虚無空間(遊戯王OCG)

登録日:2023/12/21(木) 23:02:35
更新日:2025/03/19 Wed 11:32:09
所要時間:約 8 分で読めます





虚無空間(ヴァニティー・スペース)》とは遊戯王OCGのカードの1枚。

概要

《虚無空間》
永続罠
(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、お互いにモンスターを特殊召喚できない。
(2):デッキまたはフィールドから自分の墓地へカードが送られた場合に発動する。
このカードを破壊する。


初収録は「STARSTRIKE BLAST」
レアリティはノーマルレアであり癖の強い性質のカードとなっている。
ノーコストかつフリーチェーンお互いに特殊召喚が行えなくなるという非常に凶悪な永続効果を持つ。
しかし、自分のフィールドかデッキからカードが墓地へ送られるだけで自壊してしまうという、永続罠でありながら維持に難儀するようなデメリットも持つ極端なカード。
特殊召喚を行えないというのは、特にモンスターを展開しての攻防がメインとなっている近年の遊戯王をプレイした事がある人にとっては、非常に強力な効果であるのは言うまでもないだろう。
維持が難しいと言ってもチェーンに乗る特殊召喚に対して発動すれば1:1交換は成立するのと、素材を並べた段階で発動できれば足止めしてテンポアドバンテージを稼ぐことができ、最低限の仕事をさせるのは難しくはない。

(2)の自壊効果はチェーンを組むため、カードが墓地へ送られる処理またはそれを含むチェーンの処理が終了したら、自壊効果の発動としてチェーンが発生する。
そのため、「チェーン1:自分が特殊召喚を行う効果を発動」「チェーン:2相手が《虚無空間》発動」「チェーン3:自分が相手フィールドの《虚無空間》以外のカードを墓地へ送る効果を発動」とした場合、この時点では《虚無空間》は自壊しないためチェーン1の特殊召喚効果は無効となる。
特殊召喚を通したいなら《虚無空間》を直接除去する必要がある。
また、手札からカードを墓地へ送る分には自壊効果の条件を満たさないため手札誘発とは相性が良い。


評価

現代の目線で見れば非常に凶悪な(1)の効果が目に付くのだが、登場当時である2010年では環境の違いもあり(2)の非常に緩い自壊効果の方が目立ってしまい評価が低いカードであった。
というか「虚空間」とネタにされることさえあった。
現代では考えられないかもしれないが、同じパックに収録されていたノーマルレアはファンデッキなどで活用できる《ワイトメア》と《馬の骨の対価》であり、そちらの方が注目されていたため、どちらかというとハズレ扱いされていた。
シンクロ召喚の導入でこれまでと比べて高速化したとはいえ、当時は展開系のデッキでもある程度の罠カードも入れて戦う環境であり、自壊条件を満たしてしまいやすい。
更に言えば自壊条件を満たさずに妨害に使える、手札誘発もそれほど充実していない時代である。
現代と比べればそこまで高速化した環境でもないため、前述した素材が並んだ際に発動して足止めに使う程度ではアド損と見られがちで、シンクロ召喚を当時無制限カードの《神の警告》で直接潰してしまった方が良いケースが多かった。
何より当時は《王宮の弾圧》が準制限カードである。


永続罠
800ライフポイントを払う事で、モンスターの特殊召喚及び、モンスターの特殊召喚を含む効果を無効にし破壊する。
この効果は相手プレイヤーも使用する事ができる。


《虚無空間》と比べるとダメージステップの特殊召喚を止められず、発動の都度ライフコストを支払う必要があるとはいえ、勝手に自壊して消えて行ってしまう《虚無空間》と比べたら圧倒的に使いやすい。
《王宮の弾圧》が準制限カード、《神の警告》が無制限カードである以上自分が何かすると勝手に自壊する上に、相手が《サイクロン》とかで隣の魔法・罠カードを除去したらついでに自壊している《虚無空間》は扱いにくい事この上なかったのである。
後に《王宮の弾圧》は《虚無空間》の登場直後の2010年9月1日の制限改定で制限カードとなり、その1年後の2011年9月1日の制限改定で禁止カードとなったのだが、その後釜として使われることもなかった。
永続罠カードが破壊されなくなる《宮廷のしきたり》や、カードが墓地へ送られなくなり自壊条件を満たさなくなる《マクロコスモス》とのコンボはあったものの、《虚無空間》単体の使いにくさや現在程は永続罠のサポートやドローソースが充実していなかったため、安定性は低いが決まれば強い程度のロマンコンボ止まりだった。

その後も《武神-ヤマト》との噛み合いの良さから【武神】で注目され思い出されることもあったが、【征竜】が暴れていた頃に遂に環境でも使われ始めることになる。
当時は《神の警告》が制限カードである上に、手数が多く単発の特殊召喚無効では止められないことがあるという現代遊戯王の片鱗を見せ始めた環境であった。
それに伴い環境が高速化しており、甘く見られがちだった足止めとしての使い方も「1ターン止められるだけでも大きい」と見られるようになっていった。
永続罠の癖にやたらと維持が難しい難点も「1ターン仕事すれば十分」と見られるようになり、何ならこの緩い自壊条件も「自分のターンになったら解除が容易」とメリットとすら見られるようにもなっていた。
環境の高速化により長期的なアドバンテージより短期的な拘束力が重視されるようになり、環境の変化の恩恵を受けたカードとなっていた。
似たような例に《ドロール&ロックバード》も存在する。

そのため汎用の特殊召喚メタとしての地位を確立し需要が増していったが、元々が大して注目されていなかった上にノーマルレアのため入手難易度が高く高騰していた。
2014年1月発売の「GOLD SERIES 2014」では発売前に実施された人気投票では1位を獲得し再録され、その年の年末の「THE RARITY COLLECTION」でも再録されたため入手がしにくい問題は解決されていった。
しかし、前述した環境の変化によりこれ1枚で決まるデュエルが増えてしまったことと、ペンデュラムモンスターのため墓地へ送られず相性の良い【クリフォート】が当時活躍していたためか15/04/01のリミットレギュレーションでは制限カードに指定された。

その後は、環境が更に高速化しよりこれ1枚で勝負が決まってしまうデュエルが更に増えていき、魔法・罠カードの除去をモンスター効果に頼るようデッキが増え*1厄介な存在になっていった。
発動するまでは特殊召喚できるため自分は好き勝手特殊召喚した後に、相手には一切特殊召喚させないというメタカードというよりは先攻有利を助長する引き得の理不尽エンドカードとなっていた。
《虚無空間》自体や他のカードを除去しようにも展開済みのモンスターの効果で除去効果を無効にされたり、《宵星の機神ディンギルス》などであれば《虚無空間》を直接守ることすらできていた。
度々禁止カード化が囁かれるようになっていったが、素引きしないと使えないパワーカードだったためか長い間制限カードで踏みとどまっていた。
しかし、22/04/01のリミットレギュレーションに同じような立ち位置で同じようなヘイトを買っていた《王宮の勅命》が禁止カードとなり、この時期に永続罠サポートが増加し外堀を埋められた状態となっていた。
そして22/04/01のリミットレギュレーションで遂に禁止カードに指定された。
余程の環境の変化がない限りは禁止解除の見込みはないだろう。


関連カード

効果モンスター
星6/闇属性/悪魔族/攻2400/守1200
このカードは特殊召喚できない。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いにモンスターを特殊召喚できない。
《虚無空間》のイラストに描かれている人物で《虚無空間》の元ネタとなったカード。
《虚無空間》での彼のポーズは露出狂っぽいとも言われている。
攻撃力2400の上級と標準的なステータスを持ち、フィールドに存在していると一切特殊召喚ができなくなる。
モンスターが《虚無空間》の(1)の効果を持っていることもあり、ハマればこれ1枚で殴り勝つことも可能だが、モンスターのためいくらか対策しやすい。
また、自身が特殊召喚不可なため展開後にフィールドに置くのは難しめ。
召喚権を温存できるデッキのサイドデッキを中心に採用されることがある。

遊戯王ラッシュデュエルにも登場している。
効果が変わっていないため特殊召喚不可は相変わらずだが、召喚権が無制限のルールのためメインアタッカーの横に出すことは難しくはない。
しかし、攻撃力が2400と微妙に低いことが災いしアドバンス召喚される2500アタッカーに殴り倒されやすい。
ただし、メインフェイズ2がないため戦闘除去を狙う場合はそのターンの特殊召喚を諦めることになり、OCGよりもモンスターを効果で除去しにくいため制圧力ははやり高い。
最大の難点はデッキに1枚しか入れられないレジェンドカードのモンスターであることであり、相手を選ぶ性質もあり他のレジェンドカードのモンスターより優先されにくい。
そのためか、後述する《業火の結界像》と違い何の規制もかかっていない。
「フュージョンデュエルトーナメント」など特定の召喚法を題材とした店舗イベントでは、コンセプトを破壊しかねないためか追加禁止カードに指定されており出禁状態となっている。

  • 虚無の統括者(ヴァニティー・ルーラー)
効果モンスター
星8/光属性/天使族/攻2500/守1600
このカードは特殊召喚できない。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手はモンスターを特殊召喚できない。
上記の《虚無魔人》の最上級版で、効果が強化されて単純に相手の特殊召喚だけ封じることができる
なのだが、相変わらず特殊召喚不可でリリースを2体必要するのに攻撃力が100しか上がっておらず2500しかないのが難点。
自分は自由というメリットを活かすためとしても、リリース2体のアドバンス召喚とそれ以外の展開を両立するのは現代でもそれなりに大変になってくる。
何より、《虚無空間》の例からわかるように展開後の仕上げに出す分には《虚無魔人》でも実質大差ないという理屈が通ってしまうため、あまり使われることがない。
光属性天使族のためサポートで《虚無魔人》と差別化できるが、こっちはこっちで特殊召喚可能な《大天使クリスティア》の存在がネックになる。
《大天使クリスティア》は《虚無魔人》と同様に特殊召喚できなくなるのはお互いであり、墓地へ送られたら強制的にデッキトップに戻るデメリットにもなる効果があるため差別化自体は可能ではあるのだが……。
ドライトロン宣告者】ではサーチ容易かつ(ドライトロンの制約で)《大天使クリスティア》の特殊召喚が不可能になるため、こちらを優先する意義がある(あくまでも選択肢の一つといった立ち位置だが)。


類似カード

  • 昇霊術師 ジョウゲン
効果モンスター
星3/光属性/魔法使い族/攻 200/守1300
手札をランダムに1枚墓地へ捨てて発動できる。
フィールド上の特殊召喚されたモンスターを全て破壊する。
また、このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、お互いにモンスターを特殊召喚できない。
類似というか厳密には《虚無空間》を筆頭としたこれらの効果のカードの開祖とも言えるカードで、初登場は2001年『Labyrinth of Nightmare -悪夢の迷宮-』
下級の魔法使い族かつ特殊召喚できるため《魔導書の神判》と共に【征竜】とも戦ったこともある実力者。
お互いに特殊召喚できなくなる効果に加え、セルフランダムハンデスで特殊召喚されたモンスターを全て破壊する効果も持つ。
ただしステータスは攻撃力200で守備力も1300しかなく、《フォッシル・ダイナ パキケファロ》よりも更に悲惨。
何気にアニメでは闇獏良が戦況を打開するために使い、活躍している。

効果モンスター
星4/地属性/岩石族/攻1200/守1300
(1):このカードがリバースした場合に発動する。
フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て破壊する。
(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いにモンスターを特殊召喚できない。
お互いに特殊召喚ができなくなる上に下級モンスターで、特殊召喚が可能。
また、リバースして時に特殊召喚されたモンスターを全て破壊する効果もあり、展開された後でも一応使うことは可能。
比較的お手軽に使えるのだが攻撃力が1200しかないので、主な仕事場は【メタビート】になる。
岩石族であることを活かして《御影志士》からサーチして、何かしらの効果で特殊召喚することでフィールドに出して使われることもある。

効果モンスター
星4/(属性)/(種族)/攻1000/守1000
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いは(このカードと同じ属性の)モンスターしか特殊召喚できない。

特定の属性以外の特殊召喚を封じる下級モンスター。
属性だけでなく種族もそれぞれ異なっている。
かつてはステータスの低さ故の維持の難しさなどで酷評されていたが、環境の変化によって再評価されるようになった。
《烈風の結界像》は禁止カードとなっている。
詳細は項目で。

また、ラッシュデュエルでは《業火の結界像》のみ登場しているが、禁止カードに指定されている。
上述の虚無魔人と違いレジェンドカードでもなく、特殊召喚可能な下級モンスターという取り回しの良さから様々なデッキで《虚無空間》の様な活躍をしてしまった。
こちらも詳細は項目で。

効果モンスター
星8/光属性/天使族/攻2800/守2300
(1):自分の墓地の天使族モンスターが4体のみの場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):このカードの(1)の方法で特殊召喚に成功した場合、自分の墓地の天使族モンスター1体を対象として発動する。
その天使族モンスターを手札に加える。
(3):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いにモンスターを特殊召喚できない。
(4):フィールドの表側表示のこのカードが墓地へ送られる場合、墓地へは行かず持ち主のデッキの一番上に戻る。
《虚無魔人》と同様の効果を持ち、《虚無の統括者》と同様の種族・属性・レベルを持つ攻撃力2800。
特殊召喚することが可能なうえ、墓地に天使族が4枚丁度の場合には自身の効果で手札から特殊召喚可能で、その際は更に墓地から天使族1体を回収する。
ただし、墓地へ送られると勝手にデッキトップに戻るという、限定的な自己特殊召喚条件ゆえに大抵ドローロックのデメリットになる効果がある。
《虚無空間》と同じ「THE RARITY COLLECTION」で再録された経歴を持つ。

  • オーロラ・アンギラス
効果モンスター
星4/光属性/天使族/攻1500/守1000
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いにモンスターを特殊召喚できない。
(2):このカード以外のモンスターが召喚された場合に発動する。
このカードを破壊する。
お互いにモンスターを特殊召喚できなくなる効果を持つ下級モンスターで、攻撃力1500と上記の下級モンスターより高いのだが他のモンスターが召喚されただけで自壊するという虚弱児。
多少ステータスが高いとはいえ、手札誘発を召喚されただけで死んでしまうのは痛く、大抵は上記のカードを使えば十分である。
種族・属性も《大天使クリスティア》と被っているのが難点となる。
使うなら自壊効果をドローに変換する《エンペラー・オーダー》、自壊効果を発動させない《威光魔人》など、または破壊耐性を与えるなどのサポートの併用が必須である。


追記・修正は展開後にスタンバイフェイズ《虚無空間》したら《ラーの翼神竜-球体形》で返された人にお願いします。



この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 遊戯王
  • 遊戯王OCG
  • 禁止カード
  • 永続罠
  • メタカード
  • 罠カード
  • STARSTRIKE BLAST
  • レアコレ再録
  • 特殊召喚メタ
  • 虚無魔人
  • 虚無空間
  • ノーマルレア
  • 自壊
  • GS再録
  • 永世禁止カード
最終更新:2025年03月19日 11:32

*1 《サイクロン》などの魔法・罠除去や《神の宣告》などのカウンター罠を一切採用しないデッキも当たり前になった。