音楽家の帝王(遊戯王)

登録日:2025/05/03 Sat 03:11:37
更新日:2025/05/05 Mon 06:57:55NEW!
所要時間:約 4 分で読めます





音楽家の帝王(ミュージシャン・キング)とは「遊戯王OCG」に登場するモンスターである。


【性能】

融合モンスター
星5/光属性/魔法使い族/攻1750/守1500


【概要】

初登場はゲームボーイの『遊戯王デュエルモンスターズII 闇界決闘記』のゲームオリジナルカード。
元々は融合召喚が出来ないカードだったが、後にVol.6でOCG化した際に何故か融合モンスター化した経緯がある。

初期の融合モンスターらしく出しても下級モンスターレベルという困ったカードだったが、《簡易融合》が出たおかげで光を見たカード。
レベル5、光属性、魔法使い族を満たす融合カードはコイツだけであり、それらのカードが多いデッキであれば採用価値はある。
……と言いたいが結局のところは出しても単なるバニラな為に素材として使われるのが関の山だろう。アルバスくんと融合させるとか。

しかしこのモンスター、単なるバニラな融合モンスターとしては片付けられない色々と面白いところがある。
まずそのイラスト。ミュージシャンの王ということで、金髪のホウキ頭の男*1がギターを激しく弾いているという躍動感あるイラストだが、彼が持っているギターのアームやボリュームコントロールが通常の反対。
これはイラストレーターのミスとかではなく、右利きのギターを逆に持ち左手で弾いていた「ジミ・ヘンドリックス」を意識している。
要するにデザイン的には著名なミュージシャンのちゃんぽんと言えるだろうか。

そしてあえて伏せていたが、このモンスターの融合素材がこれ
黒き森のウィッチ》+《ハイ・プリーステス
初期の遊戯王を代表する美少女カード2枚が融合して何故か生まれるのが半裸の兄ちゃんというのは古参のデュエリストがずっとネタにし続けている。
解釈としてはファンの女の子2人が呼び寄せた……等と言われることも。
一応根拠が考えられなくもなく、イングランドのヘヴィメタルバンド「エンジェル・ウィッチ」と「ジューダス・プリースト」を掛けたもの…という独自研究説もある。
ぶっちゃけ使ってる単語が珍しくもなんともないし、一部しか合ってない上に何よりもっと直球なネーミングでついでに経歴もロックな*2な《エンジェル・魔女》とか居るので信憑性は微妙。魔法使いで統一したかったのだろうと考えようにも《エンジェル・魔女》も魔法使いなので…。

とまぁ初期の初期に登場し、女の子2人の融合で現れるコイツだが、その全てが音楽バンドに関連しているという、まさしく「音楽家の帝王」というデザイン。
是非とも《ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者-》とセッションして欲しいものである。


初期のゲームでは
ギターを弾かせれば右に出るものはいない 超音波を出して攻撃。
という、フレーバーテキストが存在している。


【アニメでの活躍】

遊戯王デュエルモンスターズに登場している。
原作ではバトルシティ直前に杏子にダンス勝負を仕掛けてきて軽く蹴散らされたダンサーがアニメではデュエルもやっている「ステップ・ジョニー」という事で遊戯とデュエルすることとなる。
そいつの切り札がこの《音楽家の帝王》。
だがデュエル中もおどけた態度を取り続けるジョニーを最初は遊戯も何処か見下していたが、その融合素材にするために《黒き森のウィッチ》を出した際に「何!?ファンデッキじゃないのか!」と何気に失礼な反応を示す。*3
しかしステップ・ジョニーの狙いは《音楽家の帝王》の融合召喚。
更に単に出すだけでなく《メタル化・魔法反射装甲》で強化し《ヘヴィメタル・キング》へと進化させる。
故にソリッドビジョンでは金属化するのではなくヘヴィメタル風の衣装になるという変わったメタル化をしたことでも有名である。
だが《メタル化・魔法反射装甲》の効果を勘違いしていた為に普通に戦闘破壊され、切り札を倒されたジョニーは相手がデュエルキングダム優勝者の遊戯だということに気付き、逃げ出そうとする。
しかし杏子からは「デュエルに比べてダンスの才能があるから諦めてはいけない」と言われ、その逃げ腰な性格と向き合い、ダンサーとして再出発することとなった。
ヘヴィメタル・キング時の技名は「悪魔のキッス」。ヴィジュアル系バンドの「KISS」が由来だろうか。

余談だがジョニーの使ったカードはほとんどが女性モンスター。
音楽やダンスに関係するカードを好んで使うという事だが、遊戯王OCG当初はそれらに関係するのが女性モンスターしかいなかった為になんか女好きのナンパ野郎のようにも思えてくる。
実際にダンスしてる理由も女の子にモテたいからというものであり、もしかしたら女性モンスターを多く入れる方便なのかも。
また、かの《水の踊り子》を繰り出したデュエルでもある。これも「踊り」に関するカードなのだが。
「ファンデッキ」と断じられながらもデッキ自体は割と素直かつ強力な為に遊戯も警戒するほどであった。


【余談】

女性同士が融合して男性モンスターになるというのは十六夜アキが使う《大凛魔天使ローザリアン》も該当する。
《魔天使ローズ・ソーサラー》と《凛天使クイーン・オブ・ローズ》という女性モンスター2人が融合してなんか筋肉ムキムキのマッチョマンが登場するインパクトは非常に強い。
とはいえOCGになるときに融合ではなく効果モンスターとなったのでマニアックな余談程度にとどまっている。

現在遊戯王では融合モンスターの指定素材がかなり緩くなっており、女性同士が融合して男性が生まれるというのも多々ありえる。
それどころかなんかドロドロした変なのとかなんか頭が2つある変な鳥にされることもある。
女の子2人の融合で半裸の謎の男になる《音楽家の帝王》という話ももしかしたら時代の徒花なのかもしれない……。
だがそれらは素材に女の子同士もありえるレベルであり、女の子同士でなければならない《音楽家の帝王》の存在はやはり異質と言えるだろうか。

上述の通り、このカードはゲームオリジナルカードだった。
OCGでのイラストは上半身裸でマッチョな姿になっているのだが、ゲームボーイ版での初出時のイラストはというと、構図自体はOCGと同様なのだが、半裸だった上半身には 青いジャケットを羽織っている という容姿になっていて、筋肉質というよりも細身の男性というイメージであった。融合モンスター化した件といい、OCGでは本当に「どうしてこうなった…」としか言いようが無い。
ちなみに、ゲーム側での召喚魔族は白魔族。
ゲーム版におけるこの近辺の攻撃力を持つ魔法使い族かつ白魔族のカードといったら、《ジェミナイ・エルフ》や《ホーリー・ドール》が存在するが、このカードの攻撃力はそれらの狭間となる1750と、作品によってはそこそこ戦える能力。
ただ、シリーズを通じて敵がドロップする確立が低い事が多いので、浮きまくっているキャラクター性も相まって、やはりここでもネタキャラ扱いされていたようだ。














追記・修正は、男同士で融合したら女の子になっちゃった人がお願いします。


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最終更新:2025年05月05日 06:57

*1 カードでは暗くなった目元から眼光のみが煌々と輝いているギラついたデザインだが、後述するアニメ版では目元がハッキリ見えるデザインに変更されている。なかなかイケメン。

*2 天使になる運命を背負っていたが、あこがれの魔女になった天使。

*3 当時から《黒き森のウィッチ》は強力な効果を持つために「ファンデッキに入っている強力カードに驚いた」風にも見えるが、単にテーマに合致しないカードだから疑問に思っている風にも見える