スラッグガン(AC)

登録日:2025/03/05 Wed 21:45:33
更新日:2025/03/19 Wed 12:14:14
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スラッグガンとは、フロムソフトウェア製作のロボアクションゲームARMORED COREシリーズに登場する武器種の一つ。
初代ACから第13作『ACfA』まで登場していた。






概要

スラッグガンとは簡単に言えば背中版ショットガンである。
基本的な性質もショットガンに準じ、
  • ワントリガーで数発から十数発の弾丸を発射する
  • 射程こそ短いが至近距離帯で全弾命中に成功すれば高い威力を発揮する
  • 衝撃力や2~N系にかけては発熱量も高い
といった性質はショットガンとほぼ同様。
リニアガンチェインガンと同様「ガン」とは言うものの「キャノン系」に区分され、強化人間と接地中の四脚とタンク以外では発射時に構えが必要なだけあって性質はほぼ同じでもスペックは手持ちのショットガンより一回り二回り強力になっている。
但し、比較的軽量な傾向の強いショットガンに対してスラッグガンは比較的重量級な傾向が強い。


「スラッグガン」という兵器は実在しないが、名前の由来になっているのは散弾銃の弾種の一つ「スラッグ弾」と思われる。
スラッグ弾とは日本では「一粒弾」とも言う散弾銃用の大口径の弾丸で、拳銃や小銃を大きく上回るショットガンの大口径から発射されるというだけあってその威力は抜群に高い。
弾丸が大き過ぎて空気抵抗も大きいため射程が短く弾速も遅いが、大型の猛獣をも仕留める破格の威力を持つ。

上記の解説を見て「あれ……?」と思われた方も居るだろう。
そう、スラッグ弾は散弾ではない
ショットガンから発射される「大口径」で「高威力」だが「弾速が遅く射程も短い」という性質の弾であり、ACで言えばハンドガンバズーカの方がよりスラッグ弾に近い性質を持っている。

「大口径徹甲弾発射砲」のバズーカ、「回転式多銃身機関砲」のチェインガン、「(N系では)EN属性」のレールガン、「HEAT弾発射砲」のバトルライフル、「手持ち擲弾筒」のハンドグレネード等と並び、ACでは不自然な命名が為された武器種の代表例と言える。
このうち、4系でチェインガンは「ガトリングガン(キャノン)」と分離する形で単銃身機関砲となり、レールガンも実弾属性に変更、バズーカもACVIでようやく榴弾砲に変更されたが、スラッグガンは「背中用散弾砲」のままその系譜は途絶える事となった。
ショットガン用の弾種と紛らわしいが、最早スラッグ弾とたまたま同じような名前が付いただけの「スラッグガン(固有名詞)」と考えるべきなのかもしれない。

一旦系譜の途切れたバズーカが榴弾砲として復活したVIを経て、スラッグも今度こそ一粒弾発射砲として復活する日は来るのだろうか……?



特徴

基本的な性質は上記の通り、「背中武器なりに大きくなったショットガン」と考えて概ね気遅れは無い。

  • 全弾命中しさえすれば、高威力かつ高衝撃力
ショットガン同様、多数の弾丸を一度に拡散発射する性質上、それを発揮できる距離はかなり短いものの火力は高い。
衝撃も同様で、安定性能を高めていない構築で直撃すれば被弾硬直してしまう可能性が高い。
2系からは熱量も高めに設定され、熱暴走狙いの武器という側面が強まっている。
逆に言えばかなりの至近距離でないと火力は出せないということでもあり、また構えが必要なキャノン系として見ればもう一声二声欲しいくらいの威力な事も多い。

「発熱量」が無い4系でも、実質的にそれに代わる要素であるPA減衰力が非常に高いという性質を持っている。

  • かなり重い
軽量機でも使いやすい軽量級武器であるショットガンに対し、スラッグガンはかなり重い傾向にある。
重量級装備であるグレネードに匹敵するか、作品によってはそれ互角以上という負荷は軽めの機体には少々厳しいものがある。

  • あまり使い勝手は良くない
産廃とまでは行かないものの、リロードが長い、とにかく重いといった難点があり、プレイヤーが使うとあまり便利に感じる装備ではない。
「自分が使うとあんまりだが、敵に使われると厄介」という実質的に強化人間補正込みのNPC用の武装といった感が強い。後述のロスヴァイセはその筆頭と言えよう



シリーズ毎の扱い

初代シリーズ

シリーズ最初期ということもあって全体的にパーツ数の少ない初代シリーズだが、スラッグガンは『PP』で追加された派生型を含め既に二種類が登場している。
どちらも共通して大型のミサイルと同程度という重さに対して攻撃性能があまり高くないのがネックで、使いやすいとは言い難いのが難点だった。


ラインナップ

  • WC-ST120
初代スラッグガン。
リロード時間が少し長めで、威力も重量を考えるとあまりに低くとても使いやすいとは言い難い。

が、この武器は何といっても初代ACに登場するロスヴァイセが愛用していることで有名。
初代ACのみならずシリーズ全作でもロスヴァイセと言えばスラッグガン、スラッグガンと言えばロスヴァイセと言っても過言ではない。
ミッション『市街地襲撃』に敵増援として登場するロスヴァイセは特別な補正が施されたスラッグガン(通称「チートスラッグ」「違法改造スラッグガン」)でマシンガンの如き異常な発射速度の猛連射を繰り出す事で有名である。
迂闊に前に立てばガチタンでも一瞬で鉄屑と化す程の凄まじい破壊力は、何も知らずにロスヴァイセに挑んだプレイヤーの多くを呆然とさせそして自分で早速使ってみてガッカリしたという。

  • WC-SPGUN
『PP』で追加された派生型。EN属性になっている「Eスラッグ」とでも言うべき代物。実は「EN属性のスラッグガン」はかなり珍しく、長らく唯一無二であり続けていた。
重量は更に重くなっているがリロードは↑の1/3近くまで短くなり、しかもEN武器なのでOPパーツで強化できるため使い勝手はかなり上がっている。使うならこちらか。




AC2系シリーズ

本作には厳密には「スラッグガン」は登場していない。
しかし「リニアガン」が完全にスラッグガンと同一の性質を持っているため、欠場というより「本作のみ『リニアガン』名義に変更されている」といった方が実態に即している。
相変わらずかなりの重さが難点だが火力はかなり高く弾薬費も安いので、ミッション攻略に使って良し、対AC戦で削り武器にして良しの良武器だった。

詳細はリニアガン(AC)の項目を参照。



AC3系シリーズ

改めて「スラッグガン」に戻った。
性質は相変わらずの大重量&リロード長め。
2系までと比べて集弾性が大幅に低下しかなり散らばるようになった上に弾速も低下したため、威力を出させるには相当相手に近付く必要が出て来た。


ラインナップ

  • CWC-SLU-64
重い方のスラッグガン。
なんと伝統的重量級背中武器「大グレ」の約1.3倍という驚愕の重量。
その割に十分以上な威力があるでもなく、それでいて2秒以上という長いリロードも合わさり、とてもじゃないが優秀とは言い難い武器となってしまっている。

ランカーACフライングフィックスはこれをタンクとはいえ両肩に担ぐというムチャをやらかしている。案の定重量過多。
フライングフィックスはミッション『データバンク侵入』に参加し弾切れで撤退するが、全弾撃ち切るのに4分半以上かかる重スラッグを2本も積んでおいて弾切れ撤退とはどんな戦いを繰り広げていたのか……。

  • CWC-SLU-44
『SL』にて追加された「軽スラッグ」。
威力は僅かに低下し装弾数も大きく減少したが、ネックだった重量が大幅に軽減された。
リロードの長さは据え置きなので相変わらず便利ではないが、少なくとも大分積みやすくはなっているので使うならこちらか。
因みに、ディティールは異なるが全体的なデザインは2系の軽グレ「EWC-GN-81」のリメイク。



ACN系シリーズ

ショットガンと同様マガジン制が導入され、2連発できるようになった。
3系で問題となっていたリロードの遅さがようやく解決……と思いきや、マガジン再装填時間が3秒以上かかるというまさかの事態に。総合的には大して変わっていない。
一応瞬間火力自体は大幅に向上してはいる。
『NB』からは発熱量も大幅増大、もし2連発直撃を決められれば強化人間でも一発で熱暴走する事は覚えておいて損は無い。

N系では背中武器といえば軽リニア、軽グレ、主砲といった強烈な面々のインパクトが強過ぎてスラッグはかなり影が薄いというのが正直な所。
一応、熱が猛威を振るう『FF』では割かし優秀ではある。


ラインナップ

  • CR-WB75SG
3系から少しだけ軽くなったが相変わらずの重い方なスラッグガン。1.3倍とまでは言わないまでも未だ大グレより重い。
発熱量の高さや瞬間火力の高さを生かし、2発撃っては撤退を繰り返す一撃離脱に……使うにはやはりその重さが文字通り足を引っ張ってしまっている。

『NX』のREVOLUTION DISCに収録されたリメイク版『市街地襲撃』でもやはり途中で襲撃して来るロスヴァイセが使用している。
初代程の連射力ではないがその違法改造スラッグは健在。威力は元より発熱量がとにかく凄まじいので捕まったら大変な事になるのは以前と同じである。
ちなみに頭部COMは「スナイパーライフルを装備しているので距離を離すのは危険」とコメントしてくる。勿論接近戦を挑んだ方が危険である。
ただしスラッグ使用中は一歩も動かないので、こちらもN系強武器の軽グレを叩き込むなどして殺られる前に殺る事もできなくはない。

  • CR-WB82SG2
N系の軽スラッグ。攻撃面の性能はほとんど据え置きでかなり現実的な軽さになった。やはり大幅に弾数減少しているがマガジンリロードの遅さのお陰でほぼ気にしなくて良い。
相変わらず「もしスラッグを使いたいならこちら」といった感じの性能。
『FF』なら良武器との意見も。

『LR』ではどのルートでもアライアンス戦術部隊最後のレイヴンになってしまうジャウザーが愛用している。
アリーナだと大したことない印象の強い彼がミッションでだけ妙に手強く感じるのは、狭くて身動きが取り辛いステージでコレを構え無し射撃しながら突撃して来るからに他ならない。



ARMORED CORE for Answer

AC4には登場しなかったが、その続編『fA』では復活。
「~ガン」という名称だった多くのキャノン系武器が「~キャノン」に名称が変更される中、チェインガン共々「スラッグガン」名義のまま登場している。
ついでに言えばチェインとガトリングが分離し、レールガンが実弾になるなど謎カテゴリ武器に是正が入る中スラッグはスラッグのまま続投した。

開発元は例の如くショットガン大好き企業イクバールの後継、アルゼブラ
時系列的に、おそらく「アルゼブラ」に生まれ変わってからの新作ショットガンということになる。

武装としては登場しなかったAC4にも、スラッグガンを装備したオートジャイロ型エネミー「NASL」が登場している。
これを製造しているのはやっぱりイクバールである。


ラインナップ

  • KAMAL
おそらく(ロスヴァイセの違法改造スラッグを除けば)シリーズ最強のスラッグガン。

威力とPA減衰力に非常に優れ、上手く当たれば一瞬でPAが剝げ落ち、続けて当てればAPまで一気に持って行ってしまう。
衝撃力もあるのである程度の安定性が無ければ直撃時に硬直まで起こす。
更に、リロードの遅さが今まで共通の欠点だったスラッグだが本機は背中武器としては寧ろかなり早い方。結構なペースで撃ちまくることができる。
特にPAの薄いアセンで敵に回すと厄介な武器。しかもレギュレーション更新を経る度に強化されている。

他シリーズのスラッグと比べての最大の特徴は重量かもしれない。
アルゼブラのACは軽量級主体ということもあってか、今までヘビー級の品が多かった中で本作のスラッグガンは軽量機でも楽に積める程に軽い
積極的に突撃を仕掛ける軽量機や高速機なら主力武装に、中量級以上の機体でも積載量を装甲や他の重めの武装に回して迎撃武装にするのも良しで大変便利。
総じてミッション攻略に便利なのは勿論、上記のスペックに加えてラグにも強かったため対人戦でもガチ装備の一角に上り詰めるという大躍進を遂げたスラッグガンとなった。

なお「KAMAL(カマル)」とはインドの国花である蓮のこと。
インド系企業であるアルゼブラにとって、この使い勝手の良さはパーツ名にもその気合いが込められる程の自信作にして威信作だったのかもしれない。

NPCの使用者は「アルゼブラの蜘蛛女」ことシャミア・ラヴィラヴィ
ダスカロールベースの高速一撃離脱四脚機で使用している上に登場ミッションは吹雪で視界不良下なため、突然視界の端から現れたと思ったら、PAがあっても剥ぎ取られ、PAが無い時ならAPをごっそり削られ、そのまま走り去って行くという難敵。



ACV系シリーズ

系譜断絶。本作には登場しない。
「ワントリガー複数発射の大型砲」という意味では「(ヒート)ハウザー」があるが、「ノーロックで、放物線を描き、着弾時に爆発する」という「複数発射タイプの投擲銃の復刻版」に近い性質なので、これが「V系のスラッグガン」と見做される事は基本的に無い。



ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON

本作にも「スラッグガン」は登場していない。
しかしKAMAL以来久々の「散弾を発射する背中キャノン」という性質を持った精神的後継作と言うべき装備がいくつか存在している。
N系までの「非常に重たい」という難点も引き継いでしまっている。


ラインナップ

  • SB-033M MORLEY
正式なカテゴリ名は「拡散バズーカ」。復活したスラッグガンというよりは4系まで手持ち装備として存在した「散弾バズーカ」が背中キャノンに移行したような武装。
同時に5発の榴弾を発射し、クリーンヒットさせられさえすれば威力は抜群。
当初は大グレやスタンニードルランチャーより重く背中武器ワースト2位の重さがあり、装弾数は20発しかないという点がネックだったが、バージョンアップにより中量級でも無理なく乗る重さになり、弾数も25発に増えた。

終盤、とりあえず動く程度に修理された用廃機で敵の包囲を潜り抜けるミッション『脱出』専用のACに装備されているため、「非常に貧弱な機体の中で唯一頼りになる装備」として多くのプレイヤーにとって印象深いと思われる。
本作のトップランカーであるフロイトやあのブルートゥも愛用している。

  • VP-60LCD
『PP』以来四半世紀以上振りのEスラッグの子孫「一度生まれたものはそう簡単には死なない」にしても限度ってものがあるだろ
正式なカテゴリ名は「拡散レーザーキャノン」。
性質も見た目も、手持ちエネルギーショットガンを背中用に相似拡大したような装備。
やはり重量とフルパワーを叩き込める距離がごく短いことさえどうにかできればかなりの火力を出せる。

「見つめ合うと死ぬ女性傭兵」ことシャルトルーズや、アイスワーム戦限定でスネイルも装備している。







追記修正は真人間の二脚機でスラッグを活躍させてからお願いします。


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最終更新:2025年03月19日 12:14