太陽の光が眩しい

本日の天気は快晴、テルテル坊主はお役御免といったところだな

そして僕の気分はというと・・・何といったらいいのだろうか?

とりあえず現状報告をしよう

僕「・・・・・・ああ、高いな」

空、大空を今ボクは飛んでいる

雲をこんなに近くで見たのは初めて

ただ息を呑むしかない

子供の頃に空を飛びたいと思った事はあるけれど

実際に飛ぶとわかる

恐怖、そしてそれと同じ、いやそれ以上の感動がここにはある


宮藤「ふふ、すごいでしょ!私も最初は感動したんですよ」

僕「はい・・・これは・・・すごいとしか言いようが無いです」


いきなり飛んでいるというのもおかしな話だろう

ボクには結局魔力はあったのか?いやあったから飛べているんだけども

とにかくボクがここに来た次の日の朝、今日の朝の話をしよう



~朝~

-食堂-

僕「あ、おはようございます」

宮藤「あれ、僕さん?」

僕「はい、え、と、宮藤さん・・・ですよね?」

宮藤「あ、はい私、宮藤芳佳って言います!」


そう元気に自己紹介をしたあとに、宮藤さんはおはようございますと返してくれた

昨日の美味しいご飯は彼女が作ったそうだ


僕「・・・昨日はすみませんでした」

宮藤「え、なにかしましたっけ?」

僕「せっかくのご飯を残してしまって・・・美味しかったのに」

宮藤「あ、いいんです別に、僕さんが悪いわけじゃないし、それよりなんでここに?」

僕「まぁそのお詫びもかねてご飯でも作ろうかと思いまして」

そういうことで早起きしてミーナさんに許可をとりここに居るわけだ

宮藤「あ、じゃあ私も手伝います」

僕「はい、そうしてくれると助かります」

ここは好意に甘えるとしよう

リーネ「あ、ボクさんおはようございます」

僕「はい、おはようございます、リーネさん」


この人はリーネさん、宮藤さんの親友なのだそうだ

なぜ解るかって?朝にミーナさんがみんなの名前とかを教えてくれたからなのだが

やはり改めて自己紹介とか、でも記憶喪失ってことになって・・・


リーネ「僕さん、どうかしましたか?」

僕「あ、と・・・リーネさんもお手伝いお願いできますか?」

リーネ「はい!わかりました」

とにかく今はご飯だな、他の事は後で考えよう

僕「でも多人数のご飯作るの初めてだな、頑張るか!」




~しばらくして~


バルクホルン「ん?味がいつもと違うな、宮藤が作ったのか?」

僕「あ、すみません、お口に合いませんでしたか?」

好みとか聞いとくべきだったかな・・・

エーリカ「ううん、私は美味しいと思うけど、今日のご飯は僕が作ったの?」

僕「はい、宮藤さんとリーネさんに手伝ってもらって」

バルク「いや、味が違うと言っただけだ、うまいぞ」

シャーリー「ああ、こりゃうまい!」

ルッキーニ「おかわりー!」

坂本「うむ、うまいな、扶桑料理か」

ミーナ「美味しいわ」

僕「よかった・・・」

不思議と嬉しい気持ちになる

サーニャ「美味しい」

エイラ「なかなかナンダナ」


でもここまで褒められると思ってなかったから照れるな・・・

料理は確かに両親が死んでからずっとやってきた

姉さんは生活能力皆無な上に料理は壊滅的だったからな

卵は焼くと黒くなる、カレーは・・・・あれ何色って言えばいいんだ?

っと、またか・・・クソ、だめだな


僕「・・・姉さん」ボソッ


ボクはやっぱり弱いのかな?


サーニャ「・・・・・」

ミーナ「じゃあ僕さん、お昼にハンガーに来て頂戴、昨日話したわよね」

坂本「ちゃんと来るんだぞ、さぼったら訓練だ!!」

僕「はい、わかってます」


ストライカーユニットだっけ?とにかくそれのテストらしい




~朝食後~

サーニャ「僕さん・・・」

僕「え、はい、どうかしましたか?」

ボクは丁度食器洗いを終えたところだった

サーニャ「敬語、わたしにはしなくていいですよ」

僕「・・・あー、ごめん、癖でさ」

今まで人付き合いは避けてたからな、ついつい敬語になってしまう

僕「はぁ・・・」

まったくボクは何してるんだか

サーニャ「無理してませんか?」

僕「え、ああ、別に大丈夫だよサーニャさん、ありがとう」

サーニャ「そうですか、よかった」

彼女は安心したらしく表情が柔らかくなる



サーニャ「僕さんってお幾つですか?」

しばらく雑談をしているとそんな事を聞かれた

僕「・・・16だよ、今年で17」

高校二年生なんだよなボク・・・

サーニャ「16・・・エイラと一緒ですね、私は14です」

ボク「そっか、みんなそんなに年は高くないみたいだね」

年下だったのか

僕「あれ、エイラさんって・・・」

たしかサーニャさんと医務室にいた

エイラ「あ、サーニャ、ここにいたノカ?探したんだゾ!」

そうそうこの人だ

サーニャ「うん、僕さんとお話してたの」

エイラ「へー・・・・・」ジー

あれ?奇異の視線を感じるのはなぜだろう?

僕「どうかしましたか?ジーっと見て、顔に何かついてます?」

エイラ「イヤ、ほんと、女の子みたいダナ」

僕「・・・・・そ、そうですか」

気にしない、気にしない・・・

サーニャ「エイラ、ダメ」

エイラ「エ、ゴメン」

あ、べ、別に気にしてないのに気を使われた・・・

サーニャ「エイラ、僕さんも16なんだって」

エイラ「16?サーニャと同じ位かと思ったのニナ」

僕「小柄ですからね、仕方ないですよ」

エイラ「ウ~ン・・・敬語じゃなくていいゾ?」

僕「あー、善処します」

エイラ「それにしても、オマエ黙ってたら男だってばれないゾ」

僕「男ですよ、100%男ですよ、ばれていいんですよ!」

エイラ「ナニ!そうだったのカ?」

僕「・・・・・・」

サーニャ「あ、僕さん、もう時間みたいですよ?」

おっと・・・本当だ、どれだけ喋ってたんだ

いや、後半は馬鹿にされただけな気がする・・・気のせいかな?

僕「じゃあ、行ってきますね」


タタタタタ


エイラ「忙しいヤツダナ、なんかオドオドしてるシ」

サーニャ「でもいい人よ、エイラ」

エイラ「うん、話してたらワカルけど・・・」

サーニャ「?」

エイラ「なんか、寂しい目をしてるナ」

サーニャ「・・・うん、そうね」

エイラ『最初にサーニャに会ったときとも違う、なんにも信じられないって感じダナ・・・』

サーニャ『なんだか、悲しい目をしてる・・・気のせいじゃなかったんだ』



~ハンガーにて~

ミーナ「どう?僕さん今度のユニットは・・・」

僕「わっ!?」

ボフンッ!

ボクの履いていたユニットは煙を上げる

坂本「うーむ、魔力が安定せんな、これで何機目だ?」

バルクホルン「ああ、だが魔力があるのは確かだな、ついでに4機目だ」

僕「・・・そうですか、でも本当にユニット壊してるだけの気が」

ミーナ「ええ、困ったわね・・・もうユニットは」



整備兵「・・・・・・」ザワザワ


整備兵「おいおい、どうするこれ?」
    「ストライカーユニットだぞ・・・これ?」
    「でもこんな正体不明なやつ・・・」

ミーナ「あなた達、どうかしたの?」

整備兵「いえ、朝方荷物が届いたのですが、差出人不明で中身が」


坂本「ストライカーユニットだと・・・?そんな話聞いてないぞ」

整備兵「はい・・・」

バルクホルン「差出人不明だと!、いたずらかなにかじゃないのか?」

整備兵「いえ、それにしては」

ミーナ「ええ、見た感じ普通のユニットだわ」

整備兵「はいユニットには間違いなく朝から調べたのですが・・・異常も無く
     使用には問題ないかと、ただ見た事無いパーツが組み込まれていまして」


僕「・・・・嘘だろ?」

さっきからみんなの注目の的のユニット、それは見た事など無い

でもその『マーク』は!?


整備兵「こんなパーソナルマークも見た事がないですし」

音符マークの右横に小さな音符マーク忘れるわけがない
姉さんと僕しか知らないマーク

心が落ちつかない、期待にもにた感情がこみ上げる

僕「・・・すみません、ソレをボクに履かせてください!」

バルクホルン「な、何を言っている!こんな得体の知れない・・・」

僕「お願いします!!」

バルクホルン「な・・・!」

ミーナ「・・・なぜ?」

僕「もしかしたら・・・ソレを作ったのは僕の知ってる人かもしれないからです」

坂本「・・・・・」

坂本さんはボクの目をしばらく見て言った

坂本「危険を感じたらすぐ降りろ、いいな!」

僕「・・・はい!」

―――――
―――
――

シャーリー「なんだこれ?はじめて見たぞ、こんなの・・・どうなってんだ?」

バルクホルン「お前でもわからないか・・・まったく」

ミーナ「僕さん専用機といったところかしらね」

坂本「はっはっは、そうかもしれんな!」


僕「・・・・・不思議な感じだったな」


結果は成功、魔法力は今までで一番安定していたし、違和感など皆無だった

ただ問題なのが中身が正体不明もいいところという事だ


僕「あの~・・・いいですか?」

ミーナ「はい、どうかしましたか?」

僕「ボクは是非ともそれがいいんですが・・・駄目でしょうか?」

ミーナ「・・・・・」ジー

僕「あはは・・・その・・・いや、ダメなら・・・」

バルクホルン「当たり前だ、ダメに決まって」

ミーナ「・・・わかりました、違和感を感じたらすぐ報告すること、いいですね?」

僕「はい!」

バルクホルン「・・・・・」


そうして僕は正体不明のユニット『アンノウン』に乗る事になった



~そして現在~

僕「飛んでるんだ・・・空を・・・」

何度この言葉を呟いただろうか?

にしても、このユニット・・・

僕「姉さんだよな?」

姉さんのバイオリンと同じ感じがする

リーネ「芳佳ちゃん、そろそろ」

宮藤「うん、僕さん!そろそろ基地に戻りましょう、時間みたいです」

僕「はい!わかりました」

名残惜しいがしかたない



~基地~

僕「シャーリーさん、どうかしましたか?」

シャーリー「なぁ!今度勝負しよーぜ?」

僕「?」

基地に帰ってしばらくハンガーに居たらシャーリーさんに話しかけられたんだが

シャーリー「スピード勝負だよ、スピード!お前のユニットどれだけスピード出るんだ?」

僕「さぁ・・・まだわかりませんけど・・・」

シャーリー「そっか・・・とにかく勝負だ!」

僕「・・・もうちょっと飛ぶのに慣れたらしましょう」

シャーリー「ああ、わかった!」

ついでにユニット弄らせろー!って言ってたのは気にしない事にする

僕「あはは・・・」



なんでこんなに構ってくれるんだ?

そう思わずにはいられなかった






その後、晩御飯を作ったのだがどうも納豆は苦手な人が多いらしい

ついでに宮藤さんは気付いてないっぽいんだよなぁ



~夜 僕の部屋~

借りた部屋に帰ってきてからボクは考え事をしていた

僕「どうしたもんかなぁ・・・なんだか成り行きで来ちゃったけど」

昨日は疲れてたらしくてすぐ寝ちゃったし、今日は習慣で早起きしてご飯作ったり

ユニット履いたり空飛んだりして忙しかったから考えなかったけど

僕「ここ、別世界だよな・・・夢とかじゃないのかな・・・どうなってるんだ?」

なんで今まで考えなかったんだボクは?いや、考える余裕がなかったのか・・・

僕「やっぱり夢なのかな?」

そうであって欲しい自分もいる、でも本音は

僕「どうでもいいか・・・」

そう、どうでもいい、夢だろうとなんだろうと



僕「どうせ意味のない人生だからな」





この時のボクは自分がどれだけ馬鹿なのか、気付いてなかった・・・


続く


思い出の歌  (三話)

君と奏でる歌 (目次)
最終更新:2013年02月02日 13:31