黄猿








 「速度は…“重さ”  

  “光”の速度で蹴られた事はあるかい」

『週刊少年ジャンプ』連載の尾田栄一郎氏の漫画『ONE PIECE』の登場人物。
CVは『ポケットモンスター』のオーキド博士役で知られる 石塚運昇 氏(格ゲー的には『CVS』や『CFJ』で担当したガイルで有名)。
2018年に石塚氏が逝去されてからは同作でカクを演じた 置鮎龍太郎 氏が後を継いだ
(格ゲーとしては『戦国BASARA X』の豊臣秀吉や『カイザーナックル』のバーツ等)。
置鮎氏は元々石塚氏の声マネが得意だったこともあり、交代に気付かない視聴者が出るほどに違和感の無い演技を披露している。

本名はボルサリーノ
本作における敵役「海軍」本部の三大将の一人(二年後の「新世界編」の組織再編後も続投しており、作中で唯一旧共に大将を務めている事になる)で、
光をレーザービーム等のように操り、自身も光と化して攻撃や高速移動ができる悪魔の実「ピカピカの実」を食べた光人間で自然(ロギア)系の能力者。
色眼鏡とストライプ柄のシャツ(どちらも黄色系統の配色)、そして組長先生俳優の田中邦衛氏をモデルとした容貌が特徴(誕生日も田中氏と同じ11月23日)*1
中将時代は眼鏡をかけていない代わりに中折れ帽を被り煙草を咥えていて、スーツの柄も異なっていた(普通のストライプ柄)。

初登場時の年齢は56歳。身長は302cm、出身は北の海。
常に微笑みをたたえた表情と飄々とした人柄で間延びした口調で喋り(一人称は「わっし」)、
後述の『シャボンディ諸島編』で盗聴用の黒電伝虫を通信用電伝虫と間違えて通話する等、物覚えが悪いまたは天然ボケな一面も持つが、
一方で自分の感情を表に出さず、シビアかつ辛辣な顔も窺わせ、そのつかみどころの無さ・腹の底の分からなさが却って不気味な印象を与える。
ベガパンクのボディーガードである戦桃丸とは諸事情でエッグヘッドに任務で滞在していた頃からの付き合いで、
部下&教え子のような存在であり、彼からは「オジキ」と呼ばれている。桃太郎(あるいは太郎)を従えてるってどういう事なの…

掲げている正義は「どっちつかずの正義」
これは、22年前に起きたオハラを巡る事件において、
「徹底的な正義」の下に当時中将だった赤犬ことサカズキがバスターコールで焼け野原と化したオハラから脱出した島民を乗せた避難船を、
「学者(世界政府から見た「犯罪者」)が乗船している可能性があり、一人でも逃せば作戦は失敗」という理由で無実の人々ごと砲撃して海に沈めた事、
その過激極まる思想と言動を受けて同じく当時は中将の青雉ことクザン(『新世界編』で海軍を辞職)がその対極である「だらけきった正義」に行き着いた事、
そして黄猿がそれら対照的かつ両極端に位置する正義を俯瞰した結果である。
作中においても「どっちつかず」の通り、青雉のように情に流される事もなければ赤犬のようにやり過ぎる事もなく、忠実に軍務を遂行している。

使用する技は「八咫鏡」「八尺瓊勾玉」「天叢雲剣」など、いずれも日本神話に由来する名称が付けられている。
そういや置鮎氏、電撃CD文庫の京だったな

+ 作中での活躍
初登場となる『シャボンディ諸島編』では、麦わらの一味から危害を加えられた天竜人ロズワード一家の要請により、シャボンディ諸島に赴く。
そして同地でルフィらも含めた懸賞金が億越えのルーキー海賊達を圧倒的な力量差で蹴散らし、
麦わらの一味を窮地に追いやるも、シルバーズ・レイリーの妨害やバーソロミュー・くまの介入により捕縛に失敗する。

女ヶ島編』『インペルダウン編』を経て『マリンフォード編』で再登場し、四皇の一角である白ひげ海賊団との頂上戦争に参加。
不死鳥マルコと交戦し、隙を突いて一度は捕縛する等の活躍を見せた。
終盤は突如マリンフォードに出現し、気絶したルフィを連れて逃げるトラファルガー・ローを追撃しようとしたが、
カイドウとの小競り合いを無傷でこなしてマリンフォードに駆け付けた赤髪海賊団(どちらも四皇の一つ)の一人、
ベン・ベックマンに銃を突き付けられ、断念した。
ちなみにこの戦争において無傷のまま終戦を迎えた人物の一人でもある。

二年後の『最後の海 新世界編』ではワイシャツがタートルネックに変更。
『魚人島編』では12年前の回想に登場し、謀殺したタイヨウの海賊団船長フィッシャー・タイガーの仇討に現れたアーロンを返り討ちにし逮捕していた。
本編の時間軸では『ドレスローザ編』の最後に現れ、王下七武海の一人エドワード・ウィーブルによる被害の報告を部下から聞いている様子が描かれた。
劇場版『FILM Z』(時系列上は『魚人島編』直後で、回想を除けば実質的に本編に先駆けての登場となる)では、元海軍のゼット率いるNEO海軍と激突。
光から生身へ戻るわずかなスキを突かれ爆発四散したかに見えたが、かつての恩師といえど容赦する事なく最終的に討ち取り、任務を完遂させた。

その後エッグヘッド編にてベガパンクの暗殺指令を受けて来訪。
ニカの力を覚醒させたルフィを翻弄するものの、それ以上に成長していた彼の力に一時ダウンするまで食い下がられてしまう。
しかしそれ以上に黄猿を疲弊させたのは、ベガパンクを守るべく反逆した愛弟子の戦桃丸、親しくしていたくま・ボニーの親子、
そして何より暗殺対象でありながら友人でもあったベガパンク自身を手に掛けねばならないという非情な現実であった。
飄々としていた底知れぬ姿は次第に薄れ始め、友人達の命を狙うという現実に心を痛め続け、
必死に殺そうとしていた私情も(任務こそ全うしたものの)殺し切れず、最後にはルフィによって投げ飛ばされ軍艦に回収された際は、
「傷ならある…深い傷が…もう休ませてくれ……」と心が持たず限界に陥っている様子だった。
その後、巨大ロボのエメトが体内に蓄積していたジョイボーイの覇気を放った事で中将の大半が気絶し、
黄猿も意識こそ保っていたが身体も心もボロボロでとても追跡できるようなコンディションではなく、ルフィ達を取り逃がしてしまった。
そこに海軍本部から赤犬の通信が入るが黄猿の方も余力が無く、エッグヘッドの状況やサターン聖の安否などを矢継ぎ早に問われるも、
「若ェのが起きたら報告させる」と自分で報告することを拒絶した。
重度の緊急事態でありながらこの態度に苛立った赤犬は「甘い仕事しちょりゃあせんかのう?」と問い詰めるが、
私情を抑えて手を抜かずに任務を優先し、代償に友であるベガパンクを殺し、くま・ボニー父娘、
戦桃丸らとの関係を壊した直後の黄猿にこの発言は最大の心の地雷であり、
とうとう黄猿は飄々とした外面をかなぐり捨てて怒りと悲しみの剣幕で、

「オイ…サカズキ…お前さん“親友”を殺した事あんのかい
 …………

 甘ェ仕事したかって………? サカズキ………

と罵り、作中で初めての激昂の感情を見せた。
階級上は黄猿の上司である赤犬であるが、年齢としては55歳と58歳。黄猿が三歳年上であるが故の「クソガキ」呼ばわりであった。
これには流石の赤犬も事情を察したのかバツが悪そうに「悪かったのう… 兄弟」と謝罪するが、黄猿は「黙れ 今更…!!」とそれを拒否。
両名の関係の悪化を示唆してエッグヘッド編の出番を終えるのだった。
余談だが、同章にてサターン聖によるくまやボニーへの蛮行が発覚した後、
ギア5の反動で力尽きたルフィに何者かが周囲に悟られることなく食料を与えて復帰させる場面があるのだが、
110巻の質問コーナー「SBS」にて作者は直接的な言及は避けつつも実行者が黄猿だったことを示唆している。

ファンの間では、同じく高速移動が可能な自然系能力者のエネル(ゴロゴロの実を食べた雷人間)、
光とは対極に位置する闇を操るヤミヤミの実のマーシャル・D・ティーチと対比される事が多い。*2


「度胸だけじゃわっしには勝てないよ~」


MUGENにおける黄猿

あの平沢進オルガ・イツカ等でお馴染みのSTG氏によって製作された黄猿が存在する。
スプライトは『ONE PIECE ギガントバトル!』のものを使用。
MUGENにおいても作中の身長を反映して相応のデカさになっている(22B氏のシュリセルVer1.84βに黄猿の頭二つ分を足してようやく並ぶほど)。
基本的に狂キャラだが、カラーによって戦力が細かく異なり、
1~2Pは標準性能の弱体化、4P以降は強化、そして9~10Pは常時アーマーが付与される。
総じてランクは狂下位~狂最上位程。

原作で使った技が尽く搭載されており、光のエフェクトも相まってかっこいい。
ダッシュやバックステップは瞬間移動になっている他、挑発も同様(出現位置はランダム)。
光速で動ける設定からかいずれの技も発生が速い。
通常技は主に指先からのビームと蹴り技、必殺技超必殺技が前述の日本神話由来の技を使用する形となっている。
プレイヤー操作の場合必殺技は波動拳、超必殺技は真空波動拳のコマンドで出せる。
+ 技表
通常技
A 「よぉっと♪」指先から弾速の遅いビームを放つ
B 「ィイヨ!」前方にヤクザキック
当たれば横方面に大きく吹っ飛ばす
C 「ヨッ!…とぉ♡」真上に向けてキック。
当たると瞬間移動してさらに一蹴り加え、地面に叩きつける
X もう片方の手の指先からビームを放つ
Y 「ヨッ♪」Aと同じ手の指先から速いビームを放つ
Z 「ンンム!」蹴りと共に光弾を前方に飛ばす

必殺技
A 「そーれい!」天叢雲剣で真横一直線に一突き
B 「とぉー!」天叢雲剣で袈裟斬り。片手持ち
C こっちだよぉ~♪前方へ瞬間移動で移動しながらのヤクザキック
X 「ヨッ!」天叢雲剣で逆袈裟斬り
Y 「フン!」天叢雲剣で大きく振りかぶって一閃
Z 「(=゚ω゚)ノぃょーぅ♪」もう片方の脚を使った異なるモーションである事以外通常技版と同じ

超必殺技
A 「八尺瓊勾玉!」相手の上方に瞬間移動し、そこから無数の光弾を数秒間浴びせ続ける
B 「八咫鏡!」その場で八咫鏡を作り出して蛇状の光の線を照射。
相手に当たるとその上方に瞬間移動して強烈な下蹴りをお見舞いする
C 「効くよォ~♪」天岩戸(蹴りに乗せて足先からごんぶとビームを放つ)
X 「天叢雲剣!」天叢雲剣で三連斬(必殺技のS→Z→X)
Y 「速度は…“重さ”。“光”の速度で蹴られた事はあるかい」瞬間移動後に左の台詞を言い放った後、重い一撃を叩き込む
Z 「覚悟しなよぉ~」上方に飛んだ後地面に向けて巨大な光弾を蹴り飛ばす

デフォルトではAIが常時ONになっているため、自分で操作したい場合はReadMeを読んで設定を変更しよう。

何かしらザコ敵軍団系統のキャラ(例えば同氏が製作したサンドバッグモーデン兵など)を海賊と見立てて、
プレイヤーで操作して海軍大将の強大な力で絶望の底に叩き伏せるのも楽しいかもしれない。
海軍を相手に裏切り&殺戮をするのは、やめようね!

余談だが、勝利ポーズの一つに「君達をとっ捕まえないと、天竜人達に顔が立たないんだよ~」というのがあるが、
ランダムで台詞が選ばれるため誰が相手であろうとそうのたまう可能性がある
言われた対戦相手またはその関係者が天竜人に何をやらかしてしまったのかを想像するのも面白いだろうし、
もしかしたらストーリー動画に活かせるかもしれない。
また、イントロの一つに爆発と共に現れるものがあるが、これは原作での初登場シーンの再現(軍艦から撃たれた砲弾に直立で乗って着弾と共に着地)であり、
決して『MVC』シリーズのダンの登場シーンのオマージュではないので注意。


「せいぜいお気をつけなすって………
 ヒヨッ子の諸君… 今はわっしもいるのでねェ…!!!」

出場大会



*1
『北の国から』のイメージしかない人は「なぜ田中氏がモデルなのか?」と思うかもしれないが、
若い頃の田中氏は喧嘩上等!交通違反上等!な映画「トラック野郎シリーズ」において、
主人公のライバル・ ボルサリーノ2 (トラックの名であり本名は不明。1は本編より前に事故で喪失)を演じたからであろう。
当然、黄猿の本名の由来でもある。
更なる元ネタはアラン・ドロン主演のギャング映画の題名であり、
その映画で主人公達が被っていた帽子のブランド名であり、ブランドの社長の名前(ジュゼッペ・ボルサリーノ氏)である。

まぁそれはそれとして『北の国から』のパロディもあり、味噌ラーメンが好物で実際に食べるシーンがあったり、
アニメオリジナルだが、そのラーメン絡みの迷台詞である「子供がまだ食ってる途中でしょうが!」のパロディとして、
食事中に部下からの報告を受けた黄猿が「食べてる最中でしょうが」と愚痴るシーンも存在する。
なお、元ネタの方が何故「迷台詞」扱いなのかと言うと、
「ラーメン屋の閉店時間だというのに家族会議を続けていた(故に食い終わらない)」という逆切れ状態だったため。

*2
エネルに関しては、
光の速さが雷速の2000倍である事、エネルに武装色の覇気が無いため恐らく黄猿に有効打を与えられない事から、
もしこの二人が戦った場合は黄猿側が有利だと思われるが、
一方で黄猿自身は光の速度で動く事はできても作中では度々攻撃を受けている事から
(スクラッチメン・アプーの音波攻撃をまともに受けてしまった事があった。
 ただ、バラバラになるものの自然系能力者の例に漏れず無傷で済み、ちぎれた面も光になっていたが)、
思考速度や反射神経自体は人並ではないか」「それらに光の能力が反映されているとしても上述の性格が原因で喰らってしまうのでは」という意見もあり、
また、雷に対して光が相殺・吸収できるかどうかについても作中の描写だけでは断定がし難い。

ティーチは当該項目を閲覧すれば分かる通り、
光さえ逃さず飲み込むブラックホールをモチーフとし、悪魔の実の力をも引き寄せかつ能力を無効化させるため、
一度捕まってしまえば攻撃を受け流せずに喰らってしまうのは必至だろう。

ただこうした強さ議論は作者の尾田栄一郎氏の匙加減にもよるため、結局は不明が正解なのかもしれない。
そもそも科学的に言ったら、黄猿自身も言っている「速度=重さ」により、光速の蹴りは島一つどころか宇宙を滅ぼせる威力がある


最終更新:2025年04月26日 02:51