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魔石
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魔石
概要
魔石は、魔装の魔術陣を人工的に分離・固定化することで得られる、多用途に利用可能な魔術発動具である。外見は半透明の青白い石状を呈する。
神聖暦104年頃、月光会の教祖ガイストによって実用化され、その誰でも強力な魔術を扱える性質から危険視された。のちに、その製法を理由として、魔神教によって国際的に禁制品とされた。
終焉戦争期には、魔神教の教皇クゼンが製法を持ち出して西グリニアに継承される。のちに、シュリット神聖王国にて「聖石」と改称され、国家戦略上の重要資源として位置づけられている。
機能
魔石は、所持者が発動を望む魔術や現象を思い浮かべるだけで、内部の魔術陣が自動的に構築され、魔術を行使できる発動具である。さらに、内部に魔力を保持し、発動時には術者に代わって消費するため、魔装を持たない者でも使用可能となる。ただし、魔力は事前に充填しておく必要があり、人間が意図的に込めるほか、自然に充填させることもできる。
発動可能な規模は、基本的にアポプリス式魔術の第4階梯までに相当し、無系統魔術も行使可能である。性能は材料となった魔装の強度と数に比例し、特に大聖石と呼ばれる大粒の魔石では第8階梯級の魔術も可能とされる。また、抽出元となった魔装の性質によって、相性の良い系統の魔術に偏る傾向がある。
構造
人間の魂には、思念波を受け取って魔術を自動的に構築する魔術陣である魔装が発現することがあり、魔石はこれを人工的に抽出・固定化することで生成される。魔装の内部では、細かな術式が常に流動しており、特定の思念波を受け取るとそれらが組み合わされ、固有の魔術として行使される。この魔術陣を抽出し、魔力を含ませた水銀に移植することで、外部の発動具として再現したものが魔石である。
魔装が構築できる魔術は本来きわめて偏っており、発現者ごとに特定の異能として定着する。しかし魔石化の過程において術式を分解・再構築することで、その偏りはある程度緩和される。結果として、もとの魔装の性質に応じて得意な系統に傾く傾向は残るものの、誰でも使用できる汎用的な魔術発動具として機能するようになった。
発展
魔石には本来、魔力容量・術式容量・術式偏重といった制限が存在するが、これを克服・応用した形態や派生がいくつか存在する。代表的なものを以下に挙げる。
- 大聖石
シュリット神聖王国で生成される大型の魔石。複数の魔装を材料とすることで生成され、第8階梯までの魔術を行使できる処理能力と大容量の魔力を備える。 - 聖王剣
歴代の聖守に授けられる専用武器。器となる剣に複数の聖石と聖守本人の血を触媒として造られる。大聖石を凌ぐ性能を持ち、特に魔族の魔石を必ず砕く機能を有する。聖守が死ぬと剣も砕ける(→詳細は「聖王剣」を参照)。 - 賢者の石
数十万人規模の人間の魂と数百人分の魔装、あるいは二体の王の魔物を材料として生成される究極の魔石。第15階梯に相当する魔術を容易に発動でき、ブラックホール相転移に基づく魔力引き込み現象によって事実上無尽蔵の魔力容量を持つ。 - 魔晶
神聖暦240年頃、ハデスグループによって人工的に開発された魔石の模倣品。魔石の抽出技術に依存せず製造可能であり、以後の人類活動に大きな影響を与えることとなった(→詳細は「魔晶技術」を参照)。
歴史
- 魔石の発明と禁制品化
魔石が発明されたのは神聖暦100年頃であり、アルマンド王国を拠点とする秘密結社・月光会の教祖ガイストによるとされる。ガイストは、魔装が特定の魔術を自動的に構築する魔術陣であることを突き止め、それを物質として定着させる理論を構築し、実用化した。
その後も改良が重ねられ、神聖暦104年頃には魔力の充填機構が整備されるなど、現在知られる形に近い魔石の生成技術が完成する。同年、ガイストはアルマンド王国を訪れていた冥王シュウ・アークライトと接触し、協力を取り付けて究極の魔石「賢者の石」の生成を試みた。この過程で、王都メルゲートの住民および月光会征伐に派遣された魔神教軍の魂が一斉に失われ、壊滅的な被害をもたらした。
この事件を受けて調査へ訪れた魔神教は、神聖暦110年に魔石の製法を掌握した。しかし、魔装を「魔神から賜った力」とする教義に照らして、それを抽出する行為は冒涜と判断された。また、魔石が一般人に強大な魔術行使を可能にする点は社会的にも大きな脅威とみなされ、魔石の生成・所持・取引は厳罰に処される禁制品として国際的に位置付けられることとなった。 - 暗黒暦と聖石
神聖暦320年に勃発した終焉戦争の影響で氷河期が訪れ、人類社会の根幹を支えていた魔晶技術は失われた。結果として、火を起こすことすら困難な時代が訪れる。
この状況において、当時の魔神教教皇クゼンは、神子セシリアの助言を受けて禁制品とされていた魔石の生成技術を事前に整理していた。これを基盤として、西グリニアを形成し、魔石を社会維持のために利用したのである。魔神教は魔石を最重要物資と位置づけ、洗礼と称して魔装の抽出を実質的に義務化し、罪人や病人からは強制的に抽出して追放する政策をとった。しかし、同国は暗黒暦1350年には滅亡する。
一方、かつて西グリニアから追放されたアズライールは、生成技術を携えてシュリット神聖王国を建国し、魔石を聖石と改称した。その後、スレイの来訪によって聖石の安定運用が可能となり、専属機関として聖石寮が設立される。以降、国民は十歳までに洗礼を受け、可能であれば聖石を抽出することが義務化された。
以来、シュリット神聖王国およびその影響圏において、聖石は日常生活から軍事まで幅広く利用される不可欠の資源として重宝され続けている。