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魔神教
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魔神教
魔神教とは、スラダ大陸の人類国家で信仰された宗教の一つである。本項では神聖グリニアのマギア大聖堂を総本山とする魔神教について述べる。暗黒暦における西グリニア魔神教、魔族信仰の魔神教についてはそれぞれの項を参照。
概要
魔神教は、魔神エル・マギアを唯一の神として信仰する宗教である。
発祥は神聖暦前1300年頃から300年頃の間、スラダ大陸東部の都市マギアまたはその周辺と見られる。
魔装を神から授かった祝福とみなし、その力をもって人類を魔物から守護することを教義の中心として、大陸全土へと勢力を拡大していった。
しかし、スラダ大陸の平定、ディブロ大陸への遠征を機に次第に強硬な姿勢を取るようになり、西側諸国を中心に反発を招いた。
終焉戦争を経て、黄金要塞の浄化砲による寒冷化や、ディブロ大陸から呼び寄せられた王の魔物の襲来などが重なり、人類文明衰退の最大要因の一つとなった。
発祥は神聖暦前1300年頃から300年頃の間、スラダ大陸東部の都市マギアまたはその周辺と見られる。
魔装を神から授かった祝福とみなし、その力をもって人類を魔物から守護することを教義の中心として、大陸全土へと勢力を拡大していった。
しかし、スラダ大陸の平定、ディブロ大陸への遠征を機に次第に強硬な姿勢を取るようになり、西側諸国を中心に反発を招いた。
終焉戦争を経て、黄金要塞の浄化砲による寒冷化や、ディブロ大陸から呼び寄せられた王の魔物の襲来などが重なり、人類文明衰退の最大要因の一つとなった。
教義
魔神教の教義は、大きく二つの柱に整理される。
一つは、信仰と共同体の在り方である。魔神エル・マギアを信じ、清廉な信仰と生活を通じてより良い世界を築くことが求められた。人類は神の下で一つにまとまり、互いを慈しみ、争わずに生きることが救いであるとされた。
もう一つは、人類の守護である。魔装は神の祝福であり、発現した者は人類を魔物の脅威から守る責務があるとされた。そのため、魔物の討伐は教義の実践と位置づけられる。また、スラダ大陸を平定して秩序を維持し、七大魔王を討伐してディブロ大陸を奪還することを使命として掲げた。
歴史
起源
魔神教における伝承では、かつて人類は東方の海の先にあるディブロ大陸で栄華を極めたとされる。しかし七大魔王の侵攻によって文明を滅ぼされ、わずかな生存者が海を渡ってスラダ大陸へと逃れたと伝わる。彼らが崇めていたエル・マギア信仰を継承し、最初期に築かれた集落マギアを中心に「魔神教」が成立した。
実際には、人類は兵器トレスクレアの叛逆によってエデン文明を滅ぼされ、ディブロ大陸から逃れた。その際、アスモデウスの精神魔法によって記憶消去を受け、残留した記憶からエル・マギア信仰と七大魔王の伝承を再構築した。(詳細は「トレスクレア」を参照。)
大陸統一に向けて
魔神教は、ディブロ大陸を支配するとされる七大魔王の討伐を最終目標に掲げ、人類の再興を目指した。教会の活動は、神の教えを広めることと魔物討伐を通じて、人類の秩序を取り戻すことであった。
当時のスラダ大陸では、長い年月のうちにスバロキア大帝国をはじめとする複数の国家が分立しており、魔神教は信仰の共有による再統合を理念として掲げた。
神聖暦前300年頃に発生した蟲系魔物の大侵攻「蟲寇」により、勢力圏は都市マギアを除いて壊滅的打撃を受けたが、後に復興を遂げ、神聖グリニアを宗主国とする魔神教の同盟圏を大陸東部に確立した。
神聖暦前4年頃、西方スバロキア大帝国で属国の反乱が発生すると、魔神教はこれを人類統合の契機と捉え、神聖グリニアの聖騎士団を派遣して支援した。帝国崩壊後、旧領域には新たな聖堂が置かれ、全土が信仰の名のもとに再編される。
神聖グリニアによって魔神教の名のもとに大陸統一が宣言されると、魔神教は信仰と秩序を基盤とする統治体系を確立し、魔物討伐と人類社会の安定に努めた。
ディブロ大陸進出と滅亡
神聖暦244年に不死王・緋王の討伐が成ると、魔神教は七大魔王の討伐を最終目標としてディブロ大陸への進出に舵を切った。やがて現地に拠点を築き、神聖暦300年には大陸統一を記念する事業の一環として暴食王・強欲王の二体の討伐を公表した。この頃には、熱心党が台頭し、当初の「人類の守護」よりも「神の威光の顕示」を重視する傾向が強まっていた。
しかし、遠征に伴う損耗と相次ぐ失敗により信徒の信頼は動揺し、神聖グリニアと魔神教は西方諸国の反発を抑えきれなくなった。神聖暦320年にスバロキア大帝国が復活を宣言すると、魔神教は鎮圧のため武力を行使し、終焉戦争へと発展する。敗勢の中で、一部分派がディブロ大陸から王の魔物を呼び寄せたことなどが重なり、最終的にマギア大聖堂を含む中枢が崩壊して、魔神教は事実上の瓦解に至った。
その後、戦中に亡命していたクゼン・ローウェル元教皇が旧エルドラード王国領に相当する地で「西グリニア」を形成し、魔装から抽出された魔石を神聖視する独自教義を掲げた。これが暗黒暦以降に続く新たな魔神教の系譜とされる(詳細は「西グリニア魔神教」を参照)。
組織と制度
魔神教の総本山は神聖グリニアに所在するマギア大聖堂である。教皇および複数の枢機卿による決定が組織方針となり、マギア大聖堂の意思として各地へ通達された。
全ての地方聖堂・大聖堂はこれに従い、着任する司教が統括して、信仰・儀礼・安全保障を担った。各聖堂は時に現地の司法を優越し、独自の裁定や刑の執行が行われた。
全ての地方聖堂・大聖堂はこれに従い、着任する司教が統括して、信仰・儀礼・安全保障を担った。各聖堂は時に現地の司法を優越し、独自の裁定や刑の執行が行われた。
聖職の序列
- 教皇 - 魔神教の最高指導者であり、事実上の神聖グリニア元首でもある。枢機卿の中から選出されるほか、有事には臨時に選出される場合もあった。(*1)
- 枢機卿 - マギア大聖堂に勤める司教。10名以上が常駐し、外交・兵器技術などの分野を担当した。(*2)
- 司教 - 各地の大聖堂の長として、地域の宗教活動・安全保障を統括した。
- 司祭 - 司教を補佐し、信徒教化や儀式の実務を担当した。
- 助祭 - 司祭の補助として、儀礼および日常業務を支えた。
- 神官 - 聖堂運営などの実務を担当した。(*3)
聖騎士団
魔神教は、魔装を持ち所定の訓練過程を修了した者を聖騎士として公認し、人類の守護および魔物の討伐に従事させた。覚醒魔装を有する者には二つ名が授けられ、専属の部下を率いて聖騎士団を編成することができた。
有用な魔装を持ち、しかし聖騎士の水準に満たない者は従騎士とされ、聖騎士について補佐を行った。(*4)
有用な魔装を持ち、しかし聖騎士の水準に満たない者は従騎士とされ、聖騎士について補佐を行った。(*4)
神子
未来視や過去視などの特異な魔装を持つ者は神子として認定され、魔神教の管理下で運用された。神子がもたらす情報は脅威の予知や広域政策の決定に用いられ、支配体制の根幹要素となった。
異端審問部
異端審問部は教義の維持と信仰秩序の監督を担い、その拠点はコルディアン帝国とバロム共和国の国境に位置する都市シェイルアートに置かれていた。異端の疑義が生じた場合、調査ののち容疑者を召喚し、異端審問官3名以上の立ち会いのもと審問を行う。なお、容疑者が召喚に応じない場合などには、審問を経ずに認定が行われることもあった。
異端として認定されると捕縛され、処刑またはシェイルアートへの収監が行われた。
異端として認定されると捕縛され、処刑またはシェイルアートへの収監が行われた。
その他
宗派
党・派閥
魔神教内部では、教義の解釈や布教の方針をめぐって複数の党派が形成されていた。主なものは以下の通りである。
- 原典派 - 魔物の殲滅を第一義とし、聖典(原典)を時代に応じて柔軟に解釈する立場。伝統的に主流派を担った。
- 神言派 - 原典派からの分派で、聖典に記された文言に解釈を挟まず、そのまま忠実に守るべきと主張した。
- 熱心党 - 全人類を魔神教の信徒とすることを第一義とする布教重視の党派。蔓延する資本主義から信仰を取り戻すべきだと主張した。
- 革新派 - 熱心党の主流派であり、魔術もまた魔装と同じく神の祝福であると認めた。発展する魔術研究に合わせて教義を拡大解釈し、信仰を維持しようとした。
- 過激派 - 熱心党と重なる部分を持つ一派であり、人類が神に従うことを絶対視した。魔神教に従わない国家に対しては武力行使すら容認した。
異端
魔神教は教義の解釈に一定の多様性を認めていたが、組織に害を及ぼすと認定された思想や集団、あるいは明確に敵対した組織については、審問の末に異端として断罪することがあった。主なものは以下の通りである。
- 月光会 - アルマンド王国で発生。魔術による救済を掲げ、魔装を消し去って魔石を生成する技術を生み出した。
- 光の党 - 過激派の一派。ロレア公国大公を暗殺するロレア事変を起こした。
- 聖杯教会 - コルディアン帝国を発祥とする。聖杯を通じて神を降ろすことを掲げ、生贄を捧げたほか、メンデルスを壊滅させた。
- 聖戦派 - ディブロ大陸奥地に神の国が存在すると主張した。
- 樹海聖騎士団 - アロマ・フィデアが率いた聖騎士団。彼女個人が背信行為によって審問を受けたが、団員に救出されて逃亡したため、騎士団全体で異端とされた。
- 大帝国融和派 - セルアやシンクをはじめ、コントリアスの中立支持やスバロキア大帝国との戦争反対を掲げた者たち。
- 聖人教会 - ファロンやラムザ王国を中心とし、セルアとシンクを神聖視した一派。コントリアス消滅後も二人の生存を信じ、魔王討伐によって救出できるとした。
- その他 - 天使聖会、真聖典、浄土天命会、神聖律派
評価
魔神教は、スラダ大陸における人類社会の再建と発展において決定的な役割を果たした。その教義は、魔物の脅威に晒された時代にあって、人々に共通の倫理と目的を与え、文明の再興を支える精神的基盤となった。
一方で、教義の厳格化と活動の拡大は、次第に信仰の内面性を損なわせる結果ともなった。魔装を「神の祝福」とみなす思想は、発現の有無による優越意識の助長と権力の独占を招いた。末期には、熱心党や過激派を中心とした急進的運動が勢力を増し、信仰を掲げながらも権勢を重視する傾向が強まった。その結果、魔神教は本来の使命である「人類の守護」から乖離し、終焉戦争では王の魔物を再び呼び寄せる一因ともなった。
もっとも、戦後の西グリニア魔神教や聖教会においてもその教義は形を変えて存続しており、信仰の理念そのものは長く人々の間に受け継がれることとなった。