セワシ

登録日:2025/01/01 Wed 20:25:00
更新日:2025/04/13 Sun 12:07:58
所要時間:約 12 分で読めます





セワシくんはのび太くんのまごのまごなんだ。

だからきみはぼくのおじいさんのおじいさん。


セワシは、漫画ドラえもん』に登場するキャラクター。






【演者】

  • 山本圭子(初代:テレビアニメ第1作)
  • 太田淑子(2代目:テレビアニメ第2作第1期)
  • 松本さち(3代目:テレビアニメ第2作第2期)


【概要】

野比のび太の孫の孫、つまり玄孫(やしゃご)(=曾孫の子供)である。22世紀の世界に住んでいる。

ご存知ドラえもんを小学生時代ののび太の下へ連れて来た張本人で、『ドラえもん』というすこしふしぎな物語の起点となるキーパーソンである。

その目的は、のび太の未来を修正することで自身の代まで負わされることになる貧しい家系を変えることだった。

初期は頼りないドラえもんをしばしば見守る役目として頻繁に登場していたが、連載が長期化したこととドラえもんの設定が変化してからは出番は少なくなっている。

名前は(のんびりしているのび太とは反対に)「忙しい(せわしい)」「せわしない」が由来になっていると考えられる。野比家の通字「のび」が消えてしまっているのは気にしたら負け。連載開始時点では先祖や彼以外の子孫の名前や設定すら想定していなかっただろうから。


【来歴】

生年月日は不明だが、『小学四年生』2125年2月号を購読していることから2114年生まれだと推測される。

2115年1月19日、家にお世話ロボット・ドラえもんがやって来る。以後、小学生になるまでドラえもんと共に育っていく。

◆ドラえもんを送り込んだ理由

のび太がジャイ子と結婚し、会社経営の失敗により多額の借金を抱えた末、野比家はその後悲惨な運命を辿ることとなる。

セワシによれば、のび太が抱えた借金は、所謂「負の遺産」「レガシーコスト」として22世紀に生きる自身の代にまで皺寄せが来てしまい、返済のために非常に貧しい生活を強いられているのだという。本人曰く「お年玉はたったの50円」。

全ての元凶である「おじいちゃんのおじいちゃん」を立派な人間に生まれ変わらせ、野比家の悲惨な歴史を改変させるべく、セワシはドラえもんを送り込んだのである。

ちなみに『ドラえもん』は6つの学年誌に並行連載されたのでパラレル展開の第1話が6つ存在する。上記の「のび太の借金でセワシの小遣い50円」は『小学三年生』と『小学四年生』の設定*1で、その他の掲載回では以下のように描かれている。
  • 小学二年生:何をやってもダメな奴で大人になってもろくなことをしないから助ける。
  • 小学一年生:だらしないから助ける。
  • 幼稚園・よいこ:不明(いきなり『ドラえもんをあげる』とセワシが言って来る)

将来は憧れのマドンナ・源静香が嫁に来ると思い上がっていたのび太は、「ジャイ子と結婚する」という運命を頑なに信じなかったため、当初はドラえもんの受け入れを拒否されてしまう。
だがその後、改めてこれからの自分、そして子孫までをも苦しめることになる悲惨な未来の到来を痛感したのび太は、ドラえもんとセワシの再度の説得もあってドラえもんを迎え入れるのであった。

自信たっぷりにドラえもんを紹介したセワシだったものの、ドラえもんもポンコツな部分が多々あることは否定できなかったのか、その後も何度か現代を訪れてはドラえもんとのび太の様子を見に来ては助け舟を出している。

なお上記の歴史改変についてタイムパトロールからお咎めを食らったことは特にない。まぁ本当に時間犯罪者として抵触するようなことだったら本編が始まる前に逮捕されていたとしてもおかしくはないが。

◆『2112年 ドラえもん誕生』における来歴

原作ではのび太にドラえもんを譲渡する以前の経歴はほとんど描かれなかったが、映画『2112年 ドラえもん誕生』ではさらなる詳細が描かれている。

赤ちゃんの頃に両親に連れられて出席したロボットオーディションで購入ボタンを押してしまったことから、誰からもスカウトされぬまま時間切れを迎える寸前だったドラえもんを購入することになった。
押し間違いではあるものの、セワシがドラえもんに懐いている様子を見て両親もキャンセルすることなく受け入れた。

また、ドラえもんが耳を失ってしまった理由やネズミが嫌いになった理由についても、セワシが粘土でドラえもんの人形を仕上げるために工作用のネズミロボットを使用した際、指示が正しく伝わらなかったせいでドラえもんの耳をかじらせてしまったためであるとされている。

このようにセワシの存在は、良くも悪くもドラえもんのあらゆる運命を決定付けた存在であると見ることができる。


【外見】

顔や体型は、高祖父ののび太および曽祖父のノビスケ(いずれもセワシと同年代の時点)とよく似ている。眼鏡はかけていないが、目は眼鏡をかけた状態ののび太並みに大きい(これはノビスケも同様)。
髪の色は原作では茶色だが、アニメ版ではのび太と同様黒髪で描かれている。

22世紀の住人は全身スーツのような服装が主流らしく、セワシも例外なく普段はこのスーツを着ている。
てんコミ第1巻第1話でのび太が尻にタケコプターをつけたところズボンが脱げて転落するオチになっていたが、この服装ならばそういった危険もない。

【性格】

のんびり屋で意志薄弱なのび太とは対照的に、明るく活発な性格。歯に衣着せぬサッパリした言動からも積極的な面が窺えるが少々毒舌なところもあり、度々のび太を怒らせている。

喧嘩に自信があるところも高祖父とは正反対で、不良3人組に1人で立ち向かったこともある*2。のび太と同じく、129.3kgあるドラえもんを担ぐこともできる。

しっかり者で成績も悪くないが、宿題をサボる癖があるなどできすぎというほどでもないらしい。
大山版オリジナルエピソード『セワシくんの家出』では、勉強嫌いのあまりレンタルのタイムマシン*3で家出し、のび太たちの時代まで逃げている。
軽度な故障であればドラえもんの修理にも対応できる*4
のび太譲りなのか射撃系のひみつ道具をそれなりに使えるようである*5

のび太のことは「おじいさん(ちゃん)」と呼ぶ。のび太本人はそう呼ばれるのを嫌がっているのだが、改めたことは一切ない。
稀に「のび太くん」と呼ぶことも*6

また、祖先でありながら(一応同年代同士とはいえ)「きみ」と呼んだり、まるで友達のような馴れ馴れしい口調で話す他、本人に面と向かって「なにをやってもだめ」などと堂々と口にする。やはり一族の運命を狂わせた根源として彼を快く思っていないのだろうか…。
連載が進むにつれてのび太に対する口調は徐々に丸くなっており、少しだけだが敬語を使う場面もある*7

アニメ版では静香のことを「おばあちゃん」と呼ぶ回もあり、未来のことを知らない彼女を困惑させている。
一方、歴史改変前の先祖にあたるジャイ子を「おばあちゃん」と呼んだことは一度もなく、名前に対する記憶すら微妙なものだったが…。

初期作品では、頼りにならないドラえもんをアシストするポジションだったこともあり、静香の家まで無事にのび太を行かせようと試行錯誤する*8ドラえもんにタケコプターを与えたりしていた。

初期はドラえもんが出来損ないである点が強調されていたこともあり、のび太とドラえもんの出会いを描いたエピソード群の一部では、「(忙しくて無理だが)ドラえもんだけでなく自分も一緒にいた方がいい」という旨を話しており、管理能力には自信があるようだ。


【出番について】

連載初期からしばらくは多くの回に顔を見せており、むしろドラえもんの方が「セワシの子分」と説明されているなど、主要人物かつメインキャラクターのような扱いを受けていたことからも彼の存在感の強さが窺える。

しかし、ドラえもんが徐々に頼りがいのあるロボットへと変貌するにつれ、セワシの登場回数は減少。以降はドラえもんが諸事情で一時未来へ帰る話やのび太が22世紀を訪れる話など未来世界が描かれるエピソードを中心に登場するようになる。

大山版時代では『ドラミちゃん』シリーズの短編映画で出番があり、特に『ハロー恐竜キッズ!!』では主役として登場している他、前述の『2112年ドラえもん誕生』でもドラえもんの過去に関わる主要人物を担う。


【関連人物】

ドラミ
ドラえもんをのび太の下へ送り込んでからは彼女がセワシの面倒を見ている。
セワシは基本しっかり者でドラミに頼り切りというわけではないため、面倒を見るというよりは日常生活においての補佐役という立ち位置が近いかもしれない。

大山版アニメでは、先述したセワシの勉強嫌いな性分を口うるさく咎めることも多く、セワシからは若干鬱陶しがられている。

●セワシの母
声 - 佐久間レイ(『2112年 ドラえもん誕生』)
連載初期ではセリフのみの登場で、20世紀に来ているセワシに、机のタイムマシンを介して帰って来るよう呼びかける役回りが多い。
怒ると怖いママらしく、腕白なセワシも彼女には頭が上がらない様子。

てんコミ第11巻の巻末付録『ドラえもんは22世紀のトーキョーで生まれた』にセワシが赤ちゃんだった頃の姿と現在の姿がそれぞれ登場している。
また、『ドラえもん誕生』でのデザインは原作と異なる。

●セワシの父
のび太の曾孫にあたる。母と異なり原作には登場しないが、一部の資料では『ドラえもんは22世紀の…』にて「マラソンベルト」を利用してトレーニングをしている野比のび助似の男性が彼であるとしている。

『ドラえもん誕生』では立派な口髭を生やしている。

●ジャンボ
声 - 桜井敏治→たてかべ和也木村昴
原作『未来の町にただ一人』に登場したセワシの友達。外見はジャイアンにそっくり。夏休み中どこにも遊びに行けなかったセワシに、月旅行に出かけていたと自慢していた。

この回ではスネ夫、静香に瓜二つな子供も登場しているが、彼らの呼び名は不明。また、普通に考えるとこの3人はそれぞれそっくりさんの子孫なのだろうが、その場合のび太が静香・ジャイ子どちらと結ばれても静香似の子かジャンボのどちらかは親戚なのに特に身内らしい反応がない。

わさドラ版オリジナルエピソード『22世紀で夏休み』では、セワシと自作ロボットバトルで遊ぶなど仲は良い模様。

●ミエ吉
声 - 山口勝平
●アントン
声 - 桜井敏治
映画『ドラミちゃん ハロー恐竜キッズ!!』に登場したセワシの友達。
ミエ吉はスネ夫、アントンはジャイアンに風貌が似ているが、いじめっ子ではなく優しい性格。


【主なセリフ】

  • あいつもできのいいロボットじゃないけど、おじいさんよりはましだろ
  • おじいさんはなにをやらせてもだめなんだもの
  • 運命は、変えることだってできるんだから
  • 歴史の流れが変わっても、けっきょくぼくは生まれてくるよ。
    たとえば、きみが大阪へ行くとする。いろんな乗りものや道すじがある。
    だけど、どれを選んでも、方角さえ正しければ大阪へ着けるんだ
  • ばっかだなあ、ドラえもん。そんなことじゃ、あんしんしておじいさんのことまかせられないぞ
  • ばかにつけるくすりだけがまだできていない。これはひじょうにざんねんだ
  • (↑に対するのび太の反応に)「べつにおじいさんがバカだとはいわないよ
  • あれほどバカとは思わなかった
  • 幼稚園ではやっていますから、おじいさんにぴったりでしょう」(手紙でのセリフ)
  • なかなかやるじゃない、おじいちゃん
  • 夏休みにどこへも行かないなんて、うちぐらいのもんだよ。
    おじいちゃんがしっかりしないとぼくら子孫が…
  • ドラえもんをおじいちゃんとこへやったのはまちがいだったかな

「おじいちゃんと呼ぶのやめろ!!」


【その他】

  • てんコミ第1巻第1話『未来の国からはるばると』で、「運命が変わるとセワシが生まれて来ないことになる」と心配したのび太に対するセワシの返答(『主なセリフ』節の4番目)は、セワシの発言の中でも特に有名。通称「東京大阪理論」「大阪理論」「セワシ理論」などと呼ばれている。この発言は現在でもファンの間で様々な解釈や考察がなされており、『ドラえもん』という物語の根幹を揺るがす矛盾が潜んでいると提唱する者も多い。
    いずれも第三者による推測の域を出ないが、ドラえもんのストーリーを別視点で楽しむ上で参考になる研究資料にもなり得る。興味のある人は調べてみてほしい。アニヲタWikiでは「過去改変」における解説が詳しい。

  • 原作ではのび太を除く現代の住人との面識はほとんどない*9ものの、大山版のオリジナル回「セワシくんの家出(1997/3/29放映)」ではジャイアン、スネ夫、静香、さらには出木杉とまで対面したことがある。
  • 更にわさドラの「ドラえもんの青い涙(2008/9/5放映)」ではジャイアン、スネ夫、静香達とドラえもんの誕生日を祝っていた。その前年の「ドラえもんが生まれ変わる日(2007/9/7放映)」では、ドラミと共にドラえもんが何者かに誘拐された事をのび太達に伝えに来てセワシの家で一行と話をし、その後ネコ型ロボット誘拐団のアジトに乗り込もうとするのび太とドラミ、静香を止めようとしたところ(ジャイアンとスネ夫は先に捕まっていた)、静香から平手打ちされて思わず「おばあちゃん・・・」とつぶやいた。


孫の孫から立派なおじいさんと言われるような素晴らしい追記・修正をお願いします。


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最終更新:2025年04月13日 12:07

*1 それぞれのび太の会社経営を始める経緯が違うなど差異はある。

*2 大全集第1巻『のび太が強くなる』。この時はのび太に変装していたが、ひみつ道具を使用している描写は特に見られない。

*3 いつも使っているタイムマシンをドラミに隠されてしまったため。

*4 プラス第7巻『ドラえもんの歌』。

*5 てんコミ第21巻『未来の町にただ一人』や、プラス第7巻『ドラえもんの歌』など。

*6 大全集第1巻『けんかマシン』、大山版『のび太の夢の金メダル』など。

*7 てんコミ第21巻『未来の町にただ一人』。

*8 「トラックに撥ねられる」というのび太の運命を回避するために他人の敷地や屋根の上を伝って静香の家を目指していたが結局災難続きだった。

*9 『百年後のフロク』では一度静香とすれ違っているが、静香は彼が何者か知らなかった。