登録日:2023/03/07 Tue 04:43:00
更新日:2025/04/26 Sat 21:05:27
所要時間:約 6 分で読めます
原作:
藤子・F・不二雄
監督:渡辺歩
脚本:渡辺歩、楠葉宏三
主題歌:スキマスイッチ「ボクノート」
『ドラえもん のび太の恐竜2006』とは『映画
ドラえもんシリーズ』の第26作目のタイトルにして初のわさドラ映画タイトルである。因みに2005年はリニューアルに伴い映画が公開されなかった為、2年ぶりの公開となった。
以下、原作である大長編を「原作」、1980年公開の『のび太の恐竜』を「旧作」と記す。
【概要】
映画ドラえもん第一作目『
のび太の恐竜』のリメイク作品で、まんがドラえもん誕生35周年記念作品。
旧作と比べ様々な細かな描写が変更、または原作から復活しており、特に終盤は「恐竜ハンターの基地からピー助とドラえもんとのび太の力を合わせて脱出する」「タイムパトロールの力を借りずに日本へ辿り着く」という原作の雰囲気を壊さず且つ大胆な改変がされている。やや過剰とも言えるギャグ演出は
賛否両論だが、現在でも名リメイクとして評価は高い。
初めての一歩を大きく踏み出せた一作と言える。
本作は明確に今までの大山ドラ映画とは異なった元気で感動重視な作風で作られており、またかつてのドラ映画のリメイクという手法もこの時から生まれた。良くも悪くもここからドラ映画の世代は切り離される事となる。
1980年当時からの学説の変化にも対応しており、2023年現在の学説とは流石に異なる描写もあるが登場する恐竜が一部変更されている。
本項目では主にリメイクによる変更点等を中心に記していく。
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原作と旧作から変更されたシーン |
「あたたかい目とはどんな目なのか」をドラえもんが模索した結果、異様に不気味な物へ変更。
のび太が穴を掘り終わった後、麦茶を持ってきてくれる優しい人になっている。
おじさんごとのび太が穴へ落としてしまうが。
無理やり布団を剥がそうとしていた原作とは異なり本作は子供の頃の思い出を語りつつのび太を優しく諭している。
存在ごとカット。ピー助は原作よりも長い間野比家に居た事となる。
様々なメディアが取り囲んでいたり、野次馬だらけだったりと規模がデカくなっている。そしてドラえもんの気の引き方はかなり古典的。「こっちに出たぞー!!」
原作ではくしゃみをした事で難を逃れたが本作では無理矢理食べさせられている。(明らかに食べ物を無駄にしていたのが原因だろうか?)
落ちそうになったジャイアンをのび太が助けるシーンが原作から復活し、それに伴いジャイアンの態度も原作寄りのものとなっている。
先ほどの展開から繋がる為、原作と同様本作でも「日本まで歩いてもいいぜ」とのび太についていく事を決意。旧作では先程のシーンが無かった為ピー助を渡そうとスネ夫と一緒にゴネていた。
今回は地下にある訳ではなく、のび太達が落ちた滝の裏側に存在する。尚、その入り口にはバリアが張られている為タイムパトロールは基地の存在を認知出来ていても中へ入る事が出来なかったという自然な展開に改変されている。
捕らえた静香達を食べさせようと放つ所は同じだが、きび団子を食べたティラノと分かるまで時間がかかっており、判明するまで、のび太達は誰一人食べられないように各々気を引いていた。(この時スネ夫は一番臆病だった割に「食べるならジャイアン」と思いっきり言っていた。)
「これじゃ本当のお遊戯会だ…」
基地が崩れてきた際に恐竜とのび太達はドラえもんのポケットに入り、ドラえもんはピー助に地上まで連れて行ってもらい、ドラえもんが挟まった時にのび太がすかさず助けるといった感じで力を合わせて脱出している。
原作、旧作ではタイムパトロールに乗せて行ってもらっていたが、本作では力を借りずに自力で辿り着いている。
帰宅以降の描写までは描かれず、エンドロール時に原作のエピローグの場面のコマが映される。
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【あらすじ】
ある日、のび太は、謎の卵を見つける。それは、白亜紀の恐竜・フタバスズキリュウの卵だった。生まれてきた首長竜の
赤ちゃんをピー助と名付け、育てようとするが、黒マスクの男にピー助を売り渡すように言われる。
それを良しとしないのび太は、タイムマシンでピー助を白亜紀へ返そうとするが…
【登場キャラクター】
【メインキャラクター】
CV:
水田わさび
ご存知22世紀ネコ型
ロボット。
本作では作風も相まって旧作と比べてやけにハイテンションな動きを見せる。一人で頑張っているのび太を暖かく見守るのは原作通りだが何故かその時の「あたたかい目」が異様に
不気味な物
となっており、それを見たのび太はひっくり返っている。脱出の時、彼のポケットがまさかの大活躍をする。
CV:大原めぐみ
本作では実際に鼻からスパゲッティを(無理やり)食べさせられている。旧作でオミットされたジャイアンを助けるシーンが復活。一瞬ではあるが本当にカッコいい。原作、旧作よりも更に保護者としての描写が強化されており、本作はのび太の成長物語としても描かれている。別れの時、のび太と同じように涙を流した人は多いだろう。
残念ながら「恐竜ごろし!」のセリフはカットされてしまった。
CV:
かかずゆみ
旧作から作画力も上がり、更に可愛さがアップしている。「着せ替えカメラ」の例のシーンについてだが本作では残念ながらこちら側に背を向けており、現代に配慮された形となった。
実はわさドラ映画にしては珍しくパンチラの場面が多く、これと次回作くらいしかない。
CV:
木村昴
旧作ではオミットされた漢気ある一面が原作から復活。ただ一人帰りたがるスネ夫を励ましたり檻を壊そうとするティラノに応戦しつつピー助を守るようにのび太に言う等、わさドラ映画第一作目にして最大級の漢っぷりを発揮している。また「着せ替えカメラ」のシーンが若干変更され本来しずかちゃんが着るはずだった水着をジャイアンが着用するという誰得なシーンも追加。
CV:
関智一
役割は特に原作と変わりないが誰得な
シャワーシーンが追加されたり
「食べるならジャイア〜ン」
というドラえもん映画屈指の迷言を残した。終盤では「最後まで僕らの力で頑張ろうよ。みんな仲間じゃない!」と彼もこの冒険で成長した事が窺える。
【ゲストキャラクター】
CV:
神木隆之介
原作からデザインが若干変更され、より可愛くなっている。「成長促進剤」の描写が無く、ピー助が産まれてから何週間も経ったような描写がなされている。最初は四人を載せられず沈んでしまったが終盤ではドラえもん含む五人を載せても全く問題無いくらいに成長している。原作、旧作とは異なり仲間に出会った後にのび太との別れを惜しんでいる。のび太の新恐竜では、ピー助と思われる首長竜が海に落ちてしまったのび太を救助している。因みに首長竜は正式には
恐竜ではない
、また
胎生であった
とされているが本作でもピー助の設定に変わりはない。
CV:
船越英一郎
旧作と比べ、原作通りのデザインに。
ティラノがのび太達の味方についたり基地がタイムパトロールに見つかった事で逆転された後、早々にドルマンスタインを見捨てて別の時代へ飛ぼうとするも失敗、他の恐竜ハンターと一緒に檻に入れられる。
因みに、終盤のシーンを見ると分かるが実はハゲである。
CV:
内海賢二
最早お馴染みとも言える恐竜ハンター。
中の人は旧しずかちゃんの夫。
捕まえた恐竜にムチを打つシーンが追加され、より悪役らしい威厳を醸し出していた。最後は岩に潰されたかに見えたが流石に原作通り生きていた。
尚、今回のリメイクで黒マスク共々ハゲである事が判明。
【ひみつ道具】
脱出の際に道具が全て流されてしまったらしいがピー助が元のサイズに戻っているので恐らくこの道具だけは残っていた。
予め全員分の水着の絵を入れた後にまとめて撮影する形に変更。結果
しずかちゃん用とジャイアン用が逆になってしまった。
連続運転によりバッテリーが上がった際、装着者ごと回転してしまう仕様に変更された。
正直かなり危険な仕様だが…
見た目がかなり変わっており、錬金窯のようになっている。また作ったのは魚肉ソーセージのみ。
ケツァルコアトルスにドラえもんが使おうとするも気を引こうとそちらの方を向いていた為に後ろに気付かず
ぶつかってしまい全部落とした。
かなり高い滝の上から落ちても大丈夫だったのはこれがあったからかもしれない。
【恐竜】
ピー助の仲間。前述の通り恐竜では無く、
首長竜。
フタバスズキリュウがフタバサウルスとして正式に新属新種の首長竜として記載されたのが実は本作が公開されてすぐの2006年6月である。
ピー助をいじめていた首長竜。
群れで登場。
桃太郎印のきび団子を食べさせられたことで、背中に乗せて運んでもらえることに。
ただしのび太だけは
後ろ向きに
乗ってしまい、かなりの恐怖を味わう羽目になった。
原作でアパトサウルスに当たる役割で登場。因みに原作ではティラノに襲撃された事で命を落としたようにも見えたが、本作では傷を負っただけで明確に生存している。
原作同様襲撃をかけるが「
桃太郎印のきび団子」を食べて大人しくなる。しかし終盤に登場した際は原作、旧作とは異なりきび団子を食べたティラノと判明するまでに時間がかかっており、緊張感が増している。
最大級の
翼竜。
原作で
プテラノドンに当たる役割で登場。尚、プテラノドン自体は少しだけだがこれとは別で登場している。
ドルマンスタインの切り札として登場。実はこの恐竜だけは一切の情報を伏せられており、ある種「隠れキャラ」的な存在でもある。ティラノと対決するのは『ジュラシック・パークIII』の
オマージュのようだ。
【余談】
『ワンニャン時空伝』までの監督を務めた芝山努によると実は恐竜のリメイクという話はリニューアル前の時点で出ていたようだが、芝山は
荷が重い
という理由で断念していた。
リニューアル後のドラえもんを担当している水田わさびが後に語った内容によると"ドラえもん"という大役へのプレッシャーが強くネットや現実でもバッシングの声が聞こえてきたようで、この映画が決定するまで「すぐにクビになる」と思っていたようだが、決定のおかげで「まだ続けられる」と安心したという。
本作に登場した恐竜のおもちゃは次回作にもある。是非探してみよう。
劇団ひとりが冒頭のおじさん、主婦A、リサイクル業者、レポーター、そしてタイムパトロール長官の五役で出演している。
劇団ひとりをさがせ!状態だが、舞台挨拶を行った試写会では観客にすべて当てられ本人も驚いていた。
主題歌を歌ったスキマスイッチがタイムパトロールの隊員役として少し出演。『
ふしぎ風使い』から恒例であった歌手ゲスト枠である。また常田真太郎は後に「
ドラえもんのうた40th」の編曲を担当している。
エンドロール後「来年もまた見てね」というおまけ映像が用意されているが次回作以降から確立された予告としての映像ではなくあくまで恐竜の内容での映像となっている。
追記・修正は鼻でスパゲッティを食べてからお願いします。
- 小1、2 の時見たなあ -- ユーリィ (2023-03-07 15:42:52)
- わさドラ初期には変顔で笑わそうとする場面がちょこちょこある。流石にドラえもん本来の笑いと解離するためか近年はなくなった印象。 -- 名無しさん (2023-03-07 16:45:07)
- 水田わさびが「ドラえもんの役をクビにならなくて良かった」とコメントしていたのが印象的。 -- 名無しさん (2023-03-07 16:53:25)
- わさドラ映画もかなり長くやってるけど演者も最初の方は不安を抱えてたのが印象深い。 -- 名無しさん (2023-03-07 19:53:08)
- 前年のワンニャン時空伝のクライマックスでハチ(イチ)に「21世紀で一緒に暮らそうよ」と引き留めていたのに対して、こっちのクライマックスでは離れたくないピー助を必死に引き離そうとするのが対照的だったな -- 名無しさん (2023-03-07 20:33:45)
- アラモサウルスとティラノサウルスのバトルが凄い迫力あって興奮した覚えがある。 -- 名無しさん (2023-03-08 10:58:00)
- あたたかい目はTVアニメ「テストに一夜漬けダル」にもあって嬉しい -- 名無しさん (2023-03-08 14:40:42)
- 意外とドラ映画って出来てない項目あったんだな。 -- 名無しさん (2023-03-09 18:22:02)
- 今見ると初期のわさドラ映画は顔芸がクドい -- 名無しさん (2023-03-12 10:52:10)
- 当時子犬を飼っていたからピー助と子犬が自分の中でダブって子供ながらにわんわん泣いてたわ。ギャグシーンのくどさは擁護できないけどそれ以外は本当によく出来たリメイクだったと思う -- 名無しさん (2023-03-15 10:49:01)
- 初見の時完成度高くて泣いた。 -- 名無しさん (2023-06-01 19:24:49)
- 普通にいい映画だったのにこの頃のわさドラ叩きの空気のせいで評価を落とされてる印象がある -- 名無しさん (2023-08-09 13:04:53)
- 「親子」がテーマっぽいので新恐竜みたくピー助の親として頑張るのび太くんや恐竜の親子が観れる。「ごめんね。私のスピノちゃん。」 -- 名無しさん (2023-08-31 19:18:05)
- ガキの頃父親とリアルタイムで見に行ってエンドロールが終わった後「新しいドラえもんも良いもんだな」って父親が呟いたのは今でも忘れられない -- 名無しさん (2023-09-05 12:51:59)
- ネトフリで見たけど、OPがハグしちゃおで「懐っ!」って思ったな。 -- 名無しさん (2024-06-13 04:44:41)
- ↑現在は宝島で出た「ドラえもん」で固定されてるんでしたっけ。 -- 名無しさん (2024-06-13 07:07:09)
- わさドラ映画の奇跡の島までの作画は総じて気色悪いけど、その始祖である恐竜2006は作画崩壊と呼んでも差し支えないほどの酷さ。藤子先生の本来の作風から乖離し過ぎてて制作の悪ふざけでしかない。新・日本誕生と南極カチコチで一気にクオリティが上がって月面と小戦争2021で完成された感じ。 -- 名無しさん (2025-01-15 11:05:29)
- オルニトミムスに乗るシーンで、のび太だけ逆向きに乗ったのはどういう意図があったのかが気になります。 -- 名無しさん (2025-04-26 21:05:27)
最終更新:2025年04月26日 21:05