K2(医療漫画)

登録日:2014/12/02 Tue 18:36:08
更新日:2024/04/22 Mon 09:20:28
所要時間:約 75 分で読めます




The man with flesh of wild beasts,
genius brains, and most of all,
superhuman surgical knife technique.



K2(ケーツー)とは、講談社・イブニングで2004年11号より連載されている医療漫画である。作者は真船一雄
2023年6号でイブニングが休刊となったことにより、2023年3月からは以前から並行掲載されていた電子媒体の「コミックDAYS」に完全移籍となる。
かつて週刊少年マガジンで連載された伝説の医療漫画「スーパードクターK」「DoctorK」の続編である。





概要

ブラック・ジャック北斗の拳という凄まじいコンセプトで、裏の世界を生きる超人的医師を描いた前作だったが、
同時に当時の医療問題等をリアリティある描写で描いたことでも評価をされていた。*1
今作はその点を受け継ぎ、前作の5年後の世界における医療の発展や問題を軸に描いており、前作以上に本格的な医療漫画として好評を博している。
なお、前作最大の特色だった荒唐無稽なアクション描写は(特に序盤以外は)控えめ。
…と思ったらたまにブッ混んでくる
基本的に1話~少数話でエピソードが完結するため読みやすく、前作を読んでいない人でも十分話について行けるし、第1話からでなく連載途中からいきなり読んでもある程度は楽しめるだろう。

一般的な医療漫画に比べて鬱展開は少なく、シンプルに患者を救うハッピーエンドが多く、最後の1ページは治った上でクスッと笑えるギャグオチが多い*2
オチ以外でもギャグぶっこんでくる回もあるが。なんだそのふざけた髪型は……!
医師はもちろんのこと、患者や周囲の人物まで含めた登場人物のほとんどが善人なのも特徴。誠意や熱心さが空回りする場合もあるが、話の中でやんわりとフォローされていく。
犯罪や悪事に手を染めている医師も登場はするが、ほとんどの場合は『根っこの部分では「患者を治すこと」に真摯で、治せない患者を治したい気持ちが暴走してしまった』というフォローが入り、明確な悪人として描かれる医療従事者はごく少数に限られる。
この関係上、医局の権力闘争のような医学界のドロドロした話は全く扱われない*3*4

他にも、主人公のドクターKは確かに圧倒的な医療技術を持ってはいるが、他の医者も決して負けていないというのも特徴的。
特定分野においてはK以上の腕前の者も多いため、話の展開が「ただKが活躍するだけ」に終始せず、メリハリができている。

前作は少年誌という掲載媒体のカラーもあって、勧善懲悪・わかりやすい展開が特徴的な独特の作風だった。
しかし青年誌に掲載されている本作は、臓器移植や再生医療の問題点、QoL、生命への価値観など現実で問われている医療トピックが多く扱われている。

連載初期こそ前作のセルフオマージュのような部分も多かったものの、KAZUYAのクローンである一也にスポットが当たってからはそういった部分はなりを潜め、スーパードクターK時代とはまた違う独自の作風を持つようになった。
このような作風の変化の背景としては、前作の連載時期から医学が発展したために話の引き出しが増えたこと、生命や医療に対して踏み込んだ話が可能になったことも大きい。

また、医学の発展が作中もリアルタイムで進行しており、同じ疾病でも治療法が現実の技術発展に伴って進歩しているのも長期連載ならではの特徴。
例えばGIST(消化管間質腫瘍)治療で「開腹手術による胃の一部摘出(233話)」→「LECS(腹腔鏡・内視鏡合同手術)によって患部のみ摘出(446話)」といった具合に、異なる治療法が登場している。
大きな話題で言えば、2020年中ごろ(378話)からは現実に流行している新型コロナウィルスとCOVID-19の話題も取り入れられ、作中登場人物もマスクを着用したままの姿で登場することが多くなっている。
シナリオ面に大きな影響を与えた話では「クローン技術で臓器売買事業を営んでいた闇の組織が、iPS細胞による再生医療によって需要が取られて窮地に陥る」という展開は、医学について踏み込むこの漫画独特の描写とも言えるだろう。
反面、あくまで日本での医療を表現するためか、DoctorKまではお約束だった海外に行く話もない。

勿論「スーパードクターK」から読み続けている読者へのサービスも行われており、前作登場キャラクターのその後が描かれる事も多い。
前作ではヒロイン的扱いだった「七瀬恵美」や、前作第一話で救われた梨田兄弟など。
特にKが救ったとある胎児の成長と再登場は読者も驚いた事だろう。
なおK2初登場なのにしれっと昔からの知り合い面しているキャラクターも多い、非常に自然に溶け込んでおり「こんなヤツいたっけ?」とスーパーの方を読み直す読者も多いとか。

ちなみに作者の真船は特撮作品好きとして知られ、それが縁でウルトラマンの漫画を描くほどであり、
この漫画でも登場人物の名前に特撮関係者のものが使われている他、アニメ関係が由来と思われるネーミングも見られる。
ゲストキャラで「高岩成司」や新堀、福沢といったスーツアクターの方の名前がしれっと出てきたり、メインキャラにも由来が見えそうな人物が。
真船先生自身は由来を語っていないためあくまでも推測に過ぎない形になるが、詳しい人が見ればニヤリとできるだろう。

一方で作者が公言している趣味の野球に関するネタは前々作よりも抑えられている(メインの題材として2回使われ、ほかの話で所々に描写が入る程度)。
そのため野球(や特撮ネタとアクションネタ)が登場すると「いかん、先生の発作が起きた!」と読者にネタにされることも

なおタイトルは単に『K2』であり『スーパードクターK2』『ドクターK2』は誤り
シンプルなタイトルであることや、世界第2位の標高を持つ同名の山の知名度が高いことなどから、キーワード被りはかなり激しい。
検索時には「漫画」や登場人物名などをキーワードに入れる工夫が必要だろう。
第1話で先代Kの紹介をする際に背景に険しい山が描かれていることから、タイトルの命名には前述の同名の山の存在も意識されていると思われる。
「ドクターKシリーズの続編」「一人と一也という二人のK」であると同時に「先代Kという偉大な山に立ち向かう者たちの物語」というダブルミーニングだろうか。

ちなみに『ドクターK』の由来は恐らく野球用語。
日本では野茂英雄がこの名前で呼ばれたことで有名だが、実は1984年には既にこの名前で呼ばれる「ドワイト・グッデン」という選手がいた。
彼の名前のイニシャルがDなことと、向こうでのドクターは「博士」という意味もある為、「Knock out」…要するに三振の博士であるドクターKと呼ばれていたのをそのままタイトルにしたのである。
当時日本ではマイナーだったメジャーリーグの用語を持ってくるとは真船先生は本当に野球好きと言えよう。

ストーリー

代々、高い技術と身体能力を持つ医師を輩出し、人々を救ってきた「Kの一族」。
その当主であるドクターKこと「KAZUYA」は、原子力施設の事故でガンを患い、闘病の末に若くしてこの世を去った。

当主を失ったKの一族は、分家の当主である「神代 一人」に「K」の名を託す。
故郷の村で診療所を開いていた一人は新たなドクターKとして、人々を治療していくこととなった。

そんな中、一人はある少年と出会う。
彼こそ、KAZUYAの"息子"である「黒須 一也」であった。


用語

Kの一族

遥か昔から人並み外れたレベルの医療を行ってきた医のエキスパート達。
そのあまりにも神がかった医療技術ゆえ、時に権力者達に命を脅かされることがあったため、彼らは歴史の中で一族の流れを2つに分けた。
一つは陽の当たる場所でその腕を振るうKAZUYAのような表の者達。
もう一つは決して表には出ず、Kの一族の技術を密かに伝え、いざという時の安全装置&保険としての役目を担う、神代一人のような裏の者達である。
裏の一族は医者であることすら隠し、医大に通わず医師免許も持たないという徹底ぶり。

一族の者は全て名前のイニシャルが「K」になっている。
本作では苗字のイニシャルも「K」な傾向があるが、これは元祖たるKAZUYA(と一堡)が母方の姓である「西城」を名乗ってるためこちらは統一性はない。

なお、現在Kの一族は世界中に散らばっているとの事だが、現在判明しているのは日本・中国・ロシアのみ。日本人だが研究のためにドイツに渡った者もいる。
ファンの間では、その源流はかの三国志の時代に活躍した医師・華佗ではないかと言う説が有力。*5
…と言いたいところだが「華佗」が「K」なのは日本語だけ(ピンインでは「HuaTuo」)であり、またKの一族は基本的に名字ではなく「名前」がKなので、日本語読みでも現代の命名基準からは離れる。
その為に前述の注釈通り単なるゲームへのゲスト出演くらいで半ば冗談のように扱われていた。
なのだが、実は史実にて華佗の死後に失われた彼の書物は実は密かに保管されており、卑弥呼の収める邪馬台国へ渡り日本でKの一族が生まれたことが判明した。*6
またかの国にもKの血族はいる為、本当に華佗が源流の可能性が高くなってしまった。どんな伏線の回収方法だ。
ただしもしかしたら紀元前から一族が存在した可能性も語られている。もうやだこの一族。

N県T村

一人の故郷であり、物語開始当初は表向き無医村扱いされていた田舎の村。
住民は老人が多く、180話では「人口はせいぜい数百人」と言及されており、過疎化している村にも思えるが、
実はKの一族の手術のサポートが行えるほどに全員が本職の医者顔負けの医療技術や知識を持つ。
「受け手・授け手」と呼ばれる独特な臓器移植システムを古来から維持しており、いざという時の事故に備えて独自の血液バンクも常に行っているなど危機管理意識も強い。
緊急手術が入れば村内の放送で体制を整えるなど人口の少なさも相まって連帯感・結束力は極めて高く、村に強盗団が来た時には村人総出で立ち向かおうともした。
士気が高すぎてホラーゲームの住人っぽく見える。あと妙にデカいボクシンググローブつけた男や某ジェダイマスターみたいな構えをした人も。
総合的には「善い」村と言えるのだが、それでも「いかにもな古い風習の残る村」には違いないことから、ファンの間では因習村呼ばわりされることもしばしば。*7

当初はマニアが好む温泉への通り道にある集落程度の知名度だったが、一人が表の活動を始めてからはインターネットでKの噂を聞いて外部の人物が尋ねてきたり、
住人が新しく越してきたり、外部企業による工場の建設がなされるなどだんだんと開けた村になっていった。
それでも深見くんが一也のことを怪しんで探りを入れた時は、連絡網を回して村総出ですっとぼけるなど上記の後ろ暗い部分は今だ隠蔽がなされている。
イシさんのように外部の人間にも気さくに接する人はいるものの、基本的に村の外から来た人間には「よそ者か…」と警戒する素振りが多い。
……正直、長期連載の齟齬のせいでどこかの島のように設定と人間と重病人がポンポン生えてきている感がある。

N県について、TETSUが譲介を連れて彼の母を訪ねる際「S県を抜けてA県まで来た」という台詞があり、その母の住所地はA県N市と記載されていることから、ファンの間では専ら長野県だと解釈されている(S県→静岡県、A県N市→愛知県名古屋市と読める)。
またこの立地から、T村があるのは県の南東部だと考えられている。
ちなみに現実の長野県南部には喬木村、天龍村、豊丘村の3つのT村があるが、いずれも村とは言っても人口1000人を超える規模の自治体であり、このT村ほど小さくはない。

Kの診療所

T村にある診療所。劇中の手紙に記された住所は「N県T村字山奥1922」で、郵便番号はぼかされるか実在しない番号が描かれている。
一見すると古びた木造建築によるいち集落の診療所だが、内部は入院施設に手術室、さらに世界最先端の設備が充実した恐るべき医療施設である。
しかし、よほどの大手術となるとさすがに都会の病院の施設を借りている。
後にクエイド財団の寄付により増築を行い、最新型のCTやMRIを導入した。


キャラクター

主人公

ドクターK/神代 一人(かみしろ かずと)

主人公。「Kの一族」を補佐する分家の出身。
設定上「ドクターK」は現代よりも遥か以前の歴史の中で何人も存在していたが、読者や作中の人物にとっての「ドクターK」は前作の主人公であるKAZUYAのことを指すので、実質的に彼は「2代目ドクターK」である。

容姿はKAZUYA・一也に瓜二つだが、強いて挙げると彼よりも細身・ツリ目・細眉で、もみ上げがやや長い。
一也とマスクをつけて一緒の場面にいる場合は、もみ上げが長いほうが一人だと認識すれば大丈夫。
性格は生真面目かつクール。常に寡黙で、表情を大きく崩すことは少ない。しかし感情は豊かで、喜怒哀楽そのものは割とはっきり顔に出す。
社交的で人付き合いも良く、休日には一也たちと街に出かけたりもする。連載初期こそ一族と村の事情もあってやや刺々しい態度が目立ったが、村の外に出るようになってからは性格が丸くなった。

当初は独自の医療技術と倫理観を持つ一族ゆかりの村で、影の一族として医師免許すら持たない闇医者として診療をしていた。
このまま村に生涯を捧げるつもりであったが、KAZUYAの死を受けたKEIの説得により表の世界へ出ることを決意。
かつてのドクターKを知るKEI・高品・朝倉の支援のもと、厚生労働大臣の承諾を得て特例で医師免許を交付され、一般社会の医者として活躍するようになった。

医療技術は世界最高峰レベル。あらゆる診療科の知識に精通しており、まだ実用化されていない最先端の治療法にも詳しい。
診察眼も非常に優れており、人の仕草・会話など些細なことから病気を見抜き、さらに富永や一也などから聞いた話からその人の病状を推測して赴くことなども多数あり、推理物の探偵役のような活躍を見せる。
劇中では主に外科医療で活躍しているが、内科や精神科にも精通している(もっとも、難易度が高い分野においては彼を凌ぐ腕を持つスペシャリストも多く登場しており、必要なときは彼らを頼ることも多い)。
医療以外にもスポーツや文学などの知識も豊富で、様々な職業病を見抜いて医療機関に繋げることもしばしばある。

反面、こと医療においては堅物で融通が利かない面もあり、刑事ドラマにおける医療の描写*8に憤慨したりと冗談が通じない一面もある。
「人の命を救う医者たる者が殺人事件を起こすとは…その設定自体が気にくわん!」
「ICUの電灯が消えていたのは納得いかんな! ICUは消灯などせぬ!!」*9
劇中でもそうは見ない怒りぶりだったが、一番の怒りのポイントは「犯人のモデルがどう見ても一人だったから」という説も。

またなんやかんやで善良な人々ばかりの村の中で育ってきた事もあり、人間の悪意には弱い一面がある。
わかりやすい悪人に対しては毅然たる態度で接し決して屈しないのだが、そうじゃない人間…善良な人間がやむを得ずにしてしまう悪事を前にすると激しく狼狽してしまう。

ほぼケンシロウ並の肉体を持っていたKAZUYAと同じく非常に高い身体能力を持っており、
  • 崖から落ちそうになった大人2人が乗る車を、ケーブルを引っ張って片手で引き上げる
    • 乗用車の重量は平均すると大体800kg程度。
    • しかもこの時は成人男性の医者と患者の二人も乗り込んだ状態だったので+120~30kgくらいは増えている。
    • ついでに土砂崩れの土砂もどっさり乗っている。
  • 成人男性の乗った板を真下の地下道から片手のアッパーで男ごと突き上げて吹き飛ばす
  • 地震で倒壊した家屋の瓦礫をひとりで持ち上げる*10
  • 金属製と思われる扉を片足の蹴り一発でひしゃげさせて吹き飛ばす
  • 閉まりかけのエレベーターの扉を殴り歪ませて稼動不能にさせる
  • テロリストの手首を片手で掴み握力だけで骨をへし折ってみせる
...など、トンデモない身体能力を度々読者に見せつけている。

また、後進を育成する場面も多く描かれており、
  • 一番弟子と言える富永を、3年ほどで難易度の高い脳外科手術を行えるほどの手術の腕前と高い診察眼を備えた一人前の医者に育て上げる
  • 一也には小学生の頃から医学を教え込み、中学生の頃には破裂した肝臓の摘出手術が行えるほどの腕前に育てる
  • ドクターTETSUから託された譲介を歪んだ人間性から救い出し、医者として一也と同等レベルにまで育て上げたあとに将来を考えてアメリカのクエイド医療大学へ送り出す
  • 一也の同級生グループを助手にして手術を行った際は、緊張している面々を落ち着かせ、リーダーシップを取って指導しながらオペを成功させる
  • 次の日には宮坂さんを含めたグループに実践形式で患者を診断させて、うまく誘導しながら病名を自力で確定させ、緊急手術の際には見学を許し術式をレクチャー。最後には医師の先輩として激励の言葉を送り、彼らが後に大学内で最優秀グループと称されるほどに成長するきっかけを作る
  • それまで育てた面々からは劣る龍太郎の本質を信じ、彼に合った育成方法で医者としての成長を促す
...など、非常に優れた教育手腕を発揮している。

しかし人を救うことと後進を育成することに尽力する一方で、もう一つの使命であるはずの「子供を残し、Kの一族の血縁を次代につないでいくこと」に関しては、KAZUYA同様全く気にかけているそぶりがない。
物語開始時点ですでに結婚適齢期と言える年齢ではあったが、現在に至るまでずっと独身。
正式なKになってからは次代のドクターKの育成も自らの使命だとして一也の指導も行っているが、自分のほうの一族の後継者となる子供を作る気配は全くない。
一時期は譲介が一人の下で影の医者になろうとしていたものの、結局は表の世界へ送り出している。
自分の引退後、村の医療はどうするつもりなのだろうか?KEIから「ドクターKを継いでほしい」と言われた時は「俺がいなくなったら村はどうなる?」と断ったくせに…
このままではKAZUYAの二の舞になってしまうのだが果たして…。

本人の台詞から1978年生まれとされており、これを基準にすると一也放浪編の時点で40歳を超えていることになる。
ただし、年齢の描写は作中で矛盾があるため、正確な年齢ははっきりしない(KEIは中学生当時に小学生くらいの一人と出会った回想をしている。しかしKEIは1968年生まれの設定なので、1978年生まれなら当時の一人は2〜5歳でなければならない)。
が、連載初期からさほど加齢が強調された描写が無く、20年近く若々しい容姿を保っている。むしろ初期の方がKAZUYAに瓜二つなことを強調するためかやや老け顔気味だった

当記事内において「一人」と書いていたら原則的に「ひとり」ではなく彼のことなので注意。

黒須 一也(くろす かずなり)

もう1人の主人公。前作終盤に登場した、KAZUYAのクローン体であり、事実上の“息子”。
一也という字は「カズヤ」とも読め、そこに異なる読みを与えられている。

Kの一族の技術力をもって作られた、現代の技術ではありえない完璧なクローンに成功している「パーフェクト・クローン」。
当初はごく普通の少年、KAZUYAの息子として母親の麻純と2人で暮らしていたが、
パーフェクト・クローンのノウハウを狙うクローン臓器密輸組織に追われ、一人の元へ身を寄せることとなる。
N県T村で富永と共に一人から医学を教えられながら過ごしていたが、後に村井から自身の正体を知ったことや尊敬する相馬医師との別れを経て本格的な医師を目指すこととなり、一人に本格的に訓練を受け始める。
医師としての才覚は当然ながら凄まじく、小学生ながら大学の授業を理解して問答でき、初めての執刀を小学生のうちに行うこととなった(それでもオリジナルのKAZUYAよりも遅いくらい)。

前作の終盤で登場したときは母親と離されていたこともあってやんちゃな部分を演じていたところがあったが、本作で初登場した際は一族のことを何も知らないまま生き物の生死に対して過敏な優しい少年として過ごした*11ので、父や師に比べると明るく朗らかで社交的な性格の好青年に育っている。
その人懐っこさや真摯さ、無邪気さから読者から大型犬扱いされることも。
他人をバカにしたり人の悪口を言ったりすることはほぼ無いが、命を軽んじる者や患者に真摯に向き合わない研修生などには普段と異なり厳しい口調で反論することもある。
また天然なところがあり少々デリカシーに欠け、宮坂が刺繍で銀賞を取った際、彼女に「恥ずかしいし自慢しているみたいだから他の人には言わないでね?」と釘を刺されたにも拘わらず、
次の瞬間には「みんな~すごいぞ!宮坂さんが銀賞取ったぞ!!」と広めてしまうくらいである(当然、彼女はブチ切れた)。
また学生時代からKAZUYA譲りの人並外れた医療知識・技術と肉体を持っていたため、本人にその気はなくとも、周囲の同世代や大人に引け目を感じさせたり嫉妬させてしまうこともある。
一目で「住む世界が違う」と感じさせるKAZUYAや一人に比べ、一也は一見普通の青年であるため余計にイヤミっぽく見えてしまう面もある。更に人格面でもほぼ非の打ち所がないので尚更である。

また、一人や母・麻純を含め、周囲の大人から自身の出生の話を半分タブーとして扱われて育ったこともあってか、一也本人も特殊すぎる自分の出自や境遇を友人に隠している。
そのため、同年代の友達から見るとどこか暗い雰囲気をまとっているらしい。
高校時代に宮坂さんへ自分の出自を打ち明けた際は、気持ち悪がられたり拒絶されたりすることも覚悟していた。結果的には、彼女がそれを優しく受け止めてくれたことで、同年代の理解者を初めて得ることができた。
高校3年生のときに同クラスに転校してきたドクターTETSUの弟子の譲介とは、一也の秘密を知ってる上に彼の歪んだ対抗心もあってか色々と紆余曲折があったものの最終的には共に医療を学ぶ同士となり冗談を言える友達となった。

当初は小学生だったが連載の進行に合わせてリアルタイムで成長しており、中学、高校、そしてかつて"父"が通った帝都大学医学部で過ごす日々が描かれた。
小学生の頃から一人に師事し、高校生の頃には既に一人前の医師としての技量は持っているが、闇医師ではなくKAZUYAと同じように正規の医師を志し帝都大学に進学。
大学時代にはクローンを否定するカルト教団に狙われ、自身もVXガスの被害を受けて重症となった上に爆弾で母を亡くす経験をした。
その後、一時期大学を出奔して放浪するも、神代家とは別の系譜のKの一族に出合い医者としての自分を見つめなおし、
これまでのことを報告しに訪れた富永の病院でスチューデント・ドクターとしてしばらく過ごした後大学に戻った。
前作最終話でKAZUYAの友人であった高品が見た新たなKの姿は、この放浪時の一也であった。
卒業後の現在は再び一人の診療所へと戻って研修医として勤務、その後は村の外で多様な現場を経験させたい一人の意向により高品総合病院へ研修先を変更させられた。
トレード後、当初は村社会での癖が抜けず専門医にコンサルせず治療を行おうとし、外科部長の谷岡から厳しく指導を受ける*12
それでも己を曲げずその熱意と優れた能力もあって周りを感化させていき、指導方針の変更もあり村では経験できない様々な症例に立ち向かっていく。
谷岡も医師としては一人前として扱っているが、研修医の立場で夜間に緊急手術を連絡せずに行い叱責される*13など一般的な社会人としてはまだ未熟な点も見られる。


大柄な体格のKAZUYAの遺伝子を正真正銘受け継いでいるため、中学生の頃には富永とそう変わらないほどの背丈になっており、
最初は柔和だった顔も、数々の辛い境遇のせいか放浪編あたりではKAZUYAと見紛うばかりの凄みのある面立ちとなった。
成長につれて医療以外の技術も身に付けており、拳銃装備の暴漢を素手で無力化したことさえある。

宮坂詩織とは高校時代、彼女の卵アレルギーの治療をサポートした件と、縫合にも役立つという理由で彼女に刺繍を習い始めたことがきっかけで仲良くなり、今ではほぼ恋仲と周りから思われている…が、両方とも奥手であるためかなかなか進展していない。
ただしガチガチの硬派だったKAZUYAと異なり、宮坂との関係を恋仲扱いされて赤面する場面がある他、譲介からそのことをからかわれた際には「オレは不純異性交遊などしない」とムキになって反論し「何時代の人間だ?」と呆れられている。
周囲がそれとなくプッシュしても全然進展しないことや、他のK一族の女性関係からガチで血筋の継続が不安なこともあり、多くの読者が「むしろ不純異性交遊してくれ」と感じている
宮坂の事を強く思っているのは確かであり、とある犯罪者に彼女がふっ飛ばされたのを見た途端、ふだん温厚な彼が相手の顔をぶん殴るほどの怒りを見せたことも。*14

このように文武両道・性格温厚のハイスペ人間だが、ほぼ唯一の欠点として、料理は下手な模様(本人は単に見てくれが悪いだけと思っている)。*15
それ以外では女心の洞察力に課題があると煽り文で指摘されたことがある。
実際に作中でも患者の肌を見た際の洞察力などは非常に優れているのだが、宮坂がエステを受けてお肌がツヤツヤになった事には全く気が付いていない。
更には彼女が心配のあまりスマホにたくさんのメッセージを送っても返信しないどころか未読のまま放置して心配をかけてしまっている。*16
またさしたる趣味を持たないように見えるが、中学時は友達とサッカーをしたり村で釣りをして遊んでいる姿も見られ、後者は大学に入ってからもなかなかの腕前を見せていたので彼も普通に遊ぶ時は遊ぶのだろう。
他にもボクシングや競技自転車にも興味があるようで、後者は実際に体感した。
なお携帯電話・スマホの類は高校時代から大学時代まで所持しておらず、宮坂の携帯を借りて電話して「持っとらんのか」と突っ込まれることがあったり、
研修医となってからも一人の診療所時代は同期組とのやりとりを宮坂のスマホで確認するという体たらくだった。多分「宮坂に連絡すればどうせ黒須にも伝わるだろ」とか思われてる
しかし、第450話にて唐突にスマホを取り出すシーンが描かれ、時期は不明だがトレード後に購入したものと思われる。まぁイシさんですらデビューしたぐらいだしね。
その後ある事情でしばらく病院を離れることになった際、宮坂からの連絡を無視し続けたせいで帰ってきたときに鉄拳制裁を喰らった

余談だが、リアルタイムで影響する作品かつ新型コロナウイルス等の一件もあってか、彼の場合『Doctor K』や『K2』初期で語られていた時系列と大学時代の学歴が噛み合っていないと指摘されることもある。


一人と一也の関係者

富永 研太(とみなが けんた)

1話から登場する、N県T村の診療所に赴任してきた若い医師。西海大出身であり前作の高品ポジション。
一人から突き付けられた「命を救う努力を放棄した瞬間から、お前は医師ではなくなる」の言葉を胸に、一人に鍛えられながら経験を積み一人前の医師となっていく。

詳しくは個別項目へ

イシさん / 羽庭 イシ(はにわ -)

Kの診療所で働く老婆。
冨永や麻上が村にやってきた際、最初に出会った村人でもある。
見知らぬよそ者に対しても、フレンドリーに果物やせんべいをあげたりする気前の良い人物。

T村の住人の中でも特に出番が多く、普段から一人や診療所の面々の食事などの世話をしている事もあり、緊急手術の際には筆頭戦力となっている。
当初は診療所メンバーの食事は他の老人も作ったりしていたが、2023年現在は彼女が専任となっているようだ。
若い頃は彼女の若い頃を知る村井さんから「山野を駆け回る野猿のようだった」と例えられた程にお転婆な性格だったらしい。現在でもその面影はあり、感情的になりやすくなかなかの毒舌を吐くこともある。
特に譲介のことは「カレー好きのあいつ」呼ばわりであり、彼のカレー好きには「アイツの料理だけカレー味にするのにどれだけ苦労しているか!」と迷惑がっていた。
その一方、譲介のために新しくタンドリーチキンの作り方を覚えたり、譲介がアメリカに行く際は「カレーを送るからのー!」と言ったりと、かわいがってはいたようだ。
また譲介のがむしゃらさは認めており、狂犬だった頃の彼の振る舞いを「ちょっくらひねくれとった」で済ます器の大きさもある。
その譲介のせいで90歳過ぎてからカレー作りにハマったらしく、今では1人で東京の大久保にまで出向き外国人達から辛味やスパイスを調達するまでになっていた。
勿論料理、カレー方面だけでなく医学にも明るく、偶然店で出会った若者の症状を最初から見抜いて病院に連れて行った事もある。
後述するが診断の大きな根拠を的確に把握しながら一人合点して本人にも戸倉にも伝えず徒に検査を急かして話を長引かせてしまったが。

なにげに第一話から登場し続けているが、スポットが当たったエピソードは数少ない。それでもK2には欠かせない名脇役と言えるだろう。
特に第451話での活躍は必見。
それとこの村の高齢者にもかかわらず特に病気に掛かった様子がない。強いて言えばぎっくり腰になったくらいか。
スマホデビューもしたらしく、また2023年の時点で90歳を超えてるのにN県から東京までの電車移動を苦ともしていない、まだまだ元気なおばあちゃんと言えよう。

恭治という名前の孫がいる。心臓を患っていたが、移植手術を受けることができ回復し、30歳を越えたが元気にやっているとの事。
また夫とは死別しているが、一人らの診療所はその大工の旦那が建てたらしく「今でも旦那と一緒にご奉公しているつもり」と語る程仲が良かった…と見せかけてその夫はキャバレーで遊びほうけていた事は今でも根に持っている
名字は大変長らく不明だったが、連載開始から約18年後に突如判明した。
物語序盤、血液を管理する番頭さんのリストに「佐藤イシ」という名前が確認出来たため、これがイシさんの名字だと思われたが無関係であった。

黒須 麻純(くろす ますみ)

一也の"母親"。元看護師。
奈良の施薬院の時代より病人や孤児の保護・治療・施薬を行っていた一族の出で、
触れた相手の寿命が分かるという超自然的な能力を持つ。
かつてKAZUYAの許嫁であると同時に愛しており、彼の妻となるべき中学生の頃から家事や料理の修行をしていた。
だが向こうからは「子供の頃から結婚相手が決められているのはおかしい」「自分は君のことをなんとも思っていない」「妹みたいなもの」と述べられ婚約破棄となり、その後は互いに離れ離れで暮らしていた。
その際のKAZUYAの言動が麻純の思いも勝手に汲み取る等、彼女にとっては鬼畜そのものの為ネタにされているが、向こうはまさか惚れられているとは思ってなかったのだろう。

その後、とあるクローン組織からKAZUYAのクローン受精卵を子宮に宿して出産するように提案される。
最初はKAZUYAのクローンを作り、彼の内臓に病気がないかどうかを確かめるくらいだったが、
その後気が変わったらしく「KAZUYAさんの分身を産みたい!」という狂気的なセリフを笑顔で述べる程にまでなった。余りのパワーワードの為にネタにされるほどKAZUYAに対する執着を見せていたが、いざ産んだ後は「KAZUYAへの愛」よりも「腹を痛めて産んだ子供への母性」に目覚めたらしく赤ん坊を連れて脱走。
一也という「カズヤ」とも読める名前を付け、普通の母親として真っ当に接している。
ただ本人としてはやはり医者になって欲しかった事もあり、"父親"であるKAZUYAに預けようと姿を消したりもしたが、そのKAZUYAが「医者として幼少期から厳しく育てられてきた自分だが、そんな自分が普通に育ったらどうなるかを見てみたい」「仮に医者になったとしても自分とは全く違うタイプの医者になる」と述べたことで、ようやく麻純はそのこだわりを捨てることとなったのだった。
また一也に対しては「命の大切さ」をこれでもかと教え込み、その事もあって彼は幼少時代から命に対し真摯に向き合う事ができている。

その後は臓器密輸組織に追われながらも一也を育てていたが、直接襲撃を受けたことが切っ掛けで一人に一也を託すこととなる。
密輸組織壊滅後はKAZUYAの妹であるKEIの元で看護師として勤務している。
一也が大学に進学してからは再び母子で暮らしていた。

そんなある日、一也を狙うカルト教団のテロに巻き込まれてしまう。
銃を持ったテロリストが相手でも臆することなく、合気道で拳銃を奪いながら投げ飛ばし、拳銃のフィールドストリッピングで一瞬で分解するなど、流石はあのKAZUYAの許嫁であったことを読者に見せつけた。
しかし、テロリストの爆弾から一也たちを庇い、緊急救命措置が必要な瀕死の重傷を負う。自身が助からないことを悟った彼女は動揺する一也に「トリアージ*17」を行うように指示しと他の患者を救うよう叱咤し、
困難な手術に臨む息子を気力の持つ限り最期まで見守り続け、息を引き取った。
この件で一也は心に深い傷を負うことになり、しばらく大学を離れて流浪の旅でることになった。
その後も不定期に何もできなくなるほど不調になってしまうほどだった。

過酷な宿命を背負う一也にできた友人たち、特に宮坂の存在は彼女にとっても救いであったようで、
触れたときに視えた運命を乗り越えた宮坂に安堵。息子を託すような手紙も渡していた。

なお、彼女の一族は彼女の代で事実上断絶した。

西城 KEI(さいじょう けい)

KAZUYAの妹で凄腕の女医。相変わらず下の名前が何故かアルファベット表記のまま。
既婚者で一児の母。現在は磯永姓で「磯永 ケイ」となっている。
医者としてはKAZUYAと同等と言われる実力で「ドクターK」の称号を引き継いだものの、偉大な兄には遠く及ばないと感じていた。
そんなある日、影の一族としてN県T村で医療技術を磨いていた一人と出会い、「ドクターK」を引き継いでほしいと懇願。一人が表の世界に立てるように舞台をそろえた。
その後は一也の叔母として助言を与える他、女性の病でのストーリーで出番が多い。

前作ではKAZUYAの叔父である西城頼介が、亡くなったKAZUYAの母親の体内の残っていた受精卵を冷凍保存して、
それを妻に代理出産してもらったという設定で突如現れた主人公の妹で彼の命を狙うテロリストという凄まじい役柄だった。
兄との和解を経た今作では結婚してすっかり丸くなっている。…が、一也を狙うテロリスト相手には容赦なく叩き潰すなど、戦闘力は健在。

彼女と磯永の子供の一已もKの一族の血を引いてるため一族の面影が強く出た容姿をしている。
彼も表のKの一族の正統な後継者になりえるはずだが*18、後継者には一也がいるためか普通の野球好きな子供として教育しているようである。*19
実際KAZUYAも一也と出会った時は「(自分や麻純は)医者や看護婦となることを運命づけられて育った、その辛さは誰よりもわかるだろう」と、医者として育てなくてもいいと発言しているし、その辺りの考えは兄と同じなのだろう。

村井 逸士(むらい いつじ)

神代家の執事で、一人にとっては医術の師匠でもある。ダンディズム漂うナイスミドル。
一人の父・一郎(かずろう)が妻(一人の母)を失い*20失踪した後、一人の指導に当たっていたが、そのうちに彼も姿を消してしまっていた。

初登場時は一郎夫妻を失った件から闇堕ちしており、クローン臓器密輸組織の一員として一也の身を狙っていた。
この時はマントを身につけたKの一族風の姿をしており、その姿はかつての一郎そっくりであった*21

一也の身柄を狙い、一郎を騙って自らT村に潜入したが、同行していた部下のミスで正体が露見。紆余曲折を経て改心し、再び一人に仕えるようになった。
現在は一人たちの手術・診察をサポートしたり、一也や譲介たち次世代に医術のアドバイスをしたりなど、診療所の医師兼神代家の執事として働いている。
診療所の薬品や各種医療機器の管理も彼の仕事。また、診療所から少し離れたところに建設された小屋で最先端の再生医療の研究も行っている。

ある日心筋梗塞で倒れ、さらに6時間以上経過して発見されたために治療が遅れ、心筋が20%も壊死してしまう重傷を負ってしまう。
一人の見立てでは「元の生活には戻れないかもしれない」という程の重い病状だったが、自身が研究していた再生治療を応用した心筋シートを一也と協力して培養し、それを一人の手術で心臓の壊死部分に装着してもらったことで、激しい運動をしなければ日常生活を送れるレベルにまで回復させることに成功。
以降、この治療法によって村での臓器移植手術が激減するなど、医療技術の進歩に貢献している。

過去の経験や自身の研究内容もあって最新技術には目がないらしく、クエイド財団から提供された最新設備を見て「ぬはははははー!!!」と年甲斐もなくはしゃぐという可愛い一面も持っている。

仕えていた一郎が医師免許を持っていなかったことから、おそらくではあるが彼も医師免許は持ってないものと思われる*22
一人が患者の手術跡を見て一郎の手術と誤認した他、闇組織在籍時も厚い信頼を受けており、作中の諸々の描写からして医療技術はKの一族並と見られる。

龍太郎が来るのと前後して途端に出番が無くなって読者に心配されていたが、第470話で「なんたら島に旅行」しにいっている事が判明。
読者の予想通り、海の高校進学の件と一人からの伝言を伝える為に神代一郎のいる破留島へ行っており、主との再会を果たす。*23

そして、次の第471話にて約20年越しにようやくフルネームが判明した。


麻上 夕紀(あさがみ ゆき)

優秀な看護師の美女。
元は個人経営の大病院に勤め、院長の息子と婚約して出世コースに乗っていた。
しかしある時、婚約者が医療ミスによる死亡事故を起こし、彼女はその罪をなすりつけられて警察に追われる身となってしまう。
亡くなった患者への罪悪感・恋人に裏切られた絶望から逃亡してT村で自殺を図ったが、間一髪で一人たちに助けられた。
その後一人の協力で無罪を証明し、診療所で一人の右腕として働き始めた。

当初は富永同様に村の仕組みに困惑するも、次第に村に馴染んでいき、ベテラン看護師として医師たちの活動を完璧にフォローするようになった。
様々な分野で超人が多い村において、数少ない一般人ポジション。
笑い上戸であり、コミカルなシーンも多い。堅物すぎる一人へのツッコミ役も担う。あと現状女っ気のない一人の嫁候補筆頭でもある。
冨永がいなくなった後の「有名人説明役」は基本的に彼女である。

宮坂に対しては若い女性同士ということで気を使ったり、富永や一也、譲介に対しては比較的温和に接していたが、龍太郎にだけはやたらと厳しい。
それは彼自身が今までの弟子に比べて未熟なのもあるが、それ以上に院長先生の息子という事にトラウマを刺激されているのでは?と読者の間で推測されている。*24

名前の由来としては声優の「麻上洋子」と彼女が演じたヤマトシリーズの「森雪」が由来と思われる。

ドクターTETSU

裏社会専門の闇医者。前作・前々作のレギュラーキャラで、KAZUYA最大のライバルだった男。
非人道的な医学実験をいくつも手掛けてきた悪人だが、その本質は情に厚く子供に優しい性格。
言うなれば偽悪的な男だが、言動が無茶苦茶なのは前作から変わりない。

現在は癌を患っており、杖をついて歩いているが、医療技術は全く衰えていない。
ただし体力は落ちており、手術中に意識を失ってしまう事もある。
KAZUYAのクローン・一也の存在を知り、その成長を待って再び「ドクターK」と相見えたいと思っていた。
しかし、癌の発病のため断念し、代わりに我が身を使って一也に安楽死処置をさせ「死」を教えることをKAZUYAへの意趣返しとしようとしたが、一人が治療法を編み出して延命に成功させられたため、最期まで生きることを選ぶ。
以降10年近く生き続けている。前作と見た目は変わってない為そうは見えないがもうそろそろ還暦である。(2024年で60歳になる)

その後、養護施設から譲介を引き取り後継者として育てていたが、一也と接触させた後の彼の人間性の変化を見て、彼名義の多額の預金とともに一人に託す。

その後は
  • 譲介の生き別れた母親や父親を探し出し、家族に対する譲介のコンプレックスの解消を図る
  • 交通事故の現場に通りがかり、亡くなった妊婦を帝王切開してまだ息のある胎児を助ける
  • 小国の跡継ぎの暗殺を依頼され、殺したフリをして施設に預けようと目論む
など、言動以外はまともなことばかりしている(譲介のトラウマを知ってるのに本人には何も告げずに去る、などは大分ヤバめではあるが)。

一也の存在を知って喜んだ際の迷言「まるで恋する女子高生のようだったぜ!!!」が有名。そのせいでファンからはJKだの女子高生だのと呼ばれている。
作中最高のツンデレだが近年は「デレ」の部分が隠し通せていない。
それは読者からだけでなく彼の周りの人間もそう思っているらしく、一也にすら「演技はやめろ!」とわざとらしく悪態を付いているのがバレた事すらある。


宮坂 詩織(みやさか しおり)

一也の高校・大学の同級生であり、研修医としての同僚。
小柄すぎて足がペダルに届かず自転車に乗れないほどに小柄で、眼鏡・おかっぱ頭・頭頂部の二本のアホ毛が特徴。
趣味は刺繍で、高校生にしてコンクールに入選するほどの腕前。
顔つきは不細工でもないが美人でもない微妙なところ。一時期は年相応に美人な顔つきに成長した…のだが、不評だったのか元に戻ってしまった。
基本的に劇画調の本作において漫画的な表情・表現が多く、ボロ雑巾になったり*25本作の顔芸要員筆頭と呼べるほど変顔が頻発したりしている。雑巾系ヒロインなんて呼ばれるのは彼女くらいだろう

重い卵アレルギーを持っており、長年の治療の苦しさから医者嫌いになっていたが、一人の治療でお菓子を食べられる程度まで寛解し医者への信頼も取り戻す。
当初は一発キャラに近かったが、一也に刺繍を教えたりするうちに彼に惹かれていく。それと同時に、一也が自分と同じ年なのに何か大きなものを背負っていることを感じていた。
ある時、緊急事態で人助けとはいえ非合法にあたる一也の手術に助手を求められ、戸惑いながらも応じ、その手術中に彼の出生の秘密を打ち明けられても優しく諭すなど、広い度量の持ち主。
一也が磯永に誘われたシカゴ留学を断った理由も彼女に引き留められたからであり、一人称を「僕」から「オレ」に変えたのも、彼が咄嗟にそう口走ったのを彼女に「格好良かった」と言われたからである。

また、刺繡の腕前を見た一也に医者の道を勧められ、当初は「人助けにも生き物にも興味ない人間が目指していいものじゃない」と怪訝な様子だったが、
一也と交流を深めるにつれ医学への道に興味を持つようになり、やがて一也とともに帝都大学の医学部に進学。
卒業後は一也と同様に一人の診療所に研修医として勤務し、一也と同じく村の外での経験を積ませたい一人の意向により高品総合病院へ研修先を変更させられた。

彼女が得意な刺繍とそこから発展した縫合技術であるが、
  • 友人の危機とはいえ、
    • 豪雨にさらされている土砂崩れ現場という最悪の環境で、
    • 当時高校生にもかかわらず、
    • 太い刺繡針を使った自己流の縫合により、
    • 大量出血中の大動脈を見事に縫い合わせた。
    • その完成度の高さは一人が冷汗を流しながら戦慄するほど。
  • 裁縫技術の応用として、実際の医療現場で行われている処置法を自力で思いつき、実行する
  • 研修医の先輩が苦労していたマイクロ手術練習に医学生の友人たちと挑戦し、一也以外で唯一縫合に成功
  • 大学のOSCEにて試験官に「オレよりうまいかも」と言われる
  • 一也が執刀・宮坂が助手として手術を行った際には、一也がナチュラルに縫合部分を宮坂に任せて執刀と助手を交代する
など、その腕前はこと縫合においては立派な作中チート枠の1人これでも銀賞止まりな辺り、この世界の刺繍界は相当な修羅の国のようである。

しかし、上記の通り縫合技術はトップクラスの持ち主ではあるが、総合的な医者としては長年Kの教えを受けていた一也や譲介には遠く及ばないこともありこれからと言った次第である。

そんなこんなで読者からは本作のメインヒロインとして扱われている。
上記の通り容姿は絶妙に美人のラインから外されているのだが、逆にそれ以外が完璧なヒロイン力の塊として、彼女の魅力に取りつかれるファンは多い。

互いに親からそれぞれのことを任されるなど、劇中でも周囲からは完全に一也とくっつくものと見られているが、恋愛的な方向には一向に進展せず。
医師としては完全に阿吽の呼吸で行動できるパートナーになっているのだが、それぞれ自分から向こうを意識していることは自覚しつつも、向こうから自分を意識していることについては鈍感、といった様子。
一也が漕ぐ自転車の後ろに乗るという恋愛系ではよくあるシーンも、小柄すぎるせいで振り落とされないように必死でロマンスどころではないという有様。
周囲が状況を整えたら何かしら事故・事件に巻き込まれて台無し、というパターンも多く、まだまだ先は長そうである。

また、度々一也にツッコミとして肘打ちしたり連絡を無視(無視というよりは一也がスマホの確認を完全に失念していただけだが)された際に某本家の一子相伝拳法のような百裂パンチを打ち込んだりもしているが、(一也が放浪から帰ってきた際に心配した仙道が一也の腹にパンチをした際に逆に仙道の手を捻挫させてしまう程の)屈強な体を持つ一也を毎度「うっ…!」と屈みこませてしまう程のダメージを与える事が出来る数少ない人物でもあったりする。

ふたりの身長差のせいでパンチや肘打ちが彼の急所に当たり易いのか、はたまた彼女に拳法の才能も秘められているのかは恐らく永遠の謎である

第466話のラストでは一也のスマホを奪い取ろうとフリッカー*26の動きを応用したフェイントを連続で繰り出したり、残像を出すほどの高速ステップを駆使して、逃げようとする一也を押し留めようとしてる描写もされているので彼女に武術の才もある可能性が更に増してきている…


後述の友人の名前から、熱血最強ゴウザウラーの教授(小島尊子)が容姿のモチーフなのではないかと思われる。

和久井 譲介(わくい じょうすけ)

一也の高校時代の同級生で、ドクターTETSUの弟子。
当初から高校生とは思えない医療技術を持っていたが、一也に比べるとさすがに劣る。

父親は借金だらけで家庭内暴力をふるい、母親から離婚後に置き去りされて孤児院で育つという過去を持ち、
当初は絶えず持ち歩くナイフに固執し、他者への強い憎しみと冷酷さを持つ危険な面があったが、ある患者を救ったことを切っ掛けに変化が現れる。
改めて医師を目指して勉学に励むも、予備校で集団感染症に遭ってしまったせいで大学受験に失敗。
失意の中で患者を救うために奔走する一人の姿に感銘を受け、TETSUの元を巣立ち一人の診療所で修行に励むようになる。

村での生活で自分の人間性を見つめ直したり、TETSUの計らいで母親と再会し自分が孤児となった本当の経緯*27を知ったり、異父弟の臓器ドナーとなった経験を経て、徐々に性格が丸くなっていった。
以降は「カレーまんを譲ってくれた礼」としてその人物に大口の契約を持ってきたり、村の人たちと気さくに会話したりとかつての凶暴性は成りを潜めていく事になる。

勇み足や胡散臭い言動はあったが、元から医療それ自体には真剣で、怪我をした鳩を懸命に治療するシーンもあった。本質は心優しい、師匠譲りのツンデレと言える。

一也に対しては、TETSUからKAZUYAのをことを含めた「Kの一族」のこと聞いていたことから最初からその素性を知っており、常に自分の先を行っていることから非常に歪んだライバル視をしており険悪な関係であった。
村で生活し始めてからも自分の能力を隠して普通を装って大学生活をしていた一也が帰郷した際には、手術の対応に後れを取ってる様みて「腑抜け」になったと激怒したり、一也の素性を知る人物の殆どがKAZUYAとは別人として本人の意思を尊重しようと敢えて触れないのに対して彼だけはドクターKになるべき生まれと積極的に肯定としていた。*28
一也がオリジナルのKAZUYAのことを知りそれを受け入れて、 譲介自身も母親から捨てられたのは誤解だったということもわかり、コンプレックスが解消されて性格も丸くなってからは、一也が母親に友達と言えるほど良好な関係となっていった。*29
連れだって遊びに行くような単純な関係ではないが、母親を失って精神的な不調に苦しむ一也に対して気遣いを見せるなど、一也の良き理解者の1人といった感じである。
最終的には手術後に譲介の方からご飯食べて帰ろうと誘うくらいの関係となった。
尤も一也に探りを入れた人間に殺意を向けるなど、別の意味で危険な状態になっていたが。*30
そして、一向に進展しない一也と宮坂さんの仲を茶化せたりするのは作中でも彼くらいである。
更に言うなら一人がペアで村の巡回をする際、巡回相手を譲介にしなかったことについて密に悔しく思っているところを一也から揶揄されるのも彼くらいである…。
ちなみにその宮坂さんとは腐れ縁のような状態であり、彼女が手術で失敗した際に「二度と手術ができなくなるかもな」とほくそ笑みながらも、その後に根性を見せた時は「ほう…」と驚きつつも認めたりとどこか気にしている。一也の同級生グループと一緒に診察していた彼女に小言を言った際には気圧されてたが。

本人は過去の一人のようにこのまま医大に行かず村で影の医者として生きていくつもりだったが、
彼の才能を惜しむ周囲からの後押しを受けて、現在はアメリカのクエイド医療財団が経営している大学へ留学している。

Kの診療所で「自分の人間性を変える」という決意をしてから、少しずつ左の前髪を伸ばすようになり、
いつの間にかTETSUを意識した髪型にイメチェンしている。読者はちゃんと見てないといきなり見た目が変わってついていけない。
師匠同様、手術や診察内容を丁寧にノートしておりこれが役に立つエピソードもあった。

体躯は(あくまで一成やKの一族と比較して)やや細身だが筋力や瞬発力は非常に高く、高校時代には100m走で11秒少々の記録を出す程に足が速く、また拳銃を持った暴漢やテロリストを相手にしても一切臆せずに先手を取って倒してしまう程の格闘能力と胆力の持ち主でもある。
K一族は悪漢との闘いでは主にパンチ(一人は蹴り技も多用している場面があるが)を主体に戦っているが、彼は持ち前の脚力を活かしたスライディングキックや踵落としなどの足技を得意としている風な描写がある。最もKの一族は医療に関して一番重要で丁寧に扱わねばならない自身の手を武器にして悪漢の顔が歪む程のパンチをかましたり、エレベーターの扉を素手のパンチでひしゃげさせたり刀を裏拳で折ったりと、無茶苦茶やらかしている規格外一族ゆえに譲介の「一般人枠での戦闘描写」としての差を描いているのかもしれないが…

第265話で唐突にカレーもしくはカレー味のもの以外は食べない偏食ということが明かされたが、これ以前の話をよく見てみると、高校生時代の学食や施設時代の食事でもカレーライスを食べている。ちゃんと伏線が貼ってあった。
なお、異父兄弟への生体肝移植手術の退院後は「病院食は味気なかった」と語っているので必要に迫られればカレー以外でも食べれるようだ。
この執着にも似たカレーへの拘りは幼少期の記憶(と言うかトラウマ)に起因しているが母親、父親との再会により心の澱が消えたようでその後はカレー以外の食べ物も自分から食べるようになった。
ただしカレーそのものが大好きなのは間違いなく、一人にカレーまん買った事を「またカレーか?」と突っ込まれた際には「いいでしょ好きなんだから」と言い返している。

師であるTETSUと同じ髪型にした時は
TETSU「なんだそのふざけた髪型は……!」
譲介「あ、あなたに言われたくありませんよ…
というやりとりで読者の腹筋を崩壊させた。
5000万円用意しておいて「理髪店に行くぐらいの小遣いは渡してあるはずだがな…」 と言っているのもネタにされているが、
ガチで私立の医大にいくとなると数千万が6年間で吹っ飛ぶので譲介の選ぶ道次第ではなかなか妥当な金額ともいえる。

高品 龍太郎(たかしな りゅうたろう)

高品総合病院の研修医。院長・高品龍一の息子(前作Doctor K最終回にも登場している)。
一也、宮坂とトレードされる形でKの診療所にやってきた。

周囲に言われるがまま特に深い理由もなしになんとなく医者の道を選んだため、やる気や上昇志向というものがまるでなく、技術や知識も覚束ない。
はっきり言って歴代の一人の弟子たちの中では最低レベルのボンクラだが、一人の下で彼に合った方針の教育を叩き込まれたり、村での医療行為を経て徐々に変わりつつある。

普段は欠点ばかりが目立つが、患者の話や容態から「なんとなく」異常の存在を見抜く観察眼や、苦しむ患者に親身になる姿勢、そしていざという時*31は身を挺してでも患者の命を守ろうとするなど、医師となる上で本当に大切なものは持ち合わせているようである。
ただし、一流どころではないとはいえ医大に現役合格しており、毎年1000人は落とされるという医師国家試験にも一発合格している*32
平時の医療行為もそれなりにはできており、歴代弟子がハイレベルすぎるだけで彼も一定水準の技量と知識は持っているようだ。
そもそも前作最終回でも「俺は親父みたいに立派な人間じゃない」という思いから医師の道に進むことへの疑問を抱いており、医師という職業を決して軽く見てはいないことがうかがえる。


自分が未熟であることをきちんと自覚しているため、
診断で少しでも気になることがあれば「たまたま」や気のせいで済ませず、正確な傷病名がわかるまで診断を重ねて勇み足での治療はしないといういい意味での慎重さを持ち、
ヒントさえ与えられれば時間はかかるが正しい診断結果やその治療法にたどり着けることから、一人からは『ウサギとカメ』のカメのようだと評されている。
イブニング最終号の連載は彼のエピソードで〆られており、周囲に流されるままに嫌々T村へとやって来た龍太郎が「俺が家に帰るのはもっと立派になってからだ!」と、医師として決意を新たに駆け出す場面で終わっている。

その後は昼食後すぐに明るい笑顔で往診に駆けだしたり、村民総出で強盗団に立ち向かった時は待機組を攻撃する先陣を切ったりと、どんどん村の一員として馴染んでいる。
またイシさんの料理には完全に胃袋を掴まれており、体形変化を気にするほどおかわりして食べるなど、食いしん坊キャラ化も進行中である。
麻上からはその様子を「田舎でスローライフ楽しんでいるみたいになってて、研修医という目的を忘れてないか」と心配された
461話目ではイシさんからも「最近、腹出てきとるんじゃねぇのけ?」と腹肉を摘ままれ、おかわりのご飯を小盛りにさせられてしまっている程。

一方で一人に対しては物怖じしている様子がそれほどなく、耳を引っ張られた際「パワハラですよ!」と冗談めかして言い返したりと生意気ながらコミュニケーションを取っている。
というより彼に取っては既に父親が偉大過ぎる医者であり、そういう意味では「偉大な医者慣れ」しているのだと思われる。


なお、例によって彼も年齢設定と前作との時系列が微妙に噛み合ってなかったりする*33

帝都大学

大垣 蓮次(おおがき れんじ)

鬼軍曹とあだ名される帝都大学医学部第一外科教授。
末期がんだったKAZUYAのたっての願いで帝都大学に復帰し鬼軍曹として後輩たちの指導していたが、正規の課程を経ずにドクターKの後継者を名乗る一人が医師免許を受けたことを知り激怒する形で登場。
先代KであるKAZUYAを知る先輩として公式に抗議するつもりでいたが、聴聞会に向かう道中で危険にも見える正しい応急処置を行う一人の姿を見て医者として力量を認めた。
一也が医学生になっても教授の地位にあり、教授として先人医師として、そしてKAZUYAを知る者として一也を教え支えた。
後に舌癌が判明し、部分切除で済み命に別条はない形で治療が完了するも、闘病生活の中で後進たちの環境を改善することへの思いを一層強くし、医師連盟理事に立候補し当選した。
しかし抗がん剤の副作用で禿げ上がってしまい、残った髪や髭も医師連の多忙続きのせいかすっかり白髪になってしまった。また老眼のためか眼鏡をかけるようにもなっている*34

娘からは当初「大学教授なのにお迎えも来ないし立派な格好じゃないのなんでー」と怪訝に思われていたが、その娘はやがて医師を志す。
「医者なんて大変だからなるものじゃない」と蓮次は反対したが、ある患者親子間のすれ違いと和解を見て娘の思いを認めるようになった。
舌癌治療の際は主治医である戸倉に矢継ぎ早に質問を飛ばし父親である蓮次は止めるも「さすがは医大生。質問が鋭い」と戸倉は褒めていた。

ちなみに妻の佐知子はK2ではほぼ脇役だが、スーパードクターK時代は準レギュラー。
実は関東一のシェアを誇る医療器具の大手メーカーである「タキムラ医療機器」社長の一人娘であり、18歳で蓮次に惚れ込んで結婚した。
世間知らずではあったが優しく一途な性格であり、蓮次が疑いを懸けられた時はその足で証拠を求めてゴミ処理場を掘り起こした事すらある。
勿論KAZUYAとも密に関わっており、だからこそ成長した一也に反応していた。

諸田 久好(もろた ひさよし)

帝都大学医学部のド変態医動物学教授。専門は寄生虫学。
講義で消化器系に寄生した寄生虫を美しいと学生に力説したり、フィラリアに寄生された一也の知人をよその病院へ連れて行ってそこで治療を受けたことを知って「自分が治療したかった」と言って涙したりするほどの寄生虫オタク。
後に寄生虫病の疑いで診察に赴いた際は目を爛々と輝かせテンション爆上がりで患者(深見)に襲いかかった。
あまりに一也にとっても印象的だったせいか、大学卒業時に今までの大学生活を回想する際に思いっきり彼がデカデカと写っていて読者に笑いを誘った。

サナダムシの一種を自分の体で飼っていたこともあり*35、講義で頬を赤らめながら"実績"を語ったことも。
でも寄生虫を食べ物に例えるのはやめてほしいです先生…

戸倉 信茂(とくら のぶしげ)

帝都大学医学部の耳鼻咽喉科教授。
強面姿で事あるごとに自分の腕前や耳鼻咽喉科のアピールを行うのは一種のお約束ギャグと化している。
  • 「今日のは貸しだぞ」「医者になったら私の耳鼻科を選択するのだ」「待っているぞ…」
    学生食堂で体調不良者の診断を付けようと迷っている一也たちを助け、医学生に慣れた頃に起きる過ちを指摘し、感謝の言葉を受けた上での発言
  • 「卒業試験には腕によりをかけた難問をプレゼントしてやる。楽しみに待っておれ」(悪そうな笑顔付きで)
    一也たちが連れて来た患者の診察を自ら買って出て、異常の原因が耳鼻科領域でない致命的疾患であること見ぬいてみせ、その手術が無事終わった後での発言
  • 「今年の問題は私の教授生活の全てを懸けた…最高の問題だった…」
    「それを全問クリアとは…これほどの屈辱は受けたことがない…」
    「こうなれば…あの7人!我が耳鼻科に引っ張りこむことでしかこの思いは晴れん……」
    「あの7人は私が頂く!!お前は絶対に手を出すな!!」
    その卒試のあまりの難しさを同僚の大垣から抗議された場面で。試験中に泣き出した学生がいた一方で一也たち7人が全問正解してみせたことを明かしながら。
    あまりの剣幕から出た内容との落差にさすがの大垣も呆然としていた。
強面と指導の厳しさにより学生たちからは苦手意識を持たれているが、上述のとおり医者としての腕は良く、指導内容も真っ当。
大垣とは憎まれ口を叩きつつも互いを信頼しており、大垣に理事立候補を勧めたのは戸倉であり、また大垣の舌癌切除を執刀したのは戸倉である。

一也が大学卒業後は出番がない…と思われたが、イシさんが東京に行った際に久しぶりに登場。大垣ですら一也卒業後は出番がないってのに。
ただしこちらでは検査の順序に固執してイシさんに呆れられたり、横から口を挟まれブチギレたりと翻弄されるシーンが目立った。
ただ、この前話では『アッヘンバッハ症候群』(主に指先などの痛みが定期的に繰り返される症状。血管の老化が原因と言われており、歳を重ねれば誰でも起こりうる加齢病の一種だが特に危険はない)を扱っており、無駄に難しい説明から始めたことで大病と思い込んでパニックになる患者がいる。
本作の他のエピソードでも麻酔科医の診療に勝手な解釈をして治療を拒んで悪化した患者もいたりする、説明のためにきっちり検査を行う姿勢は医者として決して間違っていない。
この時は患者の性格などがイシさんのやり方がぴったり嵌っただけで、説明を端折って治療を始めるのは良いとは言えないし、そもそも適当な診察や間違った診断を下してるわけでもないのに、横からいちいちケチを付けて口を挟んでくるイシさんの方がどう考えても横暴であろう。
というかK先生も治療の際にはそれくらいの説明をいつも患者にしてるのだが、毎回まどろこっしいとかケチを付けてるのだろうか?
もっと言うと、2007年の医療法改正において『インフォームド・コンセント』と呼ばれる患者の同意を得てから治療を始める制度が導入されているため、患者に説明もせず治療を行うことは原則禁止されているのでやってはいけないのである。*36

しかしそのイシさんが検査する前から症状を見抜いていたこと、遠くから見たレントゲン写真の解説をしたこと、手術を渋る患者に対して医者ではできない鉄拳制裁で彼を怒り、手術を受けないことによるデメリットをわかりやすく説明をしたことから彼女に対し敬意を持った反応をしていた。
その事から腕前に一定の自信はあれど、それ以上の腕前の人間の事も素直に受け止める…良くも悪くも真面目な性分と言えるだろうか。

磨毛 保則(まもう やすのり)

前作にも登場したKAZUYAの帝都大時代の同期だった医師。
医者でありながら医学部よりも工学部に出入りし、多数の特許を取得して医療機器の研究をしていた天才でありながら、研究棟に居る時は着替えや洗濯の時間が惜しいからと全裸に白衣を羽織った姿で過ごしている変人。だがコミュニケーション能力はむしろ高いほうで講義は学生たちには人気だった。
生前のKAZUYAとは才能を認め合った仲間であったが、尊敬とライバル視が入り交じった複雑な感情を持っており、医療工学に注力したのもKAZUYAの超人的手術を見てからメスを握っては勝てないと感じたからである。
しかし、けして外科医を完全に引退したわけでなく、今でも一通りのオペならば行えるほどの腕前を持っている。

K2時代になってもそれは変わらず、帝都大学敷地内のほとんど人が寄り付かない研究棟(個人所有)で医療機器の研究に励んでいる。
KAZUYAが亡くなった後、彼の生きた証を無駄にしない為に彼の残したカルテを分析し、そのデータを基にした思考パターンを持つソフトを組み込んである、しかも従来の物よりも低コスト・高性能な医療ロボット「イカロス」を開発していた。
開発の最終段階に大阪にいる患者を「イカロス」を東京から遠隔操作して手術する実地を行うが、医療ロボットが普及されるのを阻止したいグループからサイバー攻撃を受けてしまう。
その緊急事態にイカロスは自ら停止し途中からは摩毛自身が腹腔鏡手術を行い成功させるも、諸々の問題点が露見してイカロス計画は頓挫する憂き目にあうが、諦めずに研究を続けている。

一也に対しては、あくまでもKAZUYAとは別人だとしてあまり興味を持っていなかったが、宮坂さんを守る彼の行動を見て認識を改め、その後彼の母親が亡くなった際には気を遣ったりした。

コロナが流行するとそれに対する検査機器などの開発に務めており、
仙道安人に自身が開発したデジタル聴診器を貼り付けたが、その波形がフラットになった(仙道が訳あってデジタル聴診器を剥がした)時には「死んだのかな」と呟くなど、お茶目な面を見せた

丹波 章三(たんば しょうぞう)

帝都大学感染制御室室長。通称「院内ポリス」として恐れられている。
感染制御室とは近年問題となっている多剤耐性菌の院内感染を未然に防ぐための部署で、院内の衛生面の強化や、患者への薬剤投与の管理を徹底的に行っている。

上記の香田とKAZUYAとは同期であり友人で、かつてはKAZUYAとは二枚看板を張ろうとしたほどの整形外科医だった。風貌も現在のようなぴっちりとしたオールバックではなく、ヒッピーのようで風呂にもロクに入っていなかった。
KAZUYAが帝都を去る前、香田が開放骨折したところに居合わせ、KAZUYAから見ても完璧と言わせる手術で治療した。が、消毒も抗生物質の投与も行ったのに術後感染を起こしてしまい、さらには従来の抗生物質がまったく効かないという事態に直面してしまう。次世代の抗菌薬を取り寄せ、香田はなんとか事なきを得たが、現れてくるであろう耐性菌とそれに対する新薬を作り出す人類という悲惨なイタチゴッコに危機感を持ったことで、メスを置いて内科に移った。
当初は過剰に薬を出すことを控えるよう呼びかけ、衛生管理を徹底する姿は理解されなかったが、院内感染が問題視されるようになるとみんな彼のやっていることが最先端であると気づき、現在では押しも押されもせぬ「院内ポリス」となった。

香田が一時帰国しているときに耐性原虫のマラリアに感染した患者が現れ、また新薬に頼らざるを得なくなったときに香田が採取してきた植物から作った「お茶」で患者は軽快する。しかしその植物も政治的問題で研究する道は閉ざされ、自身のやっていることも結局は院内だけのこと、と心が折れそうになったときに一也の言葉(及びKAZUYAの面影)に励まされ、再び奮起した。なお彼は一也の生い立ちを知らないため、一也をKAZUYAの息子だと思っている。

コロナ禍においても感染制御の陣頭指揮を執っている。彼の目の黒いうちは院内クラスターは起きないであろう。









高品総合病院

高品 龍一(たかしな りゅういち)

前々作・前作における準主人公。第1話からKAZUYAと共に戦い続けてきた医師。
当初はごく平凡な若手医師だったのだが、KAZUYAと共に多くの病に立ち向かう内に医師としての実力を上げていき、作中でも屈指の名医へと成長していった。

KAZUYAの癌が発覚した際、KAZUYA自らが執刀医として指名するほどその実力は高い*37
公私共に付き合いも深く、KAZUYA最大の友人のひとりと言っても過言ではない。
ちなみにKAZUYAには常に敬語で接しているため、KAZUYAより年下と思われたりするが、実は高品のほうが年上だったりする。

前作では終盤、余命いくばくもないKAZUYAを案じながらもドイツへの留学を決意。
車椅子で見送ってきたKAZUYAの姿を機内から見たのが最後の別れとなり、
前作の最終回は、帰国後に大規模な総合病院を立ち上げた彼が2018年に新たなKと出会うシーンで締めくくられた。
なおこの最終回のシーンはK2では直接描かれていないが、一也が高品総合病院の話題になった際に「放浪中に出会ったが目であいさつした程度だった」と回想しており、前作ラストのKは一也だったと公式で明確にされた。

本作では序盤、新たなKの一族・神代一人の存在を知って一時的に帰国。彼に医師免許を与えるために協力した。
一人はこのことを恩義として感じており、先代Kとのゆかりもあって「我が一族にとって切っても切れない縁がある」と認識している。
その後は長らく登場しなかったが、一也たちが医師免許を取得した後に久々に本格登場。この時点では前作最終回同様の白髪混じりの姿になっている。
妻・淳子(こちらも第1作からのレギュラーキャラ)の遠縁である由貴の研修先として彼の病院が選ばれており、
後に医師としての自覚に欠ける1人息子・龍太郎と一也・宮坂のペアをトレードする形で2人の研修先として高品総合病院が登場。
このことから彼の出番も増加しており、20年以上の時を経て再びドクターKシリーズのレギュラーポジションに収まることになっている。

ちなみに妻の淳子は「日本ナース界のドン」と称される地位についており、彼も頭が上がらない存在。そして作中多くの人物からドン引きされるレベルのケバい普段着を着ている
とは言えしっかりとドンとしてナースの地位向上に尽力していると思われる描写もあるし、会見等では周囲から止められるからまともな正装で臨んでいると言う程理不尽ではなかったり。

若いころは硬派なKAZUYAに比べると三枚目なところが多くトラブルを呼び込みながらも、根っこは実直な性格であることを高く評価される医師であった。
本作で国内最大級の大病院の院長となった後も、「医者は常に患者と接していなければならない」という信条から大量にある病床を自ら見て回るなど、現場に顔を出す医師として活躍。
若いころの軽いノリを度々持ち出しつつも、ベテランとしての手腕を各所で見せている。

一方で妻共々仕事に忙殺される立場であったため、前作最終回でも少し描写されていたが実の息子である龍太郎との家族コミュニケーションが全く取れていない。
龍太郎に医師としての自覚と覚悟を持って欲しいと思いながらも「息子を前にすると何を言えばいいのかわからないんです…」と苦悩する姿も見せている。

安倍川 素子(あべかわ もとこ)

高品総合病院で外科部長を務めており、斉藤曰く「誰にでも優しく褒めて伸ばすタイプ」の母性溢れる女性。龍太郎からの通称は「もっちゃん」
仕事が忙しく家族サービスとは無縁であった高品家のもう1人の家族と評しても過言ではなく、親に放って置かれてばかりの龍太郎がグレることなく育ったのは間違いなく彼女のおかげ。*38
一見すると過保護気味になってしまいがちに思われるが、龍太郎の甘えが行き過ぎた発言にはしっかり叱責を与えるなどアメもムチも逃すタイプではない。
バセドウ病を発症したことで手術も行えないほどに視覚が悪化してしまい、これ以上患者を危険に晒すことは出来ないと勇退を決意。
別の形で医療に携わるべく高品総合病院から退職した。

谷岡 章(たにおか あきら)

高品総合病院で安倍川の後任として外科部長に就任した医師。専門は脳外で外科部長の立場に恥じない腕前。
双葉さんからは「ビシビシ指導するタイプ」と言われ、研修医たちにもコワモテの印象を持たれているが、研修医たちに高級弁当を差し入れしたり、患者を亡くした部下の医師にバーボンを勧め「遅番は変わるからそれを飲んで吹っ切れ」と声をかけるなど優しさも併せ持つ。
一人の診療所と高品総合病院で研修医のトレードが成立し「ドクターKの後継者」を指導することにプレッシャーを感じ、村での癖が抜けずに科を跨ぐような越権行為を行おうとした一也に「ここにスーパードクターはいらない」*39と厳しく指導していたが、一也はそれに屈せず自身の道を歩もうとする姿と夏休みに帰省した時の父親との語らいで吹っ切れ、自ら診療科の枠組みを取り払い研修医たちの意思で学びたいことを学べるよう指導方針を変更した。
きちんと叱るべきときは叱り、褒めるべきところは褒め、厳しくも温かく後進の指導を行っている。

彼の父親「谷岡修二」も龍一の先輩医師として前作に準レギュラーとして登場している(彼の家族に関しては前作のキャラクター紹介欄にて記載されており、兄や息子の存在もすでにこの時点で明言されている。)。
患者を亡くした仲間に酒を勧めるのはその父親譲り、酒好きなのも親子揃って変わらないようだ。
現在は兄の診療所を継いで「この町のスーパードクター」として現役で働いている。

双葉(ふたば)

高品総合病院に勤務する診療看護師*40
研修医に厳しくも真摯な姿勢で研修を行う。
仕事を冷静にこなす一方で「練習は……決して裏切りません!!」と熱く語りながら研修医の練習を手伝ったり、高品院長の語る医療への心構えを聞いてひとりギャグマンガ風に感涙の涙を流したりと、熱いハートの持ち主でもある。
実は現役のボディビルダーで、体や精神の研鑽に真剣であり、剣道の有段者である斎藤さんにはアスリートとして興味を持っている。他にも格闘技も好きらしく、その事を語る際は「ギュオン」という効果音を出して真剣に解説をしていた。
弁当もカロリーの少なそうな鶏肉とブロッコリーのみという徹底したアスリートタイプ。
ボディビルダーやってる際の写真でも「バビィン」という強烈な効果音を鳴らしており、本人は至って真面目なのにギャグキャラのような扱いがなされている。

椎名 照正(しいな てるまさ)

斉藤と同時期に高品総合病院に入所した研修医の青年。ひいては一也、宮坂とも同期。
気が弱い部類で当人曰く「三流医大出」とのこと。
やる気はありコツコツと努力しているのだが、血を見るのが苦手で一年近く経っても満足に採血ができずに落ち込んでいた。
さらに斉藤、双葉と周りの体育会系の女性達に強めにハッパをかけられてタジタジに。
臆病な反面慎重でもあり、ほぼ診断が確定している患者に対して一也が「なんとなく」気になる程度の違和感を唱えたのを素直に聞き入れたことで患者を救った事もある。
才気あふれる同期3人と比べて自分にはセンスがないと卑下し臨床の現場を離れることも考えたが、一也の励ましによって引き続き高品総合病院での後期研修を続けている。

倉津大学付属病院

相馬 有朋(そうま ありとも)

倉津大学付属病院・教授。
一人も認める高い技量を持つ移植手術の権威。
「医学的には十分可能性があるが、(劇中当時の)法や倫理上は大問題になる」手術の協力を一人に依頼する形で登場。
その手術は極秘のはずであったが情報が漏れ、劇中のテレビ番組でも取り上げられる事となったが、討論番組に出ているコメンテーター全員が感情的ながらも一面からは理にかなっている発言ばかりという形で臓器移植問題の難しさを浮き彫りにしている。*41
しかし、臓器移植制度の限界に直面した彼は、クローン臓器密売組織と結託する道を選んでしまっていた(なお、組織としても売った臓器を実際に移植する人員の不足がネックとなっており、相馬の存在は高く買われていた模様)。

組織のターゲットである一也が向こうから近寄ってきたのを利用して、自宅に泊めた一也から体細胞を採取しようとするが、既に相馬がクローンに手を出していることを確信していた一人らによって阻止される。
内心では理解しながらも追求を避けていた、現行のクローン臓器生産の倫理的欠陥を突きつけられ、罪を認めて組織と手を切ることを決意。
自らの立場を利用して組織の拠点に入り込み、警察を導いて決定的証拠を掴ませることに成功する。
そして自身も組織メンバーの逃亡を阻止するためにエレベーターの前に立ち塞がったが、必死に翻意を促すも手遅れと見たメンバーの1人によって頭を撃ち抜かれ、致命傷を負う。
しかし、そのために生じた強直性硬直により、朦朧とする意識の中でも一人らが駆けつけるまでエレベーターの扉を塞ぎ続けた。なお駆けつけた一人は素手で扉を殴り破壊して止めた
すぐさま緊急搬送されるが、教え子たちによって下された診断は「脳死」であった。
最期に一也へ伝えられた言葉と遺言状に従い、その肉体は臓器ドナーとして5人の患者を救った。ただ、医学界の権威を失った代価としては、あまりにささやかな数字であった……

その精神と肉体の最期を見届けた一也は、医者になることを本格的に決意することとなる。
一也の人生に多大な影響を与えた人物と言え、彼の中で相馬の存在は母親らのそれと同格に扱われている。

刈矢 俊一郎(かりや しゅんいちろう)

倉津大学付属病院・准教授。
無精髭に加えてほぼ常にタバコを煙らせているワイルドな男。
准教授ながらカンファレンスも論文作成も怠るために周囲から煙たがられることも多いが、不真面目というよりは現場第一主義というタイプに近いらしく、患者のために全力を尽くす真摯さを持つ。
相馬からは准教授という職位の面から苦言を呈されることも多いが患者への真摯な姿勢は認めており、彼もまた相馬を深く尊敬している。
一人も彼のことは信頼しているが、故に「恩師の罪を暴く」という残酷な依頼をすることとなり、結果的に言えば相馬が命を落とした遠因とも言える立場になってしまった。

+ 一連のエピソード以降、彼のその後については触れられることはなかったが……(452話~ネタバレ)
452話で15年ぶりに登場した彼の姿は衝撃的なものであった。
相馬の死は皮肉にも一也が「ドクターK」への道を目指すことになったのだが、刈矢にも影響を与えていた。 …悪い方向に。
15年の歳月が経過した今まで、彼の所属する病院はクローン組織に協力していたとして世間から激しいバッシングを受けており、それを交わすために刈矢を地方の病院に「干した」。*42
以降刈矢は相変わらずの執刀技術を持ちながらも「時間が止まった」無気力な生活を続けている。
そんな彼が唯一いきいき出来るのがタバコを吸う時。なぜならそのタバコを吸っている間は、尊敬する相馬の幻が現れてくれるからだ。あのときの姿のままで…。
しかしタバコが尽きるときにその幻すら消えてしまい「オレは駄目な男です…」と自虐するという状況であった。
そんな状況でも移植手術の練習だけは欠かさず行っていた。燃え上がっていた炎は確かに小さくなったが、完全に消えず燻っているかのように…。

だがそんな相馬の残した患者が移植手術の必要があることを知り、自身の元に来た一人や一也、そして刈矢の様子を常に見ていた師長の発破もあり、倉津大学病院に直行。
更に昼行灯と思われた教授もまた相馬と刈矢の事を思って、相馬の死によって正気を失っていた刈矢を回復させるために地方の病院に行かせて、自身は相馬が創った教室を守り遺すために敢えて汚名を被っていたことを知り、教授も刈谷が立ち直ったのを見ると、最後に病院での移植治療を再開させようとして、ようやく止まっていた時間が動き出すのであった。
そして移植手術は無事成功し、そして刈矢は煙草を吸おうとする。
だが今の彼に相馬の幻に頼る必要はないと言うかの如く煙草をゴミ箱に投げ捨てた後、「第一外科教授 刈矢俊一郎」と書かれた札を机に立てた。
こうして刈矢は相馬の意志を継ぎ、新たな道へと歩き出すのであった。

一也の成長という影に隠れていた刈矢という男は、読者の殆どが「彼も相馬の志を継いでバリバリ働いているのだろうな」と思っていただろうが、実際の彼は恩師の死から立ち直れていないという最悪の結果であり、多大なショックを人々に与えた。*43
それだけでなく「相馬の家で食事を振る舞われていた」という事実が判明し、改めて2人の絆の深さを感じさせた。
そして過去の話を良く見たら「タバコを吸わないはずの相馬の家に立派な灰皿がある」=「刈矢がしょっちゅう来ていた」事も再認識させ、改めてK2の奥深さを知ることとなった。

富永総合病院

富永 進太郎(とみなが しんたろう)

富永研太の父であり、富永総合病院の院長を務めている。
60を超えた老齢ながら部下に慕われ、患者とのコミュニケーションもバッチリ取れている頼れる医者
だが頭が固く若干融通が利かない部分もあり、無医村赴任を選んだ息子を「まだなにもできないくせに」「医者として無駄な時間を過ごしてるだけ(意訳)」と決めつけていた。
しかし自分のミスはしっかり認めるタイプであり、息子がやりたいことをいつも反対して医者への道を強制したことを傲慢な父だったと謝罪している。
無医村赴任を咎めたのも「医師としてまだ未熟なのだから若い内は腕を磨くことも考えろ」という、言葉は荒いものの医師として先人として真っ当な言葉でもあった*44
一人のことも最初は軽んじていたが、息子の執刀による脳外科手術を受け、息子がたった3年で脳外科手術を執刀出来る腕になったのも彼の教えのおかげと深く感謝している。

特に彼が息子を一番評価したのは「病名診断までは自力でできた恩師の手術を、その難易度の高さから一人に頭を下げて執刀を頼んだ事」であった。
身内だからと冷静さを失わず、見栄を張らずに自らの力量を把握したその行動を見て以降、彼は研太を一流の医者として認めることとなる。
やがて院長を退くが「やりたいことがある」と訪問医療部門を立ち上げ、なおも町の人々に医師として尽くしている。
生意気な鼻っ柱を折られて凹む研修医に元院長の立場を隠したまま近づき内緒で自分の仕事に連れ出すという、初登場時からは想像もつかない茶目っ気も見せたり。

ちなみに過去回想からかなり昔から白髪かつ老け顔だった様子。






その他の医師

道尾 忠夫(みちお ただお)

音羽医風会・麻酔科医。
おかっぱの髪型をした独特な風貌の中年男性だが、麻酔の腕は「道尾先生の前で麻酔を打つのは御免被りたいですね」と一人が謙遜するほどの腕前
欠点は言葉少なな無愛想であることで、よく知らない他人には偏屈な医者という印象を与えてしまう。
ある患者からも「信用できない」と麻酔治療に対する不信感を植え付けてしまった(ただしこの件は患者が自分の適当な判断で勝手に治療を中断したのが原因)。
趣味は全国各地の温泉を旅する秘湯巡りで、この時ばかりは普段は不参加を貫く慰安旅行にも参加するくらい。この事を語る際は満面の笑みで饒舌家と化していた。

無愛想な姿は同僚からも「よくわからない人」と敬遠されているが、病院長は「長年務めてくれてる功労者です」と評価している。
その同僚たちも病院の慰安旅行中に土砂崩れ事故に遭遇すると、酒のほろ酔いを無理やりにでも覚まして負傷者の治療を最優先するプロ意識の高い人物たち。
その事もあって出番のわりに話題になりやすい。

その後13年ほど出番がなかったが、勤務先である「音羽会」の名を冠した文化・芸術などの団体がその後も小ネタのように度々登場している。
そして2023年現在も現役ということが判明。流石に年齢もあって髪の毛はまっ白く染まったが後進の育成に余念はないようだ。
また来年で定年なので趣味である温泉巡りをしようと考えていたが、医者としての「虫」が騒いでしまい、若手の指導を務めている。
流石に年齢を重ねた事と若手の育成をしている為か昔のような偏屈そうな一面は無くなっていたが、腕前は健在のようである。

外見のモデルは宇宙飛行士の向井千秋の夫で、病理学医の向井万起男ではないかと言われている。(コミックDAYS公式Twitterも本人の確認を取っていないので断言できないがというツイートをしている。)

寺井 台助(てらい だいすけ)

売れっ子美容整形医。
元々はアメリカで体を治す整形外科医として腕を磨いた人物であり、患者との交流を経て「外見を治すことで患者の心が救われることがある」ことを知り「『美』は人を救う」という信念に至った。
ぽっちゃり体型でなんというかるんるんした所作、オネエ言葉で喋るいかにも変な人で、
テレビ出演や雑誌掲載、広告をバンバン打ちまくり医者としてよりも著名人のような形で知名度が高い。
そのうえ大学病院に来るのに高級車を使い「美容整形で稼いでいる」と白い目で見られることもあるが、その腕は本物。
自称地方の三流大学の出らしく、名高い帝都大学に呼ばれた際はなんだか不思議と感慨深いように話していたことから、
派手な商売スタイルとはまた別に謙虚(?)な一面もある。実際、クセはあっても善良と言っていい人格者である。

外科技術の高さに加えて『美』に対する感覚も鋭く、
一人が「見事……完璧だ!」「何も問題はないと思うが……」と断言する整復術をやってのけた医師どころか患者本人ですら理解していなかった「元の顔の特徴」を見抜き、「完璧に修復された顔」とのほんの僅かな違いを発見するほど。
整形外科としての技量に関しては一人が「世界でも五本の指に入る」と太鼓判を捺し、難度の高い美容整形手術に関しては執刀を任せるレベルの腕前。医師としての技量も高く、日本で数少ない、骨折による治癒能力によって新しく骨組織が産まれることを利用したイリザノフ法のスペシャリストである。アメリカ留学の頃にイリザノフ法による治療によって脚を伸脚した患者の多くが、生き返ったかのように嬉しく生きる希望に溢れて退院していったのを見て、前述の信念を持つようになった。

上述の経緯ゆえにメンタルケアも万全で、
術前術後も患者の気持ちに寄り添い時には引くことで患者の気力を引き出させ、“笑顔になる”よう親身に励ます。その点でも超一流と言えるだろう。
そのスタンスゆえに一也を「もう立派な医者」と発言したのも彼が最初であった。

なお本人の嗜好としては、自分が求める美とは対極的な容姿として後述の大垣教授を挙げており、一人に彼が独身なのかどうかを確認したほど。
LGBTへの理解が今ほど深まっていなかった当時の一人はその発言に白目剥いてぶっ倒れた。ついでに後述通り、大垣は妻帯者で娘もいる

氷室 俊介(ひむろ しゅんすけ)

糖尿病の原因となる発症遺伝子を特定した世界的な博士として名を馳せている医者。富永も憧れていた。
一人と共にT村で育った同い年の親友であったが、Kの一族の掟で表社会に出られない一人の代わりに自分が医者になると約束して羽ばたいて行った。
白内障を患っており、帰郷した理由も親友である一人に治療してもらうためだったが
一人が正式な医者になっていることを知った際は、自分との約束を破ったと思い込み激怒。
「お前の手術は死んでも受けん!」と断固拒否するものの、眼球の構造と視界を利用したトリックじみた方法を用いてあっさり自分の目を治療してしまう一人の手術の腕前を見てからは考えを改め、一人と和解した。
その後は少しの間T村に居座るが我が物顔で居座っていた為富永からは「いつ帰るんですか」と言われるほど幻滅された、元の仕事があるので再び世界へ飛んで行った。*45

朝倉 省吾(あさくら しょうご)

クエイド財団会長・朝倉雄吾の息子。前々作でKAZUYAが先天性水頭症から救った雄吾の赤ちゃんその人(悟子という妹もいる)。
現在はアメリカで医師をしており、医学交流で来日した時に譲介をアメリカ留学に誘った。
生まれの経緯から、脳疾患の患者を前にすると頭が疼いてまともに動けなくなってしまうトラウマを抱えていたが、一也が母の死のトラウマを(物理的に握りつぶして)払拭して脳手術に挑む姿を見て自身もトラウマを払拭した。
世界的に有名な脳外科だった父親やドクターKには遠く及ばない平凡な医者と自称しているが、自分の力量を十分理解してそれを補うために、ホモグラフトと言った先進的な移植手術やIVRといった最新機器を使いこなして確実に治療して診療していくことを信条としている。
日本人の両親を持つ日本生まれの純粋な日本人ではあるものの幼少期からすでにアメリカで暮らしていたためか、純粋無垢で天真爛漫な性格で、日本の伝統工芸に感動して弟子入りするほどドはまりしたり、日本独自の疾病概念&和製英語のBスポット療法に驚くなど、アメリカ育ちらしい一面を見せる。
現在は譲介を伴い帰国している。

ちなみに龍太郎からは「省吾ちゃん」と呼ばれていることから描写はないがそれなりの仲良しだと思われる。

新堀 照光(しんぼり てるみつ)

赤光大学付属病院に勤務する消化器外科の第一人者で教授。
その腕前は消化器を患った患者が彼のオペを受けたいがために全国から押し寄せ、担当医が新堀教授ではない医師になってしまった患者が不平不満を漏らすほど。
しかし教え子達の実践教育の機会を自分が奪ってしまっていることに酷く心を痛めている。

実は悪性のスキルス胃がんを患っており、それもステージⅢとかなり進行している。

野々原 隆史(ののはら たかし)

総合病院に勤務する傍らこども支援施設めだか寮の回診も行っている中年の医師。
めだか寮への健康診断や急病対応は病院との連携では無くボランティアで行っており、子供を救いたいという志を持った素晴らしい人物。

その正体はめだか寮での子供連続不審死の真犯人。
勤務先の病院では医師からもナースからも患者からも疎ましく思われている一方、めだか寮での子供たちには慕われている。
その心地よい居場所を守るため、めだか寮の限界を超えた定員受入で経営破綻しないよう子供の命を奪っていった
真相が判明しても往生際悪く「子供達への愛」を説いたため、その場に居合わせていた(めだか寮の出身者でもある)折原初刑事の鉄拳制裁を受けた。
その後警察に連行され、その悪行自体は「完落ち」…要するに認めたものの、取調室でも「勤務先の病院では自分を評価してくれない反面、めだか寮には子供達が待っているので帰りたい」と宣うなど完全に精神が崩壊しており刑事達にも「完全にイカれてやがる…」と称された。
最後まで自分本位な男であり、一也にも怒りを持って「人間の殺意には様々なものがある」と言い放たれた。

K2では減少したドクターK時代を思わせる完全無欠の悪役でありながら、シリーズの良くも悪くも派手な悪役とはまた違う邪悪さの事もあり読者の印象に悪い意味で残ったキャラクターと言える。

一也の医学部での友人たち

帝都大学の医学部に進学した一也の同期達。
この内、最初の5人は一也が宮坂の下宿先を探す中で出会った、医学部編の同期でありレギュラーキャラとなる5人。
当初は頼りなく少しずつ成長を重ねていっていたが、医学部3年~4年の間の春休みにKの診療所を訪れてドクターK(一人)の腕の凄さを目の当たりにし、将来の目標の姿として一層研鑽を積むように。
以降の伸びは目覚ましく、一也と宮坂とを合わせて「帝都大医学部の学年最優秀の7人」として知られるようになる。
一人もまた一也の友人として信頼し、先進医療を否定するテロ組織の襲撃を経て、一也の出自とKの一族の定めを彼ら彼女らに明かした。

深見 武彦(ふかみ たけひこ)

ラグビーに取り組む青年。
初登場時は帝都大医学部出身で大病院の院長である父親を笠に着て同期のリーダーに立とうとしたり、既に出世レースを意識した立ち回りでちょっと嫌味に映るところもあるボンボンだったが、
誤診ではあったものの倒れた緒形には彼なりに真剣に心配した結果だったり等、上昇志向が目立つだけで一也たちとは仲良く、普通に交友していた。
転機だったのは解剖の実習。いざ実際に遺体に触れて対面してみると感傷的になりすぎて、
実習中から大泣きしてしまい終わって昼食の時間になっても泣き続けるほど感情移入。
そこからはよりリラックスした様子で一也たちと接するようになった。
コロナ流行して休校状態になったときに、自分のアパートの部屋にやってきた仙道君の勉強を教えてあげたりするなど面倒見も良い好青年である

年齢に見合わない一也の医療技術や一瞬にして銃を解体するという明らかに異常なノウハウ、
Kの村の姿、一人と一也が「遠い親戚みたいなもん」で納得できないほどよく似ているという特に裏のない事実に不審を抱き調査に動く。
しかし自らの不用意な行動で村の人を命の危機に晒したこと、譲介の脅迫交じりの制止を受けてひとまず追及を止め、
加えて後に一也の出自と宿命の重さを知ったことで、以降は多少の対抗心を抱きつつも好敵手として肩肘張らずに接していく。
ちなみに43巻現在、一也と宮坂を含めた医学部レギュラー7人の中で唯一単独で活躍したエピソードがない(逆に患者になったエピソードは何度かある)

都会で大病院の院長を務める父親は医者としての腕の高さに加えて人望も厚く、同業者たちから政治家に望まれるもそれを断る芯の強さも持つ大人物。息子には結構甘い面もある
武彦は大学入学前後は父親を頼りにしていたものの同じ道を歩んでいるうちに父が偉大なことに反抗心を持ちはじめていたが、偶然立ち会った手術でその高い技術を目にし、個人病院ながらも高度な医療体制を整えた努力を知ったことで自身がまだ子供であることを自覚する。
その後紆余曲折の末に研修医として帰ってきた息子と共に、この病院を舞台としてコロナ対応の最前線の物語が描かれる。

仙道 安人(せんどう やすと)

チャラい外見の青年。
当初は肩近くまで髪を伸ばしているチャラい感じの青年だったが、訓練船「覇王丸」の船医のバイトで丸刈りにされて以降は短く揃えるようになり、Kの診療所の経験を経て顔つきも変わって凛々しくなった。
性格はお調子者でムードメーカー。人情家でもあり、失踪同然の状態から帰ってきた一也を「なんで便りの一つもよこさねぇんだよ!!」と心配と怒りを込めて殴ったことも(なお腹筋に負けて捻挫)。
普段は強気かつ賑やかなものの、ナイーヴなところがあり7人の中でもビビりの部類。もっとも一般的な目線でいうとネガティブになるのも無理はない状況だが。

想像以上にキツい医学生の勉強に凹み1年次途中で退学を考えていたが、夏休みに一也含む友人たちの食中毒対応をしたことを機に立ち直り継続を選んだ。
それでも勉強が大変なのは変わらないようで、度々勉強に追われる姿が描かれている。
そんな彼もKの診療所の訪問を経て一層勉学に取り組むようになり、上述のとおり学年最優秀の7人として目されるまでになった。
ちなみにその軽口で仙道グループを自称しているが、試験官にも「仙道グループ」と言われているため大学側からもこのくくりで認識されている様子。そしてリーダーシップを取ろうとしていた深見君が読者から同情された。

在学中に父親を亡くしているが、当初は病死と思われた死因が司法解剖によって覆っており、これをきっかけに法医学の専門を目指すようになる。

斉藤 由貴(さいとう ゆき)

剣道に取り組む女性。その腕前は東医体の女王の座を勝ち取るほど。
サバサバした性格でいわゆる熱血体育会系、女傑の部類。
正義感も強く、強要の被害を隠していた患者の様子がおかしいことから実情を暴き出し、
助けるべく病院に張り込みもはや暴漢と化した連中に一切怯まず竹刀で撃退した場面も。

KAZUYAと縁がある高品淳子(高品龍一の妻)と遠縁*46であり、彼女の推薦もあってその高品総合病院を研修先に選ぶ。
その後一成と宮坂が高品総合病院にトレードされてきたため、同僚として出番が多い。
なお、遠縁ということもあってか、顔立ちは『スーパードクターK』時代に登場した若き日の高品淳子に似ている。

絵が壊滅的に下手という弱点があり、普段なら仙道あたりが笑ってからかうところ、
あまりにもあんまりすぎて全会一致でドン引きした後に「ごめん」で解散し、一也にすら内心「(ひどすぎる……!)」と念を押される始末。
熱意を持って正確に書こうと全力で描いたら描いたで、厳しいチェックをする歴戦の臨床検査技師中村先生も、
「君には空腸がこんなふうに見えているのか……」と冷や汗をかきながらしょんぼりし、グループの皆にいたっては「(こ……怖い……)」とさらにドン引きした。
同じ講義では彼女の席を通り過ぎるとき中村先生が微妙な顔をしている筋金入り

青山 今日子(あおやま きょうこ)

小柄な女性。
おとなしい性格であるが、1年次のときに倒れた人物を前に初期対応ができなかった経験を反省しており、次のアクシデント発生時には見事に対応していた。
医師が原因究明に集中すると発してしまい特に子供を不安にさせる「殺気」を抑えられるというバトル漫画のような特技を持ち、
研修先に迷う中で通りかかりの子どもを助け、医者にもその対応を褒められたことで小児科を専門に決める。
研修先の病院では派閥争いをしていると周囲から見られ院内に理不尽が蔓延する原因となっていたが実際は学生時代からの仲で仲良しな上司二人に、
きっちり噂を否定して病院内の雰囲気を正すよう一喝したことで「番長」のあだ名をつけられてしまっていた。
そこに至るまでの理不尽な処遇にはめげずに、むしろ自分にも非があったと潔く気丈な態度を崩さなかったにもかかわらず、
「番長」などと持ち上げられて屈強な女性と認識されてしまったときには涙を流し【私、もうイヤ……】とだけグループチャットに送ってしまうなど、意外なほどの芯の強さと繊細さを見せた。*47

緒形 俊司(おがた しゅんじ)

秋田出身の青年。変換の都合でよく間違われるが「緒方」や「尾形」ではない。
当初は訛りを隠そうとひたすら無口でいたが、あるとき出てしまった訛りを一也たちが気にしなかったので以降は気にせず話すように。
一人暮らしの自炊経験から手先の器用さを自他ともに認めるようになり、外科を志す。
雪国出身ならではの活躍がある一方、初登場回含めて患者になってしまったエピソードもちらほら。
コロナ流行による大学閉鎖を機に帰った地元で身近な町医者にも優れた人がいることを知り、大学卒業後は秋田に帰って研修医として働いている。

手先の器用さが形成外科として開花したようで、施術経過を学会誌に採用され(経過画像を見た一人もべた褒めしている)、
研修医ながら既に「とても研修医とは想えない」と一目置かれる腕前であり、
こっぴどく殴られ散らかした患者もほとんど傷が残らない状態にまで整復してみせた。
また同期の中でもいち早く研修先を決めたメンタリティあってか、精神的な習熟も目覚ましく、
元々の落ち着いた性格も合わせてオペ中も冷静さを崩さないように。
貫禄までありそうな塩梅であり、指導医からも「いずれ日本の形成外科学会を背負って立つ逸材」と評されている。

基本的には温和で人当たりのいい好青年で、多くが自分の手柄にもかかわらず仙道が好感欲しさに横取りするような言動をした際も、
気にしないどころかむしろ二人の仲を応援するよう笑顔で対応したことも。
いっぽうで雪国育ちでスキーができないことをツッコまれると釈然としない様子で反論し、
地元で食べまくった魚がわざわざ遠出した先の外食として出ると「もう見るのもイヤだべーー!!」と叫ぶなど、するときはしっかり主張する。
とはいえあくまで「自分がそう思われるのが嫌」なだけで、故郷である秋田のことは誇りに思っておりコロナ禍での休学中や大学卒業後も地元に戻っている。

ちなみに初登場回で着ていた高級服のブランド名は宇宙戦艦ヤマト2199におけるドメル空母艦隊の空母名である。
やっぱり真船先生ヤマト好きだったのか。
また彼を含めた秋田弁の監修は同じ漫画家で真船氏の奥さんである伊藤実氏が行っているらしい。

安田 亨太(やすだ こうた)

まさかの個別項目持ち。
一也の同期に安田なんていたっけ?と思う方もいるかもしれないが、個別項目を見れば一発で思い出せるくらいインパクトのあるキャラクター。

貴村 昌文(たかむら まさふみ)

5人兄弟の長男。
両親が共働きのため、幼い4人の弟妹の面倒を見つつほぼ毎日バイトをやりつつ家事を全て担って料理も上手というとんでもない医学生。
家族全員が高熱で倒れてしまい、授業で使用したウイルスを家に持ち帰りばらまいてしまったと勘違いした。
出番は少ないが、一也の料理スキルが低いということが発覚するエピソードのゲストキャラと言えば伝わるだろうか。

唐木 正文(からき まさふみ)

体育会系で明朗快活なムードメーカ-。上の貴村とは同じ名前のためか特に仲が良かった。
大柄で体力に自信のある同期…という説明があった次のページに死亡が告げられた
余りのスピード感にネタになったのだが、その実態は溺れた少年を助けた際に水を吸い込み、それが二次性溺水となった「溺死」という、ある意味では医者の精神を持った高潔な男であった。
更に彼の死因を聞いた一也は、彼が助けた少年にも同じ症状が現れてないかと気付く。
結果的に少年は後1時間遅ければ危なかったという危篤であったが、唐木の生きた証だからと貴村が気を張り救うことに成功した。
だが彼が戻ってこないことに変わりなく、仙道は憎まれ口を叩きながらも涙を流し、貴村も…そして空も泣くのであった。

ビクトル・アントノフ

ロシアのハバログラード国立大学から帝都大学に交換留学生としてやってきた学生。
生粋のお前らアニヲタで、日本語の会話が不自由なく出来るのは日本のアニメや漫画で学んだおかげとのこと。
秋葉原で推しのフィギュアやゲームを格安で買えた時は泣いて喜んでいた。かわいい。
そして柔道も強く、体重100kgオーバーの柔道部員から一本取っていた。
蕎麦アレルギーらしく、駅の立ち食いそばを食べてアレルギーのショック症状を起こしているところを一也達に発見され、西城医院へと運ばれて手当を受けた。

……その正体はクローンや遺伝子治療の存在を認めず、パーフェクト・クローンである一也の命を狙うロシアのカルト教団「ストロージ・ジーズニ(命の番人)」から一也を護衛するよう遣わされたエージェント。
一也がVXガスで殺害されそうになった時はアトロピンとPAMを注射し、水酸化ナトリウムでVXを中和する応急処置を施した。蕎麦アレルギーも一也とドクターKEIに近づくための嘘*48で、カルシウムブロッカーとβブロッカーを自ら注射してショック状態を起こした。ただしアニヲタなのと柔道の強さはガチらしい。

双子であり、片割れのバレリとは外見が瓜二つ。幼い頃に父親と死別し、バレリはロシアで代々続く医師の名家であるローゼンフェルド家へと引き取られた。
バレリが一時だけビクトルのふりをして大学の授業に参加したが、友人達は全然気づいていなかった。*49
しかしバレリはローゼンフェルド家で現代医療が患者にもたらす経済的負担を目の当たりにしたことから「ストロージ・ジーズニ」の一員になっており…

KAZUYAの関係者

岩動 瀧造(いしるが たきぞう)

前作にも登場した法医学者・僧侶。
日本に監察医が少ないため多忙であり、このため一也がKAZUYAと関わりの深い人達を訪ね歩いていた時も留守にしていた。
本作においては仙道安人の父、将人が亡くなった時にK県警の村崎刑事が呼んだことで初登場。
かつてKAZUYAが病に侵されたことを知るも坊主の見舞いは縁起が悪いとして会わずにおり*50、彼が亡くなった際には友を救えない己の無力を悔いて一度は監察医の職を捨てる。
そして僧侶としての全国行脚の旅に出るも、行く先々でろくに死因の究明がされることなく火葬されていく遺体を見たことで、再び法医学者としての道に戻った。
以降は流れの解剖請負人となり、各地を巡って死者の声なき声に耳を傾けている。
仏教における輪廻転生の視点から一也をKAZUYAの生まれ変わりと感じており、かつてのKを知る者として若きKにエールを送った。

七瀬 恵美(ななせ めぐみ)

前作、前々作に登場した美人の女医。
KAZUYAと共に患者の病やケガ、さらに闇の組織と戦い、時には互いに救いあって修羅場をくぐり抜けてきた文字通りの「戦友」であり、そして、彼を深く愛していたまさにシリーズのヒロイン的ポジションだった女性。
その思いには応えることはなかったが、女っ気がなく硬派だったKAZUYAも彼女のことは特別であり、妹のKEIもKAZUYAが病に倒れなければきっと二人は結ばれていただろうと言うほどの仲であった。
一也とは前作で一度対面しているのだが、一也は幼いころの出来事だったため高品同様に彼女のことをほとんど覚えていなかった。

K2でも彼女の動向が気にされていたが音沙汰がなく読者に心配されていたが、
譲介に腑抜けになったと叱咤された大学生の一也が、自分の"父親″たるKAZUYAのことを知るために縁のある人物を会って巡る中でやっと登場。
しかし一也と読者を待っていたのは下半身不随で車イスに乗っている七瀬恵美という衝撃的な姿であった…。

末期がんになったKAZUYAの見舞いの帰り、居眠り運転したトラックが反対車線に飛び出してきて正面衝突。
その事故により頚椎骨折で脊髄損傷という致命傷を負ってしまうが、そこにKAZUYAが駆け付け、もう立つことも困難な状態だったKAZUYAは車イスに乗りながら最後の命の炎を燃やして手術を執刀した。
恐らくKAZUYAの生涯最後の手術は彼女が相手だったと推測されている。

手術後に目覚めたときにはKAZUYAはこの世を去り、厳しいリハビリを続けていたが、ほどなくして下半身不随と診断されてショックを受ける。
しかし手術前にKAZUYAから言われた「強い後遺症が残って困難な状態になっても、医者をやめるな。どんな状況でもお前しかできない医療があるはずだ」という約束を思い出して、リハビリの最中に渡米。
アメリカでリハビリしながら小児科を勉強しなおし、CLS(チャイルズ・ライフ・スペシャリスト)資格を取得して小児科医となった。
その経緯と患者と共に病気と闘う姿勢、車イスで縛られた状態で立ちながら長時間の難手術を執刀するというその姿に、一也が七瀬こそがドクターKに見えると思うほどの強い精神力を持つ医師となっていた。

上記の別れの経緯から未だにKAZUYAの死を受け入れられずにいた心境を吐露し、一也との再会でようやく受け入れることができたと語るが、KAZUYAは七瀬を含む彼が関わった人々が受け継いで生きていると一也に励まされる。
そして己の道を迷う一也に、KAZUYAの遺志はみんなで背負っていくものだから、安心して一也の信じる道を行くようにアドバイスをして一也の背中を押して別れた。
握手の直後、最後に一也を抱きしめる彼女の姿に切なさを感じた読者は多かったはずだろう…。

香田 直一(こうだ なおかず)

前作にも登場しているKAZUYAの同期の薬学者。なので医師ではないがここに併記。
「おそるべき天才薬学者」と言われた優秀な薬学者で前作から引き続き大島製薬で勤めている。
前作ではボロ社屋でちっぽけなちっぽけな薬事会社言われていた大島製薬も彼の活躍により、本作の時代では薬草プラントを備わった最新鋭の社屋を有した最先端の製薬会社へと成長している。
現在も大島製薬に籍を置きつつもアマゾンのジャングルに入り浸り、未知の生物資源から薬となりうる効果を秘めたものを探査することこそがひとりでも多くの患者を救う道であると信じ、プラントハンターになっている。そのためか前作から比べてかなりワイルドでマッチョな風貌と化していた。
一也の生い立ちを知っており、一時帰国した際には会うのを楽しみにしていたとのことで、実際に会ったときはものすごいはしゃいでいた。

最近耐性原虫が現れ、新薬が必要となったマラリアに対する効果を持った植物を探し当て、研究に入ろうとした矢先に政治的な問題でそれが不可能となってしまう。
しかし心が折れてしまおうとしたところに一也の言葉(及びKAZUYAの面影)に励まされ、再び資源を求めてプラントハンティングに戻っていった。

彼がゲストの話で現代医学において使用を避けては通れない薬と、その薬に対する耐性をもった菌、衛生管理などの問題点が描かれる。

その他の人物

岡元(おかもと)

第一話から登場する刑事。肥満体型でよくグラサンをかける。
悪徳な無免許医のせいで妻を失ったため無免許医を何より憎んでおり、一人を無免許医として追いかけ回していた。しかし、彼が技術も志もある真っ当な医師であることを知り、検挙を断念。
ストーリー序盤では物語の本筋に直接的に関わる人物として登場し、その後は警察絡みのエピソードで準レギュラーとして登場するようになった。
美人の1人娘がおり、驚くほど父親に似ていない。

妻の事件の捜査に進展がない焦りから、がむしゃらに危険な仕事をして、手っ取り早くエネルギーを補給する為にカロリーの高いものばかりを食べ、健康診断もサボるなど、まるで死に急ぐかのように自暴自棄な生活を送っていた。
このため極度の肥満状態になっていたが、娘の依頼を受けた一人に「胃に風船を入れる」という治療を施されシェイプアップ*51。その後は追いかけていた犯人に「韋駄天」と呼ばれるほど身軽になる等体調が回復し、更に娘の結婚により「まだまだ死ねない」と決意を新たにした。
…のだが、一也が医学生になって以降はすっかり出番がなくなっている。彼の物語はとりあえずの結末を迎えたというべきだろうか。
その後一也が富永と共に手術する際に言及されている為、忘れ去られたわけではなさそうだが。
なお妻に呼びかけるシーンが作中で2回あるが、その時呼ぶ名前が違ったりする。

フルネームは不明だが、名前の由来はもしかするとこの人かも……?
(「太っていたが劇的に痩せて運動性能が上がった経験を持つ」という点も一致する。)

冴草 克之(さえぐさ かつゆき)

非合法の堕胎手術や代理母斡旋を行う闇医者。医師免許は持っており、施術能力はあるものの闇医者というのもありアフターケアは杜撰。
普段は偽装として目立つ銀髪のウィッグを身に付けているが地毛は短く刈った黒髪。
他にもいくつもの偽名とウィッグを使い分けて潜伏、活動している。
一人の体を張った協力によって岡元に逮捕された後、クローン臓器密輸組織を追う際の足がかりとして再登場。
法の裁きを受けるがきっちり弁護に金を使って執行猶予つきに留まり、それを悪びれもしない悪辣さであったが
裁判所を出た矢先に恨みを買った元依頼人に襲われ、軽傷で返り討ちにしたが不運にも動脈をやられてしまい致命傷に。
しかし闇医者を何より憎む岡元が人命優先で輸血したおかげで一命をとりとめ、恩返しとして闇医者ならではのルートから調査に協力した。

彼としては「違法でも必要としている人間がいるからやる、患者にも感謝されている」というスタンスである模様。
法の制約で救えないものという要素は物語に絡んでくるのもあって詭弁とは言い難い言い分だが、
実際のところ堕胎のついでに胎児を回収して闇取引に回すなど金儲け優先なのも明らかであり一人達からの心象は最悪で、一切心に響いていなかった。感謝されるはずの患者家族にも刺されたし。
しかし、上記のスタンスで行っていた代理母斡旋が実はクローン臓器の生産に使われていたと知ると愕然としたり*52
自分の命が助けられたことで「協力するしかないじゃないか」と言い実際に身を粉にし働く義理堅い一面もあり、完全に腐りきっているわけではない。
だが調査の過程で何者かに命を狙われ、それから身を隠す為にフェードアウトしていた。
その後、村井が改心しクローン組織の摘発が行われたことで一先ずの解決を迎えるとKの前に現れ、黒幕はまだ捕まっていないと警告する。
Kからの感謝の言葉に照れながら、どこかへと去っていった。

なお、冴草克之という名前も偽名なのだが本名やその他の名前が一切語られることがなく、一人達もずっと冴草と呼んでいた。

友彦(ともひこ)

一也の小学5年生時の同級生。
デb・・・もとい、体が大きく同級生に横暴な態度を振る舞っており一也を除くほぼ全員から嫌われている。
夏休みの子供会の行事に(勝手に)参加したものの、同級生に暴力を振るったりサワガニを踏み潰したり一也にジュースをパシらせたりと周りのヘイトを買いつつ、あまりの暑さにどこかへ消えてしまった。
行事終了後、冷凍庫の中で低体温症で発見されるも一也の対処で回復した。
読者での通称は冷凍デブ
小学生の割に体が大きい、ますます意地悪になった、非常に暑がり等の情報から脳腫瘍や自律神経系の異常といった患者枠かと思いきや全く関係なかった。
特に理由も無く横柄な態度を取る人物が勝手に冷凍庫に入って勝手に凍り、そして治療後の改心もしない*53という、何とも遣る瀬ないエピソードであった。

大和田伸

坊主頭が特徴的なプロボクサー。
そのビッグマウスが特徴的であるがそれに似合う実力者であり、バンナム級チャンピオンに無敗で上り詰めた。
唯一勝てなかった試合は、今回のチャレンジャーであるベテラン小島良明。
彼とは唯一引き分けに甘んじており、その事を問われると激しくブチ切れるなど粗暴な男である。
初顔合わせの際には彼の横でファックポーズをする程であったが、その小島がアクシデントで右目が見えていないことを知る。
「バカなやつ!」「片目で俺と戦う無謀を思いしらせてやる」と邪悪な笑みを浮かべる大和田だったが、実際の戦いでは敢えて右に入らずに戦い続け、そして負けた。
「あんた相手に汚い手を使って勝ちたくない」と言う大和田に小島は「ありがとう、チャンピオン」と述べるが、それに関しては「よせやい、チャンピオンはあんただろう」と殊勝な返事を返していた。
ボクシングに対しては真摯であるがそれはそれとして序盤の言動は明らかにチンピラなので「K2の悪人を挙げる」話題になると数合わせで入ったりする。
なおこの事からわかる通り一人の患者ではない。だが患者よりも目立った敵役と言えるだろう。

モデルは恐らく当時話題になっていた亀田興毅、もしくはその兄弟達。
彼らもビッグマウスや破天荒な言動で炎上しがちであったが、それでもボクシングに対しては真面目に取り組んでいたことで知られており、奇しくも大和田と生き写しのような存在になっている。

大谷 育江(おおたに いくえ)

声優ではなく同姓同名の女性で、宮坂とは刺繍の展示会を通じて知り合った幼馴染。
一人が戦慄するほどの縫合をしてのける宮坂をして「永遠の目標」と言わせるほどの刺繍の腕を持っており、宮坂が刺繍を続けているのも彼女のおかげ。
宮坂の知らないうちに事故によって利き腕が歪曲してしまい刺繍ができなくなっていたが、一人の治療を受けて完治した。

単発キャラではあるが、宮坂が血管の縫合すら成し得る刺繍の腕を持つきっかけとなった人物であるため、
巡り巡って次代のドクターKである一也を救った*54恩人でもあったりする。

「スーパードクターK」ではKAZUYAの親友に「大谷」というキャラがいたが、特に関係はないようだ。*55

高峰 麗華(たかみね れいか)

一也の高校時代の同級生。
見るものを圧倒させる美貌に加えて帰国子女で成績優秀。
両親はテレビのコメンテーターもやってる文化人のサラブレッド。
本人も物腰柔らかであるが、一見他人を気遣っているようで自慢話をしたり、理解できない話を聞くと捲し立てたりとプライドの高さが垣間見える性格である。
ただ悪い人間とも言い切れず、ハイスペック人間の一也と交際をしたいと思っているが、流石に他人の恋人を取ろうとまではせず「物事をはっきりさせたい」ということで宮坂さんと付き合ってないかを確かめる、変なところで律儀な一面もある。
その際に宮坂さんは「付き合ってない」と否定したが、その後彼女が一也と仲良くしている事から激高。
宮坂さんも説明を面倒がった為に村に付いていくこととなるが、その際に土砂崩れに巻き込まれてしまい、重症を負った一也を救うために宮坂さんと共に尽力。
最初はあまりの状況にあたふたしていたが、宮坂さんの説得に耳を貸してからは覚悟が決まったのかほぼ彼女の助手のようになり、2人揃って一也を救うことになった。
つまり宮坂さんと並ぶ一也の命の恩人…なのだが、その後富永に自宅まで送っていかれてフェードアウト。以後登場していない。
後日一也がこの事を思い出す際に存在を忘れられている*56等、いまいち不幸な少女である。

デブゴン/驕れるデブ

帝都大学の医者である若狭に接触し医療支援ロボットイカロスのプロジェクトを失敗させようとした2人組のグループの片割れ。
ハッカーである相方がすべて作業しており、こいつはお菓子食べてるだけで何もしていない。
常に汗をかいており理解度の深い読者であればこいつが患者枠かと予想したものの患者でも何でも無かった。
目的達成祝いとして食事をしているところを磨毛や一也、警察に囲まれるものの、一也や警察を瞬殺できるほどの戦闘力を持ったカンフーの達人。
カンフースターのサモ・ハン・キンポーの異名「デブゴン」の同類と嘯いたことで激昂して椅子を振り上げた
宮坂さんにも攻撃したのが運の尽き、ぶち切れた一也の一撃でのされ、磨毛から「驕れるデブ」と確保されてられてしまった。

江藤(えとう)

西海大学で国内初の手同種移植を受けることになった男性患者、中嶋の心理カウンセラーとして一人が連れてきた人物。
趣味はプラモデルで、中嶋と同じ病室で生活している間もコンテストの締め切りが近いからと制作に励んでいた。

中嶋は移植への不安と江藤の能天気な態度から不満を爆発させたが、実は江藤はT村の生まれ*57であり15年前に手同種移植を受けていた。その事を明かしたことで中嶋の不安も消え去り、手術を受ける決心をした。

ラスカー・ジリノフスキ

KAZUYAの叔父・一昭の側近。
前作では敵組織の名無し幹部みたいな立ち位置だったが、今作ではネームドキャラクターとして味方側に来ている。
前作読者にはドクターTETSUを生き埋め寸前にまで追い詰めたタコ入道と言えば伝わるだろうか。
ようやく名前が出てきたものの名前を呼ばれるシーンが少ない、そもそも覚えにくい等からK2読者の間ではロシアハゲで通じる。
今でも一昭を慕っているため一也を一昭の忘れ形見として守ろうとするが、元々敵だったためKEIの前に姿を現した際にはKEI先生がとんでもない殺気*58を放った。
かつての地下組織は、現在は再生医療研究所となっており、カルト教団「ストロージ・ジーズニ」から一也を護衛するためビクトルを派遣し、自身も来日した。

神津 海(カイ)

放浪中の一也が訪れた、僻地の寂れた島、「医者いらずの島」と呼ばれる破留島に住む唯一の子供。初登場時は小学生の少女。
作中のルビは何故かカタカナであるため、本項目もそれに倣う。
1年前、診療所を営んでいた父が天災から自分を救う形で亡くなってしまった過去があり、父を救うため伸ばした手が届かなかったことがトラウマになっている。*59
診療所は現在、一也同様この島に興味を持って訪れた、行方知れずだった一人の父・一郎が引き継ぐ形となっている。
やんちゃで反抗期気味だが、父の見様見真似だけで的確な応急処置や症状の診断を行える程度の医療知識を持っており、医学に関心を持っているが、一郎にはやや遠ざけられている。曰く「女の子を育てたことがないのでね(集中線)」
父を始めとして、代々この島で人の命を救ってきた先祖たちに誇りを持っている。

その素性は、一郎や一人とも異なる、破留島の中で人知れずに系譜を築いていたKの一族の末裔
父の名は神津 一友(こうづ かずとも)で、もちろん見た目からして(ちょっと老けた)Kの一族。
一也らと共に命を救う経験をし、また一郎に「一友は娘を巻き込まないために手を掴まなかったのだ」と諭されたことで決意を固め、一郎に弟子入りを志願した。

471話の時点では高校進学を控えており、一也たちも通っていた泉平高校へ通う予定。
一郎からの提案もあって島から本土で過ごす=急激に生活環境が変わるのでバックアップのしやすいN県T村で面倒を見ることになりそうだ。
内容はともかくそういう大事なことは手紙だけでなく事前に電話したほうがいいと思いますよ一郎先生

伊駒(いこま)

とある暴力団の主治医で、ヒョウタンみたいな体系をした男性。TETSUとは何度か一緒に仕事をしたことがある。
医薬品の闇販売で組に利益をもたらしたことで組長に信頼され彼の心臓移植手術の執刀医を任せられるほどになるが、伊駒自身は闇世界での成り上がりの為に協力しているに過ぎず、忠誠心はあまりない。
TETSUからは主治医になったことを聞き顔をしかめ、組長に忠誠を誓う側近からも「信用できない」と断言されていた。
懸念は正しく不整脈治療中の組長を過剰投薬で死なせかけるなど、医師としての能力は高くない。

自分のメンツを潰したTETSUへの嫌がらせに手術中のモニターを細工するが効果はなく、2度も組長に危害を加えたことで若頭の手によって東京湾の底へ沈むことに……。


と誰もが死んだと思っていたが、実はその直後にTETSUによって「薬品仕入れルートは役立つ」と説得したことで命を救われ*60、以降は「恩返し」として病気に苦しむ彼のサポートを勝手にしようとする。
TETSUの進言で命を救われたとは言え、金に執着しTETSUに逆恨みしていた人物が、TETSUに暴言を吐かれながらも心からの感謝を述べ(おそらく無報酬で)サポートを続ける姿は人が変わったよう。
彼もまた闇医者TETSUとの出会いにより「闇」を治療された男と言えよう。

因みに彼が命を拾う切っ掛けとなったTETSUからの電話がかかってきた時、埠頭で全身を縄で縛られ脚にはブロックを縛り付けられた状態という、マジでギリギリの状態であった。そりゃ恩義だって感じるものである。

秋葉(あきば)

N県T村に引っ越してきた年配の男性。
村に来た当初はあまり人付き合いをせず、村のあちこちで絵を描いていたが村人が怪我をした際は的確な応急処置を施すなどただものではない様子を見せていた。

実は元傭兵で湾岸戦争に参加していたが、一時も休まることのない戦場での経験によりPTSDとなり、さらに体中に鉛が埋まっており鉛中毒を患っていた。
それを戦争に加担したことへの罰と受け入れてひとり寂しく死のうと考えていたが、一人の説得と、同時期村に強盗団が侵入しようとしており
その対処へ尽力したことで村人からも受け入れられ生きる希望を取り戻す。

一人の協力があったとはいえ強盗団をあっさり無力化したり、女性キャンパーをつけ狙うストーカーを関節技で一瞬で押さえこむなど、傭兵を引退して久しい現在においても驚異的な戦闘力を持っている。

過去のKの一族

KAZUYA(カズヤ)

前作の主人公にして、数え切れない人達を救った伝説の医師「ドクターK」その人。
また、一也のオリジナルであり実質的な“父親”と言える。

続編のK2では彼によって救われた者達が登場することも多く、当時の技術で治療できない患者を未来の発達した技術で治療するべくそうした患者にその証として「10本のメス」を預けていた。
現在に生きる一人達はそのうち8本の持ち主の治療を完了している。後2本なんだけど10年近く登場してない。作者によるといずれやるそうなのだが……

「DoctorK」終盤にて癌に侵されてしまっており、同作最終回は余命幾ばくもない状態でなお妹と共に手術に向かい2018年に瓜二つの人物が現れる、という締めくくりだった。
本作においては(時期的にK2が始まる数年前に)やはり癌で既に帰らぬ人となっており、その癌の発症原因の真実、さらに2018年に現れた「新たなドクターK」の正体も明かされることになった。
晩年は立つことすらままならぬ身でありながらも医の信念を貫き通し、己の魂が燃え尽きる瞬間まで命を救い続けた。
「患者が治って喜ぶ顔が見れたときが嬉しい」とも語っており、そういう意味では心身ともに医者であったのだろう。

こうして書くと硬派な完璧超人のように思えるが、実際は押しの強い人物の行動に冷や汗をかいたり、呆れてギャグ顔を晒したりと結構コミカルなところもある。
一也のオリジナル(父親)だけあってその辺も似ているのである。イメージに反して割とそういう面が多いのもこの人に近いかもしれない
具体的にKAZUYAのコミカル描写の例を挙げてみると、
  • スポーツマン一家の元金メダリストのオヤジの暑苦しさに完全にドン引き
  • 唐突なキスシーンに凄まじい顔芸を披露
  • 患者の書いた医療小説の添削を依頼され、取り付く島もなく即全力拒否
  • 一般人にメスを1本盗まれる
  • ガチモンの心霊現象の数々にはビビる
  • 特徴的であるマント姿について
    • 暑い中でマントを着てるのは不自然!」と一般人にツッコまれる(寒くても日本でマント姿は不自然だろ!)
    • 患者にマント姿を「凄まじい格好」「ファッションを変えてみては?」と言われ、珍しく「い・や・だ」と仏頂面で機嫌を悪くする(このマントは一族の伝統らしく、それを残念な格好扱いされたのだから不機嫌もやむなし)
  • 料理に苦戦し、ただの包丁で魚をさばくだけなのに「ギコギコ」というすさまじい音を出す

また、さすがに生まれつき硬派だったわけではなく、
高校生の時は余りにも偉大で厳しい父に対して自信を失っており、成長後の言動からは考えられないような弱音を吐いていた。
その父との突然の別れが無ければもしかしたら医者という道を諦めていたかもしれない。

年中マント姿という普通に怪しい外見をしている上に、その中にメスやらロープやらを仕込んでいるため、職質を食らったこともある(KAZUYAのマントを着て放浪していた一也も同じ目に遭ったことがある)。
同じくマント姿の一人は「あんな風体の医者がいるか!」などと正論を言われたことがあるが、これは実質的にKAZUYAへの流れ弾になっている。*61
とはいえ流石に子供の頃は着用を嫌がっていた(そのせいで友達を失ったことがあるのも大きいかもしれないが)。
また、血が付着したロープを常に携帯しており、医療というよりも格闘シーンで度々活用している。
これは元々は恩人の物で、血はその恩人の怪我の応急処置にこのロープを使った時についたもの。
恩人の物ということで今も大事にしているらしいが、血が付着したままというのは不衛生ではなかろうか
また、このロープの出自を語った際には「ほぐせば縫合糸にもなる」と言い放っている。本当に洗ってくれ。

そして彼を語る上で欠かせない話題は、その見た目に違わぬ凄まじい怪力
「スーパードクターK」序盤では崩落した建物で応急処置の手術が必要になった際に、落ちてくる瓦礫を背中で支えつつ近くにいた少年(怪我人の子)に指示して手術を行ったことも。
罪のない人々を利用する悪漢や組織には容赦なくその力を振るい、制圧するアクションも見どころの一つなのである。
その見た目も相まって、読者からは「肉弾戦では医療漫画最強候補」「ケンシロウとブラック・ジャックを足して2で割ったような存在」と評されることが多い。

一応、ここまで鍛えているのは「外科手術は体力勝負で、何時間も掛かる手術も頻繁にあるから」という極めて全うな理由からである。
また父親が亡くなった事故の件で「自分にもっと力があれば」と感じた*62り、医学生時代の経験*63も理由とのこと。

現に作中でメス捌きでKAZUYAを超える天才と対決*64した際、
勝負後に急患が出てオペをマラソンすることになり、対決相手が体力切れでギブアップとなった後も一段落付くまでギブアップする事もなくオペを全うしている。*65

加えて、KAZUYAは敵が多いし危険が伴う海外に出向く事も多いので、自分の身を守る為という意味合いも大きいのだろう。
実際、そういう一族の宿命として様々な訓練を積んでいることに言及しており「このぐらいできなければ一人前と認めてもらえなかった」ととんでもない技能(常人の致死量の10倍の青酸ガスに耐えられるなど)を紹介するシーンもしばしば。
豊富な知識と潜り抜けた修羅場の数ゆえに純粋な戦闘能力も作中上位に属するレベルで高く、とあるヤクザの組長の手術後、約束を実行しなかったことに部下が報復しようとした際には組長から「返り討ちにされるのがオチ」と止めにかかっている他、
屈強な警備員数十名を単独で撃破したり、彼を逮捕しようと現れたCIA約15人をこれまた単独で壊滅させたことまである。

とはいえ彼を上回る強豪がいなかったわけでもなく、クロスカウンターの相打ちで互いに膝を付いた際に相手はすぐに立ち上がったがKAZUYAは全く動けなかったり、拳法使い*66に完封されて拘束された事もある。
ここから総合すると「筋力や体力」は鍛えている事もあってバケモノレベルだが、「戦闘における技術」は超一流には譲る、と言った所だろう。
もっとも、KAZUYA自身はあくまで医師であり、人を治すことが使命であり宿命と考えているため、本気で殺意を向けた戦闘はほとんど行っていない。
作中であまりに悪辣な相手に本気で殺意を向けた際にはその医学知識をも利用し、医学的にリアルな残悔拳*67を繰り出して苦しめたことさえあった(最終的に思いとどまって命は助けた)。
また、丸太のような腕から繰り出されるパンチは相当なレベルだが、悪党であれば女性の顔面をぶん殴るのも辞さない派(曰く「女は殴らない主義だが怪物は別」)の人。*68

作中ではほぼKAZUYA、またはドクターKと呼ばれているが本名は「西城カズヤ」(学生時代のアルバムに記載されている)。
歴史あるKの一族の中で最も優れたKであると言われており、その生き様は多くの人に影響を与えた…が、光は同時に影も生み出すのがこの世の理。
彼のあまりにも大きな存在はある種の呪いとも化しており、失われてしまったKをクローンで生み出そうと考える連中や組織が現れたり
一也の存在と素質に気付いた医師が「自分が新たなKを育ててやる」という欲に駆られたりしてしまっている。

ただしこの問題に関してはそもそもKAZUYA自身が人々を救うという一族の使命には熱心でも、もう一つの使命であるはずのKの一族を次代につないでいくことには全くの無頓着であったことも大きい。
かつて許嫁であった黒須麻純に対しては、親が勝手に決めたことで麻純はそれに縛られる必要はない、と婚約関係を一方的に解消し*69
七瀬恵美とも結局深い仲になることなく*70早世してしまったことが後継者問題を引き起こした一因である。
KEIという妹の存在が判明したのも遠因かもしれないが、妹がいると分かる前に、一度癌で大病を患った後にも自身の後継者を作ろうとは一切しなかった辺り、
一部の読者の間では「KAZUYAはKの一族を自分の代で終わらせるつもりだった(=Kの一族を必要としないぐらいに医療技術が進歩する時代が来るのを望んでいた)のではないか」とも言われている。
それかKAZUYA自身、母親を早くに亡くしているだけでなく、両思いになった女性と二度も死別している*71頃から、恋愛というものに億劫になった可能性もある。
もしも一也がいなかったら、Kの一族本家はKAZUYAの代で断絶していたかもしれない。

一堡(かずおき)

KAZUYAの父。詳細は西城一堡のページを参照。

一範(かずのり)

江戸時代に存在したKの一族の者で、KAZUYAが一族の伝説を語る際に登場する。
一見すると彼がKの一族の開祖のように思えるが、彼自身が「我が一族に伝わる~」と言ってることから、Kの一族の源流は上記の通りもっと昔から存在しているはずである。
数百年前から整形手術や皮膚移植を行うなど現代からタイムスリップした医者かと言わんばかりの技術を有しており
彼の腕前を利用して大名に取り入ろうとする者達にいつも狙われていて指名手配まで受けてしまっている。
「コブトリ爺さん」の逸話も実は彼が治療したある若者の話だと伝えられている(コブは異常発育した脂肪細胞とのこと。この際キャンサーも理解していた)。

そして彼もKの一族らしく鬼と間違われるくらい筋骨隆々な偉丈夫であり、追手が放った銃弾をものともせずに突進して取り上げて銃身をU字に折り曲げる、全力で振り下ろされた名刀を素手であっさり叩き折るなど人外の域に達している。
やっぱりこの一族おかしいわ。

一舎(かずいえ)

幕末時代に存在したKの一族の者で、「スーパードクターK」のコミックス25巻に収録された特別編に登場。
長州藩士の雄「高杉晋作」と無二の親友であった。
日本の未来のためには時に血を流すことも必要と考える晋作に軍医としてスカウトされるが、自分は医者であり人を殺めることに手を貸す気はないと断固拒否。
その時の別れ方は傍目からは喧嘩離れのように見えるが、晋作の方はそういう反応をされることを解かっており、一舎も「体を労れよ」と心のなかで願う等、友情は潰えなかった。
相容れぬ考えで道を違えてしまったが、労咳で命を落とした晋作の最期を見届けると共に何処かに姿を消してしまう。

それから時は流れ、ドイツの物理学者「ヴィルヘルム・コンラート・レントゲン」がX線という画期的な発見をしたことにより、医療技術は飛躍的に進歩することになる。
彼の研究チームには素性もわからぬ、一人の東洋人が参加していたという    

そして彼もKの一族らしく筋骨隆々な偉丈夫であり、命を狙ってきた暗殺者を峰打ちであっさり捕らえる、
ケンカの仲裁に入った彼に振り下ろされた刀を指で白刃取りしてそのままへし折るなど人外の域に達している。
やっぱりこの一族おかしいわ。

余談

2023年3月に掲載誌のイブニングが休刊となったが、講談社はこれを機に「人気連載4作とレジェンド完結作4作の計8作品を3か月間全話無料公開」という太っ腹な企画を実施。
本作も人気連載作の一つとして、この企画の8作品としては最多話数となる企画発表時点で単行本44巻、累計443話分以上が無料公開されることとなった。
以前には2021年9月にも約200話の無料公開が行われており、その時にも少なからず反響を呼んだため「あのK2が再び無料!」という声が増えたのも手伝ってか
この機会に本シリーズに触れる読者が大幅増加することとなり、各所に感想が溢れることとなった。一也と宮坂の関係に気ぶってSNSに投稿する著名人も出てきたほど

特に本作については、概要で述べた短編主体故の話のテンポの良さが大きく評価された他、話作りの為に無意味に足を引っ張る人物や極悪人といった不快な人物がほぼ居ない事が話題となった。
結果「(モブや悪役含め)登場人物の人間性の平均が高過ぎる」、「『女子高生』で検索すると変な髪形の医者が出てくる」等と斜め上の感想を漏らす人も多い。

また、印象的なシーンで度々登場する「ギュッ」という特徴的な効果音も話題となり、
「ギュッ」と言えば握手や抱擁ではなく医療従事者が凄んだ際の効果音であるといったミーム汚染も広まっている他、同作者による『ウルトラマンSTORY 0』もセットで語られることが多くなっている。勿論、同作品における「ギュッ」も。

そういったネタ的扱いだけでなく、「これを読むようになってから、症状が軽いからと甘く見ず病院に行くようになった」「痛くなくなったからといって薬を飲むのをサボるのを止め、処方された分はちゃんと飲むようになった」
などの声も散見され、ささやかながらオタクの健康管理意識の向上に繋がっている……のかも知れない。
ちなみにこの漫画のキャラクターを主体として同人アンソロジーが売れた為に利益の殆どをそのキャラクターの病気を研究している機関に寄付したエピソードがあり、そういう意味でも医学や健康への意識の向上に貢献していると言える。

その一方でネットで話題になった作品でもあってか、インターネットで知識をつけた患者を思い込みで自己診断してパニック状態になってしまったのを優しく諭す回もあったりなど、様々な現実の医療現場で起きていることをわかりやすく伝えて注意喚起を促すところもこの作品の評価にも繋がっている。


野獣の肉体に、天才の頭脳   
そして神技の追記・修正を行う男、その名は…Wiki篭もり!

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最終更新:2024年04月22日 09:20

*1 この点が受けたのか、前作は医師専門サイトにおける「好きな医療・医者漫画は?」というアンケートで5位にランクインしている

*2 長編で続く話や現実でも解決できていない課題が残る話など、苦い形の終わり方がないわけではない

*3 医療行政や医学界の政治を取り上げた話はあるが、権力で私腹を肥やす医師や政治家が描かれることはない。前作『スーパードクターK』にはそういった政治家は何人かいたが、KAZUYA等により裁きを受けたり、孫には慕われていたりという最低限のフォローはされていた。

*4 病院内で対立する医者がいても、単なる信念が違うだけだったり人間的に合わなかったりするだけで、患者を救うことに関しては同じ思いであるパターンもある。

*5 アーケードカードゲームの「三国志大戦」やソーシャルゲームの「大戦乱!!三国志バトル」で真船が手掛けた華佗が、どう見てもKそっくりであった為(同作では有名作家にまんまその人のキャラを描かせるのはお決まりの手法だが)。史実の華佗も、麻酔を最初に発明したという逸話がある他、あの時代で開腹手術や脳手術をしたという記録があるなど、時代間違えてるんじゃないかと言うぐらいの化け物医師である。

*6 2024年のトークショーより。本編で語られる予定は今のところないとの事

*7 「T村」という名称が伝わりにくい&覚えにくいため、便宜上の愛称という面もあると言えるか。

*8 19巻 「瀕死のシナリオ」

*9 これらの描写はスーパードクターK時代には大勢あったのは秘密。ある意味本家と分家の活動領域ひいては本作と前作の作風自体の違いを象徴する発言と言えるが、K2でも後に…

*10 瓦礫を手放した際に「ズズゥゥン」という轟音が響いた程の重さ

*11 Kの一族は幼い頃より手術の厳しいトレーニングや毒性に耐える訓練を課せられる。

*12 総合病院でこのような行為は越権行為となる

*13 オペに踏み切った判断と手術内容そのものは褒められている

*14 しかもその前に自分も腹に一発喰らってうずくまっていたにもかかわらず、その瞬間カンフーの達人である犯罪者が反応できないほどの爆発力を見せた。

*15 クローン元(父親)のKAZUYAも、研師に転職した元料理人を励ます際に目の前で魚を捌こうとしたが全く歯が立たず、元料理人から呆れられてしまったというエピソードがあったので、料理下手はオリジナル(父親)譲りなのかもしれない。

*16 一応確認する余裕がなかったと本人は言っているが……

*17 災害発生時などに多数の傷病者が発生した場合に、傷病の緊急度や重症度に応じて治療優先度を決めること。限られた医療スタッフや医薬品等で最大限に救えるように医療活動行う。

*18 ちなみに扱いとしてはパラレルとなっている前作『Doctor K』の最終回に登場したKはK2では一也とされているが、この段階では一已と捉えてもよいという作者の発言もあった。

*19 それでも身体能力はKの一族を受け継いでおり4番でピッチャーで強い学校から勧誘が来るほど

*20 出先で事故に遭い、故郷に戻れば臓器移植での治療の可能性があったのに社会的な都合で臓器移植のあてなしに現地の医師に治療を任せざるを得ず、結果死亡してしまった。

*21 一郎も妻の一件の悔恨から同じ組織で活動していた……が、実は一郎はすでに組織を抜けていて、現在いる一郎(仮)は実は村井だったというミスリード展開。

*22 少なくとも静江が亡くなった時期に持っていたとしたら一郎に変わって彼が村の医者を名乗り連れて帰る選択肢があったと思われるため。現在はどうなっているのかは不明だが、いまだに持っていない説もあれば「医師免許がなかった故の悲劇でもあるし、クローン組織で活動するうえでは医師免許があった方が活動しやすかったのでは?」という理由でなんらかの手段で手に入れているとする説もある。

*23 一人が18歳の頃に行方不明になっているので20年以上会っていなかった。

*24 富永もそうだが、彼は出会ったときには一流の医者と呼べる存在であり、なにより医者としての熱意や覚悟が違い過ぎるため、当初から人格的にも好印象を懐いていた

*25 一也が拾い上げるまで本当に雑巾だと思い込んでいたほど

*26 フリッカージャブの略。ボクシングなどにおいて腕にあまり力を入れず・腰を使わずに、拳を腰辺りまで下げた状態から肘を起点として裏拳のように素早く放つ事が出来るパンチ

*27 夫の借金の取り立てに苦しんだ末に置き去りに……したものの、すぐ考えを改めたのだが、その場で事故に遭い重傷を負ったせいで本当に生き別れになってしまった。

*28 上記の通り一也は周囲からKAZUYAのことはあまり教えられないで一也として育てており、大学生活も楽しく過ごしてほしいという願われていたのである。一人も譲介から言われたことは気にするなとフォローもしていた

*29 ちなみにそれを聞いた譲介は満更でもない顔をしていた

*30 もっとも、これは上記で自分が指摘した自分の能力を隠して大学生活を送っていた一也が必要とあらば隠さなくなっていたため、そこを深見くんに怪しまれてT村まで探りに来てしまったからであり。譲介なりの危ないフォローの仕方である

*31 夜道で熊に遭遇したと思った時。尤もその正体は往診帰りの一人だったが……。

*32 ちなみに扱いとしては現状パラレルとなっているDoctor K最終回の描写では落第するかも、などと発言していたが、K2では落第もしていない。

*33 本作では一也の一つ下の後輩研修医だが、その場合1996年生まれとなり、両親がドイツへ旅立った&結婚した1998年より前に誕生していることになる。

*34 元々老け顔だったせいか加齢描写が前作の姿に口髭が増えた程度で済まされており、読者にしてみると急激すぎる変化だが、メタ的なことを言うと前作最終回では高品のイメージとしてこの姿で描かれていたので、その帳尻を合わせるためだろう。

*35 なんと現実でも医師がわざと寄生させて飼っていた例がある。当然だが、故意の寄生なぞ素人がやろうものなら深刻な健康被害が発生しかねない為、絶対にやめるべきである。

*36 医療法第一条の四 医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、第一条の二に規定する理念に基づき、医療を受ける者に対し、良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならない。

*37 その後再発こそしたが他の医師が手術内容を精査した所「手術は完璧だった」と明言されている

*38 彼女が引退すると決めた時は龍太郎が実の親である龍一を前に「オレはもっちゃんだけが頼りだよ!」と涙ながらに口にしてしまう程。

*39 総合病院には専門医がそろっているためひとりでなんでもやるような行為は許されないの意

*40 医師に近い医療行為ができる看護師

*41 実は情報をリークしたのは相馬ではないのかと思われる、その証拠に自宅謹慎が決まった後、刈矢との会話に「世論は動いた、はじめの一歩にしては上出来だろう!」の台詞があったこと、週刊誌には手術を行った人達しか知り得ないことまで暴露されていた。その後、46巻の描き下ろしにて明言こそされていないものの、相馬がリークしたことがほぼ確定と言ってもよい描写がなされている。

*42 実際は相馬を失い覇気の抜け茫然自失となっていた彼を回復させるために、一旦大学から引き離すための処置であったが、正気を取り戻す可能性が完璧にある訳ではなかったので、紛れもなく賭けではあった。

*43 ちょうどその前にK2が全話無料キャンペーンもやっていたこともあり読者が増えていた後の久々の登場だった

*44 実際、赴任当初の研太は僻地での想定外の重傷者にうろたえ適切な処置ができなかったのは上述の通りであり、父の懸念も合っていたと言えよう。Kの一族の村でなければ研太も今ほどの腕があったか微妙なのは確かである。また研修医制度でも連載開始と同時に始まっているため、研太は該当していない。

*45 ちなみに一人の手術で入れてもらった眼内レンズの耐用年数は10年ほどなので、交換時にはまた一人に頼むとは言っていたがそれから10年以上経っているが、おそらく描写されてないだけで交換手術は行われていると思われる…

*46 互いの祖父が兄弟関係との事で、名字(旧姓)も同じ「斉藤」である

*47 その際は仙道が本気で心配して一也達に連絡を取り、内実を知った際は宮坂は無駄な心配だった事を知ってブチギレた

*48 「子供の頃からの思い出の大好物」の会話で思わずカーチャ(ロシアの蕎麦の実を使用した料理)の名を出したのが不審がられる原因の一つになった

*49 ただし、ビクトルと違ってアニメ関連の話を全然振ってこなかったので、妙だとは思われていた。

*50 一応前作の終盤には見舞いに来ているので、KAZUYAが末期がんになってから見舞いに行かなかったということだろう

*51 なお岡元に無断で施術しており患者に対する説明責任を放棄している上、何より悪徳医療で妻を失った岡元には逆鱗に触れる行為である

*52 この時の「だ……だって……(中略)クローン人間造りに使うなんて思わねえよ!!」という台詞はコピペ改変向きの文面から一部でネタにされている

*53 ただ憎まれ口を叩いた彼に一也も皮肉で返した後に互いに笑い合うという、取りようによっては少しは改心したような描写ではある

*54 精神的な意味でもそうだが、宮坂の縫合技術がなければおそらく一也が死んでいたであろうエピソードがある。

*55 余談だがKシリーズは長寿連載ということもありキャラクターの名字がかぶることは結構ある。木村という名字が善良な老婆と悪徳政治家の両方に使われいたり

*56 その下のコマの流用コマのシーンでは写っているため、マジで一也が忘れている。

*57 ドナーの事を「授け手」とつい口にしてしまう場面がある

*58 青山の項目で前述した意味ではなくマジの殺す気

*59 分家とはいえKの一族である父でさえ息も絶え絶えになる激流に飲み込まれている最悪の状況に陥っていたので、華奢な海一人で助けるなど到底不可能なのは明白。もしも手を掴んでしまえば娘を引きずり込んで諸共に命を落とすことを理解して、父の方があえて海の手を掴まなかったというのが真相であった。

*60 実際に組長は助かったが、既に古い暴力団が生きていける時代ではなく、伊駒の闇販売無くしては活動が難しいだろう

*61 なお、一人も基本的にはマント姿や白衣を着ているシーンが多いが、お焼香をあげに行くとき(やイブニング誌で表紙を飾るとき)等ではきちんと正装している

*62 当時のKAZUYAでは腕力が足りずに父親のみが避難の邪魔をしている瓦礫を撤去する事となり、その結果父親のみ避難が間に合わずに死亡しているが、当時にも作中時代と同等の腕力があれば協力して撤去が出来、避難が間に合って父親も助かっていた可能性が高い

*63 医療行為以外だと例えばライオン相手に銃無しで挑めず、助けられたあげくその人にけがを負わせてしまった、などの経験もある

*64 某所の病院でほぼ同等のケガを負った患者2名をオペで救うタイム勝負を行った

*65 対決相手が運動能力に関わる難病を抱えていた事も大きい、体力と言うよりも病の不調でメスを扱う手首の筋力が持たなかった。そしてそれが対決相手が「完全にダメになる前に自分は世界一のオペの腕を持っていたと証明したい」とこのような対決を決意する理由ともなっている

*66 実は中国の公安の一員であったが実家がKの一族の分家であり、自らの血統に気付いた後は「公安を辞めないまま医師免許を取って社会と人間の病巣と戦う」と宣言している

*67 相手の両肺に穿刺針で外部から穴を開けるというもの。相手は呼吸できず、声を上げられないので助けも呼べないまま約10分後には死に至る。おまけにその相手を放置して去る際に「この10分で自分が手にかけた者たちの気持ちをかみしめるが良い」と、本当に残悔拳のようなセリフを残している。

*68 ビンタで叩くなどといった生易しいものではなく顔面がひしゃげるほどのストレートをお見舞いしている。相手が大学の後輩を殺害しようと押し倒して刃物をふりかざしていた事も大きいが

*69 上述のように麻純の方は本心からKAZUYAのことが好きだった。この時点ではまだ互いに若かったし言い分も一理あるのだが…

*70 それどころか、「俺に妻も子供もいたらどうするつもりだ?」と事実上振っている。これは流石に言い訳不可能なレベルで酷い。この言葉で七瀬もKAZUYAへの想いを半ば諦めたのか、事実上フェードアウトに近い状態となってしまった。

*71 1人目は大学時代に知り合った天才写真家だったが、若くして癌となり死去、2人目は医大の同期でライバルでもあったが、担当した患者が全く予兆のない病気で死んだ事で医学に絶望し、脳内快楽物質を増幅させる装置を開発するが、自分にも人体実験をしていた事で、KAZUYAの腕の中で自殺同然に死亡してしまう。また両思いかは不透明だが高校時代の初恋の人も若くして亡くしている。