウルトラセブン落語』では柳家喬之助による改作落語「子ほめ M78」の登場人物として出番が割り振られている。

  • ケロロ軍曹』ではケロロ上司(CV:潘恵子)なるキャラが登場している。
    ちなみにかの星において「ケロロ」とはきわめてポピュラーな名前で、被りがたくさんいるらしい。




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最終更新:2025年09月03日 18:15

*1 この呼称は設定だけのもので、本編では使われていない

*2 ちなみにこの『ウルトラ怪獣99の謎 懐かしのヒーロー』という書籍自体、他にも訂正されてない箇所で、『ウルトラマン80』の路線変更の話題に際して2020年現在では否定されている逸話がさも事実のように掲載されていたりと、ウルトラシリーズの正式な資料本としてはいささか信憑性が怪しい代物だったりする。

*3 当時は宇宙警備隊「隊員」を名乗っていたので、昇進前で同僚だった可能性もある。

*4 これについては『帰ってきたウルトラマン』の主役であるウルトラマンジャックも同様で、劇中では「ウルトラマン」とだけ呼称され、1984年の映画『ウルトラマンZOFFY』で「ジャック」の名が付くまで固有名がなかった。そのため、正式に「ジャック」の名前が付けられる前は、主役作品のタイトルにあやかった「帰マン」や、初代の存在から「新マン」「ウルトラマンⅡ世」等の様々な名称で呼ばれていた。