CGIゲーム

登録日:2023/07/04 Tue 19:00:11
更新日:2024/07/21 Sun 21:01:33
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CGIゲームとは、ブラウザゲームの一種である。
オンラインゲームの歴史でいえば最古参といってもいいものであり、その歴史は非常に長く、そして最前線を退いたとはいえ未だ現役である。
そう、未だ現役なのである。


概要

CGIとはCommon Gateway Interfaceの略で、サーバー上で何か処理をさせてウェブブラウザに返すというもの。要するに計算の外注である。
その性質上、定時更新されるシミュレーション形式の作品が多く、そしてその例に漏れず根強いファンというかプレイヤーが多い。

ただし必ずしもシミュレーションとは限らず、そういうものだがCGIゲームと名乗ったり名乗ってなかったりするものがある。
要するに製作者がCGIゲームって言えばCGIゲームなのである。
とにかくこれといった定義付けはできてないのだが、まあ当時のトレンドがそうだったとしか言いようがない。


CGIゲームの歴史


黎明と隆盛

インターネットが普及し出したころ誰かがチャットを作り、とある会社によってゲームも作られた。
それは瞬く間に広まり、インターネット黎明期において大きなブームを巻き起こした。

その最初のゲームが終わり、ユーザーたちが自分たちのページ、サイトを設置するようになる頃。
技術を身に着けたユーザーたちは自分でゲームを作るようにもなった。
その中で方向性は二分した。課金型・シェアウェアと無料配布型・フリーウェアである。
課金型のゲームは少なかったものの、確かに存在していた。
一方でフリーウェアのゲームは配布後改造を加えられてまた配布という形で進化を繰り返し、中には原型すら無くなったものさえあった。
またこの時期台頭した2ちゃんねるではCGIゲームを使って板対抗戦をするなど、非常に盛り上がっていた。
中でもモーニング娘。板(狼)では特に活発だったとも言われている。なんJとVIPとν速しか知らん?新参乙

衰退

しかしこういった草の根を根こそぎ刈り取る存在が、21世紀になってから現れるようになる。
例えば、日本では2002年にサービスインした『ラグナロクオンライン』のように、企業が運営する大規模でクオリティの高いオンラインゲームである。
家庭用ゲームでもファンタシースターオンラインFINAL FANTASY ⅩⅠがオンラインに進出してきた。
また、個人や少人数で作る分にはフラッシュゲームも出てきた。
これらは待ち時間が退屈なシミュレーションではなく、常に刺激をくれるアクティベートなゲームばかり。
当然多くの人々はそれらへと流れていき、CGIゲームのブームは幕を閉じ、暗黒の時代が訪れる。

人離れは止まらず、課金CGIはサービス終了し、無料CGIもまた過疎で稼働を止めるものも多かった。
企業製オンゲの進化は留まることを知らず、CGIとのクオリティの差は広がる一方であった。
CGIゲームは過去の遺物となり、一部はその歴史を閉じることとなる。

反攻の兆し

だが企業が生み出す進化は、当然ながら多々買われなければ生き残れない熾烈な競争へとつながった。
クオリティが上がるにつれ開発費や維持費も高騰し投資に見合わないようになっていき、それらは赤字を生み出し次々と掃除のおばさんに電源コードを抜かれたりサ終していった。

代わりに台頭したと言えるのがガチャを中心としたソーシャルゲームである。
プラットフォームが携帯であるため比較的かなりの低コストで開発でき、優秀な課金システムを持たせられることから非常に費用対効果が高い。
運営側としてはこれほどありがたいものはなく、次々と作られていくこととなった。
もちろんCGIゲームも携帯からできたが、企業の宣伝力には敵うべくもなく更に衰退し閉じコン化していった。


その一方でユーザー側も疲弊していた。
オンラインゲームの上がり続けるクオリティに対抗するための機材投資、ソシャゲでの優越感や目当てのキャラを得るための課金、そして長いプレイ時間、ゲームバランスの変化……終わらない多々買いについていくのは難しくなっていった。
高価な家電であるパソコンも、常に手元に置いておけるスマホにより淘汰されつつある。

そんな中で、スマホアプリやインディーゲームが脚光を浴び出した。
GooglePlayストアやSteamなどで個人や少人数で開発したゲームやアプリが基本無料や安価で登場し、人々はより手軽なゲームで遊べるようになった。
だがスマホやタブレットは容量の問題があるため、入れられるゲームアプリの数には制限があるし、常に持ち歩く分水没や破損などの危険も多い……
いずれは思い出と共にアプリを削除しなくてはならなかったり、データ移行に失敗して諦めざるを得ない時が訪れてしまうのだ。


さて非常に長い時間を日陰の中で過ごしつつも生き残り、更に改造され熟成されていったごく一部のCGIゲームはこれらのゲームと比べればどうだろう?
CGIゲームの発展は商業ゲームのそれに対して大きくはない。
だが、ソーシャルゲームは利益を追求するために、多くが人の目を引くためのグラフィックに舵を切り、ゲーム性よりも手軽さを追求している。
それによってゲーム性に特化したインディーゲームが注目されるようになり、その制作環境はかつてのCGIゲームやフラッシュゲームを作っているのとそう大差ないものになっている……

これはCGIゲームが浮かび上がる千載一遇のチャンスではないだろうか?
なんせCGIゲームの維持費は、年1万円やそこらのレンタルサーバー程度でも余裕で済んでしまう。
「だが俺が一番気に入ってるのは…」「何です?」「祭り、だ」「ああ、何を!ああっ同接100人以上も駄目ですよ!待って!止まって!あーっ!」
おかげで完全無料ばかりかつスマホの容量を取ることもなく、何よりゲーム性においては商業面を気にしなくてよい分独自性が高く、引けを取らないどころか上回る部分もある。
そしてそれを長く続けてきた酔狂な管理人とプレイヤーたちが築き上げてきた地盤もあるので、すぐPvPに移れるし反省点も見出しやすい。
時間はあるが金があまりなかったり、PvPを楽しみたいがFPSや格ゲーなどアクティブなゲームは今一つ合わない…その手の人にはたまらないだろう。
今、再びCGIゲームの時代が訪れる……かもしれない。


CGIゲームの問題点

非商業だからという点だけで見逃されている、著作権上アウトな部分がとても多い。
中には、既存のゲームやTCGのシステム(ルール)・設定・タイトルなどを、そのまま使っている物も多い。
アウトな部分の対応については、エニックスは無料であっても厳しく取り締まる一方、スクウェアはFFの略称を冠したゲームを許す*1などかなり寛大、コナミは金銭が絡んでいなければ黙認など、企業ごとに大きく異なる。

そしてその著作権上アウトな部分のせいで、Steamなどゲーム外の有名プラットフォームが使えず大々的な宣伝が打てない。
これは商業ゲームのみならず多数のインディーゲームに対して明確に劣っている点である。
更には5chで長い間本拠地にしていた最後の牙城・ブラウザゲーム板も、管理側の都合により艦これをはじめとしたDMMゲーなど華々しい流行のゲームらに占領されてしまったので、CGIゲームはゲーム外で話せる場所さえ失ってしまっている。
このためSNSや別の匿名掲示板を利用した草の根活動で人を地道に増やしていくしかないが、なんせ待ち時間の長いシミュレーションゲームが多いので人が多く流れの早い場所には向いていない。当然配信にも不向きである。
参加者を増やせているゲームもあるにはあるものの、どうしても頭打ちになりやすい部分がある。
なので令和になってからアニヲタwikiに項目作ったのが、未だ現役のゲームらの売名行為だろうとか雑談用に作ったんじゃないかとか言われたら否定できない

加えてユーザーへの負担が減っている分、サーバーにかける負担が瞬間的に非常に大きくなっているというのもある。
なんせ大概のCGIゲームは上述のように定時更新。全部一度に同時に、少しの時間差もなく、一万分の一秒の差もなく「同時」に大量の更新処理を行う。
「これが…DDoS攻撃だ。」と見做すサーバー会社も少なくないため、レンタルサーバーによっては「ゲームを置くのは禁止」とか利用規約にあったり、その間にゲームが動いたとしても重すぎてゲームにならなかったり、それによってヤバいバグを起こしたりする。S.H.IT!


そして個人で開発だけでなく管理もしなくてはならないというのは大変である。
このアニヲタwikiも個人管理だが、総合相談所を見ての通り荒らしは絶えずそれ以外でも意見の対立等の問題が起きたりするので、管理人はその対処に追われることになる。
その分対応速度は企業運営のものよりも早くありがたいのだが。

更にゲームを発表したあとでも更なる新要素の開発やバランス調整、それに伴うバグ潰しといった作業が出てくる。
こっちは逆に早く対応しようとしても別のバグを生んだりしてしまうので、個人でやるにはとても時間のかかる作業である。
実際に実在のカードゲームのCGIゲームは原作人気もあって流行し、様々なサイトが置くようになった。
だが4ヵ月に一度(途中から3ヵ月に一度)ある数十枚分もの新カードの追加、それに伴って発生した矛盾に対する特殊裁定、数年に一度あるレギュレーションそのものの変更といった多忙極める作業に付いて行くことは不可能だった。
最後まで更新を続けていたゲームはなんとか令和まで踏ん張ったものの、カードの実装は数年遅れというレベルにまで達してしまい、最終的には脱落してしまった。
それでも長い間やってくれたことに対する感謝は言葉ではとても言い表せないが……

このように両方を基本一人で、しかも趣味の範疇でやるのだから時間管理やモチベーションといったものの維持が難しい。

つまりPvPのスマホアプリのようなものを管理運営していく上での悪い面が、無料であるが故によりはっきり出てしまっているのである。

複数人で分担して運営しているものもあるが、それでも長く続けていくのは厳しいものがある。
ネットでの立場というのは、嫌になったら何もかも突然ポンと捨てられてしまうものだからだ。誰とは言わんが
なので終了告知がある企業と違い、突然何も言わず終わってしまったりすることもよくある。
だが管理人だけがそうなってしまっていて、本人すら存在を忘れているのかサーバーの維持費などは払っていたり契約が生きていたりするためゾンビのように存在し動き続けているゲームもある。
しかしそうなったゲームは無法地帯になってしまっていることが多く、荒らしが湧いても対処できる人がいないし、長く続けてきたプレイヤーが老害*2化して幅を利かせてしまっていたりする。要注意。

こうして挙げてみれば、課題が山積みであることがよくわかる。
一度衰退したものが復活を遂げるのは、やはり並大抵ではいかないようだ。


代表的なCGIゲーム

  • Script of Saga II
キャラを操作して生産やバトルを行う、オンゲーの走りのような存在。
ソシャゲでよく言うところのスタミナが少なく設定されがちなのが難点。

  • ENDLESS BATTLE
どこかの勢力に所属して対人でドンパチするステータス勝負の戦略シミュレーションゲーム。
基本的に巨大ロボット(パロディの範疇だが元ネタは明らかにモビルスーツ)とそのパイロットを強化・育成するゲームであり、
更にステータスに様々な影響を及ぼすパイロットの「性格」、「単発の威力と命中率は低いが攻撃回数の多いマシンガン」か「1回しか攻撃できないが高威力なバズーカ」といった武器と、これまたステータスを補正する「戦法」の組み合わせで相手プレイヤーとの戦いを繰り広げる。

魔改造のベースになることもあり、そっち系のCGIがあるのにカードゲームや野球ゲームにしてしまったりした例もあるとか。

  • 罪と罰
わかりやすく言えばファンタジー系の太閤立志伝。
上二つを併せたような傑作。

  • SOLDOUT
店舗を大きくして総合点数を競う経営シミュレーション。
スタミナ制なので、効率よく最適な行動を取っていく必要がある。

  • 箱庭諸島
名前の通り島を開拓していく開発シミュレーションゲーム。時間による自動更新制。
デフォルト設定では1ターン6時間、それ以外も概ね数時間という気の長い設定だが、中には改造により1ターン数分という高速設定もある。

災害や怪獣による妨害が割と激しく、適当にやってて朝起きたら島が壊滅してたなんてこともよくある。
他の島は見ることもできるほか、支援したり攻撃したりもできる。
このため島同士の攻防を旨とする「戦争系」と、開発と怪獣の防衛に専念する「平和系」に大別される。当然平和系での戦争行為はご法度である。

派生版もいくつか存在し、最初期型の後継にして最もベーシックな「箱庭諸島2」、地形や施設・機能が追加され宇宙の開発まで可能な「究想の箱庭」、天気の概念があったり一部の地形や怪獣がGIFアニメで動く等の独自要素がある「箱庭諸島S.E」、戦争ひいては殊更海戦に特化した「箱庭諸島 海戦」、その名の通り資源の取引に重点を置いた「箱庭諸島貿易重視型」、施設や怪獣が大量に追加された他に施設機能を強化する大学を設置したりする事が可能な上級者向け「Hakoniwa R.A.」等が代表的。

ただ処理がクソ重いので、登録者の上限が50名以下など人数制約が厳しいものが多い。しょうがないね。

  • TOWN
仮想の街の住人となり、ステータスを強化し、様々な職業に就き、金を稼いで更に強化する、自宅を構え商売し……を繰り返す。
街の名前は設置サイトによってバラバラだが、やはり大抵は「○○タウン」となっている。
ステータスを鍛えれば上位職業にランクアップでき、また家もBBSやブログを設置する事ができる。
時々イベントが発生する事があり、それによってステータスが増減したりお金を入手したり失ったりする。
改造により地形や家のグラフィックを変更・追加したり、イベントを個性豊かに追加する事もできる。
その為の素材を配布する、所謂「素材屋」も多数存在していた。

現代に於けるSNSの嚆矢と言えるゲームであり、プレイヤー同士の交流を旨としているのが特徴。

  • The Wars of Roses
国家の一員となり、戦争を繰り返すゲーム。
プレイヤーは様々な職業に就きながらステータスを強化し、遂には最上級職・勇者を目指す事になる。
そして「継承」でステータス上限を突破させつつまた一から職業をランクアップさせ、ステータスを更に強化し……の繰り返しが基本。
国家を興すには膨大な資金が必要になるが誰でも可能であり、国家の一員として戦うのも良し、国家の指導者になってみるのも良しである。

何をするにも非常にゲーム内資金が掛かる上に建国を始め何れもかなり高額である事や、また基本的に60秒の待ち時間がある事もあり、
キャラの成長にも資金確保にも長時間張り付ける必要があるのは難点か。

  • World Wide Adventure
通称「WWA」。
現代で言うツクールのようなゲーム制作ソフトであり、Javaアプレットで動作するブラウザゲーム。
スコアアタックが可能なゲームではCGIと組み合わせてランキング機能を付けたものが多く見られた。

  • 珍走記
日本をモチーフとしたマップを舞台に、一定時間ごとに1個増えるサイコロを振って目的地を目指し、
平行して領地を確保したり資金を稼いだりするという変則的なモノポリーのようなゲーム。大抵シーズン制であり、一定期間で状況がリセットされる。
各プレイヤーには乗り物が用意されており、最高速度やアイテム所持上限が異なる、地形や一部イベント・お邪魔キャラに影響されないといった特性を持つ他の車に乗り換える事もできる。
プレイヤーを手助けまたは妨害するイベントやアイテムも多数用意されている。中には日本中を牛だらけにするというお遊び要素も。




この他、二次創作に当たるためアニヲタwikiでは明確に紹介できないものも多数ある。
上述の実在のカードゲームやFFの他にも、ロボット同士戦わせたりとか、野球とかのシミュゲーとか、島の中で殺し合いするとか、国取りシミュゲーとか、中世の海を冒険したりとか…


いずれにせよ、古くてショボいグラフィックやUIだからで片付けられないものばかりである。
流行は繰り返す…ゲーム業界にそれがないと誰が言い切れようか。
やったことのある人は今一度懐かしさとともに燃え上がり、ない人は毛嫌いせず触れてみてはどうだろう。



追記・修正は管理人に感謝し手を煩わせないようお願いします。

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最終更新:2024年07月21日 21:01

*1 当初は本当にファイナルファンタジーを名乗るゲームだったのだが、改名させはしたものの二次創作アイコンなどは許している。

*2 内輪で寄ってたかって新人いじめをしたり、その上で嫌いな奴のいるクランにスパイ行為してきてくれと要求してきたり…とにかく倫理観をなくした人