初期の扱い
秘伝防具はシーズン9.0(2010年9月)で「秘伝書システムの頂点であり、MHF最高峰の防具」という位置づけで実装された。
が、実装当初の性能は「作成難易度に比例した、最高峰防具である」というのが疑える程に性能が非常にしょぼく、
HCクエにHCチケット3枚が必要、HC素材の入手率1%という悪条件もあって実装当時はただのマニア向け防具であった。
その後フォワード.1(2011年4月)で全秘伝防具の秘伝スキルの性能が大幅に上がり概ね現在の性能を獲得した。
(その後のアップデートで一部秘伝スキルの効果がテコ入れされている)
フォワード.1で秘伝スキルが強化された事によって秘伝防具の性能が激烈に上がった事を示すソースとしては、
杉浦P(当時)がフォワード.1での運営レポート動画版にて
「剣士秘伝に匠を付けたら強力すぎてゲームバランスが崩壊するからやらない」と言っており、
また宮下P(当時はアシスタントP)も、フォワード.4にて
「(秘伝防具の)緩和はやらない。作るのは非常に大変だが、その分高性能である」と発言している事からもうかがえる。
システム上の作成難易度については、フォワード.1後半にHCクエのチケット消費が1枚になり、フォワード.2でHC素材出現率が2倍になり、そしてフォワード.4で秘伝書コースが実装されている。
が、HCクエのチケ消費は当時 マクロによるHCチケ稼ぎが大問題となったことが主原因の緩和であり、HC素材出現率UPは秘伝というよりHC武器の難易度緩和策、そして秘伝書コース実装も本来は『お金によるゲームバランス調整』での実装で、いずれも秘伝防具そのものの緩和が主目的ではなかった。
フォワード.2前半ぐらいまでは、フルFX一式を揃えるのは並大抵の労力ではなく尊敬の眼差しで見られるぐらいであった。
上記の通り、作成難易度に見合う性能という事であったが、 後半に登場したあるモンスターの存在によって作成が単純作業化してしまい、
「高性能防具を作るためには思考停止で同じモンスターを狩り続けなければいけない」という事で問題視された。
特にフォワード.3は内容の薄さ等の要因もあって秘伝防具作りに比較的集中できる環境があったのだが、逆に言えばそれは延々と思考停止単一モンスターを狩り続けるということであり、かなりの批判があったようである。
ただしこの時点では、いわゆる秘伝防具指定は少なくラヴィエンテ火事場PTで指定されるぐらいで、単純作業化したとは言え連戦数が異常に多かった=他の事ができなくなるため、尊敬の眼差しで見られる時代はそれでも続いていた。
秘伝絶対主義時代
事態が激変したのはフォワード.4中盤の UNKNOWN確定配信とそれに続く ギルド優先依頼の実装である。
UNKNOWNの強さと時間限定配信という特性から自由区でも秘伝防具指定が多発し、
その後に実装されたギルド優先依頼で魂集めが革命的に容易になり作成難易度が劇的に緩和されたことから、
一気に作成・普及が進むこととなる。
これによっていわゆる「 秘伝絶対主義」が醸成されてしまい大問題となった。
秘伝絶対主義とは簡単に言えば、「秘伝防具が唯一にして最高の防具」「秘伝防具は誰でも持ってて当たり前」
「秘伝防具以外の防具は総じてゴミ」「秘伝防具を着ていない奴は地雷」等といった考え方やゲーム内の雰囲気を指す。
当時のMHFは効率至上主義が非常に根強く、それ以前の問題として現在ほどハンターが強力ではなかったため、
ネ実ではもちろんのこと、一般ユーザーですらも「秘伝防具以外は要らないし作る必要はない」という人が多かったのである。
事実F5の中盤までは、大抵のクエは秘伝ココ!募集であり、それを作るための優先依頼の募集は凄まじく多く、
果てはその優先依頼募集ですら秘伝ココ!(2着目目当て)がざらであった。
そしてこれによって既存の防具がほぼ全て産廃化してしまい、追加される防具は課金・非課金を問わず
「秘伝があるから要らない」と断じられるという異常事態となっていた。
無論、緩和されたと言っても1日2日で作成できるような代物ではなく、
(主要コンテンツがHRだったので人を集めやすいとは言え)「普通の装備との超えられない壁」は厚いものであり、
秘伝作成を断念して引退に追い込まれたプレイヤーも少なくは無かったと思われる。
これについては杉浦Pも
「あくまで単一モンスターを延々と狩り続けるというスタイルの解決のみを図った結果、
難易度が劇的に緩和されて大量生産されるところまで目が向かなかった。対応を取るのが遅すぎた」
「秘伝防具(の一強状態)は(MHF-Gを迎える上での)借金」
という趣旨の発言をしている。
秘伝一強となった理由は秘伝スキルが強力かつ、当時の装備ではそれをどう足掻いても超えることはできない上に、
秘伝スキルを用いないと通常クエストですら楽にはクリアできないという事情があった。
そのため、ここから約1年半ほどは「秘伝(防具)の対抗となる存在」を用意して秘伝一強に対抗するという策が取られることになった。
その代表格がフォワード.4で登場した 天嵐防具と、フォワード.5で登場した 覇種防具である。
また、覇種武具の素材元である 覇種は「秘伝防具か天嵐(覇種)防具で挑む前提」の調整に当時なっていたが、
秘伝防具はスキルの組合せ上、対覇種では厳しい武器種があった。
そういった武器種は「(秘伝が通用しないので)要らない」という烙印を押されつつも、
覇種防具で新たな運用を見出していく人もいた。
だが、当時はまだ武器種の単一化傾向がMHFでは薄く「覇種に有効な秘伝(武器種)を作れ」という声が強く、
覇種防具は剛種と覇種以外では強化能力が薄いこともあって、全体的には秘伝一強という状況は揺るがなかった。
MHF-G先行テストでは、現在の仕様に加え、「クエストと防具のGRに差があると、防御力が減少する」仕様になっていた。
当時の阿鼻叫喚っぷりは 賽の河原オンラインを見ていただければ分かると思うが、
先行テストで秘伝防具FXが貸与されており、それを使ってG級クエストに挑んで一撃死する構図が大々的にクローズアップされ、
情報が錯綜していたこともあり「今までの苦労を無駄にする気か」「秘伝防具がG級でも有効というのは嘘で、酷い詐欺だ」などと、
相当苦情が入ったようである。
また当時は「G級秘伝防具」がMHF-G計画のかなり後になってから用意されることが示唆されていたため、
秘伝防具の完全な一強状態は今後変化するのではないか、と予想する人もいた。
なお、ここからMHF-Z(2016年11月)までの長い間「秘伝をどうG級最前線で活かすか」
「秘伝(を作った労力)をどう無駄にされないようにするか」などという、
秘伝スキル(秘伝防具)を大多数のプレイヤーが有し、無駄にしないようにしていることを大前提とした見識と、
秘伝スキルそのものが他の要素とは一線を画す特別なものであるという声が広まることになった。
これは秘伝絶対主義時代が到来し、それが完全に瓦解しきる前にMHF-Gという次の段階に移行した事で、
当時多くのベテランプレイヤーが何かしらの秘伝防具を持った(作った)状態で皆一斉にG級へと進むことになった一方で、
緩和されたとは言え秘伝防具が「他装備とは根本的に異なる作成労力」にして「MHF最高峰の装備」であり、
当時の多くのプレイヤーが特別なものとして捉えていた事が挙げられる。
そして、MHF-G時代はMHFも大変革の渦中にあり引退者・新規・復帰者が入り乱れる状態になっていたため、
秘伝防具の位置づけの変化を冷静に俯瞰できるプレイヤーが少なく、「秘伝は特別」という意識が根強く残り続けたということだろう。
MHF-G1~MHF-GG
MHF-G1ではハメが大普及した事に伴い、秘伝防具でも防御力面で問題ないとする声が多く、
新たな選択肢であるG級防具が「秘伝防具のための装飾品」とすら揶揄される状況にあった。
ただ、 ミドガロンなどハメが厳しいモンスターに対しては秘伝防具では対抗することができず
(当時は逆鱗やブチギレの発動が非現実的な上にペナルティも厳しかった)、
秘伝防具への完全な依存状態が払拭される土壌が整いつつあった。
そしてG2では環境面と真根性の仕様の問題から、G級秘伝防具であっても生存性の低さをクリアすることができず即死によるクエ失敗が多発したことで、
クエを問わない秘伝ココ!募集は無くなり、秘伝防具が絶対に必要という空気は一気に薄くなった。
G3ではG級防具の作成難度が劇的に緩和され、G級狩護防具の上方修正と烈種防具の登場によって、
一部の武器種を除いて秘伝防具の重要性が殊更主張されることは無くなった。
ちなみに烈種ゼルレウスは「攻撃力が低すぎる」と批判が多かったのだが、
烈種ゼルレウス自体は防御力の低い秘伝GFでは大ダメージを受けるかなり厳しい相手であり、こういう批判が多く出ること自体が、
秘伝防具を使っていないハンターが非常に多くなっていることの証明といえる。
また、火力面で不利と見られていたG級防具に対してはG級スキルを高めたり烈種防具を投入することで、
今で言う「G級最前線スキル(剛撃+5&一閃+1か、扇射+3&一閃+3)」に近い段階の火力スキルを搭載し、
素(剛力スキル程度。武器種によってはそれ以上の段階)の秘伝防具に匹敵、凌駕する火力を手に入れることが可能になった。
当時「絶対に超えられない」とされた火力差を埋められるという事実は多くのプレイヤーに衝撃を与える事になる。
G3の時点では秘伝防具で「G級最前線スキル」の段階まで火力スキルを満載するのが難しく、
近い段階まで持っていった場合はスキル構成自由度が劇的に低下するため、決定的な火力差を付けることができなくなった。
MHF-GGでは 穿龍棍が圧倒的な強さで席巻することになったのだが、穿龍棍は秘伝スキルありきでその強さを発揮していた訳ではないため、
他武器種(≒他の秘伝防具)の指定募集が淘汰されることになった。
また、GGでは秘伝防具GXとその精錬、いわゆる「秘伝珠」が実装されたが、この時点では労力の割に強力なスキルを組みづらいという声が多かった。
そもそもよく指定されていたのは穿龍棍であり、その秘伝珠を作るのは、
当時のベテランプレイヤーにとっては(F5時代の下積みがある)他武器種の秘伝珠に比べ相当な労力がかかるものであったため、
GG時点では模索に留まっていた。
この関係上「穿龍棍秘伝防具指定」は皆無であり、秘伝防具指定をすると穿龍棍が入りにくくなってしまうことから、
GG時点では近接武器、G5以降は遠距離含む全武器種において「秘伝 防具」の指定は見られなくなった。
そしてMHF-GGを境に、剣士とガンナーのG級での秘伝防具に対する考え方が大きく変わっていくことになる。
剣士は上記の状況から「低防御力だが大秘伝が発動できるG秘伝」、「秘伝装飾品を搭載した他防具」、
「秘伝に匹敵する火力を実現した他防具」の3つによる差別化という3パターンでの模索が行われるようになった。
一方のガンナーは「大秘伝でないと火力が低くて使えない」という風潮が強まった。
装備環境の関係でライトボウガンのみ別パターンの模索も行われていたが、
総合的には上記の風潮に呑まれがちであり、この打破は剣士以上に時間を要することになった。
(なおこうなった理由は、最適解とは必ずしも言えない戦術をガンナー大秘伝で行った事で、
ガンナー大秘伝でどうにかなるバランス=1.4倍の補正がない非秘伝では絶対に火力が足らない、という見識が広まったためである)
ただ、「秘伝スキルそのもの」についての特別性はこの時点で瓦解されたわけではなく、
「穿龍棍なら秘伝スキルなしでも早くクエが回せる」という事実から、秘伝スキルの必要性に目が瞑られていただけとも言える。
事実ガンナーは「大秘伝ありき」という意識に縛られており、
剣士についてもG5以降秘伝スキルへの強い固執が見られるようになる。
一方のHR帯(当時はSR)では、覇種防具ディオレFXシリーズの登場がこれまでのパワーバランスを完全に覆した。
ディオレFXとメラギFX頭の組み合わせ装備が当時のスキルバランスにおいて非常に強力なものであり、
この頃になると秘伝と覇種の作成難度も既に逆転していた(祭PのHC素材交換や、大秘伝にするまでの工程など)ため、
フォワード.5から長く続いた「HR帯で作るべき装備は秘伝防具か、覇種防具か」に終止符を打つことになる。
これによってGG以後のHR帯プレイヤーと、F.5からG級へ上がってきた、
言い換えると「秘伝が特別なもの」だったプレイヤーの間で大きな認識の差が生まれるようになった。
これは概ねMHF-Zまで続く事になる。
MHF-G5~G7
上で書いたように「HR帯で作るべき装備は秘伝防具か、覇種防具か」に終止符が打たれたこともあって、
HR帯のプレイヤーから「秘伝防具、特に秘伝FXの作成難易度が高すぎる」という問題が浮上するようになった。
一応ギルド優先依頼による武器魂緩和、NP、祭PというHC素材交換手段は存在するが、
SRでの対抗馬である天嵐、覇種防具はこのポイント交換で強化に必要なHC素材全てを交換することが可能、つまり連戦数を劇的に緩和可能である。
一方秘伝防具側はメインが武器魂となっており、大連戦を重ねなければならないこと、
さらなる緩和には別途秘伝書コースに課金する必要がある等、天嵐、覇種防具と比べると充実しているとは言い難いからである。
このような意見の対策として、ギルド優先依頼を広く知ってもらうためのイベント開催を行うが、それだけでは不十分と判断されたためか、
MHF-G5で「FXまでの強化難易度が緩和され、それ以外は通常秘伝防具と全く同じ」秘伝防具EXの実装に踏み切った。
こちらも秘伝書コース同様「お金によるバランス調整」となっている。
だが発表後は「課金秘伝で今までの労力を無駄にする気か」という批判がでるようになった。
秘伝EXの本質が知れ渡ってからはほぼ沈静化したものの、秘伝防具EXクジの副産物で武器魂入手の可能性がある点については、
「課金で秘伝強化素材を売っているのはやはり労力を無駄にする行為だ」という批判が一部で残った。
これは上述したプレイヤー間の意識のズレを象徴する事件であろう。
MHF-G5以降はG級防具の性能向上もあって、今まであまり現実的でなかった
「G級最前線スキルと秘伝スキルの共存」が現実的になっていった。
ただ、G級武器Lv50が広く普及していった事や絶対防御態勢スキルの流行で、
穿龍棍でなくとも大半のG級クエストを素早くクリアできるという状況になった。
そして「G級最前線スキルと秘伝スキルの共存」は秘伝防具では難しく、秘伝珠を作ることが求められたため、
通常のG級クエストでそのようなものをあえて用いる必要はないという声が多かった。
MHF-G5.1・G5.2、G6では至天征伐戦と天廊の番人という、従来の常識を超える強敵が登場。
覇種の時とは違い、どちらも秘伝スキル無しではクリアできないという性質ではなかったのだが、
やはり覇種が想起されたためか「秘伝スキル」つまり秘伝珠の重要性が強く喧伝されるようになり、
これらのクエストでは秘伝珠指定が少なからず見られるようになった
( 至天UNKNOWNの記事に、当時の風潮の名残があるので興味があるなら見てみるとよい)。
ただしこの2コンテンツは クリアが絶対に必要というものではなかったため、
通常のG級クエストで秘伝珠指定はナンセンスという声と、
至天征伐戦や天廊の番人で秘伝珠指定があってそれが少なからず成立している以上、
通常クエでも指定した方がいいという声で分かれるようになった。
更にG6以降の剣士装備は「G級最前線スキル以上」を求める場合秘伝スキルの投入以外これと言った策がない状況が起こっていた。
MHF-G7ではその状況を大きく変えるため剣神、始種武器、始種防具が投入されたのだが、
直接火力を引き延ばすスキルはG6.1の闘覇以外明確なものはなかったため、
スキル枠問題の解消はなされたものの、上述した状況の変化はなかった。
上で少し触れた闘覇についても、当時はまだ「相手やプレイスタイルによる」という認識は一般的ではなく、決定打にはならなかった。
より上を目指す為には秘伝スキルが絶対に必須という声が上記の議論を加速させることになったのは言うまでもなく、
この議論もMHF-Zごろまで続くことになり、再び秘伝スキルの絶対主義が起こるのではという懸念も出てくるようになった。
なおガンナーはMHF-G6においても「大秘伝一択」から抜け出せなかった。
その為、秘伝珠はともかく絶対防御態勢スキルを秘伝防具で発動できないという状況から、
「ガンナーは剣士に比べ致命的に性能が低く、必ずしも使ったり指定したりする必要はない」
という考えが広まってしまう。
一応ライトボウガンのみ必ずしも大秘伝一択とは言えない状況はあったのだが、
ネ実などではほぼ選択肢に挙げられない状態になっていた。
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ライトボウガンの事情 |
ライトボウガンに限っては、当時は速射スキル+速射が主流だった事から、
真根性発動のG級秘伝防具とGX防具主体装備との火力差があまり生じないという事象がG3前後から確認されており
(G級秘伝防具のスキル配分が良くないため)、火力特化の大秘伝と汎用性特化のGX防具という棲み分けはギリギリ可能な状態であった。
G6.1で登場した闘覇スキルにより、これに加えて秘伝珠装備
(当時の銃傑補正1.2×闘覇の1.2倍=1.44倍となり大秘伝の補正を上回る)の開発も少しずつだが始まることになる。
が、闘覇のSPを持つ装飾品を精錬できるようになり、G級武器を大きく上回る 天廊武器の登場により、
「天廊武器+大秘伝+闘覇で超速射をすればいい」という声が大きくなり、
この時点では完全に秘伝一式以外の選択肢を脱していた、とは言いがたかった。
(そのためG7開始前ぐらいまでの装備シミュは、天廊武器前提の超速射スキル構成装備が多く見受けられる)
この当時は後付の貫通弾超速射の補正が0.9倍と考えられていたための事象だが、
G7直前になって実際は0.75倍だったことが判明している。
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だが ガンナーもMHF-G7で登場した 始種防具にて転機が訪れる。
始種防具は全ての武器にて弾のクリティカル威力を強化する効果があり、
弓については秘伝スキルと 始種防具のビン強化効果が重複することが発見された。
秘伝珠+ G級防具+ 始種防具で火力特化大秘伝に匹敵するようになり、
大秘伝に拘らない装備構築や、 ガンナーの立ち回りの再構築が始まることになった。
MHF-G8~G10
MHF-G8では ライトボウガンと弓の秘伝スキルの攻撃力上昇値が1.3倍に上方修正され、
変更されなかった大秘伝との差が一気に縮まった。
そして ヤマクライに対して ガンナー指定が行われたことで ガンナー武器種が一気に復権し、
しかも大秘伝では防御力の関係でクエスト安定性に悪影響を及ぼす事も分かり、
ライトと弓は近接武器同様、秘伝防具を絶対とする風潮を完全に打破することになった。
ヘビィボウガンについても上記の件を踏まえ(いずれライトと弓と同じ状況になる)、装備模索が始まるようになり、
この頃になると「秘伝防具でなければならない」という風潮はどの 武器種でも見られなくなった。
一方、G8序盤においては秘伝スキルの絶対主義が再発寸前に陥る事件が起こっている。
遷悠種 ジンオウガの対策が研究されるまでの間、秘伝珠装備を利用したハメ募集が行われ、
遷悠種は通常クエストに近い仕様であることから、通常クエストでも秘伝珠の重要性が喧伝されるようになったのである。
幸い、次の遷悠種 イビルジョーがハメ不可能かつハメるほどでないという事が分かり、
その次の ブラキディオスと ベリオロスもハメ自体は一応可能だが安定しないということから沈静化はしたが、
上記の懸念が再び過熱することになったのは言うまでもない。
また、G8からは今まで机上論レベルに留まっていた「剛撃+5&一閃+3」の組合せが、
アビGXシリーズの登場によって現実味を帯びるようになった。
流石にこの時点では秘伝珠との両立は厳しい(当時は武器スロットの無い G級武器か 天廊武器がよく指定されており、 始種武器・ 遷悠武器はそこまでメジャーではなかった)ため、G級最前線スキルを超えるための策として、
「G級最前線スキル+秘伝珠」という選択肢以外に「剛撃+5&一閃+3」という構成が模索されるようになった。
G9以降はこの装備構築が更にやりやすくなる。
そしてMHF-G9より、これまでの流れを大きく変えることになる事象が数多く発生することになる。
まず最大のポイントは上でも触れた「不退」スキルの登場である。
このスキルは当初「秘伝と非秘伝の差を埋めるための、ペナルティ付きの 普通のスキル」と予想されていたのだが、
蓋を開けてみるとそのすさまじい作成労力の高さが判明し、
これとG級 進化武器の元である ラヴィエンテこそがMHF-Gのエンドコンテンツであると認識されるようになった。
その結果、課金・非課金共に救済要素のある秘伝珠がエンドコンテンツとは見做されなくなったのである。
不退スキルはこの時点では(難度の高さに必ずしも見合わないという理由で)多くのプレイヤーに注目されるものではなかったのだが、
それも秘伝スキルの位置づけを大きく変えることになる理由の一つとなった(後述)。
そしてこの ラヴィエンテ猛狂期戦では豪放+3がほぼ必須になるということが判明してから、
それまで可能だった「豪放(の超高級耳栓効果)の代わりに秘伝スキルを発動させて枠を節約できる」という事が非現実的になってきた。
また、纏雷、巧撃、閃転と言った新たな新たな火力スキルや、
従来と異なるアプローチでダメージブーストを図る氷界創生スキルが新たに登場。
当初はどのスキルも真価を発揮できる状況の模索が進まず、
秘伝スキル+闘覇で生み出される高い攻撃力補正と弱点特効を用いて物理で適当に殴ればよいといわれていたのだが、
闘覇との相性が絶望的に悪く、絶対防御と弱点特効もほぼ全ての状況で機能しない極み吼える ジンオウガの登場により、
巧撃と不退スキルの価値が大きく見直され、それに伴って2015年以降の新モンスターの肉質配分などが再考察された結果、
上述した「(秘伝スキルで)物理を上げて適当に殴ればいい」は不適当で、
「物理を上げてピンポイント弱点を精密に狙い続ける」か「肉質を軟化させたり肉質に依存しないスキルを投入する」
という解が導き出されるようになり、後者の実現手段となりうる纏雷、不退、氷界創生、G8の変撃が再注目されることになった。
これによって全ての 武器種で(不退を使わない限り)有効火力スキルを全部入れようとするとスキル枠が足らないという事態が発生し、
「発動できる火力(物理ダメージ増加)スキルは全て投入する」という従来の常識から、
「 武器種・武器・狩猟対象・戦術などを加味したスキル取捨選択」が求められるようになった。
(正確にはG10の消費特効スキルの実装後に強く意識されるようになった)
これは秘伝珠装備では更に重くのしかかるようになり、秘伝スキルを導入しても(他の強力なスキルの発動を断念することで)使い勝手はともかく、
火力については極端な差が出ないという状況も生まれるようになった
そのため、「一閃+3&真打(扇射)+3&秘伝スキルが唯一最強の構成」や「秘伝スキルが最強の火力スキル」とは言われなくなった。
不退スキルが有効に機能することが判明していた極み吼える ジンオウガ戦(2回目)においては、不退or秘伝といった募集なども見られるようになった。
ただ、この時点では不退スキルを用意することの本質(着手したい人とそうでない人の間に絶望的なほどの壁がある)があまり意識されておらず、
「秘伝スキルと不退スキルは純粋に発動難度の高いスキル」という認識が出るようになったこと、
そして極み吼える ジンオウガにて多く指定された事もあってか、
野良での秘伝珠指定が増加し、それ自体を問題とする声も少なくなっていった。
上記の件から「(不退ほど) 特別なものではないからこそ必須である」という声が出るようになったが、
「秘伝」が他の(近い効果を持つ)火力スキルに優先されて指定されているという状況や、
有効スキルの取捨選択において秘伝スキルが優先されている状況を鑑みるに、
「秘伝スキルは特別なもの」という意識は、この時点でも大きくは変化していなかったと思われる。
一方、G9.1より始まったプロジェクトRでは、HR帯の秘伝防具の位置づけに決定打が打たれた。
2016.3.17のプロジェクトR第二弾により、HR/SR防具には「鎧玉」による強化システムが実装され、
天嵐・ 覇種防具もこの恩恵を享受し作成難度が大幅に低下した一方で、秘伝防具はその恩恵に与れなかったためである。
そしてG10のプロジェクトR第三弾ではG級の道のりが同一クエストの連戦で達成できなくなったので、完全にHR帯での作成意義は失われた。
これによって長らく続いた「HR帯で頑張って作った秘伝をG級でも引き続き使うにはどうすべきか」という点も考慮する必要がなくなったのだが、
一方で秘伝珠作成のために、「 既に需要が無くなったHRクエストでの連戦が必須」という、
上述した他の防具とは一線を画す違いが出てくるようになった
(この時点では、HRが通過点と完全には認識されていないため、上記の点は強くは意識されていない)。
なおMHF-G10では秘伝防具の作成難度が少しだけ緩和されることになった。
武器魂・天の秘伝天昇デイリーが常駐化し、G10終盤には武器綬と武器勲の結晶が(期間限定かつ課金で)初登場したためである。
後者について、G5時のような大きな批判が起こらなかったということもあってなのか、
G10.1では後述するがかなり思い切った緩和策が実施されることになる。
MHF-G10.1以降
G10.1では新しい特殊武器として、 祈歌武器と呼ばれる武器が実装された。
これは祈歌の力を受けることで 真秘伝スキル(大秘伝)が発動するという驚きの効果であった。
実際には時間が限られている&当初は スラッシュアックスFのみだった(第二回より他の 武器種も順次解禁)ため、
バランスに大きな変化が起こったわけではないが、後に秘伝スキルそのものの位置付け変化を促す種となった。
そして2016年8月10日より、既存の秘伝珠4色を用いて生産する「真秘伝珠」が追加された。
秘伝スキルそのものは一切変化せず、G級スキルも1個しか搭載されないため、
割に合わないという意見が多く寄せられている事が8/17の運営レポートで言及されているが、
これについては意図的であることが、同レポートをしっかり読み解くことで理解できるものとなっている。
内容を噛み砕くと以下の通りに纏められる。
- 真秘伝珠の作成難易度の高さ…既存の秘伝珠が後述の施策によって緩和され、代わりに以前の価値を引き継ぐため
- 上記施策実施の意図…様々な[[武器種]]の珠秘伝を作成しやすくするため
- 何故実装したのか…上記難易度に書かれている価値関係と、難易度が高いの承知で更に尖った装備を作りたい人のため
そして、8月10日より武器勲の ギルド優先依頼が追加され、
8月17日(正確には前週から)から ギルド優先依頼の武器魂・武器綬・武器勲入手量が増加した。
これによって普通の秘伝珠はそれまでと比べ大体2/3程度の労力という、かなり規模の大きい緩和になった。
8月10日より武器綬デイリー、 スラッシュアックスFの魂・綬デイリーも常駐化している。
非課金での作成難易度の緩和(間接的な緩和である、 ギルド優先依頼を除いて)は今まで実施されておらず、
緩和と明言された上での秘伝防具作成難易度緩和施策実施は今回が初である。
ただ、これらの件については 7月下旬以降急ピッチで発表され、更に情報量も少なかったがために理解しづらく、
誤解を招いたり、難易度の高さとそれに吊り合わない性能ばかりが注目されてしまったのは否めない。
上で書いたとおり、秘伝スキルはG9.1以降必須性を感じるプレイヤーが増加し続けており、
実際に(特に解禁したての)通常クエストでも珠秘伝指定が見受けられるようになったこと、
指定せずともGR500以上のハンターの装備を覗くと珠秘伝装備ばかりというゲーム内情勢が、それを表しているとされた。
そのため、上記の「緩和」についても、事実上MHFをプレイする上で秘伝珠作成が絶対に避けられなくなった事をMHF運営も承知の上で、
無理に対抗馬を用意するよりは広く普及させる方向に舵を切る、つまり秘伝珠絶対主義が起こることを覚悟の上で実施したと、
この時点では考えられていた。
後にこの方針は事実だったことが裏付けられたのだが、MHF-Z直後は少々異なる動きがあった。
MHF-Zでは「秘伝珠が5スロット必須」である事が重大な難点として捉えられるようになった。
これはZ直後の時点では、 まだ秘伝スキルと他のスキルの直接比較が行われていたため、
辿異スキルによるスキル枠強化・スキルそのものの強化、そして15~18個の装飾品スロットを限界まで活用する事で、
G時代の秘伝珠構成を上回るダメージブーストが秘伝珠なしで実現できるようになった、
つまり"G時代の秘伝珠構成で硬直しているぐらいなら、秘伝スキルなしの方が強い"という状況があったのである。
勿論秘伝珠装備でも辿異スキルによる強化は享受できるのだが、「5スロット必須」という条件から、
スキル革新が秘伝珠を用いない装備に比べて当時はやりにくく、
歌姫狩衛戦・真説の猟団迎撃戦で真価を発揮する調整がされた「 祈歌武器」は、
秘伝珠を作ることなく、秘伝珠無しで極限まで強化したスキル構成に大秘伝スキルを与えることができる。
これによって「秘伝珠を用いる場合の難点」を意識するプレイヤーが増えることになった。
また「辿異種」と「極み個体」という、MHF-Zにおける最高難度のクエストが、
秘伝や不退スキルを用いずとも辿異スキルによるハンター側の強化で十分拮抗・対抗可能(後者についてはソロの場合相当の工夫が居る)であり、
上で述べた不退スキルの特殊性がはっきり意識されるようになったこともあり、
G時代に不退と肩を並べていた秘伝スキルも、特別性・重要性・必須性に言及する声が減少することになった。
実際にZ1.1の猟団迎撃戦限定で登場する ケオアルボル戦では、
コンテンツの性質上「 祈歌武器」を限定する形で指定していればステータス欄を見るまでもなく簡単に秘伝スキル持ちを集められるにもかかわらず、
単純な(秘伝珠指定のない)辿異・ 始種武器指定も数多く見られた。
解禁したての通常クエストで秘伝珠指定が乱立していたG10.1時に比べれば非常に大きな変化と言えるだろう。
そしてMHF-Zでは完全に「HRがチュートリアル」とされる状況が仕上がったが、
秘伝珠を作る為に需要の無いHRクエストを連戦しなければならないという事実は現在でもほぼ変わっていない。
そのため秘伝珠は不退同様に「準備に 特別な手間がかかる」ものになったといえる。
Z以降、「 極ノ型」に代表されるハンターの強化もあって効率のための火力第一主義は更に衰退しており、
長く長く続いた秘伝スキルの絶対性もそれに伴い衰退傾向にある。
そのような点を踏まえると「やりたい人がやればいい」という、本当の意味でのやり込み向けコンテンツに近い存在になりつつあると言えるのだが、
この性質が分かりやすい不退ですら「必須」という声が強まっている昨今において、
その前提にされることも多い秘伝スキルの入手がスルーされる事はなく、
運営側も10周年アップデートのグッズに秘伝珠交換券を入れてみたり、
2017年11月アップデートにて他 武器種の魂・綬・勲を変換できる機能を実装したりしていたものの、
先述の「HR大連戦」を絡めないと秘伝珠が入手しづらいという性質に変わりはなく、
秘伝指定自体も増加の一途を辿る(不退指定に比べるとそうでもないが、不退の入手過程では秘伝スキル搭載がスルーしづらく、
実質不退指定=不退&秘伝指定と同義と考えてよい)状態であった。
2018年3月28日より、先述したハンターライフコースでの秘伝珠入手というこれまでの「緩和」とは本質的に一線を画した対応が行われる事が発表された。
この意図は先述の通り「(新規プレイヤーにとって入手が非常に面倒になった)秘伝指定が多すぎて新規・復帰者の参加の障壁になる」状況が続いたため、
既に秘伝珠を作ったプレイヤーからの反発も覚悟の上で、入手性そのものを根本的に見直すというものであった。
これによって秘伝珠絶対主義が勃発する……かと思いきや、そもそも秘伝防具絶対主義の根幹は
「やり込みの到達点、プレイヤースキルの指標」がその立ち位置を変えないまま容易に入手できる事が喧伝された、
というものであり、HL秘伝珠はその「プレイヤースキルの指標」という概念を根本から壊す事に繋がった。
また、この頃になると冒頭で述べた通り秘伝スキル「だけ」を搭載しても与ダメージの激増には繋がらず、
では秘伝スキルが不要なのかというとそうでもなく、総合力を高めるための手段として有用、という認識が見受けられるようになった。
そしてGR500にならないと秘伝珠は如何なる方法でも入手できず、GR500以降は秘伝珠入手が容易に行えるということで、
過去の「秘伝絶対主義」と同様の状況は特段発生していない。
ちなみに装飾品側のテコ入れが2017年以降継続的に行われており、高難度クエストをクリアする必要はあるが、
剛撃・一閃、そして他の有力スキルが高水準の値を持つものが手に入るようになった。
真秘伝珠数個が必要になる場合はあるが、剛撃+5&一閃+3の秘伝スキル構成も組みやすくなってきており、
フォワード.5以降ずっと行われてきた「秘伝スキル有装備に追いつく非秘伝装備」の模索も、あまり意味のないものになりつつある。
MHF-ZZでは剛撃+5の上位段階が追加されるが、当然これも秘伝スキル有で構築が可能なものになっており、
「非秘伝の差別化要素」ではなく、更に総合力を高めるための選択肢 と考えられている。
Z1.1の秘伝スキルカフも従来の秘伝珠にとって代わる存在ではなく、
前述した「秘伝珠が5スロット必須」や「秘伝スキル自体にスキル枠を使う」事の解消につながり、
装備構成の自由度を高める選択肢の追加であると言える。
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