登録日:2012/02/23 Thu 08:49:52
更新日:2026/08/10 Mon 18:13:05
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ドイツ料理とは、その名の通りドイツで生まれ食されている料理の総称である。この場合のドイツとは国名のドイツ連邦共和国限定ではなくドイツ文化圏全般を指し、例えばドイツと国境を接するフランス北東部アルザス地方もドイツ文化圏に属するため食文化はドイツ料理より。
概要
さて、ドイツの料理と聞くとまず
ソーセージや
ジャガイモを使ったものや
ザワークラウト、それに
とりあえずビールを連想する人は多いと思われるが、当然ながらそれ以外にも様々な料理や飲み物がある。
なお、
フランス料理とは違い、食材の元の味を生かすのが特徴で概ね素朴な印象。
例えば地域によってニシンなどの魚料理やベルリン名物アイスバイン、ドイツ版カツレツのシュニッツェルなど食文化は多様。
ドイツは国境がものすごく長く(≒影響を受け渡しする文化圏が多種多様)、気候も地勢も州や県ごとにまったく違う(≒手に入る食材が地域ごとに差異が激しい)
連邦国家なので、その食文化をひとまとめにするのは難しい。
だが基本的には、冬が厳しく水資源も豊富ではなく、しかし山と平地の幸には恵まれている土地。よって小麦や
イモやブドウ、牧畜その他を活かしてどうにか冬を乗り切る保存食のテクノロジーが発達した……
というのが表面的なドイツの食文化のイメージだろう。
「ドイツ人は温かい夕飯を食べない」という言葉もある。これは昼食と休日の夕飯のみに温かい食事を作って食べて、それ以外の夕飯は簡単に食べられるものだけで済ませるという習慣を指す。逆に言えばそれだけ日持ちする保存食が一般的かつ常食されているということでもある。
ただし、前述した通り地域によって大きく異なってくるのを忘れないようにしたい。
この項目では、そんなドイツ料理の数々を紹介していく。
メニュー
■パン
ドイツのパンは約3000種類以上が存在していて、2014年にはドイツのパン文化がユネスコの無形文化遺産として認められている。
よって本項目で扱う内容はほんの一部に留めるが、大まかな概略を知りたい方は辻調グループの独逸見聞録をあたると良い。
ヘーフェファインゲベック(菓子パン類)を除くと、大きく分けて
ブロート(大型のパン)と
クラインゲベック(中型・小型のパン)の2種類が存在する。
250g以上のパンはブロート、250g未満のパンはクラインゲベックに分類されるが、小型のパンについては
ブレートヒェンと称することが多い。
ブロートは薄く切って料理に添えられることが多く、ブレートヒェンは
朝食でバターや
ジャムを塗って食べられる。
ドイツ南部ではブロートツァイト(Brotzeit)という間食を採る習慣があり、ブロートツァイトゼンメルン(Brotzeitsemmeln)と呼ばれる小型のパンなどで小腹を満たしている。
おおむね、ライ麦粉メインの黒パンと小麦粉メインの白パンに分かれており、黒パンは酸味と重い質感があり、白パンはふっくら柔らかいのが特徴。
現代ではライ麦粉と小麦粉をどれくらいの比率で混ぜるかでパンを区分する事も普通になっている。
中間的なパンはグラウブロート(灰色のパン)やミッシュブロートと呼ばれている。
また、ライ小麦粉主体のパンはトリティカーレブロート、スペルト小麦粉主体のパンはディンケルブロート、エンマー小麦粉主体のパンはエマーブロート、一粒小麦粉主体のパンはアインコーンブロート、全粒粉主体のパンはフォルコーンブロート、粗挽き粉主体のパンはシュロートブロートと称する。
寒くて土地のやせたドイツではライ麦が小麦より優勢で、ライ麦粉も製パンには重要な材料だった。
ライ麦粉は小麦粉と比べて膨らみにくく、また小麦粉パンに使うイーストとは配合の違う発酵種(サワー種という、ライ麦粉に乳酸桿菌を繁殖させたドロドロの種。猛烈に乳酸発酵しているためこれでパンを焼くととてもすっぱい。下のプンパニッケルがまさにこれ)を使わないと上手くパンにならないなど、なかなかクセが強い。
製パンには、バックフェルメントという蜂蜜・穀類の全粒粉・エンドウマメ粉・水から作る天然酵母も使用される。サワー種よりもマイルドで、オールマイティーに扱えるのが特徴。
ドイツ北西部ヴェストファーレン地方の名物であるライ麦パンの一種。
ライ麦パンの中でも中身がぎっしりと詰まっていてズシリと重い。
強い酸味と仄かな甘さ、そして腹持ちの良さが特徴。
薄くスライスしてバターを塗り、生ハムなどと一緒に食べると美味。
2種類以上の穀物を組み合わせたパン。
小麦、ライ麦、スペルト小麦、大麦、燕麦、蕎麦、ヒエ、キビ、アワ、トウモロコシ、米などが候補に挙がる。
- ハーファーブロート(Haferbrot)
- ライスブロート(Reisbrot)
- マイスブロート(Maisbrot)
- ヒルゼブロート(Hirsebrot)
- ブーフヴァイツェンブロート(Buchweizenbrot)
- ゲルステンブロート(Gerstenbrot)
- アマランツブロート(Amaranthbrot)
生地に配合した穀類全体の20%以上を占める穀類の名が冠されたパン。
Haferは燕麦、Reisは米、Maisはトウモロコシ、Hirseはキビ、Buchweizenは蕎麦、Gerstenは大麦、Amaranthはアマランサスを指している。
上記の穀類は単独だと増粘剤か特殊な製造技術を用いない限り粘弾性のある生地が作れないため、ドイツパンでは副素材に留まっている。
- クライエブロート(Kleiebrot)
- ヴァイツェンカイムブロート(Weizenkeimbrot)
- マルファ・クラフトマ・ブロート(Malfa Kraftma Brot)
下記の材料が製品重量の10%以上含有しているパン。
Kleieは小麦やライ麦などの食用ふすま、Weizenkemは小麦胚芽を指していて、Malfa KraftmaはMalzfabrik Kraftmalzの略語で大麦麦芽粉を加えている。
マルファ・クラフトマ・ブロートは東ドイツ生まれで、ライ麦粉と小麦粉を5:1の比率で配合したサワー種のパンをベースにしている。
パンの表面に押し麦を塗して、雪の欠片(フロッケン)に見立てている。
使用される押し麦はライ麦、小麦、スペルト小麦、燕麦、大麦などで、表面に塗すだけではなく生地の中にも練り込む場合がある。
- ゾンネンブルーメンケァンブロート(Sonnenblumenkernbrot)
ヒマワリの種を混ぜたパン。
意味はそのまま「ヒマワリの種パン」。
「ゾンネンブルーメン」の意味を「ヒマワリの種」と紹介するサイトも多いが、実際にはそれ自体は「ヒマワリ」の意味。
- キュルビスケァンブロート(Kürbiskernbrot)
こちらは
カボチャの種を混ぜたパンで、パンプキンシードオイルを加える例もある。
カボチャの果肉部分も生地に練り込んだ場合はキュルビスブロート(Kürbisbrot)と呼ばれることが多い。
- ラインザーメンブロート(Leinsamenbrot)
亜麻仁の油と種子が使われたパン。
ブロートゲヴュルツ(Brotgewürz)やシード類と組み合わせたパン。
ブロートゲヴュルツとは、コリアンダー、フェンネル、アニス、キャラウェイ、フェヌグリークらを配合した製パン用ミックススパイスである。
ブロートゲヴュルツは粉末状とホール状の2種類があり、ホール状のタイプは粉挽き機で穀類と一緒に挽くことができる。
液体材料の50%以上をビールに置き換えたパン。
大抵は黒ビールを使うが、シュヴェービシェ・カステンブロート(Schwäbische Kastenbrot)のように白ビールを用いる例もある。
また、ノンアルコールビールを使用する場合もある。
焼成前に水かラードを塗ってから直火で炙るという技法(Gegerstert)が用いられたロッゲンブロートかロッゲンミッシュブロート。
上面は斜め方向(※無数の穴も開ける場合は縦方向)に、側面や底面は縦方向に切れ込みを入れることが多く、角型に入れて焼くとハノーファー風になる。
ニーダーザクセン州のハノーファー、ブラウンシュヴァイク、ヒルデスハイムやブレーメンで好まれている。
- クヌッペルクーヘン(Knüppelkuchen)/シュトックブロート(Stockbrot)/シュタープブロート(Stabbrot)/シュランゲンブロート(Schlangenbrot)
棒に巻き付けた生地を焚火にかざして焼き上がるドイツ語圏のパンで、キャンプでの食事に欠かせない。
イースト生地かベーキングパウダーで膨らませる無発酵生地を使うが、生焼けの危険性があるためにリッチ系の生地でも卵の使用は控える例もあるという。
バウムクーヘンのように回転させながら焼く場合もある。
主にドイツの東部や北部で食べられている小型の小麦パンで、クッペと同様に切れ込みが入っている。
フランスから移住したユグノーによって持ち込まれたフランツブロート(Franzbrot)が基になっていると言われている。
ロルモプスを挟んでサンドイッチにしたり、ハッケペーター(Hackepeter※メットの別名)を塗って食べることもある。
ラインラント地方のヴァイツェンミッシュブレートヒェンないしロッゲンミッシュブレートヒェンで、ベルギーの東部にも見られる。
丸めた生地を二つ繋ぎ合わせた形状だが、他方でも小麦粉主体の生地を繋げたドッペルゼンメル(Doppelsemmel)やヴァッサーヴェック(Wasserweak)というパンが存在する。
黒めに焼き込まれているのも特徴で、ゴーダチーズと組み合わせてピクルスやマスタードなどを添えたハルヴェ・ハーン(Halve Hahn)はケルンやデュッセルドルフの名物になっている。
東フリースラント地方のイースト生地を使った角形の白パンで、隣接するオランダにも見られる。
乳製品や卵なども入るリッチ系の柔らかくてほんのり甘いパンで、週末用のゾンタークスシュトゥーテン(Sonntagsstuten)だとドライフルーツやナッツ類なども加える場合が多い。
アンマーレンダー・ロッゲンシュトゥーテン(Ammerländer Roggenstuten)は卵を入れないが、ライ麦全粒粉(分量は穀物粉の15%分)とアニスを配合している。
- ヴェストフェリシャー・バウァーンシュトゥーテン(Westfälischer Bauernstuten)
- ミュンスターレンダー・バウァーンシュトゥーテン(Müssterländer Bauernstuten)
Bauernは農家のことで、ドイツにはバウァーンブロート(Bauernbrot)というカテゴリーもある。
上記のシュトゥーテンと異なり、小麦粉とライ麦粉を配合したパンで、円形か楕円形に成形して切れ込みも入れる。
リーン系のパンだが、水の分量を減らすか全量をバターミルクに置き換えたり、少量のラードかその代替品を加えるレシピもある。
大原みちるの台詞にあるミッシュ・ロッゲン・シュトゥーテンはおそらくバウァーンシュトゥーテンの方で、ミッシュ・ロッゲンはライ麦粉の方が多いことを示している。
ヘッセン州カッセル発祥のヴァイツェンミッシュブロートないしロッゲンミッシュブロートで、ノルトライン=ヴェストファーレン州でも人気がある。
基本的な配合比は小麦粉6:ライ麦粉4ないしライ麦粉6:小麦粉4の生地で、水の一部をバターミルクに置き換えたり、モルトを配合する例もある。
焼き上がる前に刷毛で水か少量の澱粉も溶いた水を塗って艶出しする場合がある。
- パーダーボルナー・ブロート(Paderborner Brot)
ノルトライン=ヴェストファーレン州パーダーボルン発祥のロッゲンミッシュブロートで、カステンブロート(角型で焼くパン)でもある。
サワー種の生地で、基本的な配合比はライ麦粉4:小麦粉1だが、ライ麦粉7:小麦粉3に変えたり、ライ麦全粒粉も使用する場合がある。
本来ならば不要だが、発酵不足の保険としてイーストを加える例もある。
ドイツやスイスで見られるリッチ系のパンで、クノーテンは結び目を意味していて、棒状の生地を一本編みにして成形する。
生地にレーズンや柑橘類のピールを練り込んだり、焼く前にシナモンシュガーあるいは仕上げに粉糖を振るなど、菓子パンとして消費されることが多い。
ラウゲンクノーテン(Laugenknoten)はブレーツェルよりも油脂類が多めの生地で、ラウゲ(苛性ソーダ液)に浸けてから粗塩やシード類を表面に塗して焼く。
日本ではプレッツェルとも。独特な形状をしているパンで、巻き付いた部分は語源(Brachium※ラテン語)の通り腕をクロスさせた形に見えなくもない。
地域差があり、生地にバター以外の油脂類を混ぜたり、ラウゲ(苛性ソーダ液)に浸けてから焼くことがある。
上下に切り分けてバターをたっぷり挟んだ物はブッター・ブレーツェル(Butter Brezel)と呼ばれている。
聖枝祭の聖枝(Palmbuschen / Palmzweige)に飾るパルムブレーツェン(Palmbrezen)はラウゲに浸したり粗塩を盛り付けない。
- シュヴェービシェ・ゼーレ(Schwäbische Seele)
シュヴァーベン地方の発酵時間が長い高加水パンで、セーレン(Seelen)とも呼ばれている。
スペルト小麦粉を使用する場合が多く、生地の表面にはキャラウェイシードや粗塩が塗されている。
元々は万霊節(Allerseelen)に焼かれるパンだったが、施しやプロポーズの贈り物にされることもあった。
シュヴェービッシュ・グミュントのブリーゲル(Briegel)やアメリカのクンメルウェック・ロール(Kummelweck Roll)は本パンとの関連性が指摘されている。
- シュヴェービシェ・クナウツェン(Schwäbische Knauzen)
シュヴァーベン地方の発酵時間が長い高加水パンで、ライ麦粉や微量のラードを配合する例もある。
濡らした手で成形するゲネツテス・ブロート(Genetztes Brot)/アインゲネツテス・ブロート(Eingenetztes Brot)に分類される。
軟らかい生地であるため、薪窯で焼く時はクナウツェンシーセン(Knauzenschießer)という道具を使って中に入れる。
高温で焼き上げるのが特徴で、仕上げに水を塗って艶出しする場合もある。
同じ生地でアウスゲホーベネス・ブロート(Ausgehobenes Brot)を作ることも不可能ではない。
- ロイトリンガー・ムッチェル(Reutlinger Mutschel)
シュヴァーベン地方のロイトリンゲンにおけるリッチ系のパンで、公現祭後の木曜日(Mutscheltag)に興じるサイコロ遊びで勝ち取る伝統がある。
中央部の造形は地元の山アハルム、周辺部の編み込みはアハルムの周辺に埋まっていると伝えられた金の鎖、辺縁部の星形(八角形)は主要な組合の数を象徴している。
ムッチェルという呼称は真偽不明だが、開発者である14世紀のパン職人アルプレヒト・ムッチェラーに因んでいると言われている。
シュヴァーベン地方のユダヤ人が安息日(Sabbat)に焼いていた編み込みパンで、外見はヘーフェツォプフ(Hefezopf)に似ている。
伝統製法だと乳製品、油脂類、卵は全く使わないほか、ジャガイモを練り込むのが特徴で、グラニュー糖はモルトで代用して入れないか発酵を手助けする程度に留める。
ケシの実か白ゴマを塗して焼く。
- シュヴァルツァー・キプフェル(Schwarzer Kipferl)
レーゲンスブルク名物で、形状はクッペに似ている。
ライ麦粉と小麦粉を使ったキャラウェイシード風味のパンで、レーゲンスブルガー・ヴルストやザワークラウトとの相性が良い。
名前の由来はヨハン・シュヴァルツァーと三日月を意味するKipfelだが、彼が創業したBäckerei Schwarzerは残念ながら2026年に閉店している。
- ザルツシュタンゲ(Salzstange)/ザルツシュタンゲン(Salzstangen)
Stange/Stangenは棒状のパンで、Salzは塩を指している。
ドイツ南部やオーストリアに見られるパンで、日本発祥の塩パンと関連性を見出す声もあるが、塩パンと違ってバターは巻き込まないので焼成後に空洞は生じない。
成形した生地の表面に粗塩とキャラウェイシードあるいはゴマを塗してから焼く。
南端バイエルン州やオーストリアで一般的な主食むけの白パン。「王様のロールパン」くらいの意味合い。ドーム状の形状と、巻き込み手順のためにできる星型の溝の模様が特徴。
艦隊これくしょんが人気絶頂期だった2015年、艦上戦闘機装備
Fw190T改の妖精さんがこのパンを手に持っており「これは何だろう?」とカイザーゼンメルが検索上位に上がった。
カイザーゼンメルにレバーケーゼを挟んだレバーケーゼゼンメル(Leberkäse-Semmel)というサンドイッチはドイツやオーストリアで人気が高い。
- ヴィンチュガウアー(Vinschgauer)/ヴィンチュガル(Vinschgerl)/ヴィンチュガー・パール(Vinschger Paarl)
イタリアに帰属した南ティロル地方発祥のパンだが、ドイツやオーストリアのパン屋(Bäckerei)でも扱われることがある。
ヴィンチュガウアー(ヴィンチュガル)は平たいシュッテルブロート(Schüttelbrot)で、ヴィンチュガー・パールは小分けして丸めた生地を繋ぎ合わせている(パールはペアを意味する)。
ライ麦粉の多い生地(小麦粉の分量は概ね穀物粉の30%以下に留まる)で、キャラウェイ、フェンネル、フェヌグリーク、コリアンダーらスパイスも加えている。
ベーコンやチーズなどを挟んだサンドイッチはバウエルントースト(Bauerntoast)と呼ばれるが、他方のサンドイッチと混同を避けるためにTirolerを冠して区別する例もある。
- カルトッフェルブロート(Kartoffelbrot)
ジャガイモを練り込んだパンで、モチモチとした食感になる。
カルトッフェルブロートの一種であるジーガーレナー・リーベクーヘ(Sejerlänner Räiwekooche)は小麦粉と同量のジャガイモを練り込む。
小麦粉の割合が多く、バター、アーモンド、レモンゼスト、スパイスなどを配合したリッチタイプもある。
ドイツ南部で好まれているミッシュブロートの一種。
飴色になるまで炒めるか、小麦粉を塗して揚げたタマネギの微塵切りが練り込まれている。
キャラウェイシードやクヴァークなどを足したり、カルトッフェルクーヘンとハイブリッドしたアレンジも存在する。
- ツヴィーベルクーヘン(Zwiebelkuchen)
タマネギ(ツヴィーベル)とパン生地を使ったドイツ版キッシュで、練りパイ生地を底生地にする場合もある。
キャラウェイシードを利かせるのが特徴で、フェーダーヴァイサーともよく合う。
フランスのアルザス地方やオーストリアでも作られている。
- フラムクーヘン(Flammkuchen)/フラメンクーヘン(Flammenkuchen)/ヒッツェクーヘン(Hitzkuchen)
ドイツの薄焼きピザで、フランスのアルザス地方ではフラムクーヘ(Flammeküeche)/タルト・フランベ(Tarte Flambée)と呼ばれている。
極薄の生地にサワークリーム類かフレッシュチーズ(クヴァークやフロマージュ・ブラン)を塗り、タマネギやベーコンを散らして焼いている。
ジャガイモのピュレ、シード類、マンステールチーズ、エメンタールチーズ、ザワークラウトなども使用される場合がある。
果物(リンゴ、洋梨、アンズ、西洋スモモ、ベリー類など)やシュトロイゼルを使った甘いタイプも存在する。
- シュトロイゼルクーヘン(Streuselkuchen)
薄く延ばした発酵生地にトッピングを盛り付けて焼くブレヒクーヘン(プラットクーヘン)の一種。
カスタードクリームやサワークリームやチーズクリームなどを塗るか、果物やナッツ類を載せるか、あるいはその両方を行った後でシュトロイゼルを散らしている。
シュトロイゼルはバター、砂糖類、小麦粉から作るそぼろ状の生地で、アーモンドパウダー、柑橘類の表皮、シナモンなどを加えることもある。
なおシュトロイゼル自体はツヴェッチュゲンクーヘンやモーンクーヘンといった他のブレヒクーヘンでも振り掛ける例がある。
ブレヒクーヘンの一種で、ブッターはバターを指している。
生地に窪みを付けてバターを埋め込み、スライスアーモンドを散らして粉糖を振り、生地を少し休ませてから焼いている。
バターを埋め込む前に、カスタードクリーム、マジパンクリーム、生クリームなどが塗られる例もある。
シュトロイゼルクーヘンとのハイブリッドバージョンもある。
ドイツ語で蜂の一刺し。
キャラメルアーモンド(ロストマッセ)を塗って焼いた発酵生地の間に、カスタードクリームが挟まれている。
カスタードクリームにメレンゲないし無糖で泡立てた生クリームを混ぜて軽く仕上げたり、攪拌したバターを混ぜて濃厚な口当たりにする場合もある。
- フランツブロートヒェン(Franazbrötchen)
ハンブルク名物の菓子パン。
デニッシュ生地のプルンダータイクで作ったシナモンロールだが、潰れたクロワッサンのような見かけをしていることが多い。
- ヌスシュネッケ(Nussschnecke)/ヌスシュネッケン(Nussschnecken)
Schneckeはカタツムリのことで、渦巻き状のパンやドーナツなどが該当する。
Nussはナッツのことで、ヌスシュネッケはヘーゼルナッツなどが入った詰め物をプルンダータイクやヘーフェタイクといった生地に塗り広げて巻いている。
糖衣掛けされていることが多い。
薄く延ばした発酵生地にお好みのフィリングやジャムを塗り広げてから巻き上げるか折り込んだ状態で焼くパン。
シュネッケやシュネッケンと違って焼成前に切り分ける工程がなく、型に詰めるか三日月ないし馬蹄形に成形している。
セイボリータイプもある。
- プディング・プルンダー(Pudding Plunder)
ドイツのカスタードデニッシュ。
デニッシャー・プルンダータイク(Dänischer Plunderteig)にプディングクレーム(Puddingcreme)を絞り、最終発酵を済ませた後で焼いている。
仕上げに糖衣掛けするか、果物を盛り付けてアプリコットジャムで艶出しする。
- エアフルター・マーティンスヘルンヒェン(Erfurter Martinshörnchen)
マルティン・ルターの誕生日(11月10日)に食されるマジパン(マルツィパン・ローマッセ)かジャムを詰めたデニッシュで、糖衣掛けされている。
ヘルンヒェンは本来ならばクロワッサンのような三日月状に成形したペストリーを指すが、エアフルター・マーティンスヘルンヒェンは綴じ目に切れ込みを入れた長方形になっている。
旧ドイツ帝国領のポーゼンでは聖マルティヌスの日(11月11日)にRogale świętomarcińskie(Posener Martinshörnchen)を食べるが、こちらは三日月状でもレシピも異なる。
フレヒトゲベック(Flechtgebäck)という編み込みパンの一種で、2種類のタイプがある。
朝食に向いているのが、ケシの実(ブルーポピーシード)を塗したブッターツォプフ(Butterzopf)で、リッチ系のパンながら生地の甘さは控えめである。
もう一種類はシュレジッシャー・モーンシュトリーツェル(Schlesischer Mohnstriezel)のように、ケシの実入りの詰め物を巻き込んで成形するヘーフェツォプフ(Hefezopf)である。
後者のタイプは糖衣掛けするか粉糖を振る例が多く、カフェーツァイト(Kaffeezeit)向けの菓子パンになっている。
- アラーハイリゲンシュトリーツェル(Allerheiligenstriezel)
オーストリアやドイツ南部の出身者が万聖節の日(11月1日)に食べる編み込みパンで、供物にされたり、名付け子や愛する女性に贈られる地域もある。
ヘーフェツォプフの一種で、ブリオッシュに近い生地を使用するが、レーズン、柑橘類のゼスト、蜂蜜、ラム酒、シナモン、アニス、バニラシュガーなども加える場合がある。
アーモンド、ケシの実、パールシュガーなどを表面に散らしたり、パールシュガーの代わりに粉糖を塗すか糖衣掛けして甘くする例もある。
- ヴェックマン(Weckmann)/ヴェックメナー(Weckmänner)
聖ニコラウスを象ったリッチ系のパンで、聖ニコラウスの日(12月6日)、聖マルティヌスの日(11月11日)、マルティン・ルターの誕生日(11月10日)に食べられる。
レーズン(ドレンチェリーやチョコチップなどで代用される場合もある)で目、口、ボタン、装飾品らを見立てるほか、陶器製のパイプを持たされる例がある。
何も埋め込めないのっぺらぼうだったり、スライスアーモンドを塗して糖衣掛けした代物もあるが、愛嬌を感じられず不気味に見えることも……。
ドイツ語圏内の異名が多く、ドイツの周辺諸国にも同様のパンが存在する。
- ブフテルン(Buchteln)/ドゥカーテンブフテルン(Dukatenbuchtel)
ボヘミアから伝来したリッチ系のパンで、型の中に小分けして丸めた生地を並べて焼く。
ブフテルンはジャムやコンポートなどを詰めるが、ドゥカーテンブフテルンは小分けした生地が小振りで何も詰めない。
日本のちぎりパンと似ているが、仕上げに粉糖を振ることが多く、温かいカスタードソースを別添えする。
ドイツ南部やオーストリアのクリスマス菓子で、アルザス地方ではベラヴェッカ(Berawecka)と称している。
洋酒に漬けたドライフルーツの分量は小麦粉の数倍で、ナッツ類もかなり配合するため、スパイス入りの発酵生地はもはや繋ぎと化している。
元々は洋梨だけ入れていたが、他のドライフルーツ、ナッツ類、スパイスなども加えられるようになった経緯がある。
- クルストチェン(Krüstchen)/シュトラマー・フランツ(Strammer Franz)
- シュトラマー・マックス(Strammer Max)
バウアンブロート(ラントブロート)、シュヴァルツブロート、ブラウブロートなどライ麦パンの薄切りと目玉焼きを組み合わせたオープンサンドの一種。
他の構成要素がシュニッツェルとグレービーソースならばクルストチェン、生ハムかベーコンだとシュトラマー・マックスになるが、組み合わせを変更した派生形が非常に多い。
シュトラマー・マックスという料理名の由来については下劣な俗説があるため、ここでは触れない。
- トースト・ハワイ(Toast Hawaii)
- バウエルントースト(Bauerntoast)
西ドイツで1955年に放映された料理番組がきっかけとなって広まり、東ドイツ、オーストリア、スイスにも伝わった思い出の味。
下焼きしたトーストブロートにバターを塗り、ハム、チーズ(グリュイエール、エメンタール、ゴーダなどが向く)、パイナップルをのせて焼く。
パイナップルの空洞にマラスキーノチェリーを飾ることもあった。
パイナップルをタマネギとトマトに変更して、仕上げに目玉焼きをのせた場合はバウエルントースト(Bauerntoast)になる。
- カールスバード・シュニッテ(Karlsbader Schnitte)
東ドイツで人気だったハムチーズトーストだが、温泉煎餅の原型があるチェコのカルロヴィ・ヴァリ(独側呼称:カールスバード)を冠している理由は不明。
ミッシュブロートの薄切りかトーストブロートにバターとペースト状のトマトを塗り、ハムとチーズをのせて、スイートパプリカパウダーを振ってから焼く。
ハムの代用としてハックブラーテン/ヴィーゲブラーテンやヤークトヴルストなどが使われることもあった。
ハリゲン諸島の名を冠したオープンサンドで、シュレースヴィヒ・ホルシュタイン州の名物になっている。
シュヴァルツブロートかフォルコンブロートにハリヒバターを塗り、加熱調理したノルトゼー・クラッベン(北海産の小エビ)、目玉焼きの順に載せて、ディルやチャイブなどを添える。
目玉焼きをスクランブルエッグで代用したり、レモン果汁を絞ることもある。
- クラッベンブレーチェン(Krabbenbrötchen)
パンにレムネードソースやバターを塗り、ノルトゼー・クラッベンをたっぷり挟んだサンドイッチ。
他の具材はレタスかクエラー(Queller※アッケシソウのことで、シー・アスパラガスとも呼ばれている)くらいである。
ベルギッシェス・ラント発祥のサンドイッチで、金属加工が盛んだった同地の研磨小屋(シュライフコッテン)で従事していた研磨工(シュライファー)が食していたという。
シュヴァルツブロートにバターとマスタードを塗り、生タマネギとベルギッシェ・コッテンヴルスト(メットヴルストの一種)を挟んでいる。
- ブレーマー・カフェーブロート(Bremer Kaffeebrot)
ブレーメン名物のラスクで、コーヒーに浸して食べることからKaffeebrotという名前が付いた。
乾燥させた小麦パンの薄切りに溶かしバターを塗り、シナモンシュガーを塗してから焼いている。
元々はクリスマスに食べられていたが、現在は通年で提供されている。
- アルメ・リッター(Arme Ritter)
- ライヒェ・リッター(Reiche Ritter)
ドイツやオーストリアのフレンチトーストで、アルメ・リッターは貧乏な騎士を意味している。
古くなったパンを薄く切って卵液に浸してから焼くが、パンの間にプルーンなど果物のジャムを挟んだ場合はライヒェ・リッター(裕福な騎士)という料理名に変わる。
アップルソース、コンポート、カスタードソース(バニラゾーセ)などを添える。
古くなったパンを再利用したブロートプディングの一種で、チェコと隣接する地域ではクリスマスに食する慣習(ノイネライ/ナイネラー)がある。
パンを適当な大きさに切って、グラニュー糖とバニラシュガーないしシナモンパウダーを溶いた牛乳かバターミルクと合わせて、冷蔵庫で暫く冷やすか、火にかけて煮立たせる。
ナッツ類、ベリー類、ドライフルーツなども加える場合がある。
- キルシェンミヒェル(Kirschenmichel)
古くなったパンを再利用したブロートプディング。
パンの外側はパン粉に加工してバターを塗った耐熱皿に塗し、内側は切り分けるか解してから牛乳に浸しておく。
卵を卵黄と卵白に分けて、卵黄にグラニュー糖・シナモンパウダーかバニラシュガー・クローブかレモンゼストを加えて白くなるまで混ぜ、卵白に微量の塩を入れて泡立てる。
卵黄の混合液と牛乳に浸したパンとアーモンドを合わせた後で、泡当てた卵白を混ぜて、サワーチェリーを並べた耐熱皿へ流し、パン粉の余りとバターの角切りを散らしてから焼く。
お好みで粉糖を振り、カスタードソースを別添えする。
シュレースヴィッヒ・ホルシュタイン州のブロートプディング。
もっとも現在は古い小麦パンを再利用せず、ベーキングパウダーを用いたセモリナプディング生地、あるいは小麦粉を使ったイースト生地で代用する場合も多い。
伝統製法だとバターを攪拌し、グラニュー糖と塩、卵(※数回に分ける)、レモンゼスト、セモリナ粉、牛乳に浸したパンの順に加えて混ぜ、型に詰めて密封し、湯煎した状態で蒸らす。
型から取り出したら切り分けて、フルーツのコンポートないしソース、カッセラーら加工肉を添える。
パスタと言えば
イタリアで、ボロネーゼ(Ragù alla bolognese)と組み合わせた料理はドイツでも人気だが、ドイツ料理にだってパスタはある。主に南ドイツで食されることが多い。
団子類も小麦を収穫できる南ドイツが主流で、オーストリアでも作られている。
シュヴァーベン地方の名物で、小麦粉と
卵で作る平べったい麺。
茹でた後、バターを加えたり軽く炒めたりすることが多い。
卵を多く使うため他のパスタと比べて柔らかく、肉料理などの添え物として出される。
ドイツ大使館がcookpadでシュペッツレ、Youtubeではドイツ大使館直伝のケーゼ・シュペッツレ(Käsespätzle)も含めてレシピを公開している。
小さな四角形をしたドイツ版ラビオリ。ひき肉や
ほうれん草などを包んで食べる。
宗教上の理由で肉を食べられない時期に「パスタに肉を隠して食べれば神様にばれないだろう」という理由で考案されたという逸話がある。
粗くおろした粒状のパスタ生地(Riebele)を浮き実にしたスープ。
ブイヨンに生地を落として火が通ったら調味するだけなので、他に具材は入れないが、お好みで足しても良い。
- ニーレンフェットクレーセ(Nierenfettklöße)
ケンネ脂を使った茹で団子。
小麦粉と刻んだケンネ脂を混ぜてから泡立てた卵や牛乳と合わせて小分けし、ジャガイモ大に成形した生地を塩茹でしている。
煮込み料理やスープに入れたり、肉料理の付け合わせにする。
セモリナ粉あるいは小麦澱粉から作る茹で団子。
溶かしバターやブルーポピーシードと合わせて肉料理や煮込み料理に添えたり、スープの具にされる。
シナモンシュガーかポピーシュガーを振りかけたり、カスタードソースか果物のソースを添えるか、コンポート類と合わせてデザートにされる場合もある。
- ダンプフヌーデルン(Dampfnudeln)
- ゲルムクネーデル(Germknödel)/ヘーフェクレーセ(Hefeklöße)
- メールクレーセ(Mehlkloß)
発酵生地(ヘーフェタイク/ゲルムタイク)から作る小麦団子。
ダンプフヌーデルンは蒸し焼き、ゲルムクネーデルやヘーフェクレーセは茹でるか蒸して、メールクレーセは布に包んでから煮て作る。
ゲルムクネーデルは杏やプラムなどを包むが、生の場合は角砂糖と合わせたり、ジャムに加工してから詰める場合がある。
ダンプフヌーデルン、ヘーフェクレーセ、メールクレーセはグリースクレーセと同様に付け合わせやデザートにされる。
なおメールクレーセはバターで炒めた白パンの角切り、デザート用のダンプフヌーデルンはジャムを詰める例もある。
ブーミシェ・クネーデル(Böhmische Knödel)はシュッペレと同じ小麦粉(Dunst/Griffiges Mehl)を使っていて、茹でてからスライスする。
- メールプット(Mehlpütt)/クリュッチェ(Klütje)/プフェルト(Puffert)
ドイツでは珍しく紅茶を愛好する東フリースラント地方のヘーフェクレーセ(スチームプディング)。
イースト、牛乳、グラニュー糖、微量の塩、卵、ラードかバター、小麦粉から作る生地を型に詰めて発酵させた後で蒸している。
切り分けて、カスタードソースと洋梨のコンポートを添える。
小麦団子の豪華版で、油脂類やグラニュー糖が増量されていて、卵、レモンゼスト、ビターアーモンド、レーズン類も加えている。
捏ねてレーズン類も混ぜ合わせた生地を型に詰めて蓋で密封し、発酵させてから湯煎した状態で蒸らしている。
型から取り出したら、フルーツのコンポート、カスタードソースかチョコレートソースを添える。
- ディトマーシャー・メールボイテル(Dithmarscher Mehlbeutel)/ディトマーシャー・メールビューデル(Dithmarscher Mehlbüdel)
シュレスヴィッヒ・ホルシュタイン州ディトマルシェンの小麦団子で、伝統製法だと生地を布に包んだ状態で煮る。
イーストは未使用である場合が多く、卵を別立てにするほか、レモンゼストやレーズンなどを加える例もある。
切り分けて、サワーチェリーのコンポートないしソース、カッセラーら加工肉を添える。
- カルトッフェルクヌーデル(Kartoffelknödel)/エアドアプフェルクヌーデル(Erdäpfelknödel)/カルトッフェルクレーセ(Kartoffelklöße)
潰したじゃがいもで作ったお団子。ジャガイモと相性の良いナツメグを加えることが多い。
もちもちとした食感で料理の付け合せに出されることが多く、ブレートヒェンの角切りから作ったクルトン、ザワークラウト、加工肉などを詰める例もある。
杏かプラムを詰めて、カスタードソース(Vanillesauce)を別添えする場合もある。
シュレージッシェス・カルトッフェルクレーセ(Schlesisches Kartoffelklöße)は、小分けして赤血球状に成形するか、棒状に成形した生地を輪切りにしてから茹でる。
- テューリンガー・クレーセ(Thüringer Klöße)
肉料理の付け合わせとなる茹で団子で、すり下ろして水に晒してから絞った生のジャガイモ、馬鈴薯澱粉、加熱したジャガイモのピュレで生地を作り、クルトンを詰めている。
ジャガイモは使わない異物同名の茹で団子もあり、材料はバター、全卵、卵黄、小麦粉、塩、ナツメグ、クルトン、牛乳に浸したパン、ハムで、仕上げに焦がしバターを絡める。
なお昔は現在と異なるレシピで作られていて、ジャガイモに穀物粉あるいはパン粉を混ぜて作る例もあった。
- ホルシュタイナー・ブーフヴァイツェンクレーセ(Holsteiner Buchweizenklöße)
ブーフヴァイツェンは蕎麦を指している。
ジャガイモと蕎麦粉の茹で団子で、他にベーコン、卵、牛乳、塩、場合によっては胡椒、メースないしナツメグ、カイエンペッパーも加える。
焦がしバターと絡めて料理の付け合わせにしたり、コンポートないしアップルソースを添える。
古くなったパンを再利用した団子で、肉料理や煮込み料理に添えたり、グレービーソースなどを掛けて食べる。
牛乳に浸したパンの角切り、刻んでバターで炒めたタマネギとパセリ、塩・胡椒・ナツメグ・マジョラム入りの溶き卵、繋ぎとなるパン粉か小麦粉か小麦澱粉を混ぜ合わせる。
生地は小分けして丸めるか、小分けせずに布(アルミホイルとラップで代用する例もある)で包み、ブイヨンか塩を加えた湯の中に入れて、弱火で煮込む。
布に包んだ場合は引き上げた後で切り分ける。
ドイツ版の細長いニョッキで、小麦粉ないしライ麦粉から作るが、卵やジャガイモも練り込むことが多い。
大抵は溶かしバターと絡めて付け合わせにするが、シナモンシュガーないしポピーシュガーを塗すか、コンポート類と合わせてデザートにされる場合もある。
カルトッフェルクレーセと同様にラードなどで揚げる例も見られる。
- クラウトフレッカール(Krautfleckerl)/クラウトヌーデルン(Krautnudeln)
オーストリアのパスタ料理で、フレッカールは菱形や長方形の卵パスタを指すが、ドイツ南部にも伝わっていて、シュプフヌーデルンとザワークラウトを使って作る例もある。
タマネギとニンニク、キャベツ、加工肉の順にバターで炒めて、ブイヨンを注いで煮込み、塩、胡椒、パプリカパウダー、キャラウェイシードで調味し、茹でたパスタと絡めてパセリを散らす。
煮込む前に白ワイン、調味する前にサワークリームや生クリーム、調味する際に白ワインビネガーやグラニュー糖も加える場合がある。
■肉
特に
豚肉が好んで食される。ソーセージが最も有名だが、それ以外にも様々な肉料理が存在している。
また生肉を食べる文化も広く定着している。
日本人が
生魚を取り上げられると死んでしまうように、
ドイツ人は生肉を食べられないと生きていけない(※比喩)ため、安全に生肉を食べられるように厳しい衛生管理体制のもと流通している(
それでもヒットする時はする。日本の生牡蠣連食と同じような認知と覚悟のようだ)。
鹿、猪、野兎、雉、山鶉などの鳥獣も食べられていて、鹿肉については世界有数の消費国である。家禽では家鴨や鵞鳥も好まれている。
なお猪については核実験やチェルノブイリ原発事故による放射能汚染が問題となっていて、2020年以降も食用に適さない個体が確認されている。
ドイツのハンバーグステーキはブーレッテン(Buletten)やフリカデレ(Frikadelle)なども該当する。
日本人のソウルフード(あれ?)であるハンバーグの語源は、もちろんハンブルク市。
大元をたどると、ドイツ北部に侵入してきた韃靼びとの生馬肉の挽き肉料理から生まれたタルタルステーキを源流としている。
生肉の挽き肉を安全に食べるのは大変だし、焼いた方が安心だからね。
- ビーフステーク・タルター(Beefsteak Tartar)
窪みに卵黄を落とした牛挽肉のタルタルステーキ。
塩、胡椒、パプリカ、ケイパー、オリーブ、刻んだタマネギ、ピクルス、アンチョビなどを添える。
バターを塗ったシュバルツブロート(Schwarzbrot)とともに頂く。
- コールルーラーデ(kohlrollade)/クラウトヴルスト(Krautwurst)/クラウトヴィッケル(Krautwickel)
ロールキャベツのことで、コールルーラーデン(kohlrolladen)とも呼ばれる。
キャベツは縮緬キャベツ(Wirsing/Savoyer Kohl)や紫キャベツ、中身は牛挽肉や豚挽肉以外に、鹿、猪、野兎といったジビエが使用される地域もある。
ドイツのロールキャベツは煮込む前に焼き色を付けるが、同時にベーコンも焼いたり、残り脂で香味野菜を炒めてソースに加工することもある。
- ケーニヒスベルガー・クロプセ(Königsberger Klopse)
アンチョビ入り茹で肉団子のホワイトソース掛けで、ソ連の帰属後にカリーニングラードへと改称された東プロイセンの旧都ケーニヒスブルクの名を冠している。
ホワイトソースは香味野菜とスパイスを煮出した茹で汁で延ばしていて、ケイパー、レモン果汁、白ワイン、卵黄、サワークリーム、ホースラディッシュ、マスタードなども加える。
ドイツ大使館がcookpadでレシピを公開している。
- シュヴァイネブラーテン(Schweinebraten)
豚のアバラやモモ・肩などの肉に
塩・胡椒・香辛料を加えて焼くだけのシンプルな料理。
だがシンプルゆえ美味いのだ。
塩漬けにしたアバラ肉を燻製にしたもの。煮込みの材料やローストにして食べる。
脂っこくなく、燻製の香りと塩味が絶妙な一品。
- テューリンガー・トプフブラーテン(Thüringer Topfbraten)
下茹でするか焼き色を付けた豚の皮、耳、鼻先、舌、心臓、肝臓、腎臓などを使った煮込み料理。
茹で汁かブイヨンで溶いたブラウンソースに、粉砕したジンジャーブレッドかパン粉、レーズンかプラムジャム、酢かレモン果汁、ケイパー、胡椒などを加えて調味している。
他の具材はタマネギ、ペコロス、キュウリのピクルス、キノコ類などで、香味野菜は下茹でにも使うが臭み消し用のハーブやスパイスとともに取り除く。
仔牛の赤身肉を叩いて薄くし、パン粉を付けて油で焼いたドイツ版カツレツ。豚肉や鳥肉で代用されることもある。サクサクとした食感が絶品。
発祥を巡ってイタリアとオーストリアの間で議論になっていて、原型とされるコトレッタ・アッラ・ミラネーゼは伝統製法だと仔牛のリブロースを厚切りのまま使用していた。
ホルシュタイナー・シュニッツェル(Holsteiner Schnitzel)はカツレツに目玉焼きとアンチョビのフィレをのせていて、バタートースト、魚の燻製、ケイパーなどを添えることが多い。
ドイツ大使館がcookpadでレシピを公開している。
- ツヴィーベルブラーテン(Zwiebelbraten)
バイエルン地方やオーストリアのビーフステーキないし牛肉の蒸し煮で、タマネギやブラウンソースと組み合わせる。
ステーキの場合は事前に肉を切り分けて叩くため、澄ましバターで焼いた肉にブラウンソースを絡めてひと煮たちさせる程度で済み、仕上げに炒めたタマネギかフライドオニオンを盛る。
蒸し煮の場合は肉塊なので焼き色を付けた後に、タマネギなどの香味野菜やブラウンソースの素になる煮汁と合わせてオーブンへ移し、中まで火を通してから切り分ける工程もある。
- リンダー・ルーラーデン(Rinderrouladen)
仔牛肉や牛肉のロール煮込みで、煮汁から作るソースを掛ける。
叩いて薄く延ばした肉に塩と胡椒を振ってレーベンゼンフ(Loewensenf)も塗り、タマネギ、ピクルス、ベーコンを散らして巻くのが一般的だが、巻き込む具材は家庭次第でアレンジも多い。
アプフェルロートコールやカルトッフェルンクヌーデルを添える。
「氷の脚」という意味。何故そのように呼ばれたかは諸説ある模様。
塩漬けにした豚のすね肉をたっぷりの熱湯で柔らかく茹で上げたもの。
なお、アイスヴァイン(Eiswein)というものもあるがこれはワインの一種であって全くの別物。
豚ロース肉のゼリー寄せ。
ブイヨン、ニンジン、香味野菜、スパイスが煮出された茹で汁は、余分な脂を取って泡立てた卵白と合わせて漉し、調味してゼラチンと合わせてゼリー液に加工する。
刻んだり薄く切って型抜きしたピクルスや野菜、茹で卵などと組み合わせて彩も演出する。
- シュヴァインスハクセ/シュヴァイネハクセ(Schweinshaxe)
こちらは豚のすね肉をローストしたもの。
骨が付いたままの肉がゴロッと皿に乗っている様はさながらマンガ肉の様な迫力がある。
仔牛の脛肉をメインにした料理で、ロースト、蒸し焼き、水煮などにする。
マンガ肉のように骨付きのままサーブする時がある。
- レーリュッケン・バーデン=バーデン(Rehrücken Baden-Baden)
バーデン地方の伝統料理。
ジュニパーベリーなど数種類のスパイスを擦りこむか、赤ワインベースのマリネ液に漬けた鹿鞍下肉のローストで、豚の生脂かベーコンで油脂を補っている。
リンゴンベリーないしクランベリーのジャムかレッドカラントジェリーを詰めた洋梨のコンポート、シュペッツレ、付け合わせの野菜やキノコ類などを添える。
- ビカンテ・ハメルシュルター(Pikante Hammelschulter)
マスタード、パプリカ、塩で下味を付けて数日間寝かせたラム肩肉の蒸し焼き。
ラムの肩骨や香味野菜などから作るストックを掛けながらオーブンで焼いていて、肉汁と混じった残り汁はソースに加工して添える。
- ハーゼンプフェッファー(Hasenpfeffer)
野兎の煮込み料理で、プフェッファーは胡椒を指すが、胡椒以外のスパイスやハーブも使う。
他の材料はベーコン、香味野菜、ブイヨン、赤ワイン、ブランデー、レッドカラントジェリー、塩などで、仕上げにレモン果汁と黒胡椒を加える。
イギリスでも似たようなウサギシチューが食されている。
- エンテンブルスト・ミット・ロートヴァインゾーセ(Entenbrust mit Rotwein Soße)
鴨胸肉のロースト。
香味野菜やハーブは取り除いた鶏のブイヨンを煮詰めて、スパイスを煮出した赤ワインと合わせて漉し、バター、塩、胡椒で調味したソースを掛けている。
ジャガイモやロートコールザラートを添えることが多い。
- エンテンブラーテン・ミット・ビルネン(Entenbraten mit Birnen)
家鴨のローストで、ビルネンは洋梨を指している。
家鴨の代わりに鵞鳥を使った場合はゲンゼブラーテン(Gänsebraten)になる。
下味の付けた家鴨にリンゴやハーブを詰めて紐で縛り、香味野菜の上にのせて赤ワインを振り掛けてからオーブンで焼くが、焼いている最中に何度か肉汁を掛ける必要がある。
肉汁は漉してから赤ワインやブイヨンなどと合わせてソースに加工するが、家鴨は脂肪分が多いので日本人にはしつこく感じられることもある。
洋梨は白ワインやバニラスティックなどで香味したコンポートに調理し、リンゴンベリーのジャムを詰めた後で家鴨に添える。
なお洋梨や香味野菜は、リンゴとともに家鴨の中へ詰める例もある。
味付けした生の豚ひき肉。加熱せず生肉のままパンに乗せたり挟んだりして食べる。
ソーセージにすることもある。
生の豚肉というと危ないイメージを持つ者もいるだろうが、現地では厳格な衛生管理の元で提供されている。
それでも、食中毒のリスクは決してゼロではなく、現地で食べる際は注意すること。
- レバーケーゼ(Leberkäse)/フライッシュケーゼ(Fleischkäse)
牛肉と豚肉を4:1の割合で合わせて、ナツメグなどのスパイスを混ぜて四角い型に詰めて焼いたもの。
名前に反してレバー肉も
チーズも入っていない(地方やレシピによっては入る事もある)。ベーコンを加える例もある。
ミートローフの一種とも言われるが、ペースト状になるまで肉をすり潰すため、見た目はスパム等のような肉で出来た練り物に近い。
イタリア人は激怒しそうだが、日本のJAS規格だとボロニアソーセージに分類される模様。
- ハックブラーテン(Hackbraten)/ヴィーゲブラーテン(Wiegebraten)
ドイツのミートローフで、ファルシャー・ハーゼ(Falscher Hase)と呼ばれることもある。
殻を剥いた茹で卵を埋め込んだり、ベーコンを巻いてから焼き上げる例もある。
レバーケーゼと同様にサンドイッチの具にされることもある。
「漬けたロースト肉」という意味。
肉を酒や酢・香辛料をベースとしたマリネ液に数日間漬けた後、更に数時間かけて焼いたもの。
本場のマリネ液はワインとワインビネガーを同割にする例もあるが、日本人には酸味が強過ぎるため、日本人向けのアレンジだとワインビネガーの量を減らすことが多い。
現在は牛肉が一般的になっているが、馬肉やジビエ肉で作られる事もある。
- バンベルガー・ツヴィーベル(Bamberger Zwiebel)
バンベルク名物の肉詰めタマネギ。
ラオホビア入りのソースが掛かっていて、大抵はマッシュポテトやベーコンが添えられる。
- ヒューナーフリカッセ(Hühnerfrikassee)
フランス由来の煮込み料理。
鶏肉とホワイトアスパラガスの寄せ煮で、仕上げにレモン果汁を足す例もある。
他の具材として仔牛の舌や喉頭部、小エビ、マッシュルーム、アミガサタケなどを加える場合もある。
ヘッセン州のリースリングワインを使った煮込み料理。
白ワイン煮の鶏肉と炒めたマッシュルームを煮汁から加工したクリームソースと合わせて調味し、ひと煮たちさせたら仕上げに半割りの白ブドウを加える。
シュペッツレか炊いた白米を添えることが多い。
- シュレージッシェス・ヒンメルライヒ(Schlesisches Himmelreich)
ポーランドに帰属したシュレジェン地方の料理で、ドイツの東部などでも見られる。
豚肉(カッセラー、ハム、ベーコンでも可能)はブイヨン、ドライフルーツはレモンゼスト、オールスパイス、クローブ、シナモンとともにリンゴ果汁か水で下茹でしておく。
茹で汁ごと合わせて煮込み、具を取り出してから塩、胡椒、レモン果汁か酢などで調味し、小麦粉か粉砕したジンジャーブレッドでとろみを付けて、切り分けた豚肉とドライフルーツに掛ける。
シュレージッシェス・カルトッフェルクレーセかブーミシェ・クネーデルを添えることが多い。
ドイツ北部や北欧の料理で、15世紀から作られているが、当時のレシピは非常に塩辛い。
茹でた牛肉の塩漬けか牛挽肉、タマネギ、マッシュポテトなどから作る炒め煮で、目玉焼きかポーチ・ド・エッグをのせる。
ニシンの塩漬け、ビーツやキュウリのピクルスは炒め煮に加えることもあれば、仕上げに添えることもある。
ニーレンは腎臓のことで、牛乳に浸けて臭み抜きした豚の腎臓を使う。
タマネギと小麦粉を茶色くなるまで炒めて、ブイヨンとワインで延ばし、ワインビネガー、塩、胡椒、ハーブやスパイスと合わせてソースを作る。
ハーブやスパイスはローリエ、ジンジャー、クローブ、マジョラム、ナツメグ、カイエンペッパーなどからお好みで選択して用いる。
小麦粉を塗して澄ましバターで炒めた腎臓の薄切りと絡めるか、腎臓の薄切りを生のまま入れて硬くなり過ぎないよう煮込む。
仕上げに少量の生クリームやウスターソースを加える例もある。
- カルプスレバー・ベルリナー・アルト(Kalbslrber Berliner Art)
仔牛のレバーソテー。
下拵えして薄く切った仔牛のレバーに小麦粉を塗し、澄ましバターで両面を焼いて、塩と胡椒で味を調える。
輪切りにしたリンゴのソテー、炒めたタマネギ、マッシュポテトを添える。
豚、ガチョウ、アヒルら家禽類を屠殺した際に出る内臓や血なども余さずに使う伝統料理で、ブルートヴルストで代用する例もある。
焼き色の付いた正肉、炒めた根菜、下茹でした内臓やその他部位、洋梨、ドライフルーツなどをブイヨンで煮込み、酢、グラニュー糖か甜菜糖シロップ、塩、胡椒で調味し、血でとろみを付ける。
ニーレンフェットクレーセやグリースクレーセなどの茹で団子類、茹でたジャガイモやルタバガを添える場合が多く、ボルシチのようにサワークリームを入れることもある。
ドイツの北部や東部で見られるが、似たような料理は他方にも存在する。
- レバークヌーデルズッペ(Leberknödelsuppe)
レバーから作る肉団子を浮かべたスープ。
オーストリアでも好まれている。
- ホッホツァイツズッペ(Hochzeitssuppe)
結婚式に供されていた伝統的なスープで、地域によって具材は変わる。
鶏肉か牛肉、ミートボール、マウルタッシェン、シュペッツレ、セモリナ粉の団子、卵の浮き実、ホワイトアスパラガス、カリフラワー、リーキ、根菜などが使われる。
なお肉類ではなく、魚介類を使う例もあるという。
御存じドイツ料理の代名詞。ドイツ語では
ヴルスト(Wurst)と言う。
1990年代辺りでは「ドイツ=ソーセージ」とドイツの代表的なステレオタイプとして定着していたほどである。
ドイツのソーセージには塩・香辛料・ハーブは加えることを許れているが、麦粉や
大豆を加えることは禁止されている(例外あり)。
茹でソーセージ・保存用ソーセージ・内臓ソーセージの3つに大きく分類される。
最も一般的なもの。生の赤身肉と脂肪に塩・香辛料を加えて腸詰にした後、茹でる。
屋台などで焼いて提供されることも多い。
材料は茹でたものと同じだが、加塩・燻製・乾燥いずれかの方法によって熟成させ保存性を高めてある。
下茹でした
レバーなどの内臓と赤身肉、血が材料となる。
いわゆる血液ソーセージはドイツ語では「ブルートヴルスト(Blutwurst)」という。
塩や香辛料を加えて皮に詰め、もう一度茹で上げて作る。
- フェルツァー・ザウマーゲン(Pfälzer Saumagen)
ファルツ地方の名物で、ザウマーゲンは豚の胃を意味している。
コール元首相の大好物として知られており、各国首脳にも振舞われたことから首相のステーキ(Kanzlersteak)という異名が付いた。
豚バラ肉、ハムかベーコン、生ソーセージ、ジャガイモ、タマネギ、パンか栗、卵、塩、ハーブ、スパイスの混合物を胃に詰めて糸で縛り、数時間茹でて作る。
厚切りにしてラードかバターで両面を焼き、ザワークラウトやジャガイモを添えて食べるのが一般的。
「カリーヴルスト」とも。ソーセージの上に
トマトケチャップと
カレー粉をかけたシンプルな料理。フランスの「カレー地方」とは関係ない。
ソーセージは店によって丸ごとで出されたり切って出されたりと様々。
付け合わせには
フライドポテトが添えられる。
- 死んだお婆ちゃん(Tote Oma)/交通事故(Verkehrsunfall)
ラードかバターで炒めたタマネギとベーコンに、TiegelwurstやGrützwurstというブルートヴルストを加えて粥状となるまで炒めて、塩、胡椒、タイムかマジョラムで味を調えた料理。
ザワークラウトや茹でたジャガイモ、あるいはマッシュポテトを添えて食べる。しっかし何ちゅう名前だ。
豚の頭肉や皮、豚バラ肉、牛レバー、燕麦、ブイヨン、塩、スパイスなどを使ったブレーメン発祥のソーセージで、皮無しの缶詰や馬肉製の商品も販売されている。
通常は輪切りにして澄ましバターかラードで香ばしく焼き上げて、ブラートカルトッフェルか塩茹でのジャガイモ、キュウリやビーツのピクルス、アップルソースを添えて食べる。
かき混ぜながら炒めてミンチ状にし、シュヴァルツブロート、目玉焼き、生タマネギと組み合わせてオープンサンドにする場合もある。
- ヴルストザラート(Wurstsalat)/フライシュザラート(Fleischsalat)
ドイツ、オーストリア、スイスで作られている細切りソーセージ主体のサラダ。
タマネギ、ピクルス、チャイブとともに、ヴルストザラートはドレッシング、フライシュザラートはマヨネーズと和える。
チーズ類、ピクルスの漬け汁、マスタードなどを加えたり、仕上げに胡椒を振ることもある。
- ブラウエ・ツィップレ(Blaue Zipfele)/ザウアー・ツィプフェル(Saure Zipfel)
フランケン地方やファルツ地方の名物で、ブラウエ(青)という料理名の由来は調理したソーセージがほんのり青み掛かるためである。
水かブイヨン、タマネギ、ニンジン、白ワインビネガー、グラニュー糖、塩、胡椒、クローブ、ジュニパーベリー、ローリエを煮立てて野菜に火が通ったら、ソーセージを入れて煮込む。
セロリや白ワインも加えたり、仕上げに刻んだパセリを浮かべる場合もある。
■魚
南地方では淡水魚、北地方では海水魚が食されている。
マスやツァンダー(パーチのこと)、
クリスマスや大晦日にはコイも食べられるが、ニシン料理が最も有名だろう。
またタラや
カレイなどの白身魚をバター焼きや揚げ物にして食べることも多い。
かつてタコのパウル君が脚光を浴びていたが、食材としての扱いは南欧系の移民が増加した1960年代以降で、タコ入りの料理を嫌がるドイツ人も珍しくない。
日本発祥のカニカマは、ドイツでも他国と同様にSurimiという商品名で販売されていて、日本人の多いデュッセルドルフでは1980年代から購入することができたという。
- ハンブルガー・パンフィッシュ(Hamburger Pannfisch)
マスタードソースが掛かった魚のソテーで、タラ、ニシン、ヒラメ、鮭などの海水魚、場合によってはウナギやコイも使われる。
茹でてから薄く切って揚げたジャガイモか茹でジャガイモ、パセリないしディルと組み合わせるのが一般的で、レモンも添える例がある。
マスタードソースはベシャメルソースと同様の製法で、マスタードに加えて、タマネギ、白ワイン、微量のグラニュー糖などを入れることもある。
- フィンケンヴェルダー・マイショレ(Finkenwerder Maischolle)/フィンケンヴェルダー・ショレ(Finkenwerder Scholle)
ハンブルク郊外のフィンケンヴェルダーに因んだ魚料理で、5月に水揚げされた旬のカレイを使っている。
炒めたタマネギやベーコンをのせたムニエルだが、昔のレシピだとノルトゼー・クラッベン(北海産の小エビ)も組み合わせてオーブンで焼いていた。
レモンは下味に用いることもあれば、パセリかディルとともに添えることもある。
直訳すると“二日酔いの魚”だが、実態はワインビネガーとホースラディッシュを溶いたトマトのピュレが掛かったオーブン焼きである。
レモン果汁と塩で下味が付けられた魚の切り身に前述のピュレを塗り広げてから、炒めたタマネギ、キュウリのピクルス、バターの欠片を散らして共焼きしている。
- ヘヒト・ミット・メーアレティッヒゾーセ(Hecht mit Meerrettichsosse / Hecht mit Meerrettichsoße)
下味を付けてソテーにするか野菜のストックで煮込んだカワカマスのホースラディッシュソース添え。
ホースラディッシュソースは何種類か存在するが、ソテーの方はブイヨン不使用のクリームソース、煮た方は煮汁に調味して卵黄でとろみを付けたソースが使われる。
ディルかパセリで飾り付けて、レモンやピクルスなどを添える。
- ヘヒト・イン・シュプレーヴァルトゾーセ(Hecht in Spreewaldsosse / Hecht in Spreewaldsoße)
野菜のストックで煮込んだカワカマスのシュプレーヴァルトソース添えで、シュプレーヴァルトは観光地として知られる地域である。
シュプレーヴァルトソースは漉した煮汁に、小麦粉を溶いた生クリームとサワークリーム類かバターミルク、ヘレスビールやモルトビールを加えて煮立たせ、バターや塩を溶かし入れて作る。
煮込んだカワカマスにシュプレーヴァルトソースを掛けて、仕上げにディルとパセリを散らし、皮を剥いてから塩茹でしてバターやパセリと和えたジャガイモを添える。
内臓を取り除いたマスを塩・酢・
ワインを入れて沸騰させたお湯で煮た料理。
茹でたジャガイモを添えて食べる。
ブラウとは青を指すが、煮る前に白ワインビネガーを使った下拵えで魚の青さを保つことから名付けられているという。
白ワイン、レモン果汁、水、香味野菜、ローリエ、粒胡椒、塩を合わせて煮立て、下拵え済みのコイを丸ごと入れて、火加減に注意しながら火を通すとできる。
仕上げにレモンの輪切りやパセリを添えるが、コイの眼球部分をくり抜いてパセリを埋め込んだり、鯉の中に詰めて茹でたジャガイモを盛り付ける場合もある。
ドイツ大使館がレシピを公開している。
- ゲロイヒャッター・アール(Geräucherter Aal)
ヨーロッパウナギの燻製。
レモンを絞って食べるほか、スープやサラダなどの具にもされる。
茹でるか焼き色を付けたウナギのクリーム煮で、グリュンという料理名はハーブで緑色に染まるからである。
主に使われるハーブはスイバ、ディル、パセリで、クレソン、チャービル、チャイブ、サラダバーネット、タラゴン、バジル、ミント、レモンバームなどを加える場合もある。
白ワイン入りのベシャメルソースをベースにするが、卵黄でコク、レモン果汁で酸味を足している。
- ハンブルガー・アールズッペ(Hamburger Aalsuppe)
元々は残り物から作っていたスープで、18世紀後半まではウナギが入っていなかった。
骨付きハム主体のブイヨンに、ドライフルーツ、ニンジン、根パセリ、リーキ、セロリ、アスパラガス、インゲンマメ、小麦粉団子、ウナギなどを加えている。
多様なハーブも使われていて、白ワイン、レモン果汁かワインビネガー、グラニュー糖、塩、胡椒、ナツメグで調味している。
- キーラー・シュプロッテン(Kieler Sprotten)
ニシンの一種とされるシュプロッテの燻製で、伝統製法だとブナ、オーク、ハンノキを薪にしている。
オイル漬けにされた缶詰も販売されていて、小振り故に一匹丸ごと食べられる。
- アインゲリクター・ブラートヘリング(Eingelegter Brathering)
ニシンとタマネギを使ったドイツ版南蛮漬け。
南蛮漬けと違って醤油は入れないが、ローリエ、オールスパイス、ジュニパーベリー、粒胡椒、マスタードシード、ディルなどで香味している。
ブラートカルトッフェルかカルトッフェルブロイかザルツカルトッフェルン、キュウリやビーツのピクルス、レモラードソースやパセリソースなどお好みのソースを添える。
酢漬けにしたニシンの切り身(Bismarckhering)で
タマネギや
キュウリのピクルスを巻いたもの。
同じ材料をレタスなどとともにパンで挟んだフィッシュブロートヒェン(Fischbrötchen)も好まれている。
- マチェス・ナハ・ハウスフラウナート(Matjes nach Hausfrauenart)/ザウアー・ヘリング(Saurer Hering)
熟成させた塩漬け若ニシンの切り身にソースとディルを添えた料理。
ソースはマヨネーズ、サワークリーム類、ヨーグルト、塩、胡椒、タマネギ、ピクルス、リンゴなどを混ぜて寝かしてから使う。
亜麻仁油とピクルスの漬け汁をソースに加えた場合はシュプレーヴァルト風になる。
- ラクス・イム・ブレッタータイク(Lachs im Blätterteig)
鮭とホウレンソウのパイ包みで、ラクスは鮭、ブレッタータイクは折りパイ生地を指している。
元々は断食の時期に作られていた料理らしく、魚肉を生地とホウレンソウに包むことで神の目を欺こうとしていた。
別の魚を使ったり、生地をシュトルーデルタイクに変えたアレンジも存在する。
ドイツを代表する食材。
主食と言っても過言ではない。
中南米原産のため、ドイツに伝わるまで時間がかかり栽培され始めた時期こそ17世紀と遅めだが、その生命力で瞬く間に同国の主食となった。
昔は「じゃがいもでコースを作れない女を嫁にするな」とまで言われていたり、ドイツ人を指す蔑称が「ジャガイモ野郎」だったほど。
グリューネゾーセ(ハーブ
スープ)に添えたり、塩茹で・油炒め・
グラタン・サラダ・マッシュポテト・お団子・パンケーキなど調理法は様々。
ちなみにマッシュポテトはドイツ語でカルトッフェルブロイ(Kartoffelbrei)と言われているが、乳製品も加えて仕上げた場合はカルトッフェルピュレ(Kartoffelpüree)になる。
塩茹でしたジャガイモはザルツカルトッフェルン(Salzkartoffeln)と呼ばれている。
- ブラートカルトッフェル(Bratkartoffeln)
ドイツ人の大好物で、出来が料理店の評判にも影響する。
厚めの輪切りにしたじゃがいもを油で炒めたもの。他に具材を足すこともある。
玉ねぎやベーコンを加えて塩・胡椒で味付けしたものが所謂
ジャーマンポテトの原型。
- バウエルンフリューシュトゥック(Bauernfrüstück)/ホッペルポペル(Hoppelpoppel)
燻製肉か肉料理の余りを加えたブラートカルトッフェルに、牛乳かサワークリーム類と合わせた溶き卵を流して作るドイツ風オムレツ。
ピクルス、ニンニク、パセリ、マジョラム、ナツメグなどを加えることもある。
家庭料理なのでアレンジも多い。
- カルトッフェルン・ウント・クヴァーク(Kartoffeln und Quark)/ペルカルトッフェルン・ミット・クヴァーク(Pellkartoffeln mit Quark)
茹でたジャガイモにクヴァルクのディップを添えて亜麻仁油を掛けた料理で、Pellkartoffelnは茹でて皮を剥いたジャガイモを指している。
クヴァルクのディップは、マーガークヴァークかザーネクヴァーク、刻んだチャイブかネギ(Frühlingszwiebeln)か青ネギ(Lauchzwiebeln)、塩、胡椒を混ざ合わせて作る。
日本で試す場合は、マーガークヴァークを水切りプレーンヨーグルト、ザーネクヴァークをクリームチーズ、チャイブをアツサキで代用することも可能。
クヴァークのディップは、パセリやディルらハーブあるいはニンニクなどを加えたり、ベイクドポテト(Backkartoffeln)に添えても美味しい。
- カルトッフェルザラート(Kartoffelsalat)
ドイツのポテトサラダ。
日本と違ってジャガイモをマッシュしないのが特徴で、タマネギや小振りなキュウリのピクルス(Gherkin)を加えることもある。
ドイツ北部はマヨネーズとピクルスの漬け汁、ドイツ南部はブイヨン(Brühe)とドレッシングで調味する。
- ズウアー・テュフテン(Suer Tüfften)/ザウアー・カルトッフェルン(Saure Kartoffeln)
直訳すると酸っぱいジャガイモで、使用するジャガイモは煮崩れない固めの品種が向いている。
ベーコン、タマネギ、小麦粉の順に炒めてブイヨンで延ばし、酢、塩、胡椒、甜菜糖シロップで調味して一煮立ちさせたら、茹でて一口大に切ったジャガイモと絡める。
タマネギと甜菜糖シロップは入れない場合もある。
- カルトッフェルケーゼ(Kartoffelkäse)
パンに塗るか肉料理に添えるポテトスプレッドで、オーストリアでも作られている。
マッシュポテトにサワークリーム類かクヴァーク、バター、タマネギ、チャイブ、塩、胡椒を混ぜ合わせる。
他のスパイスやハーブ、レモン果汁などを加える場合もある。
- ライベクーヘン(Reibekuchen)/カルトッフェル・プッファー(Kartoffelpuffer)
摩り下ろしたじゃがいもに細切りにしたタマネギを混ぜ、かき揚げのように油で揚げた物。
甘いリンゴのソース(Apfelmuss)を添えて軽食にしたり、料理の付け合わせとして出される。
- カルトッフェルクーヘン(Kartoffelkuchen)
ジャガイモを使ったケーキ。
タマネギとベーコン乃至チーズを使ったセイボリータイプ、ナッツ類の粉末やレモンを使った甘いタイプがある。
ジャガイモをカボチャに置き換えた場合はキュルビスクーヘン(Kürbiskuchen)になる。
- クヴァークコイルヒェン(Quarkkeulchen)
マッシュポテトとクヴァーク(ドイツのフレッシュチーズ)の配合量が多いパンケーキで、生地にレーズンを加えることもある。
粉糖を振り掛けて、甘いリンゴのソースを添えることが多い。
シュトレンの生地にマッシュポテトを加えて作る。
シュトレンと違って成形せずに生地を広げて焼くことが多く、澄ましバターに浸すことも無い。
■野菜
上記のじゃがいも以外にも
キャベツや豆、カブ、アスパラガスが良く食べられる。
カブは北ドイツで多く食され、豆もタンパク源として重宝されている。
アスパラガスはホワイトアスパラガスが好まれ、シンプルに茹でて溶かしバターやオランデーソースを付けて食べる。
Hokkaidoというオレンジ色のカボチャは、1993年に日本人が北海道からドイツに移入した赤皮栗種で、周辺国でも見られるようになった。
ドイツではカボチャもピクルスに加工している。
キャベツに塩をして発酵させたもの。酸っぱいため勘違いされがちだが、酢は入っていない。この独特の酸味は乳酸菌によるもの。
ムラなく発酵させるためにはキレイに千切りしないといけないので、製造作業は実に大変。
保存が効く上にビタミンCを含む為、海軍では壊血病予防の食材として好まれた。火ィ入れるんじゃねえぞ!
本式とは違うが、酢を加えて短期間でそれらしい味わいに仕上げる「急造」レシピも発明されている。
- アプフェルロートコール(Apfelrotkohl)/ロートコールザラート(Rotkohlsalat)
肉料理に添えられる紫キャベツとリンゴの蒸し煮で、ベーコンを加える場合もある。
タマネギとリンゴを炒め、赤ワインビネガーと和えた紫キャベツ、ブイヨンかリンゴ果汁、スパイスと合わせて煮詰め、赤ワイン、赤スグリのジャム、グラニュー糖、塩で調味する。
使われるスパイスはローリエ、クローブ、ジュニパーベリーなどで、煮出し用のタマネギを入れることもあるが、これらは味を調える前に取り除く。
- メーレンアプフェルザラート(Möhren-Apfel-Salat)
ニンジンとリンゴのサラダ。
ニンジンもリンゴも粗くおろしてレモン果汁と和えて味を馴染ませるだけで作れるが、お好みでナッツ類やレーズンを加える例もある。
レモン果汁にグラニュー糖か植物性シロップ、塩、植物油を混ぜ合わせたドレッシングを使う場合もある。
フランス料理の
ポトフに類似したドイツの家庭料理で、一つ(ein)の鍋(topf)で作る野菜や豆類が中心のごった煮。
決まった具材はなく、大麦や燕麦といった穀類、肉類、洋梨、リンゴなども放り込まれる。
我が国でいう
味噌汁のように一般家庭に馴染み深い汁物料理であり、ナチス政権下においては「冬時期(10月〜3月)の第一日曜日にご馳走の代わりに安価なアイントプフを食べ、浮いたお金を募金しよう」という内容の「アイントプフの日曜日」なるプロバガンダ活動も行われた。
ドイツやオーストリアのカボチャスープ。
大抵はピュレ状に加工したポタージュタイプで、カレー粉やナツメグなどのスパイスと組み合わせることも多い。
Butternuss(バターナッツ)などHokkaido以外の品種も使われている。
- シュヴァルツヴェルダー・カルトッフェルズッペ(Schwarzwälder Kartoffelsuppe)
ジャガイモら根菜とシュヴァルツヴェルダー・シュペック(ベーコン)のスープで、マジョラムやサフランが加えられている。
ベーコンではなくソーセージ類を使ったり、ライ麦パンとラードから作るクルトンを浮かべることもある。
- フランクフルター・リンゼンズッペ(Frankfurter Linsensuppe)
レンズ豆とフランクフルター・ヴルストヒェン(Frankfurter Würstchen)のスープ。
ベーコン、タマネギ、リーキ、セロリ、根セロリ(セルリアック)、ニンジン、パースニップ(白ニンジン)なども入っている。
小麦粉か小麦澱粉でとろみを付けたり、調味の際にリンゴ酢かワインビネガーを足すこともある。
- ビルネン、ボーネン・ウント・シュぺック(Birnen, Bohnen und Speck)
晩夏から秋にかけて作られるドイツ北部の煮込み料理で、塩茹でしたジャガイモを添えることが多い。
粒胡椒、ローリエ、サマーサボリー入りのブイヨンでベーコン、サヤインゲン、洋梨を煮込んで取り出し、塩、胡椒、ナツメグで調味したら、切り分けた具材と合わせてパセリを散らす。
煮込む前に炒めたタマネギも足したり、調味の際に白ワインビネガーで酸味を補ったり、小麦粉か小麦澱粉あるいはコーンスターチでとろみを付ける場合もある。
ドイツにおける春の七草スープ。
クロイターはハーブのことで、ボリジ、チャービル、クレス、サラダバーネット、パセリ、チャイブ、スイバなどの7種類を使用する。
ポタージュタイプなので、ジャガイモ、リーキ、タマネギ、ブイヨン、生クリームなどと組み合わせる。
- フランクフルター・グリューネ・ゾーセ(Frankfurter Grüne Soße)
クロイターズッペと同様に7種類のハーブを使ったソースで、茹でたジャガイモや茹で卵、肉料理や魚料理に添えられる。
植物油、ワインビネガーかレモン果汁、茹で卵、タマネギ、リーキ、砂糖、塩、胡椒と合わせて作るが、サワークリームやベシャメルソースなどをベースにすることもある。
Youtubeでドイツ大使館の料理人がレシピを公開している。
- カルテ・グルケンズッペ(Kalte Gurkensuppe)
トルコ由来の冷製スープで、夏に作る機会が多い。
主な材料はキュウリ、ヨーグルト、ニンニク、冷水か野菜のストックかバターミルク、ディルかミント、レモン果汁で、ミキサーに掛けて、塩と胡椒で味を調えて冷やすとできる。
サワークリーム、チャイブ、パセリ、タイム、タラゴン、ピクルスやその漬け汁、ホースラディッシュ、植物油などを加える場合もある。
- ライプツィガーアーレライ(Leipziger Allerlei)
様々な茹で野菜を盛り合わせて、レモン果汁入りのホワイトソースで和えたもの。
ニンジン、えんどう豆、アスパラガス、
ブロッコリー、セロリ、アミガサタケ、ザリガニなどが使われ、豪勢なものではロブスターが入ることも。
グリースクレーセを添えることが多い。
■果物
リンゴが代表的な果物だろう。ドイツの寒冷な気候はリンゴの栽培にピッタリなのだ。
生食はもちろん、料理や菓子、ジャム、ジュース、砂糖漬け、リンゴ酒などに使われている。
他にも苺などのベリー類も好まれている。
ツヴェッチュゲン(西洋スモモの一種)が庭に植えられていることも多く、晩夏から初秋にかけての味覚として人気が高い。
リンゴ、洋梨、西洋スモモ、杏などはドライフルーツに加工されることも多い。
- 天と地(Himmel und Erde)
ライン地方などの名物で、ヒンメル・ウン・エード(Himmel un Äd)と表記する例もある。
到底、料理の名前とは思えないが、天はリンゴ、地はジャガイモを示していて、ソーセージなどの肉料理に添える。
リンゴとジャガイモの調理方法については地域差もあるため割愛する。
とある勇者が好んだ……かは定かではない。
- ビルネン・イム・タイク(Birnen im Teig)
シュレースヴィヒ・ホルシュタイン州の郷土料理。
Teigとは生地のことで、バターを練ってから、卵黄、ふるった乾燥材料(小麦粉と小麦澱粉とベーキングパウダーと塩)、牛乳、泡立てた卵白の順に混ぜて作る。
ブロートプディング版もあり、古くなったパンを牛乳に浸してふやけたら、全卵、グラニュー糖、バニラシュガーとかき混ぜて生地の代わりにする。
バターを塗った耐熱皿にベーコン(燻製ハムで代用も可能)、汁気を切った洋梨のコンポート、生地の順に重ねてオーブンで焼いている。
コンポートの煮汁は煮詰めて、小麦粉か小麦澱粉かコーンスターチでとろみを付けてソースにする。
- ツヴェッチュゲンクーヘン(Zwetschgenkuchen)/プフラウメンクーヘン(Pflaumenkuchen)
発酵生地、フレッシュチーズ入り無発酵生地、練りパイ生地(タルト生地)、バターケーキ生地らを底生地にしたブレヒクーヘン。
種は除いてカットしたツヴェッチュゲンかプフラウメンを生地の上に並べて焼くだけでもいいが、あらかじめカスタードクリームを塗ってケーキクラムも散らせば汁気対策になる。
シュトロイゼルやナッツと組み合わせたり、仕上げにシナモンシュガーを振ることもある。
- フリーダーベアズッペ(Fliederbeersuppe)
ドイツ北部で好まれているエルダーベリースープ。
エルダーベリー果汁にグラニュー糖、リンゴ果汁、レモン果汁、レモンゼスト、ホールスパイスを合わせて煮立てて、ホールスパイスを取り除き、コーンスターチでとろみを付ける。
リンゴの角切りを加えて一緒に煮たり、グリース・クレーセなどの団子類を浮き実にすることもある。
ドイツ北部や北欧で好まれているベリー類のコンポート。
ラズベリーや赤スグリらベリー類をグラニュー糖と果汁(サクランボやブドウなど)で煮て、澱粉類でとろみを付け、冷蔵庫で冷やすとできる。
サクランボや杏などの果実を足したり、レモン、オレンジ、キルシュ、赤ワイン、シナモン、クローブ、バニラなどで香味する場合もある。
カスタードソース、バニラアイス、生クリームなどを添えることが多い。
ドイツ大使館がYoutubeでレシピを公開している。
- バックオプストコンポット(Backobstkompott)
数種類のドライフルーツを煮込んで作るコンポート。
肉料理の付け合わせにしたり、グリース・クレーセなどの団子類と合わせてデザートにする。
戻し汁と一緒にシナモンスティック、クローブホール、レモンゼストなどを煮立たせるか、仕上げに好みの洋酒を加えて香味している。
■お酒
ドイツのお酒と言えば
ビールが最も有名だろう。
約500年前にバイエルンで
「ビール純粋令」なるものが制定され、「ビールは麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料としなければならない」とされているほど品質は徹底されている。
常温で飲んだりレモネードで割ったり、呑み方も多様に開発されている。
しかしビール以外にも
ワインなども色々あるので、現地に行ったらビール以外にも目を向けては如何だろうか。
ちなみに
ドイツワイン愛好家とフランスワイン愛好家は殺し合いに近いほどに仲が悪いとされる。
ビールについてもデュッセルドルフとケルンの出身者は仲が悪く、アルトビールとケルシュの出来を巡って喧嘩になる。
だがビールの歴史が長い一方で、
ウイスキーの歴史は浅くここ100年にも満たない。
イギリスでウイスキーが発達したのとは対照的で興味深い。
なお、一般的なイメージとは裏腹に現在ドイツでは若者のビール離れが顕著になっており、すでに一人辺りの消費量では特別ビールのイメージがないスペインなどを下回る水準になってしまっている。
1993年までは第1位だったが、隣国のチェコやオーストリアに抜かれてその後も順位は下落し、2024年には第10位を記録している。
ノンアルコールビールの需要は増加していてビール市場の15%に到達しているものの、廃業に追い込まれた醸造所もあり、ドイツビールの伝統は果たしてどうなるのであろうか……
- ベルリナーヴァイセ(Berliner Weiße)
「ベルリンの白(ビール)」の意味。
ベルリン名物のビールで、赤いラズベリージュースや緑のクルマバソウのジュースで割って飲む。
乳酸菌由来の爽やかな酸味があり、お酒が苦手な人でも美味しく飲める。
- バンベルク・ラオホビア(Bamberger Rauchbier)
ブナやオークを燃やして乾燥・燻煙させた麦芽から作られるスモーキーなビール。
ヘラー醸造所(シュレンケルラ)が提供している黒ビールはハンノキ、赤ビールはチェリーを薪にしている。
- ハイセ・ビアズッペ(Heiße Biersuppe)
黒ビールを使ったシナモン風味の甘いスープ。
卵黄や牛乳ないしサワークリーム類も入るため、カスタードソースに近い作り方をすると失敗し難い。
すり下ろしたチーズと適当な大きさに切ったパンを浮かべることもある。
リンゴから作る非発泡性の果実酒で、ゲリプテスという専用のグラスが使われる。
グリューヴァインのようにスパイスや蜂蜜などを配合して飲むこともある。
秋だけ飲める白ワインの新酒で、赤ワインだとフェーダーローター(Feder Roter)になる。
オーストリアではシュトルム(Sturm)、スイスではスーザー(Sauser)、アルザスではノイアーズゥサー(Neuer Susser)と呼ばれている。
発酵途中なので、甘みや炭酸を強く感じられるが、アルコール度数は一般的なワインよりも低い。
- トロッケンベーレンアウスレーゼ(Trockenbeerenauslese)
ボトリティスシネレアという黴が生えて乾燥した完熟葡萄を使った、いわゆる貴腐ワインを指す。
非常に甘口で食後の
デザートにおすすめ。もっとも、高価なので滅多に口にできないが……。
定義的には糖度による分類なので、貴腐化なしで規定の糖度に達したワインも一応ここに含まれる。
いわゆるホットワイン
カクテル。
ワインを温め、香辛料やハーブ、甘味、果実や果汁を足して飲む。
加熱でアルコールが飛ぶのでブランデーを後から足す飲兵衛優勝仕様もある。
ドイツ大使館がcookpadでレシピを公開している。
「氷ワイン」の名の通り、摘み取りを11~12月まで遅らせ、凍った葡萄の実を凍らせたまま圧搾する事で作られるワイン。
量が取れない上に動物に取られる・場合によっては実が凍らず腐るといったリスクから希少性が高く高価。
貴腐ワインと同様かなりの甘口で、なおかつそれらよりすっきりとした味わいとされる。
リキュールの一種。
鹿のラベルが描かれており、これは「ある猟師が光る十字架を角の間に抱いた牡鹿と出会い、それを切っ掛けに狩人の守護聖人となった事から」、もしくは「その狩人を『ハンターマスター』として敬意を表したもの」等とされている。
スターアニス、シナモン、カモミール等々、実に56種類ものハーブや香辛料が用いられている。
正確なレシピは秘匿されているため、製法に関する詳細は不明。
普通にストレートで飲まれる事もあるがカクテルにされる事もある他、薬酒として用いられる事もあり、
そういった点からドイツ版養命酒などと呼ばれる事もある。
直訳で「サクランボ水」という意味。
潰したサクランボを発酵させ、6週間寝かせた後で作られる蒸留酒。南部の名産で、オーストリアやスイスでも作られる。
主に食後酒として用いられる他、後述するシュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテの香り付けに使われる事もある。
サクランボを潰した後、発酵の代わりにアルコール漬けにした後で蒸留して作るキルシュガイスト(Kirschgeist)というものもある。
■未分類の料理
- ベルリナー・ソール・アイアー(Berliner Sol Eier)/ゾールアイ(Solei)
固茹で卵の塩漬けで、殻は剥かずにヒビを入れた状態で漬ける。
油は使わずに飴色となるまで炒めたタマネギ、水、白ワインビネガー、ローリエ、ジュニパーベリー、キャラウェイシード、粒胡椒、タラゴン、塩、グラニュー糖、ディルで漬け汁を作る。
漬け汁には、エシャロット、マスタードシード、フェンネルシード、スアーアニス、クローブ、オールスパイス、ローズマリー、生姜、唐辛子なども加える例がある。
食べる時は殻を剥いて半分に切り、植物油と白ワインビネガー、マスタード、カイエンペッパーなど好みの調味料や香辛料を付けて口に運ぶ。
- アイアー・イン・ゼンフゾーセ(Eier in senfsauce)
温かいマスタードソースに茹で卵かポーチドエッグを浮かべて、ディルかパセリかチャイブを散らした料理。
マスタードソースはベシャメルソースにマスタード、ワインビネガーかレモン果汁、グラニュー糖などを加えて作る。
茹でたジャガイモを添えることが多い。
ブレーツェルなどに添えるチーズディップで、似たような代物はドイツ各地で見られる。
主な材料はカマンベールやブリーといった白カビチーズ、バター、パプリカパウダー、塩で、タマネギ、キャラウェイシード、胡椒、チャイブなども加える。
ドイツ大使館がYoutubeでレシピを公開している。
- ハンドケーゼ・ミット・ムズィーク(Handkäse mit Musik)
ハンドケーゼは脱脂乳が原料となるフレッシュチーズ、ムズィークは音楽を指している。
アプフェルヴァイン、リンゴ酢、植物油、タマネギかエシャロット、塩、胡椒、キャラウェイシードかクミンシードなどから作るマリネ液に漬けている。
ここでいう音楽とは諸説あるが、生のタマネギやエシャロットに含まれる成分が原因で起こる屁のことではないかと言われている。
風邪や花粉症で喉を傷めた時に飲むエアケルトゥングテー(Erkältung Tee)の一種。
タマネギを皮ごと煎じて蜂蜜を混ぜたお茶で、生姜やハーブも一緒に煎じたり、レモン果汁を加えることもある。
■菓子
食べ応え満点ながら、意外と甘さ控えめであることが特徴。バウムクーヘンが特に有名。
1ホールの直径は26~28cmに達することが多く、乳脂肪分は35%程度ながら生クリームをたっぷり添える場合もある。
切り分けられたトルテを横倒しにしたり、フォークを刺した状態で提供される機会が多いため、事情を知らない日本人は仰天させられる。
15~16時のコーヒータイムで自宅に招く時は数種類の菓子を用意する習慣があったため、健康や体重に気を遣っている人でなければ、2~3切れくらいは平らげてしまう。
また、
チョコレートも大好きなのでチョコ類も愛されている。2017~2022年の統計調査だと1人あたりの年間消費量は9kg台で、ヨーロッパではスイスに次いでいる。
なお、ザッハトルテやリンツァートルテはドイツでも作られているが、厳密にはオーストリアのウィーン菓子なのでここでは除外。
ハリボーで有名な
グミも個別項目を参照。
- シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ(Schwarzwälder Kirschtorte)
どこぞの魔王かはたまた中将みたいな名前の響きだが、(日本人にとっては)物々しい印象の名前に反し、「黒い森のさくらんぼケーキ」という何の事はない可愛らしい意味。
チョコレートが練り込まれたスポンジ生地で作られ、また
イチゴの代わりにサクランボを乗せ、上にも削ったチョコレートが振り掛けらたケーキ。
ドイツと隣接するアルザス地方でも作られており、フランスでは「フォレ・ノワール」と称している。
意味は日本語で「樹木ケーキ」。
芯に生地を薄く巻いて焼いていき、焼けた層に生地をかけてまた焼くということを繰り返して作る。
本場のものは「バター以外の油やベーキングパウダーを使ってはならない」とされている。
日本ではドイツ菓子の代名詞的な扱いだが、実は本国では「マイスターが作る高級菓子」という認識。
そもそも認知度自体がそこまで高くもないため、ドイツ人でも現地で食べた事はおろか見たこともない、日本に来て初めて食べたという人も多いようだ。
個別項目もどうぞ。
- フランクフルター・クランツ(Frankfurter Kranz)
神聖ローマ帝国の戴冠式が実施されるフランクフルトで1735年に誕生したレイヤーケーキ。リング状のクランツ型で生地を焼いて王冠に見立てている。
日本人向けにアレンジされたユーハイムクランツは、クリームが増量されてクロカント(アーモンドダイスのキャラメリゼ)の代わりにアーモンドシュガーを塗している。
生地の間にラズベリーないし杏のジャムとカスタードクリームベースのバタークリームを挟み、同クリームとクロカントで表面を覆い、絞り出したクリームにドレンチェリーを飾る。
ヴィーナーマッセやビスクヴィートマッセといったスポンジ生地以外に、ザントマッセやアインケッセルマッセというバターケーキ生地が用いられることもある。
意味は「まだらな卵」。ザクセン州に存在するドレスデンとフライベルクの名物。その名の通り、上側の表面がまだら模様になる。
シュトロイゼル、
シェッケンマッセ/ブッターグス、
クヴァークフリュンク、
ヘーフェタイクの3~4層構造という凝った作りになっている。
フライベルガー・アイアシェッケはクヴァークを使用しないので、ドレスナー・アイアシェッケよりも層が少なくなる。
日本ではヘーフェタイクの代わりに
ミュルベタイクを使用することも珍しくない。
逸見エリカのハンバーグと並ぶもう一つの好物がこれ。
「渦」という意味。
布の上で薄く伸ばした生地に、リンゴなどで作った中身をのせて巻いていきオーブンで焼き上げた菓子。どちらかといえば、オーストリアを代表する菓子である。
リンゴを巻いたものは「アプフェルシュトルーデル(Apfelstrudel)」と呼ばれ、映画『
イングロリアス・バスターズ』『
ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』や、『
幼女戦記』のスピンオフ漫画『幼女戦記食堂』に出てきたのがこれ。
焼き上がった後は粉砂糖をかけ、バニラアイス、泡立てた生クリーム、カスタードソースを添えて頂く。
爆撃王とは関係ない……多分。
ドレスナー・シュトレン(Dresdner Stollen)が特に有名。
日本では「シュトーレン」とも表記される。意味はドイツ語で「坑道」。トンネルのような見た目になる事から名付けられたとされる。
洋酒に漬けたドライフルーツやナッツがたっぷり練り込まれたスパイス入りのイーストケーキで、澄ましバターに浸けてから粉砂糖がまぶしている。
ドイツではクリスマス当日まで少しずつスライスして食べる習慣がある。全体のカロリー量が非常に高いので、一度にまとめて食べると相当重たい。
ヘーゼルナッツを使ったヌスシュトレン、ブルーポピーシードを使ったモーンシュトレン、アーモンドの含有量が多いマンデルシュトレンなどのバリエーションもある。
- ブレーマー・クラベン(Bremer Klaben)/ブレーマー・クロベン(Bremer Klöben)
シュトレンと同時期のクラベンツァイト(Klabenzeit)に出回るイーストケーキで、元々は船員用に作られていた経緯もあって冷ましてから密閉すれば数週間くらい保つ。
材料はシュトレンと被っているが、配合比は異なり、生地を型に詰めて焼く、澄ましバターに浸けてグラニュー糖や粉糖を塗す工程が無いという差異があり、食感も違う。
切り分けてそのまま食べても良いが、バターかクロテッドクリームを塗ったり、メットかハムかチーズを添えたり、バターを塗ったシュヴァルツブロートの薄切りにのせる食べ方もある。
古いレシピだと、レーズン類の大部、柑橘類のピール、アーモンドを詰めて三日月状に成形し、外側の縁に切れ込みを入れて最終発酵させた後、卵黄を塗って型は使わずに焼くという製法もある。
赤と白の丸い缶で有名。1935年に生まれてから現代でも作られている。日本に居ながらでも通販により入手可能。
名前は
コカ・コーラの捩りやタイポとかではなく、本当にこういう名前。
チョコレート(
Schokolade)、
コーヒー(
Kaffee)、コーラの実(
Kolanuss)が混ぜられている事から、それぞれの名前を取ってこの名前が付けられた。
カフェイン量が非常に多く、眠気覚ましや集中力向上など
エナジードリンクに近い使われ方をされる事も多い。
栄養分も豊富という事でドイツ軍などが
レーション(戦闘糧食)にも採用している。
コーヒー入りというだけあって味は甘さ控えめで苦みが強い。
青い缶の「ミルク」版もあり、こちらは苦みが抑えられ甘みが強くなっている。
- ケーゼクーヘン(Käsekuchen)
- ケーゼザーネトルテ(Käsesahnetorte)
ケーゼクーヘンはベイクドチーズケーキ、ケーゼザーネトルテはレアチーズケーキである。
日本における第1次チーズケーキブームの火付け役となったモロゾフのチーズケーキは、ケーゼクーヘンの食体験が切っ掛けとなって開発された経緯がある。
マーガー・クヴァークという乳脂肪分5%以下のフレッシュチーズを使用するので、クリームチーズを使うニューヨークチーズケーキや日本のチーズケーキよりもあっさりしている。
クヴァーク(※オーストリアやバイエルンではトプフェンと呼ぶ)はドイツ国外だと手に入り難いため、フロマージュ・ブランか水切りヨーグルトで代用されることが多い。
- ルーシッシャー・ツップフクーヘン(Russischer Zupfkuchen)
ドイツの食品大手企業ドクター・オツカー社が広めたとされるチーズケーキ。
底生地と表生地はココア風味の練りパイ生地で、マーガー・クヴァークなどから作るチーズケーキ生地を詰め物にしている。
ルーシッシャーはロシア、ツップフは摘み取るという意味だが、シュトロイゼル状に加工した表生地がロシア正教会の尖塔と似た形で千切られていることから名付けられたという。
- ライニッシャー・アプフェルクーヘン(Rheinischer Apfelkuchen)/リームヒェンアプフェル(Riemchenapfel)
ライン地方のアプフェルクーヘンで、日本人が多いデュッセルドルフでもお馴染みの存在になっている。
一見すると網目模様のアップルパイに見えるが、生地はパイ生地ではなくヘーフェタイク、すなわち発酵生地を使用している。
ヘーフェタイクとミュルベタイクを混ぜ合わせたツヴィリングタイク(Zwillingsteig)/ミュルベヘーフェタイク(Mürbehefeteig)という生地で代用される場合もある。
- フロッケンザーネトルテ(Flockensahnetorte)
シュー生地(ブランドマッセ)を使ったレイヤーケーキで、粉糖が掛かったシュトロイゼルを雪の欠片(フロッケン)に見立てている。
底生地はベリー類ないし杏のジャムを塗ったミュルベタイク、中生地と上生地はブランドマッセで、上生地のみシュトロイゼルを振ってから焼いている。
中に挟む生クリームはカスタードクリームを少し混ぜるかバニラ風味にする。クリーム層に果物も盛り付けたり、側面にシュークラムかナッツ類ないしクロカントを塗す例もある。
ちなみにドイツのシュークリームは風の袋を意味するヴィントボイテルと呼ばれているが、日本よりも生地は固めでサイズも大きく、中には生クリームがたっぷり詰め込まれている。
ドイツのパウンドケーキで、ザントは砂を意味している。
ザントマッセと呼ばれる小麦澱粉(浮き粉)入りの生地で、パウンドケーキよりも口当たりが軽くてほろりとした食感になっている。
クグロフ型にバニラ風味の生地とココア風味の生地を流し入れてマーブル模様で焼いた場合はマーモアクーヘン(Marmorkuchen)と呼ばれる。
- アルトドイッチャー・ケーニヒスクーヘン(Altdeutscher Königskuchen)
- エングリッシャー・フルヒトクーヘン(Englischer Furchtkuchen)
ドライフルーツ入りのパウンドケーキで、生地は小麦澱粉を入れないアインケッセルマッセである。
イギリス由来のエングリッシャー・フルヒトクーヘンはアルトドイッチャー・ケーニヒスクーヘンよりも濃厚で、油脂類とドライフルーツの分量が多い。
ドライフルーツの分量はアルトドイッチャー・ケーニヒスクーヘンが生地の2割以上、エングリッシャー・フルヒトクーヘンが生地の3割以上といったように法律で規定されている。
- ケーニヒスクーヘン・ライニッシェ・アルト(Königskuchen Rheinische Art)
ライン地方のケーニヒスクーヘン。
折りパイ生地のブレッタータイクを敷き込み、ラビング・インと別立て法を併用したドライフルーツ入りのフュールマッセを詰めて、ブレッタータイクで格子状に覆ってから焼いている。
オーストリアにも同様のケーニヒスクーヘンはあるが、マンケ型を使用している。
リューアクーヘン(ドイツ版バターケーキ)の一種で、川の波に見立てた模様となっている。
クーベルチュールチョコレート、カスタードクリームベースのバタークリーム、サワーチェリーが埋もれたアインケッセルマッセ(ココア風味とプレーン)という多層構造になっている。
シュネーヴィットヒェンクーヘンとも称するが、シュネーヴィットヒェンとは白雪姫のことである。
- ホレンダー・キルシュトルテ(Holländer Kirschtorte)
キルシュ風味の生クリームとサワーチェリーのコンポートを使用したレイヤーケーキ。
ホレンダーはオランダのことで、切り分けてベリー類の赤いジャムとフォンダンを塗ったホレンダー・ブレッタータイクで風車に見立てている。
ホレンダー・ブレッタータイクとは角切りのバターを使う速成の折りパイ生地で、ブリッツ・ブレッタータイクとも称し、フランスのフィユタージュ・ラピッドに相当している。
底生地はアプリコットジャムを塗ったミュルベタイクかブレッタータイク、中生地はヴィーナーマッセかブレッタータイク、上生地はブレッタータイクで構成される。
北フリースラントのレイヤーケーキ。
厚めに伸ばして粉糖を塗してから焼いた折りパイ生地(ブレッタータイク)かサワークリーム類(シュマントやクレームフレーシュ)入りの練りパイ生地を土台にしている。
生地の間にプラムジャムとバニラ風味の生クリームを挟むが、表生地だけは三角形に切り分けて粉糖を振ったり刻んだナッツ類が塗された物をのせている。
一般的な練りパイ生地のミュルベタイクやシュトロイゼルと併用したり、生地は薄くなるものの三等分して中生地も用意する場合がある。
- オストフリーゼントルテ(Ostfriesentorte)
東フリースラントのレイヤーケーキ。
スポンジ生地であるビスクヴィートマッセの間にはラムレーズン入りの生クリームが挟まっていて、表面のクリーム層と飾り絞りにはバニラ風味の生クリームが使われている。
ラムレーズンは飾りにも用いているため、イチゴの代わりにラムレーズンを使ったショートケーキと言えないことも無い。
- ヒンメルストルテ(Himmelstorte)/トリュンマートルテ(Trümmertorte)
シュヴァーベン地方のレイヤーケーキだが、ドイツの北部や東部にも広まっていて、地域によって呼称が変わる。
シュガーバッター法で作る卵黄生地、メレンゲ生地、スライスアーモンドの順に重ねてから焼き、生地の間に泡立てた生クリームとベリー類ないしサワーチェリーを挟む。
シュレジッシャー・ヒンメルストルテ(Schlesischer Himmelstorte)はバター、卵黄、アーモンドは使用せず、メレンゲに粉合わせして作るスポンジ生地を土台にしている。
LPGはLandwirtschaftliche Produktionsgenossenschaft(※東ドイツ版コルホーズ)の略称で、テューリンゲン州の組合員が1964年の収穫祭で提供するために考案したとされている。
スポンジ生地にジャムとカスタードクリームベースのバタークリームを塗り、ブランデーかラム酒に浸したビスケットを被せて、再びジャムを薄塗りし、ココアグレーズを流して冷やす。
スポンジ生地は油脂類を入れないビスクヴィートマッセで、ジャムは赤スグリを使う場合が多く、ココアグレーズはココアパウダー、粉糖、卵、牛乳、ココナッツオイルを混ぜ合わせる。
- スパニッシャー・ヴァニレトルテ(Spanischer Vanilletorte)
生地に刻んだチョコレートを混ぜ合わせて焼いたスポンジケーキ。
別立て法で作るマルツィパン・ローマッセ入りのアーモンドスポンジ生地をベースにするが、古いレシピだとアーモンドは使わない例も確認される。
クーベルチュールチョコレートかバニラ風味のフォンダンで上掛けされることが多い。
- マンデル・ルクレクレームトルテ(Mandel Lukullcremetorte)
ヴォルフェンビュッテル国立製菓学校のレシピに記載されていたレイヤーケーキ。
マンデルはアーモンド、ルクレクレームは他の油脂類も加えたカスタードクリームベースのバタークリームを指している。
底生地はアプリコットジャムを塗ったミュルベタイク、中生地は別立て法で作るクロカントとケーキクラム入りのスポンジ生地で、薄く伸ばしたマジパンを表面に貼り付けている。
ヘルマン・ハイネマンが考案したレイヤーケーキで、ヘレンはドイツ語だと男性を指している。
ヴィーナーマッセ(共立て法で作る澱粉入りのスポンジ生地)を6~8枚に分けて薄焼きし、白ワイン入りのマジパンクリームを生地の間に塗り、チョコレートフォンダンで覆っている。
ハインツ=リヒャルト・ハイネマンのレシピだとマジパンクリームはマジパンと白ワインを混ぜ合わせただけだったが、ワインクリームやバタークリームをベースにして作ることもある。
生地をビスクヴィートマッセ(別立て法で作る油脂類不使用のスポンジ生地)やザントマッセ、上掛けをガナッシュなどに変更する例も見られる。
- プリンツレゲンテントルテ(Prinzregententorte)
バイエルン王ルートヴィヒ2世の叔父で同国の摂政だったルイトポルト・カール・ヨーゼフ・ヴィルヘルム・ルートヴィヒに由来するレイヤーケーキ。
別立て法で作るバターの配合量が多いスポンジ生地を8枚に分けて薄焼きし、チョコレートバタークリームを生地の間と表面に薄く塗って、クーベルチュールチョコレート掛けしている。
空焼きしたミュルベタイク(練りパイ生地)にアプリコットジャムを塗って底生地として敷いたり、チョコレート掛けする前に薄く伸ばしたマジパンを貼り付ける場合もある。
ミュルベタイク、アーモンドやレモンピールなどが入ったメレンゲ生地とアプリコットジャム、アーモンドスポンジ生地で構成された異物同名のトルテが存在する。
- ブーフヴァイツェントルテ(Buchweizentorte)
リューネブルガーハイデやイタリアの南ティロル地方で作られている蕎麦粉のレイヤーケーキ。
蕎麦粉と澱粉類を合わせて作るスポンジ生地の間に、リンゴンベリー(コケモモ)ジャムと生クリーム、あるいはリンゴンベリー入りの生クリームを挟んでいる。
通常は生クリームで全体を覆うが、表面は何も塗らずに粉糖を振って切り分けた後で生クリームを添える場合もある。
- ロートヴァインクーヘン(Rotweinkuchen)
赤ワインやスパイス入りのバターケーキで、赤ワイン入りの糖衣掛けもされている。
生地にチョコレートやナッツ類の粉末なども加えたり、サワーチェリーと組み合わせる場合もある。
子供用にチョコレート掛けされた物もある反面、大人向けだと糖衣掛けする前に赤ワインを塗りつけて染み込ませる例もある。
- フュルスト・ピュックラー・トルテ(Fürst Pückler Torte)
3種類の生地とクリームを使用したレイヤーケーキで、後述するフュルスト・ピュックラー・アイスから着想を得ている。
底生地はラズベリーか杏のジャムを塗ったミュルベタイクで、ヴィーナーマッセとショコラーデンマッセ(ココアスポンジ生地)を中生地や表生地にしている。
クリームはバタークリームか泡立てた生クリームをベースにしていて、バニラ味(白)、ラズベリー味(赤)、チョコレート味(黒)を組み合わせる場合が多い。
表面にマジパンを貼り付けてクーベルチュールチョコレートで上掛けし、裾にローストナッツかクロカントを塗したり、絞り出したクリームにベリー類などをトッピングする。
- フュルスト・ピュックラー・アイス(Fürst Pückler Eis)
ムスカウ庭園の造園で知られているヘルマン・ルートヴィヒ・ハインリヒ・フォン・ピュックラー=ムスカウ侯爵に因んだ三色のアイスクリーム。
イチゴ味ないしラズベリー味(赤)、チョコレート味(黒)、バニラ味ないしマラスキーノで香り付けしたマカロン味(白)の三種盛り。
侯爵はグンマ王国出身の女性を愛人にしていた時期があり、赤いアイスクリームは彼女に対する愛を象徴しているという説がある。
- アーヘナー・プリンテン(Aachener Printen)
クック・ド・ディナンから派生したレープクーヘン(ドイツ語圏のジンジャーブレッドで、スパイスが利いている)の始祖にあたるアーヘンの伝統菓子。
大陸封鎖令の影響で甜菜から加工した砂糖や糖蜜を用いるようになった経緯があり、キャラメル風味の氷砂糖(ブラウンシュガーキャンディ)を加えるのも特徴である。
前述したザウアーブラーテンのソース作りに使われたり、アーヘナー・プリンテンを浸けたリキュールも製造されている。
- エリーゼン・レープクーヘン(Elisen Lebkuchen)
ニュルンベルク発祥のレープクーヘンで、エリーゼンはハインリヒ・ヘーベルラインというレープクーヘン職人の長女で夭折したエリーゼに由来している。
刻んだり粉末状にしたナッツ類主体の配合で小麦粉は殆ど加えない生地を硬質オブラートにのせて、ローストナッツを盛り付けて再び寝かせてから焼いている。
仕上げにクーベルチュールチョコレートを上掛けするか、アイシングを塗る。
ドイツ大使館がYOUNG-GERMANYでレシピを公開している。
- オッフェンバッハ・プフェッファーヌッセ(Offenbach Pfeffernüsse)
レープクーヘンの一種で、ドイツのヘッセン州における伝統菓子。
文豪のゲーテや音楽家のフェリックス・メンデルスゾーン、グリム兄弟の妹シャルロッテ・アマーリエなどの好物だったことで知られている。
シナモン、スターアニス、クローブ、カルダモン、ジンジャー、メース、ホワイトペッパーなどが入ったスパイスクッキーで、炭酸アンモニウムで膨張させている。
レシピが異なるプフェッファーヌッセは他方にも存在し、アメリカのメノナイトが作るペパーナッツの原型になったとも言われている。
1936年にチョコレート製菓職人のヘルベルト・ヴェンドラーが開発したレープクーヘン。
ホーニッヒクーヘンタイクを数ヵ月寝かしてから焼成した生地に、果実のゼリーとマジパンないしペルシパン(杏仁か桃仁)を被せている。
仕上げにクーベルチュールチョコレートで上掛けするが、ココアパウダー入りのアイシングで代用される時もある。
ドイツ大使館がFacebookでレシピを公開している。
- リークニッツァー・ボンベ(Liecnitzer bombe)
ポーランドの帰属後にレグニツァへと改称された旧リーグニッツ名物のレープクーヘン。
油脂類やナッツ類やココアなどが足されたホーニッヒクーヘンタイクに、レーズン類やドライピールやローズウォーターなどと混ぜ合わせたマジパンを詰めて焼いている。
仕上げにアプリコットジャムを塗り、クーベルチュールチョコレートで上掛けしている。
- マンネマー・ドレック(Mannemer Dreck)
マンハイムの銘菓で、オリジナルレシピの詳細は非公開。
編み出したのはオーストリアのレープクーヘン職人だが、現地ではレープクーヘンの一種とは見做されていない。
主な材料は、ペルシパン、マジパン、小麦粉、砂糖、蜂蜜、ナッツ類、ドライピール、バター、牛乳、卵、シナモンやクローブらスパイス、硬質オブラートなど。
現在は糖衣やチョコレート掛けされていることが多い。
- ライニッシェ・ムッツェン(Rheinische Mutzen)
謝肉祭の時に作られる揚げ菓子で、ライニッシェ・ムゼン(Rheinische Mutzen)とも称する。
ベーキングパウダー入りの生地を菱形に成形して揚げ、仕上げに粉糖を塗す。
シュマルツグレーヘンもムッツェンと呼ばれるが、生地が異なる。
- ムッツェンマンデルン(Mutzenmandeln)
謝肉祭の時に作られる揚げ菓子で、涙滴型(ムッツェンマンデルン型)で型抜きする。
ベーキングパウダーないし炭酸アンモニウム入りの生地で、マジパンないし刻んだアーモンドも配合することがある。
仕上げに粉糖かシナモンシュガーを塗す。
ドイツ大使館がcookpadでレシピを公開している。
- クヴァークベルヒェン(Quarkbällchen)/トップフェンベルヒェン(Topfenbällchen)
ベルヒェンとは小さい球のことで、謝肉祭の時に作られる機会が増える揚げ菓子。
クヴァーク(トップフェン)と小麦粉がほぼ同割の生地で、イーストドーナツタイプとケーキドーナツタイプの二種類がある。
バニラシュガーやレモンゼストで香り付けして、仕上げにシナモンシュガーを塗す点は共通である。
ドイツ大使館がYoutubeでケーキドーナツタイプのレシピを公開している。
- シュマルツグレーベン(Schmalzgreben)
謝肉祭の時に作られる揚げ菓子で、シュマルツは揚げ油に動物性油脂を使用していた頃の名残である。
シュマルツクーヘン(Schmalzkuchen)とも呼ばれるが、オーブンで焼く同名のラード入りケーキも存在するために紛らわしい。
発酵生地のヘーフェタイク(ゲルムタイク)を菱形に成形して揚げ、仕上げに粉糖を塗す。
- Knieküchle(クニーキューヒレ)/シュマルツヌーデルン(Schmalznudeln)/Ausgezogene(アウスゲツォーゲネ)/ティローラー・キアヒル(Tiroler Kiachl)
謝肉祭などの時期に作られる揚げ菓子で、ティロル地方にはザワークラウトをのせたセイボリータイプもある。
レーズン入りかプレーンな発酵生地を小分けし、縁側が盛り上がって中央部は窪むよう成形した後で、仕上げに粉糖かシナモンシュガーを振る。
伝統製法だとバターオイルかラードで揚げていて、窪んだ箇所にリンゴンベリーなどのジャムやコンポートを詰める場合もある。
- ベルリーナー・プファンクーヘン(Berliner Pfannkuchen)
ドイツ語圏のイーストドーナツ。
謝肉祭の時期に出回る色鮮やかな代物は、ファッシングスクラプフェン(Faschingskrapten)とも呼ばれる。地域差による異名も多い。
伝来先のポルトガルではボーラ・デ・ベルリン、イタリアではボンボローネやクラップフェンと呼ばれているほか、東欧でも似たようなドーナツは各地に存在する。
通常は果物のジャムかクリームを詰めるが、ベルリーナー・ブレーツェル(Berliner Brezel)やエアドアプフェルクラプフェン(Erdäpfelkrapfen)の様に詰めない例もある。
- ライニッシェ・クラプフェン(Rheinische Krapten)
謝肉祭の時に作られるドーナツで、シュー生地(ブラントタイク)を使っている。
生地はレーズン入りで、ヴィントボイテル(ドイツ版シュークリーム)用のシュー生地よりも固めに仕上げると失敗し難いとされている。
仕上げに粉糖かシナモンシュガーを塗す。
コーンスターチ入りのシュー生地を使ったドイツ版フレンチクルーラー。
エーベルスヴァルデ駅に銅像が建てられているグスタフ・ルイス・ツィーテマンの逸話は
グレーテルのかまどでも取り上げられた。
シュー生地のシュトラウベン(Strauben von Brandteig)という呼称も見られる。
ドイツ南部から南ティロル地方にかけて見られる独特な形状をした揚げ菓子で、スティーベル(Striebel)やフォルタイエ(Fortaie)とも呼ばれている。
シュトウラウベン・トリヒター(Strauben Tricher)という専用の漏斗で生地を揚げ油に流し入れる。
仕上げに粉糖を振り、クランベリージャムを添えることが多い。
ドイツ系移民の子孫であるペンシルベニアダッチがドレックスラークーヘ(Drechderkuche)という似たような菓子を作っている。
フランケン地方やオーストリアで作られている球状の揚げ菓子。雪玉を意味するが、同名のクッキーもあるので要注意。
シュネーバルアイゼン(Schneeballeisen)という専用の型に帯状の切れ込みが入った生地を収めて揚げる。
通常は粉糖を振り掛けて雪玉に見立てるが、糖衣掛けやチョコレート掛けされることもある。
- エンゲルスアウゲン(Engelsaugen)
- フザーレン・クラプフェン(Husaren Krapfen)
ジャムクッキーの一種で、日本語だと天使の眼という菓子名になる。
ミュルベタイクを一口大に丸めて、窪ませた箇所に緩めたラズベリーないし赤スグリのジャムをのせて共焼きしている。
生地にヘーゼツナッツパウダーなども配合した場合は、フザーレン・クラプフェン(フザーレンは軽騎兵を意味する)という菓子になる。
ジャムクッキーの一種で、日本語だと牡牛の眼や孔雀の眼という菓子名になる。
型抜きして空焼きしたミュルベタイクにマクローネンマッセを絞り出して共焼きし、ベリー類ないし杏のジャムをのせて瞳に見立てる。
マクローネンマッセはマルティパン・ローマッセ(マジパン)にメレンゲやレモンゼストなどを混ぜ合わせた物である。
ドイツ版のサブレ・ディアマンで、日本語だと荒野の砂という菓子名になる。
焦がしバターを使用する例が多く、生地にマルティパン・ローマッセを配合することも珍しくない。
刻んだナッツ類やココアないしシナモンらスパイスを加える場合がある。
ドイツ版のパータ・シガレットで、焼き上がりの柔らかい内に巻いた筒状の薄焼きクッキー。
生地にマルツィパン・ローマッセや生クリームあるいは牛乳を入れる例が多く、スパイスや洋酒で香味する場合もある。
伝統的な製法ではヒッペンアイゼン(Hippeneisen)という専用の型で焼かれる。
シュヴァーベン地方発祥と言われているアイシングクッキーで、日本語だとシナモンの星という菓子名になる。
マルツィパン・ローマッセないしアーモンドパウダー、あるいはその両方を使った星形のクッキーで、シナモンで香味している。
オーストリアでも作られている。
ドイツ語で愛の骨を意味するが、大抵はブラントマッセから作るフランス菓子のエクレアを指している。
プルンダータイクかブレッタータイクを捩じったり、シュプリッツミュルベタイクかザントマッセを絞り出すなど、別の生地から作る棒状の菓子でも呼ばれる。
ブラントマッセ以外の生地から作る場合はエクレアとは逆に、両端の先端部分にチョコレート掛けすることが多い。
ベートマン家に由来する菓子名を持つフランクフルト名物で、マルツィパン・ローマッセ主体の生地を焼いたフランクフルト・ブレンテンの一種である。
フランクフルト・ブレンテンは生地を型に詰めるが、ベートメンヒェンは小分けして成形した状態で皮剥きアーモンドを3つ付けている。
通常はローズウォーターで香り付けするが、製菓用のビターアーモンドオイルを生地に加えて代用する例もある。
ドイツ大使館がレシピを公開している。
直訳するとマジパンパンになるが、パンではない。
マルツィパンローマッセを細長いパンの様に成形して、チョコレート掛けしたお菓子である。
ドライフルーツやナッツ類などを練り込んだり、ヌガーと組み合わせた物もある。
- マルツィパンカルトッフェルン(Marzipankartoffeln)
外見をジャガイモに似せたクリスマス菓子。
マジパンに粉糖とローズウォーターかビターアーモンドオイルを加えて練り、ジャガイモ状に成形してココアパウダーを塗している。
ココアパウダーをシナモンシュガーで代用することもある。
- ファルシャ・マルツィパンカルトッフェルン(Falsche Marzipankartoffeln)
ファルシャとは偽物や紛い物を意味していて、マルツィパンカルトッフェルンと違ってマジパンを使用しない。
熱々のマッシュポテトに粉糖、セモリナ粉か卵白、ローズウォーターかビターアーモンドオイル、ローストオートミールかココナッツシュレッドなどを混ぜている。
生地を冷ましてから成形し、ココアパウダーを塗すと完成する。
臀部を意味していて、フランスのアルザス地方でも作られている。
ミュルベタイクか澱粉類も配合したボベスタイクに、レーズン類やドライピールや洋酒などと混ぜ合わせたマジパンを詰めるか巻き込んで焼いている。
シュトロイゼルを散らしてから焼いたり、仕上げに粉糖を振ることも多い。
- シュヴァイネオーレン(Schweineohren)
源氏パイの原型となったフランス菓子パルミエのドイツ版で、菓子名は豚の耳を意味する。
ブレッタータイクから作るが、パルミエと同様にグラニュー糖を打ち粉代わりにする方法、溶かしバターを塗った後でシナモンシュガーかバニラシュガーを振る方法の2種類がある。
アプリコットジャムかオレンジブロッサムウォーターで艶を出したり、チョコレート掛けする例もある。
古典主義者として知られているヨハン・クリストフ・フリードリヒ・フォン・シラーの肖像画に因んだパイで、セイボリータイプもある。
コルネ状に巻き付いて焼いたブレッタータイク(折りパイ生地)の空洞にイタリアンメレンゲかクリーム類を詰めていて、表面には粉糖が塗されている。
オーストリアやロシアでも作られている。
ブルーポピーシードを使ったブレヒクーヘンで、ボヘミアから伝来したとされている。
発酵生地のヘーフェタイクか、あるいは下焼きした練りパイ生地のマイレンダータイクないしミュルベタイクを底生地にしていて、表面はシュトロイゼルで覆われている。
ブルーポピーシード主体の詰め物には、マジパン、ナッツ類、ドライピール、レーズン、プラム、クヴァーク(トップフェン)、チョコレートなどが加えられる例もある。
- ヨハニスベアクーヘン(Johannisbeerkuchen)
ベゼーマッセを使ったシュヴァーベン地方のタルトで、Johannisbeerはレッドカラント(赤スグリ)を指している。
下焼きしたミュルベタイクを底生地しているが、ベゼーマッセを詰める前の湿気対策で内側にチョコレートを塗ったり、ヴィーナーボーデンかズゥーセ・ブルーゼルを敷いている。
ヨハニスベアクーヘン用のベゼーマッセは赤スグリとお好みの香料を混ぜたメレンゲで、コーンスターチやナッツパウダーを加える場合もあり、焼き色を付ける前には粉糖を振る。
- ライプツィガー・レルヒェ(Leipziger Lerche)
ライプツィヒ名物のタルトレットで、十字の部分はヒバリに巻いていたリボンを表現しているという。
底生地はミュルベタイクで、イチゴないしサクランボなどのジャムとアーモンドパウダーないしマジパンから作るクリームを詰めている。
ザクセン王アルベルトが1876年に下した禁猟令の影響で作られなくなった同名のヒバリ料理を惜しんだ職人によって編み出されたと伝えられている。
- ミルヒライス(Milchreis)/ミルヒブロイ(Milchbrei)
日本人は苦手とするライスプディングのことだが、ドイツではミルヒライス専用米や様々な味の既製品が販売されるくらい好まれている。
ライスプディングをコロッケにしたミルヒライスベルヒェン(Milchreisbällchen)も存在し、チョコレートや果物などを詰めて揚げる例がある。
ちなみにドイツではシュツットガルトの試験栽培を除いて稲作する習慣が無いため、輸入に頼り切っている。
見た目はババロアに似ているムースで、ベリー類を使ったソースが添えられている。
白ワインとレモン果汁を使ったサバイオーネに、ゼラチンやメレンゲと混ぜ合わせて冷やし固めている。
ノンアルコールで作る場合は白ワインをリンゴ果汁などで代用する。
- カルター・フント(Kalter Hund)/ケックストルテ(Kekstorte)
Kalter Hundは直訳すると冷たい犬になるが、菓子名の由来については諸説ある。KekstorteのKeksは材料となるビスケットを指している。上記以外の別名も多い。
油脂類などを混ぜたチョコレート生地ないしココア生地とバタービスケットを型に詰めて冷やし固めた菓子だが、同種の菓子はヨーロッパ中に存在する。
物資に恵まれない旧東ドイツではチョコレートを使用せず、卵、粉糖、ココアパウダー、ココナッツオイルだけで生地を作ることが多かった。
- オストフリージッシャー・クヌッペルクーヘン(Ostfriesischer Kulüppelkuchen)
東フリースラント地方の伝統銘菓で、モーザー・クーヘン(Mörser Kuchen)と呼ばれる例もある。
卵黄の多い生地をバターで揚げた小振りなドーナツが入っているヌガティーヌ状の菓子で、薄く切り分けてオストフリージッシェ・テー(Ostfriesische Tee)のお茶請けにする。
ローズウォーター、グラニュー糖、アーモンド、柑橘類のピールとゼスト、クローブらスパイスを煮詰めて、ドーナツと合わせて押し固めるが、型に詰めてから数日間寝かせる必要がある。
追記・修正は、ドイツ料理を食べてからお願いします。
- 「イングロリアス・バスターズ」に出てきたシュトルーデルは美味そうだった -- 名無しさん (2013-07-09 12:01:55)
- 美味しんぼでも言ってたけど、日本受けしそうな料理が多いよね -- 名無しさん (2013-11-26 23:32:12)
- やはりドイツはいいなぁ -- 名無しさん (2014-04-29 13:36:01)
- ジャガイモの料理名は舌をかみそう・・・・・。 -- 名無しさん (2014-04-29 13:37:32)
- 美味しんぼもドイツ料理の回はよかった。人情ある話しで。 -- 名無しさん (2014-04-29 13:57:50)
- すまん。続き。わざとドイツ料理を不味く作った山岡はカッコよかった -- 名無しさん (2014-04-29 13:59:02)
- ↑あの回は話の良さもさることながらゲストキャラのサビーネさんが美味しんぼ内でもトップクラスに魅力的な女性なのもいい -- 名無しさん (2014-05-08 12:42:40)
- 毎年梅田でやってるドイツフェア。色々食えるぜ -- 名無しさん (2014-06-06 20:30:14)
- 最近スペインやドイツの料理が注目されているな。 -- 名無しさん (2014-06-06 20:36:37)
- ビールとソーセージと芋しか知らなかったわ -- 名無しさん (2014-06-06 22:00:04)
- ソーセージも本当はヴルストって言うんだっけ -- 名無しさん (2014-06-06 22:22:19)
- 流石ドイツ、一々名前が格好良い -- 名無しさん (2014-09-29 19:51:21)
- バウムクーヘンは俺の一生涯のソウルスイーツ! -- 名無しさん (2015-07-24 23:42:01)
- 某番組で生のミンチを挟んだバーガーが出てきてエェッってなったが、よく調べると日本以上に衛生管理が厳しくて消費期限もちゃんと設定されてるので大丈夫らしい。味の違いは違うだろうけど、ユッケをミンチにして挟んだようなもんなのかな? -- 名無しさん (2016-01-11 14:10:28)
- アプフェルシュトルーデル美味しい!アップルパイの小さいやつ -- 名無しさん (2016-07-13 01:10:10)
- ↑2海外から見た日本の生卵みたいなもんだな。ハンバーグも原型は生肉料理だし -- 名無しさん (2017-12-30 21:40:45)
- やっぱりドイツといえばソーセージとビールだわねえ! -- 名無しさん (2017-12-30 21:49:05)
- ボンガロのテリーもドイツ名物のソーセージとビールを食していたな。 -- 名無しさん (2017-12-30 22:19:02)
- フレドリック・ブラウンの「天の光はすべて星」に出てきたドイツ料理が印象に残ってるなあ。肉の蒸し団子にとろみのあるソースをかけたものらしいけど実際ドイツにそういう料理があるんだろうか -- 名無しさん (2017-12-30 22:55:30)
- ジャガイモのパンケーキほんとすき -- 名無しさん (2018-02-10 08:56:57)
- 北部は広大な平野だし、地図だけ見ると農畜産は豊かそうに見えるけどねえ… -- 名無しさん (2019-02-14 14:31:00)
- 一番の問題は冬の寒さ。寒い地域では野菜のバリエーションがなくなる。イギリス料理も同じ理屈。 -- 名無しさん (2019-07-08 17:54:49)
- 味っ子の味皇料理会にはなぜかドイツ料理部がある。(他は日中伊仏とメジャー所) -- 名無しさん (2020-07-24 22:47:32)
- 美味しいんだろうけど、隣にフランスとイタリアという世界第一位を自負し競えるだけの飯うまい国があるから、なんだかねってなる 芋は日本の米かそれ以上に食われて、ケバブが人気らしいね -- 名無しさん (2020-10-30 16:12:44)
- ドイツ料理はそこまで評価が高いわけじゃないからね。 ドイツからスペインに移籍したサッカー選手も「スペインの方が料理が旨い」って言ってた。 -- 名無しさん (2021-01-23 11:15:11)
- 向こうのジョークで「欧州で一番まずいのはドイツ料理だ。イギリス料理?あれは料理じゃない」ってのがあったな。まずいというよか素朴、悪く言えば地味な料理が多い。当のドイツ人も味よりも量(満腹)を重視する。 -- 名無しさん (2021-01-23 15:54:53)
- ドイツ料理が地味だの不味い扱いされているのは近代入るまでドイツの中心地域はオーストリア側だった影響もありそう・・・ちなみにオーストリアは近代に成立したドイツ連邦の議長国も務めていた -- 名無しさん (2021-02-04 23:18:10)
- シュペッツレうんまいよ -- 名無しさん (2021-02-04 23:23:43)
- え!? 日本人は生魚が食べられないと死んで、ドイツ人は生肉が食べられないと死ぬってどういうこと!? 何か健康的な問題が!?Σ -- 名無しさん (2021-12-18 17:08:57)
- ↑ちょっと調べた感じだと健康上の問題はなさそうです なので、項目内では比喩として使われている(≠事実)と思われます -- 名無しさん (2021-12-19 10:45:30)
- ドイツでウイスキーの歴史が浅いのは蒸留所が東ドイツ側だったのでウォッカ以外作らせてもらえなかったから。アメリカのウイスキーはドイツ移民が始めたのばっかりだから、ドイツウイスキーも昔は普通にあったんじゃないかな? -- 名無しさん (2022-01-06 23:03:07)
- ↑3 日本人は刺身と寿司を没収されたら憤死するでしょうが。 -- 名無しさん (2022-01-15 00:49:48)
- 毎年クリスマス前になって、シュトーレンがパン屋とかに並ぶ時期になるとウキウキワクワクしてたまらなくなる。大好き。でも一本買っちゃうとクリスマス前に平らげちまうので泣く泣くカットしたやつにする。当然秒で消える… -- 名無しさん (2022-02-03 04:38:52)
- 豚の生食文化があると聞くとギョッとするけど、魚と卵の生食文化の方が世界的にも珍しいか。 -- 名無しさん (2023-02-03 21:41:19)
- 徹底した品質管理と注意を払った流通により豚生肉が食べられる状態を保っている、という点では「日本では生卵が食べられる」というのと同じものがある -- 名無しさん (2023-07-02 23:21:37)
- シュトーレンは食べやすすぎるのが問題なんだよ。カロリーの塊みたいな物体なのに(でも食べる) -- 名無しさん (2023-11-20 23:10:07)
- 勘違いしてるやついるけど、日本の基準だと生食適応外=ドイツではオッケーなだけやぞ 現に防げない肝炎や4度以下で繁殖する菌による食中毒は普通に発生してる -- 名無しさん (2023-11-20 23:36:16)
- ↑その辺は日本の牡蠣小屋と近い認識なのかも。多少ヒットするのは覚悟しておけ的な。 -- 名無しさん (2023-12-11 20:23:32)
- ↑2日本でも生魚にアニサキスがいたとかはそれなりにあるもんなぁ -- 名無しさん (2024-03-05 12:03:21)
- ショカコーラはカルディやカフェランテ(イオン版カルディ)、PLAZAでも買えますよ -- 名無しさん (2024-03-26 17:48:05)
- イェーガーマイスターのラベルに鹿乃子のこをコラってる画像はさすがにひどいと思うた -- 名無しさん (2024-09-15 19:16:36)
- ソーセージとビール飲みたい。 -- 名無しさん (2024-11-15 19:25:43)
- ショカコーラはミルク味が好きだな。食べるカフェオレみたいな味でさ。ドイツの食べ物なのにフランスの飲み物みたいだと表現するのもアレだが -- 名無しさん (2025-02-16 06:49:57)
- 本場ドイツのハンバーグとパスタ料理食べたい -- 名無しさん (2025-07-28 18:56:52)
- ガルパンの劇場版で秋山さんが作ろうとしてたのがアイントプフだったっけか -- 名無しさん (2026-06-06 12:12:41)
- ショカコーラ飲んでみたくなったな。 -- 名無しさん (2026-06-26 19:48:29)
- 横文字にスペル表記あって凄い読みずらいけども前からだっけ? -- 名無しさん (2026-07-20 19:39:55)
- すごい勢いで追記修正されててワクワクする。詳しい人いるもんだ -- 名無しさん (2026-07-21 18:40:17)
- ↑3 飲み物でなく、固形チョコレートやで。苦味が強いから初めての人は口当たりのマイルドになミルク入り(青い缶の方)がおすすめだ -- 名無しさん (2026-07-23 23:48:05)
- 死んだおばあちゃんはマジで何…? -- 名無しさん (2026-07-25 17:37:05)
- アンネローゼがキルシュトルテ作っていたり、キルヒアイスが外伝でフランクフルタークランツを手土産にしていたり、銀英伝の帝国側はご飯もドイツ。 -- 名無しさん (2026-07-25 18:09:13)
- 本場のソーセージと黒ビールで一杯やりたい。麺料理も美味しそう。 -- 名無しさん (2026-08-10 18:13:05)
最終更新:2026年08月10日 18:13