エピソード
ルベール沖海戦
オルダーナ大陸ルベール海岸……。
現在は穏やかな海岸線で知られ、夏には多くの海水浴を楽しむため多くの人々が訪れている。
だが破神との戦いの時代、ここは一大海戦の舞台となった場所でもある。
現在は穏やかな海岸線で知られ、夏には多くの海水浴を楽しむため多くの人々が訪れている。
だが破神との戦いの時代、ここは一大海戦の舞台となった場所でもある。
南よりオルダーナ大陸を侵攻していた破神の眷属たちであったが、その戦況は膠着時代に陥っていた。
そこで彼らは大陸の横腹とも言えるこの海岸より軍を上陸させ、大陸制圧の楔を打ち込むことを計画する。
その動きを察知した人類と魔獣の連合軍は、計画を防ぐべく迎撃の船団を編成。
その船団の副司令官となり、実質的な指揮を執ったのは航海士のゼクシスという男だった。
元々彼はオルダーナ港の船乗りだったが、航海中に海賊や魔獣に襲われた際に無類の強さを発揮して撃退。それが神聖ロダール王国の騎士の目に止まり、戦士として召集される。
彼としてはそれは不本意な招集だったが、そこで戦闘、戦術などの基礎を学習し、その後はオルダーナに戻って公用船などに乗り、警護任務などにあたっていた。
そこで彼らは大陸の横腹とも言えるこの海岸より軍を上陸させ、大陸制圧の楔を打ち込むことを計画する。
その動きを察知した人類と魔獣の連合軍は、計画を防ぐべく迎撃の船団を編成。
その船団の副司令官となり、実質的な指揮を執ったのは航海士のゼクシスという男だった。
元々彼はオルダーナ港の船乗りだったが、航海中に海賊や魔獣に襲われた際に無類の強さを発揮して撃退。それが神聖ロダール王国の騎士の目に止まり、戦士として召集される。
彼としてはそれは不本意な招集だったが、そこで戦闘、戦術などの基礎を学習し、その後はオルダーナに戻って公用船などに乗り、警護任務などにあたっていた。
身分の低い者が艦隊を指揮することには反対意見も多かったとされるが、ゼクシスと共に戦ったことがある英雄アデルは彼を強く推薦する。
結果、身分の高い者を名目上の提督の役職につけ、実質的な指揮をする彼を副司令官とすることになった。
ゼクシスは、艦種も兵種もバラバラだった混成艦隊を組織的な行動ができるよう再編成しつつ、ルベール海岸とミガル島の間の海域の潮の流れを改めて調査。
オルダーナ港よりミガル島沿いに南へ向かう潮の流れが早いことを知った彼は、艦隊を二つに分ける。
一隊は、ルベール海岸で敵艦隊を待ち受ける本隊。
そしてもう一隊は、本隊での戦闘が始まった後、オルダーナ港よりミガル島沿いに航行。その後に敵艦隊を背後より急襲する別働隊であった。
結果、身分の高い者を名目上の提督の役職につけ、実質的な指揮をする彼を副司令官とすることになった。
ゼクシスは、艦種も兵種もバラバラだった混成艦隊を組織的な行動ができるよう再編成しつつ、ルベール海岸とミガル島の間の海域の潮の流れを改めて調査。
オルダーナ港よりミガル島沿いに南へ向かう潮の流れが早いことを知った彼は、艦隊を二つに分ける。
一隊は、ルベール海岸で敵艦隊を待ち受ける本隊。
そしてもう一隊は、本隊での戦闘が始まった後、オルダーナ港よりミガル島沿いに航行。その後に敵艦隊を背後より急襲する別働隊であった。
……かくして戦いの準備は整えられ、両陣営とも決戦の場所へとそれぞれ艦を進めていく。
ある航海士の手記その1
「その日、海には嫌な風が流れていた。血を予感させる嫌な風だ。その予感通り、偵察艇より先程連絡があった。
破神軍の艦隊が、このルベール海岸に接近しつつある。
このまま行けば、おそらくこちらの艦隊と激突するのは明朝ほどになるだろう。
だが、こちらも手は打ってある。すでに早船をオルダーナ港へと走らせている。
うまく行けば、私たちが破神軍と戦端を切ってからほどなくして、後ろから急襲できるはずだ。
すべては予定通り……そう自分に言い聞かせてはいるが、これほどまでの一大海戦はいまだ経験したことがない。
私は戦いを前にして、身が引き締まる思いがした」
破神軍の艦隊が、このルベール海岸に接近しつつある。
このまま行けば、おそらくこちらの艦隊と激突するのは明朝ほどになるだろう。
だが、こちらも手は打ってある。すでに早船をオルダーナ港へと走らせている。
うまく行けば、私たちが破神軍と戦端を切ってからほどなくして、後ろから急襲できるはずだ。
すべては予定通り……そう自分に言い聞かせてはいるが、これほどまでの一大海戦はいまだ経験したことがない。
私は戦いを前にして、身が引き締まる思いがした」
まあ、回顧録の下書きとしてはこんなものか。
こんな重い責任負わされたんだ。戦いが終わった後は、この回顧録を世に出して大儲けしてやる。
それぐらいの役得であってもいいはずだ。
そもそも本来ならこんな面倒な仕事を負う必要なんかなかったはずだったんだ。
お偉いさんたちは、俺が船団の指揮することに大反対だったからな。
それを、アデルの野郎……。
反対していた奴らに対し、「彼にしかできない」と断言しやがった。
その一言で決まりだ。
王も大臣も、みーんなあいつのその一言に納得させられやがった。
あいつの言葉には、不思議と皆を納得させる力があるからな……。
まったく、あの光景は魔法みたいだったぜ。
…しかし、なんであいつは俺をそこまで信用するんだ?
たった一度、ともに戦っただけだってのに。
あいつ自身は「目を見れば分かる」とかフザけたこと言ってやがったが……。
こんな重い責任負わされたんだ。戦いが終わった後は、この回顧録を世に出して大儲けしてやる。
それぐらいの役得であってもいいはずだ。
そもそも本来ならこんな面倒な仕事を負う必要なんかなかったはずだったんだ。
お偉いさんたちは、俺が船団の指揮することに大反対だったからな。
それを、アデルの野郎……。
反対していた奴らに対し、「彼にしかできない」と断言しやがった。
その一言で決まりだ。
王も大臣も、みーんなあいつのその一言に納得させられやがった。
あいつの言葉には、不思議と皆を納得させる力があるからな……。
まったく、あの光景は魔法みたいだったぜ。
…しかし、なんであいつは俺をそこまで信用するんだ?
たった一度、ともに戦っただけだってのに。
あいつ自身は「目を見れば分かる」とかフザけたこと言ってやがったが……。
「彼にしかできない」か……ふん、俺もヤツの魔法にかかってやるか。
---後に研究者によって発見されたゼクシスの手記より。