ガマクジラ(ウルトラ怪獣)

登録日:2022/06/05 Sun 18:17:27
更新日:2025/06/02 Mon 21:30:05
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ガマクジラはウルトラシリーズに登場する怪獣。
初登場は『ウルトラマン』の第14話「真珠貝防衛司令」


【スペック】

別名:汐吹き怪獣
身長:35m
体重:1万t


【概要】

クジラとカエルが合わさったような姿の四足歩行の水中怪獣。場合によっては立ち上がって二足歩行もできる。
怪獣にしてはマンガチックに間の抜けた顔つきや体中のあちこちに小さなイボがあるのが特徴。
レッドキングと同じくあまり頭は良くないそうで、脳みそも小さい。

真珠を食糧にしており、一日で30万個も食べてしまうという。
カメレオンバルゴンのように長い舌を持っており、その長さは50メートルにもなる。
チューブ状になっているこの舌で掃除機のように真珠を吸い取って食べるのが特徴。

真珠一個の値段からして実に10億円以上にもなるため、迷惑千万な食生活である。
真珠はアサリやハマグリ、シジミやホタテからでも出来るが、こっちを食べてくれるのならまだマシだろうか。
どの道、貝が死滅してしまうのでは結果的に貝そのものの高騰を引き起こしてしまうので迷惑であることに変わりはないが。

泳ぐスピードはグビラと同レベルのマッハ5と狂っているとしか言えない超速度で、ゲスラのマッハ2を遥かに超えているほど。*1
こんな常識外の速さで泳げば衝撃波と大津波が起き、日本列島は消滅してしまうそうな。よくこれだけのエネルギーを真珠から得られるものだ。

その名に違わず背中から高熱の熱水を噴射する潮噴きを武器としており、ウォータージェット並の凄まじい威力で鋼鉄も容易く破壊するほど。
怪獣解剖図鑑によれば体中のイボから毒ガスを出すこともできる様子。

また、ザラガスと同じく地味に体質を変化させる能力も持っており、攻撃を受けて耐え切ると耐性を身に着けて一層強化されてしまう。
ザラガスと異なり、外見こそ変わらないが体質強化後はかなり凶暴になるため、下手に手を出すと却って手が付けられなくなる可能性を秘めている。


【本編での活躍】

世界各地で養殖真珠が全滅に近い打撃を受け、真珠の価格暴騰が引き起こされる異変が起きていた。
科学特捜隊の給料国際警察組織なのに安月給?)ではとても手が出せないため、フジ隊員は女のプライドで血眼になって調査に乗り出すほど。

その犯人こそが真珠を好物にするガマクジラで、日本各地の真珠養殖場を襲っては手当たり次第に食い荒らしていた。
ついには残った真珠貝を日本海に避難させようとしていた所を上陸して襲撃したことから科学特捜隊に存在が発覚。

出撃したビートルからのロケット弾やナパーム弾の波状攻撃を耐え抜くばかりか熱水噴射で逆に撃墜してしまう。
夜になると大人しく休んでいたが呑気にこれまで食べ尽くした真珠を消化しており、フジ隊員は怒りのあまり「真珠の光を取らないで!」とガマクジラをのような形相で睨みつける始末。

翌日、ガマクジラは大都会の真珠を求めて進撃を開始し、科学特捜隊はビートル2機で攻撃を開始。
潮吹きをかわしつつロケット弾とナパーム弾攻撃に加え、
  • 海中に潜行するガマクジラの目印にしつつ攻撃する気球爆弾作戦
  • 2機のビートルで巨大な網を吊り上げてガマクジラを捕獲し、空中で放電攻撃を行う電子網作戦
を実行するが、放電に暴れてもがくガマクジラはハヤタの乗る小型ビートルを叩き落とし、そのまま海上に落下する。

さらに近くの海岸では水着の女の子達が遊んでおり、彼女たちのアクセサリーの真珠にまで引き寄せられて襲い始める。
その様子を見た科学特捜隊はガマクジラが真珠の光を好む習性を見抜き、アラシはそれを利用して真珠型の強力爆弾を食わせる真珠爆弾作戦を思いつき実行する。養殖真珠が壊滅的被害を受けたから倒したいのにどうやってその真珠を用意したんだろう?

予想通り、何の疑いもなく大量の真珠爆弾を食い始めるガマクジラは体内で爆発する真珠爆弾に悶絶して苦しみだす。
作戦は見事成功……と思われたが、潮吹きで真珠爆弾を体外に排出した挙句、体質変化によって肉体が強化されて頑丈になり、凶暴化してしまう。

その後、ビートルの墜落で負傷していたハヤタからの提案でガマクジラを宇宙に吹き飛ばすロケット弾作戦が決行される。
今度こそ作戦は上手くいき、尻尾に撃ち込まれたロケットブースターによってガマクジラは遥か上空へと打ち上げられていく。

そこに登場したウルトラマンはガマクジラを追って自らも空へ飛びあがる。
暴れ回る拍子に上空で暴走を続けるガマクジラのロケット弾にウルトラマンは正面から超高速で突っ込んで頭突きを食らわせ、文字通りに粉砕することに成功。

ガマクジラの撃退により真珠の価格は元に戻り、科学特捜隊の給料でも買えるようになったのであった。
フジ隊員のショッピングに付き合わされたイデは大量の荷物を持たされたのであった。


【派生作品での登場】

ウルトラ怪獣かっとび!ランド
キャンプ場の川の主。釣りに来た客にけったいな魚*2を釣らせる悪戯を働いていた。
再登場した時にはを飼っていたが、「で、どっちが犬?」と言われてしまった。

ウルトラマンメビウス
第21話で怪獣墓場をただよう1体として登場した。

●大怪獣バトル
EX第5弾に技カードとして登場。
漫画『大怪獣バトル ウルトラアドベンチャー』では駿河湾に出現した。

ウルトラマントリガー
GUTS-SELECTのガッツハイパーキーとしてガマクジラキーが登場。固有能力は高圧水流の発射。
また、作中に登場した文献でも存在が確認されているので、古くから地球で暮らしていた怪獣らしい。

かいじゅうステップ ワンダバダ
デフォルメされたこどもかいじゅうが多数登場する中、ガマクジラはゴン共々元の怪獣そのままの姿で登場。
湖に潜む怪物で、人力飛行機で空を飛ぼうとしていたピグちゃんたちに襲い掛かったこともある。

●細井雄二作のギャグ漫画『ウルトラマン』
テレビマガジン1988年6月号に掲載された回で登場。
ウルトラマン打倒を狙うバルタン星人に呼び出されるも、傲慢で言葉遣いにうるさく、事ある毎に巨体で睨んでバルタンを脅し、言葉を丁寧語に訂正させていた。
さらに依頼料まで要求し、バルタンに値段を聞かれて300円と答えたところで、ウルトラマンが現れて「私を倒すのに300円とは何だ」と抗議される。
戦闘が始まると、ガマクジラは原作には無い技である、額からの痺れ光線でウルトラマンを麻痺させる。
だがバルタンにトドメをさすように言われると、笑って「自分の光線は痺れるだけで殺せない」と答えた。
そして「ただ威張ってるだけで何の役にも立たねぇじゃねぇか!」と激怒したバルタンに追い回されるのであった。


【余談】

●この回よりウルトラマンのマスクがBタイプに変わった。

●前話のペスターに続いてウルトラマンとはまともに戦わずに実質、科学特捜隊によって退治された一体であるが、実は脚本の初期段階ではエピソード前半でウルトラマンとの格闘シーンが予定されていた。
体質変化によって強化されたガマクジラは潮吹きで怯ませたウルトラマンの腕に噛みつき、何とそのまま勝利を収めるのである。
そして、本編同様にハヤタの要請でロケット弾を撃ち込まれて再変身したウルトラマンとの空中戦(?)で締められるはずだった。
しかし、ウルトラマンが敗北してしまうことに難色を示したテレビ局の意向としてこの展開はカットされ、最終決定の脚本では本編通りの結末となった。このシナリオ変更によってガマクジラの体質変化が結果的に意味が無くなってしまった。
番宣用のスチール写真ではAタイプのウルトラマンと取っ組み合うシーンが存在し、これが現在唯一のガマクジラの格闘シーンとなっている。
また、ガマクジラに敗北した後のハヤタは腕を負傷しており、フジからその報告を受けたムラマツが、ウルトラマンと同じ場所を怪我しているハヤタを不審に思うシーンが存在していたという。

●ガマクジラが登場するエピソードは実相寺昭雄が初めて監督を務めたエピソードの1つである。
(もう1つは15話のガヴァドン。制作順としてはこちらの方が先)
ちなみに劇場版の「実相寺昭雄作品 ウルトラマン」では本エピソードのみ採用されていない。
また、ガマクジラに襲撃される真珠業者はアニヲタ的にはムスカ園咲琉兵衛でもお馴染みの寺田農氏。実相寺作品常連の氏は後にメトロン星人も演じる。

●第34話「空の贈り物」は本エピソードとほぼ同じストーリー構成となっている他、色々な共通点がある。
  • スカイドンはガマクジラのスーツの改造。
  • ガマクジラ、スカイドン共に意外にタフで科学特捜隊が手を焼き、ZATばりの珍作戦を実行する。
    (ガマクジラの方はまだまともだがスカイドンの方はギャグ色が強い)特にロケット弾作戦は両方で使われており、その際にガマクジラに使用した事も語られている。
  • ハヤタのジェットビートルが作戦の途中で撃墜されてしまう。
  • ウルトラマンが初戦で怪獣を倒せず、一度撤退する(上記のように初期のシナリオではガマクジラに負けている)。
  • 最後はウルトラマンと怪獣が空中で正面衝突する。
等々……。



追記・修正は真珠を買ってみてからお願いします。

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最終更新:2025年06月02日 21:30

*1 水中では音の伝わるスピードが大体秒速1.5kmなので、水中でのマッハ5は秒速7.5kmとなる。時速にして27000km。地球の赤道の長さが約4万kmなので、1時間半くらいで地球一周できる。ちなみに現実の潜水艦だと時速80kmで世界最高クラスと形容されるレベル。

*2 ケツの光った「ホタルイカ」、タイヤのついた「くるまエビ」、日の丸せんすを持った「めでタイ」など。ちなみにカネゴンが釣った胴体がコーラ瓶のエイ「エイコーラ」の元ネタはロシア民謡「ヴォルガの舟歌」の日本語歌詞と思われる。