明治政府の要人に斬奸状を送り付け、次々と暗殺していった兇賊「 黒笠」の正体。
元々は新撰組の一隊士だったが、主義思想もなく不要な殺人を犯す行為が問題視され粛清対象になる。
その後追っ手を返り討ちにして行方をくらますが、明治の世になっても人斬りの修羅道から抜け出せずに居た所を、
内部の権力争いから暗殺者を必要としていた明治政府の一部と利害の一致から協力関係となり本編に至る。
当初は陸軍省の谷三十郎を狙っていたが、護衛として居合わせた 緋村剣心と 相楽左之助の妨害に遭い失敗、
かつて「人斬り抜刀斎」と呼ばれた男に出会えた悦びから標的を剣心に変更し、居候先の神谷薫を拉致して再戦を挑む。
人斬りに対しては独自のこだわりを持っており、斬奸状をターゲットに送り付けるのも、
敢えて警戒させることで暗殺を困難な状況に追い込み、より斬り捨てた時の快感を上げることを目的としている。
その性格から強者との緊迫感溢れる命のやり取りを好む傾向にあり、
薫を攫うことで剣心を人斬り抜刀斎の状態に立ち返らせ、万全の斬り合いに臨もうとした。
実は斬るだけではなく、斬られることにも快感を覚える性質でもある。
使用する二階堂平法は斬撃の型が「一文字(横薙ぎ)」「八文字(突き)」「十文字(横薙ぎ、唐竹割り)」の三つで構成され、
一、八、十の漢字を組合わせると「平」の字となることで「平法」と呼ばれる。
誤解されがちだがちゃんと実在する流派である。
ついでに言うと後述する「心の一方」も秘術として存在し、道統者の松山主水は祖父から伝授され使えたと言われている。
これとは別に、刀を後ろに隠すことで相手の虚を突く「背車刀」があり、剣心の読みを外す形で使用された。
得意技は「心の一方・居縮(いすくみ)の術」。原理は不明だが、一種の瞬間催眠術のようなもので相手を動けなくする秘技。
これを打ち破るには使用者が死ぬか、使用者以上の剣気がなくてはならず、
強度をあげれば弱い人間はそれだけで呼吸ができなくなり死に至る。
さらに心の一方を自分にかけることで判断力・身体能力を格段に向上させる「影技・憑鬼の術」がある。
この状態の刃衛は目の色が理性を取り戻したようになり、岩を斬撃で破壊するほどのパワーを身に付ける。
最終的には完全に抜刀斎に立ち戻った剣心に敗北、薫の叫びで元に戻った剣心に対して以下の言葉を残し自害して果てた。
二度と抜刀斎には戻らないと誓った剣心だったが、その後もこの言葉が何度も重くのしかかる事態に見舞われることになる。
「そんな目は止せ抜刀斎。
俺を殺すと言った時のお前は
もっといい目をしていたぞ」
「人斬りは所詮死ぬまで人斬り。 他のものには決してなれはしない。 お前がいつまで流浪人などといってられるか 地獄の淵で見ててやるよ
うふふ」
実写映画版
「血が足りない……。まだまだ血が足りない……!」
「これが俺のやり方だ…。」
「俺こそが“人斬り抜刀斎”だ…!!」
上記の設定と評判を受けてか、実写映画版第一作目では本当にラスボスとして登場。
原作では刃衛編の次に登場する武田観柳(アヘンの密売人)の用心棒になっている。
同作では原作のような奇妙な口調ではなく、渋い言葉遣いが特徴。吉川晃司氏の怪演もあってこちらも中々の人気を誇る。
アクションでも一発でOKを出したという背車刀や、シンバルキックが織り交ぜられているのが見どころ。
また、実写映画版の設定を基にした漫画(キネマ版)と小説版「銀幕草紙変」にも登場。
幕末期に抜刀斎に敗れ戦闘不能になるのだが、 両手に開けられた穴に刀を直接差し込み一体化するという、
原作以上にイカれた戦い方を引っ提げて復活、劇場版と同じくラスボスとして剣心の前に立ちはだかる。
ちなみにこのアイデア、映画版での刃衛にも使う様挙げていたそうだが「痛々しすぎる」という理由で却下された。 当たり前だ
尤も、作者の和月氏はキネマ版での刃衛の描写に苦慮していた旨を記し、「刃衛は原作で既に完成されたキャラ」と総括している。
基本的にどの媒体でも強烈なインパクトを残しており、悪役の中では 志々雄と並んで出番に恵まれたキャラと言えるだろう。
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