ザワークラウト

登録日:2024/02/25 Sun 14:58:03
更新日:2024/03/08 Fri 22:32:40
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ザワークラウトは、ドイツ料理の代表的な一品として知られるキャベツ漬け物である。





【概要と歴史】

ザワークラウトは現地語で「酸っぱいキャベツ」を意味し、キャベツを塩漬けにして乳酸発酵させることで作られる。
酸味は発酵の過程で生成される乳酸によるものであり、基本的に酢は加えない。「漬物が漬けすぎで酸っぱくなった」という感覚に近い。

ヨーロッパの諸国において、ザワークラウトは作物の収穫が望めない冬季を生き延びるための保存食として活躍していた。

大航海時代では、保存性に加えて、航海で不足しがちなビタミンCを摂ることができることで重宝された。
ビタミンCが不足すると、死の病として恐れられていた壊血病に罹る。
医学はまだまだ経験レベル、栄養学は概念自体が存在しなかった当時。柑橘類を摂れば回復/予防できることは船乗りたちの現場の経験的に突き止められていたが、好適な食材であるレモン等はまだ高価であり、専らライムを持ち込み食べて何となく何とかしていた。
日が経って酸っぱくなった塩漬けキャベツが解決になるだなんて、誰も想像していなかったのである。
ジェームズ・クック船長が習慣的にザワークラウトを食べ、船員達も真似し始めた所、誰も壊血病にならなくなり無事に航海、という逸話がある。

保存が利きビタミンCを補給できる食品というのは軍隊の給食としても適しており、ドイツの陸海軍その他で大量に消費された。米英の兵士がドイツ軍人の蔑称として「クラウト野郎」という言葉を使ったのはこれによる*1

現代にあっては「ザワークラウトの蓄えがないと死ぬぜ!」というような事態にはそうそう陥らないが、ドイツ料理のおともや手軽に食べられる漬け物として親しまれている。


【作り方】

瓶詰めや真空パックにされた既製品のザワークラウトをスーパーマーケットや通販で買うことができるが、そこそこのお値段がする。
たくさん使うなら、ぜひ自作にチャレンジしたい。

簡単な製法

基本の原材料はキャベツと塩のみである。
紫キャベツでも可能で、発酵中に色が変わって鮮やかなピンクになる。
これに加えて、「漬け込みを行うための容器(ガラス瓶やジッパー付きポリ袋など)」を用意する。
  1. まず、キャベツや漬け込み容器や手を洗っておく。
  2. キャベツを好みの大きさに刻んでボウルなどに入れ、キャベツの重量の2%の塩を加えてもみ込む。キャベツから水が出てしなしなになるまで待つ。
  3. 漬け込み容器にキャベツを塩もみで出た水と一緒に入れ、キャベツがなるべく空気に触れないようにして半日~1日室温に置く。
  4. 冷蔵庫で保存し、好みにもよるが1週間程度で食べごろになる*2

こんな感じで作り置きしておけばいつでも食べられるようになる。
しかも、自家製造のザワークラウトの中には(加熱しないかぎり)、乳酸発酵に寄与してくれた乳酸菌が生きているので、新しく作るときに前回のザワークラウトやその漬け汁を加えることで安定して発酵できるようになる。
というか、ザワークラウトが入っていた容器に新規の塩もみキャベツを投入するやり方でも全然OK。
なお、市販の既製品は多くの場合加熱処理がされており、種菌としては使えないらしい。


副原料

風味付けのためにキャベツ以外の食材を使うこともよくあり、例えば以下のようなものがある。
  • スパイス
コリアンダーシード、クミンシード、ジュニパーベリーなどのスパイス(なぜか種系のものが多い)。

  • 香味野菜

  • 和風の素材
青しそ、梅干し、昆布など、意外と合う。

これらの食材は漬け込むときに加えることもあるし、調理や食べるときに加えることもある。
ただし、中には抗菌作用を有するものもある。
ゆえに漬け込むときに分量を間違えたりすると、いつまでたっても発酵が進まないことになったりするので注意が必要である。
筆者はにんにくを入れ過ぎてにんにく風味の塩もみキャベツを食べる羽目になった


【食べ方】

いろいろな食べ方がある。
  • そのまま
手軽な付け合わせとして食べたり、他の種類の漬け物と合わせてもよい。

  • 炒めたり蒸したり
肉類との相性が良く、肉汁をザワークラウトに吸わせることでうま味が大きく増す。
ドイツには、ソーセージやアイスバインをザワークラウトと一緒に蒸し焼きにする「シュラハトプラッテ」という料理がある。

塩気が強くなり過ぎないよう注意が必要だが、料理の味付けが簡単にできる。
肉や魚との相性も良い。


【仲間たち】

ザワークラウトはヨーロッパの各地で食べられており、フランス語のシュークルート*3など各地の呼び名がある。

世界に目を広げてみると、「葉物野菜を乳酸発酵させた漬け物」という意味では野沢菜漬けや白菜キムチもザワークラウトの親戚に入る。
特に類似性の高い食品として、中国の東北部で作られている酸菜(サンサイ、スヮンツァイ)がある。
これは白菜を塩漬けにして発酵させた漬け物で、現地では冬の準備として甕いっぱいに白菜と塩を詰め込んで酸菜をつくり、鍋料理などに用いるという。


【創作世界におけるザワークラウト】

ザワークラウトの原材料であるキャベツがアニメ作品において農作業やキッチンの光景を象徴するものとして扱われる例がある一方、ザワークラウトそのものが創作作品で取り上げられることは少ない。
伝統的に欧州で食べられてきた食品であるので、ヨーロッパ風ファンタジーの食卓を描いたシーンではさりげなく登場しているかもしれない。

ドイツの児童文学作品『大どろぼうホッツェンプロッツ』ではソーセージ等のおいしそうなドイツ料理とともにザワークラウトが登場するシーンがある。
当該箇所では「鍋にいっぱい」と描写されているので、ザワークラウトを使った煮込み料理なのかもしれない。

タンタンの冒険旅行シリーズ『ふしぎな流れ星』では、これとソーセージの炒め物が隕石の調査チームに船内で振る舞われる……はずだったのだが、厨房に侵入したスノーウィがこっそりソーセージだけ食べ尽くしてしまったため、ただのザワークラウトの炒め物になった。





追記・修正は、ザワークラウトを漬け込んでからおねがいします。

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最終更新:2024年03月08日 22:32

*1 ちなみにイギリスの船乗りはビタミンC源としてライムを多用した。イギリス人に対する俗称として「ライミー(ライム食い)」という言葉があるのはこれが元で、クラウト云々と経緯が似ている。

*2 ヨーロッパでは常温でザワークラウトを保存するらしいが、日本の特に夏場は高温多湿になるので冷蔵庫で保存するのが無難。

*3 ザワークラウトは「ザワー」が酸っぱい、「クラウト」がキャベツの意味だが、フランス語は基本的に名詞の後ろに形容詞がつくため「シュー」がキャベツ、「クルート」が酸っぱいという意味である。