"larfastan p'es dex eska ezost mels tydiesto venaler's penten namo'l ad tysneno xerf zirk, dexestan eska ezost i lar at is cilierkovanfy farblo'c."
「このお話はとある田舎者が出立して、大いなる敵を打ち砕くという与太話。でも、そんな与太話でもこの時代を乗り越えるための力になる」
――『レーネガーディヤ』初版前文
レーネガーディヤ(理:
lernegardija)は、
リパラオネの民族叙事詩。1660年にレシェール・ヴィール・ヴェラトイヤ(
lexerl virl velatoija)の手によって書かれた。
リパラオネ近代叙事詩の中でも、
ユーゲ人の伝承をリパラオネ的に同化させ変質させて成立した
「義の詩篇」に対して双璧をなすものとして重要な文学として知られる。四国再成立後にリパラオネ知識人に知られ、15世紀のヴェルテール哲学の影響も受けていることから、後の
ヴェフィス市民革命や
ユエスレオネ連邦の成立にも思想的刺激を与えたとも考えられている。名称は
「遠き土地の物語」の意。
ヴェラトイヤによる『レーネガーディヤ』は、4巻21歌からなる叙事詩として出版され、後に補遺としての
続レーネガーディヤ(理:
atalernegardija)が2巻5歌として続いている。
成立の過程
17世紀、
エスポーノ・ドーハの手による
スキュリオーティエ叙事詩翻訳に始まる詩韻文復興運動に影響され、民族主義的な著作が数多く書かれていた。そのなかでもレシェール・ヴィール・ヴェラトイヤによって詠われたレーネガーディヤは、作者自身が所属していた
ルティーセ学院大学にて再建されたルティーセ
詩学院のジェパークローマであるヒンゲンファール・ヴァラー・ユトゥザフ(hinggenferl valar ytusaf)の影響を受けて「引用主義」(diravera)の初期的な作品として描かれることになった。
アレステーゼ、
アカデミス、
ブラーデン・アルヴェルクトゥスを標榜するルティーセの影響を受けたヴェラトイヤは
リパラオネで包括される民族の伝承や逸話を収集して一つの物語に編み上げたスキュリオーティエ叙事詩の特性を真似、「近代的なスキュリオーティエ叙事詩」を目指すことを引用主義的な創作の目的とし、その動機を哲学者であるヴェルテール・シュテック・レヴァーニの批判哲学に含まれる
観念論的民族主義に求めた。
新たな韻文の形式を示し、散文文学への道を開いた引用主義文学の一角として君臨し、後の18世紀形式主義(akrapsverlergera)散文文学の地盤を準備し、将来的に
形式主義・創造主義論争の中で
バーリガーデにおけるフラン文学の成立に強い影響を与えた。
反ヴォルシ主義の萌芽
レシェール・イスナシュテイユが反
ヴォルシ主義の観念を打ち上げる2世紀前にして、記者であるヴェラトイヤは最初の
英雄をネートニアーとした。これは当時の文学としては異例であり、それまでの文学伝統においては、
ヴォルシの構造的差別の歴史学に述べられる通り、軍事的任務を担うのが
ケートニアーであるがために主人公たる英雄はケートニアーであった。これが、レイスが述べるような政治的意図であったとは判断できないが、文学的な領域ではこのような書き方が許される社会的変革が近代的な社会の変化に伴って起こっていた傍証とする意見が歴史学者からは主流となっている。
ファンタジーの始まり
レーネガーディヤにおける物語では具体的な歴史的事象との繋がりや地理的事象が語られず、それらは引用主義的なものとして現れて、読者には文脈としての理解を求められる。このような傾向は
リパラオネ・スピリチュアリズムの発端に近いものとして理解されるものであり、後の非直接系文学の形成に強い影響を与えた発端として解釈すべきである。
時代錯誤性
作品の全体を通して時代錯誤な記述が存在している。ただの田舎の村人であるラツやベーシャがスキュリオーティエ叙事詩などの文学を引用して諳んじているシーンが見られる。このような時代錯誤性は引用主義文学の特徴であるため、ラツやベーシャが一般的な田舎人と比して教養に長けるわけではないことに注意が必要である。
特徴
言語としての特徴
書かれた時代の影響もあるが、古ユナ・リパライン語の特徴を残している表現が見られる。例えば、以下のようなものである。
- "at" の共格用法(現代語ではデュイン方言に残るのみ、現代語の共格は "-'tj" を用いる)
- "-'d" の同格用法(現代語では特定の表現に痕跡的に残っているのみ、言語名を表す "lkurftlesse'd ..." や共和国名を表す "chafi'ofese'd ..." など)
- "gir-" の定性用法(現代語では生産的ではない、"giriccen"「自国の」などに痕跡的に残っている)
- 出/入格 "-ski/ska"(現代語ではデュイン方言に残るのみ、現代語では "ler", "-'l/el" などが類似的に用いられる)
- 特別副詞 "vel/cel" による受動態、能動態(現代語では専ら受動動詞 "veles"、使役動詞 "celes" が動作を表す動詞の動名詞を取る迂言法をとる)
- 迂言法が使われないわけではない(第1歌30スタンザなど)。
韻文としての特徴
韻文としては、
『スキュリオーティエ叙事詩』からの民話集成の伝統を継承する意図から
『ヴァルガンテとシリス』の一行十二音節・四行一連詩形を受け継ぎながらも、
スニーオーヴェイノとしない形式をとる。
スキュリオーティエにおいて一般的な行末脚韻は多用されず、専ら頭韻を踏むか、あるいはそもそも押韻を重視しない傾向が見られる。通常古典詩では一行は一文であることが規範となっているが、レーネガーディヤは
『アルダスリューレの行』の影響を受けており、必ずしも一行が一文とは限らない。これらはいずれも形式主義の観点を取り入れたことによる散文化の過程を示す一つの指標である。
韻律は各章(歌)によって異なり、
アグセッレの引用も見られるが、
スキュリオーティエ詩形が三行詩であるのに対してレーネガーディヤは四行詩であるため、完全にアグセッレと同一のものが用いられるわけではない。韻律の一例として、第一歌は短長長四歩格と長長短四歩格を交互に書くような韻律である。
古典詩との長短解釈の違い
古典詩では正書法通りの長短の取り方をするが、レーネガーディヤは一部音声(実際の発音)に沿って長短を解釈することがある。これは、古典語時代からの音声的な変化を反映していると解釈することが出来る。
- "cene", "xale" などを「長短」と取る(/cerne/ [se:ne], /xarle/ [ʂa:le]として「長短」と取る)。
- ただし、"iulo" は /jurlo/ [ju:lo] と /julo/ [julo] として、「長短」「短短」で揺れる。
- "VV"(Vは同じ母音)を「長」と取る("fqaal"は[kwa:l]として長と取る)。
- "fiie" は通常 /fije/ [fije] と読むが、第一歌第一章などでは韻律を構成できないため、必ず /fire/ [fi:e] で読まれる。
登場人物
内容
引用記法
レーネガーディヤの引用は、スキュリオーティエ叙事詩の引用記法に似たような次のような形式を取る。
Lerne.(各部):(各歌) (各章):(各スタンザ)
例
Lerne.1:1 1:65(第一部第一歌第一章65スタンザ)
関連項目
関連リンク
最終更新:2025年06月30日 15:51