アロサウルス(古代生物)

登録日:2022/07/10 Sun 22:30:14
更新日:2025/03/14 Fri 20:52:52
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アロサウルスとは、ジュラ紀に生息していた恐竜

獣脚類であり、カルノサウルス類アロサウルス科の一種である。
大型肉食恐竜としてはティラノサウルスと並んで有名な種でもある。
その名前はラテン語で「異なったトカゲ」を意味する。これは発見された当時のどの恐竜とも椎骨の形態が異なっていたことに由来する(現在ではさほど珍しい形では無い)。

分類・特徴

先ほど述べたようにカルノサウルス類のアロサウルス科に属する恐竜であり、その代表ともいえる種。
発達した頭骨と鋭い歯を備えた典型的な肉食恐竜である。

アロサウルス科の中では大柄な方で平均して8.5m、体重2トンだが、大型個体は11mにも達したのではないかと化石から推測されている。
頭骨も同科の中では比較的ガッシリしているが、特徴的なのが目の上にある棘の様な突起である。
「オス同士が戦う際に頭突きをしていたのではないか」だとか「メスへのアプローチに使っていたのではないか」など様々な説があるが、未だに結論は出ていない。

アロサウルス属には複数の種がいたと考えられているが、後述の通り化石が見つかりまくっているため、どこまでが有効種でどこまでが同種内変異なのか分かりにくく、研究者間でも意見が分かれる。
近年は模式種のフラギリスとジムマドセニが有効種扱いされやすい。フラギリスは頭骨が頬骨の後半から1段階下に下がっているのが特徴。この特徴は他の獣脚類でもあまり見られない。一方のジムマドセニは頬骨は普通だが、目の上の突起がフラギリスと比べてでかい。後述のビッグアルはジムマドセニのほうである。。

歯や頭骨の形状から咬合力は体格で比較した場合それほど強くなかったとされる(詳しくは後述)。

総合的に見ると、目立った特徴は目の上の突起ぐらいのものであり、極めてオーソドックスなプロポーションの獣脚類といえる。異なったトカゲとはなんだったのか……

近縁種にはより大型とも言われるエパンテリアスやサウロファガナクスがおり、より派生的な種はカルカロドントサウルスを初めとしたカルカロドントサウルス科の恐竜である。

獲物

同じ時代に生息していた竜脚類のアパトサウルスや剣竜類のステゴサウルスを襲っていたことが、両種の化石についた傷より明らかになっている*1
また、獲物が獲れず飢餓に陥った場合は共食いもしていたことが示唆されている。

化石

主に北米のモリソン層という地層から発見されることが多い。
特にクリーブランド・ロイド発掘地からはバラバラの状態ではあったが、老若男女区別なくあらゆる世代のアロサウルスがうじゃうじゃ発掘されている。
ほぼ完全に近い状態で発見された若い個体はビッグ・アルという愛称で呼ばれている。

オーソドックスな特徴、発掘数、完全骨格と、研究材料の少ない古生物学においては非常に助かる存在であり、恐竜研究に大きく貢献している。

また、大量に見つかっているということは、実物化石展示が多くされている恐竜でもあるということである。日本においても全身実物標本が国立科学博物館、福井県立恐竜博物館、鹿児島県立博物館に展示されており、頭骨だけだが京都市立青少年科学センターにも展示されている。

ティラノサウルスと比較した場合

ティラノサウルスと並ぶメジャーな肉食恐竜であるアロサウルス。
何度も述べるように両種は肉食恐竜の中でも有名であり、体型もやや似通ることから恐竜好きの間でもよく比較される存在である。
しかし両種は繁栄した時代も違うがなにより全長や体重も異なっている。

例えば平均個体の場合アロサウルスは8m、ティラノサウルス10mで、最大個体同士でもアロサウルス11mなのに対し、ティラノサウルス13mと微差とはいえ、及ばない。
体重に関してはさらに大きな差があり、重い個体だと7トンに達したティラノサウルスに対し、アロサウルスは2トンと遥かに軽いのである。

更にいえば頭骨の構造は勿論、歯の使い方も異なっていたことが指摘されている。
これはティラノサウルスのそれが全体的に分厚く骨ごと「粉砕する」のに適していたのに対し、
アロサウルスのそれは「切り裂く」ことに適していたからである。
その為同時代に生きたアパトサウルスなどを襲撃した際にはその鋭い歯で切り裂いたり、肉を削ぎ落としたりして出血多量に追いやって弱らせてから仕留めていたと考えられる。
一方のティラノサウルスは、獲物に噛み付いたら一撃の元に葬り去っていたことだろう。これは、ジュラ紀にはいなかった角竜や鎧竜といった、極端な攻撃力、防御力を誇る生物を相手取る必要があったからではないだろうか。

指が二本で腕もほとんど退化していたティラノサウルスに対し、こちらは三本指比較的発達した腕を持っていた違いがある。
この事から獲物を捕食する際には噛み付くだけでなく、ある程度小柄な相手なら腕で抑えつけることもできたのではないかと推測がされている。

つまるところティラノサウルスは一撃必殺、アロサウルスは持久戦なのだ。

ティラノサウルスは筋骨隆々なプロレスラーであり、重い一撃で切り裂きながら潰すことができる大斧なのに対し、
アロサウルスは手数を活かしたボクサーであり、切り裂き削ぎ落とすことに適したのようなものと
考えれば同じ肉食恐竜でありながらも両者がどれだけ別物かわかるかもしれない。


創作やメディアにおけるアロサウルス

キング・オブ・肉食恐竜と言っても過言ではないティラノサウルスに比べれば、流石に二番手的な扱いになってしまうことが多い。
とはいえ、ジュラ紀の獣脚類では最高峰の知名度を持ち、未だ熱心なファンの多い恐竜であるのは間違いない。
なので舞台がジュラ紀だと、大型竜脚類やステゴサウルスと大一番を繰り広げることもしばしば。

東宝怪獣でコアなファンが存在する原始恐竜ゴロザウルスは、このアロサウルスをモチーフにしており、
設定においても「同種の生き残りが変異した存在」とされているのだ。
そしてこのゴロザウルス、肩書は怪獣ではなく恐竜でありながらも、ゴジラアンギラスらと共に
あのキングギドラを相手に大立ち回りを演じ、なんとアンギラスに次いで首に噛み付いて引き摺り倒した挙句にゴジラの助けがあったとはいえ、強烈な跳び蹴りを加えてダウンに持ち込むという活躍を見せているのである。
恐竜ナメんなってことである。

昭和の頃までは「白亜紀の王者・ティラノサウルスジュラ紀の王者・アロサウルス」と両雄並び立つような扱いをされていたのだが、
平成期に入ってからスピノサウルスだのギガノトサウルスだのといった、
ティラノサウルスに匹敵or凌駕する程の巨体を持つ種が次々と表舞台に躍り出た事により、
それらより小柄なアロサウルスはさすがに少々分が悪くなっている。なにしろ両者ともにジュラシックパークシリーズでティラノサウルスと一騎打ちとかしてるくらいだし。
近年はむしろゲームなどでティラノサウルスにはない敏捷性や、群れを成していた可能性でキャラを活かしている。ARKやディノクライシス2では痛い目を見た人も多いはずだ。

「古代王者恐竜キング」では第1紀から必殺わざはチョキ・風属性で登場したが、強さは1400とえらく控えめに設定された。
のちにアクト団の使う超アクト恐竜が強さ1800で登場したが。ショルダーネームは「究極のプレデター」。

この「超アクトアロサウルス」はアーケード版では他の恐竜とステータスが被っていない唯一の超アクト恐竜である。

バトルタイプは第6紀まではあいこタイプ、2007第1紀から第2紀はそっこうタイプ、激闘!ザンジャーク第1紀ははとつげきタイプ、目覚めよ!新たなる力ではよこくタイプ。
激闘!ザンジャーク第2紀は化石カードの為ふっかつタイプ。

超わざカードに描かれたのは2006雨季限定の「カマイタチ」と、知名度の割にはやや遅め。

あまり青っぽくない体色で登場したが、「青い恐竜のたまご」使用時に出てくる事もある。


激闘!ザンジャーク第3紀では模式種とは異なる*2「アロサウルス・アトロクス」が強さ2000、風属性、必殺わざはグーで登場した。バトルタイプはではラッキー7タイプ。ショルダーネームは「究極のエリミネーター」。
初登場した次のバージョンでは「ソニックブラスト」のわざカードにも描かれた。

マジック:ザ・ギャザリングにも登場しており、コラボ商品以外では現実に同属のいる唯一の恐竜である。
生息次元はドミナリア。北方大陸に主に生息しているが、氷河期に氷河を渡って南方のテレシア大陸にも進出した。
この時代をテーマにした「アイスエイジ」に収録された「ピグミーアロサウルス」が初のアロサウルスである(前肢の指が2本なのは内緒だ)。氷河期終焉後も「縄張り持ちのアロサウルス」として野生で元気にプレデターしている。
特徴的なのはいくつかの種族や国家が飼育している描写があること。
バルデュヴィアの族長は二頭立ての馬車ならぬ恐竜ソリに乗っており、ヤヴィマヤのエルフは多数を飼育し、騎乗することもある。
このヤヴィマヤのエルフは、「アロサウルス飼い」、「アロサウルス乗り」としてカードもされている。
アロサウルス飼いは能力を起動すると仲間のエルフ全員がアロサウルスに乗り込んで突撃してくるので、エルフデッキのフィニッシャーを兼ねている。
「村を焼かれたエルフ」をドミナリアのエルフで再現するのは難しいかもしれない。アロサウルス乗りはコストを無視して唱えることが出来、コンボとしての活躍が主である。

ゾイドシリーズではゴドス、アロザウラー、ドスゴドスがアロサウルスモチーフ。
特にゴドスはシリーズで初めて骨組みのみの構造から脱却し、全身を装甲で固めた機体であり、ゾイドシリーズの歴史においては非常に重要な機体である。
平成のアニメでも『ゾイドジェネシス』以外の3作全てにゴドスが登場しており、特に無印ではヘリック共和国の主力量産機として至るところで顔を見せている。
アロザウラーも『ゾイドフューザーズ』で治安局(警察)のゾイドとして登場しており、なんと主役回も用意されている。
ドスゴドスはアニメ未登場だが、シリーズ25周年記念玩具シリーズ『ゾイドリバースセンチュリー』の主役機という大役を担った。


★アロサウルスをモチーフにしたキャラクター

ティラノサウルスと比較すると少ないが、メジャーな恐竜なのでそれなりの数が存在する。
キャラ名等 登場作品名等 備考
ゴロザウルス ゴジラシリーズ
獣電竜 アロメラス 獣電戦隊キョウリュウジャー 強化アイテム「獣電池」としての登場。いわゆる"巨大メカ"としての登場は回想で一瞬のみ。
ゴドス ゾイドシリーズ
アロザウラー
ドスゴドス
アロモン デジモンシリーズ
X・ドレーク ONE PIECE 動物系悪魔の実「リュウリュウの実 モデル“アロサウルス”」の能力者
アロザ ミラーマン
アロン リバイバー
双撃目 アロサウロ デュエル・マスターズ


追記・修正は獲物の肉を切り裂き、削ぎ落としてからお願いします。

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最終更新:2025年03月14日 20:52

*1 ただしステゴサウルスに関しては板の部分が彼らに食い千切られたと思わしき化石が発見されているものの、一方的に狩れるわけではない強敵でもあったようで、尻尾のスパイクによる反撃を喰らったと思われるアロサウルスの化石も発見されている。

*2 甲虫王者ムシキングにおけるヘルクレスリッキーブルーなどと同じ扱いと思われる。