ゼロムス

登録日:2021/10/13 Wed 12:52:00
更新日:2024/06/17 Mon 15:14:58
所要時間:約11分で読めます




我は…完全暗黒物質…
ゼムスの憎しみが増大せしもの…。

我が名はゼロムス…
すべてを…憎む…!!




「ゼロムス」とは、ゲーム『FINAL FANTASY Ⅳ』(『FF4』)の登場人物であり、同作のラスボス。


概要



物語でセシルを苦しめてきた宿敵ゴルベーザ
を裏で操っていた真の黒幕である邪悪な月の民ゼムス…
がゴルベーザとフースーヤのいいですとも!Wメテオによって倒された魂が憎しみによって完全暗黒物質として蘇った存在。

メテオすら吸収し、逆にそのメテオを使いゴルベーザ達に圧勝。
原住民のみを滅ぼし青き星への移住を計画したゼムスと異なり、憎しみのままにすべてを滅ぼそうとする。
しかし青き星に住む者たちの祈りによってセシルたちが復活。
セシルの使ったクリスタルによってその醜い本性を露わにされ最後の戦いとなる。
専用BGMである「最後の戦い」も、1フレーズはかなり短いものの名曲。

ゼムス

と、歴代でも屈指の熱い展開となるが、こいつ自体は歴代ラスボスの中ではシナリオ上の扱いは地味。
FF4の悪役と言えばほぼゴルベーザであり、ゼムス自体はほぼぽっと出。
ゴル兄さんが操られてた事が分かるのが終盤もド終盤の上、ゼムスの情報はフースーヤの話ぐらいしかない。
しかもゲーム中で確認できるセリフはゴルベーザ達と戦闘中の
「使うがいい すべての力を…」
「この身が滅びようとも… 魂は…ふ…め…つ…」
ふた言のみ。しかもプレイヤーとは戦う事すらない。あんまりである。
こいつはそのぽっと出の死後に突然出てきたんだから、そりゃ地味になるというもんである。
もっとも、シリーズにはこいつ以上にぽっと出のラスボスもいるが。

ちなみに前作のラスボス同様、シリーズでも増えていった、目的が「全てを無に帰す」であるラスボスの一人。
だが雲様が宇宙規模の超常的存在なのに対し、こいつのは完全に私怨しか考えていない小物の逆恨みの産物。
また「無」の後輩のネオと比較しても「純粋に無に帰す事を目的としているのではなく、憎しみからの道連れ破壊衝動」という微妙さ。

そのゴルベーザも続編のTAや外伝のDFFでますます人気になった一方、ゼムスやゼロムスにはほとんど触れられずますます影が薄くなる…

戦闘において


第1形態

青い髪が絡まった化け物のような姿。邪悪なコンパンとか青いポンポンとか言われる。
ゼロムスとして蘇った直後であり、ゴルベーザたちを倒した姿。フースーヤも天野原画ではヒゲの妖怪みたいだし、ある意味通ずるものがある。

イベントでは最強魔法である「メテオ」を使うが、プレイヤーが操作できるようになってからは一定時間おきに振動するのみで何もしない。
この振動には全体に魔法「ディスペル」と同様の補助効果解除の効果があるため、「何もしない間に補助魔法を掛けまくって戦闘を有利に進めよう」という魂胆は無意味である。
ゴルベーザから託されたアイテム「クリスタル」をセシルが使うと真の姿を現し、第2形態となる。

アドバンス版以降では「奥義の書」系アイテムを使えば変身させずそのまま倒せるらしい。


第2形態


形容しがたい巨大な肉塊。ミジンコとか『R-TYPE』あたりに出てきそうなどと言われている。
この姿になってからがラストバトルの本番。

さてこのゼロムス、先ほど地味だのぽっと出だの小物だの散々言ってきたわけだが、

強い

かなり強い

少なくともFFシリーズのラスボスの中では苦戦するラスボスと言われている。
その理由の1つが「攻撃がシンプル」なこと。
こいつの基本的な行動パターンは振動→「ビッグバーン」→「バイオ」か「フレア」か「ブラックホール」…の繰り返し。
特に「ビッグバーン」は非常に高いダメージの全体攻撃であり、このダメージを耐え、回復するのにかなりのエネルギーを要する。
余計な搦め手を行わず、数ターン置きに「ビッグバーン」で被害を与えるという戦術が、単純にして強力なのだ。

もう1つは『FF4』自体のゲームバランスの関係である。
『FF4』は他のFFと比べると育成における自由度が低めで、ゲーム自体も「まずはレベルを上げて、その上である程度戦略性が必要」という硬派なバランスとなっている。
また、バランスブレイカー要素やレベルが勝手に上がるほどの長期のサブイベントも少なく、こいつには適正レベルかつ適正装備で挑むことになることが多い。
そのため、開発者の想定した通りに相応の苦戦を強いられるわけである。
実際、追加装備が存在したり、追加の攻略要素で更なるレベル上げが必要となるアドバンス版以降は相対的に弱くなっている。

その異様な姿のインパクトや間違いのない実力者であることから、シナリオでの微妙な扱いの割にかなり印象に残るラスボスである。

能力詳細

HPは65498。
ただし50000ほど削ると一度だけ全快するため、実質約115000である。
当時のスーパーファミコンは16ビット機であるため65536以上が表現できないので、本作ではこのような形が取られている。

攻撃はすべて魔法攻撃。

  • 次元の歪み
「ズズズズズ…」とゼロムス自身が振動してなにもしない。だが、変身後では「ビッグバーン」の前フリなので注意を。
なお、変身前だと後述の「ブラックホール」と同様に全体に「ディスペル」効果(有利効果解除)が無告知で発生しているため、補助魔法を積んでから戦うことは許されない。

  • ビッグバーン
全体に大ダメージ+スリップの追加効果。
強烈な威力で、HPの低いリディアではレベルが低いとHP全快から一撃死しかねないくらいのダメージが入る。
ゼロムスを代表する攻撃であり、2,3ターンに1回はこれをぶち込んでくる。
FFシリーズのラスボス特有の宇宙に関連した技でもある。

  • バイオ
単体にダメージ+スリップの追加効果。
前半戦や召喚魔法に対するカウンターで使用。

  • フレア
単体にダメージ。
後半戦や魔法と道具使用に対してカウンターで使用。

  • ワール
単体を瀕死にする。
聖属性魔法(「ホーリー」や「メテオ」)に対してカウンター。
スリップ状態の時に食らうと実質即死となるため、上記2つの魔法は絶対に使用しないこと。

  • ブラックホール
補助効果を打ち消す。
「全ての魔法効果が打ち消された!」とメッセージが出るが、対象はプレイヤー側(相手側)だけで、ゼロムス自身の魔法効果は消えない。
ゼロムス戦ではローザは回復にしなければならずそもそも補助効果を使っている余裕がないことに加え、「ビッグバーン」で発生したスリップ状態も消してくれるのでむしろありがたかったり。

  • メテオ
テラが命まで賭して発動させた、9999ダメージを楽に叩き出す本作最強、禁断の黒魔法。
…なのだが、コイツのはヘッポコ威力のダメ魔法。
「ビッグバーン」のほうがはるかに怖い。
HP12000以下で使用し狂ったように連打してくるが、無視してダメ押ししよう。


比較的簡単な倒しかた

1.誰か戦闘不能のまま放置する
最も有名かつ割と効果的な戦術。
要は「ビッグバーン」のダメージに回復=ローザの全体化「ケアルガ」が間に合えばいいので、1人戦闘不能のまま転がしておくことで、他の4人への「ケアルガ」の回復量を増やし安定して戦えるようになる。
HPが少なく、攻撃にカウンターが来やすいリディア辺りが戦闘不能候補。小説版でもネタにされた。

というかこの戦闘においてはリディアを戦闘不能から回復する理由がない
何故かと言うと、前述の通り人数が多いと全体ケアルガの回復量が減るばかりか、召喚魔法のカウンターによるバイオをくらったHPが減った直後に、威力が激増したビッグバーンを受けると、HPの低いリディアはほぼ確定で戦闘不能になるのである*1
どうしても彼女を戦闘不能から回復するのであれば、すぐに彼女を蘇生させる必要があるが、基本的にケアルガだけで手一杯なローザは論外。
となるとセシル、カイン、エッジの誰かが攻撃の手を止めなくてはいけない。
だが、アタッカーがいちいちそんなことで攻撃を中断するくらいならそのまま殴った方が得なのである

以上のことをまとめると
リディアがいると回復量が減ってジリ貧になるうえに、リディアが本領を発揮しようとするとゼロムスもカウンターでハッスルして邪魔になるということ。
どうしても彼女を活躍させたいのであれば、黒魔法のフレアで叩こう。
こちらはバイオではなくフレアでカウンターをしてくるので、ビッグバーンの威力が激増せずに済む。


2.バトルスピードを下げる
『FF4』は初めてリアルタイム戦闘システム「ATB」を導入した作品なのだが、そのバランスは本作時点では荒削り。
バトルスピードを変更すると別ゲーかと思うほど敵の行動速度が変わるため、かなり有効。
逆に歯応えがほしい場合には、スピードを上げるのも一興。

3.レベルをあげる
シンプルイズベスト。
人にもよるが、レベル60前後まで上げればまず負けないだろう。

また、スロウの状態異常も効くため、使用すると「スロウ」が発動する「くものいと」を用意しておきたい。

移植作等での扱い


ファイナルファンタジーIV イージータイプ

グラフィックが変更されている。
女性の上半身が埋め込まれた剣を持った四つ足の化け物といった風貌。
オリジナル版がミジンコだとするとこっちはサソリかカニの化け物。モビルアーマーのようだとも。

戦闘的にはHPが少し下がり、「ビッグバーン」や「フレア」の威力が下がっており倒しやすくなっている。
しかし、召喚に対してカウンターとして「ほうよう」(抱擁。単体に石化効果)を行ったり、メテオモード前に「死の宣告」を使用してくるようになった。
これらを跳ね返せて倒せるのはナイショ。
やはり通常攻撃はしない。なので仰々しく持っている剣は飾りだ!

GBA版

ゼロムス自体は大して変化無し。
ただ、こちらでは独自要素として、ストーリー終盤にテラ以外のメンバー(この時点でテラは故人なので致し方なし)が復帰して任意に入れ替え可能となるため、上記の事情からリディアを抜いてゼロムスに挑む人が増えたとかないとか……。
クリスタル使用前に地上の仲間達が呼びかけるイベントでも入れ替え状況が反映されるため、スーファミ版におけるセシル以外のメンバーが地上から応援するという珍しい光景も見られる*2

また、イージータイプ版の外見をした最強の追加ボスも登場した(後述)。

DS版

CV:堀川りょう(ギルバートと兼役)
立体的になったが意外と厚みがあることにビビる。
そして目の位置を勘違いしていたことに気付く人が続出した。
ビッグバーンの攻撃頻度が落ち、防御で軽減できるようになった*3が、威力自体は上がっており(防御してオリジナル版と同程度の威力)やはり強い。
瀕死時のメテオも威力が大幅に上がっており、決して最後まで油断できない。
アスピルでこちらのMPを削るようになったことも厄介。
戦術によってはレベルMAXでも苦戦する超強敵。

…なのだが、DS版はどいつもこいつもイカレた強化されているため、ここまでこれたならまぁ勝てる。
やや知識がいるが隠れる+投げるやフェニックスといったバラブレデカントもある。
レッドドゴンの熱線やフェイズの透過レーザーを出合い頭に食らうほうがきついっス。

そのほか派生キャラ


ゼロムス:EG

アドバンス版『FF4』で追加されたボス。
上述の『イージータイプ』のゼロムスが裏ボスとして本編に逆輸入された。
名前はそのままでもイージーと読めるが、イージータイプのグラフィックということらしい。
戦闘前には自身を完全暗黒物質であるがゼロムスであってゼロムスでない者と称したり、戦闘後にはこちらを称えつつようやく眠れることに安堵するなど何かと不思議な存在。

元がイージータイプとはいえHPが200000もあり、「ビッグバーン」の頻度こそ下がっているが難易度が下がったわけではない。
トード+ミニマム、地震+雷+火事+親父、ドレインやアスピルなど多彩な攻撃手段を持つ。
もっとも本当に恐ろしいのはHPが18000以下になって以降であり、これ以降はカウンターで「きゅうしゅう」を使うようになる。
これは現在HPの3分の1回復する技であり、下手な火力で攻めればダメージが回復量に追い付かなくなる。
しかもこの形態ではHPに応じて威力の上がるおおつなみ+たつまきを使ってくるため恐ろしい威力になることがある。
余談だがこの状態では通常攻撃を5連打してくるようにもなる。剣は飾りといったな…あれは嘘だ。

奥義の書L〇系アイテムを使えば、大ダメージを与え上にデバフを付加できる。
特に笑えるのはトード状態になる奥義の書LD。

ちなみに倒しても何の利点もない。
ケータイ版では英雄の盾がもらえるようになった。

ゼロムスマインド

FINAL FANTASY Ⅳ THE AFTER YEARS 月の帰還』に登場した敵。
クリスタルによって封じられていたゼロムスの残留思念。
謎の少女によりクリスタルが破壊されたため解き放たれた。月の民編のボス。
見た目は青くなったゼロムス。
暗黒こそ純粋な進化と主張する。また主張変わってるじゃねぇかテメー。

バイオがメインの攻撃でビッグバーンの頻度は低いが、ゴルベーザとフースーヤの二人で戦わなければならない上に魔法に対してカウンターを仕掛けてくる。
そのためゴル兄さんで殴り、モップはひたすら回復と補助を行うのが一番楽か。
しかしバンド技のW黒魔法の威力は高いため、体力に余裕があるならくらわせてやろう。

倒した後はフースーヤがゴルベーザのみを転移させ、ゴルベーザは魔導船で青き星へと向かう。
フースーヤとゼロムスマインドがどうなったのかは…ゲーム中では語られない。

断罪の暴君ゼロムス

FINAL FANTASY ⅩⅡ』における隠し召喚獣。
これまた形容しがたい見た目。下半身の拘束された右手が巨大なハサミの黒い巨人というか。
元々は法を遵守し、憎しみを完全暗黒物質に変えて罪人を断罪してきた聖なる番人だった。
しかし次第に法の遵守よりも断罪そのものを重視するようになり、憎しみに染まってしまい神々に反旗を翻した。

ミリアム遺跡の奥で戦える。
大量のダークロードと一緒に貫通グラビガなどの割合ダメージで攻撃してくる。
しかもこの戦いでは魔法は封印されるため結構な強敵。
アイテムをそろえ、ヘイトコントロールを完璧にして挑もう。

味方として使うと黒滅丸とビッグバン(惜しい)しか使わないが、どちらも現在HPが低ければ低いほどダメージアップする。
特にビッグバンは6万近いダメージを狙うことも可能。
しかし、使いにくい。
彼に限った話ではないが、FF12の召喚獣は癖が強すぎていまいち使いにくい奴が多い。
シナリオ上、最低1度は絶対に召喚しなければならないベリアス以外は不要だとも。


余談

盗むと「ダークマター」という謎のアイテムが手に入る。
実のところ、これは何の意味もないアイテムである。
持っていると「ビッグバーン」の威力が下がる、隠しダンジョンに行けるなどの噂が広まったこともあるが間違い。
DS版では2周目以降にとある場所で使用すると、隠しボスの「プロトバブイル」と戦えるようになった。

断末魔の「グ...ズ...ギャァァァァム!」はとてつもなく珍妙で、2作前のラスボスと同じくしばしばネタにされる。
DS版ではボイス付き!
今作には他にも砂漠のサハギンやスカルミリョーネなど、変な断末魔がしばしばある。

DFFには出演し損ねたが、同作におけるゴルベーザの最強武器が『ゼロムスの結晶』である。

また、ゼムス~ゼロムスは登場から演出から前作FF3終盤とラスボスとほぼ構成が同じだったりする。

①影が薄い黒幕(ラスボス?)を倒す

②本当のラスボスがぽっと出で登場

③なすすべなく全滅させられる

④今までの仲間達から力を貰って復活

⑤クリスタルがキーで、解除しない限り無敵

⑥無敵解除からラスボス戦突入

ちなみにゼムスは前作の魔王ザンデと体の色から台詞のなさからポーズまでそっくりだったりする。

苦しむがいい… 滅びるがいい…。すべてを追記・修正するまで… わが憎しみは続く…。
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最終更新:2024年06月17日 15:14

*1 リディアの場合、バイオのダメージは大体250前後、バイオの直後のビッグバーンは2000前後くらう。スリップダメージも発生するのでHPが最低でも2500くらいはないと、ギリギリ耐えられたとしても回復が間に合わずほぼ確実に戦闘不能になるということ。ちなみに魔法防御力の関係でエッジは3000近いダメージを受けるので、ついでに戦闘不能になってることが多い。

*2 この呼びかけるシーンそのものはスーファミ版の時点から存在する。

*3 正確にはDS版はほとんどの攻撃が防御で半減できる