【MOTHER】

MOTHER とは、【ファミリーコンピュータ】用のゲーム。

概要

MOTHER


他言語

EarthBound Beginnings (英語)

ハード

【ファミリーコンピュータ】

メディア

3メガビット+64キロRAMロムカセット

ジャンル

RPG

発売元

任天堂

開発元

任天堂東京開発
パックスソフトニカ
エイプ

プロデューサー

山内溥(エグゼクティブプロデューサー)
宮本茂

ディレクター

糸井重里

プレイ人数

1人

発売日

1989/07/27 (日本)

値段

FC:6,500円
Wii U:628円

レーティング

CERO:A(全年齢対象)

シリーズ

MOTHERシリーズ

移植・リメイク

GBA:【MOTHER1+2】
【Wii U】?:バーチャルコンソール

糸井重里がゲームデザインを担当した【ファミリーコンピュータ】向けのゲームソフト。
当時の任天堂のオリジナル作品では珍しく、ドラゴンクエスト系のRPG。
特徴としては移動画面が俯瞰的な視点である事と、中世ではなく現代社会を舞台としている事が上げられる。また、【ゼルダの伝説】のようにフィールドマップが存在しないため、町の中と町の外の切り替わりがなく、双方が同一の距離になっている。
全体的に独特な雰囲気の世界観とメッセージ、BGMによってコアな人気を生み出した。

キャッチコピーは「エンディングまで泣くんじゃない」「名作保証」。
しかし、中盤以降のゲームバランスはかなり歪んでいる上に説明不足の箇所も多く、1989年のRPGとして見ても出来はやや荒削りな面が目立つ。
そもそもエンディングがほとんど無い事でも有名。

ストーリー

1900年代のはじめのことです。
アメリカの田舎町に黒雲のような影が落ち、ひと組の夫婦が行方不明になりました。
夫の名はジョージ、妻の名はマリア
人々は嘆き悲しみましたが、神に祈る以外にできることはありませんでした。
その願いが通じたのか、2年ほどしてひょっこりとジョージが家に戻ってきました。
しかし、どこへ行っていたのか何をしていたのかについては誰にも話そうとしませんでした。
不思議な研究に没頭するジョージの姿をみて、いろいろな噂が飛び交いました。
しかし、いつしか時が過ぎ、人々の口に噂がのぼることもなくなりました。
ただ、人々が忘れていないのは、妻のマリアがとうとう帰って来なかったことです……。

そして1988年。
大変だ! 大変だ!
何が大変かって? ミニーの部屋では電気スタンドがガタガタ動きまわっているし、
ミミーの部屋ではミルク飲み人形がクルクル飛び回っているんだから、これ以上大変なことがあるかい?
まだちいさな妹たちを守ることはぼくの役割だろう? そういうぼくだって12歳の子供だけど、ウチには男はぼく一人。
3人のレディを守らなければならないんだ。そうそう、ママはどこにいったんだろう?

ふー。なんとかウチの中も静かになった。おろおろしていたママもおちついている。そうだ! パパに電話しよう。
「それはラップ現象だな。ひいおじいさんが超能力(PSI)の研究をしていたはずだ。物置を探せば何かわかるかもしれない」
やっぱりパパはたのもしいや。だけど少しドジなのは、物置の鍵をどこに置いたか忘れてたってこと。でも、ぼくにはすぐわかった。
物置の中にはひいおじいさんの日記とか、けっこう役に立ちそうなものがあった。えっ!? 何に役立つかって?
ぼくは決心したんだ。ぼくの力でこの不思議な出来事の原因をつきとめて、ママとミニーとミミーを守るんだってね。

(説明書より)

ゲームシステム

基本部分はドラゴンクエストスタイルのごく普通のRPGである。本作に至ってはダメージ計算式まで同じものを使用している。

  • メロディー
    本作は各地にある8つのメロディーを集める事が冒険の目的の一つとして設定されている。
    もちろん全部集めないとクリアできない。
  • フィールドマップが存在しない
    前述の通り町の中と町の外で切り替わりが無い。ただしマップ上に境界のラインはあるので、そのラインを通過すると音楽やマップ上にいるキャラクターの外見が切り替わったりする。
    敵が出現するエリアも境界のラインで決まっているが、当然ラインは見た目ではわからないのでどこで敵が出現するかは少々わかりづらい。この点に付いては次作では、シンボルエンカウントを採用する事によって解決している。
  • 「つかう」「たべる」
    食料系アイテムの場合、「つかう」で食べる以外の使い方ができる物がある。ただし実際に「つかう」で効果があるのは「パン」のみで、他の食料系アイテムは「たべる」と同じになる。また、食料系以外のアイテムは食べる事はできず、「たべる」を実行すると「やめてください。」と言われる。
  • 喘息
    主人公のみ特定の攻撃を受けると喘息になってしまい、特定の行動以外は一切取れなくなってしまう。
    現実にも存在する症状が状態異常になるのは良くある事だが、喘息がここまでフィーチャーされるのはなかなか珍しい。
    「ぜんそくスプレー」を使うと治せる。
  • 敵による戦闘時の変化
    雑魚戦であっても出現した敵によって音楽が変わる。
    倒した時、動物なら「おとなしくなった」、人なら「われに かえった」、機械系なら「もう うごかない」など、敵の種類よって倒した時のメッセージが異なる。
  • キャッシュカード
    銀行にお金を預けられるシステム自体は珍しくないが、本作では敵を倒してもその場でお金は手に入らず、銀行に振り込まれるという仕組みになっている。そのため、店で買い物をする時に必要な分だけお金を下ろして使うように心がけていれば、全滅してもお金が減るペナルティがほぼ無効化される。ただし、場所によっては物が売られているのにお金を下ろせる施設が無いという意図的な罠も用意されている。
  • PSI(サイ)
    このゲームのみならず、超能力界隈で良く使用されている単語。超感覚的知覚(ESP)とサイコキネシス(PK)を合わせたもので、要するに超能力全般の事を指す。
    味方キャラクターではニンテンとアナのみ使用可能。
    ゲームシステム的には要するに魔法であり、PP(サイポイント)を消費して使用する。
    本シリーズでは攻撃用の超能力にはPKの頭文字が付く形でわかりやすく分別されている。
  • テレポーテーション
    いわゆる移動魔法だが、本作では長い助走距離が必要なため、狭い場所では成功しない。安易にダンジョンからは出られないようになっている。
    使用中はエンカウントしない仕様があり、テレポーテーションが成功しなければ別の場所へ転移する事はないため、それを逆手に取りエンカウントを抑えて進む手法もある。
  • ステータス
    当時の他のRPGではあまり見られないステータス名称をいくつか採用している。説明書を見ても「そのときの理力」などと解説されており、説明になっていないものもある。役割は以下の通り。
    • HP:他のゲームと同じで、これが0になると倒れる。
    • PP:いわゆるMP。これを消費してPSIを使う
    • オフェンス:攻撃力。ファイト+武器のオフェンスが、そのキャラのオフェンスとして計算される。通常攻撃のダメージ計算に使用される。
    • ディフェンス:防御力。スピード+防具のディフェンスが、そのキャラのディフェンスとして計算される。敵から通常攻撃を受けた際のダメージ計算に使用される。
    • ファイト:いわゆる力。オフェンスに加算される。SMASHを与える確率の増加・受ける確率の低下・命中率の増加・回避率の増加にも作用する。「ファイトカプセル」で上げた値がオフェンスに計算されないバグがある。
    • スピード:いわゆる素早さ。ディフェンスに加算される。戦闘中の行動順もスピードによって決定される。「スピードカプセル」で上げた値がディフェンスに計算されないバグがある。
    • かしこさ:高いと状態異常を受ける確率が低下する。
    • たいりょく:レベルアップ時にこの数値を参照にしてHPが上がる。戦闘では盲目・毒・麻痺を受ける確率が低下する。
    • フォース:レベルアップ時にこの数値を参照にしてPPが上がる。戦闘では困惑・混乱・睡眠を受ける確率が低下する。

キャラクター

主人公とおともだち

本作はゲーム開始時に以下4人全員の名前を入力する事になる。
名前の初期状態は空でデフォルトネームの初期設定はされていないのだが、説明書の紹介ではカッコ内の表記で名前が載っていない。
唯一主人公だけはゲーム画面で「にんてん」の名が確認できる。

  • 【ニンテン】(ぼく)
    主人公。名前変更可能。ポルターガイスト現象の原因を突き止めるために旅立つ。
  • 【アナ(MOTHER)】(おんなのこ)
    スノーマンの教会で暮らす少女。不思議な力を持つ。
  • 【ロイド(MOTHER)】(おともだち)
    サンクスギビングの小学校に通う眼鏡の少年。いじめられっ子だが、機械いじりが得意。
  • 【テディ】(もうひとりのおともだち)
    バレンタインの町で「ブラックブラッド団」という不良組織をまとめ上げるサングラスの少年。

一時加入

  • 【ピッピ(MOTHER)】
    ニンテンの近所の家で暮らす女の子。ストーリー的にはNPCなのだが、何故かピッピだけはステータス欄に名前が表示されるし、コマンド入力も可能。さらには経験値を得てレベルアップもするので、システム的には正規メンバーと同じ扱いになっている。
  • 【フライングマン】
    マジカントでニンテンの力になるために生まれた存在の鳥人間。
  • 【イヴ(MOTHER)】
    ジョージがニンテンを守るために作ったロボット。

宇宙人

重要人物

他のキャラクターは【MOTHER】/キャラクターを参照。

地名

説明書と他の資料で微妙に名前が異なるため、説明書の名称は括弧内に記載。

  • アメリカ
    本作の舞台。ただし地名は架空のものが使用されている。
  • マザーズデイの町
    ニンテン達が住む田舎町。田舎ではあるがデパートは一応ある。
    • マイホーム(ぼくの住んでいる家)
      ニンテンの家。
  • カナリア村(カナリヤ村)
    たくさんのカナリアが住む村。
  • 南の墓場(墓場)
    マザーズデイの南にある墓場。
  • シュークリーム動物園(動物園)
    マザーズデイの北側にある動物園。歌うサルが名物。
  • マジカント
    謎の不思議な世界。変な生き物が沢山いる。
    • クイーンマリーの城
      マジカントの中央にある、クイーンマリーが住む大きなお城。
    • 地下大河
      マジカントの地下に広がる大河。
  • サンクスギビング
    アメリカの都会。周りには工場がたくさんある。
    • ティンクル小学校
      サンクスギビングの小学校。ロイドが通う。
  • スイートリトル工場
    サンクスギビングの南にある小さな工場。
  • ダンカン工場
    サンクスギビングの北西にあるダンカンさんの工場。
  • サンタクロース駅
    サンクスギビングの北にある駅。
  • レインディアの町
    サンタクロース駅から一つ進んだ場所にある平和な町。
  • ハロウィーンの町
    レインディアの東に位置する町。町の人達がダウンタウンを捨てて住宅街に避難して暮らしている。
    • 幽霊屋敷
      ローズマリーさんのお屋敷。ゾンビがたくさん出る。
  • スノーマンの町
    ハロウィーンの東に位置する町。雪に覆われている。
    • 教会
      スノーマンの東にある教会。アナが住む。
  • アドベント砂漠
    サンクスギビングの北東に広がる巨大な砂漠。
    • 遺跡
      アドベント砂漠にある遺跡。巨大なロボットに守られている。内部にはなぜかサルがたくさんいる。
  • イースターの町
    自然豊かな町。大人が全員連れさらわれてしまった。
  • 湿地帯
    イースターの東に広がる迷路のような湿地帯。
  • バレンタインの町
    不良の町と呼ばれる町。テディが仕切っている。
  • ホーリーローリーマウンテン(ホーリー・ローリー・マウンテン)
    遠くにそびえる伝説の山。宇宙人の住処となっている。

元ネタ推測

  • ジョン・レノンの楽曲『MOTHER』(ゲーム内でもメタ的な自虐ネタとして使われている)

関連作品

移植・リメイク

移植

完全再現された移植ではなく、一部モンスターのグラフィックは『MOTHER1+2』と同じく修正されている。

リメイク

  • 【MOTHER1+2】
    2作目の【MOTHER2 ギーグの逆襲】とのカップリング。
    基本はそのままだが、様々な表現が修正されており若干遊びやすくなっている。
    また、下記の北米版の要素のものの一部を正式に取り入れている。

北米版について

本作は北米では発売されていない。
しかし1998年にプロトタイプ版のROMがオークションで販売され、そのROMデータがネット上へと流出。当初はそこまで騒がれなかったが、2000年前後のインターネットの低価格化と【ニンテンドウオールスター! 大乱闘スマッシュブラザーズ】【ネス】が参戦した事によってMOTHERシリーズが再注目されるようになり、流出版と日本版の変更点に触れられるようになる。
確認できる変更点はかなり多く、一部モンスターのグラフィック修正、8つ目のメロディーの入手方法の変更、エンディング自体が追加されるといった具合に多岐に渡る。詳しくは下記を参照。
タイトルが『MOTHER2 ギーグの逆襲』の英語版と同様の『EarthBound』なので、北米のコミュニティでは区別のために『EarthBound Zero』と呼ばれるようになった。

そして、2003年に発売した『MOTHER1+2』でその変更点がほぼそのまま収録されている事から正規品が流出したという見解が大多数となった。
ただし流出品の中にはグラフィックを日本語版のものに戻したハックロムも存在するので確認の際には注意。

その後、時は流れ2015年のE3でWii Uのバーチャルコンソールという形で正式にNES版が発売。タイトルは『EarthBound Beginnings』という名称になったが、タイトル画面は『EarthBound』から変わっていない。

流出したものを由来とする変更点は2003年当時で見ると正式な発売ではないので、本サイトで扱う際には下記のregionタグを使う形で隠して追記して頂きたい。

#region(解析情報)

#endregion

変更点

  • プロローグのあらすじが詳しく書かれている。
  • メロディー入手時のエフェクトが異なる。
  • 8つ目のメロディーの入手先がホーリーローリーマウンテンの山頂にあるXXストーンに変更。
  • エンディングが追加された。
  • 【おたすけじいさん】からお金を引き出せる。
  • 【フライングマン】の墓石が十字架ではなくなった。
  • 罠アイテムのゆうじょうのゆびわが削除。
  • ティンクル小学校の生徒が話す「ドラクエのフォー」が「スーパーマリオブラーズ7」という架空のタイトルに変更。
  • ブラックブラッド団の正式名称が「Bla-Bla gang」に変更。
  • ホーリーローリーマウンテンの名称が「Mt.Itoi」に変更。
  • 【R・7038】戦の戦闘終了はロイドが砲撃してダメージを与えた事に変わっている。展開は同じ。
  • 【カラス】【ギャングゾンビ】など、モンスターのグラフィックが一部異なる。

余談

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最終更新:2024年04月06日 13:05