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吸血種
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概要
血液を唯一の糧として生命を維持し、そこから魔力を得るという特異な生態を持つ。赫魔細胞の作用を血液に限定して制御することで人の姿を保ちつつ、長命性や再生能力を獲得した一方、血液不足に陥れば吸血衝動や喰鬼化の危険にさらされる。また、吸血種同士の間に生まれた子も吸血種となるため、種としての存続も可能である。
サンドラ帝国において吸血種は支配層を担い「人類の進化種」と位置づけられてきた。他方、シュリット神聖王国では生態の詳細が知られぬまま、古くから敵対する魔族の亜種と同一視されている。分類上も、赫蝋の業魔に由来する赫魔細胞を受け継ぎながら魔石を持たないことから、半魔族に相当すると考えられている。
起源
吸血種の起源は、アルザード王国出身の医師クロスが行った赫魔細胞研究にさかのぼる。暗黒暦1560年代以降、赫魔の脅威に対抗するため、クロスは亡命や投獄を経ながらも人体実験を重ね、赫魔細胞を人間に適合させる手法を模索していた。
暗黒暦1595年、都市国家ヴァルナヘルにてアルテミア家の娘カーミラへの移植が初めて成功する。通常なら宿主を赫魔化させるはずの細胞は、彼女の血液に関わる魔装と奇跡的に拮抗し、新たな安定した形態「吸血種」として定着し、カーミラはその始祖とされた。
その後、吸血種は都市国家サンドラで広がりを見せる。火主ヘルダルフは、大サンドラ討伐におけるカーミラとその仲間の功績を認め、吸血種の存在を公的に受容したのち、自身をはじめ支配層や軍人に吸血種化を施した。その子孫もまた吸血種として生まれたため、のちのサンドラ帝国の上層部および主要兵力は吸血種で構成されている。
生態
吸血種は、赫魔細胞が持つ寄生と自壊の生理的性質を血液に限定して制御することで成立した種族である。生存に必要な食物は血液のみであり、自身の血液を消費して魔力を生み出し、さまざまな異能を行使できる。
ただし、定期的に他者の血液を摂取しなければ生命を維持できず、血液が不足すると理性では抑えがたい吸血衝動に駆られる。さらに、摂取した血液に含まれる生体情報の影響を受けやすく、獣や魔族の血を多く取り込むとその身体的特徴が表出し、人間の姿からかけ離れていく傾向がある。吸血衝動が長時間満たされない場合や生肉を摂取した場合には、赫魔細胞の本能が暴走して理性を失い、喰鬼 と呼ばれる存在に変じる危険もある。
また、吸血種の血液は瘴血と呼ばれ、有機物の溶解や魔力の阻害といった強い毒性を示す一方、吸血種自身は完全な耐性を備えている。
吸血種同士の間に生まれた子は同じく吸血種となるため、種としての継続が可能である。
能力
一般の吸血種は、始祖吸血種の能力を限定的に受け継いだ存在であり、その発現の程度には個体差がある。以下に代表的な能力を挙げる。
- 長命性 - 人間に比してはるかに長い寿命を持ち、若々しさを保つ。ただし加齢が完全に停止するわけではなく、きわめて緩やかに進行する。
- 魔力生成 - 自身の血液を消費して魔力を生成し、異能や魔術の行使に用いる。
- 再生能力 - 損傷部位を血肉ごと分解し、魔力を介して本来の状態へと再構築する。致命傷からの回復も可能だが、血液には一定のロスが発生する。
- 操血 - 血液を自在に操る能力。自身の瘴血を攻撃に転化するほか、流出した他者の血液を直接取り込むこともできる。
- 血晶武装 - 自身の血液を結晶化させ、専用の武具を形成する。吸血種の膂力に耐える強度を持ち、瘴血の毒を帯びるほか、個体ごとに固有の能力が付与される場合もある。
始祖の能力
始祖吸血種は、一般の吸血種が有する能力を高水準で備えると同時に、独自の特性を発現している。
- 造血 - 覚醒に由来する無尽蔵の魔力と魔装の造血作用により、一定の出力で血液を生成できる。このため、能力を濫用しない限り吸血衝動に駆られない。
- 因子選別 - 吸血の際に対象の血液に含まれる因子を読み取り、取捨選択できる。これにより、無差別に吸血しても獣や魔族の特性に変じない。
- 記憶読取 - 血を媒介として相手の記憶を読み取り、言語や知識を習得できる。逆に、微量の血液に記憶を付与して接種させることで、言語や情報を植え付けることも可能である。
- 眷属化 - 自身の血を分け与えることで他者を吸血種へと変化させる。また、眷属とした相手から吸血種としての能力を剥奪することも可能である。さらに、因子選別によって排出した血液からは使い魔を創出できる。
- 身体変化 - 肉体を血液に置き換え、霧状や獣形態へと自在に組み替えることができる。
- 血晶武装の高度運用 - 複数の血晶武装を保持でき、他者の血晶武装を自身に帰属させることも可能である。
始祖個体であるカーミラに固有の能力については「カーミラ」を参照。
派生種
吸血種には、その生態が破綻して理性を失う場合や、特殊な因子や血液操作を契機として生み出される場合など、通常の吸血種から逸脱した派生種が存在する。
喰鬼
血液の欠乏によって吸血衝動が深刻化した場合や、生肉を摂取した場合、吸血種として制御されていた赫魔細胞の本能が解き放たれ、喰鬼 と呼ばれる存在に変じる。
喰鬼は人間としての理性を不可逆的に失い、肉食から得られる強い快楽を求めて積極的に他者を襲うなどの凶暴性を示す。
治療法は存在せず、無力化には再生能力の限界を超えるまで致命傷を与え続けるしかない。このため、吸血種には徹底した自己管理が求められる。
喰獣種
その起源は、ヴァルナヘルにおいて暴走期の始祖カーミラが残した血晶にさかのぼる。のちに彼女の能力が成長した際、この血晶が血の蝙蝠へと変じ、人間に寄生して肉体を乗っ取り、獣などを捕食しながら因子を取り込んだ結果、生み出されたとされる。
その後、喰獣種はシュリット神聖王国とヴェリト人による討伐を受け、大半が掃討された。
ウェルス
始祖カーミラが選別した魔の因子を含む血液から生み出された竜。詳細は「ウェルス」を参照。