本項では、『レーネガーディヤ』の各歌各章概要について解説する。


第一部:出立(Lerne.1 lirn)

第一歌:英雄の目覚め(Lerne.1:1 fhjacafi pustylo)

第一章:ブラーイェの討伐(Lerne.1:1 1 tysneno blarje)

本編
韻律
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内容
 猛々しい詠い始めの後に英雄たる主人公べーシャが紹介され、その有能さを語るために「ブラーイェ」と呼ばれるドルムの討伐について語られる。村に襲来したブラーイェを追い払った後に村のヒロインであるベルチェが示され、後に休みを村長代理であるラツから勧められる。彼は体を休めるために川へと向かうと、隣国のヴェフィサイトであるラージンが現れる。彼女曰く、その公国は去ったブラーイェに襲われたという。彼女はブラーイェを退去させた方法をベーシャに尋ね、配下のヴェフィサイトの一部を村の守護として残す代わりに共に来るように要求した。ベーシャは一度は断るが、彼女の武人としての責務と自分が起こしたことの始末をつけようと村を一時去ることを決意し、村の者たちに別れの挨拶をする。
 ラージンは公国に向かう間に育ての親の話をする。それによって彼女は元は孤児であり、この公国の高位者に拾われて武人として育てられ、ヴェフィサイト長になるまで成長したことが示される。破壊された街に着くとブラーイェが大量のドルムを伴って現れる。ベーシャたちを嘲る不浄の者たちを前にして、ラージンは一度は怯え、(ブラーイェには効かない)剣の柄に手を伸ばすなど混乱するもヴェフィサイトの手下を連れて、激しい戦闘へと身を投じるのだった。
 最終的にブラーイェは滅びの炎へと投げ込まれることになった。多くの犠牲を払った戦闘の後、彼らは宿敵を倒したのだった。無惨に虐殺された犠牲者たちの霊魂が求めていたことが果たされたことが示される。しかし、仲間を失ったヴェフィサイトたちは哀しみながら、ヴェフィサイトの法のために死んだ味方を慰め始めた。ベーシャはラージンにその育ての親を探すことを提案する。彼らが探した結果、見つかったのは幾らかの白骨だけだった。悲哀に暮れるラージンはそれでも気丈にヴェフィサイトとしての誇りを果たすためにベーシャを村に返すために護衛になることを提案する。ラージンを憐れむベーシャは何も言わずにそれを受け入れる。
 ラージンは村の手前まで無言で護衛をしていたが、手前の丘に到着したときに「送り届けた後に自分は歴訪の旅に出て、ドルムを滅ぼし続ける」と宣言する。その後、二人が見たのはもぬけの殻になった村と武器を失って倒れているラージンの残した部下達であった。驚いた二人は共に村を探すが、村人の影一つ見ることが出来なかった。
 無事に帰るという約束を不条理に奪われたベーシャは最悪の場合を考えて怯えるが、そんな中ラージンは共に同盟を組もうと提案する。これによって公国ヴェフィサイトを代表するラージンと村を代表するベーシャの間に「ラーシャ同盟」が組まれることになった。遍歴の旅でドルムを倒し続けることを誓ったラージン、ラツやベルチェたち村民の行方を探すベーシャはお互いの利益のために組んだのであった。ラージンの兄弟分であるところのノアフは、情報を集めるためにまずは行商人が集まる「白の国」へ行くべきだと告げる。

第二章:白の国(Lerne.1:1 2 flan icco)

本編
韻律
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レゾリューションあり)
内容
 白の国に向けて出立する同盟軍一行だが、その道中にてベーシャはノアフから白い国の話を聞くことになる。白い国は元々、人身御供を文化としていた異端の街であった。しかし、あるシャーツニアーが遠方から訪れ、ドルムを浄化したことによってその統治者として後に祭り上げられたという。白い国の行商街が見えてくるとベーシャたちは到着を確信する。しかし、街の中からヴァルガンテたちに追われている女が飛び出してくる。彼女の名前はシュルといい、詩にウェールフープを込めることが出来る不思議な人物であった。彼女は匿ってもらう代わりに自分の能力がベーシャたちの力になると自薦して、ラーシャ同盟の隊列に加わっていくことになる。ベーシャは鼻の下を伸ばしながら、それを認めることになるが、ラージンとノアフは少しばかりの不満が残った。そんなところで彼女は自分が白い国を統べるシャーツニアーと知り合いであると告げる。そんなことがあるわけがないと言うノアフを前にシュルは首府のフィアンシャへと向かう。守衛に一度は止められるが、白い国のシャーツニアーに出会うことができ、ベーシャたちは果物と水と肉による盛大な歓迎を受けることになる。白い国を統べるシャーツニアーは全面的な協力を申し出るが、具体的な方策に困り果ててしまう。そんななか、ノアフは行商宿の主や客に話を聞いて回ることを提案する。最初に訪れた行商宿の主は一行の望みを聞いて「雌鷹のために」という説話を語り始める。行商宿の主人は、それを語り終えるとその二人が住む地に行ったほうがよいと提案する。

第三章:シュカーシャルへ向かう(Lerne.1:1 3 tydiesto xkarxal)

本編
韻律
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内容
 「雌鷹のために」という説話から、その二人が住んでいたという地であるシュカーシャルという場所を教えられる一行は、その地へと向かおうとする。しかし、シュルは白の国の支配者であるシャーツニアーに別れを告げるためにお礼をすべきだと提案する。ベーシャは自分たちに返礼品など持ち合わせていないと言うが、シュルは自分が商会の商人であるからといって調達できると言い始める。ノアフは彼女がヴァルガンテに追い掛けられていたことを指摘するが、ラージンは自らの参謀なら彼女を護って安全に行けようとシュルの提案が押し切られる形になる。
シュルが目指した先は一つの寂れた革屋であった。そこで、彼らは聖なる祝福が与えられたバーリェを受け取り、シャーツニアーの下へと向かった。彼女は自分の地を去ろうという餞別として、彼らに剣身が紅い大剣を与える。ラージンはそれを錆びているのではないのか、と訝しむ。しかし、シャーツニアーは「物の本質は実体からはわからない」と述べて、その剣の謂れを語った。曰く、この剣は「ギューレ」と呼ばれる名剣であり、敵の血を吸うために剣身が紅色に染まっているのだという。しかし、それを抜くことが出来るのは相応しい限られた人間のみであるらしく、ベーシャの隊列が到着する前の夜にシャーツニアーはその相応しい人間が来ることを預言されていたというのだった。これに対して、ラージンはヴェフィサイトが最も相応しいだろうと主張するが、シュルはこれに対して商人の義務(売れば金になる)を主張し、さらにノアフが反論して議論になる。しかし、ベーシャのみはその剣に見入られて、三人を後にしてその大剣を手に取る。すると、剣は光り輝き始めて、三人はベーシャこそがその剣の支配者に相応しいと認めて、白の国を出発することになった。
 シュカーシャルまでの道中で、シュルは自らの身の上を話し始める。彼女はとあるXelken国の主の娘であり、姫君であった。しかし、周辺国からの風当たりが厳しくなると共に争いが始まってから、不遇に苦しんでいた。自国の民すら反逆するようになった挙げ句に、貧しさから親にも捨てられた彼女はアルタリュム商会によって拾われたという。それからは彼女はXelkenとしてではなく、一人の商人として評価されるようになった。そうして彼女は差別や偏見を克服して、自ら身を立てることに成功したのだった。
 再び出発した彼らはシュカーシャルを見つけることは出来たものの、それは高い塀に囲われていた。門は固く閉じており、ラージン、ノアフ、シュルが各々塀の上に立つ守衛に呼びかけるも開けさせることは出来なかった。しかし、ベーシャが声を掛けると、その威風にあてられた守衛たちは納得した様子で手下に門を開くよう命じるのだった。しかし、町は静まっており、白の国のような活気がない。配下のヴェフィサイトに調べさせたラージンはベーシャに対してこの状況の由来について報告することになる。

第四章:逆徒討伐(Lerne.1:1 4 tysneno lirnye)

本編
韻律
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内容
ベーシャたちはシュカーシャルにたどり着くも、その町が野盗による襲撃に度々襲われており、町民が怯えているということを知った。これを解決しなければ、ドルムに関することを聞くことは出来まいと悟った一行は、宮殿へと足を進めるのだった。宮殿にはエストーデャという男が居て、彼らは白い国のシャーツニアーが飛ばした伝書鳩による書簡で彼らの来訪を先んじて知っていた。ベーシャたちは「雌鷹のために」に聞くシェフォールデャなどが居ないことを訝しみながらも、現況を変えてくれれば知りたい情報を与えようと言うエストーデャの話を聞いて、野盗の討伐へと向かう。
ある夜、ラージンらは件の野盗を討伐するために潜み、それらと対峙することになる。ラージンたちヴェフィサイトは戦いを生業とする者たちであり、野盗たちを皆殺しにしてしまう。その死体を調べてたヴェフィサイトは野盗ではないと気づく。そのとき、エストーデャと一人の女が現れ、女がシェフォールデャの妹トゥアナフであり、ベーシャたちを陥れるための陰謀が用意されていたことが明かされる。
エストーデャの正体は実はブラーイェであった。再び襲いかかるブラーイェであるが、ラージンたちヴェフィサイトによって再び斃されることになった。トゥアナフは、ブラーイェによって操られていたのであり、自らが兄を死に追いやったことを知ると、兄の剣を取って自分の喉を掻き切って自死する。止める間もなく死んだトゥアナフの亡骸を見て、ベーシャはその無情さに嘆く。
指導者が居なくなったシュカーシャルの町は落ち着きをなくし、この町を去ることをベーシャたちはためらっていた。そんななか、シュルがこの町に残って「鎮魂」を行うと言い出す。ベーシャは彼女と離れることに悲しみを感じるが、シュルの決意は強かった。ノアフを始め、仲間たちは彼女に餞別を与える。ノアフはアレス王朝皇帝によって燐字で「勝利」を意味する文字を書かれた防布を渡す。ラージンは越境して攻撃しようとする者を退けるグリメスターマという宝石を与える。
ベーシャ一行は次の目的地として極東水道の入口を目指す。その先にスキュリオーティエの極悪非道の象徴であるサフィアにも例えられるような非道である男がいることを彼らはまだ知らなかった。

第二歌:闇の中(Lerne.1:2 raldenarlaxy)

第一章:残酷王(Lerne.1:1 1 raldiunemer)

本編
韻律
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内容

最終更新:2025年06月30日 15:52