エピソード
幻の大地
ランゼリア大陸には、寒さの厳しい気候や複雑に入り組んだ地形が原因で、人が訪れることが困難な場所が数多く存在する。
そのため実地での調査がままならず、噂話や伝承からその土地の様子を推測するだけに留まる箇所がいくつも点在し、そこからさまざまな伝説が誕生することもある。
そのため実地での調査がままならず、噂話や伝承からその土地の様子を推測するだけに留まる箇所がいくつも点在し、そこからさまざまな伝説が誕生することもある。
この大陸のどこかにあるとされる「白銀雪虹」という土地もそのひとつ。
そこは吹雪が常に吹き荒れ地は凍り付き、生命の息吹はまるで聞こえてこないような場所だという。
生き物にとっては、まさに最果ての地のような印象を受ける。
そこは吹雪が常に吹き荒れ地は凍り付き、生命の息吹はまるで聞こえてこないような場所だという。
生き物にとっては、まさに最果ての地のような印象を受ける。
だが、その印象に反してかの地は一部の冒険家の間で人気があるという。
その理由は、その地の名の元ともなっている他では見られない雪の虹をその地で見られるからである。
その虹を一目見ようと、これまで何人もの冒険家がその地を目指したが辿り着けた者は一握りで、現在確認できるかの地に関する資料は少ない。
その理由は、その地の名の元ともなっている他では見られない雪の虹をその地で見られるからである。
その虹を一目見ようと、これまで何人もの冒険家がその地を目指したが辿り着けた者は一握りで、現在確認できるかの地に関する資料は少ない。
その数少ない資料の中でも、白銀雪虹に辿り着いたというある探検家の記録を入手に我々は成功し、今回はその内容を公開する。
なお、所々記録の字が霞んでおり判読しづらい部分もあるが、正確に記録を再現するため原文をそのまま記載する。
なお、所々記録の字が霞んでおり判読しづらい部分もあるが、正確に記録を再現するため原文をそのまま記載する。
「ランゼリア奇譚」より抜粋
雪の虹降る地を求めて
白銀雪虹を探して幾年。私はようやくかの地に辿り着くことができた。
探検家の記録として、これからここに辿り着くまでの調査過程と道中の出来事について記す。
探検家の記録として、これからここに辿り着くまでの調査過程と道中の出来事について記す。
私はまず、件の地が存在するというランゼリア大陸の港街にて情報収集を開始した。
だが、そこでの成果は芳しくなかった。
かの街では噂に噂を重ねたような話しか聞き出すことができず、私が得た情報の検証に時間を要したことは言うまでもない。
それでも私は粘り強く聞き込みを続けた。頼りになるのはこの地の住民の声だけなのだ。
だが、そこでの成果は芳しくなかった。
かの街では噂に噂を重ねたような話しか聞き出すことができず、私が得た情報の検証に時間を要したことは言うまでもない。
それでも私は粘り強く聞き込みを続けた。頼りになるのはこの地の住民の声だけなのだ。
調査を重ねた結果、この港街から遥か北東へ向かった先に、目的の地があることだけは間違いなさそうな手ごたえを掴むことができた。
さらに話を聞いてみると、白銀雪虹に行くためにはここからいくつも雪山を越えていかねばならぬらしい。
噂が噂のままで終始していたのは、道中が険しすぎて誰もその地の存在を実証することができなかったことにどうやら起因しているらしい。
進むべき方角と、越えねばならぬ障壁はわかった。
後はどうやって目的の地へ向かうかだ。
さらに話を聞いてみると、白銀雪虹に行くためにはここからいくつも雪山を越えていかねばならぬらしい。
噂が噂のままで終始していたのは、道中が険しすぎて誰もその地の存在を実証することができなかったことにどうやら起因しているらしい。
進むべき方角と、越えねばならぬ障壁はわかった。
後はどうやって目的の地へ向かうかだ。
私は熟考の末、険しい雪の山道よりも多少遠回りになるが、海路を進む方が得策と判断し船を用意して白銀雪虹を目指した。
しかし、海も決して楽な旅路ではない。
航海の途中、私は海の魔獣に何度も襲われながらそれを退け帆を進めた。
一番厄介であったのは魔獣よりも、グランゼリアの海を席巻している海賊どもと遭遇してしまった時であった。
船長が話のわかる者でよかったと思う。
彼は私の資産のいくばくかを通行料とすることで手を打ってくれた。
ならず者に私が苦労して貯めた財をくれてやるのは少し悔しい気もしたが、優先事項を見失ってはならない。
わたしの目的は、かの地に辿り着くことなのだ。
海賊と裏取引をすることなど造作ない。
しかし、海も決して楽な旅路ではない。
航海の途中、私は海の魔獣に何度も襲われながらそれを退け帆を進めた。
一番厄介であったのは魔獣よりも、グランゼリアの海を席巻している海賊どもと遭遇してしまった時であった。
船長が話のわかる者でよかったと思う。
彼は私の資産のいくばくかを通行料とすることで手を打ってくれた。
ならず者に私が苦労して貯めた財をくれてやるのは少し悔しい気もしたが、優先事項を見失ってはならない。
わたしの目的は、かの地に辿り着くことなのだ。
海賊と裏取引をすることなど造作ない。
恐らく陸地を進むより何倍もの時間を要したであろう。
それでも、速さより目的の地に着く確実性を優先したことを、私は今でも正しいと思っている。
出航から幾月を経て、私はついに雪の虹降る地に降り立ったのである。
それでも、速さより目的の地に着く確実性を優先したことを、私は今でも正しいと思っている。
出航から幾月を経て、私はついに雪の虹降る地に降り立ったのである。
「ランゼリア奇譚」ある探検家の日誌より抜粋