食堂

バルクホルン「ハルトマンどこに行っていた!」

エーリカ「俺の部屋で本読んでたら寝てた」

バルクホルン「全くお前というやつは……お前もだ俺!」

俺「……」もぐもぐ

バルクホルン「食べるのをやめてこっちを見ろ! お前がハルトマンを甘やかすからだな……」

 どうにも俺のことは好きになれないとバルクホルンは思っていた。
 それはハルトマンが俺の部屋に出入りすることが増えたころから、好きになれないから、気に入らないに変化した。
 どうしてこんな感情になるのか本人にもわからずに蓄積されていき、それは今にも爆発しそうだった。

バルクホルン「わかってるのか!?」



宮藤「ば、バルクホルンさん落ち着いてください、ご飯食べましょうよ」

バルクホルン「いいや宮藤、今日こそは俺にきっちりと言ってやらないとだな」

ルッキーニ「おーい俺ー」

シャーリー「おはよー」

 とげとげとした空気を打ち破るように、明るい声でルッキーニとシャーリーが入ってきた。
 ルッキーニは片手に絵本を持っている。

ルッキーニ「どうしたの? 俺ー借りてた絵本返すよ」

シャーリー「久々に読む絵本もいいもんだな。童心に帰った気分だ」

 俺はルッキーニから絵本を受け取る。

シャーリー「知ってる話も子供向けに書きなおされてる部分って、案外多いんだな」

ルッキーニ「うじゅー……ところどころ怖い部分あった」




バルクホルン「……っ絵本なんて子供みたいなもの読むんじゃない!」

俺「あっ」

 俺の手から絵本を奪い取ると、床に思い切り叩きつける。
 パンッと紙の乾いた音が響き渡った。

バルクホルン「あ……」

 バルクホルンの額から汗が流れた。衝動的に行動してしまったのか、この中で一番驚いている。
 対照的に俺は何も言わず叩きつけられた絵本を見ている。

俺「…………………」

エーリカ「トゥルーデ……」

シャーリー「バルクホルンお前……」

バルクホルン「わ、わたしはだな! 男がこんなものを読むのはやめろと……」

俺「ミヤフジ軍曹」

宮藤「は、はい!」



俺「朝食でしたが自分はもう結構です。お腹が一杯になりまして」

 そういった俺の器には殆どが残っている。

俺「今日の朝食はこのくらいで失礼させていただきます。残してしまい申し訳ありません」

 俺は床に落とされた絵本を拾うと、表紙についた埃を手で払う。

俺「では失礼します」

 一度も振り向くことなく俺は食堂から出て行った。


ルッキーニ「うじゅー……俺もの凄く怒ってるよね……」

シャーリー「今にも襲いかかりそうだったよな……」

エーリカ「トゥルーデ謝ってきなよ」

宮藤「そうですよバルクホルンさん!」



バルクホルン「ふん、あいつが食堂まで絵本を持ってくるのが悪いんだ!」

ルッキーニ「持ってきたのはあたしなんだけど……」

バルクホルン「……とにかく! 人の話も聞かずに絵本なんぞに意識を奪われるから悪い! 謝るなら俺の方からだ!」スタスタ

 バルクホルンも食堂から出て行った。

エーリカ「トゥルーデ!」

シャーリー「バルクホルンらしくないな」

宮藤「そうですね……どうして今日はあんなにイライラしてたんでしょう」

坂本「なにやらしかめっ面のバルクホルンが通って行ったんだが、どうかしたか?」

 俺とバルクホルンと入れ替わるように、坂本、ペリーヌ、リーネ、ミーナが食堂に入ってくる。

宮藤「実は……」



坂本「なるほど……」

ミーナ「それはトゥルーデが悪いわね」

ペリーヌ「でも気持ちもわからなくはありませんわ。友人が異性と一緒に寝てたりしたら心配になるのは当たり前だと思いますの」

リーネ「きっとハルトマンさんが心配なんだと思います」

エーリカ「でもトゥルーデらしくなかったなあ」

シャーリー「だな」

ルッキーニ「ちょっと前のバルクホルンに似てるかも」

宮藤「そうですね……」

エイラ「どうしたんダ?」

 今度はエイラとサーニャがやってきた。

サーニャ「バルクホルンさんと、俺さんがいませんね……」

宮藤「カクカクシカジカシカクイムーブ」


エイラ「なるほどナー」

サーニャ「俺さんの絵本は、きっととても大切なものなんだと思います……」

エーリカ「だよねー。なんであんなに大切にしてるかわからないけど」

ミーナ「人には越えてはならない一線があって、それが俺少尉にとって絵本だったみたいね」

坂本「うーむ……しかしこのままではいかんな。俺はこの基地の食料と戦闘時の弾薬の管理をしているし、バルクホルンは言うまでもなくこの基地の要だ」

宮藤「二人ともこの基地にとってなくてはならない存在なんですが……」

リーネ「だよね……」

エイラ「うわ」

サーニャ「どうしたの?」

エイラ「二人の今の関係を占いしてみたら、何度やっても塔しか出なイ」

ペリーヌ「自然に仲直りは……」

エイラ「無理ダナ。というかほったらかしにしておいたら更に悪くナル」


ミーナ「ま、まあ占いだから確実とは……」

エイラ「6連続で塔ってただ事じゃないゾ」

ルッキーニ「うじゅ……」

シャーリー「……俺が怒ったとこ誰か見たことあるか?」

全員「「ない(です)(ですわ)(ナ)(わね)」」

シャーリー「わたしも無い」

エーリカ「一度わたしに怒鳴ったことあったけど、あれは心配して怒鳴ってくれたんだと思うし」

坂本「うっかり訓練中に木刀が飛んで行って、俺の頭に当って流血した時も怒らなかったしな」

ペリーヌ「井戸掘ってる最中に水を入れてしまっても怒りませんでしたわ」

ルッキーニ「うっかり俺のケーキ食べちゃっても許してくれたし」

シャーリー「剣無くしたけど、怒らずに代わりに槍とか弓とか貸してくれたし」

宮藤「滑って納豆を頭にかけてしまっても怒りませんでした」

ミーナ「みんな俺少尉に色々しすぎじゃない?」




シャーリー「そんな俺が怒った。これはただことじゃない」

サーニャ「そういうことになりますね……」

シャーリー「しかも内容はともかく喧嘩してるのがウィッチだ。子供の喧嘩じゃないぞ」

ミーナ「放っておいたらとんでもないことに発展しそうね」

坂本「更に喧嘩する2人がとんでもない量の武器を保有してる俺と、とんでもない力を持つバルクホルン」

ペリーヌ「ぶつかり合おうものなら基地が大変なことになりますわ……基地2つ3つ吹っ飛ばせるとまで言ってましたし……」

宮藤「さ、流石に二人とも武器を使おうとはしないでしょうが……」

エイラ「いや、正直俺とか普通に使いそうだからコマル」

リーネ「それは無いよ……多分」

エーリカ「武器は使わなくても、これ以上険悪になったら戦闘でも支障がでそうだよ」

坂本「扶桑には喧嘩した二人を殴り合いさせるという伝統があるが……」

サーニャ「多分、俺さんが死んじゃいます」

ルッキーニ「いやいや俺も案外強いよー……ってそんなこと言ってる場合じゃないんだ」



ミーナ「うーん……ある意味ネウロイ以上に厄介な問題ね」

シャーリー「二人を仲好くする方法はないものかなあ……」

ペリーヌ「かといって理由もなく2人きりにしたところで恐らく無言のままか、最悪口論で更に険悪になるでしょうし……」

リーネ「と、とりあえず落ち着くために皆さん紅茶でも飲みませんか?」

宮藤「あ、リーネちゃんごめんね紅茶切らしてるの。そのうち買いに行かないと……」

ルッキーニ「それだ!」

坂本「どうしたルッキーニ」

ルッキーニ「二人を買い物にローマに行かせればいいんだよ!」

エイラ「なるほど、二人だけならダメっぽいけど街の人とかもいるしナ」

シャーリー「それにあの二人命令って言えば大体は聞くだろうし……」

ミーナ「じゃあフラウ、俺少尉ちょっと借りるけどいいかしら」

エーリカ「んーなんでわたしに言うの? 俺に言ったほうがいいんじゃない?」

ミーナ「(恐ろしい子……)そ、それもそうね。じゃあフラウは俺少尉に、トゥルーデには宮藤さん伝えにいってくれないかしら。仲直りさせるってことは控えてね」



昼前

ミーナ「じゃあそのメモに書いたものを買ってきて頂戴。余った分は自由に使ってもいいから」

俺「了解」

バルクホルン「……了解」

ルッキーニ「二人ともお土産よろしくー!」

エーリカ「お菓子がいいな」

シャーリー「悪いな俺、トラックまで出してもらって。今修理中だったんだ」

ペリーヌ「というよりもよく車まで入ってましたわね」

宮藤「もう俺さんの袖にはないものがない気がしてきたよ……」

バルクホルン「どうせ殆どが絵本なんだろ」

俺「否定はしませんよ」

バルクホルン「ふん」

ミーナ「二人ともきっちり買い物は済ませて来ること!」

シャーリー「じゃー行くぞー!」ブロロロロロロ



坂本「……行ったな」

ミーナ「トゥルーデは部屋で銃の手入れしてたんですって?」

宮藤「はい、俺さんならいつ襲来してきてもおかしくないって言って」

ペリーヌ「で、俺少尉はスコップの研磨をしていたと」

エーリカ「俺が言うには、トゥルーデなら恐らく隙を見せれば撃ってくるだとかなんとか」

ミーナ「互いが互いのことをとんでもなく勘違いしているみたいね……。高くかってるってことの裏返しでいいのかしら」

リーネ「相手が本当に攻撃して来たら反撃するつもりだったみたいですし、本人たちは本気で戦う気なんてなかったと思います。……多分ですけど」

エイラ「でもあの二人が本気で怒ったら、部屋で銃くらい準備しないと心配ダナ。多分使っても負けるだろうけどナ」

ルッキーニ「だね。多分人類の中であの二人は特に怒らせてはいけない人種に入ると思う
。あとミーナ隊長」

全員「同感」

ミーナ「あなた達ちょっと後でお話があります」




道中

シャーリー「前方に見通しよし、対向車なし……っと。 ……行くぞ!」

ブウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウン!

ガタガタガタガタガタ

バルクホルン「そ、速度を落とせシャーリー!」

俺「おや、こんな速度で驚いていてはゆっくりとしか空を飛べないのではないのでしょうか」

バルクホルン「陸と空とは違うだろう! じゃあお前はなんで体操座りできっちりと手すりを握っているんだ?」

俺「これは安全を考えた最高の形です」

バルクホルン「ふん、確かに安定はするだろうが傍目には格好悪いぞ」

俺「実用性重視なので」

バルクホルン「そこだけは同意してやる。しかしわたしは体操座りをしていないし手すりも握っていない。そんなわたしに驚いているというのはどうかと思うが?」

俺「……まだつかないのでしょうかね」

バルクホルン「話をそらすな! 大体お前はな……」


シャーリー「ガタガタ音鳴ってるのに聞えるとかどれだけ大声で言いあってるんだよ……」


ローマ

シャーリー(結局到着するまでずっと言い合ってたな……)

俺「懐かしいような、懐かしくないような」

シャーリー「あれ? 俺って来たことあるのか?」

俺「大きな休暇をもらうと、行ける場所なら世界中絵本を探しに回ってるので」

バルクホルン「その意欲を万分の一でも戦闘に回してもらいたいものだがな」

シャーリー「おいバルクホルン……」

俺「いやいや正しいですよ非常に正しい。叩く場所がそこしかないから非常に正しい」

シャーリー(ここまで口が悪い俺は初めて見たぞ……)

バルクホルン「全部言ってほしいのか? 合わせると煩悩の数をあっというまに超えるんだが」

俺「こちらも言おうと思えば千の孤独が一瞬で消えさるほどの数になるわけですが」




シャーリー「あーもうお前らきちんと物買ってこいよな!」

俺「了解」

バルクホルン「わかってる! おい俺はメモに書いてるもの買ってこい。わたしは紅茶を買ってくる」

俺「いや自分が紅茶を買ってくるので大尉殿はメモのものを」

バルクホルン「上官命令だぞ」

俺「自分は非力でして……」

バルクホルン「50ミリカノン砲を片手で持てる奴が何を言うか! そもそも袖に入れれば関係ないだろう!」

シャーリー「あ、言い忘れたけど中佐が言うには、二人で一緒に買い物してくるようにだってさ」

バルクホルン「はぁ!?」

シャーリー「二人は基地における攻撃と守りの要だから今のうちに理解を深めておくこと、だそうだ(口からでまかせだけど意味わからないな)」

俺「嫌と言ったら?」

シャーリー「上官命令」

俺「……むぅ」

バルクホルン「仕方ないな……」



シャーリー「じゃあまた夕方頃迎えに来るからなーきちんと買い物済ませとけよー」ブロロロロロ

バルクホルン「行ったか……」

俺「行きましたね……」

バルクホルン「……」

俺「……」

バルクホルン「非常に気に入らないが命令なら仕方ない」

俺「奇遇ですね。自分も非常に気に入りませんが命令なら仕方ないと思っていたところです」

バルクホルン「とりあえず紅茶からだな……」

俺「いいえ、まずはメモのほうから」

バルクホルン「紅茶だ」

俺「メモです」



30分後

 結局上官命令という言葉に負け紅茶に決定

バルクホルン「最初から紅茶を選んでおけばよかったんだ」

俺「上官命令なので仕方ありませんね。気に入りませんが」

バルクホルン「わたしもお前と一緒には来たくなかったよ。……っとここか」ガチャ

店員「イラシャッセー」

俺「なんか色々ありますね」

バルクホルン「ああ、ここでなら大体は揃うだろう」

俺「あ、絵本の新装版が置いてある」

バルクホルン「そんなものは後でいいだろう。とっとと買い物を済ませるぞ」

俺「そんなもの呼ばわりされたのはショックですが了解です」

バルクホルン「む……この服いいな。前に宮藤が買ってきてくれたものも良かったがこれも送ってやるか」

俺「そんなものは後で良いんじゃないでしょうか」

バルクホルン「……ふん」


そして小1時間後

俺「大体の物は買い終わりましたね」

バルクホルン「誰かが一々反抗しなければもうちょっと早く済んだんだがな」

俺「ええ、どこかの誰かがですね」

バルクホルン「ふん」スタスタ

俺「ああもう先に行かないでくださいよ」

コロコロ

俺「ん……リンゴ?」ヒョイ

?「おい兄ちゃんよ」

俺「はい?」

 振り向くと短い金髪で緑のエプロンを付けた四十代ほどの男が立っていた。

店主っぽい人「売りモンを目の前で盗むなんていい度胸してんじゃねえか」

俺「いえこれは転がっていたのを拾っただけで……」

店主っぽいry「うるせえよ俺が見てたんだから盗んだに決まってんだろうが!」



俺「ですから拾っただけで盗んでないと言ってるじゃないですか」

店主っぽry「盗人は大体そういうんだよ!」

俺「話のわからない人ですね……」

店主っry「わかんねーのはおめーだろうが! おーいみんなーこいつが俺の店のリンゴうばったぞー!」

 男が大声で叫ぶと通行人がわらわらと集まってくる。

店主ry「今なら有り金全部おいていくだけで許してやるぜ。俺は寛大だからな」

俺「……本当に許してくれるのですか?」

店ry「ああ本当だとも」ニヤニヤ

俺「だが断る」

 野次馬が取り囲む中、俺ははっきりと言い放った。

俺「やっていないことをやってることにされたら、社会は成り立たないのですよ」

ry「こんの……みんなやっちまおうぜ!」

 男が俺に向かって殴りかかろうとしたが、野次馬から現れた腕によって止められる。


r「なっ!?」

バルクホルン「おい俺、こんなところで何をやっている」

俺「バルクホルン大尉こそ先に行ったのでは?」

バルクホルン「ふん、命令で2人で行けと言われたんだ。遅いから戻ってきただけだ」

r「て、てめえも仲間か!? う、腕を離しやがれ!」

バルクホルン「店主、本当にコイツが店の林檎を取ったのか?」

r「あ、当り前だろうが!」

バルクホルン「ではなぜ路地裏にいたんだ? 隠れていたのが見えたぞ」

r「そ、それはだな……盗られたのを取り返すために先回りしてたんだよ!」

バルクホルン「ほう……それはおかしいな。さっきおまえはわたしが仲間かと尋ねたな。こいつとわたしはずっと一緒に買い物をしていたんだが、なぜわたしが仲間だとわからなかったんだ? そもそもお前のような奴が店主の店なぞ入るどころか通った記憶すらないんだが」

r「ち、チクショウ!」

 男は強引に腕を振り払うと野次馬に紛れ込もうとしたが、自らが集めた野次馬によって取り押さえられた。



 その後の調べによりその男は気の弱そうな人を狙い、泥棒扱いして金を奪っていたらしい。そもそも店主ですらないことがわかった。

バルクホルン「さて、聴取も終わったことだし後は適当に回るだけだが……」

俺「バルクホルン大尉」

バルクホルン「なんだ」

俺「どうして自分を助けたのですか? 大尉は自分のことを嫌っているはずです」

バルクホルン「今でも気に入らないな」

俺「ではなぜ?」

バルクホルン「……気に入らないと信じているのは別だ。確かにわたしはお前が気に入らないが、お前がそういうことをしない奴だと思っている」

俺「……なるほど」

バルクホルン「ふん……」

 ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥー!

バルクホルン「ネウロイ!? くそ、ストライカーユニットは基地にしかないぞ!」


俺「バルクホルン大尉」

バルクホルン「なんだ!? 今から走ってでも基地へと戻るぞ!」

俺「自分もアナタが気に入りません」

バルクホルン「こんな時に何を言っている!?」

俺「しかし、それ以上に気に入らない奴が自分たちの上を飛ぶ、それは更に気に入りません」ゴソゴソ

 そう言って俺が袖に手を入れる。

俺「しかし自分には飛んで戦うことができません」

 取り出されたのは俺が使っているストライカーユニット。俺はバルクホルンに両手でストライカーユニットを手渡す。

バルクホルン「俺……」

俺「なので非常に気に入りませんが、アナタならこの街を守ることができると信じましょう」

バルクホルン「……お前のストライカーユニットというのが気に入らないが街は守る。それがわたしたちウィッチだ」

俺「おや、一応自分も入れてくれてるんですね」

バルクホルン「どうだかな」



俺「……見えましたね。小型機が1機、これは気付きにくい」

バルクホルン「逆に落としやすい」

俺「さて、武器は何がいいでしょうか? もうすこし時間はあるようなのでじっくり選ぶのもいいかと思います」

 俺が袖を下にするとガチャガチャと次々に武器があらわれる。
 剣に槍にミサイル、ハンマー、機関銃に短剣、その他もろもろ種類を上げるのが億劫になるほどの品ぞろえだ。

俺「でもまあ、お勧めはこれですけどね」

 手渡すのはMG42二丁。

バルクホルン「……わかってるじゃないか」

俺「銃弾補給も整備も完ぺきにしてあります」

バルクホルン「それも軍人として当然だ偉そうにするな! 全くお前はな……」

俺「そんなことより早く行かないとネウロイ攻撃開始しちゃいますよ?」

バルクホルン「……戻ったら覚悟しておけよ!」ブゥゥゥゥン





俺「……お気を付けて」



待ち合わせ場所

バルクホルン「手ごたえのないネウロイだったな」

俺「変わったネウロイが多い昨今、まさか普通のネウロイが来るとは思いませんでした」

バルクホルン「まあ街に被害がなくてよかった……」

俺「バルクホルン大尉」

バルクホルン「なんだ?」

俺「あの昼のこと感謝します」

 俺が頭を下げる。

俺「自分が過去に基地をいくつか回っているのは知っているでしょうか」

バルクホルン「ああ、理由は知らないがな」

俺「自分の魔法は物を自由に出し入れすることができます。しかも一瞬で、です」

 俺は袖をひらひらとさせる。

俺「それを知った誰かが、基地の金庫から金を持って行ったんです。そして自分が疑われました」

バルクホルン「馬鹿な、ほかのウィッチ達は何も言わなかったのか!?」

俺「当時から自分は戦えませんでしたからね……。上官はともかく他のウィッチからは嫌われてました。幸い軍をやめさせられることはありませんでしたが、また別の基地へと転属になりました」



バルクホルン「そいつらは本当に軍人か!?」

俺「いえ、必死に戦っているのに戦わない奴がいれば自分だって嫌いになると思います」

 俺は袖の中に手を入れる。

俺「そして転属した基地で、誰かが既に伝えたのか自分は泥棒と呼ばれていました。あ、もちろん陰口ですがね」

 荷物を入れた袋が風で少しだけ揺れる。バルクホルンの髪のいい匂いがした。

俺「そしてその基地でも窃盗……今度はウィッチのズボンでしたがね。流石にこれはすぐに犯人はわかりましたが、偏見は変わらずそしてまた転属」

バルクホルン「そうか……そしてこの基地に」

俺「あ、あと3回転属してます。窃盗は無くなりましたが士気が下がるだの飛んでるだけで腹立つだの色々言われまして」

バルクホルン「そ、それは大変だったな」

俺「ですがアナタは気に入らないといいつつ、自分のことを助けてくれました」


バルクホルン「……あれはあの男が間違っているから言っただけだ。それにわたしじゃなくても基地のみんななら同じように助けただろう」

 ほんのりと頬が赤くなったバルクホルンは腕を組み頷く。

俺「それでも嬉しかったです」

バルクホルン「……その、わたしも悪かった。絵本を叩きつけてしまって」

俺「いいんですよ」

バルクホルン「何故だろうな、いつもハルトマンの横にわたしが居たはずなのに、いつの間にかお前が居た。多分それが許せなかったんだと思う」

俺「今でも許せないでしょうか」

バルクホルン「今は……わからないな」

俺「そうですか……」

 遠くからシャーリーの乗ったトラックが向かって着ている。


バルクホルン「よければ、もしよければどうしてお前が絵本をそんなに大切にしているか教えてくれないか?」

俺「……それはですね」

キキーッ!

シャーリー「二人とも迎えに来たぞ。ネウロイも撃破するなんてやるじゃないか!」

俺「……いつか教えますよ」

 そういって俺は二コリと笑った。







俺「完成しましたか……。アナタには何時も無理を聞いてもらい感謝します。
姉も相当無理を言っていたようで……。ともかく、3日後の荷物ですね了解しました」




きょうのおねえちゃん

俺「バルクホルン大尉バルクホルン大尉」

バルクホルン「どうした俺」

俺「ポン酢のポンってなにさ」

バルクホルン「……」


シャーリー「バルクホルンが考え事してて墜落したぞー!」
最終更新:2013年02月02日 13:10