第三話「ちょっと大人な入浴」
訓練が終わり、宮藤達の入浴が終わるまで俺は部屋に戻り読書をしていた。
読書を始めて半時程経つが坂本が呼びにくる様子は中々無く、彼も暇を持て余し始めていた。
「まだ浴び終わって無いのか、芳佳ちゃん達は」
ポツリと呟いた彼には段々と眠気もきているようで、言葉の端では大きな欠伸も出している。
『もう浴びずに寝るか』との考えが彼の頭を過った瞬間、部屋の扉からコンコンと叩く音が聞こえた。
「漸く来たか」
音を聞いた彼はベッドから跳ね起きて立ち上がり、あらかじめ準備していた着替え一式を手に取り扉を開ける。
外に居る人物は大体予想が出来るためそのまま言葉を掛けた。
「芳佳ちゃん達、結構長かったみたいだな」
「宮藤達は女だ。女は色々と時間が掛かるから仕方無い」
「男が言うような口振りだが、美緒もその女だろ?」
「私はそれ程時間は掛からん」
そんな軽口を二人は言い合いながら部屋を後にする。向かう先はこの基地にある露天風呂だ。
だが俺に関しては自分の部屋と食堂、ブリーフィングルームしか知らないので必然的に坂本が案内する形になる。
「俺が露天風呂を使う際は時間帯に気を付けた方が良いな。私は兎も角、私以外の奴に鉢合わせでもしてみろ」
「・・・・・・タオルを巻いた皆にその場で蜂の巣にされている自分の姿が安易に思い浮かぶよ」
想像した瞬間に俺の体から冷や汗がどっと出てくるのが分かった。
普通の女性でもさえも恐ろしいのに、ここの女性陣は世界でもトップクラスの力を持った軍人。間違いなく彼は血祭りに上げられるだろう。
「私も皆が俺を蜂の巣にするのに混ざるのも悪くは無いな」
「美緒が入った瞬間に俺はお天道様とご挨拶をせにゃならんから止めてくれ」
「む、私が一番狂暴だと言っているように聞こえるぞ」
「気のせいですよ、気のせい。美緒が狂暴な訳無いだろ?俺からしちゃ美緒が一番可愛いって」
その言葉に一瞬だけ彼女の顔は驚きの表情と頬が紅くなったが、すぐに表情は戻り溜め息を吐きながらつかつかと歩き始めた。
「・・・その口説き文句は他の奴等に言うので聞き飽きた。もう少し考えて物を言え馬鹿者」
「な、何で急に不機嫌になるんだよ。俺は正直に言っただけだろ」
「女を見るや否や『可憐だ』『素敵だ』何て簡単に言う奴を信用出来るか?」
「・・・・・・いや、そうだな。今度から自重するよ」
彼女の的を射ている言葉には流石に反論出来ず、彼は素直に謝った。廊下を歩く音だけが響き渡り、二人の間には何だか気まずい雰囲気が漂う。
そして気まずい雰囲気のまま、露天風呂のある場所へ到着。
「・・・ここが露天風呂だ。私は後で来るから先に入ってくれ」
「ん、分かった」
そう言って彼はチラッと彼女を一瞥した後に入っていった。
一瞥したのには気付かなかったようだが、入って行った事を確認した彼女は大きく溜め息を吐き、壁に背中を着ける。
「(・・・・・・本当は俺からの言葉が嬉しいのに、素直じゃ無いな私は)」
そうして少し経つと中から露天風呂に繋がる扉を開けた音が聞こえた。
「とりあえず、俺には謝ろう。湯に浸かる時はお互い良い気持ちで入らねばな」
「へぇ、これはまた立派な露天風呂だなぁ」
正直な話し、異国の地に造られた露天風呂には正直期待していなかったが・・・うん、認識を改めて無いといけないみたいだ。
「・・・なるほど温度も丁度良い。オマケに辺りの風景も最高と来たか。文句無しだ」
扶桑の地でもこれ程までに立地条件の良い露天風呂は中々無かろう。激戦が繰り広げられる最前線とは言え俺は恵まれた部隊に来たようだな。
本土防衛隊の皆、これからもボロい湯船で頑張れ。
とりあえず、湯に浸かる前に桶で汲んだ湯で体を綺麗に流す。
そしてタオルは折り畳み頭の上に乗せてゆっくりと足から浸かり底に腰かける。
「っあ~!!生き返るなぁ~」
風呂は命の洗濯、とはまさにこれだな。美緒の厳しい訓練の後には最高の癒しだ。
「・・・・・・そう言や美緒の奴、何で不機嫌になったんだろう」
確かに俺は女性が好きだ。好みの女性にはすぐに声を掛けてしまうのは、俺でも悪い癖であると思う。
だが、俺の言葉に嘘や偽りは断じて無い。全ての言葉に心を込めている。
「美緒に対しても正直に伝えたつもりなんだがなぁ・・・」
女性が好きだとか良いながら正直な話し、俺は美緒に惚れている。ガキの頃からずっと惚れている。
この軍に美緒が居るのは知っていた。んでそこに配属されると知った時は心から喜んだし嬉しかった。
また一緒に戦える、また一緒に生活出来る。また一緒に笑い合える!!・・・・・・だけど笑い合える所か、一日も経たずにこの様だ。
「アホだろ、俺って」
ハァ~、やっぱり節操無しに女性に声を掛けたりするのがいけないよなぁ。
自分の性格の駄目さ加減には本当に呆れたもんだ。
ガラガラッ
「!!」
扉が開いた音が聞こえた。美緒が入って来たんだな。ってそりゃ当たり前か、美緒と一緒に入る約束してたんだ。
「・・・・・・あ、一緒に、入る」
え、何か急に恥ずかしくなってきた。と言うか・・・・・・き、緊張してきた!!
今思ったら、風呂に入ってたのも美緒を何とも思って無いガキの頃じゃねえか!!
何でちゃんと考えて返事しなかったんだ、訓練が終わった後の俺ぇ!!
「俺、湯加減はどうだ?熱くは無いか?」
み、美緒が来た。ヤバい心臓の動悸が激しくなってきてる。
と、とにかく返事をしねぇと。
「お、おお!!湯加減は最高に丁度良い・・・・・・ぞ」
「そうかそうか。それは良かった」
湯煙から現れた美緒の姿を見た瞬間、俺の心臓の動悸は更に激しくなり、思考は停止、視線は美緒に釘付けになってしまった。
湿気で張り付いているタオルのせいか、胸の膨らみや引き締まった腰等の身体のラインをそのタオルが強調させ、とても女性らしさを感じた。
いつもは結っている髪も今は下ろしており、サラサラと髪が靡く様子は更にその魅力を増させているように見える。
そして笑顔を俺に向けてくれている。その笑顔はいつもより何故か綺麗で可愛いらしく見えた。
そこで俺は完全に━━━完璧に美緒に骨抜きにされてしまった。
「?どうした?顔が赤いぞ、もう逆上せたのか」
「!!あ、いや、大丈夫だぞ!!///」
美緒に声を掛けられて、漸く我に帰った。
心配そうに見つめないでくれよ、何か恥ずかしいだろ。
「まだ赤いがのぼせたのか?・・・あまり無理はするなよ?」
「あ、ああ」
まだ心臓がバクバクしている・・・・・・と、とりあえず深呼吸で落ち着かせなきゃいけない。
不審な行動は美緒にすぐばれてしまうからな。
「私も入るかな・・・」
今は美緒に背を向けているが、美緒が今何をしているかが分かってしまう。
湯を身体に掛ける音が聞こえる・・・そしてすぐに湯船に身体を浸からせた音もした。俺の後ろに静かに座ったようだ。
「ふぅ、良い湯だな」
「お、おお。気持ちが良いな」
「風呂は命の洗濯と言うが、全くその通りだと私は思う」
「だ、だな」
馬鹿みたいに緊張してんな、俺って。美緒は恥ずかしく無いのだろうか・・・・・・まあ、俺なんてただの仲の良い幼馴染みとしか思って無いよな。
あ、なんか気分が沈むと落ち着いてきた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
本当に濁り湯で良かった。タオルを取ってる美緒は肩から下まで浸かっているから、胸や下半身はあまり見えない。
- あ、いや、動く度に綺麗な形の胸がチラチラ見えて逆に駄目だ。
「な、なあ俺」
「ど、どうした?」
「先程は、その・・・馬鹿者や信用出来ないとか俺に言ってすまなかった」
「・・・・・・」
美緒よ、湯で自分の頬が紅く染まっている時に、伏し目がちでそんな事言うなよ・・・・・・可愛くて理性が本当にヤバいだろうが。
ただでさえ、俺はお前に骨抜きにされてんだから。
「さっきの私はどうかしていたみたいだ。ほ、本当はお前に可愛いと言われて時は・・・・と、とても嬉しかった」
おいおい、本当にヤバいじゃないか━━━━
「信用出来ないと言うのも嘘だ。私は心からお前を信用している」
ったく、理性って簡単に壊れそうだな━━━━
「私にとって、俺は本当に大事なんだ。だからこれからは・・・」
すまん神様、これ以上はちょっと━━━━
「私と一緒に戦い、私と生き、私と笑い合ってくれないか?」
我慢出来ないみたいだ━━━━
「馬鹿美緒、当たり前だろ。一生お前の側に居るさ」
「俺?今なんて・・・んぅ!?///」
「んっ・・・ふぅ・・・ちゅっ・・・っふぁ///」
「・・・っはぁ、ぁ、美緒、その・・・」
美緒にキスをしてしまった・・・。本人の同意も無く無理矢理にしてしまった。
あ、ああ~俺って最低じゃねえか!!
「す、すまん美緒!!俺はお前になんて事を・・・謝って済む問題じゃ無いかもしれんが本当に・・・」
「ま、待て俺!!落ち着いてくれ!!」
落ち着け?・・・・・あ、ああそうだな。落ち着いて話さないとな。
「そんなに謝る事は無い・・・と思うぞ。急にされて心底驚いたが」
「・・・あ、すまない」
「だから謝るなと言っているだろう?驚いただけで別に・・・嫌では無かった///」
「い、いやでもな」
「・・・・・・ならば、これで良いだろう?」
「ぅむ!?///」
お、おい嘘だろ?美緒からのキスだって?
てかさっきは勢いでしてしまったから分からなかったが、美緒の唇って柔らかいな。
「・・・・・・これで私もお前の同意無く、き、キスをしたからな///この事はお互い様だぞ?///」
「・・・・・・ああ、お互い様だな」
至近距離で見つめ会う俺と美緒。眼帯は付けているがもう片目でしっかりと俺を見つめてくれている。
「美緒・・・・・・俺は美緒が好きだ。ネウロイとの戦い、絶対に生き残るぞ。そして笑いながら扶桑に帰ろう」
「・・・・・・その言葉を何年待ったと思っているんだ馬鹿者」
やっぱり美緒の笑顔は世界中の誰よりも綺麗だな。
「・・・・・・私も俺が好きだ。501の誰一人欠ける事無く、戦いを終わらせ絶対に扶桑へ帰るぞ?」
「もちろんさ、美緒との約束は命を懸けてでも守るよ」
「命は懸け無くて良い。絶対に生きてもらわないと私が困る」
「ハハッ、だな」
一頻り笑った後に、また見つめ会う俺と美緒。
そしてお互いに顔を近付けどちらからもなく、唇を合わせる。
今は高揚もせずに不思議と穏やかな気持ちだ。
「んっ・・・ちゅっ・・・ふむぅ・・・ぴちゃ・・・」
お互いの感覚を得る為に舌と舌とを絡め深い深いキスをする。唾液が混ざり、ぴちゃぴちゃと水音が露天風呂に小さく鳴り響く。
心から愛している人物とのキスはこれほどまでに幸福感を与えてくれるのか。
時間としては数分間も経っていないだろうが、俺には何時間も経っている気がした。長く感じてしまう位に幸せな時間だったのだろう。
唇を離すと美緒が少し苦しそうにしていた。
「・・・・・・んっ///はあっ、はあっ」
「だ、大丈夫か美緒?苦しかったのか?」
「す、少しだけな。夢中に、なりすぎて、鼻での呼吸を、はあっ、忘れていたよ///」
少しだけと言いながらも結構苦しかったみたいだな。申し訳無いと思う反面、美緒が強がりを言っている所も今は愛しく感じてしまう。
「よしよし、落ち着くまで休もうな」
「こ、子供扱いするな!!///同い年だぞ全く///」
抱き締めて頭を撫でてやると、文句を言いながらもしっかりと抱き締め返してくれるのは本当に嬉しい。
身体を鍛えているけどやっぱり柔らかいなぁ、無駄な肉が無いのは実に素晴らしいと思う。
「・・・・・・さ、最後までするのか?///」
「あぁ~・・・・・・美緒はどうしたい?」
「わ、私に聞くな!!///」
「キスだけで俺は充分幸せだけどなぁ」
落ち着いた美緒からのまさかの言葉にびっくりしたが、まあ別にしなくても今の俺は本当に幸せなので大丈夫だ。
「だ、だがな・・・・・・わ、私のお腹に当たってるモノが苦しそうだぞ///」
「・・・・・・」
湯船に腰掛けた俺の太股の上に跨がって座っている美緒の腹には臨戦モードの俺の愚息がいた。
つっても仕方ないよね、だってすぐ目の前には裸体の愛しき女性が居るんだ。
おまけに抱き合ってるんだぜ?おっ立つのは仕方ないよね?
「いや、なんかすまん。精神は落ち着いているがどうもこいつは落ち着かんらしいな。まあ時間が経てば元に戻るさ」
「が、我慢は良く無いんじゃないか?」
「心配すんな。自然と治まるようになって・・・・・・っあ!?」
話している最中に俺の身体が急にびくんと震えた。
原因は分かっている、美緒が突然俺のモノを手で触れたからだ。
驚きと柔らかな手のひらの感覚で思わず身体が跳ねてしまったようである。
「ばっ、美緒っ!!」
「・・・・・・こ、ここを擦ると良いんだよな?///」
「ま、待て!!くっ・・・!!」
おずおずと探るようにして触る美緒の柔らかな手のひらは半端では無い位気持ち良く、今まででも経験した事の無い程ヤバい。
つか完全に流されかけている。
「俺、気持ち良いか・・・?」
「ぅくっ・・・美緒っ」
「ふふ、上手く出来てるみたいだ。もう少し動かしてみても良いな?」
「・・・っう、ふくっ、」
俺の反応を見て美緒は少し自信と余裕が付いたのか、指先で先をくりくりと弄ったり、竿を優しく手のひらで包み上下に動かしたりとしてくる。
頭の中は美緒と快楽でいっぱいになり、思考は靄が掛かったようになった。
「これ、以上はっ・・・んぅっ」
「ちゅっ・・・んっ・・・ふぅ・・・ちゅく・・・」
快感に支配されつつも美緒に制止の言葉を掛けようとしたが、唇を塞がれまた深いキスをする。
だが美緒の手は止まらず、舌を絡めながら更に快感を与えてくる。
「・・・っはぁ、美緒っ、そろそろ、ヤバ・・・っう!?」
「もう限界か?・・・大丈夫だ、我慢せずに出してくれ」
俺のモノから伝わっているのか触っている美緒にも限界が近付いている事が分かるようだ。
正直今にも出そうで我慢のせいか身体が震えてきた。
「み・・・お・・・っぅあ!!」
「っ!!・・・・・・これが俺の子種か。これほど熱いのだな」
びくんと一度身体が跳ねたと同時に、俺のモノから白く濁った液体が美緒の手のひらに吐き出された。
断続的に出続ける液体の勢いは中々治まらず、美緒の手の平へと更に出される。
「はあっ、はあっ、」
「しかしこんなに出る物なのか・・・・・・おっと」
漸く出すのも終わったようで、湯船に腰掛けていたが、身体の力は抜け息も絶え絶えになり、白濁の液体を見て驚いている美緒の肩に顎を乗せ、腕は美緒を抱き締め息を整える。
「・・・・・・馬鹿美緒、死ぬ程気持ち良かっただろうが」
「それは良かった。
初めての体験だったが上手く出来てたか?」
「文句無しだな。もう美緒に依存するなこりゃ」
「はっはっはっ!!お互いに依存すれば良いさ」
- それはどんな意味になるんだ?いや、深くは考えないでおこう。
「これから私達は恋仲になるのか?」
「まあそうなる、ってかそうなりたい」
「・・・何だかムズムズする響きだな」
「馴れれば良いだけの事さ。これからもよろしくな美緒」
「ふふっ、よろしく頼むぞ俺」
そして俺と美緒はまたキスをした。
これからネウロイとの戦いも激しくなるだろう。それでも俺は必ず美緒を・・・・・・心から愛している人を必ず守る。
俺の命が尽きてもだ。
「所でこれはどうすれば良い?」
「・・・・・・お湯で流した方が良いと思うぞ」
「そうだな。しかし少し舐めてみたがこれは変な味がするんだな」
「舐めたのかっ!?」
「うむ、一応馴れておこうと思って。確か口でもやる行為があった・・・」
「さ、さあゆっくり湯に浸かるぞ!!」
「?おかしな奴だ」
最終更新:2013年02月02日 12:53