チップとデールの大作戦

登録日:2022/11/05 Sat 14:15:14
更新日:2024/06/21 Fri 21:15:38
所要時間:約 4 分で読めます






レスキュー・レンジャー出動!



〈概要〉

チップとデールの大作戦(Chip 'n Dale: Rescue Rangers)』とはディズニー制作のテレビアニメシリーズである*1
シマリスのコンビでお馴染みチップとデールが、仲間達と「レスキューレンジャー」を結成し、トラブル解決に乗り出す話。
日本では1989年から1990年にかけて、テレビ東京系で放送された。現在はディズニーチャンネルで絶賛放送中。
「わんぱくダック夢冒険」こと「ダックテイル」の成功を受けて製作された作品で、初期のシーズンは同作と同じく日本の東京ムービー新社(現・トムス・エンタテインメント)が担当していた。
ディズニーフレンズの人気キャラであるチップとデールを主役に置き、それ以外はオリジナルキャラで占めるという手法はダックテイルと同じであるが、
ダックファミリーと比べると本家から採用されたのはチップとデールのみと、それに比べてオリジナルキャラの要素が強い。

旧テレビ放映版はキャストが大きく異なり、チップとデールの声に当時油の乗っていた男性声優である堀内賢雄&山寺宏一を据えるなどかなり独自性が強かった。ある意味後のリブート版を思うと時代を先取りしたようなキャスト。
しかし後にディズニーが吹き替えのキャストを決めるようになり、現在は新吹き替え版が配信と主流になっている。
また、カプコンからファミコン用ソフトとしてゲーム化もされていた。ジャンルはアクション。

〈登場キャラクター〉

左がテレビ東京版、右がディズニーチャンネル版のキャスト。

《レスキュー・レンジャーのメンバー》
おなじみシマリスコンビ。本作ではチップは焦茶色のブルゾン、デールは赤いアロハシャツで活動する。
レスキュー・レンジャーの共同創始者であり、チップがリーダーで、デールがサブリーダーにしてムードメーカー。
チップはディズニー短編映画とは違い、悪戯好きな面はあまり目立たず、しっかり者な面が強調されているようで、うっかり者のデールの尻拭いをすることもしばしばである。
デールはディズニー短編映画に負けじ劣らずの悪戯好きな面が目立っており、彼がトラブルの元凶になるエピソードが存在したことも何度かあった。

  • モンタリー(CV:藤本譲/峰恵研/楠見尚己(実写版))
レスキュー・レンジャーの力仕事担当のネズミの男性。
年長者らしく落ち着いた雰囲気ではあるが、チーズが大好物で、チーズを見たり嗅いだりすると人格が変わる。

レスキュー・レンジャーの紅一点のネズミの女性。
モンタリーの古くからの知り合いでありチップとデールが尊敬する女性発明家。
モンタリーに誘われたことがきっかけで、レスキュー・レンジャーの一員になった。
便利グッズから乗り物まで、何でも作れる。彼女の発明品で危機を脱したことも何度かあった。
なお、アナハイムのディズニーランドと東京ディズニーランドのトゥーンタウンに存在するジェットコースタータイプのアトラクション「ガジェットのゴーコースター」は彼女による設計という設定がなされている。

  • ジッパー
レスキュー・レンジャーのマスコット的存在のハエの男の子。言葉を発さず、動きや羽音で意思疎通を行う。
小柄な体格だが、稀にモンタリーに負けじ劣らずの怪力を発揮する事も。
声は基本的にテレビ東京版、ディズニーチャンネル版共に言語流用だが、ディズニーチャンネル版の一部エピソードのみ、岡村明美嬢が彼の声を担当している。
実写版ではなんと…ガジェットと結婚し、子宝に恵まれていた。

《レスキューレンジャーの敵役》
  • ファットキャット(CV:島香裕/加藤正之→中庸助)
レスキュー・レンジャーと敵対関係の犯罪組織のリーダー。名は体を表す通り、ポッチャリ体型のネコ。
葉巻を吸っており、マフィアのボス風味の衣装が特徴。

  • モール(CV:亀山助清/安西正弘)
ファットキャットの部下のモグラ。超がつく程のんびり屋で、お金よりキャンディを好む。

ファットキャットの部下のネコ。見た目は『ピノキオ』に登場したギデオンに似ている。

ファットキャットの部下のネズミ。部下の中で1番素早く、1番賢いらしい。

  • ワート(CV:沢木郁也/西川幾雄)
ファットキャットの部下のトカゲ。陰険な態度で宝石大好き。

  • ニムナル教授(CV:辻村真人/上田敏也)
レスキュー・レンジャーと敵対関係の狂科学者。
自身の発明品でレスキュー・レンジャーを困らせているが、だいたい因果応報な結末を迎えている。
憎めない容姿をしているらしく、レスキュー・レンジャーのサポート役で登場したエピソードが存在したことも。

〈ゲーム作品〉

FC版で『チップとデールの大作戦』『チップとデールの大作戦2』が発売されている。
基本的なアクションはほとんど変わらず、2Pで協力プレイも可能。

〈評価・余談ほか〉

先行して放送された『ダックテイル』に次いで根強い人気があり、現在も続くリピート放送、一度は案が出されたが実現しなかったリブート企画の存在、そして最新作に当たる映画など何らかの動きがあることが本作の人気を証明しているだろう。
本放送時は全5話のミニシリーズ「お助けチーム誕生」が特に好評だったようで、シーズン2の本数の多さにも繋がったと見ることもできる。

当然ながら日本でも放送されたのだが、初回放送がアメリカでの初回放送と僅か1月違いという驚異的な速度、更に一部話数に至っては日本が先行して放送とかなり気合の入った放送体制が組まれていた。代わりに『新くまのプーさん』の国内放送は数年遅れたが。
海外アニメ特有のシーズン制の都合上、テレビ東京では4クール放送で終了となり、1992年にWOWOWにて現行吹き替えでようやく全65話が日本で全て放送された。タイトルもこの時に原語版に忠実な表記に変更された。

ディズニーテレビシリーズの中では日本スタジオ委託回が比較的多め。
シーズン1*2は全話をルパンコナンで知名度のある東京ムービー新社が担当。しかし、ディズニー側は品質管理が満足に行えなかったようであり、東京ムービー新社との契約はここで終了してしまった*3
そこでディズニー側は自社で管理可能な日本スタジオを設立。それが一部の詳しいアニメオタクに知られているウォルト・ディズニー・アニメーション・ジャパンである。シーズン2以降は元より本作以降の90年代テレビシリーズも大体WDAJが一部話数の作業を行っていた*4。WDAJの実力を知りたい人はディズニー版ダークなタートルズとも言える『ガーゴイルズ』にも注目。

この作品ではチップとデール以外、ミッキーやドナルドなどディズニーでお馴染みのキャラクターが一切出てこない。
代わりに、この作品のみに登場する個性豊かなキャラクター達が存在する。
ただ、そのキャラクターは以降のディズニー作品に登場しないせいか全体的に知名度は低めである。
例外的にヒロインであるネズミガジェットは比較的知名度は高く、ディズニーランドのトゥーンタウンのアトラクションガジェットのゴーコースターは彼女が発明したという設定もある。
さらにはツムツムに登場したりとガジェットの知名度は高まりつつあるだろう。
なお、ロシアではガジェットを崇める宗教がリアルに存在する。

〈カムバック実写版〉

2022年には長編作『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』が配信開始。
『ロジャー・ラビット』のようにアニメ・CGキャラが人間と共存する世界で、テレビシリーズ後の彼らの姿を見ることができる。
…初見時は彼らの変化に驚くかもしれないが。あと他社映画ネタも満載で同じく実写化してアメリカでヒットした青いハリネズミのそっくりさんも出てくる。
所謂楽屋落ち的な内容で、レスキューレンジャーズは「彼等が演じてきたテレビドラマ」という体で話が進んでいる。

ディズニーネタだけではなく、先の偽ソニックを始めそれ以外の会社のキャラをそのまんま登場させてオマージュしたり、
あの著作権ネタで不名誉な形で有名になったディズニーが、あえてそれに逆行する形で黒い要素を惜しげもなくさらけ出した異色作。

実写版として発表されてから実製作までかなり時間があったこともあり、正統続編やリブートを望んでいた多くのファンからは
「こんなの求めていなかった」としてプチ炎上する羽目になったが、
本作がメタネタを多く含んだのは、「結構人気はあったのにディズニーから日干しにされ続けて、こんなに時間が経ってから再映像化のお呼びがかかった」
という不遇な状況*5を踏まえての自虐的な内容であることは留意すべきであろう。



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最終更新:2024年06月21日 21:15

*1 現在は『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』が正式タイトルだがここでは旧タイトル表記とする。

*2 計13話。

*3 皮肉にも翌1990年からライバルのワーナー・ブラザースと新たに契約して『スピルバーグのアニメ タイニー・トゥーン』、『バットマン』に参加。より東京ムービー新社の実力が上がることになった。

*4 2004年に閉鎖されたが社長である徳永元嘉氏は一部スタッフを引き継いでアンサー・スタジオを新たに設立した。

*5 ダックテイルゲームのリマスター版まで登場するなどかなり優遇されていた。