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魔装

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魔装とは、人間の魂に宿る固有の魔術機能であり、術者の意思に応じて自動的に術式を構築し発動する。
魔装は魔神ルシフェル・マギアが人類に授けたとされる力であり、特定の素養を持つ者にのみ発現する。
その能力は多種多様であり、戦闘や社会において重要な役割を果たしてきた。
また、覚醒によって機能が拡張されるほか、魔石として分離する技術も存在する。
時代によって魔装の価値観は変化しており、神聖視された時代もあれば、忌避された時代もある。

概要

定義

魔装とは、人間の魂に宿る固有の自動構築式の魔術である。才能のある一部の者だけが発現し、術者の意思に応じて自動的に術式の構築が行われて発動する。
原則として、一人につき一つの魔装しか発現しないが、稀に複数の魔装を持つ例も確認されている（詳細は「第二魔装」を参照）。

起源

魔装は、神代において魔物に対し劣勢となった人類の対抗手段として、アダム・アポプリスの息子が力を求め、魔神ルシフェル・マギアによって授けられた。
この力を得たことで、人類は初めて魔物と戦う手段を獲得し、以降、時折その魂に魔装を発現するようになった。

魔術との違い

魔装は本質的には魔術の一種である。しかし、一般的な魔術が能動的に術式を制御して発動するのに対し、魔装は魂そのものに組み込まれた機能として自動的に魔術を構築・発動する。
魔装は通常、一つの能力に特化しており、以下のような特徴を持つ。

• 即応性 - 能動的な術式の構築を必要とせず、発動に要する時間が短い。
• 効率性 - 本能的な制御によって、無駄なく性能を発揮する。
• 成長性 - 使い続けることで機能が拡張し、また出力が向上することがある。

魔装には一般的な魔術と共通する術式が部分的に組み込まれているため、魔装士が能動的に魔術を構築する際、無意識のうちに魔装の術式がそれを補助する場合がある。このため、魔装士は自身の魔装と似通った系統の魔術を得意とすることが多い。

魔装の仕組み・種類

魔装の発現

魔装は、アダム・アポプリスを祖とする人間の中でも、魔力の保有が多く、魂の魔装機能が優れた者に発現する。発現率は時代によって異なり、神聖暦元年前頃に約1％とされていたが、暗黒暦時代にはさらに減少した。
多くの場合、身体の成長に従い魔力の保有量が増えることで後天的に魔装が発現する。発現の時期は個人差があり、成長期を過ぎると発現の確率は下がるが、例外的に老齢になってから魔装を発現した事例もある。
また、胎児の段階で魔装発現の閾値を超えた場合、先天的に魔装を持って生まれることがある。 こうした場合、胎児の時点で魔装の効果が発現し、母胎に悪影響を及ぼすこともある。 例えば、魔装によって母体の生命活動に干渉し、衰弱させる、あるいは胎児の異常な発達を引き起こす事例が確認されている。

魔装の分類

魔装の分類は、魔装の能力の特性に基づいて以下の8種類に分けられる。

• 武器型 - 魔力で構築された武器を生み出す。
• 防具型 - 魔力で構築された防具を生み出す。
• 置換型 - 身体の一部が魔術的な特性を持つものに置き換わる。
• 拡張型 - 身体機能そのものを強化・拡張する。
• 領域型 - 特定の範囲内の事物に影響を及ぼす。
• 変身型 - 身体全体を変化させる。
• 造物型 - 魔術的な特性を持つ実体のある物質を作り出す。
• 眷属型 - 擬似的な魔力生物を生み出す、操る。

また、優れた魔装や覚醒した魔装は複数の系統にまたがった能力を発現することがある。
例えば、領域型と造物型を兼ね備えた魔装は、周囲に影響を及ぼすことのできる実体のある物質を作り出す。

成長と覚醒

魔装は魂の一機能であり、訓練や実戦を通して出力が向上し、能力の応用による機能拡張が可能となる。
さらに、十分な魔力量を蓄え、魔装の習熟を深めた魔装士が強い感情を引き金としたとき、魔装の覚醒が起こることがある。
覚醒した魔装は以下の変化を遂げる。

• 能力の拡張 - 魔装が本質的に持つ力が解放され、異なる系統の能力を得ることもある。
• 出力無制限 - 魔力の常時回復により、魔力消費を考慮せずに魔装を行使できる。

しかし、魔装の覚醒は本来、魂の進化に伴う副次的な現象に過ぎない。
魂にはもともと、強烈な意識に応じて覚醒する機能が標準的に備わっており、魔装を持たない状態で覚醒した実例も存在する。このことから、魔装は魂の覚醒を促すきっかけの一つに過ぎない。
また、魔力の常時回復は、魂の拡張に伴い脳の魔力受信機能が目覚めた結果であり、覚醒魔装そのものの特性ではない。

第二魔装

第二魔装とは、本来 一つしか宿らないはずの魔装が、二つ目として発現する現象である。
その発現例は極めて稀であり、以下の二つが確認されている。

• 自然発現 - 人間の魂に飛躍的な進化が起こった場合に理論上発生し得る。約8000年間の人類史において、秘奥剣聖ハイレインの1例のみが確認されている。
• 人工移植 - エデン時代（人類発祥5000年頃）に試みられた「第三の眼(トレスクレア)計画」の産物。 パンドラ博士の主導のもと、数百件を超える人体実験の末、魔装士への覚醒魔装の移植に成功した。
  • 成功例は、黒猫レイとロカ族の祖ロカの2名のみ。
  • 本来、魂の拡張と脳の変異により拒絶反応を起こし死亡するが、成功例では「空間魔術の素養を持つ被験者」が外付けの魔装を封印することで安定化していた。

応用・文化的側面

魔石

魔装は、魂から発せられる魔力の思念波を受け取り、それに応じた環境変数を術式に代入し、魔術を発動する魔術陣として機能する。
魔石とは、魔力を含んだ水銀にこの魔装の魔術陣を移植することで生成された魔術発動具である。また、魔装が特定の魔術に特化しているのに対し、魔石はその魔術陣を細かな術式に分解し、汎用化している。
これにより、魔石を持つ手を通して思念波を伝えるだけで、魔石が自動で魔術を構築・発動する。
→詳細は「魔石」を参照

魔装魔術

魔装は、魂の成長や覚醒によって機能が自然に拡張する場合がある。また、使用者の工夫によって細かな制御や、本来の用途とは異なる応用も可能である。
しかし、魔装魔術はそれらとは異なる次元の技術である。 これは、自己研究を通じて魔装の本質的な力を理解し、完全な能動魔術である根源魔術と組み合わせることで発動する、魔装の高度な応用術である。
→詳細は「魔装魔術」を参照

価値観の変遷

魔装に対する価値観は時代や社会のあり方によって大きく変化してきた。

• 神代 - アダムの息子が願い、魔物と戦うために神から直接賜った力。
• エデン時代 - 人類の生存圏が確立したため、研究によってその力を解き明かそうとした。
• 古代文明期（神聖暦） - 魔神教が広まり、魔装は神の賜り物であるという信仰が定着。
  魔装士は神に選ばれし者として尊ばれ、主に聖騎士として登用された。
  一方で、魔装を神から授かったものとする考え方から、魔装を摘出し魔石にする行為は禁忌とされた。
• 文明崩壊後（暗黒暦） - 文明崩壊によって各地の社会が分断され、魔装に対する価値観も地域ごとに異なるものとなった。
  魔装士が異能者として恐れられ、排斥される地域もあれば、英雄として崇められる地域もあった。
  聖教会の勢力圏では、洗礼の儀によって魔装を摘出し、聖石（魔石）として国が買い取る慣習が生まれる。一方で、魔装を持ちながら洗礼の儀に失敗した者は忌み子として虐待されることもあった。
  また、魔装士の数自体が減少し、かつてのように戦士として活躍する機会は減っていった。

魔装一覧

作中で登場した魔装士とその能力の一覧。
→詳細は「魔装一覧」を参照