エピソード
魔導師都市
グランゼリアには古来より天空に浮かぶ都市の伝説がある。
その都市の名は「ソーサラーエデン」。
だが、伝説ではこの都市は、初めから天空に浮いていたわけではなく、もともとは地上にあったものだとされている。
事の始まりは、魔導師ライノルフが自分の研究に没頭するため、魔導師による魔導師だけの研究都市を設立しようとしたことだった。
ライノルフは魔導の力だけでなく、その知識から諸国より度々招聘されるほどの知恵者だった。
だが、それだけに雑事に多くの時間が取られてしまい、自身の研究が捗らないという悩みを抱えていた。
そこで、それら雑事から開放されるべく考え出したのが、魔導師だけの都市「ソーサラーエデン」の設立であった。
ライノルフは弟子たちとともに計画を練り、あえて人が立ち寄らぬような辺境の地を都市設立の場所として移住した。
当初そこに集まったのは、ライノルフとその弟子たち、そしてライノルフの友人たちだけという状態で、都市と呼ぶには程遠く、集落の様相だった。
だが、やがて噂を耳にした多くの魔導師たちがその地を訪れては住み着くようになり、十数年後には魔導技術の最先端の都市として発展していった。
しかし、その繁栄は同時に周囲の注目を集めることになってしまう。
都市の周辺国は、魔導師たちの力を利用しようと密かに画策したり、逆に脅威と感じて排除に乗り出そうとし始めたのだ。
それらの妨害、策略、侵略などに悩まされたライノルフは。あることを決断するのだった。
その都市の名は「ソーサラーエデン」。
だが、伝説ではこの都市は、初めから天空に浮いていたわけではなく、もともとは地上にあったものだとされている。
事の始まりは、魔導師ライノルフが自分の研究に没頭するため、魔導師による魔導師だけの研究都市を設立しようとしたことだった。
ライノルフは魔導の力だけでなく、その知識から諸国より度々招聘されるほどの知恵者だった。
だが、それだけに雑事に多くの時間が取られてしまい、自身の研究が捗らないという悩みを抱えていた。
そこで、それら雑事から開放されるべく考え出したのが、魔導師だけの都市「ソーサラーエデン」の設立であった。
ライノルフは弟子たちとともに計画を練り、あえて人が立ち寄らぬような辺境の地を都市設立の場所として移住した。
当初そこに集まったのは、ライノルフとその弟子たち、そしてライノルフの友人たちだけという状態で、都市と呼ぶには程遠く、集落の様相だった。
だが、やがて噂を耳にした多くの魔導師たちがその地を訪れては住み着くようになり、十数年後には魔導技術の最先端の都市として発展していった。
しかし、その繁栄は同時に周囲の注目を集めることになってしまう。
都市の周辺国は、魔導師たちの力を利用しようと密かに画策したり、逆に脅威と感じて排除に乗り出そうとし始めたのだ。
それらの妨害、策略、侵略などに悩まされたライノルフは。あることを決断するのだった。
消失
ある夜、ソーサラーエデンの咆哮より大きな地響きと轟音が轟いた。
ソーサラーエデンから比較的近くに住んでいた人々は、何事かと調査に向かったところ、驚くべき風景に遭遇する。
なんと、ソーサラーエデンがあった場所が地面ごと消失していたのだ。
人々はその状況に困惑し、都市の消失の原因として様々な憶測が飛び交った。
ある者は、突如起こった大地震によって地割れの中に飲み込まれたと言った。
またある者は、危険な実験が失敗し、大爆発により都市ごと消滅したと述べた。
だが、そのどれもが確証のあるものはなく、万人を納得させられるものではなかった。
そういったうわさが一段落した頃、また新たな説が人々より生じる。
それは、ライノルフが再び世間のしがらみから逃れるため、自分たちの都市を地面ごと天空に浮かべたというものであった。
この説も証拠となるものはなにもなかったが、それまでの噂と違うところは、雲の合間よりソーサラーエデンらしき都市が浮かんでるのを見た、という者たちが複数人現れたことだった。
その後、人々は空を見上げてソーサラーエデンを探し続けるが、長き歴史の中でもその姿を見ることができた者は数えるほどしかいなかったという。
そしてソーサラーエデンの存在は、いつしか天空に浮かぶ幻の魔導師都市として語り継がれるようになったとされている。
ソーサラーエデンから比較的近くに住んでいた人々は、何事かと調査に向かったところ、驚くべき風景に遭遇する。
なんと、ソーサラーエデンがあった場所が地面ごと消失していたのだ。
人々はその状況に困惑し、都市の消失の原因として様々な憶測が飛び交った。
ある者は、突如起こった大地震によって地割れの中に飲み込まれたと言った。
またある者は、危険な実験が失敗し、大爆発により都市ごと消滅したと述べた。
だが、そのどれもが確証のあるものはなく、万人を納得させられるものではなかった。
そういったうわさが一段落した頃、また新たな説が人々より生じる。
それは、ライノルフが再び世間のしがらみから逃れるため、自分たちの都市を地面ごと天空に浮かべたというものであった。
この説も証拠となるものはなにもなかったが、それまでの噂と違うところは、雲の合間よりソーサラーエデンらしき都市が浮かんでるのを見た、という者たちが複数人現れたことだった。
その後、人々は空を見上げてソーサラーエデンを探し続けるが、長き歴史の中でもその姿を見ることができた者は数えるほどしかいなかったという。
そしてソーサラーエデンの存在は、いつしか天空に浮かぶ幻の魔導師都市として語り継がれるようになったとされている。
目撃者
「最初は変な雲だな……なんて、思ってたんだ。
だけど見ているうちに、アレは雲なんかじゃない、建物だって気づいたんだ。
そしてさらに目を凝らして見みると、あれは、もしかしてあの魔導師たちの街の建物なんじゃないかって思ったんだ。
だけど見ているうちに、アレは雲なんかじゃない、建物だって気づいたんだ。
そしてさらに目を凝らして見みると、あれは、もしかしてあの魔導師たちの街の建物なんじゃないかって思ったんだ。
どうして気づいたかだって?
あの街には一度だけ荷物を届けに行って、中にまで入ったことがあったんだよ。
いやー、あんな立派で不思議な街は、これまで見たこともなかったな。
俺は魔術のことなんかさっぱりだから、動く地面とか室内を照らす結晶とか、びっくりするものばかりだったね。
中でも一番印象的だったのは、荷物運ぶ石造りの巨大人形だったかな。
ぬーっと背後から音もなく現れた時には、ホントに腰抜かすかと思うほど驚いたよ。
あの街には一度だけ荷物を届けに行って、中にまで入ったことがあったんだよ。
いやー、あんな立派で不思議な街は、これまで見たこともなかったな。
俺は魔術のことなんかさっぱりだから、動く地面とか室内を照らす結晶とか、びっくりするものばかりだったね。
中でも一番印象的だったのは、荷物運ぶ石造りの巨大人形だったかな。
ぬーっと背後から音もなく現れた時には、ホントに腰抜かすかと思うほど驚いたよ。
ん?…ああ、なんでソーサラーエデンだって気づいたのか、って話だったな。
あの街の一番高い塔には大きなクリスタルがあったんだけど、それがね、見えたんだよ、雲の合間から。
だから、ああ、あの街なんだ、間違いないって思ったんだよ。
…でも、もう一回見ようとしたら、スーッと雲間に消えていったんだ。
その時見ていたのは俺だけで……。
だからこの話をしても、仲間たちは俺の見間違いなんじゃないかって言うんだ。
でも、アレは見間違いなんかじゃない。
……まあ、証拠とかはないんだが。」
あの街の一番高い塔には大きなクリスタルがあったんだけど、それがね、見えたんだよ、雲の合間から。
だから、ああ、あの街なんだ、間違いないって思ったんだよ。
…でも、もう一回見ようとしたら、スーッと雲間に消えていったんだ。
その時見ていたのは俺だけで……。
だからこの話をしても、仲間たちは俺の見間違いなんじゃないかって言うんだ。
でも、アレは見間違いなんかじゃない。
……まあ、証拠とかはないんだが。」
近隣農村に住む青年の証言より
彼は雲の合間よりソーサラーエデンを見たと証言した1人。
青年は消失以前のソーサラーエデンに食料品を配達した経験があったという。
彼は雲の合間よりソーサラーエデンを見たと証言した1人。
青年は消失以前のソーサラーエデンに食料品を配達した経験があったという。