エピソード
船の名は……
ここまでいくつの死を見てきたことだろう。
そして、これからいくつの死を見なければならないのだろう。
明日への希望を空挺に乗せて戦ってきた友がひとりまたひとりと俺の前から姿を消す。
皆、己の自由のために戦ってきた。
あの横暴の限りを尽くす連中から自由を取り戻すために。
そして、これからいくつの死を見なければならないのだろう。
明日への希望を空挺に乗せて戦ってきた友がひとりまたひとりと俺の前から姿を消す。
皆、己の自由のために戦ってきた。
あの横暴の限りを尽くす連中から自由を取り戻すために。
だが、あいつは俺のために命を捨てた。
俺に構わなければ拾えた命。
あの日も俺は連中と戦っていた。
船の操作には自信があったし、敵にも味方にもその腕で負ける気はしなかった。
今思えば、あの時の俺は驕っていたのだ。
俺に構わなければ拾えた命。
あの日も俺は連中と戦っていた。
船の操作には自信があったし、敵にも味方にもその腕で負ける気はしなかった。
今思えば、あの時の俺は驕っていたのだ。
その時は折しも嵐が吹き荒れ、空艇の舵も暴風に取られるほどであった。
だが俺は自分の腕を過信し、強引に船を進めた。
それまでに失ってきた友の仇を取るという強い気持ちもあったが、それよりも功名心の方が勝っていたことは否めない。
結果、風上を敵に取られた俺は追い詰められた。
だが俺は自分の腕を過信し、強引に船を進めた。
それまでに失ってきた友の仇を取るという強い気持ちもあったが、それよりも功名心の方が勝っていたことは否めない。
結果、風上を敵に取られた俺は追い詰められた。
ここで俺は終わる。
そんな覚悟を決めていた時だ。
あいつが、俺が戦い始めた時からずっと行動を共にしていたあいつが、敵陣の脇腹に空艇ごと突っ込んでいった。
俺は隙のできた敵連中を一掃し、突撃後形を失った空艇の残骸から友を探し出す。だがもう手遅れだった。
俺の慢心が、友を死に追いやった。そして連中も、また。
そんな覚悟を決めていた時だ。
あいつが、俺が戦い始めた時からずっと行動を共にしていたあいつが、敵陣の脇腹に空艇ごと突っ込んでいった。
俺は隙のできた敵連中を一掃し、突撃後形を失った空艇の残骸から友を探し出す。だがもう手遅れだった。
俺の慢心が、友を死に追いやった。そして連中も、また。
これからはあいつの思いも背負って戦い続ける。決してこの誓いを忘れぬ。常に我が魂は友の名でもあるこの空艇……ロンヴァリオンと共にあり。
空に突如巨大船現る!
先日未明、上空に突如巨大な船が出現しました。
飛んできたわけではありません。
本当に突如、空から生まれたかのように姿を現したのです。
目撃者である農家の方の証言を入手できましたので紹介します。
飛んできたわけではありません。
本当に突如、空から生まれたかのように姿を現したのです。
目撃者である農家の方の証言を入手できましたので紹介します。
「いつも通り作物の状態を見ようと外に出たんだ。そしたら空の様子がいつもと違うっていうか……こうぎゅっと歪んでる感じ?
妙だなぁなんて思ってたら急に大きな船がどーんと出てきたから驚いたよ」
妙だなぁなんて思ってたら急に大きな船がどーんと出てきたから驚いたよ」
なお船はその後、高速で飛び去っていったとのことです。
ここで空艇に詳しい技術者の見解を記載します。
ここで空艇に詳しい技術者の見解を記載します。
「私も目撃者に話を聞いて、その船の絵を書いてもらったんだが。あんな船は見たことがない。
本当にあの絵のままの規模の空艇が高速で飛び去ったのだとしたら、俺の技術ではとてもじゃないが建造なんかできやしない。
いや、俺だけじゃない。きっと世界中の技術者に聞いたって、あんなもの作れるものか。
もし作れるやつがいたら世の中がひっくり返すぞ。
何かの見間違いじゃないのか?」
本当にあの絵のままの規模の空艇が高速で飛び去ったのだとしたら、俺の技術ではとてもじゃないが建造なんかできやしない。
いや、俺だけじゃない。きっと世界中の技術者に聞いたって、あんなもの作れるものか。
もし作れるやつがいたら世の中がひっくり返すぞ。
何かの見間違いじゃないのか?」
彼は技術者の中でも特に優秀であり、彼がそういうのであれば見間違いだったのではないかという意見も最初は有力でした。
ですが、その後もその船を上空で見たという情報は次々と入り、我々もこの目で確認しました。
もはやこの空艇の存在は周知のものとなっていますが、いまだそれを作った技術者、国は明らかになっておりません。
出現した理由もわからず、人々の不安が大きくなる一方でしたが、つい先日、破神の眷属と戦う姿が目撃されたとのことです。
街で人々にこの空艇の行動について意見を求めたところ、破神への恐れもあってか賛否両論で、破神に対する今後の我々の姿勢についても問われることとなるでしょう。
ですが、その後もその船を上空で見たという情報は次々と入り、我々もこの目で確認しました。
もはやこの空艇の存在は周知のものとなっていますが、いまだそれを作った技術者、国は明らかになっておりません。
出現した理由もわからず、人々の不安が大きくなる一方でしたが、つい先日、破神の眷属と戦う姿が目撃されたとのことです。
街で人々にこの空艇の行動について意見を求めたところ、破神への恐れもあってか賛否両論で、破神に対する今後の我々の姿勢についても問われることとなるでしょう。
雑誌「巨大船を追う」より抜粋