登録日:2011/08/29 Mon 22:48:10
更新日:2025/03/08 Sat 14:23:29
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『
桃太郎』は、
日本国に室町時代より伝わる御伽話の一つ、及び同作の主人公の名前である。
桃から誕生した主人公の日本男児の象徴たる勇姿は、日本人なら誰もが知っているほどの知名度を誇り、登場人物や結末に至るまでのあらすじは
もはや一般常識レベルで浸透していると言って差し支えないだろう。
【粗筋】
昔々、ある所に暮らす老夫婦がいた。
平和な暮らしを謳歌していた2人だが、ある日、お婆さんは洗濯に赴いた川で川上からドンブラコ、ドンブラコと流れてきた大きな桃を発見、持ち帰ることに。
しかし食べようと切った桃からは、なんと男の赤ん坊が誕生したではないか!
「桃太郎」と名付けられた赤ん坊はすくすくと成長。
やがて、人々に悪事を尽くす異形の存在「鬼」の噂を聞いた彼は、黍団子を携え鬼の巣窟「鬼ヶ島」に鬼退治へと向かう。
果たして、戦いの結末は……?
【主要登場人物】
◆桃太郎
川上から流れてきた「桃」から誕生した神童。腰に黍団子を携える。
鬼を駆逐すべく鬼ヶ島を目指すが、その旅の中で以下の3体の鳥獣を仲間につけていく。
◆老夫婦
桃太郎の育ての親であるお爺さんとお婆さん。
お婆さんは餞別として桃太郎に「黍団子」を手渡した張本人。
◆
イヌ
哺乳類食肉目、黍団子と引き換えに桃太郎の子分となった鳥獣の一匹。
◆サル
哺乳類霊長目、黍団子と引き換えに桃太郎のry
◆
鬼
鬼ヶ島に棲む、牛の角を持ち
虎の毛皮を纏った異形の種族。
人々に悪事を働き財宝を略奪するという行為が桃太郎の怒りに触れる事になる。
【用語】
◆桃
川上から流れてきた大きな桃。日本では、桃は邪気を掃う不老不死の薬用植物として神話の時代より崇められてきた。
◆
黍団子(吉備団子とも)
「黍」という穀物で作られた団子で、お婆さんが桃太郎に渡した餞別の品。1つ食べるだけで
百人力となり、「日本一の黍団子」と称される。桃太郎はこれを3体の鳥獣らに与え、主従関係を築く事に成功した。
なお「吉備」の名の通り
岡山県が発祥とされるが、作中に登場する「黍団子」との関連性には確証が無い。
【発祥】
様々な説があり、実は未だ確定していない。
かつてあるクイズ番組で「『桃太郎』の作者は?」という問題が出され、解答者が「え……分っかんねぇ~」と答えたところ正解したという逸話もある。
また、桃太郎伝説の元となった人物に関してもやはり様々な説が流布している。
黍と吉備との関連を主張する岡山県、「鬼ヶ島」のモデルとされる女木島が属する
香川県のように、こんにちでは様々な自治体が「おらが村こそ桃太郎発祥の地だ」と主張しており、そうした自治体は
日本桃太郎連合会なるものに所属している。
……要するに観光振興のためのフリー素材と化しているフシもある。物語の知名度はもともと抜群だし、舞台が特定のどこそこだと示されていない分どうとでもこじつけられるし、どこの誰かも判らなくて生きているわけがない原作者(及びその子孫)にロイヤリティを払う必要も無いし。
極端な例を挙げれば
- 「桃太郎とは百太郎、即ち黄泉の国の追手を桃の実で撃退したイザナギ、氣比神宮では桃太郎の彫刻と称されるガガイモの船に乗った少名毘古那、雉名鳴女を先導に葦原中国の国譲りを受けた建御雷神、猿田彦命を従え葦原中国を統治した瓊瓊杵尊、海幸彦を狗人として従えた山幸彦など日本神話の主役たちの総称である」
- 「ジャイナ教やタイのラーマキエンではヴェダヴァティーは漢訳仏典で華上子と呼ばれたラーヴァナ(インド神話)に破滅をもたらすためにその娘として転生しているので花の子即ち果実、占い師から忠告されたラーヴァナは娘を川に流すが拾われてシーター妃として成長しているので共通点があり、ラーマ王子は鳥や猿や熊を従えてその島に攻め込んでおり、宝物集においては宝を手に入れているのでまさに一致する」
……なんて説もある。
「子供のいない善人が不思議な生まれの子供を授かりその子が幸福をもたらす」なんて話は王道パターンなので、ルーツを探ろうと似た話を探しても
箇条書きマジックでいかようにでもこじつけられるのだ。
【内容の差異】
一般には前述の内容で知られる桃太郎だが、明治初期までは「流れてきた桃から生まれる」のではなく、
「桃を食べて若返った夫婦がセ(合体)して桃太郎を産む」というのが一般的な内容だったとされる。
ただし別に江戸時代に桃から生まれた桃太郎の話が無かったわけではなく、江戸後期には滝沢馬琴の『燕石雑志』で、既に桃から生まれた話の方が主流のように記載され、若返った夫婦から生まれた話はその別説として紹介されている。
明治時代には
小学校の教科書に載せられたことで、現在知られる形の『桃太郎』の話がさらに広く浸透したと考えられる。
なお、本作が明治政府の教育政策に都合が良いから教科書に載ったという説もあるが、これ以外のおとぎ話も載っていたので真偽のほどは定かではない。
話の構造的に「超常的なものが化身したみすぼらしいものに親切にした者は成功し、邪険にしたものは失敗する」パターンと類似しているため、一説には本来お供は何か超常的なものだったのではないかとも言われている。
また、各地により内容にも微妙に差異が見受けられる。
<
岩手県>
地獄の鬼から日本一の黍団子を持って来いと命じられた桃太郎が、地獄の鬼が黍団子を食べている隙にお姫様を救出する。あれ?
<
広島県 他>
家来の3匹が臼・針・
馬糞・百足・蜂・蟹になっている。『猿蟹合戦』ですねわかりま(ry
<
香川県>
桃太郎は女の子。あまりに可愛い為、鬼に狙われないよう桃太郎と名付けられた。
女体化、いやいや男装……?
<吉備津神社縁起物語>
吉備津彦命(桃太郎)が犬飼健命(犬)・楽々森彦命(猿)・留玉臣命(雉)と共に、鬼ノ城(鬼ヶ島)の温羅(鬼)を退治する。
中国地方から四国地方にかけてはこの他、柴刈りに誘われても中々行きたがらないが、一度出かければ大木を担いで帰って来る「ももく太郎」と呼ばれる類型が分布している。
中国地方側には山に行っても夕方まで寝ているなど怠け者っぷりの強調が大きく鬼退治にも行かずに終わる例もあり桃太郎とは別の話かもしれない。
【童謡】
「桃太郎」という童謡があり、このお話の桃太郎を題材としている。
1番はきびだんごを下さいな、2番は鬼の征伐についていくならあげましょうと物語通りの内容。
しかし鬼ヶ島に乗り込む4番から雰囲気が変わり、5番では「おもしろい おもしろい」と鬼を切り伏せることを楽しみ、挙句には「鬼から分捕ったものを持って帰って凱旋だ〜」(大意)という怖い歌になる。
歌詞考案者は不詳。
【関連作品】
【余談】
JR貨物のEF210形直流電気機関車の愛称である「ECOPOWER桃太郎」は、『桃太郎』発祥の地である岡山機関区に配置する最大出力の新型機関車という意味合いも兼ねて名付けられた。
(現在は岡山機関区以外にも新鶴見、吹田機関区に一部が配置されており、新造車が岡山機関区に配置されるのはごく稀である。
2013年3月には瀬野八専用の300番台が登場し、こちらは広島車両所を経て、2014年3月から吹田機関区に配置されている)
「ドンブラコ」なる独特なオノマトペが使われる作品は、世界広しといえども本作だけだろう。
童謡『桃太郎』の後半では、
桃太郎たちは鬼をいたぶり、挙げ句に略奪まで働いている。
これもう(どっちが鬼か)わかんねぇな
事実、
ポケットモンスター『スカーレット・バイオレット』では
モモワロウという桃太郎がモチーフと思われるポケモンが子分の「ともっこ」を率いて
鬼様を襲撃し、敗北。子分は殺され、本人も瀕死の重傷を負った後、再起を図る様が描かれた。
アーケードゲーム『
Wonderland Wars』では、吉備津神社縁起物語での名義で参戦している他、ソウルとしてではあるが犬飼と留玉臣も出ている
猿は大聖ら『
西遊記』組のキャストのせいでしばらく出なかったが、アプデで遂にソウルとして「楽々森彦」が登場した
さらに、2015年10月30日よりアナザーキャストとして
鬼武者と化した吉備津、
「乳首」「闇吉備津」が参戦した。
- Wonderland Warsに猿も参戦したぞ!よかったな! -- 名無しさん (2015-11-04 21:42:33)
- しかし、Auの浦島太郎と金太郎と仲が良くてかぐや姫を嫁にしてる桃太郎って明らかに桃太郎伝説意識してるよねw -- 名無しさん (2015-11-04 22:05:19)
- 芥川龍之介の桃太郎はなかなか夢をぶち壊す内容。しかも猿蟹合戦(こちらも夢がない)と世界観がつながっている。 -- 名無しさん (2015-11-04 22:12:15)
- ある地方では、「桃から生まれた子供は鬼の子」という伝承があるらしいけど…ホントかな?その地方での桃太郎は「鬼の子でありながら、人間たちに育てられたために頼みを断れず、それと知らずに自分の仲間をせん滅してしまった、悲劇の英雄」として語り継がれてるらしいが… -- 名無しさん (2016-07-14 19:49:46)
- ↑仮面ライダーや悟空は桃太郎の流れを汲んでいる可能性が微レ存・・・? -- 名無しさん (2016-07-14 22:54:11)
- 岩手版は平和だなぁ。誘拐犯の要求に屈したといえなくもないが -- 名無しさん (2016-09-28 11:35:05)
- 空想科学読本ではおばあさんは桃を切っていないっていうのがあったね -- 名無しさん (2016-11-03 15:41:37)
- 棒状の黍団子は食べたことあるけど、よく話に出てくる丸い黍団子は食べたことないんだよなぁ。あれって、どういうものなんだろ? -- 名無しさん (2017-04-18 12:41:04)
- 水樹奈々版冒頭で「夜のタッグマッチ」なんて解説が入ってたなあ。 -- 名無しさん (2018-09-07 17:32:44)
- fateでまだサーヴァントになってないのは何でだろう? -- 名無しさん (2019-02-23 23:25:59)
- 「鬼が島に流れ着いた桃太郎は、力を付ける間もなく鬼どもにぶちのめされてしまいましたとさ。えらいこっちゃ」というネタって、どれだけ昔から・どれほどの数あるだろう? -- 名無しさん (2019-04-19 19:31:30)
- 火薬を詰めた犬で鬼の爆炎ブレスを相殺するとかそんな・・・ -- 名無しさん (2019-06-11 15:55:54)
- ↑文字通り、犬死かよ -- 名無しさん (2019-06-11 17:33:54)
- 鬼灯の冷徹だと最初暇もてあまして調子こいたあと、改心して作中一の常識担当になるという -- 名無しさん (2019-07-06 23:31:40)
- 百年前の民も 百年後の民も 神州無敵と問われて答えるのは 麻呂の名であろう -- 名無しさん (2019-11-19 12:27:56)
- ↑安泰じゃ -- 名無しさん (2019-11-19 12:37:40)
- そういえば、さりげない完結後の謎なんだけど、桃太郎が出てきた桃はその後、どうしたんだろう? やっぱり食べたんだろうか。 -- 名無しさん (2019-11-19 12:44:24)
- やっぱり、鬼のモデルは「海賊」「外国人」「大和朝廷と敵対していたその土地の支配者」のどれかなんだろうか? -- 名無しさん (2019-12-08 16:26:50)
- なぜ鷹ではなく雉をお供に選んだんだろうか -- 名無しさん (2019-12-08 17:24:07)
- YO!YO!日本一の桃太郎ここにあり -- 名無しさん (2020-08-22 17:46:04)
- 浦島太郎や金太郎の話が曖昧な人でも、桃太郎は簡単なあらすじはしっかりわかってる人が多い。やっぱ単純明快だからかね? -- 名無しさん (2021-07-31 23:44:48)
- ラブライブサンシャインの千歌役の伊波杏樹さんが、『あの桃は、川上の農家に生えてる木から落ちたもので、もしかしたら他にも赤子の入ってる桃があって、桃次郎とか桃子とかがおるのかもしれん』って珍説言ってたねw -- 名無しさん (2021-08-02 13:51:14)
- ピーチボーイリバーサイドだとめっちゃ可愛いし声優も女性であるが男。いやあの子それ以前の問題あるけど。 -- 名無しさん (2021-09-05 14:05:02)
- トリビアの泉の桃太郎のトリビアは衝撃的だった。まさかお爺様とおばあ様が…ねぇ。 -- 名無しさん (2021-12-30 11:56:58)
- 「おじいさん、おばあさんわたしはどこから生まれたんです?」「そりゃわしと婆さんが桃を食った晩にまたがって…」「桃じゃ!桃から生まれたんじゃ!だから桃太郎なんじゃよ!」 -- 名無しさん (2022-05-15 15:42:40)
- コメントのログ化を提案します。 -- 名無しさん (2022-07-23 22:17:17)
- ログ化しました -- (名無しさん) 2023-02-22 19:16:42
- 芥川龍之介版桃太郎は、侵略者桃太郎。犬と雉の鬼の殺し方も酷いけど、猿は女の鬼を…マジで猿 -- (名無しさん) 2023-07-16 23:43:10
- 百年後の日本にも残っていそうな物語ってのがクソ強い -- (名無しさん) 2023-07-17 01:16:07
- ルーツをたどると、朝廷が勢力拡大のためにかけていた遠征のプロパガンダに行き着くのではって同期が言ってて、教授も面白い説って言ってたのを思い出した。彼いわく、邪馬台国の引っ越しから朝廷に移行にあたり勢力拡大のために遠征をかける必要があった。つまり、恭順しない地方豪族を鬼に置き換え、地方豪族討伐の遠征は、鬼からその地域を解放しその地域を朝廷の威光で鬼や妖怪から守るためのものとした。朝廷はその中で吉備地方の遠征を担当した吉備津彦を取り上げ、第二第三の吉備津彦班は君たちだ。朝廷は君たちの勇気を待っている。と遠征兵募集の広告塔として吉備津彦班を起用し、桃太郎とはそのプロパガンダと広告塔がおとぎ話として時代の変遷と共に変わっていったのではないか。だそうだ。 -- (名無しさん) 2023-11-19 04:24:00
最終更新:2025年03月08日 14:23