金田末吉(ケンガンアシュラ)

登録日:2021/02/02 Tue 09:51:16
更新日:2025/06/13 Fri 20:45:43
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………悔しいじゃないですか。

「弱者」を言い訳にして、挑戦すら諦めてしまうなんて。


漫画『ケンガンアシュラ』及び続編の『ケンガンオメガ』の登場人物。



●目次

【プロフィール】

異名:「大物喰い(ジャイアントキラー)
所属:義伊國屋書店(企業序列第19位)
身長:170cm
体重:73㎏
拳願仕合戦績:初参戦→7勝5敗(ケンガンオメガ)
年齢:27歳
誕生日:10月30日
好きな将棋の駒:桂馬
テーマ曲:Rie a.k.a. Suzaku「Cyber Moon」


【概要】

拳願絶命トーナメント予選の前日にに義伊國屋書店会長・大屋健が将棋センターで意気投合した勢いで連れてきた一般人
本業が棋士のためか和服で細目なのが特徴で、基本的に丁寧語である。
仕合も将棋を指すときと同じ和服姿で、闘技者の中では異彩を放つ存在である。
普段は安アパートに住んでおり、煉獄闘士の劉東成は隣人だが、互いに面識はない。

串田凛とは兄妹かと思えるほど瓜二つ(顔のパーツがほぼ同じ)なことを周囲に指摘されている*1が、当の本人たちは身長や髪など他の差異ががあるため全く似ていると思っていない。
ちなみに特に串田凛と金田末吉に血縁関係はない。出会って間もないのに「凛ちゃん」「末吉」と呼び合い気が合うようだが、全くの他人である。

【人物】

氷室涼との一戦(後述)を経て彼や理人大久保直也を含め一緒に行動している。4人の中では一番常識人だが、若干影が薄く、単行本の表紙になったのも続編のケンガンオメガで4人で一番遅い。

生まれつきの虚弱体質で、物心つく前から二度大病を患い、小学校に上がる前にも四度手術するなど、何度も死にかけている。
運動全般も全然だめで惨めな思いをしていたが、その中で「強さへの渇望」を持つようになり、幼少期から父の友人(実は元闘技者)のもとで紅人流を学ぶも、高校時代で筋力・持久力共に女子生徒に劣っており、現在でも「格闘技経験があるのかも疑わしい」と評される程度の動きしかできない
しかし自身が「弱者」であることは自覚しており、強さへの飽くなき渇望から「最強」を目指し、トーナメントへの参加を決意した。


【戦闘スタイル】

流派は介者剣術の一種である紅人流(くじんりゅう)
突き技や蹴り技もあるものの、投げ技で相手を崩して武器で仕留めることを目的とするため、素手のみでの闘いには本来向いていない。
更に金田の場合は体力面でも他者に大きく劣るため、「肉体・技術では勝てないならば思考で勝つ」という発想から相手の攻撃を凌いでで攻撃を解析して「先読み」の技術で動きを読み取り、投げで相手の腕を折るなどして敵を無力化する戦術がメイン。
加えて挑発を駆使して相手の心理を乱したり、自分の思惑通りに相手を動かす搦手も得意技とする。

その一方で身体スペック自体は上述の通りトーナメント参加者中最弱クラス。
「対人戦に向かない格闘術」と「スロースターターな戦闘スタイル」が相まって戦う度に全身ボロボロになるのが欠点。


先読み


(これで、「予測」が使える)


「超一流の棋士の詰め将棋」をイメージし独自に身に着けた高度な攻撃予測技術。金田が誇る最大の武器。
事前に相手の動きや攻撃パターンをシミュレーションすることで次の手を読み、相手が動く前に攻撃を回避、或いは相手の先手を取るという芸当。金田はこれを実戦の場で行っておりその技術は超人の域に達している。
金田は高校時代、この技術で後に現役の野球・サッカー・ボクシングのプロ選手となる生徒にそれぞれの専門分野で勝利し、他校から「四天王最強の男」と呼ばれていた。

欠点として攻撃を見て対応するため見たことのない攻撃に対しては対応が遅れるという点があるが、完全な状態では動体視力で捉えきれないような攻撃にも対応できる。
また金田の先読みは相手の動きをしばらく観察する必要があり、仕合前の事前の情報収集と研究、イメージトレーニングは必須。
おまけに体力のない金田はダメージを最小限に留めるため序盤は防御に徹しなければならず、どうしても一定のダメージは必ず受けることになるため、何戦も勝ち抜かなければならないトーナメント向けの闘い方とはいえない。


実は達人や天才レベルなら金田以外でも使える闘技者は割と多い。
特にトーナメント優勝者レベルだと、金田のように事前に観察やシミュレーションをせずとも相手が動く前に気の動きを読んでこちらから打って制する「先の先」の境地に達している者もいる。
作中では加納アギト黒木玄斎煉獄ではロロン・ドネア並びにA級闘士のカーロス・メデルがこの境地に達している。


確定予測

『ケンガンオメガ』で登場。
「先の先」の領域に才能とスペックの問題で到達できない金田が新たに編み出した技法。
目線、呼吸、仕掛けのタイミングなどを総合的に複合させ、相手の次の一手をコントロール。相手の技の選択肢を無くして、金田が意図する動きに誘導させるというもの。

先読みと合わせれば「先の先」にも対抗できる可能性を秘めているが完成には至っておらず、現在は手の内をある程度知ってる相手にしか使えないのが難点だが、それでも王馬相手に一本取れるレベルに達している。


完全体確定予測 蜘蛛の糸

前述の確定予測を完成させた技法。
先読みでは「先の先」に到達することが敵わないことから、「先読み」の使い方を変えることで、自分の動きを相手にわざと読ませて、そこから先読みと自身の身体の動きで相手の思考を誘導させることで、本来なら無数に存在する動きの選択肢を無くして相手を自身が確定させた動きへ誘導し、己にとって有利な状況へと導く。

この技法は相手の動きを精密に予測し先の動きを読める相手ほど有効的な技法であり、より一層に蜘蛛の糸は複雑に絡まるとのこと。蜘蛛の糸を体感した初見曰く「まるで意思を操られているみたい」と感じていた。



  • 釣瓶落とし
相手の突きを予測して相手の懐に入って首を取り、顎を抑えたまま後頭部から地面に叩きつける。

  • 下弦薙ぎ
体勢を一気に低くして足払いをかける技。

  • 天地返し
相手の突き手を躱して抱え込むような形で腕を取って投げる技。
投げの後は腕を極める。

  • 陰陽交差構(オンミョウコウサノカマエ)
左腕を振りかぶり右手を腰溜めに構え、左足を前に出して半身になった構え。

  • (はらわた)(つぶ)
心臓、肺、鳩尾、喉、延髄などの相手の急所に身体の一部を添えてそこから全体重をかけて押し潰す技。
技自体は地味でシンプルだが相手を容易に死に至らしめる「戦場の技」である。

  • (ココロ)()
相手の心臓に拳を当てて放つ鎧倒しの一撃。

【劇中での活躍】

ケンガンアシュラ

実は大屋に接触したのも「弱者」として強者に挑戦するべく、闘技者になってトーナメントに参加するという目的のためであり、彼が抱える闘技者である氷室涼に目をつけ「先読み」のために監視を行っていた。

ちなみに将棋は高校時代に全国大会で優勝するほどの腕前で、拳願号でのパーティー会場では賭け将棋を行い、大久保直也や山下一夫らの挑戦者をことごとく破っていた。

そして片原滅堂がトーナメント前に発表したルールの隙を突き、闘技者の座を譲るよう氷室に勝負を挑む。
序盤は氷室の攻撃に全く対応できず防戦一方で肋骨のヒビや内臓へのダメージを受けながらも、事前の観察や氷室が手加減していたこともあって、「先読み」により動きを見切ったことで徐々に氷室を追い詰め、遂には冷静さを失った右腕を破壊し勝利した。
これにより大屋から実力を認められ、氷室に代わって義伊國屋代表闘技者となる。


豪華客船拳願号で人知れず行われた死闘。

氷帝・氷室涼を下し闘技者の座を得た男!その実力は本物!新進気鋭下克上ファイターの登場だッッッ!!!

170cm73㎏、拳願仕合初参戦ッッッ!!!義伊國屋書店所属

大物喰い(ジャイアントキラー)”金田末吉イイイイイイッ!!!!

1回戦でガオラン・ウォンサワットと対戦。ガオランの「フラッシュ」をまともに受けたように見えたが、事前研究と合わせて「先読み」を発揮して僅かに急所を外しながら耐える。
機が熟した時にガオランを「天地返し」で投げることに成功するが、腕を折る前にカウンターを食らって失敗し、ガオランの猛攻を食らいダウンした。
ガオランは「俺に恐れを抱くことなく、無く正面から対峙した」と金田の勇気を認めて去ろうとするが、

……ふざけんなよ…てめぇ

……何がボクシング統一王者だ。それがあんたのやり方かよ。なんで追撃をしなかった?

あと一撃加えていれば確実にあんたの勝ちだった。………手を抜いたのか?俺が…弱者だから!


「弱者」が「最強」目指して何が悪いんだよ!!??


金田はガオランが弱者相手ゆえに止めの一撃を加えなかったことに激怒し、そして上記の啖呵をぶつける。
ガオランもサーパインの「応えてやれ!」という後押しと「勝負において同情は侮辱である」と考えを改めて謝罪し、ボクサーの仮面を脱ぎ捨てて、闘技者として全力で金田を潰す事を宣言。
実はこれは「先読み」の基準をガオランの本気に照準を合わせていたための挑発であったが、研究をもってしてもなお埋めることのできない実力差があることを自覚しながら、そのような相手に大勝負を挑めることに至上の喜びを感じ、最後の攻防に挑んだ。
金田は肘打ち、目潰しを繰り出しつつガオランの攻撃を読みによって絶妙に避け、10手先の投げ技に持ち込もうとするが、さらに上を行ったガオランの右ストレートが決まって敗北した。
とはいえ全参加者中最弱スペックの肉体でありながら本気のガオランの猛攻を10手まで見切って対処できたのは紛れもない事実と快挙であり、ガオランからもその事実を褒め称えられた。

実は仕合の時点で氷室戦でのダメージが完全に抜けきっておらず、戦法自体もトーナメント戦に向かないことから氷室から棄権を勧められていたが、多数の鎮痛剤を用いた状態で仕合に臨んでいた。その意気に対し氷室は「女だったらキスしてやりてえよ」と、女たらしの氷室らしい最大級の賛辞を贈っていた。

ちなみに雇用主の大屋は一勝もせず終えてしまったが、トーナメントへの参戦自体が会社の大きなPRとなるため、島に到着してから新規の取引が4件決まり、50億円の参加費をやすやす補填できるほどの商談をまとめていた。
また色物ばかりで真の強者たる闘技者の少ないトーナメントに失望していたガオランは、最初こそ凡骨と見なしていた金田を「強者(とも)」と一人の闘技者として認め、以降2人は親交を深めることとなった。

2回戦終了後の東洋電力のクーデターにおいては、負傷で車椅子に乗る今井コスモと共に一度は隠れるが、「何かを掴めそう」と戦いに参加したコスモが体得しようとしていることが「先読み」であることを見抜いた。


ケンガンオメガ

氷室とともに登場。闘技者としての活動を続けている。光我達との初対面時の戦績は7勝5敗。
煉獄との対抗戦は仕合スケジュールの関係で参加は難しいと事前に通告しており、別の仕合で負った肋骨2箇所の骨折からの回復が間に合わず、参加を辞退することになった。

対抗戦後は先読みの技術を応用し、相手の動きを自分の優位になるよう誘導する技術を身に着け、王馬ともスパーリングができるまでに実力をつけている。

戦鬼杯後の拳願仕合で初見泉と仕合をする。肉体的スペックの差や使用武術の相性の悪さから不利になるが、完成させた蜘蛛の糸で自身の有利な展開へと持っていって行き、最後は自身の狙い通りの状況に持っていき決めようとするが、それに気づいた初見による投げ技を受けて敗れた。
敗れはしたが、仕合によって確定予測がはまることが出来ればトップクラスが相手でも手が届くと証明し、仕合を見ていた王馬は「この負けで金田もっと強くなると」と確信しており、敗北後には金田もま、私は凡人ですから一歩ずつ焦らず、ね。と言っていた。勝った初見も、「俺を踏み台に、壁を超えた。」と確信しており、また1人厄介なのが増えたと思っていた。
仕合を見ていた闘技者以外の観客からは、2人が行っていた仕合の展開や内容が余りにも難解で分かりにくかったことから、「次は素人に優しい仕合で頼む」「よくわかんなかったけれど凄かった」と感想を言われていた。

【関連人物】


  • 大屋建
義伊國屋書店会長。
王馬の試合を観戦していた際に自分に啖呵を切ってきた山下一夫を気に入り、後に「カズちゃん」「ケンちゃん」と呼び合う飲み友達の間柄に。
一見、ただの飲んだくれの親父だが、その内には人の上に立つ者としての相応の野心と強かさを秘めており、速水のクーデターの際の脅迫にも「人の下に付くのは苦手」「俺、結構権力持ってるんだよね」と突っぱねている。
氷室を自社歴代最強の闘技者、その彼を倒した金田の事は敗れてなお「良い夢を見させてもらった」と高く評価している。

【余談】

世界観を共通する『ダンベル何キロ持てる?』にも一夫と共に登場し、アマチュア将棋トーナメントでひびきと豊田忠勝*2のコンビを破り優勝している。

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最終更新:2025年06月13日 20:45

*1 おまけ4コマでは理人がツーショットを撮って雑誌に投稿し、賞金まで手に入れている

*2 煉獄主宰者・豊田出光の先祖にあたる戦国武将の幽霊。