イスラフェル(新世紀エヴァンゲリオン)

登録日:2021/04/24 Sat 17:21:55
更新日:2024/12/12 Thu 17:01:29
所要時間:約 10 分で読めます






まったく恥をかかせおって……!



イスラフェル(ISRAFEL)とは『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する謎の生命体「使徒」の一体。
なお、新劇場版には登場しない。

+ 目次

基礎データ

呼称:第7使徒
天使名:イスラフェル
全高:不明(エヴァよりひとまわり大きい)
体重:不明
象徴:音楽
能力:分裂・切り裂き・怪光線


概要

第3新東京市地下のNERV本部を目指し侵攻をした使徒の一体。
名前の「イスラフェル」はイスラームの伝承にある「音楽の天使」である「イスラーフィール」に由来する。
実はエヴァにおいてイスラームの天使をベースにした使徒はイスラフェルのみである。
ただし他の使徒同様劇中では天使名で呼ばれることはなく、主に「第7使徒」と呼称される。

外見はサキエルと同じく二足歩行型だが「首のない人間」の様なフォルムで(ウルトラマンのジャミラのような体型といえばある程度想像ができるか)、身体の頭頂部から3本指の腕が弓の様に垂れ下がっており、胸部に大極図のような顔が存在し、その下にコアがある。
指は鋭い爪があり、対象を引き裂くのに用いられ、脚部は鳥のものに近い形をしている。
エリアを移動するときは主に歩行だが、作中では短距離ながら浮遊もしている。


能力

……と、外見的には大きな特徴のない使徒だが、身体を真っ二つにされる様な致命傷を1度負うと、切れ口から身体が生成されて2体に分裂すると言う驚くべき能力を持っている。
分裂前のカラーリングは灰色で顔部大極図模様は赤と青だったが、分裂後は1体がオレンジ、もう1体がオフホワイトになり、顔部の模様は白の円上に3つの穴が開いた形状で統一される。
作中ではオレンジの方を「」、オフホワイトの方を「」と呼称している。

分裂状態ではステータスは1体の時と同等な上に2体がシンクロしながら全く同じ動きをして全く同じ攻撃をしてくる。
最大の特徴として1体がダメージを受けても、もう1体が無事ならばダメージが瞬時に回復するという初見殺しすぎる能力を持っている。
ただし、2体共に大きなダメージを受けると再び分裂前の状態に戻る。
この際コアも1つに戻ろうとするが、肉体部の戻りに比べると多少時間差があり、このタイミングで双方のコアを攻撃されると撃破される。
が、逆に言えばこの状態でないと撃破が出来ない。
即ち戦闘の流れは……

①:1体の状態から2体へ分離させる。
②:2体を同時に攻撃してダメージを与え、1体へ戻らせる。
③:コアが1つに戻り切る前に同時に破壊する。
(もし破壊できなかった場合は再び①からやり直し。)

という流れで行わなければならない。
誰の目にも明らかだろうが、ぶっちゃけエヴァ単騎ではほぼ不可能な上に2機以上でも相当難しい。

攻撃方法は爪による切り裂き、顔部からの光線。他の使徒と比べて特別秀でているわけではないが、遠近双方に対応可能。
防御面も上記の分裂からの復活などである程度はカバーできるため、全体的にバランスの取れたステータスになっている。


一方でA.T.フィールド自体はあまり強い訳ではないらしく、UN空軍からのN2爆雷によって一時的に活動不能になっている。


分裂

イスラフェルの最大の能力。
2体で1つの第2形態である甲と乙に分かれた後に敵に攻撃を行い始める。
この状態では1体がダメージを受けても、もう1体が無事なら瞬時に回復してしまう。
ぶっちゃけこの状態になってからが、この使徒との戦闘の本番である。

近距離攻撃方法で、鋭い爪で相手を引き裂く。

光線

顔部から光線を放つ。
威力が特別高い訳ではないが、作中では短時間で何発も打つなど、連射性はかなり高い。

A.T.フィールド

使徒の共通能力。
ただ他の使徒に比べてその強度は低いようで、中和等をされていない状態でもN2爆雷でしばらくの間行動不能になってしまっている。


劇中での活躍

TVアニメ版

第九話に登場。


紀伊半島沖から第3新東京市へ向かおうとしている所を巡洋艦「はるな」が発見。

第1種戦闘配置の指示が出るが、第3新東京市はヤシマ作戦におけるラミエルとの戦闘が影響で迎撃システムに問題*1があったため、同市内で迎え撃つのは不可能と判断したミサトが上陸地点まで初号機弐号機を空輸。その後、2機の波状攻撃を以て、水際で殲滅するという作戦を立案。

現れたイスラフェルに対してアスカがソニックグレイヴを手に先行、シンジがライフルでバックアップと言う形を取り、戦闘を開始。
隙を見てアスカが一気に間合いを詰め、両断したことで戦闘はあっけなく終結した……かに思われたが、ここでイスラフェルが甲と乙に分裂。
その後の戦闘が描かれていないものの、初号機は甲の攻撃によって駿河湾沖合2キロ地点で水没、弐号機も乙の攻撃で山間部に吹っ飛ばされて活動停止。*2どちらも上半身を水中(地中)に埋められたようなシュールな姿を晒した。リツコ「無様ね。」

エヴァを殲滅されたNERVは作戦遂行を断念し、国連第2方面軍に指揮権を譲渡。
N2爆雷の攻撃を受けた結果、構成物質の28%の焼却に成功し、一時的にではあるが足止めをすることに成功。


アスカ・シンジは冬月から作戦失敗についての叱責を受けるが、互いが互いに文句を言い合い、話にならない。

ゲンドウ不在時の出来事のため、左遷等は免れたミサト。ゲンドウがキツいのか、冬月が舐められているのか。

が、眼前に広がる現実は抗議文の嵐と「また失敗すれば次はない」と言う厳しい状況。

そんな中で新たな作戦案を立てたのは加持だった。(ミサトの所に持ってきたのはリツコ。)

イスラフェル撃破に必要なのは「分離中のコアに対する2点同時の荷重攻撃」。これに必要なのはエヴァ2機による完璧な動きのシンクロ。
イスラフェルは現在、焼却部分の修復中で再び動き出すまであと6日ほどしかない。
そのために、シンジとアスカはミサト宅にて同居し、2人の完璧なユニゾンを実現するために用意された音楽の攻撃パターンを覚えることとなる。


2人は不潔なペアルックで練習を重ねるも、上手く行かない。
アスカはシンジにレベルを合わせるのは無理だと言うが、レイとシンジで試しにユニゾンを実行してみた所、何と一発で上手く行ってしまう。

プライドを傷つけられたアスカは居たたまれなくなって家を出てしまう。
見舞いに来ていたヒカリに言われるままにアスカを追いかけたシンジ。
が、アスカのプライドは傷つきはしたものの折れてはおらず、「レイやミサトを見返してやる」と反骨心に近い気持ちで奮起。
再びシンジとの特訓を再開。ペンペンやミサトも交えて何やかんやありながら当日を迎えることとなった。

再び動き出したイスラフェルは強羅防衛線を突破。
ミサトは音楽スタートと共にA.T.フィールドを展開。以降作戦通りに展開するよう2人に指示。




いいわね? 最初からフル稼働。最大戦速で行くわよ!


分かってるよ。 62秒でケリをつける!


外電源をパージされた初号機・弐号機は輸送台から高く飛び上がり、息をぴったりと合わせ、イスラフェルに攻撃。
敵が2体に分裂した後も、地上に移動してからは華麗に攻撃をかわしつつ反撃。
迎撃システムなどの援護もあり、イスラフェルは1体に戻ろうとするが、戻り切っていないコアの部分を、動きをぴったり合わせた初号機・弐号機が飛び蹴りを喰らわせ、初号機が甲側のコアを、弐号機が乙側のコアを破壊し、宣言通りきっかり62秒で撃破に成功。
なお、劇中では画面右下にカウントダウンが表記されているせいで1ターン1分のスパロボでも毎回62秒からカウントダウンする
イスラフェルは大爆発を起こして撃破された。が……。






あっちゃー……


無様ね。


最後のシメの部分で失敗し、初号機・弐号機は爆発地点にてコントの様な態勢で止まっていた。シンジ・アスカはここでまたしても痴話喧嘩を始め、冬月はその様をモニターで見つめて呆れながら、




また恥をかかせおって……!


とぼやくのだった。


漫画版

シャムシエルと同様に合体状態のデザインが若干変更されており、コアが上下に二つ並んだ形になっている。
TVアニメ版では(初号機・弐号機の共闘こそ今回が初めてだが)アスカとシンジの初共闘がガギエル戦だったが、漫画ではアスカと出会うタイミングが異なるため、今回の戦闘がシンジとアスカの初の共闘となる。
登場から分裂してやられるまでの流れはTVアニメ版とほぼ同じだが、上述した通り分裂前の状態で既に胴体にコアが二つ上下に並んでいるため、その事にシンジが気づき違和感を覚える描写が挟まれている。
分裂後の戦闘もカットされることなく描写され、分裂中の自動回復はこのタイミングで明かされている。
また初号機と弐号機の負け方も二機が投げ飛ばされて空中で衝突させられ戦闘不能になるという形になり、敗戦後の叱責は冬月ではなくゲンドウが行っている。

その後のユニゾンの練習はミサトの家ではなく、NERV本部内にあるホテルの様な部屋の中で行っており、その間にアスカの過去の掘り下げなどが行われる。*3
アスカが出ていく流れの部分では漫画では加持がシンジにアスカを追うように言っており、追いついた後の話す内容も変わっている。
練習内容はツイスターゲームではなくダンス。アスカが奮起した後の特訓はアスカが天井の監視カメラを蹴り壊してミサト達に無断で夜中に行っている。

復活後の再合体はせず分裂状態のまま侵攻。
シンジたちのセリフが少し追加されていること以外はほぼ同じだが、撃破される際も合体はせず二体のまま撃破された。
戦闘後に喧嘩をしていたTVアニメ版と異なり、漫画版では練習の疲れがたまっていたのか、戦闘後は2人とも勝利に満足した様子で寝てしまうという形で戦闘が締めくくられた。
因みにこの後長期間の休載に入り、再開後絵柄がガラリと変わったのも有名。


他作品での活躍

新世紀エヴァンゲリオン2

チュートリアルシナリオの『使徒、襲来』だと本編同様のシチュエーションで登場するが、それ以外のシナリオだと庵野AIが恋愛モードになると登場するという変わった特徴を持つ。
初戦はまず負けイベントとなり、次戦が本戦となる。
ユニゾン訓練判定をパイロットと行う事で誰と組むかを決めることが出来る。
(つまり状況次第ではトウジカヲルと組むことも可能。)
因みにトドメに使うユニゾンキックはマゴロクソードを超えてゲーム中最強の威力を誇るもののイスラフェル戦限定のイベント技になっているため他の戦闘で使う事はできない。

エヴァンゲリオンANIMA

エンジェルキャリアーの使徒幼生の一体として登場。
分裂した状態で二体のキャリアーの繭の中にいるため合体は出来ないと思われる。
ヨモツヒラサカ新島戦でトーヴァートによって召喚され最終号機と交戦、キャリアーの繭の中に隠れたまま戦う事でそれぞれが不死身の使徒幼生であるかのように見せかけていたが、半身が光と化した最終号機の手刀によって纏めて貫かれ撃破された。

エヴァンゲリオン バトルオーケストラ

使徒の1体として登場。
高い攻撃力と長いリーチを持ち、ビームによる遠距離攻撃が得意。
ゲージを消費しない技も有している。
覚醒すると本編よろしく自らの分身を作りだし全ての攻撃が2回ヒットするようになる。
(地味に本編では見せていない蹴り技などもある。)
ちなみに原作の初登場時に海中から両腕を挙げた姿勢で出現したイメージが強いためか、基本姿勢が両手を挙げた万歳ポーズで固定されており動き回るとシュール。

スーパーロボット大戦シリーズ

α』にのみ登場。(『MX』ではかつて倒されたことが言及されるが、直接の登場は無し。)
ロンド・ベル隊が進駐した南アタリア島に出現。撃墜後に甲・乙に分離し、それ以降はそのままの状態で戦闘を行う。
ちなみに分裂前の方は水中戦になるという理由からなのか、パイロットステータスや装甲が分裂後より微妙に劣るという何とも言えない仕様に……。
なお、分裂前との初戦はエヴァ3体と母艦のリーンホースJr.で戦い、誰が倒したかで異なる台詞が用意されている…そう、リーンホースJr.でも倒せるし台詞もある。さらにこの場合ボーナスで資金も獲得出来る。
この時の驚愕するエヴァ組と「まさか私もリーンホースで使徒を倒せるとは思わなかった…」というブライトの台詞はスパロボファンの間で有名。
寺田プロデューサー曰く、「誰もやらないだろ、と思って入れた隠しイベントだったがみんな普通にやってて驚いた」とのこと。
まぁ、水中戦である関係上これがアーガマとかラー・カイラムだったらやる人少なかったかもしれないが、海Bとはいえ水中戦対応のビームラムなんてものが最強武器になっているんだから、そりゃ串刺しにしたくなるのが人情ってものである。
ただし、いざ狙って落とそうとしてもそう簡単にはいかずATフィールドに防がれてしまうので、撃墜するにはちょっと頭を使う必要がある。ヒントは「ATフィールドは気力100未満では発動しない」

またここでシンジで倒すと、本来なら終盤でカヲルを倒してしまい原作通り引きこもり一時離脱するところを、踏みとどまってゼントランとの決戦に参加、劇場版シナリオで危機に陥るNERVへ向かって宇宙から駆けつけるというIFのフラグのひとつになる。
フラグを立てない場合はブライトで倒すのが熟練度と資金的にお得である*4*5

分離した後はあろうことか「原作通りEVAで倒す作戦*6」ルートか「スーパーロボット軍団で力押しで倒す作戦*7」ルートに分岐する
PS版ではユニゾン攻撃もないので後者のルートでも割と問題ないという…こっちを通らないとサイバスターが何のイベントもなく精霊憑依できるようになるし

パチンコ・パチスロシリーズ

各エヴァリーチよりもチャンスな「瞬間、心、重ねて」のストーリーを再現した通称ユニゾンリーチでシリーズ通して何度も登場している。

アニメの通りシンジとアスカのユニゾンで撃破出来れば大当たりという内容。
ただ、シリーズが進むにつれてオリジナル展開のリーチでシンジとレイでユニゾン*8、レイとアスカでユニゾンを仕掛けるパターンも出てくるようになった。
また、「リーチ開始直後のミサトから説明を受けるシーンでシンジ→アスカではなく、アスカ→シンジの順番で映る」、「最後の蹴りを喰らうイスラフェルが2体のまま」という地味ながらわかりにくいプレミアがいくつか存在していることは打ち手の間でちょっとした評判になっている。
当たればイスラフェルが大爆発してよっしゃー!なのだが、ハズれると原作最後の着地に失敗したシーンが映る。一方復活演出も用意されており、ミサトが「まだよ!」と言った後に何事もなかったかのようにもう一度ジャンプして蹴りに行く。活動限界迎えてるはずなのに。制限時間はレインボーになってたりするが。


余談

イスラフェル戦(2戦目)にて流れた音楽は「Both of You, Dance Like You Want to Win!*9」で、登場回である第九話「瞬間、心、重ねて」の英題にもなっている。

使徒との戦闘において「初戦闘から撃破までに日付が変わる」と言う状況になった使徒は、実はラミエルとイスラフェル、そして後に登場する レリエルの3体のみで、イスラフェルはその間隔が6日と最も長い。(ラミエルとレリエルは初戦闘の翌日に撃破されている。)

作中で行っていた「音楽によるユニゾンの訓練」だが、後に出たヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qにおいてシンジとカヲルが行ったピアノの連弾を元にして気持ちをシンクロさせ、13号機に搭乗するという一連の流れはこれと類似している。
また、2戦目の戦闘時に初号機と弐号機が半身ずつ描かれた様は、シン・エヴァンゲリオン劇場版:||の初期構想にあったエヴァ8+2号機のそれにも似ている。





追記・修正は2人同時に、完璧にユニゾンしながらお願いいたします。
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最終更新:2024年12月12日 17:01

*1 全体の3割弱ほどしか復旧されていない。

*2 ちなみに何故か陸側にいた初号機が海に飛ばされ、逆に海側にいた弐号機が陸側に飛ばされている。

*3 ちなみに漫画版のアスカがミサト宅に来るのはこの戦闘の後。

*4 逆に原作通りアスカで倒しても特典がない。

*5 レイで倒すと熟練度のみを獲得出来る。

*6 ただし、当時はCD-ROM媒体のゲームで合体攻撃システムが実装出来なかったため、同一ターン内にイスラフェル甲・乙を倒すことが勝利条件となっている。DC版では合体攻撃が可能になった。

*7 こちらを選んでもシンジとアスカの特訓は行われる。

*8 台によってはこちらはプレミアで当確

*9 和訳すると「2人とも、勝ちたいならば踊りなさい!」となる。