詩百篇第6巻


 ミシェル・ノストラダムス師の予言集詩百篇第6巻百詩篇第6巻)は、1番から99番までの四行詩と、番号のないラテン語による四行詩の計100篇で構成されている。現在確認できる範囲内では、1557年9月6日版予言集で初めて公刊された。

 ほかにジャン=エメ・ド・シャヴィニーが発表した補遺篇が1篇存在するが、真贋は不明である。当「大事典」としては、偽作の疑いが強いと考えている。

翻訳

 以下に詩百篇第6巻の全100篇+補遺篇1篇の翻訳を提供する。

 詩番号にリンクが貼ってあるものは、別ページに解説を用意してある。リンク先に掲げてある原文については、正篇の底本が 1557U、補遺篇の底本が 1594JF である。ただし、詩番号の隣の*にリンクが貼ってある場合は、当面、非公開なのでご理解いただきたい。

 訳文はいずれも不断の見直しを必要とする仮訳だが、とりわけ解説を作成していない詩については、今後の詳細な分析の中で、主として採用する訳文が大きく変更される可能性があることを、あらかじめご承知おきいただきたい。
 ( )は言葉を補ったもの、〔 〕は難読語の読み、〔= 〕は簡略な語注を指す。

1
ピレネー山脈の周囲に大群、
それは新しい王を救うための異邦人たち。
ガロンヌ川のル・マスの大寺院の近くで、
ローマの首領は彼を水の中に囲い込むだろう。

2
五百八十より多いか少ないかの年に
とても奇妙な時代が待ち望まれるだろう。
七百と三の年には、― 諸天がそれを証言している ―
多くの王国が一から五に変わるだろう。

3
ケルト人の新しく生まれた者を試す川が
帝国により大きな不和の中にあるだろう。
若い君主は教会の人々により、
王杖を和合から取り除くだろう。

4
ケルトの川が岸を変え、
もはやアグリッピナの都市を流れることはないだろう。
古い言葉以外の全てが変えられる。
土星は獅子宮、火星は巨蟹宮にて略奪。

5
非常に大きな飢饉が悪疫の波と
北極沿いの長雨によって広がる。
サマロブリウァは、半球から百リューにて
政治から疎外され、法なしに生きるだろう。

6
北方に向かって現れるだろう、
長髪の星が巨蟹宮から遠くないところで。
スーザ、シエーナ、ボイオティア、エレトリア。
ローマの大物が死ぬだろう。夜が失せる。

7
ノルウェーとダキアとブリテン島は
連合した兄弟によって悩まされるだろう。
ガリアの血筋から出たローマの指導者と
その軍隊は、森林へと押し返されるだろう。

8
知識に傑出した人々は、
王の代替わりで衰えるだろう。
支援もなく黄金も持たずに追放される人々もいる。
学識者にも文学にも大きな価値はなくなるだろう。

9
聖なる殿堂に醜聞が起こるだろう。
(それらは)栄誉と賞賛に値すると見なされるだろう。
金貨や銀貨に刻まれるうちの一人の
最期は、実に奇妙な責め苦によるものになるだろう。

10
少しの間、白色と黒色の神殿は
双方によって混ぜ合わされる。
赤と黄はお互いに相手のものを盗むだろう。
血、大地、ペスト、飢餓、火が水によって狂わされる。

11
七つの小枝が三つに減らされるだろう。
最も年上の者たちが死に襲われるだろう。
二人は兄弟殺しに魅惑されるだろう。
眠りに落ちた陰謀者たちは死ぬだろう。

12
帝国で成り上がるために軍隊を打ち立て、
王家の血はバチカンによって(その正統性を)保つだろう。
フランドル人、イングランド人、スペインはシュパイアーとともに、
イタリアとフランスに対抗して争うだろう。

13
怪しげな人物は帝国の遠くには来ないだろう。
最大部分は彼を支持することを望むだろう。
カピトリウムのごとき神殿は彼の統治をまったく望まないだろう。
(彼は)その大いなる責務を保ち続けられないだろう。

14
その領地から離れて、国王は戦いを落とすだろう。
すぐに逃げるが、追撃され、続いて捕らわれる。
(素性を)知られずに捕らわれる、黄金の鎖帷子 〔くさりかたびら〕 と
偽りの身なりで。そして敵は驚かされる。

15
墓の下で見付かるだろう、
ニュルンベルクを凌駕する価値を持つであろう君主が。
か細き磨羯宮にてスペインの王は
ヴィッテンベルクの貴人に欺かれ、裏切られる。

16
フランスのノルマンディとピカルディによって、
若い鳶から奪われるであろうところのもの。
黒き森がある場所の寺院の黒き者たちが
ロンバルディアの宿と火を提供するだろう。

17
シャツを燃やされた後に驢馬引き人たちは
別々の服装に変えることを強いられるだろう。
サトゥルヌス主義者たちは粉挽き人たちに燃やされる、
覆われるであろう大部分を除いては。

18
医師たちから見放された大王が、
ヘブライの技術ではなく呪術によって生き延びる。
彼とその同類が王国で高位に押し上げられ、
キリストを嫉む民族に恩寵が与えられる。

19
真の炎が婦人を呑み込むだろう、
― 彼女は無垢な者たちを火にかけたがるであろう ―
襲撃が近づくと軍隊は炎上する、
セビーリャでは牛の姿をした怪物が目撃されるであろう時に。

20
偽りの同盟はほとんど持続しないだろう。
数人が変わり、大部分が改められる。
船内で軍隊は容認されるだろう。
そのときローマは新しい豹を戴くだろう。

21
北極の人々が一つにまとまる時に、
オリエントでは大きな恐怖と畏怖が。
新たな者が選ばれ、大神殿は支えられる。
ロードスビュザンティオンバルバロイの血に染まるだろう。

22
天の大神殿に属する土地のなかで、
ロンドンにて、偽りの和睦によって甥が殺される。
それから小舟は分裂的になるだろう。
偽りの自由は角笛と大声とによって(布告される)だろう。

23
王国の才人によって鋳貨の価値下落が布告され、
民衆はその王に対して煽動されるだろう。
治安も新しい行為も聖なる教えも、より悪化する。
ラピ 〔=パリ〕 がかつてこれほどに厳しい状況に置かれたことはなかった。

24
マルスと王杖が交会するだろう、
巨蟹宮の下で。凄惨な戦争。
少し後で新しい王が聖油を塗られるだろう。
その者は長らく地上に平和をもたらすだろう。

25
逆さまのマルスにより、偉大な漁師の君主政体は、
破滅的な困難に陥るだろう。
若くて黒い赤き者はヒエラルキアを掌握するだろう。
裏切り者たちは霧雨の日に決行するだろう。

26
四年間、いくらか立派な人物が御座を保つだろう。
生活の不品行な一人が後に続くだろう。
ラヴェンナピサヴェローナは支持するだろう、
十字架を掲げたいという教皇の熱望を。

27
五つの川が一つになる島々で、
偉大なるシランスランの三日月によって、
空模様が霧雨の時期に、ある者が怒る。
六人は亜麻の束に隠されて逃れる。

28
偉大なケルト人がローマに入るだろう、
亡命者たちや追放者たちの群れを引き連れて。
偉大な牧者が死なせるだろう、
アルプスで雄鶏のために結びついた人すべてを。

29
彼女の小枝〔=子ども〕たちが混乱と騒乱の中にいるとの
知らせを聖なる未亡人が聞きつつ、
喧騒を鎮めるために導かれるだろう。
その導きによって、剃髪たちで一杯にするだろう。

30
神聖に見せかけた外観のせいで、
御座は裏切られて敵たちに引き渡されるだろう。
安全に眠れると思われていた夜に、
ブラバントの近くでリエージュの人々が行進するだろう。

31
国王は切望していたものを見付けるだろう、
高位聖職者が誤って譴責されるであろう時に。
公爵は自らへの返答に不満を抱き、
ミラノで多くの者を死なせるだろう。

32
裏切りにより死に至るまで杖で打ち据えられ、
その騒乱によって囚われ、乗り越えられるだろう。
取るに足らない会議が偉大な捕虜に嗅ぎつけられる、
ベジックが狂って鼻を噛みに来るであろう時に。

33
彼の最後の手勢はハルスを通じて血まみれになり、
海での安全を保証できないだろう。
二つの川の間で軍の手が取り囲み、
黒き者にして怒れる者は彼を後悔させるだろう。

34
飛ぶ火による陰謀が
偉大な首領に攻囲された人々を混乱させに来るだろう。
(攻囲された場所の)中では暴動が起こるだろう、
堕落した人々が絶望するような類の。

35
白い羊毛に近いリオンのそばで
― 白羊宮、金牛宮、巨蟹宮、獅子宮、処女宮、
火星、木星、太陽 ― それが焼くだろう、大平原と
木々と都市を。手紙は爉で封をされる。

36
地上戦による良きも悪きも
ペルージャの境界地域には達しないだろう。
ピサは蜂起し、フィレンツェは悪い状態に気付く。
黒い脚絆でラバに跨る国王は、夜に傷つけられる。

37
古い作品が仕上がり、
大物の上へ屋根から不幸にも崩れたものが落ちるだろう。
致死的な事実で無実の者が告発されるだろうが、
罪ある者は隠される、霧雨の降る雑木林に。

38
平和の敵たちが打ち倒された者たちへと、
イタリアを征服した後に。
血まみれの黒い赤き者は委ねられるだろう。
火、血が流れ、水は血の色に染まる。

39
王国の子息は囚われた父親を
解放するために丸裸にされるだろう。
トラジメーノ湖の近くで奇襲が。
軍隊はあまりにも酔っていたために人質になる。

40
マゴンティアクムの貴人は大変な渇きをいやすために、
その偉大なる尊厳を奪われるだろう。
ケルンの人々がそのことをあまりにも強く悔やむことになるので、
その大きな集団はライン川に投げ捨てられるだろう。

41
デンマーク王国の二番目の指導者は、
フリースラントとブリテン島の人々を介し、
一億マルク以上を支払わせ、
イタリアで無駄に旅をさせるだろう。

42
オグミオスに残されるだろう、
武力でさらに多くをなすであろう偉大なスランの王国が。
イタリア諸邦をめぐってその軍旗を広げるだろう。
奇形の慎重な人物によって治められるだろう。

43
長いあいだ人が住むことはなくなるだろう、
セーヌ川とマルヌ川が近くで合流することになる場所では。
テムズ川とその好戦的な人々によって到達が試みられ、
休むことを考えていた守備隊たちは不意を突かれる。

44
ナントのために、夜にイリスが現れるだろう。
(いくつかの)海の技術が雨を創り出すだろう。
アラブの湾は大艦隊を沈めるだろう。
ザクセンでは雄熊と雌豚から一匹の怪物が生まれるだろう。

45
王国の総督は熟知していて、
国王の行為に同意することを望まない。
マルタの艦隊は逆風により、
彼を、その最も不忠義な者に委ねるだろう。

46
公正な者が亡命地に戻されるだろう、
ノンセグルの境界地域でのペストによって。
赤き者への返答は彼に道を踏み外させるだろう、
蛙と鷲から国王を取り去りつつ。

47
二つの山々の間に集まった二人の貴人が
秘めていた憎悪を捨て去るだろう。
ブリュッセルとドールはラングルに打ちのめされる、
メヘレンに彼らのペストを負わせるために。

48
ひどい紛い物にして誘惑的な神聖さが、
雄弁な舌に伴われる。
古い都市とパルマはあまりにも性急で、
フィレンツェシエーナをいっそう荒廃させるだろう。

49
マメルに属する大祭司が
ドナウ川の両岸を支配するだろう、
鉄(武器)によって何が何でも十字架を駆逐するために。
捕虜たち、黄金、指輪、十万点以上のルビー

50
井戸の中で骨が発見される。
継母によって近親相姦が犯されるだろう。
その身分は変わり、人々は名声と賞賛を求めるだろう。
マルスはその出生図でアセンダントになるだろう。

51
新しい見世物を見に集まった人々。
王子たちと王たちも多くの支持者たちのために。
柱と壁は崩れるが、奇跡のように
救われた王と、居合せた人々のうち三十人。

52
刑を宣告された貴人の代わりに
牢獄を出たその友人が彼の地位につく。
六ヶ月間かたわらにあったトロイアの希望は死産となる。
太陽は宝瓶宮に。河川は凍りつくだろう。

53
ケルトの偉大な高位聖職者は国王に疑われ、
夜のうちに王国の外に出るだろう。
肥沃なブルターニュの公爵を通じて、その大王へと。
ビュザンティオンはキプロスからもチュニスからも疑われない。

54
夜明け、雄鶏が二度目に啼く時に
チュニス、フェズ、ベジャイアの人々。
アラブ人により、モロッコ王は囚われの身に。
典礼の千六百と七の年。

55
凪に、協約を結んだ公爵は、
突然に現われたアラブの帆に気付く。
トリポリ、キーオス、トレビゾンド(未作成)の人々、
公爵は黒海で捕らわれ、その都市が荒らされる。

56
ナルボンヌの敵の恐るべき軍勢が
ヘスペリア諸邦をあまりにもひどく怯えさせるだろう。
盲目のモグラによってペルピニャンを空にする。
そのときバルセロナは海で攻撃を加えるだろう。

57
王国であまりにも前に出ていた者は、
ヒエラルキアの近くで赤い頭をしていて、
貪欲にして残酷で、恐れられるだろう。
神聖な君主制を継承するだろう。

58
隔たった二人の君主のあいだで、
によって太陽の光が失われる時に ―
島々とシエーナで自由が回復されたことに
憤慨した二人のあいだに大きな敵意が。

59
姦通の怒りによって取り乱した婦人は、
その君主へと口外しないことを示し合わせに来るだろう。
だがすぐに不名誉が知られるだろう。
それで十七人が殉死するだろう。

60
君主は自分のケルトの領地の外で
通訳に欺かれて、裏切られるだろう。
ルーアン、ラ・ロッシェルはアルモリカの人々を通じ、
ブライユの港で修道士と司祭に欺かれる。

61
折り畳まれたつづれ織は示さないだろう、
物語の大部分を半分しか。
王国から追放され、遠くで荒々しい者が現われるだろう。
それで誰もが戦闘行為での彼を信じることになるだろう。

62
二つの花が双方とも非常に遅れ、失われるだろう。
(彼は)教えに反する誓いをしたがらないだろう。
陰謀者たちの力はガリア人たちによって打ち倒される。
サヴォーナとアルベンガではモナコによる大殉教が。

63
婦人が独りで王国に残される。
唯一の者が栄誉ある寝台〔=戦場〕で最初に死ぬ。
七年間、(彼女は)悲しみに沈むだろう。
そして、大いなる幸運によって王国での長寿が。

64
いかなる協約も確定したままで保持されないだろう。
すべての調印者たちは欺瞞によって手続きをするだろう。
海と陸とで平和と休戦が主張される。
バルセロナによって艦隊は術策をもって捕らわれる。

65
戦端が半ば開かれ、灰色と茶色が
夜に襲撃され掠奪されるだろう。
囚われた茶色は監獄に移るだろう。
その神殿は開かれ、二人は敷地で焼かれる。

66
新しい宗派の礎で、
偉大なローマ人の骨が発見されるだろう。
覆われた大理石の墳墓が出現するだろう。
大地が四月に震え、不十分に埋もれる。

67
まったくの別人が大帝国で成り上がるだろう。
幸福からよりも善良さから程遠い。
藁布団から遠くない場所で生まれた者によって支配される。
諸王国は破滅し、大いなる不幸が。

68
暴動を起こす激情に駆られた兵士たちが
その指導者に対して夜に剣を抜くであろう時に、
アルバからの敵が激昂した武力によるにせよ、
そのときローマを苦しめ、重要人物たちを誑かす。

69
大いなる惨めさがすぐにもあるだろう。
与えていた者たちが奪わざるをえなくなるだろう。
寒さと渇きによって飢えた丸裸たちが群れをなし
不祥事を仕出かしつつ山々を越える。

70
偉大なシランが世界の首領になるだろう、
プルス・ウルトラが愛され、恐れ慄かれた後に。
彼の名声と称賛は天を越え行くだろう。
そして勝利者という唯一の称号に強く満足する。

71
その大王の葬礼を執り行おうと人々がやって来るであろう時に、
― 彼がその御霊を完全に返してしまう前に ―
それをあまり悲しむことにならないであろう者へと、
獅子たちと鷲たちを介して、十字架と王冠が売られる。

72
神聖な興奮のふりをした激情により、
貴人の細君は手ひどく犯されるだろう。
裁判官たちはそのような振る舞いを断罪することを望み、
犠牲者が何も知らない民衆に捧げられる。

73
さる修道士と熟練工が大都市の
門の近く、城壁沿いに住まう。
モデナに対し、秘密をフクロウが語り、
(彼らは)裏切られる、婚礼という口実で実行するために。

74
追い払われた女性が王国に戻るだろう。
謀反者たちの中に彼女の敵が見出される。
かつてないほどに彼女の時代は勝ち誇ったものになるだろう。
三と七十が死を強く保証される。

75
偉大な水先案内人は国王から命じられるだろう、
より高い場に到るために艦隊を離れるようにと。
七年の後に(彼は)楯突くだろう。
バルバロイの軍がヴェネツィアを取り囲みに来るだろう。

76
アンテノルにより建設された古き都市
もはやその暴君を支持することができず、
不具を装う者が神殿で喉を切る。
その手下たちを民衆は死へと押しやることになるだろう。

77
欺かれた者の詐欺的な勝利により、
二艦隊が一つに。ゲルマニアの反乱。
指導者は殺され、その息子は天幕に。
フィレンツェとイモラはロマーニャで追い回されるだろう。

78
大いなるスランの三日月に勝ったと大声で告げる。
ローマ人たちによって鷲が要請されるだろう。
ティキヌムミラノ、ジェノヴァはそれに同意しない。
そして彼ら自身によって偉大なる王位が要求されるだろう。

79
ティチーノの近くで、ロワール、
ガロンヌ、セーヌ、タルン、ジロンドの住民たちは
山々を越えて、橋頭堡を築くだろう。
紛争が与えられる。ポー川は増水し、波に呑まれる。

80
フェズの王国がヨーロッパの諸王国へと到達するだろう。
彼らの都市に火、そして刃が断ち切るだろう。
アジアの貴人が海と陸とで大軍を。
それで紺青の者たちが十字架を死へと追いやるだろう。

81
涙、叫び、嘆き、怒号、恐怖
人でなしで残酷で黒く、凍てついた心。
レマン湖、島々、ジェノヴァの貴族たち、
血が撒き散らされ、情け容赦のない寒さと飢え。

82
開けた野生の地の砂漠で
偉大な教皇の甥が彷徨うことになるだろう。
(彼は)殴り倒される、重い丸太を持ち、
のちに聖杯を奪うであろう七人によって。

83
ガリア・ベルギカに入るにあたり、
多くの栄誉と賛辞を得るであろう者が、
しばしの後に多くの荒事をなし、
花に対して非常に好戦的になるだろう。

84
跛者であるためにスパルタに君臨できない者、
彼があまりにも誘惑的な方法で行おうとするので、
彼は不意に法廷に召喚されるだろうし、
自らの見解を王に対して示すだろう。

85
タルソスの大都市はガリア人によって
破壊されるだろう。全員ターバンに囚われる。
偉大なポルトガル人たちによる海からの救援。
夏の最初、聖なるウルバヌスの日。

86
偉大な高位聖職者が夢を見た翌日、
― その意味は正反対に解釈される ―
彼をガスコーニュから来た修道士が突然訪ね、
サンスの偉大な高位聖職者を選出させるだろう。

87
フランクフルトで行われた選挙は
なんら効力を持たないだろう。ミラノが反駁するだろう。
彼の一番の近親者があまりにも強大に見えるので、
ライン川を越えて沼地に追いやられるであろう。

88
ある大王国が荒廃したままになるだろう。
エブロ川の近くで会合が持たれるだろう。
ピレネー山脈が彼を慰めるだろう、
五月に大地が震えるであろう時に。

89
二隻の小舟の間で足と手を結び付けられ、
顔に蜜と乳を塗られ、命を繋ぐも、
忍ぶ愛(のせいで)、雀蜂と蝿に苦しめられ、
盃に穴を開ける酌人(からも)、試される。

90
悪臭を放つ忌まわしき不名誉は、
その行為の後で祝福されるであろう。
ネプトゥヌスが平和に靡かなかったことに
好意的でないために、貴人は赦される。

91
海戦の指揮官により、
赤き者は抑えがきかなくなり、深刻で恐るべき騒擾が。
捕虜は年長者から逃れて袋の中へと、
アグリッパの息子が貴人から産まれるであろう時に。

92
あまりに美しく優雅な君主が、
指導者へと連行され、二度目に裏切られる。
都市には剣、その表面は火薬で燃やされる。
あまりの大虐殺ゆえに、指導者は国王から恨まれる。

93
吝嗇な高位聖職者が野望に欺かれる。
強く思うようになること以外には何もないだろう。
その伝令官たちと彼が罠に掛けられる。
木を割った者がまったく正反対に見る。

94
王は誓約を破る者に怒るだろう、
戦いの甲冑が禁じられるであろうときに。
苺のために砂糖に塗られた毒。
大水によって傷つけられ、「閉じろ、閉じろ」と言いつつ死んだ者。

95
軽んずる者によって、より若いものへの中傷が、
並外れた戦争行為が起こるであろう時に。
最も小さな疑わしき部分が年長者に。
そしてすぐに王国では党派的行為があるだろう。

96
大いなる都市は兵士たちに委ねられる。
こんなに切迫した致命的な騒擾はかつてなかった。
おお、何という忌まわしい惨禍が近づいていることか。
一つの攻撃を除けば、そこで許されるものはないだろう。

97
五と四十度で空は燃えるだろう、
火が大きな新しい都市に近づくために。
瞬時に撒き散らされた大きな炎が爆ぜるだろう。
人々がノルマン人たちを試したいであろう時に。

98
非常に強い恐怖によって、恐るべきウォルスキ人たちは荒らされる。
彼らの大いなる都市は染められる、悪疫のような行為(によって)、
つまりは太陽と月とを奪うことや、神殿を荒らすこと、
そして二つの川を流血で赤くすること(によって)。

99
博学な敵が混乱に転じるだろう。
大いなる陣営が病み、待ち伏せによって崩される。
ピレネー山脈もポエヌスも、彼に拒絶されるだろう、
その川の近くで古い甕が発見されるから。

愚かな批評家に対する法の警句
この詩を読むであろう方々よ。とくと熟考なさい。
俗人、門外漢、無知な者に近づいてはならない。
占星術師、愚者、野蛮人は全て遠ざかっていなさい。
さもなくば儀式に従って呪われるがよい。

補遺篇

100
アウラの娘であり、不健全な者が避難する場所、
そこでは天を衝く円形劇場が見える。
驚異が見られ、汝の災いが切迫して近づいている。
汝は囚われるだろう、四回以上も。


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百詩篇
最終更新:2021年10月07日 00:10