吉永みゆき/オーキッドアンデッド

登録日:2020/11/01 Sun 17:50:12
更新日:2025/04/27 Sun 23:09:02
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いい人よね、ブレイドって。でも、その優しさが命取りになるのよね……お前も!


吉永みゆきとは、特撮テレビドラマ『仮面ライダー剣』の登場人物である。
本項目では彼女の正体であるオーキッドアンデッドについても記述する。


演:肘井美佳




【概要】

第20話~第25話に登場。

現代において解放された不死生物アンデッドの一体であり、ハートスートのカテゴリーQ(クイーン)に分類される上級アンデッド。
普段は「吉永みゆき」という名の人間の女性に化身している。

白い上着と緑色のシャツにこれまた白いロングスカート、ハイヒールという如何にも『清楚』と言わんばかりの服装に身を包み、お淑やかな雰囲気を醸し出しているが、その本性は冷酷且つ狡猾。
同じ上級アンデッドに近付いては言葉巧みに利用し、決して自分の手を汚さずにアンデッドと仮面ライダー達が互いに潰し合うよう仕向けるなど、頭脳戦を主に展開する伊坂とはまた異なるタイプの策士である。
当然、人間の事は最初から見下しており、その心を弄んで利用する事に何の躊躇いもないなど、その心根は悪辣そのもの。

しかし、バトルファイトに自分だけが勝ち残る事を最優先に考える上級アンデッド達の大半*1からは基本的に手を組む事を拒否されており、『剣』全体で見ても彼女の作戦が成功した場面はあまり多くない。
また、作戦そのものも良く言えばケースバイケース、悪く言えば行き当たりばったりであり、剣崎一真の勧誘に失敗してももずく風呂シュルトケスナー藻と橘朔也
そしてマインドコントロールによって烏丸啓達を巧みに操ってレンゲルバックルを完成させた伊坂と違い、「たとえこの作戦が失敗しても本命の計画に狂いはない」というアフターケアもない。
とはいえ、他の上級アンデッド達の洞察力や行動力が彼女の計画を上回っていた点もあった(実際、矢沢の「ベルトをそこに置け?」は仮面ライダーカリスの乱入がなければ成功していた)事は留意する必要がある。


【劇中での活躍】

初登場の時点で矢沢と手を組んでいたと思しき様子であり、剣崎=仮面ライダーブレイドを排除すべく、「道路で車が故障して立ち往生している」体を装って白井虎太郎に接触。
「古い建物を勉強している大学生」と身分を偽って首尾よく白井牧場に潜入すると、アンデッドサーチャーが入ったパソコンに細工を施して一時的に機能不全を起こさせた。
その後は虎太郎と共に植物園へ行き、そこで待ち構えていた矢沢と結託して仮面ライダーブレイドを倒す手筈だったと思われるが、彼女はただの被害者を装って戦闘に加わらず、
その矢沢=カプリコーンアンデッドがブレイドのライトニングスラッシュでダメージを負い、撤退した事で一度は頓挫した。
恐らくは自分への疑いを逸らしつつ、ブレイドと矢沢の共倒れを狙っていたのかもしれない。

その後とある水道施設に潜んでいた矢沢の前に姿を現すと、臆面もないその様子に当然矢沢から「いつもお前はそうだよな?自分の手は汚さない…」と批判されるが、そこで新たな作戦を持ち掛ける。
そして、虎太郎を植物園に連れ込む一方、出直した矢沢が再び剣崎を植物園まで誘き寄せたタイミングを見計らうと遂に自らの正体を暴露。
そのまま虎太郎を蔦で拘束して人質に取ると、無防備になった剣崎をカプリコーンアンデッドに叩きのめさせ、あと一歩の所まで追い詰めるが、そこへカリスが乱入し、虎太郎を解放されてしまう。
更には虎太郎によってバックルとカードを取り戻した剣崎が変身したブレイドが怒りのままにカプリコーンアンデッドを倒した事で計画がご破算になり、車での撤退を余儀なくされてしまった。
しかし、その表情に焦りや怒りを見せず、

ブレイドにカリス、楽しみが増えたわね……。もっと楽しませて貰うわ……!

と、これから先のバトルファイトに対する一種の期待と興奮を胸に不気味に微笑んでいた。

第22話では相川始に協力を持ちかけるも、当然聞き入れられず(この時、カリスに変身する姿から「何か」を感じ取った模様)、そのまま戦闘に突入。
互角に立ち回るも、始をマンティスアンデッド(劇中では終始「カリス」と呼んでいたが、『仮面ライダーとしてのカリス』と被るため、本項目では以下これで通す)と勘違いしたイーグルアンデッドがカリスに助太刀したため、不利と見て撤退した。

続く第23話では冒頭にて改めてイーグルアンデッド=高原と接触。
カリスがマンティスアンデッドであると信じて疑わない高原に対し、「人間共のライダーシステム…あれと同じだとしたら?」と煽り、
更には「人間は封印したアンデッドの能力を自分のものとしている。同じように封印された者の姿を借りるアンデッドがいると聞いた事があるわ」と焚付けて始の正体を探るように誘導した。
なお、最終的には目の前のカリスがマンティスアンデッドではないという事に高原は勘づいたものの、結局正体に辿りつく事は出来ず、失敗に終わっている。

一方でみゆき自身は封印されたアンデッドを手駒として解放出来る♣10・REMOTEラウズカード上城睦月/仮面ライダーレンゲルから奪うべく*2彼に接触。
レンゲルとの戦いの最中に「あなたも強くなれるのよ、もっと多くのアンデッドの力を得れば……」彼の行く末を暗示甘言で誘惑するも一切通じず、橘が駆け付けた隙を見て逃走。

第24話ではウルフアンデッドの行動を察知すると、「面白い事をしているのね。手を組みましょうか?」と勧誘するが、
好戦的な彼には通じずに跳ね除けられ、自分を倒そうとする彼との逃走劇の最中に誤って大地/エレファントアンデッドのテリトリーに侵入してしまう。
一先ずその場は自分を追いかけてきた剣崎・橘・睦月に相手を押し付けてウルフアンデッド共々撤退した。
今度は大地=エレファントアンデッドの圧倒的戦闘力をカリスにぶつけてその正体を暴く事と彼らの共倒れを目論むと、始に対して大地の仲間を装って接近し、彼らが対戦するよう仕向けた。
しかし、戦いの中でカリスの「仲間はどうした?2対1でも構わん」という些細な一言から自分がエレファントアンデッドを利用した事に気付かれ、逆にそのまま狙われる羽目になってしまう。

続く第25話では半ばヤケを起こして大地の騙し討ちを図るも、失敗。
そのまま肉弾戦に持ち込まれて一方的に叩きのめされるも、駆け付けたカリスと一触即発になりかけた隙を突いて逃走した。

策を弄し続けたものの、その悉くが裏目に出て完全な四面楚歌に追い込まれてしまい、絶望して傷ついた体で倒れていたところをカリスの様子を気にして駆け付ける最中だった虎太郎に発見される。
そのまま車の中で介抱されると、自分がアンデッドであり、尚且つ手酷く裏切られたにも拘わらず助けた理由を問うが、返ってきた答えは「怪我した人が倒れていたら、見過ごせなかったんだ」という至極単純なものだった。
一度は隙を見て虎太郎を絞め殺そうとするも、アンデッドでありながら自分を救い、更には「もう人間は襲わないと約束する事」を条件に自分を見逃がそうとする態度に呆気にとられる中、
直後に始の接近を知ると虎太郎の首を絞めて気絶させ、最後の戦いに挑む。
……が、戦力差に加えてダメージを負っていた所為で当然敵うはずもなく、最後はカリスのヘッドチョップで倒されるとそのままプロパーブランク・♥Qに吸収され、♥Q・ABSORBのカードとして封印されたのだった。


【オーキッドアンデッド】



みゆきさん、これは……!!どういう事なんです…!?これは!?

どういう事なのかしら?もう少し頭を使ってみたら!?ハハハハハハッ……!!

身長 216cm
体重 113kg
種族 アンデッド
生物モチーフ
スート ハート
カテゴリー Q(クイーン)
特色・力 人間への化身
敵を打ち据え絡め取るツタ
背面の顔から放つ花粉
カード名 アブソーブオーキッド
クリーチャーデザイン 韮沢靖
初登場回 『剣』第21話「友を想う心」


吉永みゆきの正体である、ハートスートのカテゴリーQに分類される上級アンデッド。
蘭の祖たる不死生物であり、花弁を模した頭部や右腕が特徴。
右手の蔦「アブゾーブアイビー」を伸縮させてロープやのように使用する他、後頭部に備えたもう一つの白い顔「バックフェイス」*3から無数の花びらを撒き散らして撹乱や逃亡に使用する。
また、蘭の怪人だけあって人間態でも蘭の香り「オーキッドフレグランス」を常に放っているが、虎太郎と初めて接触した際には「香水のつけ過ぎかな?」と誤魔化していた。
設定上、この香りは敵を虜にする能力を持つとされるが、劇中でそのような効果を発揮するシーンは無かった。便利そうなのに……
他にも左肩に備えた「ショルダーナイフ」を取り外して武器として使用する事も可能。

曲がりなりにもカテゴリーQである事から並のアンデッドを遥かに超える能力を持つのは確かで、突進してくる自動車*4を押し返すだけの腕力はあるが、
上級アンデッド全体で見るとそこまで純粋な戦闘力を秘めているわけではなく、劇中では苦戦する描写が目立っていた。


【余談】

  • 演じた肘井美佳氏は後に『牙狼-GARO-』シリーズでヒロインの御月カオルを演じており、「敵の女幹部からヒロインになった」と特撮ファンの間でちょっとした話題になったとか。
    • 何の陰我因果か、ウルフアンデッドが封印された♥️J・FUJIONのラウズカードに描かれてるのは「黄金の狼」である。残念ながら(?)『剣』内で「♥️Q→♥️J」のような使われ方はされなかったが。

  • 虎太郎役の竹財輝之助氏によれば、封印直後の始とのやり取り(みゆきを信じる事で始の事も信じられるようになりたかった)については、
    「『まず始を信じられるようになるのが先ではないか』と、当時のネット上ではかなり賛否が分かれていた」らしい。




追記に修正、楽しみが増えたわね……。もっと楽しませて貰うわ……!



この項目が面白かったなら……\アブゾーブ!/

最終更新:2025年04月27日 23:09

*1 実際、彼女の誘いに最初から最後まで乗ったのは矢沢のみ。

*2 恐らく変身しようとした始のカテゴリーAの封印をリモートで解くためだったと思われる。

*3 元々は没となった正面の顔のデザインの流用。

*4 新名=ウルフアンデッドのカモフラージュとはいえ、対アンデッド用に改造が施されていると思われる。