デステニー・デストロイ(遊戯王OCG)

登録日:2021/08/10 Tue 19:58:28
更新日:2025/02/09 Sun 15:00:39
所要時間:約 5 分で読めます




通常罠
自分のデッキのカードを上から3枚墓地へ送る。
この効果で墓地へ送った魔法・罠カード1枚につき、自分は1000ポイントダメージを受ける。

《デステニー・デストロイ》とは『遊戯王OCG』に存在するカードの1枚である。
初登場パックは「ENEMY OF JUSTICE」。
「デステニー」の名前を持つが、見ての通り「D-HERO」とは関係ない効果となっている。 

イラストは裏側の3枚のカードがデュエルディスクの墓地へ送られているというもの。
アニメでは墓地へ送られているのは5枚の表側のカードとなっており、OCG化に際してイラストが変更されている。
後述するOCG版とアニメ版で効果が違うためと推測される。


【概要】

デッキの上からカードを墓地へ送る墓地肥やしが行える。
効果ダメージを受けたくない場合は、モンスターを多く採用するのも手。

……賢明なデュエリスト諸君はもうお分かりだろう。
このカードの絶望的な弱さが。

まず目玉の墓地肥やしだが、同じ通常罠で5枚も墓地へ送れる上にデメリットが一切無い実質上位互換の《針虫の巣窟》の存在があまりにもデカすぎる。
通常魔法の《隣の芝刈り》に至っては状況次第で20枚前後落とせる。
「3枚」という点に着目しても、
  • モンスターカードだが同じ枚数墓地肥やしできて攻撃力アップ+破壊された時に1ドローできる《カードガンナー》
  • リバース効果で起動が遅いが相手のカード破壊もできる《ライトロード・ハンター ライコウ
の方が汎用性が高い。
流石に約2年後に登場した《針虫の巣窟》や10年後の《隣の芝刈り》と比べるのは酷だとしても、3~4年でもこれより良いカードは既に登場している。
(特殊なデッキ向けだが)強力な墓地肥やしと展開能力を持つ通常魔法《名推理》や《モンスター・ゲート》もその一つである。

ならばデメリットのバーンを逆手に取って《レインボーライフ》でLPを3000回復……といきたい所だが、それも難しい。
3枚ともモンスターの場合とかで必ず効果ダメージを受けるとは限らないため、かなり不安定。
発動時に3000回復してフィールドから離れた時に3000ダメージを受ける《女神の加護》の方が相性が良い。

ちなみに自分が受ける効果ダメージを相手に押し付けるカウンター罠《地獄の扉越し銃》とのコンボは不可能
これは《地獄の扉越し銃》が「効果ダメージを受けることが確定している」事が発動条件で、《デステニー・デストロイ》はそれが不確定なため。
デッキトップが確認できる《天変地異》が発動している場合でも不可能である。

海外での名称は《Destruction of Destiny》。
直訳すると「運命の破壊」だが、実際は場合によっては自分の運命を破壊してしまう超問題児である。

余談だが、こんなどうしようもない性能であるにもかかわらず初出の「ENEMY OF JUSTICE」では字レアで収録されている。
そのため海外版であるTCG版やアジア版、韓国語版ではなんとアルティメットレア版が存在する
「ENEMY OF JUSTICE」は当時基準で見てもレア以上に有用なカードが少なかったの方なのだが、このカードはその中でも頭一つ抜けた弱さであった。
基本的に箱に1枚しか入っていないレリ枠をこれで潰してしまったデュエリストの心境たるや想像するに余りある。

昨今ではアジア版の暴騰に伴い、アジア版のアルティメットレアに関しては従来では考えられなかったほどの高値で取引されている。
だがそれは他のカードに関しても同じ事が言えるので……


【アニメでの活躍】

遊戯王GXエド・フェニックスが使用。
アニメでのテキストは以下の通り。

通常罠
デッキからカードを5枚墓地へ送る。
この効果で墓地へ送った魔法カード1枚につき100ポイントのダメージを受ける。

狂ってやがる
「デッキの上から」ではなく「デッキから」なので墓地に送るカードは自由に選べる。苦渋の選択》にも引けを取らないぶっ壊れカードである。
更にデメリットのバーンも対称は魔法カードのみでダメージもOCG版の10分の1と、現実にあったら確実に禁止行きになる効果だった。

エドはこの効果で「E・HERO」4種*1と《ヒーロー・シグナル》を墓地へ送った。
これによりフィールドの《E・HERO シャイニング・フェニックスガイ》の攻撃力が4900まで上昇。
攻撃してきた《サイバー・エンド・ドラゴン》を返り討ちにし、丸藤亮に勝利した。

亮はこのデュエルが切っ掛けで連戦連敗のスランプに陥り、やがてヘルカイザーとなってしまう。
まさしく文字通り彼の運命を破壊したカードとなった。

なお【D-HERO】との相性はアニメ版はともかくOCG版はよろしくない。
《デステニー・ドロー》等の重要な魔法・罠カードまで墓地へ送ってしまうことがあるので、あまりオススメできない。
エドなら《D-HERO ダッシュガイ》《D-HERO ディスクガイ》《D-HERO ディアボリックガイ》辺りをピンポイントで落としそうだが



追記・修正はこのカードを発動して負けたことがある人がお願いします。





































……と、長らく正真正銘のクズカードだったが、ゲーム遊戯王デュエルリンクス』で予想GUYの活用法が発見された。


エド・フェニックス&ティラノ剣山「「デュエル!!」」

エド「プロのタクティクス、見せてやる!僕のターン。」

エド「カードを2枚伏せてターンエンド。」

剣山「俺のターン、ドロー!《セイバーザウルス》を攻撃表示で召喚ザウルス!」

エド「罠発動!《デステニー・デストロイ》!」
  「このカードはデッキの上からカードを3枚セメタリーに送り、魔法・罠カード1枚につき1000ポイントのダメージを受ける。」

エド「さらに速攻魔法発動!《サイコロン》!ダイスを一回振り、出た目のエフェクトを適用する。」

エド「ダイスの目は1。よって僕は1000ダメージを受ける。」

LP4000→3000

剣山「(何か変ザウルス…俺のフィールドには魔法・罠カードが無いから《サイコロン》は意味無いドン……)」

エド「そして《デステニー・デストロイ》のエフェクトでセメタリーに送られたカードは、《無の煉獄》《トゥーン・ワールド》《ワンチャン!?》。」
  「魔法カードが3枚だから僕は3000ダメージを受ける!」

LP3000→0

剣山「どういう事だドン…!まるで意味がわからんザウルス!


そう、このカードは【自爆デッキ】の切り札になったのである。


【自爆デッキって?】

まず、『デュエルリンクス』にはデュエル中に使用できるスキルが存在する。
該当項目を参照すれば分かるが、

  • レベルアップやイベント以外ではレジェンドデュエリスト戦か対人戦の報酬でしか入手できない。
  • そもそもスキルのドロップ率が低い
  • レジェンドデュエリストと戦うにはゲートキーというアイテムが必要なので効率が悪い。
  • フリー対戦が一番楽だが、一々デュエルしているとやはり効率が悪くなる。
  • サレンダーすると報酬が0になる。

等の問題があり、目当てのスキルを入手するまでかなりの労力を費やさなくてはいけない。
そんなデュエリスト達の悩みを解決してくれるのが【自爆デッキ】である。おい、デュエルしろよ

デッキコンセプトは至って簡単。
《ヒエログリフの石板》や《サイコロン》等ライフコストを払ったり自分がダメージを受けたりする魔法・罠カードを発動。
その後《デステニー・デストロイ》の効果で3000ダメージを受けてわざと負ける。
《デステニー・デストロイ》を引くために《カップ・オブ・エース》や《打ち出の小槌》も入れるとなお良し。
本作は基本LPが4000なので大体《デステニー・デストロイ》を伏せた次のターンにデュエルが終わる。

負けてしまうと入手できるアイテムは1つの場合が多くなるが、最短2ターンで決着がつくので短時間で多くのデュエルができる。
またミッションの中にはサレンダーせずに対人戦を行うものもあり、そういったミッション*2をこなすにも重宝しやすい。
更に2024年10月1日の大型アップデートで通信切断でもサレンダー同様報酬が貰えなくなった。
これにより現状で報酬を最も効率よく得られる【自爆デッキ】の需要が上がった形となっている。
ただ、楽しくデュエルをしたい人にとっては迷惑以外の何者でもないのでぶっちゃけオススメできない。

なお、ラッシュデュエルではカードプールの違いから現時点では【自爆デッキ】は確立しておらず、かつ上記の報酬獲得の厳格化からスキル・報酬目的でランク戦に潜るのは非効率的となっている。


更に『遊戯王マスターデュエル』の初のイベントデュエル「エクシーズフェスティバル」でも同様の【自爆デッキ】が出現。
このイベントはメダルを一定数集める毎に報酬が手に入るシステムで、勝利すると100枚・敗北すると50枚メダルを獲得する仕様であった。
勝った時と負けた時のメダルの数に大きな差がなかった事、一戦一戦がどうしても長くなってしまう事、降参した場合はメダルが貰えない事。
これらの要素から1回勝つ時間で複数回自爆が可能だから逆に速攻で負けた方が時間効率が良いというに結論に至ってしまい大流行。
挙句の果てには相手ライフを回復させたり効果ダメージを0にするカードを投入した【自爆阻止デッキ】で自爆を妨害する決闘者まで現れる事態に発展。
【自爆デッキ】同士がマッチングして相手に勝ちを押しつけ合うという意味☆不明な現象も発生した。

事態を重く見た運営は、イベント中から勝利時に獲得するメダルを5倍にすると言う対応を敢行。
更に後のイベントでは独自レギュレーションとして【自爆デッキ】のキーカードを規制する対応を取った。
これにより【自爆デッキ】は数を減らしていき、自然消滅する事になった。
なお現在でも一周まわって自爆にハマってしまった一部の決闘者が熱心に【自爆デッキ】を研究したりしている*3



追記・修正はちゃんと墓地肥やしとして活用している人がお願いします。

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最終更新:2025年02月09日 15:00

*1 《E・HERO クレイマン》《E・HERO ワイルドマン》《E・HERO バブルマン》《E・HERO エッジマン》

*2 サレンダーでもOKなミッションはウィークリーミッションの対人戦関連のみ。逆に対人戦を行うことでスタンプが押されアイテムが入手できるものは通信切断では入手できない。

*3 《デステニー・デストロイ》などのバーンカードを使わない手段としては「壊獣」と《超カバーカーニバル》による自爆特攻コンボなどが存在する。