ダグラス・バレット


「この俺の強さは!俺一人だけが勝つ為にある!!」

ONE PIECE』の劇場版『STAMPEDE』に登場するキャラクター。
原作において海賊王と称えられたゴールド・ロジャーが率いた「ロジャー海賊団」の元船員であり、
ルフィとティーチのインペルダウン襲撃事件をきっかけに外に出たLEVEL6の脱獄囚の1人。
CVは俳優や洋画の吹き替えなどでもお馴染み、 磯部勉 氏。
ダグラス・ビルドではないので注意。特に後述する悪魔の実の能力から「作る」「形成する」を意味するbuild(ビルド)でも違和感が無いのがややこしい。

なお、一度捕まったため手配は解除されており、加えてインペルダウン脱獄事件は世界政府により隠蔽されているため、
強大な危険性を持ちながら劇中時点では賞金は懸けられていない。
ちなみにかの有名な 「ウソップゥゥ!!何やってんだお前ェ!!」 言われた当人である

+ キャラクター設定、作中での活躍(ネタバレ注意)
元々は偉大なる航路の「戦争の終わらない国」で生まれ、母に捨てられて敵国の軍事国家「ガルツバーグ」に拾われて少年兵として育てられた孤児であったが、*1
あまりの強さ故に同僚や、バレットが初めて信頼しかけていた上官から恐れられて暗殺されかけ、
怒りと失望から暴れ回り返り討ちにした挙句、国そのものを1人で滅ぼした「ガルツバーグの惨劇」を起こし、お尋ね者となった経緯を持つ。
この少年兵時代において、戦いに勝てば勝つほど組織内で自由に振る舞えることに充足感を得た経験が、
バレットが最強であることに強いこだわりを持つ土壌となった。

そして、15歳の頃、海で戦いを求めて彷徨っていたバレットは、後に海賊王となる男・ロジャーと出会い、生まれて初めての完敗を喫した。
その後も何度も挑んでは返り討ちにされる内に、バレットはロジャーの「強さ」は自分の「1人だからこその強さ」とは違うということに気付き、
その強さの正体を突き止めたいという気持ち、何よりも負けっぱなしではいられないという思いから、
ある日、全身全霊をかけて臨んで敗北した際にロジャーの前で「いつか絶対にあんたを倒して世界最強の男になる」と誓う。
ロジャーはバレットの宣言に「いつでも来い」と笑顔で返答し、そのままバレットはロジャーの強さに近付くため「挑戦者」として船に乗り、
ロジャー海賊団の一員となった。
孤児であったバレットにとって、ロジャーは自分の強さも思想も恐れることなくその全てを受け止めてくれる、
生まれて初めて出会った尊敬できる親のような男であった。

そして、17歳の頃には若くして「鬼の跡目」と呼ばれるほどに名を挙げたバレットだったが、
ある時ロジャーが不治の病に冒され、死期が近いことを知らされてショックを受けてしまう。
18歳の頃にはロジャーへの誓いを果たさねばという焦りから、仲間を守るために、殿を務めた時に発揮されるロジャーの鬼のような強さを、
「”仲間を守る”という意識が邪魔になり全力を出せないから、一人になり尋常ならざる覚悟で挑むことで生まれる強さ」と曲解し、
同時に、航海を経て仲間意識を抱き始めていたロジャー海賊団の面々のことも「自分に”仲間を守らねば”という邪念を自分に抱かせる邪魔者」
と考えるようになり、一人になり自分を追い込まなければ誓いを果たせないという焦燥からロジャー海賊団を脱退した。

その後、結局バレットは生涯一度もロジャーに勝つことは無く、ロジャーはラフテルに到達した後に海軍により処刑されて死亡した。
「ロジャーを超える」という目標を見失ったバレットは憂さを晴らすように無意味な破壊行為を繰り返すようになり、
これによりバレット個人に対してバスターコールが発令される。さらにはバレットに恨みを抱いていた海賊達まで秘かに海軍に加勢し、
バレットは戦いの末に消耗した隙を突かれて捕縛され、インペルダウンへと投獄された。
しかしバレットはインペルダウンLEVEL6の中で「ロジャーを超える」という誓いを果たすために、
ロジャーですらできなかった「この海のあらゆる強者、四皇も海軍本部大将も殺し尽くすことで最強と証明する」という極論に至り、牢獄の中で鍛錬を続けた。

そしてインペルダウン脱獄騒動で20年ぶりにシャバに出たバレットは、ロジャーを超えるという目的が一致したブエナ・フェスタと手を組み、
偶然にもフェスタが手に入れていたロジャーの宝*2を餌に起こした「海賊万博」で海賊達を集めさせ、更には海軍も誘き寄せ、
それらを自分が皆殺しにするという計画を実行しようとする。

一度は圧倒的な戦闘力でルフィも含めた最悪の世代を叩き潰し、海賊万博に集まってきた海賊達の海賊船、その情報を流してわざと集めた海軍の軍艦を、
覚醒したガシャガシャの能力で吸収して大型バレットへと化し、かつて屈したバスターコールをも蹴散らして最強だと証明しようとする。

しかし、復活したルフィを中心に、サボハンコックスモーカーローバギークロコダイルルッチなど、
味方だけでなく普段は敵対ないし競争関係にある連中が「バレットを倒す」という一点の共通する目的により呉越同舟の形で共闘し始め、
彼らの猛攻により作られた隙を突かれ、ルフィが腕を大型バレットの腕に匹敵するほどに巨大化させた「ゴムゴムの大大大猿王銃」により、
とうとう大型バレットを破壊されてしまう。
直後、まだ健在だった中型バレットで消耗したルフィを倒そうとするも、
弱者と見下していたウソップにより先刻の戦いにおいて中型バレットに打ち込まれていた緑星・蛇花火が衝撃により発動し、中型バレットも大破。
武装を全て失い生身の状態になるがバレットはなおも戦意を失わず、いち早く体制を整えたルフィと一騎打ちに挑む。
お互いの信念を叫びながら壮絶な殴り合いを繰り広げるが、
「己のみを信じ、1人で生き抜く断固たる覚悟にこそ無敵の強さが宿る!」というバレットの主張に対し、
「この海を一人で生きてる奴なんていねぇ!!」と反論しながら応戦するルフィの姿に生前のロジャーの面影が重なり動揺してしまい、
その隙を突かれてルフィの猛攻をモロに受け、遂に倒れ伏した。

バレットが最強であろうとする理由には、自身も気付かぬ内に「ロジャーとの誓いを守りたい」という思いが根幹を成していた。
本人に自覚が無かっただけで、挑戦を続けたバレットと戦いに応じ続けたロジャーとの間にもある種の繋がりが生まれており、
少なくともロジャーと出会った時点でのバレットは決して「1人」ではなかったのである。
だが、バレットはロジャーと望まぬ死別を余儀なくされたことによりそれに気付くことなく、
ロジャーの一面だけを曲解し、元から抱いていた「仲間を持つことは『弱さ』『甘さ』である」という考えを信じて疑わなくなってしまった。
そんなバレットが、かつて一度も勝てなかったロジャーのような「仲間のために戦う海賊」に敗れたのは、ある意味必然だったと言える。

演じる磯部氏は、かつて自身も甘えを否定して他人に気を許すことが出来なかった経験があったことから、
バレットに非常に感情移入しながら演じられたと語っており、
「その頃は自分の世界に他人が踏み込んでくるのがとにかく嫌だったんですけど、
 そんな状態が続くと『自分の強さ』というものをムクムクと夢想できるんです」
と称して、バレットの場合は精神的な強さだけではなく実戦での強さも兼ね備えているので、
より強く似たような思いを感じてしまったのかもしれないと、彼が作中のような価値観の持ち主になってしまったことに一定の理解を示している。

+ 戦闘能力
元ロジャー海賊団のバギーによれば、バレットはロジャー海賊団に入団した時点で副船長のレイリーと同格の実力者だったらしく、
凄まじい身体能力に加えて、武装色・見聞色・覇王色の覇気を高度に使いこなす。
彼の使う覇王色の覇気は最悪の世代の船長クラス(億越えの賞金首)でようやく耐えられる程強力である。

「さあ、狼煙を上げるぜ!」

加えて、超人系悪魔の実「ガシャガシャの実」の能力者であり、
触れた無機物を自身と合体させたり、無機物同士を融合・合体・変形させることができる。
銃と剣を合体させて銃剣を精製したり、ただの鉄屑やガレキを組み合わせて戦艦や兵器を作り出すことが可能で、
本気を出した時は戦艦や兵器も無理矢理合体させた戦隊ロボのような巨人の形態になって攻撃する戦術を使用する。
物資の乏しい戦場でも無限に武器の製造を行える強力な能力だが、
恐ろしいのは、バレットが戦隊ロボの如きサイズで無機物を操れるだけでなく、その全体に覇気を纏い硬化できるという点である。
前述のようにその気になれば武器を錬成する使い方もあるが、バレットは無機物を自分に合体させて「大型バレット」を構成し、
覇気を纏わせる面積と体積を増やす使い方を好んでいる。
ピーカやテゾーロなど能力で無機物を巨人のように外装として纏う似たような戦法を取る能力者は複数いるが、
一部ならともかく外装全体を覇気を纏う芸当はしておらず、バレットの強さが所謂「能力にかまけた馬鹿」でないことが分かる。

弱点として、身に纏った無機物は変形途中に僅かだが隙間ができ、そこに異物が入り込むと多少の時間動きが阻害される。
このこともあってか、砂を操れる自然系能力者のサー・クロコダイルとは過去に戦った際に決着が付かず、クロコダイルはバレットの能力特性を把握。
「奴の能力は少々厄介」と彼なりの最大級の賛辞をしている。

あまりの強さから、ファンの間では初見殺しなどの要素を除いた純粋な戦闘力において、
劇場版『ONE PIECE』における最強の敵と認識されている。


MUGENにおけるダグラス・バレット

Kennedy Mugen氏による、『JUS』風の手描きドットで製作されたMUGEN1.0以降専用のキャラが公開中。
ちびキャラであることが多い『JUS』風キャラの中でもかなり大柄で、サイズはKFM並み。
近接攻撃が中心であり、運送技やラッシュ技が強い。
超必殺技では、一時的にカタパルト号と合体した中型バレットや大型バレットにモードチェンジできる。
AIもデフォルトで搭載されている。
紹介動画(DLリンク有り)


「海軍も海賊も、俺に楯突く全ての存在を一人残らず殺す!!
 それがロジャーですら成し得なかった『世界最強』の証だ…!!」

出場大会

  • 「[大会] [ダグラス・バレット]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
ちなみに「ダグラス・バレット」という名前はこの少年兵時代に付けられたコードネームのようなものであり、
先述した上官、ダグラス・グレイ将軍が拾い育てた少年兵を「弾丸(≒捨て駒)」に準えてバレットと呼んでいたことに由来する。
身に付けている徽章や乗艦「カタパルト号」に刻まれた「9」という数字も、彼が将軍にとって9人目の「弾丸」だったことが由来である。

今もその名を名乗り「9」の字を掲げている辺り、彼にとっては呪わしき過去であると同時に切り離せぬアイデンティティでもあるという複雑な背景を感じさせる。

なお、母に捨てられたのは“敵国の兵士との間に出来た子供”だったため。
原作が少年漫画なので直接的な表現は避けられているが、つまり「そういう事」なのだろう。

*2
正確にはロジャー海賊団の一味の一人が万が一のことを考えて残していた、
ラフテルへの航路を示す「永久指針」という道具。

+ 「ラフテル」とは
「偉大なる航路」の最終地点とされる島。
記録指針を辿って進む道の終着点である「水先星島」に存在と行き方の手がかりの探し方だけがあった島だったが、
本編より約20年前にロジャー海賊団によって実在が確認された。
それにより、ロジャーは史上初めて偉大なる航路一周を成し遂げた存在として「海賊王」と呼ばれるようになり、
同時に世間では「最後の島でとんでもない財宝を手にした」とまことしやかに噂されるようになった。

その後、既に病で余命幾許も無かったロジャーは海軍に自首。
海軍は海賊の象徴と化したロジャーの公開処刑を全世界に晒すことで海賊の心をへし折ろうとしたが、
世界中が注目した処刑の場で、ロジャーは自分が手にした宝「一繋ぎの大秘宝(ワンピース)」の存在を大々的に示唆し、
海軍の思惑とは逆に各地で海賊が乱立し、空席となった「海賊王」の座とロジャーの遺した宝を巡り跋扈する大海賊時代が始まったのであった。

ロジャーが航海の果てに何を見付けたのかは作品の根幹を成す謎となっており、
このラフテルに到着した者こそが次の海賊王という認識が、ある種の不文律となっている。

余談だが、長らく実在すら怪しまれていた島ということもあり、「ラフテル」という名前は上陸後にロジャーが付けたものである。
同映画では原作に先駆けて、その綴りが「laugh tale」、日本語で「笑い話」を意味する言葉だと明かされ、ファンに大きな衝撃を与えた。


最終更新:2025年02月27日 17:21
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