マトリエル(新世紀エヴァンゲリオン)

登録日:2021/04/12 Mon 00:51:08
更新日:2024/02/21 Wed 15:06:33
所要時間:約 7 分で読めます






現在、使徒接近中!

直ちにエヴァ発進の要有りと認む!


マトリエル(MATRIEL)とは『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する謎の生命体「使徒」の一体。
登場したのはTVアニメ版のみで、漫画版・新劇場版には登場しない。

+ 目次

基礎データ

呼称:第9使徒
天使名:マトリエル
全高:不明
体重:不明
象徴:雨
能力:溶解液


概要

第3新東京市地下のNERV本部を目指し侵攻をした使徒の一体。
名前の「マトリエル」はキリスト教ユダヤ教の伝承にある「雨の天使」である「マルティエル」の名に由来する。
ただし他の使徒同様劇中では天使名で呼ばれることはなく、主に「第9使徒」と呼称される。

外見を一言で言えば「」であり、4本の細長い*1脚に大きめの胴体と言う、分かりやすい見た目。
本体に当たる胴体部分には目玉の模様がいくつもあるが、コアがあると思われる目は胴体下部にある。
そういったデザインが苦手な人や、虫が苦手な人からすればシンプルに気持ち悪く感じるかもしれない。
胴体は非常に低い位置にあり、底面部分が地面から数メートル程度しか離れていない。

「雨」を司る天使の為か、上述した胴体下部の目から強力な溶解液を雨の様に流し、対象物を溶解させつつ、NERV本部への通路を作ろうとしている。
溶解液の滴下を行う目が下についているのも地下への通路開通の為である事を考えればある意味自然な発想と言える。しかし……。


主な能力

溶解液

目から放たれる強力な溶解液。
マトリエルが作中で披露した唯一の攻撃方法で、エヴァのボディを溶かしつつ、
NERV本部へ直接侵入する為の経路を作ろうとした。

A.T.フィールド

使徒の共通能力。


劇中の活躍

TVアニメ版

第拾壱話に登場。

旧熱海付近の海上より出現。
発見したのは府中にある国連軍の航空自衛隊総括総隊司令部。
A.T.フィールドを持つ使徒に対して出来ることがない国連軍は警報シフトを行うにとどめ、使徒の動向を確認していた。
彼らは使徒の目的地は第3新東京市で、NERVが対応すると考えていたが、そのNERVとは何故か連絡が取れず、第3新東京市内でも動きがない。


それもそのはず。
この時第3新東京市では何者かの手によって全体の電気系統が落ちており、NERV本部も例外ではなく、全体の1.2%の回線*2を除く施設内すべての電源が落ちるという悲惨な状態になっていた。(黒幕は明かされないが、理由については停電復旧のルートから本部の構造を知る為に行ったのではないかと作中では推測されている。因みに後々の行動を考えると加持の仕業だと推測され、漫画版では実際に加持の仕業という事になっている。)
当然連絡も来ない為、彼らは使徒が接近している事など知る由もなかったのだ。


この結果マトリエルは何ら妨害を受けることも無く、悠々と第3新東京市への移動を開始。


事態を重く見た国連軍はNERVと連絡を取る為に空自の連絡機を差し向ける。
この時NERVメンバーの中で唯一屋外にいた日向マコト*3は空自のアナウンスでいち早く使徒が迫ってきている事を知り、たまたま近くを通りかかった選挙カー*4を半ばジャック(運転手はノリノリだったが)する形でNERV本部へ移動し、使徒接近を報告。


ゲンドウは緊急用ディーゼル及び人力でエヴァ3機の発進準備を、(自身も準備に参加したうえで)開始し、エントリープラグの挿入準備を完了。


パイロット側は入口が封鎖された為に手動でゲートを空けて移動をしていたが、電気がない為に暗い上に、アスカが主導権を握りたがっていたり、アスカがレイに突っかかってきたりとなかなか本部に辿り着けないでいた。(1度はジオフロントどころか地上へと戻ってしまった挙げ句に、その移動していた使徒を肉眼で見かけてしまうという場面も……)


最終的にレイが提案したダクトからの移動で到着。
その後はエントリー準備を手動で行い、エントリー完了。


補助電源で起動に成功し、非常用バッテリーをセットした状態で発進*5し、既に第3新東京市に到着しているマトリエルの撃破へ向かう。


解錠された拘束具を外し、エヴァ3機は狭い横穴を移動。その後縦穴に出てよじ登っていた所ところで縦穴の出入り口で構えていたマトリエルと遭遇。


マトリエルは溶解液で攻撃を行ってきた為、一時横穴まで退却するが、パレットライフルを落としてしまい専用バッテリーも電池切れ。
活動限界まで3分を切っていて厳しい状況。


ここでアスカは3機が「オフェンス」「ディフェンス」「バックアップ」の役割受け持って使徒に対抗することを提案。
ディフェンスはマトリエルのATフィールドを中和しつつ縦穴上で溶解液を一手に引き受け、バックアップは落ちたライフルの回収、オフェンスはバックアップから受け取ったライフルを使徒に向かってぶっ放す。


最も厳しいのは肉壁となるディフェンスだが、このポジションは前回シンジに助けられた借りを返す目的で、立案者のアスカが自ら手をあげる。
その後レイがバックアップ、シンジがオフェンスといった形で担当決めを行い、すかさずそれを実行。
弐号機が縦穴を出来る限り覆う事で酸の雨をせき止め、零号機は最深部でパレットライフルを回収し、初号機にパス。そのまま初号機が上部にいるマトリエルに銃撃。

その結果マトリエルは倒され、使徒の撃破に成功。
また、その後停電も復旧した為、そちらの脅威も去ったのだった。


最弱の使徒?

……とまぁ、ここまでマトリエルの特徴等について述べてきたが、この使徒は「最弱の使徒」候補としてネタにされている。

まず攻撃レパートリーが余りに貧相すぎることが上がる。
確かに溶解液の酸は強力だが、他の使徒に比べると地味な方法である上に、火力に秀でる攻撃手段でもない。作中では零号機の予備電源こそ瞬時に溶解せしめたものの、弐号機の装甲にはほぼ無力*6で、初号機&零号機がライフルを回収して撃つだけの隙を与えてしまっている。しかもアスカは戦闘終了後も比較的余裕そうにしている*7あたり、有効打を与えられたとは言いづらいだろう。

それを出せる部位が下にある為、通常のエヴァの戦闘の様に対峙する形の場合、自身が体勢を変えない限りは相手に向かって打ち出せない事になる。
それは同時に相手に攻撃しようとしているときは相手に「ここが弱点だぞ」と教えているも同然な状態であるのも弱さの原因と言える。
またセントラルドグマまでの移動も、溶解液だけで行けるほど容易なものではないのも問題である。

次にパレットライフルを5秒ほど受けるだけであっけなく倒されてしまう点。
A.T.フィールドは中和されていたとはいえ、中和されていた状態でも余裕で耐えてた使徒がいる一方、コイツは弾丸の雨を受け止められないというある意味情けない一面を見せている。
因みにライフルで死んだ使徒はどのメディアにおいてもコイツ1体だけである。

他にパレットライフルが持ち出されたのはシャムシエル*8イスラフェル戦、ゼルエル戦、アルミサエル戦の4回。シャムシエルはA.T.フィールドを中和されていたと思われるが被弾してもびくともせず、イスラフェルも2戦目はA.T.フィールドを中和されていた状態で被弾していたが余裕で耐えていた。ゼルエルに到っては1マガジン撃ちきったのち、更に二丁拳銃スタイルで両手撃ちしても傷一つ付いていない。アルミサエル戦ではパレットライフルは射撃前に破壊されているため直接撃ってこそいないが、その前に零号機がもっとゴツい狙撃用のライフルで接射しても少しも意に介していなかったため、おそらく通じないだろうと思われる。*9

しかも停電と言う大きなハンデを人間が背負っている状態でこのザマという点がネタ扱いに拍車をかけており、もし普通に戦闘を行えば一瞬で終わってしまっていたのではないかと考えられている。
尤もコアが下部にあるのならその位置までスライディングか何かで滑り込んで攻撃しなければならない可能性もあるので、平時で迎撃・対峙した場合どういう戦いになっていたのやら。

一応「停電によって人間側の攻撃を受けなかった事で、A.T.フィールドが初期状態のままエヴァ達と交戦してしまったのではないか?」という考察もあるにはあるが、攻守両面の貧弱さをフォローできるかは微妙なところ。

また、最弱かどうかの放脚とは関係ないが、マトリエルは漫画版では登場しないが、実は停電の回自体は漫画に収録されている。*10
登場時イベントはあるのに当人は消されているという点もある意味不遇である。

ぶっちゃけるとマトリエルとの戦闘より水を入れたバケツに足を突っ込んで涼をとるゲンドウというインパクト抜群のシーンの方が有名である。

冬月「ぬるいな……」
ゲンドウ「ああ……」


他作品での活躍

新世紀エヴァンゲリオン2

使徒の1体として登場したが、ミサトからは「タラタラおつゆを垂らして下品な使徒」と、あんまりな言い方をされていた。ちなみに原作においてはミサトの方が違うおつゆを垂らしそうになる危機に陥ってたのだが。
凄まじい攻撃範囲を持つが火力自体は大したことなく、A.T.が十分高ければノーダメ撃破も余裕なためこちらでも最弱扱いされている。
原作での行動を反映してか攻撃されない限りエヴァを無視してひたすらジオフロントを目指すようにルーチンが組まれているのでジオフロントを目指している間に後ろに回り込んでひたすらキックを連発するという戦法も有効。

バトルオーケストラ

プレイアブルキャラではなくステージギミックとして登場。
特定のステージで画面上部から現れて酸を垂らすことで攻撃を行う。
酸の威力は設定から変更でき、即死級の凶悪ギミックにすることもできる。本編以下のしょっぱい威力にすることもできる。

スーパーロボット大戦シリーズ

登場作品は『α』のみ。原作通りのシチュエ―ションが登場するが、扱いはあまりいいとは言えない。*11

余談だがこのエピソードで、ミサトが原作にはない台詞として「手で動かすって…デ○ラー機雷じゃあるまいし…」とボヤいていたが、
まさか後々のスパロボヤマトとエヴァが共闘することになるとは誰も予想していなかったであろう…


余談

その外見からクモをモチーフにして作られたと思われているが、実はモチーフになったのはクモではなくザトウムシである。

マトリエルは第9使徒のはずだが、上陸の様子を見ていた戦略自衛隊は「恐らく8番目の奴だ」と言われている。これは使徒の数を正確に知っているのはNERVとゼーレのみであるからと思われる。*12

実はマトリエル戦はアニメ版における零号機・改のデビュー戦でもあり、アニメにおけるシンジ・レイ・アスカが共同で作戦を行った初の回となっている。

マトリエル戦で登場した非常用外付けバッテリーだが明らかにアンビリカルケーブルからの給電より取り回しが良さそうなのとそのアンビリカルケーブルが切断されてピンチに陥るという描写が多かったのなんで今まで使わなかったの?とツッコまれる事も*13。因みに戦闘で使われるのはこの回のみに留まり、今後一切使われない*14。量産機戦なんかではこれがあれば違った結末になりそうだが……今週のビックリドッキリメカ……と言うには少々地味か。地味過ぎてゲーム作品でもほぼ無視されてるのに何故かプラモの付属品として立体化している。

ゲーム『星のカービィ3』には、マトリエルをモチーフにしたと思しき雑魚敵「マリエル」が登場する。黒くて丸い体から4本の長い脚が生えており、シルエットは酷似している。

登場する国連軍の三人組は、第一話で出てきたあの高官たちである。灰皿にJASDFとあることから、航空自衛隊所属であることもここで明らかになった。



追記・修正は停電中にライフルで狙撃されないようにしながらお願いいたします。
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最終更新:2024年02月21日 15:06

*1 本体部分に比べての話であって、普通の人の目線から見れば十分大きい。

*2 セントラルドグマ及びMAGIの維持に利用された

*3 ミサトの洗濯物を彼女に押し付けられる形で取りに向かっていたため

*4 「高橋覗」と言う人物の選挙カーになっているが、これは当時のジブリプロデューサーの高橋望氏名前をもじったもの

*5 ミサトはエレベーター内で閉じ込められているので、本話ではリツコが指示を出している。

*6 中のアスカの様子からダメージを負っていることは窺える。

*7 マトリエルの酸をアスカが受け止めていた時間はおよそ15-20秒程度だが、戦闘終了前後でアスカの声のトーンに変化がほぼない。パイロットも状況も違うため比較対象としてはあまり当てにならないが、ラミエルの光線を17秒盾で押さえ、2-3秒直接照射された零号機は各部が融解し、レイもかなりグロッキーになっていた

*8 「目標をセンターに入れてスイッチ」はこの回

*9 事実漫画版においては弐、零、初号機がパレットライフルを使用、当然の如く通用しなかった。

*10 メタ的な観点から言えば、停電が起きたのはサハクィエル戦のすぐ後なので、本当に出すと消耗状態から更に2戦目に発展することとなる為、それらを避ける為だったのではないかとも考えられる。

*11 停電中でエヴァが最初は出撃できないが、他の自軍部隊だけで倒すことも不可能ではないため。

*12 おそらくリリスの存在を秘匿されていると思われる。

*13 描写を見る限り、肩パイロンに装着するタイプのため、カタパルト輸送台が使えない=地上へ射出後あるいは除去後の施工が必要というかなり利用可能な状態が限られる、まさに「非常用」なためであろう。元々エヴァは都市防衛用なため近辺で電源施設が無い状態での戦闘を余り想定していないのも影響していると思われる。実際にイスラフェルとの初戦といった郊外での戦闘でもアンビリカルケーブルを輸送、延長して対処している。因みに『Q』に登場するエヴァ改2号機と8号機は都市防衛を主目的としていないため外付けバッテリーパックを交換する事で稼働時間を延長していた。

*14 戦闘以外であれば、第拾四話「ゼーレ、魂の座」最終部にてレイがアダム(リリス)にロンギヌスの槍を刺しに向かうシーンで確認できる