エピソード
共和国の守りの要
かつてグランゼリアの南西部を支配していたモルダナ共和国。
かの国の特色のひとつとして、自国防衛のため数多くの砦を構えていたというものがある。
その数は当時、強大な力を有していた神聖ロダール王国にも引けを取らなかったらしい。
破神との戦いの終結、そして共和国の崩壊により、現在砦のほぼすべては破棄された状態だが、各砦における戦いの歴史については、今なお語り継がれているものもある。
かの国の特色のひとつとして、自国防衛のため数多くの砦を構えていたというものがある。
その数は当時、強大な力を有していた神聖ロダール王国にも引けを取らなかったらしい。
破神との戦いの終結、そして共和国の崩壊により、現在砦のほぼすべては破棄された状態だが、各砦における戦いの歴史については、今なお語り継がれているものもある。
中でも代表的なのは、ベガンダ砦の攻防の歴史であろう。
ある出来事を境に、共和国は破神との戦いを余儀なくされた。
その際、砦は幾度となく神獣の侵攻に晒され、国を守る要として戦士たちの活躍の場とされたという。
ある出来事を境に、共和国は破神との戦いを余儀なくされた。
その際、砦は幾度となく神獣の侵攻に晒され、国を守る要として戦士たちの活躍の場とされたという。
その中でもベガンダ砦の戦士たちは特に屈強な集団で、どんな大軍に攻められても、またどんな強力な神獣が出現しても決して屈することなく、国を守る者としての誇りを背負い、戦い抜いたとされる。
そして長い神獣との戦いの中で、唯一すべての神獣の撃退に成功した砦として今に語り継がれている。
当時、その絶対的な防衛力は人々に称えられ、ベガンダ砦には「絶断門」という二つ名が付けられた。
そして長い神獣との戦いの中で、唯一すべての神獣の撃退に成功した砦として今に語り継がれている。
当時、その絶対的な防衛力は人々に称えられ、ベガンダ砦には「絶断門」という二つ名が付けられた。
この砦の戦士たちの活躍により、破神との戦いの士気は大いに上がり、国の勝利のために立ち上がる新たな志願兵も増えたという。
また絶断門における戦士の活躍は英雄視され、国の都市部の子供たちの間で人気を博し、砦の戦士を真似た「ベガンダごっこ」と呼ばれる遊びも流行ったといわれている。
また絶断門における戦士の活躍は英雄視され、国の都市部の子供たちの間で人気を博し、砦の戦士を真似た「ベガンダごっこ」と呼ばれる遊びも流行ったといわれている。
鉄壁の砦を作り上げた男
共和国の砦は、あるひとりの建築技師によってつくられた。
その建築技師は代々続く軍人の家の出身であったが性格や体格の面などから戦いには向いておらず、戦場にて発揮する才には恵まれてなかったという。
だが、彼の建築物に関する空間認識、必要材料の見極め、立地条件の適性判断などといった才は目覚ましいものがあったとされる。
共和国は彼の建築技術の能力を大いに評価し、すべての砦建設の総指揮権を彼に委ねる。
これらの砦の完成は彼の才能と、軍人一家の一員として幼い頃より戦いの話を日常的に聞いていた環境との、ふたつが合わさり実現したといえる。
どちらかが一方でも欠けていたら、稀代の建築技師は誕生していなかったであろう。
その建築技師は代々続く軍人の家の出身であったが性格や体格の面などから戦いには向いておらず、戦場にて発揮する才には恵まれてなかったという。
だが、彼の建築物に関する空間認識、必要材料の見極め、立地条件の適性判断などといった才は目覚ましいものがあったとされる。
共和国は彼の建築技術の能力を大いに評価し、すべての砦建設の総指揮権を彼に委ねる。
これらの砦の完成は彼の才能と、軍人一家の一員として幼い頃より戦いの話を日常的に聞いていた環境との、ふたつが合わさり実現したといえる。
どちらかが一方でも欠けていたら、稀代の建築技師は誕生していなかったであろう。
中でも現代において特に評価されているのは、国内全体で計画的に砦を配置したことにあるとされている。
彼は、戦略的には「点」でしかない砦を、独自の連絡網を設けることによって「線」で繋ぎ、鉄壁の防御網に構築したのだ。
これによりある砦が敵の急襲を受けても、即座に他の砦から援軍を送ることが可能になったのである。
彼は、戦略的には「点」でしかない砦を、独自の連絡網を設けることによって「線」で繋ぎ、鉄壁の防御網に構築したのだ。
これによりある砦が敵の急襲を受けても、即座に他の砦から援軍を送ることが可能になったのである。
ベガンダ砦が神獣の侵攻を撃退できたのは、砦自体の強固さもあったが、この国全体の砦防御網があったことが大きかったとされている。