11系電車

11系電車 (11けいでんしゃ)は、2000年(平成12年)に登場したちばドリームエクスプレス(以下、 cdx )の直流通勤形電車である。


概要

沼印本線(現:大柏本線)の通称「箱根湯本運用」列車に使われている103系電車の置き換え用として登場した。(「箱根湯本運用」とは、cdx印西牧の原駅からJR常磐緩行線~営団地下鉄(現:東京地下鉄)千代田線~小田急小田原線~箱根登山鉄道線経由で箱根湯本駅まで乗り入れる運用のことである)
cdxで唯一、九州旅客鉄道(以下、JR九州)の車両をベースとしている。結局量産には至らなかった。
車体の意匠デザインは水戸岡鋭治率いるドーンデザイン研究所が、カラーリングはひまわりデザイン研究所がそれぞれ担当している。

車種構成

  • 車種はJR九州303系電車を基準としており、 モハ111形 (M1)・ モハ112形 (M2)・ クハ110形 (Tc)・ クハ117形 (T'c)の4種類である。6両編成モハ111形とモハ112形はパンタグラフの有無によって0番台車と100番台車がある。
  • 電気回路や足回りはcdxの他の車両と併結出来るように、4系電車および8系電車をベースとしている。
  • 基本編成
    クハ110(Tc) - モハ111(M1p) - モハ112(M2) - モハ111(M1) - モハ112(M2p) - クハ117(T'c) + クハ110(Tc) - モハ111(M1p) - モハ112(M2) - クハ117(T'c)

仕様

車体

車体はJR九州303系電車をベースとしており、直線的なデザインが特徴である。
材質は軽量ステンレス製で、前頭部のみ普通鋼製である。車体長20mクラス、車体幅2800mmのストレートボディである。
  • 客用扉は片側に4カ所ずつ設置し、すべて両開きである。ドアエンジンは本家と異なり電動(リニアモータ)式である。半自動(押しボタン)式に切り替える機能は当初無かったが、後に設置された。
  • 行き先表示器は方向幕式、号車番号表示器は黄色7セグメントLED式で、車体中央部に設置している。方向幕のフォントはいわゆる国鉄書体であり、鉄道ファンの注目を集めたが、後にLED式に改造された。

前頭部

前頭部は前面ガラス張りのシャープなスタイルである。
  • 貫通扉は非常時用で、向かって左側(助士席)に設置している。貫通扉はスイングプラグ式で、ヘッドランプを内蔵。前面窓の面積を広くし、視界を確保している。
  • 行き先表示器は方向幕式、号車番号表示器は黄色7セグメントLED式で、前面窓の中に設置。前者は運転席側、後者は助士席側にある。
  • ヘッドランプは角形シールドビーム灯とLED式テールランプのコンビネーションランプを下部に設置している。。

走行機器

  • 制御方式はVVVFインバータ式(GTO)で、ドイツのSiemens製のものを採用。これは当時製造されていた4系電車500番台車にあわせている。
  • 台車は8系電車と同じ軸梁式のCDX-DT08系で、枕ばねは空気式、軸ばねはコイルばねである。
  • ブレーキは電気指令式で、T車(付随車)は遅れ込め制御を行う。
  • 補助電源装置はCVCFインバータ方式。
  • モータは8系電車と同じCDX-MT08形。
  • パンタグラフはシングルアーム式のCDX-PS08形である。

客室

基本構造はJR九州303系電車をベースとしている。
  • 窓はUVカットガラス(UV96・スモーク)を使用した大型1枚窓で、車端部のみ下方向に開閉可能。カーテンは設置していない。
  • 各扉の鴨居部にはLEDドットマトリクス式の案内表示器を設置。計8基設置している。
    案内表示器は1段表示で、次の駅・行き先・路線図・乗り換え案内・マナー文・自社の宣伝文などを表示する。
  • 座席はロングシートで、四角いクッションが独立したものである。
  • 荷物棚はステンレスパイプ製である。
  • つり革は配置は303系電車に合わせているが、形状はcdx標準のおにぎり形である。
  • 車いすスペースは各車両に設けている。
  • トイレは設置されていない。

運転席

運転席は4系電車をベースとしている。運転台ユニットは303系電車のものをベースとしているが、メータや操作スイッチなどの配置は4系電車に合わせている。
  • 303系電車にはATO装置とワンマン運転設備が設置されているが、11系電車は不要なため、装備していない。
  • マスターコントローラ(マスコン)は左手操作のワンハンドル式で、デッドマン機能が付いている。

カラーリング

  • 車体 : ステンレス無地に前頭部と扉はサンフラワーオレンジ( )で着色している。
  • 客室 : 銀色( )を基調とし、扉はサンフラワーオレンジ( )で着色している。床はブルーグレーで、四角のドット模様が入っている。
  • 座席はシート表皮が黒( )で、赤( )のドット模様が入っている。

伝送装置

11系電車には東日本旅客鉄道(JR東日本)E231系電車で採用されたTIMSを搭載し、車内のあらゆる装置をネットワークで制御している。新規設計車両でTIMSを搭載したのは、本系列が初めてである。
  • 運転席にタッチ式の液晶パネルを設置。この液晶パネルで各車両の状態の表示や、各種装置の操作を行う。
  • TIMS-LIGHT搭載車との併結した場合、一部の機能が制限される。

番台区分

0番台

基本番台。

100番台

中間電動車(モハ111・モハ112形)のうち、パンタグラフを搭載していない車両は100番台で区別している。車種記号はM1pおよびM2p

スペックシート

系列 11系
起動加速度 3.5 km/h/s
営業最高速度 120 km/h
設計最高速度 120 km/h
減速度(通常) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.0 km/h/s
車両定員
最大寸法(長×幅×高) 19,500(先頭車19,750) X 2,800 X 3,620 mm
車両質量
軌間 1,067 mm
電気方式 直流 1,500V
歯車比 1:7.07
駆動装置 TD継手平行カルダン駆動方式
主電動機 CDX-MT08形 (180kW)
制御装置 VVVFインバータ制御(GTO素子)・SIEMENS製
ブレーキ方式 電気指令式空気ブレーキ・回生ブレーキ
保安装置 Digital ATC・ATC-10・ATS-G・ATS-P・ATS-SN・小田急ATS


所属・運用

現在所属・運用している線区

印西牧の原総合車両所(印マキ)

2000年に4+6連(''Tc-M1p-M2-M1-M2p-T'c+Tc-M1p-M2-T'c')が1編成投入された。通称「箱根湯本運用」が主体で、印西牧の原駅~箱根湯本駅間の急行運転(JR・東京地下鉄・箱根登山鉄道線内は各駅停車)のほか、JR常磐線我孫子駅~小田急多摩線唐木田駅間の運用が1往復ある。7系電車18系電車と共通で使われており、検査の関係でこれらの一部編成と併結することもある。
通称「箱根湯本運用」のほか大柏本線系統やJR東日本常磐快速線に乗り入れる運用にも充当している。

2007年11月現在の運用線区は以下の通り。


関連項目


ちばドリームエクスプレスの直流電車
特急形 現役 32000系 - 34000系 - 35000系 - 37000系 - 38000系 - 39000系
一般形 現役 0系 - 2系 - 6系 - 7系 - 8系 - (新)10系 - 12系 - 13系 - 14系 - 15系 - 17系 - 18系 - 27系 - 30系
AC-TRAIN 21系 - 22系 - 23系 - 24系 - 25系 - 28系 - 29系
引退 1系(・旧10系) - 3系(63系) - 4系 - 5系 - 16系
旧東湘急行電鉄:7000系 - 9000系
旧北関東鉄道:3000系 - 3500系 - 3700系
その他:旧内房鉄道旧型車
計画のみ 20系
その他


タグ:

車両 直流 通勤形
最終更新:2007年12月07日 00:11