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ファイア三世


「ギャオオオン」

横山光輝氏の漫画『鉄人28号』に登場するロボット。
漆黒のボディに牡牛のような角を持ち、熱線や攪乱などの武装も搭載されている。……ってこっちの方がブラックオックスっぽいな
開発者はスペルン国出身の科学者にして、パガオニア国におけるロボット工場を経営するビッグ・ファイア博士。

ビッグ・ファイア博士は、ベラネード財団主催のダム工事用のロボットを決めるべく行われた、ホワイト・バッファロー山での登山レースにおいて、
ファイア三世の前身となるファイア二世で不正を働いて優勝しようとしたが、鉄人28号との戦闘の末に自滅同然の形で敗北し、
機密保持のためにファイア二世を爆破処分した事があった。
そのためコンペで落選したビッグ・ファイアが新たに制作したのがこのファイア三世である。
二世と同様に本来は売り込み用の土建ロボとして開発されたものの、
鉄人と同格かそれ以上のパワーとスピード、煙幕や催眠ガスなどの対人兵器、熱線などの武器も備わっている。
しかし最も恐るべきはビッグ・ファイアが開発した知能回路による高度な学習能力を有した自律ロボットという点であり、
これにより戦う相手の行動パターンやスペックを学習して強くなっていく。
ビック・ファイア博士の説明によると、
「例えば岩を壊す作業の場合一度それを教えると『岩は壊すもの』と覚えて以後は命じなくても岩を全部片づけてくれる」との事。

単なる自立稼働を超えた、学習能力を持つ人工知能という概念は創作界では『鉄腕アトム』などで既に出ていたが、
『鉄人28号』の世界では動かす度に人間が「これをする事」とロボットに一々命令するのが当然だった
(鉄人自身、リモコンを奪われるとそれまで味方だった人に平気で襲い掛かったりするのがよい例)ので、かなりの進歩になる。
一方で、以前出てきた自我のあるロボット・ロビーのように「悪い事を教えるとそれを平気で実行し続ける」と誤った判断で行動する危険も孕んでいる。

ファイア博士自身はその性能に絶対的な自信を持っていたが、財団側はレースにおけるファイア二世の不正疑惑を察しており、
博士の会社を無視する形で他社ロボットを購入する方針を取っていた。
業を煮やした博士は市場を独占するべく、ギャングを雇って他社工場を爆破する爆弾テロを次々と実施。
警備が強化されてギャングによる爆弾設置が困難になると、フレームや内部の機械が露出したスケルトン状態の三世を使ってテロ計画を続行。
事後に外装を装着する事で捜査陣へのカモフラージュが行われた
(ちなみに特徴である頭部の角はスケルトン状態には付いていない、代わりにどう考えても装甲内に収まらないアンテナがある)。
だが、二世の事件から捜査を続けていた正太郎が、財団からの使者という名目で工場見学に訪れる。
おまけに知能回路のリセットを怠った状態でデモンストレーションを行ったため「工場は壊すもの」と覚えていた三世が工場内で暴れ出し、
この一件で知能回路の特性を見抜いた正太郎はビッグ・ファイアへの容疑をさらに深め、
自己顕示欲が強いファイア博士の性格を利用し、鉄人とファイア三世を対決させる事で装甲を引き剥がす機会を作ろうと考える。
そこで正太郎はベラネード財団に交渉をもちかけ、ファイア三世が鉄人との決闘に勝利すれば工事に採用すると提案させる。
財団側は「鉄人が勝たないと曰く付きのロボットを売り付けられる」と気をもんでいたが、
捜査陣は「ファイア三世自体は優れたロボットだから問題ない、使う人間次第だ」と保証する事で協力を取り付ける。
一方のファイア博士はまんまと挑発に乗り、罠だと危惧する部下の忠言も無視して決闘に参加する事を決めてしまう。
本当になんで工事用の性能アピールじゃなくて戦闘機能とライバル潰しに進んじゃうんだろうこの人
ファイア博士も三世が工場内で暴れ出した時に正太郎が、
「二世がスモッグロボットを破壊した直後に(=知能回路の特性によりロボットを攻撃する状態で)レースに出た」
事を問い質した意図は分かっていたのだが、三世の外装を剥がして怪ロボットの正体を暴くつもりだとは思っていなかった様子。
悪企みが雑

決闘が始まると鉄人はファイア三世の頭部や腕の外装を剥ぎ取る事に成功するが、
正太郎の目論見に気付いたファイア博士はファイア三世の催眠ガス機能で捜査陣を昏倒させ、証拠写真も破壊してしまう。
しかし、捜査陣が博士を別件逮捕した隙に工場の技師長から証言を聞き出した事で、ファイア三世が犯罪に利用されていた証拠が固まる。
もはや誤魔化せないと悟った博士が脱獄を図って小型操縦器でファイア三世を呼び寄せた事で、鉄人との最終決戦が始まった。

鉄人の能力を研究したビッグ・ファイア博士が二世の機能をさらにパワーアップしたロボットであるため、
戦闘においてはあらゆる面で鉄人を圧倒したが、正太郎の操作で空中戦に持ち込まれると、
飛行能力を持たないファイア三世は翻弄されて致命打を与える事ができず、
最後は装甲を剥がされた頭部に鉄骨を突き刺されて爆発して敗北。
その結果を見たビッグ・ファイア博士は「鉄人か……や、やつは怪物だ」と述懐した。
しかし、大塚署長からは「悪い事を企む人間には怪物に見えるかもしれないが、我々にとっては正義の味方さ」と評されている。

ちなみにベラネード財団は原作ではただ単に優秀なロボットを正当な形で欲しいだけのゼネコン会社で犯罪には一切関わっていなかった為、
開発者やメーカーを競い合わせて仕入れ先を決める方針がビッグ・ファイアのような不正を目論む参加者を生む原因だと痛感し、
事件解決後は各社から平等にロボットを仕入れる方針に転換している。

なおカッパ・コミクスでは、ホワイト・バッファロー山の登山レースで不正を働いた容疑でファイア博士が逮捕されて事件が決着しているため
(連載版→二世との戦闘時に記録カメラが破損し真相不明で終了。カッパ単行本版→カメラが無事でばっちり写ってた)、
それ以降のエピソードは収録されておらず、ファイア三世は存在自体が抹消されている。
その後、この「ファイア三世の巻」は秋田書店サンデーコミックス版で復活。
その際には元々の連載時の原作漫画ではなく、カッパ・コミクスで改訂されたエピソードの続きとして描かれており、
ファイア二世を高く評価した謎の人物によって保釈されたファイア博士が、
さらに工場施設まで提供されてファイア三世を造る事になる、という導入部が新たに描き下ろされている。

+ 他媒体でのファイア三世
1963年のアニメには番組の路線変更の影響を受け登場できなかった*1ものの、
今川泰宏監督による2004年アニメ版では原作同様ビッグファイア博士製作のロボットとして登場。
本作ではブラックオックスの設計図を基に作られた劣化コピーという設定。
おまけに「三世」というものの前身機のファイア二世と別機体ではなく、外装を取り換えただけで内装は同じなので同一機体と言える。
知能回路や熱線、催眠ガスが搭載されている描写も無いなど、原作と比較するとパワーダウンした性能となっている。
自らの名を冠した自己顕示欲の結晶のようなロボをこんな扱いにされたファイア博士は泣いて良い…作中の本人は元気そのものなのは置いといて
作中ではベラネード財団(本作では国際犯罪組織PX団の母体という設定)と結託し、
敷島重工(鉄人の開発者の一人で正太郎の協力者である敷島博士の会社)を乗っ取ったファイア博士によって悪事に使用されており、
量産型ブラックオックス軍団が拘束した鉄人28号の胸部をこじ開けて動力源の太陽爆弾を露見させ、
鉄人は危険な兵器である事実を世間に暴露する事で鉄人の封印に成功する。
また、外装を外した状態でライバル社の襲撃も行っていたが、
こちらは警察による捜査の手が及ぶ前に内装を変更する事で容疑を晴らす事に成功している。
その後最終話ではPX団チーフに操縦され敷島博士が操縦する元祖ブラックオックスと戦闘になるも、
諸事情で酷使され続けていたオックスは限界を迎えており、ファイア三世は頭部を握り潰して破壊に成功。
そのまま封印状態となっていた鉄人28号を破壊しようと迫るも、
このゴタゴタの中で村雨健次の奮闘で鉄人の操縦機を奪還されてしまい、攻撃開始寸前に健次の手で鉄人が起動。
操縦者のPX団チーフが動揺で動けなくなっているうちに鉄人に鉄骨を胸に刺されて爆発した。
ロボット戦はあっさりと終わったが村雨が24話に渡る迷走と苦悩から解放されて銃を乱射する描写は感慨深く、
視聴者の中にはこのファイア三世戦というより村雨の生身戦闘シーンを本作の名シーンとして挙げる者も多い。
なお、知能回路の設定はファイア博士が量産したブラックオックスに回されており、
鉄人と戦った記憶を保持したまま土建用ロボットになった量産型オックス軍団は暴走して破壊活動を開始。
結果的にビッグ・ファイア博士自身もオックス軍団の手で命を落とす事になった。

長谷川裕一氏の手による『皇帝の紋章』でも登場……するのは主にファイア二世の方だが、三世も登場する。
本作ではフランスのロボット科学者グラン・フランム(巨大な炎、ビッグファイアの意)教授の開発したロボットとなっており、
三世はフランス語表記がされていないが、II世にあわせるなら「"炎"III世(フランム・トロワジェーム)」号が正式名称と思われる。
フランム教授は鉄人に"炎"II世(フランム・ドウジェーム)号に挑むも敗北、追撃を試みた所をブラックオックスによって"炎"II世号を破壊されてしまい、
そこで新たに開発したのが"炎"III世号で、原作のデザインをよりマッシブにしたフォルムで外見的にはかなり強そうに見える機体である。
教授はIII世を駆って正太郎と鉄人に再挑戦するも、鉄人がブラックオックスとタッグを組んでいた事を知らなかったため、
何故かガイナ立ちして待ち構えていた2体に困惑している間に、ボコボコに殴り倒されて敗北。
かくして"炎"III世は登場からわずか2ページで何の活躍もしないまま退場と相成り、本作ヒロインのアリスからは、
「数カ月の間はなぁんにも起きなかったんです(まあ厳密に言えば小さなゴタゴタはあったんだけど……)」の一言で片付けられてしまった。
その後「世界中でまともに動く巨大ロボットはもう鉄人とブラックオックスだけ」と正太郎が語っているので、"炎"III世号も完全に破壊されたようである。
なお本作では人工知能が重要なテーマとなっており、これを担当するのがブラックオックスおよびロビーであるためか、"炎"II世・III世では言及されていない。
一方、フランム教授はフランケン博士およびロビーと同じく、
「近い将来、遠距離火砲やミサイルなどが発達して、これが戦争の主体になる」という正確な未来予測をしている。



ゲームにおけるファイア三世

サンドロットによる2004年のアクションゲーム『鉄人28号』においては、
二世の時点でビッグ・ファイア博士がX団に売り込んでいるので完全に破壊活動用になっている。
度重なる敗北で壊滅寸前のX団が切り札として投入し、鉄人に決闘を挑むも激闘の末に敗北する。
しかもX団にとってファイア博士は捨て駒であり、別動隊によるブラックオックス奪取が本命だったというオチが付く。
完全クリア後の隠しステージではロボット軍団の逆襲の第三陣として二世と三世のタッグで挑む。

性能的には典型的なパワータイプで、飛行できず機動力も低い代わりに多彩な武装と頑強な装甲を併せ持つ。
必殺技は突進技の「メガトンパンチ」、両掌から光弾を発射する「破壊光弾」、
頭頂部から高威力の熱線を照射して薙ぎ払う「熱光線」、巨大な光弾を形成し投げつけて大爆発を起こす「究極破壊光弾」。
プレイヤー操作時は機動力の低さと、ゲージが半分以上溜まらないと飛び道具を使えない事に悩まされる為、
ビルなどを掴んで攻撃判定を広げたメガトンパンチによる攻撃が主力となる。
一方、敵として対峙する場合は究極破壊光弾の爆風(操縦者が受けたら即死)に巻き込まれないよう注意を払う必要がある。
特にCPUはプレイヤー操作時とは異なり、ゲージが無尽蔵になっているらしく当たり前のように究極破壊光弾を使ってくる。
ただし、隙の大きい技が多いので、あえて必殺技を使わせて回避し、カウンター攻撃を仕掛ける手もある。
余談だが、究極破壊光弾の見た目は後に同社が製作した『THE地球防衛軍』に登場する隠し武器「ジェノサイド砲」まんまだったりする。


MUGENにおけるファイア三世

カーベィ氏の製作したキャラが公開中。全体的に2004年アニメ版とPS2版をベースとした演出が多い。
Gesura505氏提供のスプライトを用いており、モーションは「OPTPiX SpriteStudio」にて作られている。
「熱線」「催涙ガス」などの飛び道具に加えて、学習機能を再現した反撃技「カウンター」などで戦う。
超必殺技はいずれも1ゲージ消費で「メガトンパンチ」「熱光線」
威力は高いが発射までに攻撃を受けると不発になる「究極破壊光弾」の3つ。
また、7P以降はガード不可になる代わりにハイパーアーマーが付与される。
AIもデフォルトで搭載されている。
参考動画

出場大会

  • 「[大会] [ファイア三世]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
一応、1963年のアニメ版にも「ファイア博士が作った牡牛のような角を持つ太いロボット」自体は登場している。
……が、「呪いのファイアバードの伝説を信じて発見地である日本を滅ぼそうとする中東風のゴールド・ファイア博士」と、
「粘着プラスチックを吐く空飛ぶロボット」という組み合わせなので、共通点はあっても到底ファイア三世にはカウントできそうにないものであった。


最終更新:2026年07月28日 13:16