ケルビム(ウルトラ怪獣)

登録日:2020/11/28 Sat 17:41:05
更新日:2025/05/21 Wed 23:31:35
所要時間:約 3 分で読めます





中距離は火球、近距離は尻尾、更には至近距離では鋭い角と、
ケルビムは攻守共に完璧な怪獣なんです!



ケルビムとは、ウルトラシリーズに登場する怪獣である。
初登場は『ウルトラマンメビウス』。

最初は単なる怪獣でしかなかったが、出てくる毎に詳細な生態が判明し、特殊な能力が披露される等、多芸な怪獣でもある。


【データ】

別名:宇宙凶険怪獣
身長:44m
体重:44000t
出身地:宇宙


【概要】

宇宙怪獣の一種。
全身が青い体表に覆われ、大きな耳と頭頂部に生えた巨大な一本角「裂岩マチェットホーン」が特徴的。
また鋭い爪や先端にトゲの付いた尻尾「超音速クラッシャーテイル」を備えた攻撃的な見た目で、別名通りの凶悪な面構えをしている。

中距離では口から吐く3000℃の火炎弾「弾道エクスクルーシブスピット」*1、近距離では長大な尻尾による打撃、至近距離では鋭い角による斬撃と、全ての距離において隙の無い攻撃が可能。
また、宇宙はおろか水中でも問題なく活動できる高い適応力とオールマイティな能力を持つ。



【ウルトラマンメビウスでの活躍】

第4話「傷だらけの絆」、第20話「総監の伝言」に登場。

4話ではボガールに呼び寄せられ地球に飛来。
市街地で暴れていた所をGUYSミクラスと戦うが、ボガールの声に怯え日本海に逃亡。
その後再出現しミクラスと戦いダメージを受け、続くメビウスとの戦いでは優勢に立つも、GUYSの援護で角を破壊され、最後はメビュームブレードにより切り捨てられる。

20話では前回の個体が産んだ卵から孵化した個体が登場(つまり4話の個体は雌)。
GUYSの怪獣をコントロールする実験「ハーメルン・プロジェクト」の音波により日本に襲来。
同計画の音波を大きな耳で増幅する事により、共に出現したアーストロンを操り、2匹がかりでメビウスをボコボコにする。
しかしGUYSに音波発生装置を破壊され、正気に戻ったアーストロンと仲違いし、その隙にメビウスブレイブによりアーストロン諸共倒された。

劇場版『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』にも回想シーンにて登場。
20話の個体が現地まで来る間にとある子供とを襲っていたことが示唆されている。

内山まもるの漫画『超銀河大戦 戦え!ウルトラ兄弟』ではアークボガールの怪獣牧場におびき寄せられた怪獣のうちに確認できる。
最後は全員纏めて星ごとアークボガールの胃袋に消えた。


【ウルトラギャラクシー大怪獣バトルでの活躍】

第8話「水中の王者」に登場。
惑星ボリスでアーストロンと戦う。接近戦ではほぼ互角だったが、耳で威嚇した後に火球を連射し、強引に仕留めた。…と思いきや、実は死んだフリをしていただけだったアーストロンに不意打ちを食らい、自慢の耳を引きちぎられた挙句、そのまま熱線を撃ち込まれて死亡。『メビウス』とは真逆に、返り討ちにされる結果となった。


【ウルトラギャラクシー大怪獣バトルNEVER ENDING ODYSSEYでの活躍】

第10話「新たな戦いの地平で」に登場。
ガッツ星人に操られてレイのミクラスと戦うも敗北。


大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIEでの活躍】

ウルトラマンベリアル怪獣墓場から復活させた個体。メビウスと戦った。


ウルトラマンオーブでの活躍】

第9話「ニセモノのブルース」に登場。
馬場さんことババルウ星人ババリューを抹殺するべく、ジャグラス ジャグラーが召喚。
ババリューをボコボコにするが、オーブが乱入し、その猛攻の前に倒された。


ウルトラマンZでの活躍】


力は力を呼ぶ、か……


第21話「D4」に登場。
今回は親にあたるマザーケルビムが登場。
この話でケルビムは「強いエネルギー(今回はD4)に惹かれて星を襲い、その星に寄生・繁殖する」という生態が明らかとなった。
更に、時速720kmもの速さの高速飛行能力も披露した他、マザー(後述)との連携で他の周囲の卵を能動的に孵化させる能力を持つ事も判明。
そして従来の歴代ケルビム同様に、あらゆる範囲への攻撃に対応可能な戦闘力も健在。
これまでのパッとしない活躍を挽回するかの如き恐るべき脅威として描かれた。初登場から15年、漸く出世出来たといえよう。

個体の強さ的にはウインダムキングジョーSCのタッグであれは撃破可能な程度ではある。
とはいえウインダム単騎だとあまり勝ち目がなく、キングジョーSC単騎では勝ち目こそあれどかなり苦戦する程度には強い。
何よりマザーとの連携でマザーをどうにかして処理しないと延々同スペックのケルビムが湧き続け、時間が経てば経つほど数が増えていくため、最終的に数の暴力で叩きのめしてくるかなり面倒臭い怪獣となっている。

今作のケルビムはマザーが卵を産むことに専念し、子供である通常のケルビムがその補佐や外敵の排除を担うという、まるでアリやハチのような社会性を持っている。
そう考えると、『メビウス』でボガールが呼び寄せたのもわからなくもない。手軽に大量の餌が手に入るのだから。
そして、今までウルトラ戦士達が戦ってきたケルビムはほんの子供だという衝撃の事実も明らかとなった。
そうなると『メビウス』第4話の個体は若くして子供を産んだことになり*2、だからこそ1個しか産めなかったものだと思われる。マガオロチばりのロリママだ…


マザーケルビム


別名:宇宙凶険怪獣
身長:303m
体重:999000t
出身:宇宙

ケルビムの頂点に君臨し、ウルトラ怪獣界隈でのケルビムの評価を一転させた大怪獣。
外見こそ従来の個体と変わらないが、上述のスペック通り途方もない巨体で、ウルトラマンゼットが小さく見える程。
ウルトラマンZに登場した怪獣の中では最大サイズの巨体を持つ。
参考までに、アークベリアルハイパーゼットン(ギガント)は身長300m、体重30万t。重すぎる…

マザーは耳の第二発声器官をアンテナのように立たせて重力波を放ち、重力波を受信した卵を瞬時に孵化させることができる。
一般のケルビムも同様の器官を持ち、こちらはマザーからの重力波を中継・増幅・発信する為に用いている。

今作に於いてケルビム種は
  1. マザーが標的の星の大気圏外でスペースデブリ等に紛れて潜伏。
  2. 尻尾の先から隕石に似た卵を寄生先の星目掛けて大量に産卵。
  3. 最初に惑星地上に到達した卵がマザーの重力波によって孵化。
  4. 自身は大気圏外に居座って「産卵」と「孵化を促す重力波の発信」を行い続け、孵化と繁殖を促進。
  5. 最初に孵化したケルビムを経由して大量のケルビムの子供が孵化。
  6. 以下4と5をエンドレス
というプロセスを踏むことで安全圏に居ながらその星を侵略する恐るべき生態がお披露目。
その為マザーケルビムが居座った惑星には「ケルビムの卵の流星群が絶えず四方八方に降り注ぎ、着弾した隕石が次々とケルビムに変貌し増殖する」という異様な光景が展開される。
マガオロチでもこんな悪夢見せねぇぞ!
またマザーケルビムの卵はそれ自体がマザーの遠距離武器としても扱われ、外敵に対して卵の弾幕による集中砲火を浴びせて排除する行動を取る。

とはいえ、マザーの発信する重力波の範囲は実際の所有効範囲が狭いという欠点を抱えている。
よって孵化した子供のケルビムが「重力波の発信機兼中継器」として動くことで初めてケルビム種は大規模な孵化と増殖を可能としている。
そのためマザーさえ駆除してしまえば繁殖ペースは大きく食い止められる。

劇中での活躍

マザーケルビムによって産まれた大量のケルビムは、その物量をもってウルトラマンゼットストレイジを苦しめるが、マザーの存在を察知されてしまい、ゼットが撃破に向かう。
体格差は歴然であったが、デルタライズクロー変身したゼットとベリアロクによる「デスシウムスラッシュ」でマザーは倒された。
そしてまだ地上に残っていた多数のケルビムもキングジョー ストレイジカスタムから(半ば強制的に)発射された次元破壊兵器「D4」により空間ごと消滅した。
しかし、この事件で多大な影響が出たことから、ストレイジは解散を言い渡されてしまった…。

ちなみに、ヘビクラ隊長は過去の事もあってか「厄介な奴が来た」と呟いていた。



【余談】

  • デザインは板野一郎で、モチーフは東宝怪獣のバラゴン。元は劇場映画への登場を想定してデザイン&着ぐるみが製作された経緯を持ち、イボや鱗といったデザイン画に無かった細かいディティールもスクリーン映えを意識して追加されたものとのこと。

  • 撮影に使用されている着ぐるみは初登場の『メビウス』から『Z』まで、15年以上同じ物を使用している。
    『メビウス&ウルトラ兄弟』はTV本編より先に撮影が行われており、『メビウス』に登場した怪獣の中でも着ぐるみが作られた時期が初期の頃であるため、現在まで撮影に使用されている着ぐるみの中ではかなり長寿な分類に入る。*3
    出番が少ないから逆に保存状態が良かったのだろうか。

  • 上述した理由で劇場版への登場がケルビムの最初の撮影であるが、この映画においてゲストキャラの少年タカトのトラウマ怪獣として設定されている。子供が見たら泣きそうな恐ろしい形相は恐らくその設定から来ていると思われる。




追記、修正は星に寄生してからお願いします。

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最終更新:2025年05月21日 23:31

*1 設定上は、吐瀉物が空気と反応して発火したものであるとのこと。要するに燃えるゲロ。

*2 これに関しては怪獣に限定しても前作のヤングマザーザンドリアスなどの例もある。

*3 ゴモラですら放送当時にザラガスへ、大怪獣バトルの際に2度ほど改造流用に回されている