空手バカ一代

登録日:2011/02/16 Wed 13:12:45
更新日:2025/04/08 Tue 07:52:19
所要時間:約 5 分で読めます




事実を事実のまま
完全に再現する事は
いかに
おもしろおかしい 架空の
物語を 生み出すよりも
はるかに困難である____

(アーネスト・ヘミングウェイ)



概要

1971~1977年に週刊少年マガジンにて連載された人気漫画。全29巻。
作者は梶原一騎、絵はつのだじろう(1~11巻)、影丸譲也(12~29巻)。
途中から絵が変わるのは大人の都合である。その理由を探るとワラカジから襲われるので気を付けよう。

このこともあり前半と後半で作風が異なり、前半はマス大山が世界中の格闘技と奮闘しながら空手を知らしめる話であり、
後半は芦原などの弟子が日本・世界に勢力を広げる話という作風になっている。

本作品は事実を事実のまま伝えるノンフィクション作品である。
跳び蹴りでジープの運転手にカウンター喰らわせる、力学的に不可能な十円玉曲げ、湯飲みを割らずに指で穴を空けるなど、
とてもありえないような現象が沢山出てくるが気にするな。

又、架空のエピソードや実在しないレスラーや拳法使いが登場するがノンフィクションであることに変わりはない。

この作品が世間に与えた影響は大きく、空手ブームを引き起こした。
極真空手は特にウハウハである。
ただ、「アイツばっかり活躍するのはずるい」「俺も登場させてくれ」という人が増え、また印税関係でもめるなど、極真空手内部の不和の種ともなった。


登場人物

前編

  • 大山倍達
通称マス大山。マス大山以外にお山の天狗様とかカラテデビルの名もある。
吉川英治の小説に出てくる宮本武蔵(通称武蔵先生)を何より尊敬し、修行中の友として彼の本を愛読していた。
(※実際の大山も武蔵をおちょくりのネタにした友人にやんわり殺意を向けるなど、尊敬していたことは紛れもない事実である)

三角とびや空中三段蹴りや三年殺しなど強力な技を使う。
苦手なものは乗り物と若い女。
前編当初は角刈りだったが、山籠もり中に伸びてロン毛になった。けっしてワカメではない。取れたりすることもない。
前編では最後まで散髪はしなかったが、後編では再び角刈りにしている現実ではその後(本連載時)恰幅が良くなってハゲるのは気にしないでおこう

愛郷心旺盛で、何かと日本を故郷として懐かしむが、史実の大山は朝鮮半島出身である*1
ちなみに梶原の遺作『男の星座』では在日コリアン仲間でもあるヤクザ者の友人(漫画連載時には右翼活動家に転身)もいる事が語られたが、史実とは言え少年誌で反社系との繋がりは書けなかったのか本作では全スルーされた。

大山の一番弟子の少年。
大山の女房役であり、この作品のヒロインでもある。
空手に関して天才的な素質を持っていたが、暴走の末に交通事故死という悲劇的な最後を遂げる。
彼の人生は大山に強い印象を残しており、「有明にも劣らない」「有明とは違うタイプの天才」など、よく弟子の比較対象にされる。
実在した人物ではないが、モデルとなった人物はおり、春山一郎という地味な名前だった。
その強さも語る人物によってまちまちで、「大山が最も目をかけていた弟子」というものから、「そんなに強かったかなあ」という人まで様々。
また、比較的初期からの弟子であったのは確かだが、最古参というわけでもなかった模様。

  • ピストン堀口
実在したプロボクサー。本名は堀口恒男。
有明の暴走に意気消沈していた大山と親しくなるが、その矢先に鉄道事故で死亡してしまう。

  • 遠藤幸吉/五十嵐じょう(CV.加藤治)
大山と一緒に渡米した実在のジュードーマンでありかませ犬
後日レスラーへ転属して活躍する(後に力道山と共に日本プロレスを設立)。柔道とはなんだったのか・・・
意気投合した人物と悲劇的な別れをすることの多い大山にとって、珍しく笑顔で別れられた相手。

  • グレート東郷(CV.雨森雅史)
実在のプロレスラー。
終戦後のアメリカでコミックレスラーをやり、大山と遠藤をインチキ興行に巻き込もうとした。流石にこの時代には読者は[[プロレス]]にはブックがあると知ってた
改心後はお茶目な三枚目として相方その2になる。

ご存じ空手チョップで有名な実在のレスラー。最初は大山とは友好的であったが後に対立。
大山から手刀の極意を習得する。嘘を言うな!

  • タム・ライス(CV.たてかべ和也)
破竹の連勝を続けていた力道山に初黒星をつけた元ボクサーのレスラー。試合時に体が充血して赤くなることから「赤サソリ」と呼ばれる。
力道山のチョップを全て見切る圧倒的強さを見せつけたが、大山から三角とびを喰らい一瞬で負ける。
この試合の顛末を聞いたことが、原作者が極真空手を知るきっかけとなり、本作のスタート地点となる。

  • 由利辰郎
大山と同じく三角とびを使う悪の空手家。
湯呑に穴を開けたり机に穴開ける等のチート使い。帽子のサイズもチート。敗因は不摂生。

  • 与那島六段
素手で馬を屠って内臓をもぎ取る「馬殺し」のパフォーマンスで名を馳せる空手家。
大山と対立する仲曽根七段の高弟でもあり、大山のアメリカ遠征を嘘だと中傷。抗議のため自身の道場に乗り込んできた大山と「百人組手」を繰り広げる。
この際「大山を目白の御殿に帰すな」などとしょうもない嫉妬を吐く俗物。
百人組手では、自分たちは滑り止めを施した上で床を油塗れにし大山を滑らせる「鬼殺し・油地獄」の手で大山を苦しめるが
調子こいて大山を殺そうとしたため怒りを買い、策を破られ弟子は全滅。ついに直接対決にもつれ込む……

が、蓋を開けてみればただの雑魚だった。馬殺しの話もやらせだったよ。
あまりのアホさに大山も呆れ果て、中傷話を取り下げさせて手打ちにした。

  • 木村政彦
実在の人物。史上最強の呼び声高い柔道家。
プロ柔道を旗揚げするも上手く行かず、力道山に誘われてプロレス入りを果たすが…。
彼を取材した本『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』がベストセラー入りしたことは記憶に新しい。

  • ブラックコブラ(CV.加藤治)
タイ式ボクシング・ムエタイの王者。左の腹に弱点の傷が残っている。
空中に浮いた石を蹴り砕くチート。
最初はミドル級王者とされたが、第二部で話題に上がった時は大人の事情でウェルター級だったことにされた

  • ボーモン(CV.城山知馨夫)
フランス式キックボクシング、サファーデの使い手。そんなもん知らんという人は「サバット」で検索してみよう。めだかボックス善吉がやってたやつ。
二段蹴りと人間ゴマ(笑)で大山を苦しめたが三段蹴りに敗れた。
大山の挑戦を堂々と受けて立つ高潔で誇り高い性格で、大山も彼に好感を抱いている。

  • イワノフ・ロゴスキー(CV.渡辺猛)
地下プロレス界の王者。色々チート。強すぎるので1対2の闘いしかしない。
ブドウ酒とビフテキとプロレスで生きる漢。
大山との死闘の果てに彼と心を交わし、自分の身と引き換えに大山を地下プロレスの闇から解放するシーンは本作屈指の名場面。
ジョジョワムウの最期なんか台詞から何までこのシーンそのまんまである

  • 陳老人(CV.北村宏一)
見切りと交差法を極めた中国拳法の達人。
無敗を誇っていた大山に初の敗北を与え、拳法の極意を授けた。
大山は攻撃を当てることができなかったが、実際には存在しない。


後編


  • 芦原英幸
後編の主役(?)。ケンカ十段の異名を持つ問題児。
素行不良が重なり破門されるも、誠心誠意の謝罪で復籍。以後は四国で道場を開くために奮闘していく。
あしたのジョー矢吹丈のモデル。

  • 黒い胴着の空手家
大山の居ない内に道場破りを行い海外で活動している酒乱のS等のゴロツキ。
水晶で騙したり高い胴着を買わせるなどやりたい放題。
極真空手の胴着も結構高い。

  • 林錬山
台湾の太極拳使い。語尾に「~でしゅ」を付けてしゃべる。
入浴中を襲ったり頭突きで釘を打つなど明らかに方向性がおかしい。
餓狼伝説シリーズのチン・シンザンのモデル。

  • 権田原師範
イノシシを倒した(棒)

  • 雲井代悟
柔道家の大男。ドカベンではない。
芦原を子供のようにあしらう力強さを見せつけるも、肉体改造した彼にリベンジ戦で完敗した。

  • 李青鵬
ラスボス的ポジション。香港カンフーの使い手。
牛を無傷で殺傷させる圧倒的な実力を持ち、2mは余裕で飛び越える脚力など出る漫画を間違えている感がプンプン。
「竜拳虎足」や文字通り必殺の「三光」といった人外の技を使う。
あまりに強すぎたためかやられ方があっけない。

  • レーバン
ムエタイの闇の帝王(笑)
圧倒的な実力は持つもトラブルにより射殺されてしまう。
なおサガットのモデル。というかそのまんま。
同作者のキックボクシング漫画『紅の挑戦者』のラスボス、ガルーダのモデルとされるが…

パチスロ

メーカーはオリンピア。
『百人組み手』とボーナスの連打でひたすら「お次!」と敵を薙ぎ倒す姿はまさに悪鬼羅刹、一騎当千。組み手中ボーナス成立時は与那島を倒す。
この組み手で倒した人数によってはデモ画面でゴッドハンドとして記録に残る。
ボーナス中の曲、空手協奏曲は超かっこいい


アニメ

1973年にはアニメ化もされた。全47話。制作はAプロダクションと東京ムービー。
要するに前者が『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』のシンエイ動画で、後者が『名探偵コナン』『それいけ!アンパンマン』のトムスエンタテインメントである。
主人公はやはり大人の事情か、容姿と立ち位置は原作とほぼ同じだが名前が『飛鳥拳(あすか けん)』になっている。
奥さんが登場しない、ピストン堀口や木村正彦など著名人が出てくる場面が大幅カットされるなど、設定はほとんど別物で、アニオリ回もある。

実はカルト的人気があり、アニマックス等の実況スレでは異常な伸びをみせる。
放送禁止用語連発であり、修正版は無音になる。
他にも、OPやEDのみならず本編でも実写パートが多用されている。
展開が非常に早く、同じ展開でもドラゴンボールなら1ヶ月は掛かると言われるほど。
アニマックスの他にもキッズステーションでも再放送された。
2021年には連載50周年を記念してTOKYO MX系列で再放送された。

DVD化もされているので、カオスアニメが見たい方は一度見てみるのをお勧めする。

余談だが『蒼き流星SPTレイズナー』の主人公アルバトロ・ナル・エイジ・アスカの父親「ケン・アスカ」は本作の主人公・飛鳥拳がモデルである。

飛鳥拳

(CV:田中信夫)
飛行機は駄目。
最初は軍人上がりだったが、なんだかんだで空手の世界にのめり込んでいく。
実践空手をモットーとしており、闘牛や熊と戦った経験もあり他人からキチガイとハッキリ言われた事もあった。
作中様々な職業に転職しており、
軍人→ヤクザの用心棒→空手家→道場の師範→プロレスラー→引っ越し屋→世界的空手家、最終的には道場の師範とその数には驚くべきものがある。

原作と違い女性と絡む事は殆ど無かったがショタと絡む事がよくあり男色疑惑がある。
ピンク色のシャツがトレードマーク。



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最終更新:2025年04月08日 07:52

*1 大山が生まれた当時は日本領だったが。なお大山自身は出自を公表していない。