エピソード
行方不明事件
これから私が記すのは、半分日記のようなのもである。
だが、これから私が調べようとしている事柄のことを考えれば、その身に危険が及ぶことも考えられないことではない。こういうものを残すこと自体、ある種の‘保険’になるのではないか、という期待を込めている。
だが、これから私が調べようとしている事柄のことを考えれば、その身に危険が及ぶことも考えられないことではない。こういうものを残すこと自体、ある種の‘保険’になるのではないか、という期待を込めている。
これから私が調べようとしてるもの……
それは「白の研究所」である。
ほとんどの者はその名すら聞いたことがないであろう。私もその存在を知ったのは、かつて発生した大量失踪事件を追っていたのがきっかけだった。
それは「白の研究所」である。
ほとんどの者はその名すら聞いたことがないであろう。私もその存在を知ったのは、かつて発生した大量失踪事件を追っていたのがきっかけだった。
破神がグランゼリアを支配していた時代、各大陸は神聖ロダール王国、ランゼリア王国、モルダナ王国によって治められていたが、その各国において大量の行方不明者が発生したことがあった。
当時は破神による圧政が厳しい時代のため、背信行為を行った者がその眷属によって人々が連れ去られることは日常茶飯事であった。そのため、行方不明者が出る事自体は珍しいことではなかった。
だが各国で発生したものは、それと大きく異なっていた。
その違いは、何よりもその規模である。
3国それぞれの行方不明者の数は、なんと百人にも上るといわれており、一部の者は自ら望んで姿を消していたという。
驚いた各国の王は直々に部下へ調査を命じたほどだったが結局それらの者は行方は分からず、行方不明者の数が減少したことにより、事件は有耶無耶に終わっていた。
当時は破神による圧政が厳しい時代のため、背信行為を行った者がその眷属によって人々が連れ去られることは日常茶飯事であった。そのため、行方不明者が出る事自体は珍しいことではなかった。
だが各国で発生したものは、それと大きく異なっていた。
その違いは、何よりもその規模である。
3国それぞれの行方不明者の数は、なんと百人にも上るといわれており、一部の者は自ら望んで姿を消していたという。
驚いた各国の王は直々に部下へ調査を命じたほどだったが結局それらの者は行方は分からず、行方不明者の数が減少したことにより、事件は有耶無耶に終わっていた。
その事件に興味を抱いた私は、当時の資料を再調査し、三国の行方不明者たちの痕跡を追跡。
やがて、その者たちが連れていかれた(もしくは望んで赴いた)場所が、「白の研究所」というところだと突き止めたのである。
やがて、その者たちが連れていかれた(もしくは望んで赴いた)場所が、「白の研究所」というところだと突き止めたのである。
ローランド城下町より
月刊ヴァリウラ 記者ゼウル
月刊ヴァリウラ 記者ゼウル
「白の研究所」
「白の研究所」…正式な文献には一切その名が記されていない組織ではあるが、個人の非公式な手記などでは、この組織のものと思わる記述がいくつか残されている。
それによれば、その設立は、はるか昔の破神の世界支配以前にも遡るとされている。
それによれば、その設立は、はるか昔の破神の世界支配以前にも遡るとされている。
一番最初の「白の研究所」の記述は、世界を旅し、各大陸の形を測量した人物ダルエスの手記によるものである。
彼は「白の研究所」という名所の名付け親とも言えるであろう。
その手記によれば、彼は旅の途中で古代文明や異界からの漂流物を調査する奇妙な者たちと出会っており、その者たちは一様に白い衣服を着用していたという。
そしてその者たちは自らの研究を「清い」ものだと主張していたため、彼はその衣服と合わせて彼らの組織を「白の研究所」と名付けた、と記している。
その後、ダルエスと「白の研究所」の者との間にどんな関わりがあったかは不明だが、彼はその測量の旅の後、功績以上の不自然な出世を遂げている。
彼は「白の研究所」という名所の名付け親とも言えるであろう。
その手記によれば、彼は旅の途中で古代文明や異界からの漂流物を調査する奇妙な者たちと出会っており、その者たちは一様に白い衣服を着用していたという。
そしてその者たちは自らの研究を「清い」ものだと主張していたため、彼はその衣服と合わせて彼らの組織を「白の研究所」と名付けた、と記している。
その後、ダルエスと「白の研究所」の者との間にどんな関わりがあったかは不明だが、彼はその測量の旅の後、功績以上の不自然な出世を遂げている。
と、以上の記事を我が月刊ヴァリウラに送ったところ、編集長より取材を打ち切るように、という返信が返ってきた。
無論、理由を問いただしたが、明確な答えは貰えなかった。
ここまで来て、やめることはできない。
何らかの“答え”を見つけなければ、私自身が納得できない。
無論、理由を問いただしたが、明確な答えは貰えなかった。
ここまで来て、やめることはできない。
何らかの“答え”を見つけなければ、私自身が納得できない。
だが、この調査を始めてから、妙な視線を感じる。
誰かに付けられているという形跡はない。
気のせいであろうか…?
誰かに付けられているという形跡はない。
気のせいであろうか…?
モルダナ港より
月刊ヴァリウラ 記者ゼウル
月刊ヴァリウラ 記者ゼウル